JP2014156633A - 方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板並びに方向性電磁鋼板用表面ガラスコーティング - Google Patents

方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板並びに方向性電磁鋼板用表面ガラスコーティング Download PDF

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Abstract

【課題】窒化珪素を形成する目的で二次再結晶前の鋼板に窒素を加えた方向性電磁鋼板が、窒素を鋼中へ効率的に拡散させ、窒化珪素を粒界に析出させることで、良好な磁気特性を有するものとなる方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】焼鈍分離剤を、MgO:50%以上で、かつMをTi、Mn、Si、Cr、AlおよびBのいずれかとした時のMの酸化物を、焼鈍分離剤100質量部に対し、MOx換算で5質量部以上20質量部以下含有するものとし、さらに
ガラスコーティング液を、リンの酸化物と、AをAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのいずれかとしたAの酸化物を1種または2種以上含有し、かつ該酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)と、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)が0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足するものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を安価に得ることができる磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法およびその製造方法を用いた方向性電磁鋼板並びに方向性電磁鋼板用表面ガラスコーティングに関するものである。
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料で、鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有するものである。このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程中、二次再結晶焼鈍の際にいわゆるゴス(Goss)方位と称される{110}<001>方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる、二次再結晶を通じて形成される。
従来、このような方向性電磁鋼板は、4.5mass%以下程度のSiと、MnS,MnSeおよびAlNなどのインヒビター成分を含有するスラブを、1300℃以上に加熱し、インヒビター成分を一旦固溶させたのち、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施して、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、ついで湿潤水素雰囲気中で一次再結晶焼純を施して、一次再結晶および脱炭を行い、ついでマグネシア(MgO)を主剤とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶およびインヒビター成分の純化のために、1200℃で5h程度の最終仕上焼鈍を行うことによって製造されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3)。
上述したとおり、従来の方向性電磁鋼板の製造に際しては、MnS,MnSe,AlNなどの析出物(インヒビター成分)をスラブ段階で含有させて、1300℃を超える高温のスラブ加熱をすることにより、これらのインヒビター成分を一旦固溶させ、後工程で微細析出させることによって二次再結晶を発現させるという工程が採用されてきた。
このように、従来の方向性電磁鋼板の製造工程では、1300℃を超える高温でのスラブ加熱が必要であったため、その製造コストは極めて高いものにならざるを得ず、近年の製造コスト低減の要求に応えることができないというところに問題を残していた。
こうした問題を解決するために、例えば、特許文献4では、酸可溶性Al(sol.Al)を0.010〜0.060%含有させ、スラブ加熱を低温に抑えて脱炭焼鈍工程で適正な窒化雰囲気を用いて窒化を行なうことにより、二次再結晶時に(Al,Si)Nを析出させインヒビターとして用いる方法が提案されている。(Al,Si)Nは鋼中に微細分散することで有効なインヒビターとして機能するが、Alの含有量によってインヒビター強度が決まるために、製鋼でのAl的中精度が不十分な場合は、十分な粒成長抑制力が得られない場合があった。このような途中工程で窒化処理を行ない、(Al,Si)NあるいはAlNをインヒビターとして利用する方法が数多く提案されているが、最近では、スラブ加熱温度が1300℃を超える製造方法等が開示されている。
一方、そもそもスラブにインヒビター成分を含有させずに二次再結晶を発現させる技術については、特許文献5に、インヒビター成分を含有させなくとも二次再結晶ができる技術(インヒビターレス法)が開示されている。
ここに、インヒビターレス法は、より高純度化した鋼を利用し、テクスチャー(集合組織の制御)によって二次再結晶を発現させる技術である。しかしながら、インヒビターレス法では、高温のスラブ加熱が不要であって、低コストでの方向性電磁鋼板の製造が可能であるものの、インヒビターを有しないが故に、製造工程中での温度ばらつきなどの影響を受けて、製品での磁気特性にバラつきが生じやすいといった不利があった。
また、集合組織の制御は、磁気特性に対して重要な要素であるため、集合組織制御を行う温間圧延などには、多くの条件が提案されている。こうした集合組織制御が十分に行なえない場合は、インヒビターを用いる技術に比べると、二次再結晶後のゴス方位({110}<001>)への集積度が低く、磁束密度も低くなる。
米国特許第1965559号明細書 特公昭40−15644号公報 特公昭51−13469号公報 特許第2782086号明細書 特開平2000−129356号公報 特公昭56-52117号公報 特公昭53-28375号公報 特公昭57-9631号公報 特開2000-169973号公報 特開2000-169972号公報 特開2000-178760号公報
上述したとおり、これまで提案されてきた方向性電磁鋼板の製造方法では、良好な磁気特性を安定的に実現することが難しい場合が多かった。
これに対し、発明者らは、Alを100ppm未満に抑制したインヒビターレス成分に準じた成分を用いて、高温スラブ加熱を回避しつつ、窒素増量を適用することで、AlNではなく窒化珪素を析出させ、この窒化珪素を正常粒成長の抑制力として機能させることで、磁気特性のバラつきを大幅に低減し、工業的に安定して良好な特性を有する方向性電磁鋼板の製造方法に想到した。
ここで、一般に、方向性電磁鋼板においては、絶縁性、加工性および防錆性等を付与するため、表面にリン酸ガラス質の被膜をもうける。
この被膜は高温で形成され、しかも低い熱膨張率を持つことから室温まで下がったときの鋼板と被膜との熱膨張率の差異によって鋼板に張力を付与することができ、この張力によって鋼板の鉄損を低減させる効果がある。この時、高い張力を鋼板に付与することで、鋼板の鉄損低減効果も一段と向上するので、できるだけ高い張力を鋼板に付与することが望まれている。
この要望を満たすために、従来から種々の被膜が提案されている。例えば、特許文献6には、リン酸マグネシウム、コロイド状シリカおよび無水クロム酸を主体とする被膜が、また特許文献7には、リン酸アルミニウム、コロイド状シリカおよび無水クロム酸を主体とする被膜がそれぞれ提案されている。
また、近年の環境保全への関心の高まりにより、クロムや鉛等の有害物質を含まない製品に対する要望が高まっている。
この要望に対しては、特許文献8でコロイド状シリカとリン酸アルミニウム、ホウ酸および硫酸塩からなる処理液を用いた被膜形成方法が提案されている。
また、特許文献9にはクロム化合物の代わりにホウ酸化合物を添加する方法が、特許文献10には酸化物コロイドを添加する方法が、さらには特許文献11に金属有機酸塩を添加する方法が、それぞれ開示されている。
しかしながら、鋼板を窒化し、窒化珪素を析出させることで正常粒成長の抑制力として使用する方向性電磁鋼板にこれらの技術を適用した場合、ガラスコーティング後の製品の状態における鋼板中の窒素量が過剰となって、需要家への出荷時点で鉄損の悪化をまねいたり、あるいは需要家でのひずみとり焼鈍時に鋼板中へ窒化物が析出して特性の劣化を招いたり、という新たな問題が発生した。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、窒化珪素を形成する目的で二次再結晶前の鋼板に窒素を加えた方向性電磁鋼板が、窒素を鋼中へ効率的に拡散させ、窒化珪素を粒界に析出させることで、良好な磁気特性を有する方向性電磁鋼板の製造方法を、その製造方法を用いた方向性電磁鋼板および方向性電磁鋼板用表面ガラスコーティングと共に提供することを目的とする。
窒化珪素を用いる本発明では、仕上焼鈍(二次再結晶焼鈍)後にも従来法と比べて多量の窒素が窒化物、酸窒化物その他の形態でフォルステライト被膜中に残留する。例えば、窒化を行わない場合にはフォルステライト中に質量%で1%未満であるものが、本発明では1質量%以上となってしまうのである。
このように、フォルステライト中に過剰に蓄積された窒素は、仕上焼鈍後に引続き行われるガラスコーティング形成や、平坦化焼鈍時、さらには需要家での歪取焼鈍などの800℃以上の焼鈍にさらされると、一部が鋼中へ戻ってしまい、結果的に鋼中窒素濃度が高くなってしまう。
そこで、発明者らは、800℃以上の高温にさらされても、フォルステライト被膜中に固定された窒素が、再び鋼中に戻ることを防止する技術を鋭意検討した。その結果、ガラスコーティング中にガラス中のP(リン)量にあわせて適正量の窒化物形成能を持つ元素を含有させることで、フォルステライト被膜中へ窒素を固定し続けることができる方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有すると共に、S、SeおよびOをそれぞれ50質量ppm未満、sol.Alを100質量ppm未満に抑制し、さらにNを〔酸可溶性Al(sol.Al)質量ppm/26.98〕×14.00≦N≦80質量ppmの範囲に制御し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、再加熱することなくあるいは再加熱後、熱間圧延を施して熱延板としたのち、焼鈍および圧延によって最終板厚の冷間圧延板とし、二次再結晶焼鈍前までに窒素増量が50質量ppm以上1000質量ppm以下となる窒化処理を施した後、焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍の昇温過程において、300〜800℃間の滞留時間を5時間以上150時間以下とし、さらに、二次再結晶焼鈍後に焼鈍分離剤を除去してガラスコーティング液を塗布、焼付けることで、リン酸ガラスを主体とするガラスコーティングを鋼板表面に形成する一連の方向性電磁鋼板の製造において、
上記焼鈍分離剤が、MgOを50%以上含有し、かつMをTi、Mn、Si、Cr、AlおよびBのいずれかとした時のMの酸化物を、焼鈍分離剤100質量部に対し、MOx換算で5質量部以上20質量部以下含有し、さらに
上記ガラスコーティング液が、リンの酸化物と、AをAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのいずれかとしたAの酸化物を1種または2種以上とを含み、かつ該酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)と、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)が0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
2.さらに、前記鋼スラブが、質量%で、
Ni:0.005〜1.50%、
Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.50%、
Cu:0.01〜0.50%、
Cr:0.01〜1.50%、
P:0.0050〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%および
Nb:0.0005〜0.0100%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記1または2に記載の製造方法により得られる方向性電磁鋼板であって、ガラスコーティング直下のフォルステライトを主体とするセラミックス被膜中に窒素を1質量%以上10質量%以下含み、かつ該ガラスコーティング中に、リンの酸化物と、AがAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのいずれかであるAの酸化物を1種または2種以上とを含み、さらに、上記酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)は、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)で0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足することを特徴とする方向性電磁鋼板。
4.前記1または2に記載の製造方法により得られる方向性電磁鋼板の表面コーティング用ガラスコーティングであって、該ガラスコーティング中に、リンの酸化物と、AがAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのうちいずれであるAの酸化物を1種または2種以上とを含み、さらに、上記酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)は、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)で0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足することを特徴とする方向性電磁鋼板用表面ガラスコーティング。
本発明によれば、高温スラブ加熱を施さずとも、磁気特性のバラつきが大幅に低減され、工業的に安定して良好な特性を有する方向性電磁鋼板を得ることができる。
脱炭焼鈍を行なった後、100ppmおよび500ppmの窒化増量が得られるよう窒化処理を行ない二次再結晶焼鈍の昇温中の300℃〜800℃の滞留時間が8時間となる昇温速度で800℃まで昇温した後、直ちに水冷し、その組織を電子顕微鏡により観察した図及びその組織中の析出物のEDX(エネルギー分散型X線分光法)による同定結果である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼スラブの成分組成の限定理由について説明する。なお、以下に記載する「%」および「ppm」表示は特に断らない限り、それぞれ質量%および質量ppmを意味するものとする。
C:0.08%以下
Cは、一次再結晶集合組織を改善する上で有用な元素であるが、含有量が0.08%を超えると、かえって一次再結晶集合組織の劣化を招くので、本発明では0.08%以下に限定した。磁気特性の観点から望ましい添加量は、0.01〜0.06%の範囲である。なお、要求される磁気特性のレベルがさほど高くない場合には、一次再結晶焼鈍における脱炭を省略あるいは簡略化するために、Cを0.01%以下としてもよい。
Si:2.0〜4.5%
Siは、電気抵抗を高めることによって鉄損を改善する有用元素であるが、含有量が4.5%を超えると、冷間圧延性が著しく劣化するので、Siは4.5%以下に限定した。また本発明では、Siを窒化物形成元素として機能させる必要があるため、2.0%以上含有させることが重要である。なお、鉄損の観点からの望ましい添加量は、2.0〜4.5%の範囲である。
Mn:0.5%以下
Mnは、製造時における熱間加工性を向上させる効果があるので、0.01%以上含有させることが好ましいが、含有量が0.5%を超えた場合には、一次再結晶集合組織が悪化して磁気特性の劣化を招くので、Mnは0.5%以下に限定した。
S,SeおよびO:それぞれ50ppm未満
S,SeおよびO量がそれぞれ50ppm以上になると、所望の二次再結晶を得ることが困難となる。この理由は、粗大な酸化物や、スラブ加熱によって粗大化したMnS,MnSeが一次再結晶組織を不均一にするためである。従って、S,SeおよびOはいずれも、50ppm未満に抑制するものとした。
sol.Al:100ppm未満
Alは、表面に緻密な酸化膜を形成し、窒化の際にその窒化量の制御を困難にしたり、脱炭を阻害したりすることがあるため、Alはsol.Al量で100ppm未満に抑制した。但し、酸素親和力の高いAlは、製鋼で微量添加することによって鋼中の溶存酸素量を低減し、鋼板の特性劣化につながる酸化物系介在物の低減などを見込めるため、100ppm未満の範囲で添加することにより磁性劣化を抑制することができる。
N:(sol.Al/26.98)×14.00ppm≦N≦80ppm
本発明は、窒化後、鋼板組織に窒化珪素を析出させることが特徴であるため、含有するAl量に対して、AlNとして析出するN以上のNを事前に含有させておくことが肝要である。すなわちAlNは、原子それぞれが1:1で結合しているため、(sol.Al)量×〔N原子量(14.00)/Al原子量(26.98)〕以上のNを含有させておくことで、鋼中に含まれる微量Alを窒化処理前に析出させておくことができる。一方で、スラブ加熱時の「フクレ」などの欠陥の原因となることもあるため、80ppm以下に抑制する必要がある。また望ましくは60ppm以下である。
以上、必須成分について説明したが、本発明では、工業的により安定して磁気特性を改善する成分として、以下の元素を適宜含有させることができる。なお、残部は、Feおよび不可避的不純物である。
Ni:0.005〜1.50%
Niは、熱延板組織の均一性を高めることにより、磁気特性を改善する働きがあって、そのためには0.005%以上含有させることが好ましいが、含有量が1.50%を超えると所望の二次再結晶を得ることが困難となり、磁気特性が劣化するので、Niは0.005〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Sn:0.01〜0.50%
Snは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を向上させる有用元素であり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、0.50%を超えて含有されると冷間圧延性が劣化するので、Snは0.01〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Sb:0.005〜0.50%
Sbは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を効果的に向上させる有用元素であり、その目的のためには0.005%以上含有させることが好ましいが、0.50%を超えて含有されると冷間圧延性が劣化するので、Sbは0.005〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Cu:0.01〜0.50%
Cuは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を効果的に向上させる働きがあり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、0.50%を超えて含有されると熱間圧延性の劣化を招くので、Cuは0.01〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Cr:0.01〜1.50%
Crは、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、一方でその含有量が1.50%を超えると所望の二次再結晶を得ることが困難となり、磁気特性が劣化するので、Crは0.01〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
P:0.0050〜0.50%
Pは、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには0.0050%以上含有させることが好ましいが、含有量が0.50%を超えると冷間圧延性が劣化するので、Pは0.0050〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Nb:0.0005〜0.0100%、Mo:0.01〜0.50%
NbおよびMoは、スラブ加熱時の温度変化による割れの抑制等を介して、熱延後のヘゲを抑制する効果を有している。これらの元素は、少なくともどちらか一方を、上記下限値以上含有させなければヘゲ抑制の効果は小さく、一方、どちらかが上記上限を超えると、炭化物や窒化物を形成するなどして最終製品まで残留した際、鉄損劣化を引き起こすため、上述した範囲とすることが望ましい。
次に、本発明の製造方法について説明する。
上記の好適成分組成範囲に調整した鋼スラブを、再加熱することなくあるいは再加熱したのち、熱間圧延に供する。なお、スラブを再加熱する場合には、再加熱温度は、1000℃以上1300℃以下程度とすることが望ましい。というのは、1300℃を超えるスラブ加熱は、スラブの段階で鋼中にインヒビターをほとんど含まない本発明にとって無意味であり、コストアップの要因となるだけである。一方、1000℃未満のスラブ加熱では、熱間圧延時の圧延荷重が高くなって、圧延することが困難になるからである。
ついで、熱延板に、焼鈍および圧延を施すことによって最終板厚の冷間圧延板とする。具体的には、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回の冷間圧延あるいは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して、最終冷延板とする。この冷間圧延は、常温で行ってもよいし、常温より高い温度たとえば250℃程度に鋼板温度を上げて圧延する温間圧延としてもよい。
引続き、最終冷間圧延板に一次再結晶焼鈍を施す。この一次再結晶焼鈍の目的は、圧延組織を有する冷間圧延板を一次再結晶させて、二次再結晶に最適な一次再結晶粒径に調整することである。そのためには、一次再結晶焼鈍の焼鈍温度を800℃以上950℃未満程度とすることが望ましい。なお、この時の焼鈍雰囲気を、湿水素窒素あるいは湿水素アルゴン雰囲気とし、脱炭焼鈍を兼ねても良い。
本発明における窒素増量のための窒化処理は、冷間圧延後から一次再結晶焼鈍後に焼鈍分離剤を塗布する前、の間で施す。窒化の手法は、増量する窒化量を制御できれば、特に限定しないが、過去に実施されている、例えば、コイル形態のままNH3雰囲気ガスを用いてガス窒化を行う手法や、走行するストリップに対して連続的に窒化を行う手法を採ることができる。また、ガス窒化に比べて窒化能の高い塩浴窒化を利用することも好ましい。
上記窒化処理の際、重要な点は表層に窒化物層を形成することである。特に、鋼中への拡散を抑制するために800℃以下の温度で窒化を行なうことが望ましいが、時間を短時間(例えば30秒程度)とすることで、高温であっても表面へ窒化物層を形成させることが可能となる。また、窒化による窒素増量は50ppm以上1000ppm以下とするのが肝要である。
窒素増量が50ppm未満では、その効果は十分に得られず、一方、1000ppmを超えると窒化珪素の析出量が過多となって二次再結晶が生じないからである。望ましくは200ppm以上1000ppm以下である。
なお、当該窒素濃度は、たとえ鋼板の一部に濃化していたとしても、鋼板の厚み方向の平均に均した値である。
窒化処理後、鋼板表面に焼鈍分離剤を水スラリー化したものを塗布・乾燥する。二次再結晶焼鈍後の鋼板表面にフォルステライト被膜を形成するためには、焼鈍分離剤中の50%以上をMgOとすることが重要である。
また、本発明では、二次再結晶焼鈍後、フォルステライト中に窒素を窒化物の形で固定するため、焼鈍分離剤中に、MをTi、Mn、Si、Cr、AlおよびBのいずれかとした時のMの酸化物を、焼鈍分離剤100質量部に対し、MOx換算で5質量部以上20質量部以下含ませる必要がある。5質量部以上でないと十分な窒素固定効果が出ない。一方、20質量部よりも多くなるとM元素が鋼中に侵入して析出物を形成するなど磁気特性などに悪影響を及ぼすからである。なお、上記MOxのMは、Ti、Mn、Si、Cr、AlおよびBのうち2元素以上が複合し、結果MOxが複合酸化物であることを妨げない。
焼鈍分離剤塗布に引続き二次再結晶焼鈍を行なう。本発明における二次再結晶焼鈍では、その昇温過程における300〜800℃間の滞留時間を5時間以上150時間以下とする必要がある。この間に表層の窒化物層は分解して、Nが鋼中へ拡散する。特に、AlNを形成することができるAlが残存しない本成分系では、粒界偏析元素であるNは、粒界を拡散経路として、鋼中へ拡散する。窒化珪素は、鋼とのmisfit率が大きいために、その析出速度は極めて遅い。ここで、窒化珪素の析出は、正常粒成長の抑制が目的であるため、正常粒成長が進行する800℃の段階では十分な量が粒界上に選択的に析出している必要がある。
そして、当該温度領域の滞留時間を5時間以上とすることで、窒化珪素は、粒内で析出することはできないものの、粒界を拡散して来たNと結びつき、粒界上に選択的に析出させることができる。上限については必ずしも設ける必要はないが、150時間を超える焼鈍を行なっても焼鈍に要するエネルギーばかりが必要になるだけなので、150時間以下の時間で行なうこととする。また焼鈍雰囲気としては、N、Ar、Hあるいはこれらの混合ガスのいずれもが適合する。
こうしたAl量が抑制され、AlN析出に対して過剰なNを有しつつ、他のMnS、MnSe等に代表されるインヒビター成分をほとんど含有しないスラブに対して、上述した本発明に従う工程を経て製造された方向性電磁鋼板では、二次再結晶焼鈍昇温過程および二次再結晶開始までの段階において、従来インヒビターに比べて粗大なサイズ(100nm以上)の窒化珪素を粒界に選択的に形成することができる。
図1は、脱炭焼鈍を行なった後、100ppmおよび500ppmの窒化増量が得られるよう窒化処理を行ない300℃〜800℃の滞留時間が8時間となる昇温速度で800℃まで昇温した後、直ちに水冷し、その組織を電子顕微鏡により観察、同定したものである。同図から明らかなように、従来利用されてきた微細析出物(<100nm)とは異なり、最小のものであっても100nmを超える粗大な窒化珪素が粒界上に析出している様子が確認される。
製造上、窒化珪素の析出には、二次再結晶昇温過程を利用するのがエネルギー効率の観点から、最も有効であることは明白であるが、同様のヒートサイクルを利用すれば窒化珪素の粒界選択析出は可能であるため、長時間の二次再結晶焼鈍の前に、窒化珪素分散焼鈍として、別途の熱処理を実施することも可能である。
上記の二次再結晶焼鈍後、鋼板表面に形成されるフォルステライト被膜には、窒素が1%以上、10%以下含まれるように、主に焼鈍分離剤中のチタン酸化物を制御したり、焼鈍雰囲気を制御したりすることで、被膜中にSi3N4を含ませて調整する。この際、窒素量が1%未満では地鉄部分から十分窒素を純化しきれず磁気特性が劣化する。一方、窒素を10%超含ませると、本発明に従うガラスコーティングであっても、フォルステライト被膜から鋼板への窒素の戻りを防ぐことができなくなるからである。
二次再結晶焼鈍後には、鋼板表面にさらにリン酸ガラスを主体とするガラスコーティングを塗布、焼付けする。その際の、ガラスコーティング液は、リンの酸化物と、AをAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのいずれかとしたAの酸化物を1種または2種以上とを含み、かつ該酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)と、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)が0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足したものとすることが肝要である。なお、上記Aは、Al、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのうち2元素以上が複合し、Aの酸化物が複合酸化物であることを妨げない。
このガラスコーティングの機能の一つとして低熱膨張係数による鋼板への張力付与があり、その目的でシリカを添加しリン酸-シリカ系ガラスとすることが好ましく、シリカの添加量はガラス組成を各元素の酸化物で表したときにモル%で40mol%以上とすることが好ましい。
また、上記コーティングの塗布や、焼付けの条件としては、常法を用いることができるが、例えば、塗布の手段としては、ロールコーターやスプレーコーターを用いる手段が、また焼付けの条件としては、800〜1000℃の範囲で1〜2分間などが挙げられる。
かかる工程を経ることで、本発明に従う方向性電磁鋼板および方向性電磁鋼板用表面ガラスコーティングが得られるのである。
さらに、本発明では、平坦化焼鈍により、鋼板の形状を整えることが可能であり、この平坦化焼鈍を、絶縁被膜の焼付け処理と兼ねることもできる。
上記の絶縁被膜の焼付け処理(ガラスコーティング)の際、リンの酸化物と、AをAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのいずれかとしたAの酸化物を1種または2種以上含み、かつ該酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)と、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)が0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足させる必要があるのは、前述したとおりである。
上記Z/Pが0.08未満であると、ガラスコーティングによるフォルステライト中の窒化物の安定化効果が無く、一方、Z/Pが0.8よりも大きいと、ガラス転移温度の上昇によってガラスコーティングの形成が困難になったり、そもそもガラス化しなくなったりするからである。従って、本発明では、ガラスコーティング中のリン成分と、ガラスコーティング中の上記Aの合計:Zとのモル比を、0.08以上0.8以下とすることが重要である。
(実施例1)
Si:3.3%、C:0.06%、Mn:0.08%、S:0.001%、Al:0.002%、N:0.002%、Cu:0.05%およびSb:0.01%を含有する珪素鋼板スラブを、1100℃、30分加熱後、熱間圧延して2.2mmの板厚の熱延板とし、1000℃、1分間の焼鈍を施した後、冷間圧延により0.23mmの最終板厚とし、得られた冷間圧延コイルの中央部から、100mm×400mmサイズの試料を採取し、ラボにて一次再結晶焼鈍と脱炭および窒化(連続窒化処理)を兼ねた焼鈍をおこなった。窒化処理はH2-NH3混合ガスによるガス窒化処理を750℃、20秒行った。窒素量は、全厚を対象としたもので300ppm、表層(両面)各3μmをサンドペーパーで削り、表層を除いた状態で25ppmであった。引続き、TiO2を10質量部混合したMgOを主体とする焼鈍分離剤を水スラリー状にしてから塗布、乾燥した。この鋼板に対し、300℃から800℃間を100時間かけて昇温させた後、1200℃まで50℃/hで昇温させ、1200℃で5時間焼鈍する二次再結晶焼鈍を行った。二次再結晶焼鈍で形成されたフォルステライト被膜中の窒素量は2.7%、地鉄中窒素量は10ppmであった。
続いてリン酸塩系のガラスコーティングを表1に記載の組成(各金属酸化物換算で固形分換算mol%)で混合したコーティング液を鋼板に塗布し、800℃、1分で焼付け、コーティング形成の良否や、磁化力800A/mでの磁束密度(B,T)、1.7T、50Hz励磁での鉄損(W17/50,W/kg)をそれぞれ測定し、歪取焼鈍後の磁性劣化確認試験として、850℃で10時間、窒素雰囲気下における焼鈍した後の鉄損(W17/50,W/kg)および地鉄窒素量(ppm)を評価した。
測定および評価結果を表1に併記する。
同表に示したとおり、本発明に従う発明例では、歪取焼鈍における鉄損劣化がほとんど認められず、地鉄窒素純化も良好なことが分かる。
(実施例2)
Si:3.3%、C:0.06%、Mn:0.08%、S:0.001%、Al:0.002%、N:0.002%、Cu:0.05%およびSb:0.01%を含有する珪素鋼板スラブを、1100℃、30分加熱後、熱間圧延して2.2mmの板厚の熱延板とし、1000℃、1分間の焼鈍を施した後、冷間圧延により0.23mmの最終板厚とし、得られた冷間圧延コイルの中央部から、100mm×400mmサイズの試料を採取し、ラボにて一次再結晶と脱炭焼鈍を行なった。その後、表2に記載の窒化処理を行った。窒素量(全厚)は表2のとおりであった。引続き、表2に示した割合でTiO2を混合したMgOを主体とする焼鈍分離剤を、水スラリー状にしてから塗布、乾燥した。この鋼板に対し300℃から800℃間を100時間かけて昇温させた後、1200℃まで50℃/hで昇温させ、1200℃で5時間焼鈍する最終仕上げ焼鈍を行った。二次再結晶焼鈍で形成されたフォルステライト被膜中の窒素量、地鉄中窒素量を表2に併記する。
次に、リン酸ガラスを主体とするガラスコーティングを、表2に記載の組成(各金属酸化物換算で固形分換算mol%)で混合したコーティング液を用いて、塗布し、800℃で1分焼付けることで鋼板表面に形成した。
ついで、上記鋼板の磁化力800A/mでの磁束密度(B,T)や、1.7T、50Hz励磁での鉄損(W17/50,W/kg)を測定し、さらに、歪取焼鈍後の磁性劣化確認試験として850℃、10時間窒素雰囲気下で焼鈍した後の鉄損(W17/50,W/kg)や、地鉄窒素量(ppm)をそれぞれ評価した。
測定および評価結果を表2に併記する。
同表に記載のとおり、本発明に従う発明例では、磁気特性の劣化が殆ど無く、地鉄窒素純化も良好なことが分かる。
(実施例3)
表3に示す成分を含有する珪素鋼板スラブを、1200℃で20分の加熱後、熱間圧延して2.0mmの板厚の熱延板とし、1000℃、1分の焼鈍を施した後、冷間圧延により板厚:1.5mmまでの冷間圧延後、1100℃、2分の中間焼鈍を施し、以下に示す冷間圧延により0.27mmの最終板厚としてから、PH2O/PH2=0.3の雰囲気下、焼鈍温度:820℃となる条件で2分間保持し脱炭焼鈍を行なった。その後、一部コイルに対してバッチ処理で窒化処理(NH3雰囲気下)を行ない、鋼中N量を550ppm増量させた後、MgOを主成分として、表3に記載の酸化物を添加した焼鈍分離剤を水と混ぜてスラリー状としたものを塗布した後、コイルに巻き取り、300〜800℃間の滞留時間が30時間となる昇温速度で焼鈍を行った。続いて、コロイド状シリカをSiO2として46.2mol%、リン酸マグネシウムをMg(PO)として30.8mol%、Al2O3を23.1mol%含んだコーティング液(Z/P値:0.75)を塗布し、焼付けた。さらに鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とした。
かようにして得られた製品コイルからエプスタイン試験片を採取して、磁束密度(B)や、1.7T、50Hz励磁での鉄損(W17/50,W/kg)、被膜中窒素量(%)を測定し、さらに歪取焼鈍後の磁性劣化確認試験として850℃で10時間の窒素雰囲気による焼鈍を施した後の鉄損(W17/50,W/kg)および地鉄窒素量(ppm)を評価した。
測定および評価結果を表3に併記する。
同表に記載のとおり、本発明に従う発明例では歪み取り焼鈍後の磁気特性も良好で、地鉄窒素純化も良好であることが分かる。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有すると共に、S、SeおよびOをそれぞれ50質量ppm未満、sol.Alを100質量ppm未満に抑制し、さらにNを〔酸可溶性Al(sol.Al)質量ppm/26.98〕×14.00≦N≦80質量ppmの範囲に制御し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、再加熱することなくあるいは再加熱後、熱間圧延を施して熱延板としたのち、焼鈍および圧延によって最終板厚の冷間圧延板とし、二次再結晶焼鈍前までに窒素増量が50質量ppm以上1000質量ppm以下となる窒化処理を施した後、焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍の昇温過程において、300〜800℃間の滞留時間を5時間以上150時間以下とし、さらに、二次再結晶焼鈍後に焼鈍分離剤を除去してガラスコーティング液を塗布、焼付けることで、リン酸ガラスを主体とするガラスコーティングを鋼板表面に形成する一連の方向性電磁鋼板の製造において、
    上記焼鈍分離剤が、MgOを50%以上含有し、かつMをTi、Mn、Si、Cr、AlおよびBのいずれかとした時のMの酸化物を、焼鈍分離剤100質量部に対し、MOx換算で5質量部以上20質量部以下含有し、さらに
    上記ガラスコーティング液が、リンの酸化物と、AをAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのいずれかとしたAの酸化物を1種または2種以上とを含み、かつ該酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)と、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)が0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. さらに、前記鋼スラブが、質量%で、
    Ni:0.005〜1.50%、
    Sn:0.01〜0.50%、
    Sb:0.005〜0.50%、
    Cu:0.01〜0.50%、
    Cr:0.01〜1.50%、
    P:0.0050〜0.50%、
    Mo:0.01〜0.50%および
    Nb:0.0005〜0.0100%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られる方向性電磁鋼板であって、ガラスコーティング直下のフォルステライトを主体とするセラミックス被膜中に窒素を1質量%以上10質量%以下含み、かつ該ガラスコーティング中に、リンの酸化物と、AがAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのいずれかであるAの酸化物を1種または2種以上とを含み、さらに、上記酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)は、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)で0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足することを特徴とする方向性電磁鋼板。
  4. 請求項1または2に記載の製造方法により得られる方向性電磁鋼板の表面コーティング用ガラスコーティングであって、該ガラスコーティング中に、リンの酸化物と、AがAl、Ca、Ti、Nd、Mo、Cr、B、Ta、CuおよびMnのうちいずれであるAの酸化物を1種または2種以上とを含み、さらに、上記酸化物の金属成分Aの合計:Z(mol)は、上記リン酸化物中のリン:P(mol)とのモル比(Z/P)で0.08≦Z/P≦0.8の関係を満足することを特徴とする方向性電磁鋼板用表面ガラスコーティング。

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