JP2014148233A - マスタシリンダ - Google Patents

マスタシリンダ Download PDF

Info

Publication number
JP2014148233A
JP2014148233A JP2013017485A JP2013017485A JP2014148233A JP 2014148233 A JP2014148233 A JP 2014148233A JP 2013017485 A JP2013017485 A JP 2013017485A JP 2013017485 A JP2013017485 A JP 2013017485A JP 2014148233 A JP2014148233 A JP 2014148233A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston
cylinder
inner peripheral
seal
cylinder body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013017485A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Kasai
伸哉 河西
Seiko Tanabe
聖子 田邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Automotive Systems Ltd filed Critical Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority to JP2013017485A priority Critical patent/JP2014148233A/ja
Publication of JP2014148233A publication Critical patent/JP2014148233A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Transmission Of Braking Force In Braking Systems (AREA)
  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)
  • Sealing Devices (AREA)

Abstract

【課題】無効ストロークの増大を抑制することができるマスタシリンダの提供を目的とする。
【解決手段】有底筒状のシリンダ本体15に形成された周溝32内に設けられ内周がピストン18に摺接して補給路48と圧力室85との間を密封するピストンシール45が、円環状の基部101と、基部101の内周側から突出してピストン18の外周面18aに摺接する内周リップ部102と、基部101の外周側から突出してシリンダ本体15の周溝32に当接する外周リップ部103とを備え、内周リップ部102の先端に全周にわたって凹部110が設けられる構成とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の制動用シリンダへ液圧を供給するマスタシリンダに関する。
マスタシリンダには、移動するピストンに摺接しつつ、圧力室のシールを行うピストンシールをシリンダ本体の周溝内に配置したものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2006−264689号公報
マスタシリンダにおいては、環境条件等によって、ピストンの移動時に、ピストンシールがピストンに対して円滑に摺動できずにピストンに連れられて周溝内で内周側と外周側とが逆方向に移動するように回転してしまう可能性がある。すると、ピストンシールのピストンに対するシール位置がずれて、ピストンの無効ストロークが増大してしまう可能性がある。
したがって、本発明は、無効ストロークの増大を抑制することができるマスタシリンダの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のマスタシリンダは、シリンダ本体に形成された周溝内に設けられるピストンシールが、円環状の基部と、該基部の内周側から突出してピストンの外周面に摺接する内周リップ部と、前記基部の外周側から突出して前記シリンダ本体の前記周溝に当接する外周リップ部と、を備え、前記内周リップ部の先端に全周にわたって凹部が設けられる構成とした。
本発明のマスタシリンダによれば、無効ストロークの増大を抑制することができる。
本発明に係る一実施形態のマスタシリンダを示す断面図である。 実施形態のマスタシリンダの要部を示す部分拡大断面図であってピストンが基本位置にある状態を示すものである。 実施形態のマスタシリンダのピストンシールを示すもので、(a)は正面図、(b)は背面図である。 実施形態のマスタシリンダのピストンシールを示す(a)のA−A断面図である。 実施形態のマスタシリンダの要部を示す部分拡大断面図であって、内周リップ部の周壁への当接時点の状態を示すものである。 実施形態のマスタシリンダの要部を示す部分拡大断面図であって、内周リップ部の変形状態を示すものである。
本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示す本実施形態のマスタシリンダ11は、図示略のブレーキペダルの操作量に応じた力が図示略のブレーキブースタの出力軸を介して導入されるもので、ブレーキペダルの操作量に応じたブレーキ液圧を発生させるものである。このマスタシリンダ11には、鉛直方向上側にブレーキ液を給排するリザーバ12(図1において一部のみ図示)が取り付けられている。なお、本実施形態においては、マスタシリンダ11に直接リザーバ12を取り付けているが、マスタシリンダ11から離間した位置にリザーバを配し、リザーバとマスタシリンダ11とを配管で接続するようにしても良い。
マスタシリンダ11は、底部13と筒部14とを有する有底筒状に一つの素材から加工されて形成されるとともに軸線方向が車両前後方向に沿う姿勢で車両に配置される金属製のシリンダ本体15を有している。このシリンダ本体15の開口部16側には、金属製のプライマリピストン(ピストン)18が移動可能に配設されている。また、シリンダ本体15のプライマリピストン18よりも底部13側には、同じく金属製のセカンダリピストン(ピストン)19が移動可能に配設されている。プライマリピストン18には底面を有する内周孔21が、セカンダリピストン19には底面を有する内周孔22が、それぞれ形成されており、マスタシリンダ11は、いわゆるプランジャ型のものとなっている。また、マスタシリンダ11は、上記したように2つのピストン18,19を有するタンデムタイプのマスタシリンダとなっている。なお、本発明は、上記タンデムタイプのマスタシリンダへの適用に限られるものではなく、プランジャ型のマスタシリンダであれば、シリンダ本体に1つのピストンを配したシングルタイプのマスタシリンダや、3つ以上のピストンを有するマスタシリンダ等のいかなるプランジャ型のマスタシリンダにも適用できるものである。
シリンダ本体15には、筒部14の径方向(以下、シリンダ径方向と称す)の外側に突出する取付台部23が筒部14の円周方向(以下、シリンダ周方向と称す)における所定位置に一体に形成されている。この取付台部23には、リザーバ12を取り付けるための取付穴24,25が形成されている。なお、本実施形態においては、取付穴24,25は、互いにシリンダ周方向における位置を一致させた状態で、シリンダ本体15の筒部14の軸線(以下、シリンダ軸と称す)方向における位置をずらして上部に形成されている。
シリンダ本体15の筒部14の取付台部23側には、底部13の近傍にセカンダリ吐出路(吐出路)26が、これよりも開口部16側にプライマリ吐出路(吐出路)27が、それぞれ形成されている。これらセカンダリ吐出路26およびプライマリ吐出路27は、図示は略すが、ブレーキ配管を介してディスクブレーキやドラムブレーキ等の制動用シリンダに連通しており、制動用シリンダに向けてブレーキ液を吐出する。なお、本実施形態においては、これらセカンダリ吐出路26およびプライマリ吐出路27は、互いにシリンダ周方向における位置を一致させた状態でシリンダ軸方向における位置をずらして形成されている。
セカンダリピストン19は、シリンダ本体15の筒部14の底部13側の内周部に形成された、シリンダ軸を中心とする環状内面を有する摺動内径部28に摺動可能に案内される。プライマリピストン18は、シリンダ本体15の筒部14の開口部16側の内周部に形成された、シリンダ軸を中心とする環状内面を有する摺動内径部29に摺動可能に案内される。
摺動内径部28には、シリンダ軸方向における位置をずらして複数具体的には2カ所のいずれも円環状をなす周溝30、周溝31が底部13側からこの順に形成されている。また、摺動内径部29にも、シリンダ軸方向における位置をずらして複数具体的には2カ所のいずれも円環状をなす周溝32、周溝33が底部13側からこの順に形成されている。これら周溝30〜33は、シリンダ周方向に環状をなしてシリンダ径方向外側に凹む形状をなしており、いずれも全体が切削加工により形成されている。
最も底部13側にある周溝30は、取付穴24,25のうちの底部13側の取付穴24の近傍に形成されており、この周溝30内には、周溝30に保持されるように、円環状のピストンシール35が配置されている。
シリンダ本体15の摺動内径部28における周溝30よりも開口部16側には、底部13側の取付穴24から穿設される連通穴36を筒部14内に開口させるように、シリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝37が形成されている。ここで、この開口溝37と連通穴36とが、シリンダ本体15に設けられてリザーバ12に常時連通するセカンダリ補給路(補給路)38を主に構成している。
シリンダ本体15の摺動内径部28には、シリンダ軸線方向における上記開口溝37の周溝30とは反対側つまり開口部16側に、上記周溝31が形成されており、この周溝31内には、周溝31に保持されるように、円環状の区画シール42が配置されている。
シリンダ本体15の摺動内径部29には、開口部16側の取付穴25の近傍に、上記した周溝32が形成されている。この周溝32内には、周溝32に保持されるように、円環状のピストンシール45が配置されている。
シリンダ本体15の摺動内径部29におけるこの周溝32の開口部16側には、開口部16側の取付穴25から穿設される連通穴46を筒部14内に開口させるように、シリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝47が形成されている。ここで、この開口溝47と連通穴46とが、シリンダ本体15に設けられてリザーバ12に常時連通するプライマリ補給路(補給路)48を主に構成している。
シリンダ本体15の摺動内径部29における上記開口溝47の周溝32とは反対側つまり開口部16側に周溝33が形成されており、この周溝33内には、周溝33に保持されるように、円環状の区画シール52が配置されている。
シリンダ本体15の底部13側に嵌合されるセカンダリピストン19は、円筒状部55と、円筒状部55の軸線方向における一側に形成された底部56とを有する有底円筒状をなしている。上記内周孔22は、これら円筒状部55と底部56とにより形成されている。セカンダリピストン19は、円筒状部55をシリンダ本体15の底部13側に配置した状態で、シリンダ本体15の摺動内径部28に設けられたピストンシール35および区画シール42のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合される。
円筒状部55の底部56とは反対の端側外周部には、セカンダリピストン19において最も大径の外径面58よりも径方向内方に位置するように段差状をなす環状の段部59が形成されている。この段部59には、その底部56側にシリンダ径方向に貫通するポート60が複数、シリンダ周方向の等間隔位置に、放射状となるように形成されている。
セカンダリピストン19とシリンダ本体15の底部13との間には、図示せぬブレーキペダル側(図1における右側)から入力がない非制動状態でこれらの間隔を決めるセカンダリピストンスプリング62を含む間隔調整部63が設けられている。この間隔調整部63は、シリンダ本体15の底部13に当接する係止部材64と、この係止部材64に所定範囲内でのみ摺動するように連結されてセカンダリピストン19の底部56に当接する係止部材65とを有している。上記セカンダリピストンスプリング62は、両側の係止部材64,65間に介装されている。
ここで、シリンダ本体15の底部13および筒部14の底部13側とセカンダリピストン19とで囲まれて形成される部分が、ブレーキ液圧を発生してセカンダリ吐出路26にブレーキ液圧を供給するセカンダリ圧力室(圧力室)68となっている。言い換えれば、セカンダリピストン19は、シリンダ本体15との間に、セカンダリ吐出路26に液圧を供給するセカンダリ圧力室68を形成している。このセカンダリ圧力室68は、セカンダリピストン19がポート60を開口溝37に開口させる位置にあるとき、セカンダリ補給路38つまりリザーバ12に連通するようになっている。
シリンダ本体15の周溝31に保持される区画シール42は、EPDM等の合成ゴムからなる一体成形品であり、その中心線を含む径方向断面の片側形状がC字状をなしている。区画シール42は、内周が、シリンダ軸方向に移動するセカンダリピストン19の外周に摺接するとともに、外周がシリンダ本体15の周溝31に当接してセカンダリピストン19およびシリンダ本体15の区画シール42の位置の隙間を常時密封する。
シリンダ本体15の周溝30に保持されるピストンシール35は、EPDM等の合成ゴムからなる一体成形品であり、その中心線を含む径方向断面の片側形状がC字状をなしている。ピストンシール35は、内周が、シリンダ軸方向に移動するセカンダリピストン19の外周に摺接するとともに、外周がシリンダ本体15の周溝30に当接するようになっている。このピストンシール35は、セカンダリピストン19がポート60をピストンシール35よりも底部13側に位置させた状態では、セカンダリ補給路38とセカンダリ圧力室68との間を密封可能、つまり、セカンダリ圧力室68と、セカンダリ補給路38およびリザーバ12との連通を遮断可能となっている。この密封状態で、セカンダリピストン19が、シリンダ本体15の摺動内径部28およびシリンダ本体15に保持されたピストンシール35および区画シール42の内周で摺動して底部13側に移動することによって、セカンダリ圧力室68内のブレーキ液を加圧してセカンダリ吐出路26から車輪側の制動用シリンダに供給することになる。
なお、図示せぬブレーキペダル側から入力がなく、上述のセカンダリピストン19が図1に示すようにポート60を開口溝37に開口させる基本位置(非制動位置)にあるときに、ピストンシール35は、上記セカンダリピストン19の段部59内でポート60にその一部が重なるようになっている。そして、セカンダリピストン19がシリンダ本体15の底部13側へ移動してピストンシール35の内周部がポート60に全て重なると、セカンダリ圧力室68とリザーバ12との連通が遮断されるようになっている。
シリンダ本体15の開口部16側に嵌合されるプライマリピストン18は、第1円筒状部71と、第1円筒状部71の軸線方向における一側に形成された底部72と、底部72の第1円筒状部71とは反対側に形成された第2円筒状部73とを有する形状をなしている。上記内周孔21は、これらのうちの第1円筒状部71と底部72とにより形成されている。プライマリピストン18は、第1円筒状部71をシリンダ本体15内のセカンダリピストン19側に配置した状態で、シリンダ本体15の摺動内径部29に設けられたピストンシール45および区画シール52のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合されている。ここで、第2円筒状部73の内側には、ブレーキブースタの出力軸が挿入され、この出力軸によって底部72が押圧されることになる。
第1円筒状部71の底部72とは反対の端側外周部には、プライマリピストン18において最も大径の外径面74よりも径方向内方に位置するように段差状をなす環状の段部75が形成されている。この段部75には、その底部72側に径方向に貫通するポート76が複数、シリンダ周方向の等間隔位置に、放射状となるように形成されている。
セカンダリピストン19とプライマリピストン18との間には、図示せぬブレーキペダル側(図1における右側)から入力がない非制動状態でこれらの間隔を決めるプライマリピストンスプリング78を含む間隔調整部79が設けられている。この間隔調整部79は、プライマリピストン18の底部72に当接する係止部材81と、セカンダリピストン19の底部56に当接する係止部材82と、係止部材81に一端部が固定されるとともに係止部材82を所定範囲内でのみ摺動自在に支持する軸部材83とを有している。上記プライマリピストンスプリング78は、両側の係止部材81,82間に介装されている。
ここで、シリンダ本体15の筒部14とプライマリピストン18とセカンダリピストン19とで囲まれて形成される部分が、ブレーキ液圧を発生してプライマリ吐出路27にブレーキ液を供給するプライマリ圧力室(圧力室)85となっている。言い換えれば、プライマリピストン18は、セカンダリピストン19とシリンダ本体15との間に、プライマリ吐出路27に液圧を供給するプライマリ圧力室85を形成している。このプライマリ圧力室85は、プライマリピストン18がポート76を開口溝47に開口させる位置にあるとき、プライマリ補給路48つまりリザーバ12に連通するようになっている。
シリンダ本体15の周溝33に保持される区画シール52は、区画シール42と同じ部品であり、EPDM等の合成ゴムからなる一体成形品であって、その中心線を含む径方向断面の片側形状がC字状をなしている。区画シール52は、内周が、シリンダ軸方向に移動するプライマリピストン18の外周に摺接するとともに、外周がシリンダ本体15の周溝33に当接してプライマリピストン18およびシリンダ本体15の区画シール52の位置の隙間を常時密封する。
シリンダ本体15の周溝32に保持されるピストンシール45は、ピストンシール35と同じ部品であり、EPDM等の合成ゴムからなる一体成形品であって、その中心線を含む径方向断面の片側形状がC字状をなしている。ピストンシール45は、内周が、シリンダ軸方向に移動するプライマリピストン18の外周に摺接するとともに、外周がシリンダ本体15の周溝32に当接するようになっている。このピストンシール45は、プライマリピストン18がポート76をピストンシール45よりも底部13側に位置させた状態では、プライマリ補給路48とプライマリ圧力室85との間を密封可能、つまり、プライマリ圧力室85と、プライマリ補給路48およびリザーバ12との連通を遮断可能となっている。この密封状態で、プライマリピストン18が、シリンダ本体15の摺動内径部29およびシリンダ本体15に保持されたピストンシール45および区画シール52の内周で摺動して底部13側に移動することによって、プライマリ圧力室85内のブレーキ液を加圧してプライマリ吐出路27から車輪側の制動用シリンダに供給することになる。
なお、図示せぬブレーキペダル側から入力がなく、プライマリピストン18が図1に示すようにポート76を開口溝47に開口させる基本位置(非制動位置)にあるときに、ピストンシール45は、上記プライマリピストン18の段部75内でポート76にその一部が重なるようになっている。そして、プライマリピストン18がシリンダ本体15の底部13側へ移動してピストンシール45の内周部がポート76に全て重なると、プライマリ圧力室85とリザーバ12との連通が遮断されるようになっている。
ここで、シリンダ本体15の周溝30およびその近傍部分と、ピストンシール35と、セカンダリピストン19のピストンシール35の摺接部分とからなる構造部をセカンダリ側のシール構造部SSと称する。また、シリンダ本体15の周溝32およびその近傍部分と、ピストンシール45と、プライマリピストン18のピストンシール45の摺接部分とからなる構造部をプライマリ側のシール構造部SPと称する。そして、セカンダリ側のシール構造部SSとプライマリ側のシール構造部SPとは同様の構造となっている。したがって、以下においては、これらの詳細についてプライマリ側のシール構造部SPを例にとり、主に図2〜図6を参照して説明する。
図2に示すように、周溝32は、シリンダ径方向の最も外側(図2における上側)にある溝底部88と、溝底部88におけるシリンダ本体15の開口部16側(図2における右側。以下、シリンダ開口側と称す)の端縁部からシリンダ径方向内方に延出する周壁89と、溝底部88におけるシリンダ本体15の底部13側(図2における左側。以下、シリンダ底側と称す)の端縁部からシリンダ径方向内方に延出する周壁90と、を有している。これら溝底部88、周壁89および周壁90は、シリンダ本体15に一体的に形成されており、シリンダ本体15に対する切削加工により成形されている。
溝底部88は溝底面88aを有している。溝底面88aは、シリンダ軸を中心とする環状内面となっており、シリンダ軸方向における長さが全周に亘って一定となっている。
周壁89は壁面89aを有している。壁面89aはシリンダ軸の直交面に平行な平坦面からなっており、一定内径かつ一定外径でシリンダ径方向に一定幅となっている。壁面89aは、シリンダ軸を中心とする円環状をなしている。壁面89aの大径側と溝底面88aのシリンダ開口側との境界位置と、壁面89aの小径側と摺動内径部29の周溝32よりもシリンダ開口側との境界位置とには、それぞれR面取りが施されている。
周壁89に対向する周壁90は、壁面90aとテーパ面90bとを有している。壁面90aは、周壁90におけるシリンダ径方向の溝底部88側にあってシリンダ軸の直交面に平行な平坦面からなっている。この壁面90aは、一定内径かつ一定外径でシリンダ径方向に一定幅となっており、シリンダ軸を中心とする円環状をなしている。テーパ面90bは、周壁90における壁面90aよりもシリンダ径方向の内側にあって、壁面90aのシリンダ径方向の内端縁部からシリンダ底側に、シリンダ底側ほど縮径するように延出している。このテーパ面90bは、一定内径かつ一定外径でシリンダ軸方向およびシリンダ径方向に一定幅となっており、シリンダ軸を中心とする円環状に配置されている。テーパ面90bの基点である壁面90aとの境界部91は、シリンダ軸を中心とする円環状をなしており、この境界部91の径つまりテーパ面90bの最大径は、周壁89の平坦な壁面89aの最小径よりも大径となっている。境界部91を含むその近傍部分は、シリンダ径方向内方かつシリンダ開口方向に斜めに突出する形状をなしており、シリンダ軸を通る断面でのテーパ面90bと壁面90aとのなす角度は鈍角となっている。以上により、テーパ面90bは、周溝32のシリンダ底側の周壁90における周溝32の開口側(径方向内側)に形成されており、このテーパ面90bのシリンダ径方向の溝底部88側に壁面90aが隣り合って形成されている。壁面90aの大径側と溝底面88aのシリンダ底側との境界位置には、R面取りが施されている。
プライマリピストン18に形成された段部75は、円筒面75aとテーパ面75bとテーパ面75cとを有している。円筒面75aは、プライマリピストン18において最も大径の円筒面状の外径面74よりも小径となっており、軸方向に一定幅となっている。テーパ面75bは、円筒面75aのシリンダ開口側の端縁部からシリンダ開口側ほど大径となるように傾斜して延出して外径面74の段部75よりもシリンダ開口側の部分に繋がっている。テーパ面75cは、円筒面75aのシリンダ底側の端縁部からシリンダ底側ほど大径となるように傾斜して延出して外径面74の段部75よりもシリンダ底側の部分に繋がっている。
これら円筒面75a、テーパ面75bおよびテーパ面75cは、外径面74と同様にプライマリピストン18の中心軸を中心に形成されている。プライマリ圧力室85に常時連通するポート76は、円筒面75aおよびテーパ面75bの両方に架かる位置に形成されており、言い換えれば、そのシリンダ底側の端部が円筒面75aに、そのシリンダ開口側の端部がテーパ面75bに、それぞれ位置している。
周溝32に配置されるピストンシール45は、基部101と内周リップ部102と外周リップ部103とを有している。基部101は、ピストンシール45におけるシリンダ開口側(図2における右側)に配置されており、ピストンシール45の軸直交面に平行な円環板状をなしている。内周リップ部102は、基部101の内周端からシリンダ軸方向に沿ってシリンダ底側(図2における左側)に向け突出する円環筒状をなしている。外周リップ部103は、基部101の外周端からシリンダ軸方向に沿ってシリンダ底側に向けて突出する円環筒状をなしている。内周リップ部102は、基部101からシリンダ軸方向に沿ってシリンダ底側に向けて外周リップ部103よりも先まで突出する円環筒状をなしている。
ピストンシール45は、内周リップ部102が、シリンダ軸方向に移動するプライマリピストン18の、上記した円筒面75a、テーパ面75b、テーパ面75cおよび外径面74を含む外周面18aに摺接することになり、外周リップ部103が、シリンダ本体15の周溝32の溝底部88に当接する。
図3,図4を参照して、マスタシリンダ11に組み込まれる前の自然状態にあるピストンシール45について説明する。基部101、内周リップ部102および外周リップ部103は、中心軸を一致させており、この中心軸がピストンシール45の中心軸となっている。以下では、軸方向の基部101側を裏側とし、軸方向の内周リップ部102および外周リップ部103の突出側を表側として説明する。
図4に示すように、基部101は、裏側に径方向内側から順に背面101aと湾曲面101bとを有しており、表側の内周リップ部102と外周リップ部103との間に中間面101cを有している。背面101aは、ピストンシール45において軸方向の最も裏側の端部に位置しており、ピストンシール45の軸直交面に平行な平面をなしている。背面101aは、一定内径かつ一定外径で径方向に一定幅となっており、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。
湾曲面101bは、径方向外側ほど表側に位置するように傾斜している。湾曲面101bは、ピストンシール45の中心軸を含む断面の形状が基部101の内部側に中心を有する円弧状をなしている。湾曲面101bは、一定内径かつ一定外径で軸方向および径方向に一定幅となっており、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。
中間面101cは、ピストンシール45の軸直交面に平行な平面をなしている。中間面101cは、一定内径かつ一定外径で径方向に一定幅となっており、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。
内周リップ部102は、基部101から軸方向に離れるほど全体として若干小径となるテーパ筒状をなしている。基部101および内周リップ部102の内周側には、軸方向の裏側から順に、縮径内周面102aと拡径内周面102bとが形成されている。縮径内周面102aは、基部101と内周リップ部102とに跨って形成されており、表側に位置するほど小径となる(つまり縮径する)ように、ピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ状をなして延出している。拡径内周面102bは、内周リップ部102に形成されており、縮径内周面102aの軸方向の表側の端縁部から、表側に位置するほど大径となる(つまり拡径する)にように、ピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ状をなして延出している。内周リップ部102の縮径内周面102aと基部101の背面101aとの境界位置にはR面取りが施されている。
ここで、内周リップ部102は、縮径内周面102aと拡径内周面102bとの境界部分が、内径が最も小径の最小径部108となっており、この最小径部108はピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。最小径部108は、ピストンシール45においても内径が最も小径の部分となっている。よって、この最小径部108は、ピストンシール45におけるプライマリピストン18への締め代が最大となる最大締め代部となっている。
内周リップ部102の外周側には、縮径外周面102cが形成されている。この縮径外周面102cは、軸方向の表側ほど小径となる(つまり縮径する)ようにピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ筒状をなして延出している。内周リップ部102の縮径外周面102cと基部101の中間面101cとの境界位置にはR面取りが施されている。
内周リップ部102の最も表側の先端には、径方向内側から順に、先端面102dと先端湾曲面102eと外周面102fと凹状湾曲面102gとテーパ面102hと凸状湾曲面102iとが形成されている。
先端面102dは、拡径内周面102bの表面側の端縁部からピストンシール45の軸直交面に平行をなして径方向外方に延出している。先端面102dは、一定内径かつ一定外径でピストンシール45の径方向に一定幅となっており、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。
先端湾曲面102eは、先端面102dの径方向外側の端縁部から径方向外側ほど裏側に位置するように傾斜して延出している。先端湾曲面102eは、ピストンシール45の中心軸を含む断面の形状が内周リップ部102の内部側に中心を有する円弧状をなしている。先端湾曲面102eは、一定内径かつ一定外径で軸方向および径方向に一定幅となっており、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。
外周面102fは、先端湾曲面102eの裏側の端縁部から裏側に、裏側ほど若干拡径するように延出している。この外周面102fは、一定内径かつ一定外径で軸方向および径方向に一定幅となっており、ピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ状をなしている。
凹状湾曲面102gは、外周面102fの裏側の端縁部から裏側かつ径方向外側に斜めに延出した後、表側かつ径方向外側に斜めに延出する形状をなしている。凹状湾曲面102gは、ピストンシール45の中心軸を含む断面の形状が内周リップ部102の外部側に中心を有する円弧状をなしており、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。
テーパ面102hは、凹状湾曲面102gの径方向外側の端縁部から表側に、表側ほど拡径するように延出している。テーパ面102hは、一定内径かつ一定外径でピストンシール45の径方向および軸方向に一定幅となっており、ピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ状をなしている。
凸状湾曲面102iは、テーパ面102hの表側の端縁部から表側かつ径方向外側に斜めに延出した後、裏側かつ径方向外側に斜めに延出して縮径外周面102cの表側の端縁部に繋がる形状をなしている。凸状湾曲面102iは、ピストンシール45の中心軸を含む断面の形状が内周リップ部102の内部側に中心を有する円弧状をなしており、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。
なお、ピストンシール45の軸方向において、内周リップ部102の内周側の先端部となる先端面102dの位置は、外周側の先端部となる凸状湾曲面102iの表側の端部の位置よりも、表側つまり基部101とは反対側に位置している。
上記の外周面102f、凹状湾曲面102gおよびテーパ面102hが形成されることにより、ピストンシール45には、内周リップ部102の先端に全周にわたって軸方向の裏側に凹む凹部110が設けられている。この凹部110は、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしており、内周リップ部102の最大締め代部である最小径部108よりも、軸方向の基部101とは反対側の範囲内にその全体が配置されている。言い換えれば、凹部110の軸方向の最も基部101側となる凹状湾曲面102gの最も凹んだ位置が、最小径部108よりも軸方向の基部101とは反対側、すなわち、内周リップ部102の先端側に位置している。
また、拡径内周面102b、先端面102d、先端湾曲面102e、外周面102fおよび凹状湾曲面102gが形成されることによって、ピストンシール45には、内周リップ部102の先端に全周にわたって軸方向の表側に突出する内側凸部111が設けられている。この内側凸部111も、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしており、内周リップ部102の最小径部108よりも、軸方向の基部101とは反対側の範囲内にその全体が配置されている。
また、凹状湾曲面102g、テーパ面102h、凸状湾曲面102iおよび縮径外周面102cが形成されることによって、ピストンシール45には、内周リップ部102の先端に全周にわたって軸方向の表側に突出する外側凸部112が設けられている。この外側凸部112も、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしており、内周リップ部102の最小径部108よりも、軸方向の基部101とは反対側の範囲内にその全体が配置されている。内側凸部111と外側凸部112とは内周リップ部102の先端において径方向に離間しており、内側凸部111の方が外側凸部112よりも軸方向に大きく突出している。
外周リップ部103は、軸方向の表側ほど全体として大径となるようにピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ筒状をなし延出している。外周リップ部103の内周側には拡径内周面103aが形成されている。拡径内周面103aは、軸方向の表側ほど大径となる(つまり拡径する)ようにピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ状をなして延出している。外周リップ部103の拡径内周面103aと基部101の中間面101cとの境界位置にはR面取りが施されている。
外周リップ部103および基部101の外周側には、軸方向の裏側から順に、上記した湾曲面101bと拡径外周面103bと拡径外周面103cとが形成されている。拡径外周面103bは、基部101と外周リップ部103とに跨って形成されており、基部101の湾曲面101bの表側の端縁部から、軸方向の表側ほど大径となる(つまり拡径する)ようにピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ状をなして延出している。
拡径外周面103cは、外周リップ部103に形成されており、拡径外周面103bの表側の端縁部から、軸方向の表側ほど大径となる(つまり拡径する)ようにピストンシール45の中心軸を中心とするテーパ状をなして延出している。拡径外周面103cは、拡径外周面103bよりもテーパが小さくされている。外周リップ部103の表側の先端面103dは、ピストンシール45の軸直交面に平行をなしており、一定内径かつ一定外径でピストンシール45の径方向に一定幅となっていて、ピストンシール45の中心軸を中心とする円環状をなしている。
次に、図2および図5を中心にして、シリンダ本体15の周溝32内に組み込まれた状態のピストンシール45について説明する。ピストンシール45は、図2に示すように、プライマリピストン18の段部75の円筒面75aの軸方向中間位置に適正に接触し、周溝32のシリンダ開口側(図2における右側)の周壁89に当接し、周溝32のシリンダ底側(図2における左側)の周壁90から離れた状態が、ブレーキペダルが操作される前の非制動状態であり、基本状態となっている。
この基本状態にあるとき、ピストンシール45は、基部101が、最もシリンダ開口側に位置しており、基部101の背面101aが周壁89の壁面89aに当接することにより、周溝32に対しシリンダ開口側へのそれ以上の移動が規制されることになる。
また、基本状態にあるとき、ピストンシール45は、最も内周側にある内周リップ部102が、その内周部においてプライマリピストン18の外周面18aのうちの段部75の円筒面75aに接触する。このとき、ピストンシール45は、図4に示す基部101および内周リップ部102の縮径内周面102aと、拡径内周面102bの縮径内周面102a側とが、図2に示す円筒面75aに接触し、円筒面75aに倣って変形前より大径の円筒面状に変形する。よって、基部101および内周リップ部102は、締め代をもって円筒面75aに接触することになり、その際に、内径が最小の図4に示す最小径部108が、円筒面75aに対する締め代が最大となる最大締め代部位となる。したがって、凹部110の最も凹んだ位置は、最大締め代部位よりも内周リップ部102の先端側に位置することになる。
また、基本状態にあるとき、内周リップ部102の先端側にある、先端面102d、先端湾曲面102e、外周面102f、凹状湾曲面102g、テーパ面102hおよび凸状湾曲面102iと、これらにシリンダ軸方向で対向する周壁90との間には、シリンダ軸方向に隙間がある。この状態で、先端面102d、先端湾曲面102eおよび外周面102fは、周壁90のテーパ面90bとシリンダ径方向の位置が合い、テーパ面102hおよび凸状湾曲面102iは、周壁90の壁面90aとシリンダ径方向の位置が合う。よって、内側凸部111の先端部と周壁90のテーパ面90bとのシリンダ径方向の位置が合い、外側凸部112の先端部と周壁90の壁面90aとのシリンダ径方向の位置が合う。言い換えれば、内周リップ部102の凹部110が壁面90aとテーパ面90bとの間の境界部91とシリンダ径方向の位置が合い、詳しくは凹部110の凹状湾曲面102gが境界部91とシリンダ径方向の位置が合う。さらに言い換えれば、周溝32のシリンダ底側の周壁90における周溝32の開口側に形成されたテーパ面90bの起点である境界部91に向かい合うように凹部110が配置されている。
また、基本状態にあるとき、ピストンシール45は、最も外周側にある外周リップ部103が、拡径外周面103cと拡径外周面103bの拡径外周面103c側とにおいて周溝32の溝底部88の溝底面88aに当接し径方向内方に撓んでいる。
図示せぬブレーキペダル側から入力がなく、図2に示すように、プライマリピストン18がポート76を開口溝47に開口させる基本位置(非制動位置)にあるときに、ピストンシール45は、内周リップ部102および基部101の内周部が、プライマリピストン18の段部75の円筒面75aの位置にあって、基部101の内周部がポート76の一部にシリンダ軸方向の位置を重ね合わせるようになっている。
そして、ブレーキペダル側から入力があって、プライマリピストン18がシリンダ底側(図2における左側)へ移動すると、プライマリピストン18は、段部75のシリンダ開口側のテーパ面75bにおいて、ピストンシール45の基部101の内周側に当接して、ピストンシール45をシリンダ底側に押圧する。すると、ピストンシール45はプライマリピストン18と一体に移動する。その結果、ピストンシール45は、周溝32内で周壁90側に移動して、図5に示すように、基部101の背面101aが周壁89の壁面89aからシリンダ軸方向に離れた後、内周リップ部102において周壁90に当接する。このとき、内周リップ部102は、その内側凸部111の先端湾曲面102eが周壁90のテーパ面90bに、その外側凸部112の凸状湾曲面102iが周壁90の壁面90aにそれぞれ当接し、しかもほぼ同時に当接する。このように先端湾曲面102eがテーパ面90bに当接し凸状湾曲面102iが壁面90aに当接すると、内周リップ部102の凹部110内に周壁90の境界部91が入り込む。
そして、プライマリピストン18がシリンダ底側へさらに移動すると、図6に示すように、ピストンシール45は、内側凸部111がテーパ面90bにより押し潰され、外側凸部112が壁面90aにより押し潰されることになる。このとき、内側凸部111はテーパ面90bの傾斜によりテーパ面90b上をシリンダ径方向内方に滑りながら変形する。また、外側凸部112は内側にテーパ面102hが形成され、径方向外方に変形しやすい形状となっているため、壁面90a上をシリンダ径方向外方に滑りながら変形する。すると、内周リップ部102には、内側凸部111によってシリンダ径方向内方に向けた力が発生するとともに、外側凸部112によってシリンダ径方向外方に向けた力が発生し、しかもこれらの力がバランスすることになる。また、内側凸部111および外側凸部112が潰れることによって内周リップ部102は、周壁90に対する摩擦抵抗が増大する。加えて、これら内側凸部111および外側凸部112の間に周壁90の境界部91が入り込むことになり、潰れた内側凸部111あるいは外側凸部112が境界部91を乗り越えるためには、シリンダ径方向に大きな力が必要となり、よって、これらの乗り越えが規制される。以上により、ピストンシール45は、内周リップ部102の姿勢が安定することになる。
内周リップ部102の内側凸部111および外側凸部112の弾性変形が終了すると、ピストンシール45は停止することになり、この状態で、プライマリピストン18がシリンダ底側へさらに移動すると、ピストンシール45の基部101が、プライマリピストン18のテーパ面75bをポート76を越える位置まで乗り上げ、ポート76を閉塞する。すると、プライマリ補給路48とプライマリ圧力室85との連通が遮断され、その後、プライマリピストン18がさらにシリンダ底側に移動すると、基本的に、大気圧であるプライマリ補給路48の液圧よりもプライマリ圧力室85の液圧の方が高くなり、プライマリ圧力室85内のブレーキ液が図1に示すプライマリ吐出路27から車輪側の制動用シリンダに供給されることになる。
ここで、上記のようにピストンシール45の基部101がプライマリピストン18のテーパ面75bに乗り上げる際に、ピストンシール45の基部101の内周側に、テーパ面75bからシリンダ底側に向けた力が加わることになり、その結果、ピストンシール45に、内周リップ部102がプライマリピストン18に対しシリンダ径方向外方に浮き上がりながらシリンダ底側に移動し、外周リップ部103がシリンダ開口側に移動する方向の回転モーメントが発生することがある。また、低温等の環境条件によっては、ピストンシール45の基部101に対してプライマリピストン18の円筒面75aが移動する場合であっても、同様の回転モーメントが発生することがある。
これに対し、本実施形態では、上述したように、内周リップ部102は、内側凸部111がテーパ面90bに当接して変形し、外側凸部112が壁面90aに当接して変形して、これらの間に境界部91を入り込ませているため、内周リップ部102の先端部がシリンダ径方向外方への移動に対して踏ん張って抵抗することになり、ピストンシール45の回転を規制する。その結果、ピストンシール45の基部101の内周側がシリンダ底側へ移動することを抑制することになる。よって、プライマリピストン18のポート76を塞ぐピストンシール45のシール位置がシリンダ底側へずれることを抑制することになり、無効ストロークの増大を抑制することができる。
また、上記以外に、内周リップ部102の先端部がシリンダ本体15とプライマリピストン18との隙間に入り込んでしまう、いわゆる連れ込みが発生してしまう可能性があるが、上記したように内周リップ部102の先端部がシリンダ径方向内方への移動に対しても踏ん張って抵抗することになるため、このような連れ込みの発生をも抑制することができる。
以上により、プライマリピストン18のシリンダ本体15への押し込み時にピストンシール45に生じる可能性がある、浮き上がりおよび連れ込みという相反する両方向の姿勢変化を最小限に抑えることができる。しかも、部品点数の増加等を伴わずにピストンシール45の形状の工夫で対応できるため、安価に性能向上を図ることができる。
上記ポート76の閉塞後、プライマリピストン18が、さらにシリンダ底側へ移動すると、ピストンシール45は、基部101がテーパ面75bを乗り越えて外径面74に乗り上げる。これとともに内周リップ部102がテーパ面75bに乗り上げ、その後、内周リップ部102が外径面74に乗り上げることになる。
上記した特許文献1に記載されたマスタシリンダでは、ピストンに対して円滑に摺動できずにピストンに連られることによってピストンシールに、内周側がシリンダ底側に外周側がシリンダ開口側に移動する方向の回転モーメントが発生することがある。すると、ピストンシールは、内周リップ部の先端側がピストンから離れる方向に回転し基部が必要以上にシリンダ底側に移動して、ピストンシールがピストンのポートを塞ぐシール位置がシリンダ底側にずれ、ブレーキ液圧を発生させるまでのピストンの移動量である無効ストロークが増大してしまう可能性がある。
これに対して、第1実施形態のマスタシリンダによれば、プライマリピストン18の移動により、ピストンシール45に、内周側がシリンダ底側に、外周側がシリンダ開口側に移動する方向の回転モーメントが生じたとしても、上記したようにピストンシール45の内周リップ部102の凹部110の内側の内側凸部111がテーパ面90bに当接し、凹部110の外側の外側凸部112が壁面90aに当接して、これらの間に境界部91を入り込ませるため、内周リップ部102がシリンダ径方向外方への移動に対して踏ん張って抵抗することになり、ピストンシール45の基部101の内周側のシリンダ底側への移動を抑制することになる。その結果、プライマリピストン18のポート76を塞ぐピストンシール45のシール位置がシリンダ本体15の底部13側へずれることを抑制することになり、無効ストロークの増大を抑制することができる。
また、上記した特許文献1に記載されたマスタシリンダにおいて、例えば、周溝の開口側にテーパ面を形成しこのテーパ面に内周リップ部の先端部を当接させることで、ピストンシール45の回転を規制して無効ストロークの増大を抑制することも可能である。しかし、テーパ面に内周リップ部の先端部を単に当接させるだけでは、このテーパ面で内周リップ部がシリンダ本体の内周部とピストンとの隙間に案内されることになり、この隙間に挟まれる、いわゆる喰われを生じてしまう可能性がある。
これに対して、第1実施形態のマスタシリンダによれば、上記したようにピストンシール45の内周リップ部102の内側凸部111がテーパ面90bに当接し、外側凸部112が壁面90aに当接して、これらの間に境界部91を入り込ませるため、内周リップ部102がシリンダ径方向内方への移動に対しても踏ん張って抵抗することになり、内周リップ部102がシリンダ本体15の内周部とプライマリピストン18との隙間に案内されることを抑制する。したがって、喰われの発生を抑制することができる。
また、周溝32のシリンダ底側の周壁90におけるテーパ面90bの起点である境界部91に向かい合うように、凹部110が配置されているため、ピストンシール45の内周リップ部102の凹部110の内側の内側凸部111をテーパ面90bに当接させ、凹部110の外側の外側凸部112を壁面90aに当接させて、これらの間に境界部91を入り込ませることができる。したがって、内周リップ部102がシリンダ径方向の内外両方向への移動に対して確実に踏ん張って抵抗することになる。
また、凹部110が内周リップ部102の最大締め代部である最小径部108よりも、基部101とは反対側の範囲内に形成されているため、内周リップ部102の剛性低下を抑制することができる。
なお、以上の実施形態においては、プライマリ側のシール構造部SPを例にとり詳細に説明したが、セカンダリ側のシール構造部SSも同様の構造となっているため、同様の効果を奏することができ、同様の変更が可能となる。
以上の実施形態は、ブレーキ液の吐出路とリザーバに連通する補給路とを有する有底筒状のシリンダ本体と、該シリンダ本体内に移動可能に配設され、該シリンダ本体との間に前記吐出路へ液圧を供給する圧力室を形成するピストンと、前記シリンダ本体に形成された周溝内に設けられ内周が前記ピストンに摺接して前記補給路と前記圧力室との間を密封するピストンシールとを有し、該ピストンシールが、円環状の基部と、該基部の内周側から突出して前記ピストンの外周面に摺接する内周リップ部と、前記基部の外周側から突出して前記シリンダ本体の前記周溝に当接する外周リップ部と、を備えてなるマスタシリンダにおいて、前記内周リップ部の先端に全周にわたって凹部が設けられていることを特徴とする。これにより、凹部の両側部分が周溝のシリンダ本体の底部側の周壁に当接することで内周リップ部の先端部のシリンダ本体の径方向への移動に対し抵抗力を発生させることができる。したがって、無効ストロークの増大を抑制することができる。
また、前記周溝の前記シリンダ本体の底部側の周壁における前記周溝の開口側にはテーパ面が形成され、前記凹部は、前記テーパ面の起点に向かい合うように配置されているため、凹部よりも内側部分をテーパ面に当接させることができる。よって、内周リップ部の先端部のシリンダ本体の径方向外方への移動に対し抵抗力を発生させることができる。したがって、無効ストロークの増大をより抑制することができる。
また、前記凹部は、前記内周リップ部の最大締め代部よりも、前記基部とは反対側の範囲内に形成されているため、内周リップ部の剛性低下を抑制することができる。
11 マスタシリンダ
12 リザーバ
13 底部
15 シリンダ本体
16 開口部
18 プライマリピストン(ピストン)
18a 外周面
19 セカンダリピストン(ピストン)
26 セカンダリ吐出路(吐出路)
27 プライマリ吐出路(吐出路)
30,32 周溝
35,45 ピストンシール
38 セカンダリ補給路(補給路)
48 プライマリ補給路(補給路)
68 セカンダリ圧力室(圧力室)
85 プライマリ圧力室(圧力室)
90 周壁(シリンダ本体の底部側の周壁)
90b テーパ面
91 境界部(起点)
101 基部
102 内周リップ部
103 外周リップ部
108 最小径部(最大締め代部)
110 凹部

Claims (3)

  1. ブレーキ液の吐出路とリザーバに連通する補給路とを有する有底筒状のシリンダ本体と、
    該シリンダ本体内に移動可能に配設され、該シリンダ本体との間に前記吐出路へ液圧を供給する圧力室を形成するピストンと、
    前記シリンダ本体に形成された周溝内に設けられ内周が前記ピストンに摺接して前記補給路と前記圧力室との間を密封するピストンシールとを有し、
    該ピストンシールが、
    円環状の基部と、
    該基部の内周側から突出して前記ピストンの外周面に摺接する内周リップ部と、
    前記基部の外周側から突出して前記シリンダ本体の前記周溝に当接する外周リップ部と、
    を備えてなるマスタシリンダにおいて、
    前記内周リップ部の先端に全周にわたって凹部が設けられていることを特徴とするマスタシリンダ。
  2. 前記周溝の前記シリンダ本体の底部側の周壁における前記周溝の開口側にはテーパ面が形成され、
    前記凹部は、前記テーパ面の起点に向かい合うように配置されていることを特徴とする請求項1記載のマスタシリンダ。
  3. 前記凹部は、前記内周リップ部の最大締め代部よりも、前記基部とは反対側の範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のマスタシリンダ。
JP2013017485A 2013-01-31 2013-01-31 マスタシリンダ Pending JP2014148233A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013017485A JP2014148233A (ja) 2013-01-31 2013-01-31 マスタシリンダ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013017485A JP2014148233A (ja) 2013-01-31 2013-01-31 マスタシリンダ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014148233A true JP2014148233A (ja) 2014-08-21

Family

ID=51571596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013017485A Pending JP2014148233A (ja) 2013-01-31 2013-01-31 マスタシリンダ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014148233A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109476294A (zh) * 2016-10-04 2019-03-15 日立汽车***株式会社 主缸

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109476294A (zh) * 2016-10-04 2019-03-15 日立汽车***株式会社 主缸

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5961710B2 (ja) マスタシリンダ
JP5784228B2 (ja) マスタシリンダ
JP6060265B2 (ja) マスタシリンダ
US8607689B2 (en) Seal member for a hydraulic braking system
KR102089119B1 (ko) 마스터 실린더
US11148649B2 (en) Master cylinder
JP6366185B2 (ja) マスタシリンダ
JP6634323B2 (ja) マスタシリンダ
JP2014148233A (ja) マスタシリンダ
JP6425337B2 (ja) マスタシリンダ
JP6749499B2 (ja) マスタシリンダ
JP6292946B2 (ja) マスタシリンダ
JP2012071753A (ja) マスタシリンダ
JP5829571B2 (ja) マスタシリンダ
JP5771491B2 (ja) マスタシリンダ
JP5806955B2 (ja) マスタシリンダ
JP5401347B2 (ja) マスタシリンダ
JP2011136602A (ja) マスタシリンダ
JP2019026009A (ja) マスタシリンダ