JP2014144636A - グリーンシート製造用剥離フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】積層セラミックコンデンサの製造に用いる、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきの発生を抑制できるグリーンシート製造用剥離フィルムの提供。
【解決手段】第1の面111と第2の面112とを有する基材11と、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と、ポリオルガノシロキサン(b1)とを含有する材料を、基材の第1の面111側に塗布し、それを硬化することにより形成された剥離剤層12と、活性エネルギー線硬化性化合物(a2)を含有する材料を、基材の第2の面112側に塗布して、硬化することにより形成された背面コート層13とを有し、剥離剤層12の外表面121の算術平均粗さRa2が8nm以下で、かつ、その最大突起高さRp2が50nm以下で、背面コート層13の外表面131の算術平均粗さRa3が5〜40nmで、かつ、その最大突起高さRp3が60〜500nmであるグリーンシート製造用剥離フィルム1。
【選択図】図1
【解決手段】第1の面111と第2の面112とを有する基材11と、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と、ポリオルガノシロキサン(b1)とを含有する材料を、基材の第1の面111側に塗布し、それを硬化することにより形成された剥離剤層12と、活性エネルギー線硬化性化合物(a2)を含有する材料を、基材の第2の面112側に塗布して、硬化することにより形成された背面コート層13とを有し、剥離剤層12の外表面121の算術平均粗さRa2が8nm以下で、かつ、その最大突起高さRp2が50nm以下で、背面コート層13の外表面131の算術平均粗さRa3が5〜40nmで、かつ、その最大突起高さRp3が60〜500nmであるグリーンシート製造用剥離フィルム1。
【選択図】図1
Description
本発明は、グリーンシート製造用剥離フィルムに関するものである。
積層セラミックコンデンサの製造において、グリーンシートを形成するためにグリーンシート製造用剥離フィルムが用いられている。
グリーンシート製造用剥離フィルムは、一般に基材と剥離剤層とから構成される。このグリーンシート製造用剥離フィルム上に、セラミックス粒子とバインダー樹脂とが有機溶剤に分散、溶解したセラミックスラリーを塗工し、塗工物を乾燥することにより、グリーンシートは製造される。このような方法により、均一な厚みのグリーンシートを効率よく製造することができる。また、こうして製造されたグリーンシートは、グリーンシート製造用剥離フィルムから剥離して、積層セラミックコンデンサの製造に用いられる。
上記のようなグリーンシートの製造において、グリーンシートが形成されたグリーンシート製造用剥離フィルムは、一般に、ロール状に巻かれた状態で保管、輸送される。
ところで、基材の剥離剤層が設けられている面とは反対の面(裏面)の表面粗度(平均粗さ)を比較的高いものとし、グリーンシート製造用剥離フィルムが巻かれた状態で保管されたときにグリーンシート製造用剥離フィルムの表裏が貼り付く(ブロッキング)等の不具合を解消しようとする試みがなされていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のグリーンシート製造用剥離フィルムを用いた場合、グリーンシートが形成されたグリーンシート製造用剥離フィルムを巻き取って保管する際に、グリーンシート製造用剥離フィルムの裏面の比較的粗い表面形状が、グリーンシートに転写してしまい、グリーンシートが部分的に薄くなる場合があった。その結果、グリーンシートを積層してコンデンサを作製したときに、短絡による不具合を生じてしまう場合があった。
一方、基材の剥離剤層が設けられている面とは反対の面の表面粗度を比較的小さいものにすると、表面が著しく平坦となり、グリーンシート製造用剥離フィルムの表裏の滑りが悪くなるため、巻き取り不良やブロッキング等の不具合を生じてしまう場合があった。
本発明の目的は、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつき等が発生するのを防止できるグリーンシート製造用剥離フィルムを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(2)の本発明により達成される。
(1)グリーンシート製造用剥離フィルムであって、
第1の面と第2の面とを有する基材と、
活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と、ポリオルガノシロキサン(b1)とを含有する剥離剤層形成用材料を、前記基材の前記第1の面側に塗布して形成された塗布層に、活性エネルギー線を照射して、前記塗布層を硬化することにより形成された剥離剤層と、
活性エネルギー線硬化性化合物(a2)を含有する背面コート層形成用材料を、前記基材の前記第2の面側に塗布して形成された塗布層に、活性エネルギー線を照射して、前記塗布層を硬化することにより形成された背面コート層と、を有し、
前記剥離剤層の外表面の算術平均粗さRa2が8nm以下であり、かつ、前記剥離剤層の前記外表面の最大突起高さRp2が50nm以下であり、
前記背面コート層の外表面の算術平均粗さRa3が5〜40nmであり、かつ、前記背面コート層の前記外表面の最大突起高さRp3が60〜500nmであることを特徴とするグリーンシート製造用剥離フィルム。
第1の面と第2の面とを有する基材と、
活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と、ポリオルガノシロキサン(b1)とを含有する剥離剤層形成用材料を、前記基材の前記第1の面側に塗布して形成された塗布層に、活性エネルギー線を照射して、前記塗布層を硬化することにより形成された剥離剤層と、
活性エネルギー線硬化性化合物(a2)を含有する背面コート層形成用材料を、前記基材の前記第2の面側に塗布して形成された塗布層に、活性エネルギー線を照射して、前記塗布層を硬化することにより形成された背面コート層と、を有し、
前記剥離剤層の外表面の算術平均粗さRa2が8nm以下であり、かつ、前記剥離剤層の前記外表面の最大突起高さRp2が50nm以下であり、
前記背面コート層の外表面の算術平均粗さRa3が5〜40nmであり、かつ、前記背面コート層の前記外表面の最大突起高さRp3が60〜500nmであることを特徴とするグリーンシート製造用剥離フィルム。
(2)前記背面コート層形成用材料が、さらに、ポリオルガノシロキサン(b2)を含む上記(1)に記載のグリーンシート製造用剥離フィルム。
本発明によれば、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するのを防止することが可能となる。また、前記グリーンシート製造用剥離フィルムは、剥離剤層の外表面の高平滑化が得られるとともに、優れた剥離性を備えることができる。
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
(グリーンシート製造用剥離フィルム)
本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、グリーンシートの製造に用いられるものである。
本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、グリーンシートの製造に用いられるものである。
図1は、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルム1の横断面図である。
図1に示すように、グリーンシート製造用剥離フィルム1は、基材11と、基材11の第1の面111上に設けられた剥離剤層12と、基材の第2の面112上に設けられ背面コート層13とを有している。
本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、第1の面と第2の面とを有する基材と、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と、ポリオルガノシロキサン(b1)とを含有する剥離剤層形成用材料を、前記基材の第1の面側に塗布して形成された塗布層に、活性エネルギー線を照射して、それを硬化することにより形成された剥離剤層と、活性エネルギー線硬化性化合物(a2)を含有する背面コート層形成用材料を、前記基材の第2の面側に塗布して形成された塗布層に、活性エネルギー線を照射して、それを硬化することにより形成された背面コート層と、を有し、前記剥離剤層の外表面の算術平均粗さRa2が8nm以下であり、かつ、前記剥離剤層の外表面の最大突起高さRp2が50nm以下であり、前記背面コート層の外表面の算術平均粗さRa3が5〜40nmであり、かつ、前記背面コート層の外表面の最大突起高さRp3が60〜500nmである点に特徴を有している。
このように剥離剤層の外表面を背面コート層の外表面より高平滑化することにより、剥離剤層の外表面の突起により形成されうるグリーンシートの凹み(凹部)と、背面コート層の外表面の突起により形成されうるグリーンシートの凹み(凹部)とが一致する部分が生じて、グリーンシートにピンホールが形成されてしまうことを防止できる。
このような特徴を有する、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムを用いることにより、基材が直接グリーンシートに接することがないため、基材の比較的粗い表面形状がグリーンシートに転写されない。その結果、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつき等が発生することを防止でき、良好なグリーンシートを形成できる。特に、グリーンシートの厚さが極薄(例えば厚さ5μm以下、特に厚さ0.5μm〜2μm)であっても、上記欠点のない良好なグリーンシートを形成できる。
また、上述したような本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、剥離剤層の外表面の平滑性が高く、優れた剥離性を備えている。このことからも良好なグリーンシートを形成できる。
また、剥離剤層と背面コート層とに上記の材料を用いることにより、剥離剤層と背面コート層との電気特性が近似するようになる。これにより、グリーンシート製造用剥離フィルムの繰り出し時の静電気の発生を防止することができる。その結果、発生した静電気によって埃や塵等の異物が付着することで生じる、セラミックスラリー塗工時にスラリーのはじきやピンホール等が発生することを防止できる。
以下、本実施形態に係るグリーンシート製造用剥離フィルム1を構成する各層について詳細に説明する。
<基材>
基材11は、第1の面111と第2の面112とを有する。
基材11は、第1の面111と第2の面112とを有する。
基材11は、グリーンシート製造用剥離フィルム1に、剛性、柔軟性等の物理的強度を付与する機能を有している。
基材11としては、特に制限はなく、従来公知の材料の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような基材11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなるフィルムが挙げられる。基材11は、単層であってもよいし、同種または異種の2層以上の多層であってもよい。これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムがさらに好ましい。プラスチックからなるフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくいため、例えば、埃等によるセラミックスラリー塗工不良等を効果的に防止することができる。
基材11の第1の面111の算術平均粗さRa1は2〜80nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。後述するように、基材11の第1の面111上には、第1の面111の凹凸の凹部の空間及び凸部の斜面を埋めて、平滑化された剥離剤層12が形成されるため、Ra1が上記の範囲内であれば、平滑化作用が特に顕著となる。
また、基材11の第1の面111の最大突起高さRp1は、10〜700nmであることが好ましく、20〜500nmであることがより好ましい。後述するように、基材11の第1の面111上には、第1の面111の凹凸の凹部の空間及び凸部の斜面を埋めて、平滑化された剥離剤層12が形成されるため、最大突起高さRp1が上記の範囲内であれば、平滑化作用が特に顕著となる。
基材11の第2の面112の算術平均粗さRa0は10〜200nmであることが好ましく、15〜100nmであることがより好ましい。後述するように、基材11の第2の面112上には、背面コート層13が形成されるため、Ra0が上記の範囲内であれば、背面コート層13の外表面131の算術平均粗さRa3の調整が容易となる。
また、基材11の第2の面112の最大突起高さRp0は、80〜1000nmであることが好ましく、100〜800nmであることがより好ましい。後述するように、基材11の第2の面112上には、背面コート層13が形成されるため、最大突起高さRp0が上記の範囲内であれば、背面コート層13の外表面131の最大突起高さRp3の調整が容易となる。
基材11の平均厚さは、10〜300μmであるのが好ましく、15〜200μmであるのがより好ましい。これにより、グリーンシート製造用剥離フィルム1の、柔軟性を適度なものとしつつ、引裂きや破断に対する耐性を特に優れたものとすることができる。
<剥離剤層>
剥離剤層12は、基材11の第1の面111上に設けられている。
剥離剤層12は、基材11の第1の面111上に設けられている。
剥離剤層12は、グリーンシート製造用剥離フィルム1に剥離性を付与する機能を有している。
剥離剤層12は、所定の成分を含む剥離剤層形成用材料に活性エネルギー線を照射して、それを硬化することにより形成された層である。
剥離剤形成用材料は、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と、ポリオルガノシロキサン(b1)とを含有している。
このような剥離剤層形成用材料を用いることにより、剥離剤層12形成時の硬化性やグリーンシートに対する剥離性を特に優れたものとすることができる。
以下、各成分について詳細に説明する。
[活性エネルギー線硬化性化合物(a1)]
活性エネルギー線硬化性化合物(a1)は、硬化することにより剥離剤層12の形成に寄与する成分である。
活性エネルギー線硬化性化合物(a1)は、硬化することにより剥離剤層12の形成に寄与する成分である。
活性エネルギー線硬化性化合物(a1)は、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基およびマレイミド基から選択される反応性官能基を1分子中に2つ以上(好ましくは3つ以上)有している化合物であることが好ましい。これにより、優れた硬化性や、耐溶剤性、および剥離性を得ることができる。なお、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基など炭素数2〜10のものが例示される。
また、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)における(メタ)アクリロイル基、アルケニル基およびマレイミド基から選択される反応性官能基の含有量は、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)1kg当たり10当量以上であることが好ましい。これにより、剥離剤層形成用材料が第1の面111上に薄膜で塗布された場合においても、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)の硬化性を特に優れたものとすることができる。
活性エネルギー線硬化性化合物(a1)としては、具体的には、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の多官能アクリレートを用いることが好ましい。これにより、剥離剤層形成用材料が第1の面111上に薄膜で塗布された場合においても、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)の硬化性を特に優れたものとすることができる。
剥離剤層形成用材料における活性エネルギー線硬化性化合物(a1)の固形分含有量(溶剤を除いた全固形分中における含有割合)は、65〜98.5質量%が好ましく、71〜96.3質量%であることがより好ましい。
活性エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線のような電磁波、電子線、イオンビーム、中性子線およびα線のような粒子線等が挙げられ、これらの中でも、紫外線を用いるのが好ましい。これにより、剥離剤層12を、より容易かつ確実に形成することができる。
[ポリオルガノシロキサン(b1)]
ポリオルガノシロキサン(b1)は、剥離剤層12に剥離性を発現させる成分である。
ポリオルガノシロキサン(b1)は、剥離剤層12に剥離性を発現させる成分である。
ポリオルガノシロキサン(b1)としては、例えば、直鎖状または分岐状の分子鎖を有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。特に、その分子鎖の末端において、または分子鎖の側鎖として、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基およびマレイミド基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する反応性官能基が、直接または2価の連結基を介して、分子鎖のケイ素原子と結合した変性ポリオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。なお、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基など炭素数2〜10のものが例示される。上記2価の連結基としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基、オキシ基、イミノ基、カルボニル基及びそれらを組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。2価の連結基の炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。また、ポリオルガノシロキサン(b1)は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
このような反応性官能基で置換された変性ポリオルガノシロキサンは、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)が活性エネルギー照射により硬化する際に、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)の硬化物の架橋構造に組み込まれて固定される。これにより、剥離剤層12の外表面121側に形成されるグリーンシートへ、剥離剤層12の成分であるポリオルガノシロキサンが移行し、転着することを抑制することができる。
また、ポリオルガノシロキサン(b1)を構成する反応性官能基以外の有機基としては、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基等が挙げられる。この有機基は複数の炭化水素基であってもよく、それらは互いに同一または異種であってもよい。炭化水素基としては、炭素数1〜12のものが好ましく、特に炭素数1〜10のものがより好ましい。この炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基などが挙げられる。
特に、ポリオルガノシロキサン(b1)を構成する反応性官能基以外の有機基の80モル%以上がメチル基であることが好ましい。これにより、剥離剤層12の剥離性を特に優れたとすることができる。
剥離剤層形成用材料におけるポリオルガノシロキサン(b1)の固形分含有量は、0.5〜5質量%が好ましく、0.7〜4質量%であることがより好ましい。これにより、セラミックスラリーをはじくことなく、基材11上に塗布することがより可能となり、グリーンシート製造用剥離フィルム1の剥離性を特に優れたものとすることができる。
これに対して、剥離剤層形成用材料におけるポリオルガノシロキサン(b1)の固形分含有量が前記下限値未満であると、形成される剥離剤層12が十分な剥離性を発揮できないおそれがある。一方、剥離剤層形成用材料におけるポリオルガノシロキサンの固形分含有量が前記上限値を超えると、形成される剥離剤層12の表面にセラミックスラリーを塗布したときに、セラミックスラリーをはじき易くなるおそれがある。また、剥離剤層12が硬化し難くなり、十分な剥離性が得られない場合がある。
さらに、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)の配合量をA質量部とし、ポリオルガノシロキサン(b1)の配合量をB質量部としたとき、質量比B/Aが、0.7/99.3〜5/95の範囲であることがより好ましく、1/99〜4.5/95.5の範囲であることが特に好ましい。これにより、上記効果がさらに顕著となる。
[光重合開始剤(c1)]
剥離剤層形成用材料を硬化させるために、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、剥離剤層形成用材料には、光重合開始剤(c1)を含んでいてもよい。
剥離剤層形成用材料を硬化させるために、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、剥離剤層形成用材料には、光重合開始剤(c1)を含んでいてもよい。
光重合開始剤(c1)としては、特に限定されないが、例えば、α−アミノアルキルフェノン系のものを用いることがより好ましい。このようなα−アミノアルキルフェノン系の光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)の硬化の際に、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)が酸素阻害を受けにくくする化合物である。そのため、大気雰囲気下でのグリーンシート製造用剥離フィルム1の製造においても、特に優れた硬化性を得ることができる。
α−アミノアルキルフェノン系の光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。これにより、特に優れた硬化性や、耐溶剤性、および剥離性を得ることができる。
剥離剤層形成用材料における光重合開始剤(c1)の固形分含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。これにより、剥離剤層12の厚さが、酸素阻害により硬化性が得られ難い範囲の厚さであっても、特に優れた硬化性や、耐溶剤性、および剥離性を得ることができる。
また、このようなグリーンシート製造用剥離フィルム1では、剥離剤層12の外表面121付近に、ポリオルガノシロキサン(b1)に由来する成分が偏析した状態となっている。このような偏析が生じる理由は、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と分子構造、極性、分子量等の異なるポリオルガノシロキサン(b1)を用いることにより、剥離剤層形成用材料の塗布層が硬化される間にポリオルガノシロキサンが表面付近に押し上げられるためであると考えられる。
また、剥離剤層形成用材料には、上途したような成分に加え、他の成分を含んでいてもよい。例えば、増感剤、帯電防止剤、硬化剤、反応性モノマー等を含むものであってもよい。
増感剤として、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンを用いてもよい。これにより、反応性をより高めることができる。
剥離剤層形成用材料における他の成分の固形分含有量は、0〜10質量%であることが好ましい。
剥離剤層12の外表面121の算術平均粗さRa2は8nm以下である。これにより、グリーンシートを剥離剤層12の外表面121側に成型したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつき等を発生させることをより確実に防止でき、グリーンシートの表面をより高平滑なものにすることができる。
剥離剤層12の外表面121の最大突起高さRp2は50nm以下である。これにより、グリーンシートを剥離剤層12の外表面121側に成型したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつき等を発生させることをより確実に防止でき、グリーンシートの表面をより高平滑なものにすることができる。
剥離剤層12の外表面121における高さ10nm以上の突起の面積占有率が、10%以下であることが好ましい。これにより、グリーンシートを剥離剤層12の外表面121側に成型したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつき等を発生させることをより確実に防止でき、グリーンシートの表面をより高平滑なものにすることができる。
剥離剤層12の平均厚さは、0.3〜2μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることがより好ましい。剥離剤層12の厚さが前記下限値未満であると、剥離剤層12の外表面121の平滑性が不十分となる。その結果、グリーンシートを剥離剤層12の外表面121側に成型したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつき等が発生するおそれがある。一方、剥離剤層12の厚さが前記上限値を超えると、剥離剤層12の硬化収縮によりグリーンシート製造用剥離フィルム1にカールが発生し易くなる。また、基材11と剥離剤層12とでブロッキングが発生しやすくなる。そのため、グリーンシート製造用剥離フィルム1の巻き取り不良が生じたり、グリーンシート製造用剥離フィルム1の巻き出し時の帯電量が増大するおそれがある。
<背面コート層>
背面コート層13は、基材11の第2の面112上に設けられている。
背面コート層13は、基材11の第2の面112上に設けられている。
背面コート層13が設けられていることにより、基材11の比較的粗い表面形状の第2の面112が直接グリーンシートに接することがないため、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するのを防止することができる。
また、背面コート層13は、活性エネルギー線硬化性化合物(a2)を含む背面コート層形成用材料に、活性エネルギー線を照射して、それを硬化することにより形成された層である。このため、より平滑な外表面131を有する背面コート層13を容易に形成できるとともに、グリーンシート製造用剥離フィルム1の繰り出し時の静電気の発生を防止することができる。
[活性エネルギー線硬化性化合物(a2)]
活性エネルギー線硬化性化合物(a2)は、例えば、上述した活性エネルギー線硬化性化合物(a1)の欄で記載したものと同様の化合物を用いることができる。
活性エネルギー線硬化性化合物(a2)は、例えば、上述した活性エネルギー線硬化性化合物(a1)の欄で記載したものと同様の化合物を用いることができる。
また、活性エネルギー線硬化性化合物(a2)は、剥離剤層12の活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と同一の化合物であることが好ましい。これにより、グリーンシート製造用剥離フィルム1の繰り出し時の静電気の発生をより効果的に防止することができる。
背面コート層形成用材料における活性エネルギー線硬化性化合物(a2)の固形分含有量(溶剤を除いた全固形分中における含有割合)は、65〜100質量%が好ましく、65〜98.5質量%がより好ましく、71〜96.5質量%であることが特に好ましい。
[ポリオルガノシロキサン(b2)]
背面コート層形成用材料は、ポリオルガノシロキサン(b2)を含んでいてもよい。
背面コート層形成用材料は、ポリオルガノシロキサン(b2)を含んでいてもよい。
ポリオルガノシロキサン(b2)は、例えば、上述したポリオルガノシロキサン(b1)の欄で記載したものと同様の化合物を用いることができる。
これにより、グリーンシート製造用剥離フィルム1の剥離剤層12上にグリーンシートが形成された積層体をロール状に巻き取った後、この積層体をロールから巻き出す際に、背面コート層13と接触していたグリーンシートが背面コート層13に転着することを抑制できる。
背面コート層形成用材料におけるポリオルガノシロキサン(b2)の固形分含有量は、0〜5質量%が好ましく、0.5〜4質量%であることがより好ましい。
[光重合開始剤(c2)]
背面コート層形成用材料を硬化させるために、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、背面コート層形成用材料には、光重合開始剤(c2)を含んでいてもよい。
背面コート層形成用材料を硬化させるために、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、背面コート層形成用材料には、光重合開始剤(c2)を含んでいてもよい。
背面コート層形成用材料における光重合開始剤(c2)は、例えば、剥離剤層形成用材料における光重合開始剤(c1)の欄で記載したものと同様の化合物を用いることができる。
背面コート層形成用材料における光重合開始剤(c1)の固形分含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。これにより、背面コート層13の厚さが、酸素阻害により硬化性が得られ難い範囲の厚さであっても、特に優れた硬化性や耐溶剤性を得ることができる。
また、背面コート層形成用材料には、上途したような成分に加え、他の成分を含んでいてもよい。例えば、光重合開始剤、増感剤、帯電防止剤、硬化剤、反応性モノマー等を含むものであってもよい。
背面コート層形成用材料における他の成分の固形分含有量は、0〜10質量%であることが好ましい。
背面コート層13の外表面131の算術平均粗さRa3は、5〜40nmであるが、10〜30nmであることがより好ましい。これにより、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつき等が発生するのを防止できる。その結果、良好なグリーンシートを形成できる。また、グリーンシート製造用剥離フィルム1の巻取り時の巻きずれを効果的に抑制することができる。そのため、巻き取り張力を高める必要が無く、巻き取り張力に起因する巻き芯部の変形も抑制することが可能となる。
背面コート層13の外表面131の最大突起高さRp3は、60〜500nmであるが、80〜400nmであることがより好ましく、100〜300nmであることが特に好ましい。これにより、剥離剤層12の外表面121が高平滑であるグリーンシート製造用剥離フィルム1を、紙製、プラスチック製または金属製等のコア材にロール状に巻き取る際に、空気抜けが良好になり、巻きずれを効果的に抑制することができる。そのため、巻き取り張力を高める必要が無く、巻き取り張力に起因する巻き芯部の変形も抑制することが可能となる。また、ロール状に巻かれたグリーンシート製造用剥離フィルム1の表裏でブロッキングが発生することを防止できる。さらに、グリーンシートが形成されたグリーンシート製造用剥離フィルム1を巻き取って保管する際に、グリーンシートに密着する背面コート層13の外表面131の表面形状が、グリーンシートに転写することを防止でき、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するのを防止できる。その結果、良好なグリーンシートを形成できる。
背面コート層13の平均厚さは、0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜1.5μmであることがより好ましい。背面コート層13の平均厚さが上記上限値以下であることにより、背面コート層13の硬化収縮によりグリーンシート製造用剥離フィルム1にカールが発生し易くなることを抑制できる。また、基材11と背面コート層13とでブロッキングが発生し、グリーンシート製造用剥離フィルム1の巻き取り不良が生じるおそれを抑制できる。また、背面コート層13の平均厚さが上記下限値以上であることにより、グリーンシート製造用剥離フィルム1の巻き出し時の帯電量が増大するおそれを抑制できる。
(グリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法)
次に、上述したようなグリーンシート製造用剥離フィルム1の製造方法の好適な実施形態について説明する。
次に、上述したようなグリーンシート製造用剥離フィルム1の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、上記基材11を準備する第1の工程と、基材11の第1の面111に、剥離剤層12を形成する第2の工程と、基材11の第2の面112に、背面コート層13を形成する第3の工程とを有している。
以下、各工程について詳細に説明する。
<第1の工程>
まず、基材11を準備する。
まず、基材11を準備する。
基材11の第1の面111に、酸化法などによる表面処理を施すことができる。これにより、基材11と、基材11の第1の面111に設けられる剥離剤層12との密着性を特に優れたものとすることができる。
また、酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材11の種類に応じて適宜選択される。一般にコロナ放電処理法が効果および操作性の面から好ましく用いられる。
<第2の工程>
本工程では、基材11の第1の面111に、剥離剤層12を形成する。
本工程では、基材11の第1の面111に、剥離剤層12を形成する。
具体的には、まず、基材11の第1の面111に、剥離剤層形成用材料を塗布して、それを乾燥させることで塗布層を得る。剥離剤層形成用材料は、塗布プロセスから乾燥プロセスの間に、基材11の第1の面111の凹凸の凹部の空間及び凸部の斜面を埋め、それによって、平滑化された塗布層を形成する。
次に、塗布層に、活性エネルギー線を照射して、それを硬化させることにより、平滑化された剥離剤層12を形成する。活性エネルギー線が紫外線である場合、その照射量は、積算光量が50〜1000mJ/cm2であるのが好ましく、100〜500mJ/cm2であるのがより好ましい。また、活性エネルギー線が電子線である場合には、電子線の照射量は、0.1〜50kGy程度が好ましい。
剥離剤層形成用材料の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
剥離剤層形成用材料は、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)、および当該化合物と結合可能なポリオルガノシロキサン(b1)などの成分を、溶剤に溶解または分散させることにより得る。
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、キシレン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
<第3の工程>
本工程では、基材11の第2の面112に、背面コート層13を形成する。
本工程では、基材11の第2の面112に、背面コート層13を形成する。
基材11の第2の面112には、第1の面111と同様に酸化法などによる表面処理を施すことができる。これにより、基材11と、基材11の第2の面112に設けられる背面コート層13との密着性を特に優れたものとすることができる。
具体的には、まず、基材11の第2の面112に、背面コート層形成用材料を塗布して、それを乾燥させることで塗布層を形成する。
次に、塗布層に、活性エネルギー線を照射して、それを硬化させることにより、背面コート層13を形成する。これにより、グリーンシート製造用剥離フィルム1が得られる。活性エネルギー線が紫外線である場合には、紫外線の照射量は、積算光量が50〜1000mJ/cm2であるのが好ましく、100〜500mJ/cm2であるのがより好ましい。また、活性エネルギー線が電子線である場合には、電子線の照射量は、0.1〜50kGy程度が好ましい。
背面コート層形成用材料の塗布方法としては、例えば、第2の工程で記載したものと同様の方法を使用することできる。
背面コート層形成用材料は、活性エネルギー線硬化性化合物(a2)などの成分を、溶剤に溶解または分散させることにより得られる。
溶剤としては、例えば、第2の工程で記載したものと同様の溶剤を用いることができる。
なお、上記説明では、第2の工程の後に、第3の工程を行う製造方法について説明したが、これに限定されず、第3の工程の後に第2の工程を行ってもよいし、第2の工程と第3の工程とを同時に行ってもよい。
以上のような工程によれば、ピンホールや部分的な厚みのばらつきの発生が抑制されたグリーンシートを製造できるグリーンシート製造用剥離フィルム1を容易に製造することができる。
以上、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、基材11が1層からなる積層体で構成されたものとして説明したが、これに限定されず、例えば、1層でなく、2層以上の積層体で構成されたものであってもよい。基材11が積層体である場合、例えば、積層された層のうちの剥離剤層12側の最表層が、剥離剤層12の密着性を向上させる層であってもよい。
また、基材11が積層体である場合、例えば、積層された層のうちの背面コート層13側の最表層が、背面コート層13の密着性を向上させる層であってもよい。
また、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルム1の製造方法は、上述した方法に限定されるものではなく、必要に応じて任意の工程が追加されてもよい。
次に、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムの具体的実施例について説明する。
[1]グリーンシート製造用剥離フィルムの作製
(実施例1)
まず、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:38μm、第1の面の算術平均粗さRa1:42nm、第1の面の最大突起高さRp1:619nm、第2の面の算術平均粗さRa0:42nm、第2の面の最大突起高さRp0:619nm]を用意した。
(実施例1)
まず、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:38μm、第1の面の算術平均粗さRa1:42nm、第1の面の最大突起高さRp1:619nm、第2の面の算術平均粗さRa0:42nm、第2の面の最大突起高さRp0:619nm]を用意した。
次に、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)としての、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[固形分100質量%]94質量部と、ポリオルガノシロキサン(b1)としての、ポリエーテル変性アクリロイル基を有するポリジメチルシロキサン[ビッグケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−3500」、固形分100質量%]1質量部と、光重合開始剤(c1)としての、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤[BASF社製、商品名「IRGACURE907」、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル] −2−モリフォリノプロパン−1−オン、固形分100質量%]5質量部を、イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン混合溶剤(質量比3/1)で希釈して、固形分20質量%の剥離剤層形成用材料を得た。
次に、基材の第1の面に、剥離剤層形成用材料をバーコーターで塗布した。剥離剤形成用材料を80℃で1分間乾燥させた後、紫外線をそれに照射(積算光量:250mJ/cm2 )して剥離剤層(厚み1.2μm)を形成した。
一方、活性エネルギー線化合物(a2)としての、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[固形分100質量%]94質量部と、ポリオルガノシロキサン(b2)としての、ポリエーテル変性アクリロイル基を有するポリジメチルシロキサン[ビッグケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−3500」、固形分100質量%]1質量部と、光重合開始剤(c2)としての、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤[BASF社製、商品名「IRGACURE907」、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、固形分100質量%]5質量部を、イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン混合溶剤(質量比3/1)で希釈して、固形分20質量%の背面コート層形成用材料を得た。
次に、基材の第2の面に、背面コート層形成用材料をバーコーターで塗布した。背面コート層形成用材料を80℃で1分間乾燥させた後、紫外線をそれに照射(積算光量:250mJ/cm2 )して背面コート層(厚み0.57μm)を形成した。こうして、グリーンシート製造用剥離フィルムを得た。
(実施例2〜4)
背面コート層の厚みと、グリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
背面コート層の厚みと、グリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
(実施例5)
実施例1の背面コート層形成用材料を、活性エネルギー線化合物(a2)としての、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[固形分100質量%]を95質量部と、光重合開始剤(c2)としての、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤[BASF社製、商品名「IRGACURE907」、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、固形分100質量%]5質量部を、イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン混合溶剤(質量比3/1)で希釈して、得られた固形分20質量%の背面コート層形成用材料に変更し、グリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
実施例1の背面コート層形成用材料を、活性エネルギー線化合物(a2)としての、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[固形分100質量%]を95質量部と、光重合開始剤(c2)としての、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤[BASF社製、商品名「IRGACURE907」、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、固形分100質量%]5質量部を、イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン混合溶剤(質量比3/1)で希釈して、得られた固形分20質量%の背面コート層形成用材料に変更し、グリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
(実施例6)
剥離剤層の厚みと、剥離剤層の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
剥離剤層の厚みと、剥離剤層の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
(実施例7)
基材を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:31μm、第1の面の算術平均粗さRa1:29nm、第1の面の最大突起高さRp1:257nm、第2の面の算術平均粗さRa0:29nm、第2の面の最大突起高さRp0:257nm]に変更し、剥離剤層および背面コート層の厚みと、剥離剤層およびグリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
基材を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:31μm、第1の面の算術平均粗さRa1:29nm、第1の面の最大突起高さRp1:257nm、第2の面の算術平均粗さRa0:29nm、第2の面の最大突起高さRp0:257nm]に変更し、剥離剤層および背面コート層の厚みと、剥離剤層およびグリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
(実施例8)
剥離剤層および背面コート層の厚みと、剥離剤層の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記実施例7と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
剥離剤層および背面コート層の厚みと、剥離剤層の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記実施例7と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
(比較例1)
背面コート層を形成しないことと、グリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
背面コート層を形成しないことと、グリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
(比較例2)
剥離剤層の厚みと、剥離剤層の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記比較例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
剥離剤層の厚みと、剥離剤層の表面粗さとを表1に示すように変更した以外は、前記比較例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
(比較例3)
基材を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:31μm、第1の面の算術平均粗さRa1:15nm、第1の面の最大突起高さRp1:98nm、第2の面の算術平均粗さRa0:15nm、第2の面の最大突起高さRp0:98nm]に変更し、剥離剤層の厚みと、剥離剤層およびグリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さを表1に示すように変更した以外は、前記比較例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
基材を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:31μm、第1の面の算術平均粗さRa1:15nm、第1の面の最大突起高さRp1:98nm、第2の面の算術平均粗さRa0:15nm、第2の面の最大突起高さRp0:98nm]に変更し、剥離剤層の厚みと、剥離剤層およびグリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さを表1に示すように変更した以外は、前記比較例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
(比較例4)
熱硬化付加反応型シリコーン[信越化学工業株式会社製、商品名「KS−847H」]100質量部をトルエンで希釈し、これに白金触媒[信越化学工業株式会社製、商品名「CAT−PL−50T」]2質量部を混合し、固形分が5.0質量%の塗工液を調製した。この塗工液を、乾燥後の厚さが1.0μmとなるように、基材の第1の面に均一に塗工した。次に、塗工液を140℃で1分間乾燥させ、剥離剤層を得た。次に、基材の第2の面に、実施例6と同様にして背面コート層を形成した。また、剥離剤層および背面コート層の厚みと、剥離剤層およびグリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さを、表1に示すようにし、グリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
熱硬化付加反応型シリコーン[信越化学工業株式会社製、商品名「KS−847H」]100質量部をトルエンで希釈し、これに白金触媒[信越化学工業株式会社製、商品名「CAT−PL−50T」]2質量部を混合し、固形分が5.0質量%の塗工液を調製した。この塗工液を、乾燥後の厚さが1.0μmとなるように、基材の第1の面に均一に塗工した。次に、塗工液を140℃で1分間乾燥させ、剥離剤層を得た。次に、基材の第2の面に、実施例6と同様にして背面コート層を形成した。また、剥離剤層および背面コート層の厚みと、剥離剤層およびグリーンシート製造用剥離フィルム背面の表面粗さを、表1に示すようにし、グリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
これらの結果を表1に示す。
なお、各実施例、および各比較例において、剥離剤層、背面コート層の膜厚は、反射式膜厚計「F20」[フィルメトリックス株式会社製]にて測定した。
また、算術平均粗さ、最大突起高さは、次のように測定された。まず、ガラス板に両面テープを貼付した。次に、各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを、該両面テープ上に、測定する側の面の反対面がガラス板側になるようにして固定した。こうして、算術平均粗さおよび最大突起高さを、JIS B0601−1994に準拠してミツトヨ社製表面粗さ測定機SV3000S4(触針式)にて測定した。
また、10nm以上の突起の面積占有率は、光干渉式表面形状観察装置「WYKO−1100」[株式会社Veeco社製]を用いて得られた画像から算出された。観察条件は、PSIモード、50倍率とした。得られた画像の91.2×119.8μmの範囲における表面形状画像において、高さ10nm以上の突起部分の画像と、それ以外の部分の画像とを2値化処理した。次に、10nm以上の高さの突起部分とそれ以外の部分との面積比率を算出した。この面積比率から、高さ10nm以上の突起の面積占有率を得た。
[2]評価
以上のようにして得られたグリーンシート製造用剥離フィルムに関して、以下のような評価を行った。
以上のようにして得られたグリーンシート製造用剥離フィルムに関して、以下のような評価を行った。
[2.1]硬化性評価
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムについて、MEKを3ml含ませたウエス(小津産業社製,BEMCOT AP−2)で剥離剤層表面を荷重1kg/cm2で往復10回研磨した。その後、剥離剤層の表面を目視で観察し、以下の判断基準で硬化性を評価した。
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムについて、MEKを3ml含ませたウエス(小津産業社製,BEMCOT AP−2)で剥離剤層表面を荷重1kg/cm2で往復10回研磨した。その後、剥離剤層の表面を目視で観察し、以下の判断基準で硬化性を評価した。
A:剥離剤層の溶解、脱落が無い。
B:剥離剤層の一部に溶解が見られる。
C:剥離剤層が完全に溶解し、脱落する。
[2.2]カール評価
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを200×200mmに裁断した。その後、裁断されたグリーンシート製造用剥離フィルムを、剥離剤層が上になるように、平坦なガラス板上設置した。次いで、100×100mmのガラス板をグリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層上の中央に設置した。その後、グリーンシート製造用剥離フィルムの端部のカール高さを測定した。次に、ガラス面から、カールしたグリーンシート製造用剥離フィルムの端部までの高さの総和を求めた。その総和を以下の判断基準で評価した。
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを200×200mmに裁断した。その後、裁断されたグリーンシート製造用剥離フィルムを、剥離剤層が上になるように、平坦なガラス板上設置した。次いで、100×100mmのガラス板をグリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層上の中央に設置した。その後、グリーンシート製造用剥離フィルムの端部のカール高さを測定した。次に、ガラス面から、カールしたグリーンシート製造用剥離フィルムの端部までの高さの総和を求めた。その総和を以下の判断基準で評価した。
A:総和が50mm未満である。
B:総和が50mm以上100mm未満である。
C:総和が100mm以上である。
[2.3]ブロッキング性評価
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げた。この剥離フィルムロールを40℃、湿度50%以下の環境下に30日間保管した。その後、剥離フィルムロールの外観を目視にて観察し、以下の判断基準でブロッキング性を評価した。
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げた。この剥離フィルムロールを40℃、湿度50%以下の環境下に30日間保管した。その後、剥離フィルムロールの外観を目視にて観察し、以下の判断基準でブロッキング性を評価した。
A:ロール状に巻き上げたときから外観に変化がなかった(ブロッキング無し)。
B:剥離フィルムロールにおいて、部分的に色目が異なる領域があった(ブロッキング傾向にあるものの使用可能)。
C:剥離フィルムロールの広範な領域にわたって色目が異なった(ブロッキング有り)。
上記基準Cのように、グリーンシート製造用剥離フィルムの表裏の密着によるブロッキングが発生して、剥離フィルムロールの広範な領域にわたって色目が変化した場合、グリーンシート製造用剥離フィルムを正常に巻き出すことができない場合がある。
[2.4]巻出し帯電量
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げた。このグリーンシート製造用剥離フィルムロールを40℃、湿度50%以下の環境下に30日間保管した。その後、50m/minでグリーンシート製造用剥離フィルムを巻き出す際の帯電量を春日電機社製「KSD−0103」を用いて測定した。帯電量は、グリーンシート製造用剥離フィルムの巻出し直後、巻出し長さ500M毎に、グリーンシート製造用剥離フィルムの100mmの箇所で測定した。
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げた。このグリーンシート製造用剥離フィルムロールを40℃、湿度50%以下の環境下に30日間保管した。その後、50m/minでグリーンシート製造用剥離フィルムを巻き出す際の帯電量を春日電機社製「KSD−0103」を用いて測定した。帯電量は、グリーンシート製造用剥離フィルムの巻出し直後、巻出し長さ500M毎に、グリーンシート製造用剥離フィルムの100mmの箇所で測定した。
A:帯電量が±5kV以下。
B:帯電量が±5〜10kV。
C:帯電量が±10kV超。
[2.5]スラリー塗工性評価
チタン酸バリウム粉末[堺化学工業社製、商品名「BT−03」、BaTiO3]100質量部、バインダーとしてのポリビニルブチラール[積水化学工業社製,商品名「エスレックB・K BM−2」]8質量部、および可塑剤としてのフタル酸ジオクチル[関東化学社製、商品名「フタル酸ジオクチル 鹿1級」]4質量部に、トルエン/エタノール混合溶剤(質量比6/4)135質量部を加えた。これらの物質をボールミルにて混合分散させて、セラミックスラリーを調製した。各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層の外表面に、上記セラミックスラリーをダイコーターにて、乾燥後の膜厚が1μm、幅250mm、長さ10mになるように、塗布して塗布層を得た。塗布層を80℃で1分間乾燥させ、グリーンシートが成型されたグリーンシート製造用剥離フィルムを得た。その後、グリーンシートが成型されたグリーンシート製造用剥離フィルムについて、グリーンシート製造用剥離フィルム側から蛍光灯にて光を照射して、グリーンシート面を目視で観察した。以下の判断基準でセラミックスラリーの塗工性を評価した。
チタン酸バリウム粉末[堺化学工業社製、商品名「BT−03」、BaTiO3]100質量部、バインダーとしてのポリビニルブチラール[積水化学工業社製,商品名「エスレックB・K BM−2」]8質量部、および可塑剤としてのフタル酸ジオクチル[関東化学社製、商品名「フタル酸ジオクチル 鹿1級」]4質量部に、トルエン/エタノール混合溶剤(質量比6/4)135質量部を加えた。これらの物質をボールミルにて混合分散させて、セラミックスラリーを調製した。各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層の外表面に、上記セラミックスラリーをダイコーターにて、乾燥後の膜厚が1μm、幅250mm、長さ10mになるように、塗布して塗布層を得た。塗布層を80℃で1分間乾燥させ、グリーンシートが成型されたグリーンシート製造用剥離フィルムを得た。その後、グリーンシートが成型されたグリーンシート製造用剥離フィルムについて、グリーンシート製造用剥離フィルム側から蛍光灯にて光を照射して、グリーンシート面を目視で観察した。以下の判断基準でセラミックスラリーの塗工性を評価した。
A:グリーンシートにピンホールがなかった。
B:グリーンシートに1〜5個のピンホールが見つかった。
C:グリーンシートに6個以上のピンホールが見つかった。
[2.6]巻き出し不良評価
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムについて、上記[2.5]で形成したグリーンシート付きグリーンシート製造用剥離フィルムを110mm×110mmに裁断したものを2枚用意した。その後、2枚のグリーンシート付きグリーンシート製造用剥離フィルムを、グリーンシートとグリーンシート製造用剥離フィルムの背面が接触するように重ね合わせ、23℃条件の下、10kg/cm2でプレスした。その後、プレスされたグリーンシート付きグリーンシート製造用剥離フィルムの四方を5mmカットした。そして、グリーンシートとグリーンシート製造用剥離フィルムの背面とを互いに剥離した。この際、グリーンシート製造用剥離フィルムの背面にグリーンシートが転着するか目視で確認した。
各実施例、および各比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムについて、上記[2.5]で形成したグリーンシート付きグリーンシート製造用剥離フィルムを110mm×110mmに裁断したものを2枚用意した。その後、2枚のグリーンシート付きグリーンシート製造用剥離フィルムを、グリーンシートとグリーンシート製造用剥離フィルムの背面が接触するように重ね合わせ、23℃条件の下、10kg/cm2でプレスした。その後、プレスされたグリーンシート付きグリーンシート製造用剥離フィルムの四方を5mmカットした。そして、グリーンシートとグリーンシート製造用剥離フィルムの背面とを互いに剥離した。この際、グリーンシート製造用剥離フィルムの背面にグリーンシートが転着するか目視で確認した。
A:グリーンシートの転着がなかった。
B:50cm2未満のグリーンシートが転着した。
C:50cm2以上のグリーンシートが転着した。
[2.7]グリーンシート剥離性評価
上記[2.5]で形成したグリーンシートを、グリーンシート製造用剥離フィルムから剥離した。このとき、グリーンシートが正常に剥離できるか評価した。
上記[2.5]で形成したグリーンシートを、グリーンシート製造用剥離フィルムから剥離した。このとき、グリーンシートが正常に剥離できるか評価した。
A:グリーンシートが破れることなく、スムーズに剥離できた。また、剥離剤層上にグリーンシートが残らなかった。
B:グリーンシートが破れることなく、ややスムーズさに欠けるものの剥離できた。また、剥離剤層上にグリーンシートが残らなかった。
C:グリーンシートを剥離するときに、グリーンシートが破れるか、または剥離できなかった。
[2.8]凹部数評価1
ポリビニルブチラール樹脂をトルエン/エタノール混合溶剤(質量比6/4)にて溶解した塗工液を、各実施例および比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層の上に、乾燥後の厚さが3μmとなるように、塗布して塗布層を得た。塗布層を80℃で1分間乾燥させて、ポリビニルブチラール樹脂層を成形した。次いで、そのポリビニルブチラール樹脂層の表面にポリエステルテープを貼付した。次いで、グリーンシート製造用剥離フィルムをポリビニルブチラール樹脂層から剥離し、ポリビニルブチラール樹脂層をポリエステルテープに転写した。次いで、グリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層に接触していたポリビニルブチラール樹脂層の面を、光干渉式表面形状観察装置「WYKO−1100」[株式会社Veeco社製]を用いて観察した。観察条件は、PSIモード、50倍率とした。ポリビニルブチラール樹脂層の面の91.2×119.8μmの範囲内で、ポリビニルブチラール樹脂層の面に確認される、剥離剤層の形状が転写された150nm以上の深さを有する凹部をカウントした。凹部の数を以下の判断基準で評価した。なお、下記基準Cと評価されたポリビニルブチラール樹脂層(グリーンシート)を用いてコンデンサを作製した場合、耐電圧低下によるショートが発生し易い傾向があった。
ポリビニルブチラール樹脂をトルエン/エタノール混合溶剤(質量比6/4)にて溶解した塗工液を、各実施例および比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層の上に、乾燥後の厚さが3μmとなるように、塗布して塗布層を得た。塗布層を80℃で1分間乾燥させて、ポリビニルブチラール樹脂層を成形した。次いで、そのポリビニルブチラール樹脂層の表面にポリエステルテープを貼付した。次いで、グリーンシート製造用剥離フィルムをポリビニルブチラール樹脂層から剥離し、ポリビニルブチラール樹脂層をポリエステルテープに転写した。次いで、グリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層に接触していたポリビニルブチラール樹脂層の面を、光干渉式表面形状観察装置「WYKO−1100」[株式会社Veeco社製]を用いて観察した。観察条件は、PSIモード、50倍率とした。ポリビニルブチラール樹脂層の面の91.2×119.8μmの範囲内で、ポリビニルブチラール樹脂層の面に確認される、剥離剤層の形状が転写された150nm以上の深さを有する凹部をカウントした。凹部の数を以下の判断基準で評価した。なお、下記基準Cと評価されたポリビニルブチラール樹脂層(グリーンシート)を用いてコンデンサを作製した場合、耐電圧低下によるショートが発生し易い傾向があった。
A:凹部の数が0個である。
B:凹部の数が1〜5個である。
C:凹部の数が6個以上である。
[2.9]凹部数評価2
ポリビニルブチラール樹脂をトルエン/エタノール混合溶剤(質量比6/4)にて溶解した塗工液を、厚さ50μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布して塗布層を得た。塗布層を80℃で1分間乾燥させて、ポリビニルブチラール樹脂層を成形した。各実施例および比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを、当該剥離フィルムの背面コート層が上記ポリビニルブチラール樹脂層と接するように、当該ポリビニルブチラール樹脂層に貼り合わせ、積層体を得た。この積層体を100mm×100mmに裁断した。その後、荷重5kg/cm2で積層体をプレスし、グリーンシート製造用剥離フィルムの背面コート層の突起形状をポリビニルブチラール樹脂層に転写させた。次いで、グリーンシート製造用剥離フィルムをポリビニルブチラール樹脂層から剥離した。グリーンシート製造用剥離フィルムの背面コート層に接触していたポリビニルブチラール樹脂層の面における深さ500nm以上の凹部の数を数えた。具体的には、光干渉式表面形状観察装置「WYKO−1100」[株式会社Veeco社製]を用いて、ポリビニルブチラール樹脂層の面を観察した。観察条件は、PSIモード、50倍率とした。ポリビニルブチラール樹脂層の面の91.2×119.8μmの範囲内で、ポリビニルブチラール樹脂層の面に確認される凹部をカウントした。その凹部は、背面コート層の形状が転写されていた。凹部の数を、以下の判断基準で評価した。なお、下記基準Cと評価されたポリビニルブチラール樹脂層(グリーンシート)を用いてコンデンサを作製した場合、耐電圧低下によるショートが発生し易い傾向があった。
ポリビニルブチラール樹脂をトルエン/エタノール混合溶剤(質量比6/4)にて溶解した塗工液を、厚さ50μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布して塗布層を得た。塗布層を80℃で1分間乾燥させて、ポリビニルブチラール樹脂層を成形した。各実施例および比較例で得られたグリーンシート製造用剥離フィルムを、当該剥離フィルムの背面コート層が上記ポリビニルブチラール樹脂層と接するように、当該ポリビニルブチラール樹脂層に貼り合わせ、積層体を得た。この積層体を100mm×100mmに裁断した。その後、荷重5kg/cm2で積層体をプレスし、グリーンシート製造用剥離フィルムの背面コート層の突起形状をポリビニルブチラール樹脂層に転写させた。次いで、グリーンシート製造用剥離フィルムをポリビニルブチラール樹脂層から剥離した。グリーンシート製造用剥離フィルムの背面コート層に接触していたポリビニルブチラール樹脂層の面における深さ500nm以上の凹部の数を数えた。具体的には、光干渉式表面形状観察装置「WYKO−1100」[株式会社Veeco社製]を用いて、ポリビニルブチラール樹脂層の面を観察した。観察条件は、PSIモード、50倍率とした。ポリビニルブチラール樹脂層の面の91.2×119.8μmの範囲内で、ポリビニルブチラール樹脂層の面に確認される凹部をカウントした。その凹部は、背面コート層の形状が転写されていた。凹部の数を、以下の判断基準で評価した。なお、下記基準Cと評価されたポリビニルブチラール樹脂層(グリーンシート)を用いてコンデンサを作製した場合、耐電圧低下によるショートが発生し易い傾向があった。
A:凹部の数が0個である。
B:凹部の数が1〜3個である。
C:凹部の数が4個以上である。
これらの結果を、表2に示した。
表2から明らかなように、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムでは、スラリーの塗工性、成膜されたグリーンシートの剥離性およびグリーンシートの表裏の平滑性に優れていた。また、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生することを抑制させる効果があった。また、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、ロール状にした際のブロッキングが生じにくいものであった。また、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、ロール状にしてから巻き出す際の帯電量を低減できるものであった。また、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、剥離フィルム背面へのグリーンシートの転着を防止できるものであった。これに対して、比較例では満足な結果が得られなかった。
グリーンシート製造用剥離フィルムは、第1の面と第2の面とを有する基材と、活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と、ポリオルガノシロキサン(b1)とを含有する材料を、前記基材の第1の面側に塗布し、それを硬化することにより形成された剥離剤層と、活性エネルギー線硬化性化合物(a2)を含有する材料を、基材の第2の面側に塗布して、それを硬化することにより形成された背面コート層とを有し、剥離剤層の外表面の算術平均粗さRa2が8nm以下であり、かつ、前記剥離剤層の外表面の最大突起高さRp2が50nm以下であり、背面コート層の外表面の算術平均粗さRa3が5〜40nmであり、かつ、前記背面コート層の外表面の最大突起高さRp3が60〜500nmである。本発明によれば、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきの発生を抑制することができる。したがって、本発明は産業上の利用可能性を有する。
1・・・グリーンシート製造用剥離フィルム
11・・・基材
111・・・基材の第1の面
112・・・基材の第2の面
12・・・剥離剤層
121・・・剥離剤層の外表面
13・・・背面コート層
131・・・背面コート層の外表面
11・・・基材
111・・・基材の第1の面
112・・・基材の第2の面
12・・・剥離剤層
121・・・剥離剤層の外表面
13・・・背面コート層
131・・・背面コート層の外表面
Claims (2)
- グリーンシート製造用剥離フィルムであって、
第1の面と第2の面とを有する基材と、
活性エネルギー線硬化性化合物(a1)と、ポリオルガノシロキサン(b1)とを含有する剥離剤層形成用材料を、前記基材の前記第1の面側に塗布して形成された塗布層に、活性エネルギー線を照射して、前記塗布層を硬化することにより形成された剥離剤層と、
活性エネルギー線硬化性化合物(a2)を含有する背面コート層形成用材料を、前記基材の前記第2の面側に塗布して形成された塗布層に、活性エネルギー線を照射して、前記塗布層を硬化することにより形成された背面コート層と、を有し、
前記剥離剤層の外表面の算術平均粗さRa2が8nm以下であり、かつ、前記剥離剤層の前記外表面の最大突起高さRp2が50nm以下であり、
前記背面コート層の外表面の算術平均粗さRa3が5〜40nmであり、かつ、前記背面コート層の前記外表面の最大突起高さRp3が60〜500nmであることを特徴とするグリーンシート製造用剥離フィルム。 - 前記背面コート層形成用材料が、さらに、ポリオルガノシロキサン(b2)を含む請求項1に記載のグリーンシート製造用剥離フィルム。
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