JP2014143195A - 有機薄膜素子保護用蒸着材料、樹脂保護膜、及び、有機光デバイス - Google Patents

有機薄膜素子保護用蒸着材料、樹脂保護膜、及び、有機光デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】成膜性、透明性、耐湿性、及び、耐プラズマ性に優れる有機薄膜素子保護用蒸着材料を提供する。また、該有機薄膜素子保護用蒸着材料を用いてなる樹脂保護膜及び有機光デバイスを提供する。
【解決手段】1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物とを含有し、前記ポリエン化合物及び前記ポリチオール化合物は、SP値が11.5以下であり、かつ、前記ポリエン化合物と前記ポリチオール化合物とのSP値の差が1.1以内である有機薄膜素子保護用蒸着材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、成膜性、透明性、耐湿性、及び、耐プラズマ性に優れる有機薄膜素子保護用蒸着材料に関する。また、本発明は、該有機薄膜素子保護用蒸着材料を用いてなる樹脂保護膜及び有機光デバイスに関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子等の有機薄膜素子を用いた有機光デバイスの研究が進められている。有機薄膜素子は真空蒸着や溶液塗布等により簡便に作製できるため、生産性にも優れる。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、互いに対向する一対の電極間に有機発光材料層が挟持された薄膜構造体を有する。この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して自己発光を行う。バックライトを必要とする液晶表示素子等と比較して視認性がよく、より薄型化が可能であり、かつ、直流低電圧駆動が可能であるという利点を有することから、次世代ディスプレイとして着目されている。
有機薄膜太陽電池素子は、無機半導体を使用した太陽電池に比べ、コスト、大面積化、製造工程の容易さ等の点で優れており、種々の構成の有機太陽電池が提案されている。具体的には例えば、非特許文献1には、フタロシアニン銅とペリレン系色素の積層膜を使用した有機太陽電池素子が開示されている。
これらの有機薄膜素子は、有機層や電極が外気に曝されると、その性能が急激に劣化してしまうという問題がある。従って、安定性及び耐久性を高めるために、有機薄膜素子を封止して大気中の水分や酸素から遮断することが不可欠となる。
有機薄膜素子を封止する方法としては、内部に吸水剤を設けたメタル缶によって封止する方法が一般的であった。しかしながら、メタル缶により封止する方法では、有機光デバイスを薄型化することが困難となる。そこで、メタル缶を使用しない有機薄膜素子の封止方法の開発が進められている。
特許文献1には、有機薄膜素子の有機層と電極とを、CVD法により形成した樹脂膜と、窒化珪素(SiN)膜との積層膜により封止する方法が開示されている。ここで樹脂膜は、窒化珪素膜の内部応力による有機層や電極への圧迫を防止する役割を有する。
特許文献1に開示された窒化珪素膜で封止を行う方法では、有機薄膜素子の表面の凹凸や異物の付着、内部応力によるクラックの発生等により、窒化珪素膜を形成する際に有機薄膜素子を完全に膜で被覆できないことがある。窒化珪素膜による被覆が不完全であると、水分が窒化珪素膜を通して有機層内に浸入してしまう。
有機層内への水分の浸入を防止するための方法として、特許文献2には、無機材料膜と樹脂膜とを交互に蒸着する方法が開示されており、特許文献3や特許文献4には、無機材料膜上にアクリル系の樹脂膜を形成する方法が開示されている。
従来、有機薄膜素子上に形成した無機材料膜や樹脂基板等の基材上に形成する樹脂膜には、特許文献3や特許文献4に開示されているようなアクリル系の樹脂を含有する有機薄膜素子保護用蒸着材料が用いられていたが、このようなアクリル系の樹脂を用いて製造された樹脂膜は、耐湿性が低かったり、プラズマによってアウトガスを発生したりする等の問題があった。
特開2000−223264号公報 特表2005−522891号公報 特開2001−307873号公報 特開2008−149710号公報
Applied Physics Letters(1986、Vol.48、P.183)
本発明は、成膜性、透明性、耐湿性、及び、耐プラズマ性に優れる有機薄膜素子保護用蒸着材料を提供することを目的とする。また、本発明は、該有機薄膜素子保護用蒸着材料を用いてなる樹脂保護膜及び有機光デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物とを含有し、上記ポリエン化合物及び上記ポリチオール化合物は、SP値が11.5以下であり、かつ、上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物とのSP値の差が1.1以内である有機薄膜素子保護用蒸着材料である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、耐湿性、及び、耐プラズマ性に優れる材料として、アクリル樹脂に代えてポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂を用いることを検討した。しかしながら、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂を用いた場合、得られる樹脂膜が成膜性(平坦性)や透明性に劣るものとなることがあった。
本発明者は、樹脂膜が成膜性や透明性に劣るものとなる原因が、ポリエン化合物とポリチオール化合物との溶解性パラメータ(SP値)が離れすぎていることであることを見出した。そこで本発明者は、ポリエン化合物とポリチオール化合物とのSP値の値及びその差を特定の範囲内とすることにより、耐湿性及び耐プラズマ性に加え、成膜性及び透明性に優れる有機薄膜素子保護用蒸着材料を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物(以下、単にポリエン化合物とも言う)と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物(以下、単にポリチオール化合物とも言う)とを含有する。このようなポリエン化合物とポリチオール化合物とを含有するポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂を用いることにより、本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、耐湿性及び耐プラズマ性に優れるものとなる。
上記ポリエン化合物及び上記ポリチオール化合物のSP値は、11.5以下である。上記ポリエン化合物及び上記ポリチオール化合物の少なくともいずれかのSP値が11.5を超えると、得られる有機薄膜素子保護用蒸着材料が基板や無機材料膜に対する塗布性や接着性に劣るものとなる。また、上記ポリエン化合物及び上記ポリチオール化合物のSP値は、有機薄膜素子保護用蒸着材料を成膜する有機薄膜素子の材料にもよるが、例えば、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)等の無機材料膜上に成膜する場合、成膜性や透明性の観点から、SP値が11以下であることがより好ましく、10.5以下であることが更に好ましく、10以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、上記「SP値」は、Fedorsの式により算出される値を意味する。
上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物とのSP値の差は、1.1以内である。上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物とのSP値の差が1.1以内であると、有機薄膜素子保護用蒸着材料が成膜性や透明性に優れるものとなる。上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物とのSP値の差は0.8以内であることが好ましく、0.5以内であることがより好ましい。
なお、上記ポリエン化合物及び上記ポリチオール化合物の少なくともいずれかが2種以上の化合物を含有する場合、上記「SP値の差」は、SP値の最大差を意味する。
上記ポリエン化合物は、芳香環を有するポリエン化合物を含有することが好ましい。芳香環を有するポリエン化合物を用いることにより、本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を硬化させて得られる樹脂保護膜は、耐熱性に優れるものとなる。より詳細には、特にガラス転移点が上昇し、高温での信頼性の高い樹脂保護膜となる。
上記芳香環を有するポリエン化合物としては、例えば、ヘキサアリルエーテルベンゼン(SP値8.8、分子量476)、ジフェニルジアリルシラン(SP値9.3、分子量264、例えば東京化成工業社製)、1,3,5−トリアリルエーテルベンゼン(SP値9.5、分子量246)、2、2’−ジアリルビスフェノールA(SP値9.7、分子量308、例えば大和化成社製の商品名「DABPA」)、2,6−ナフタレンカルボン酸オクタンジアリル(SP値9.9、分子量432、例えばクラレ社製の商品名「ナフタレン−IODA」)、フタル酸ジアリル(SP値10.5、分子量246)、イソフタル酸ジアリル(SP値10.5、分子量246)、2,3−ナフタレンカルボン酸ジアリル(SP値10.7、分子量296、例えば日本蒸留工業社製の商品名「DAND」)、トリメリット酸トリアリル(SP値10.9、分子量330、例えば和光純薬工業社製の商品名「TRIAM−705」)、1,3,5−トリカルボン酸トリアリルベンゼン(SP値10.8、分子量330、例えば東京化成工業社製)、ジフェン酸ジアリル(SP値10.9、分子量322、例えば日本蒸留工業社製の商品名「DAD」)、ピロメリット酸テトラアリル(SP値10.9、分子量414、例えば和光純薬工業社製)等が挙げられる。なかでも、粘度が低く蒸着効率が高いことから、2,3−ナフタレンカルボン酸ジアリルが好ましい。これらの芳香環を有するポリエン化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記ポリエン化合物は、芳香環を有さないポリエン化合物を含有していてもよい。上記芳香環を有さないポリエン化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(SP値9.9、分子量304、例えばダイセル・オルネクス社製の商品名「IRR214」)、アジピン酸ジノルマルオクタジエン(SP値9.2、分子量249、例えばクラレ社製の商品名「ADDNO」)、トリメタリルイソシアヌレート(SP値12.8、分子量291、例えば日本化成社製の商品名「TMAIC」)、トリアリルイソシアヌレート(SP値10.9、分子量249、例えば日本化成社製の商品名「TAIC」)、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(SP値14.2、分子量265、例えば四国化成社製の商品名「DA−MGIC」)等が挙げられる。なかでも、粘度が低く硬化性が高いことから、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの芳香環を有さないポリエン化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
更に、上記芳香環を有さないポリエン化合物としては、本発明の目的を阻害しない範囲において、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等のアリルエーテル化合物、マレイミド等を用いてもよい。
上記ポリエン化合物が上記芳香環を有さないポリエン化合物を含有する場合、上記芳香環を有さないポリエン化合物は、全ポリエン化合物中の含有割合が50重量%以下であることが好ましい。上記芳香環を有さないポリエン化合物の含有割合が50重量%を超えると、得られる有機薄膜素子保護用蒸着材料を硬化させて得られる樹脂保護膜が耐熱性に劣るものとなることがある。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、上記ポリエン化合物として(メタ)アクリル化合物を用いることもできるが、上記(メタ)アクリル化合物を用いた場合、アウトガスを発生する等の問題が生じやすくなるため、上記(メタ)アクリル化合物を用いないことが好ましい。
上記ポリチオール化合物としては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとの反応によって得られるエステルが好適に使用される。
上記多価アルコールは、硬化物の耐熱性の観点から、2〜6価であることが好ましい。
上記メルカプトカルボン酸と多価アルコールとの反応によって得られるエステルとしては、例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(SP値10.2、分子量294、例えば昭和電工社製の商品名「カレンズMT BD1」)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(SP値10.3、分子量440、例えば昭和電工社製の商品名「TPMB」)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)(SP値10.4、分子量426、例えば昭和電工社製の商品名「TEMB」)、ヘキサンジオールビスチオグリコレート(SP値10.6、分子量266、例えば淀化学社製の商品名「HDTG」)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(SP値10.8、分子量398、例えばSC有機化学社製の商品名「TMTP−E」)、ブタンジオールビスチオグリコレート(SP値10.9、分子量238、例えば淀化学社製の商品名「BDTG」)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(SP値11.0、分子量545、例えば昭和電工社製の商品名「カレンズMT PE−1」)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)(SP値11.3、分子量342)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトエチレート)(SP値11.3、分子量356、例えば淀化学社製の商品名「TMTG」)等が挙げられる。なかでも、蒸着効率が高く硬化性が高いことから、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)が好ましい。これらのポリチオール化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリエン化合物及び上記ポリチオール化合物は、分子量の好ましい下限が230、好ましい上限が500である。分子量をこのような範囲内とすることにより、得られる有機薄膜素子保護用蒸着材料は蒸着効率が高くなり、また、上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物との蒸着効率が同程度となる。このため、本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を蒸着し硬化させることにより、未反応モノマーの残存を抑制しつつ均一な物性の樹脂保護膜を効率良く得ることができる。
上記ポリエン化合物及び上記ポリチオール化合物の分子量のより好ましい下限は300、より好ましい上限は450である。
上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物との分子量の比は、1:0.5〜1:1.5であることが好ましい。上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物との分子量の比は、蒸着効率の面から1:0.7〜1:1.3であることがより好ましい。
上記ポリエン化合物及び上記ポリチオール化合物は、大気圧窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で示差熱熱重量同時測定(TG−DTA測定)により求めた重量減少率が、200℃で20%以下、300℃で50%以上であることが好ましい。
重量減少率の200℃でのより好ましい上限は10%である。重量減少率の200℃での下限は特に限定されず、0%であってもよい。
重量減少率の300℃でのより好ましい下限は70%である。重量減少率の300℃での上限は特に限定されず、100%であってもよい。
なお、上記示差熱熱重量同時測定は、例えば、TG/DTA装置(例えば、セイコーインスツル社製の「EXSTAR TG/DTA7000」)を用いて行うことができる。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料における上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物との配合割合は特に限定されないが、上記ポリチオール化合物のチオール基と上記ポリエン化合物の炭素−炭素二重結合とのモル比がチオール基:炭素−炭素二重結合=1:0.5〜1:2となるように配合することが好ましい。チオール基のモル数が炭素−炭素二重結合のモル数の2倍以下、又は、チオール基のモル数が炭素−炭素二重結合のモル数の1/2以上である場合、未反応モノマーの残存が少なくなり、アウトガスの発生が少なく均一な物性の樹脂保護膜を効率よく得ることができる。上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物とは、チオール基:炭素−炭素二重結合=1:1付近となるように配合することがより好ましい。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物とに加えて、その他の硬化性化合物を含有してもよい。
上記その他の硬化性化合物としては、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、エピスルフィド樹脂等が挙げられる。
上記その他の硬化性化合物の含有量は、上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物との合計100重量部に対して、好ましい上限が50重量部である。上記範囲であると、得られる有機薄膜素子保護用蒸着材料を硬化させて得られる樹脂保護膜が、耐熱性や無機材料膜との接着性に優れるものとなる。上記その他の硬化性化合物の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、p−アミノベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤や、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系光重合開始剤や、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物や、ジアゾアミノベンゼン等のジアゾ系化合物や、4,4’−ジアジドスチルベン−p−フェニレンビスアジド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アシルホスフィンオキサイド、ジフェニルエタンジオン、カンファーキノン、アントラキノン、ミヒラーケトン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記光重合開始剤の含有量は、上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.0001重量部、好ましい上限が10重量部である。上記光重合開始剤の含有量が上記範囲であると、得られる有機薄膜素子保護用蒸着材料の重合が充分に進行する。上記光重合開始剤の含有量が10重量部以下であると作業性がよく得られる有機薄膜素子保護用蒸着材料の硬化物が均一となる。上記光重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、光増感剤を含有してもよい。上記光増感剤は、上記光重合開始剤の重合開始効率をより向上させて、本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料の硬化反応をより促進させる役割を有する。
上記光増感剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’メチルジフェニルサルファイド、チオキサントン系化合物等が挙げられる。これらの光増感剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記光増感剤の含有量は、上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.03重量部、好ましい上限が2重量部である。上記光増感剤の含有量が上記範囲であると、増感効果が充分に得られ、有機薄膜素子保護用蒸着材料の深部まで光が伝わる。上記光増感剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は1重量部である。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、重合禁止剤を含有してもよい。
上記重合禁止剤としては、例えば、N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩、フェノール誘導体、ヒドロキノン誘導体等が挙げられる。
上記N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩としては、例えば、N−ニトロソフェニル・ヒドロキシルアミンのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、アルミニウム塩、銅塩、亜鉛塩、セリウム塩、鉄塩、ニッケル塩、コバルト塩等が挙げられる。なかでも、N−ニトロソフェニル・ヒドロキシルアミンのアンモニウム塩が好ましい。
上記フェノール誘導体としては、例えば、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。なかでも、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)が好ましい。
上記ヒドロキノン誘導体としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチールエーテル等が挙げられる。なかでも、有機薄膜素子保護用蒸着材料に大量に添加しても、蒸着時に揮発しにくく蒸着膜に移行しにくいため、光硬化を阻害しないという点で、N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩が好ましい。
これらの重合禁止剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記重合禁止剤の含有量は、上記ポリエン化合物と上記ポリチオール化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限は0.0001重量部、好ましい上限は1.0重量部である。上記重合禁止剤の含有量が上記範囲であると、重合を抑制する効果が充分に発揮され、硬化性が充分に得られる。上記重合禁止剤の含有量のより好ましい下限は0.0005重量部、より好ましい上限は0.1重量部である。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、接着性付与剤を含有してもよい。
上記接着性付与剤としては、例えば、グリシドキシトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらの接着性付与剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、更に、本発明の目的を阻害しない範囲において、酸化防止剤、充填剤、硬化促進剤、可塑剤、界面活性剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収材、有機溶剤等の添加剤を必要に応じて含有してもよい。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、E型粘度計を用いて、25℃、2.5rpmの条件で測定した粘度の好ましい上限が500mPa・s、より好ましい上限が200mPa・sである。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を調製する方法は特に限定されず、例えば、上記ポリチオール化合物、上記ポリエン化合物、光重合開始剤、及び、必要に応じて添加する光増感剤等の各種添加剤を、遊星式撹拌装置、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種混練機を単独又は併用して、常温下又は加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下又は不活性ガス気流下等の条件下で均一に混練する方法等が挙げられる。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を光硬化させて得られる樹脂保護膜もまた、本発明の1つである。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を光硬化させる方法としては、例えば、300nm〜400nmの波長及び300〜3000mJ/cmの積算光量の光を照射する方法等が挙げられる。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料に光を照射するための光源は特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LEDランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料への光の照射手段としては、例えば、各種光源の同時照射、時間差をおいての逐次照射、同時照射と逐次照射との組み合わせ照射等が挙げられ、いずれの照射手段を用いてもよい。
本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を光硬化させて得られる樹脂保護膜により有機薄膜素子を保護してなる有機光デバイスもまた、本発明の1つである。有機薄膜素子を、本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を光硬化させて得られる樹脂保護膜によって保護することにより、有機薄膜素子内への水分の浸入を充分に防止して有機薄膜素子の性能及び耐久性を高く維持することができ、かつ、有機光デバイスの薄型化が可能となる。
上記有機薄膜素子は特に限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機薄膜太陽電池素子等が挙げられる。
上記有機EL素子は、例えば、基板の上に、ホール注入電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び電子注入電極をそれぞれ順に真空蒸着することにより形成することができる。
上記有機薄膜素子が有機EL素子である場合、有機光デバイスは、下面側(基板において素子が形成されない側)から光を取り出すボトムエミッション構造であってもよいし、上面側(基板において素子が形成される側)から光を取り出すトップエミッション構造であってもよい。
上記有機薄膜素子は、基板上に配置され、本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を光硬化させて得られる樹脂保護膜により保護される前に、上記有機薄膜素子を含む領域を覆うように予め無機材料膜で被覆されていることが好ましい。
上記基板は特に限定されず、例えば、単純マトリックス型(パッシブ型)の光デバイスでは透明ガラス基板を用いることができ、アクティブ・マトリックス型の光デバイスでは、透明ガラス基板上に複数のTFT(薄膜トランジスタ)及び平坦化層を備えたTFT基板を用いることができる。
上記無機材料膜を構成する無機材料としては、例えば、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。上記無機材料膜は、1層からなるものであってもよく、複数種の層を積層したものであってもよい。
上記無機材料膜によって上記有機薄膜素子を被覆する方法は特に限定されず、上記無機材料膜が窒化珪素や酸化珪素からなる場合には、スパッタリング法や電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマCVD法等が挙げられる。
上記スパッタリング法は、例えば、キャリアガスとしてアルゴンガスや窒素ガス等の単独又は混合ガスを用い、室温、電力50〜1000W、圧力0.001〜0.1Torrの条件で行うことが好ましい。
上記ECRプラズマCVD法は、例えば、SiHとOとの混合ガス(酸化珪素の場合)又はSiHとNとの混合ガス(窒化珪素の場合)を用い、温度30℃〜100℃、圧力10mTorr〜1Torr、周波数2.45GHz、電力10〜1000Wの条件で行うことが好ましい。
上記有機薄膜素子を、本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を光硬化させて得られる樹脂保護膜により保護する方法としては、例えば、上記有機薄膜素子上に本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を蒸着し光硬化する方法、上記有機薄膜素子上に本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を塗工し光硬化する方法等が挙げられる。
従来のアクリル樹脂及び光ラジカル重合開始剤を含有する有機薄膜素子保護用蒸着材料は、アクリル樹脂及び光ラジカル重合開始剤を気化させるために高温で加熱する必要があった。これに対し、本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料は、低温かつ高い蒸着効率で蒸着させることができる。上記有機薄膜素子上に本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を蒸着する方法としては、フラッシュ蒸着法を用いることが好ましい。
上記有機薄膜素子上に本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を塗工する方法としては、インクジェット法を用いることが好ましい。
上記有機薄膜素子上に本発明の有機薄膜素子保護用蒸着材料を蒸着又は塗工する際の有機薄膜素子の表面と、有機薄膜素子保護用蒸着材料との接触角は、20°以下であることが好ましい。上記接触角が20°以下であると、有機薄膜素子保護用蒸着材料を光硬化して得られる樹脂保護膜が平坦性に優れるものとなる。上記接触角は、15°以下であることがより好ましい。
本発明の有機光デバイスに形成される樹脂保護膜の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は20μmである。上記樹脂保護膜の厚さが0.1μm以上であると、無機材料膜の内部応力による有機薄膜素子や電極への圧迫を防止する効果が充分に発揮される。上記樹脂保護膜の厚さが20μm以下であると、有機光デバイスを薄型化しやすくなる。上記樹脂保護膜の厚さのより好ましい下限は0.3μm、より好ましい上限は2μmである。
本発明の有機光デバイスにおいては、有機薄膜素子を大気中の水分や酸素から保護する効果を高くするため、上記樹脂保護膜上に更に無機材料膜を積層することが好ましい。上記樹脂保護膜上に積層される無機材料膜を構成する無機材料や形成方法としては、上述した有機薄膜素子を被覆する無機材料膜と同様である。
上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は20μmである。上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さが0.05μm以上であると、水分の浸入を充分に防止できる。上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さが20μm以下であると、クラックが発生しにくくなり、製膜に要する時間が短くなる。上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は10μmである。
本発明によれば、成膜性、透明性、耐湿性、及び、耐プラズマ性に優れる有機薄膜素子保護用蒸着材料を提供することができる。また、本発明によれば、該有機薄膜素子保護用蒸着材料を用いてなる樹脂保護膜及び有機光デバイスを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
表1に示した組成に従って、各材料を、セパラブルフラスコを用い、60℃で均一に撹拌混合し、有機薄膜素子保護用蒸着材料を調製した。
使用したポリチオール化合物、及び、ポリエン化合物について、Fedorsの式によりSP値を求めた。結果を表1に示した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた有機薄膜素子保護用蒸着材料について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
(1)樹脂保護膜の透明性(ヘイズ値)
真空蒸着装置の中に設置された加熱ボートに、各実施例及び各比較例で得られた有機薄膜素子保護用蒸着材料を約0.5g入れ、加熱ボートの上部約6cmの位置にガラス基板(1辺が10cm)を設置し、装置内を10Paに減圧した。加熱ボートを200℃に加熱して蒸着用硬化性樹脂組成物を揮発させ、ガラス基板上に蒸着した。その後、蒸着されたガラス基板を取り出し、LED−UVランプを用いて紫外線を3000mJ/cm照射し、有機薄膜素子保護用蒸着材料を硬化させてガラス基板上に樹脂保護膜が形成された透明性試験片を得た。得られた透明性試験片のヘイズ値をヘイズメーター(東京電飾社製、「AUTOMATIC HAZE METER」)にて測定した。
(2)窒化ケイ素膜への成膜性(塗布性、平坦性)
真空蒸着装置内に、窒化ケイ素で被覆されたガラス基板を設置し、真空蒸着装置の中に設置された加熱ボートに各実施例及び各比較例で得られた有機薄膜素子保護用蒸着材料を1g入れ、10Paに減圧して、有機薄膜素子保護用蒸着材料を200℃にて加熱し、窒化ケイ素で被覆されたガラス基板の11mm×11mmの四角形の部分に、厚さが1μmになるようにして真空蒸着による塗布を行った。その後、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を3000mJ/cm照射して、有機薄膜素子保護用蒸着材料を硬化させて樹脂保護膜を形成した。これを目視で観察し、ガラス基板への塗布性に優れ、成膜された樹脂保護膜の表面に凹凸が全く無かった場合を「◎」、ガラス基板への塗布性がよく、樹脂保護膜の表面全体の80%以上が平坦であった場合を「〇」、ガラス基板への塗布性に問題なく、樹脂保護膜の表面全体の50%以上80%未満が平坦であった場合を「△」、ガラス基板への塗布性が悪く、平坦な部分が樹脂保護膜の表面全体の50%未満であった場合を「×」として樹脂保護膜の成膜性を評価した。
(3)樹脂保護膜の耐プラズマ性
各実施例及び各比較例で得られた有機薄膜素子保護用蒸着材料約0.5gを、表面にSiOを被膜させたPETフィルム(1辺が10cm)に塗布し、厚みが10μmになるよう引き伸ばした。これにLED−UVランプを用いて紫外線を3000mJ/cm照射し、有機薄膜素子保護用蒸着材料を硬化させてPETフィルム上に樹脂保護膜が形成された耐プラズマ性試験片を得た。得られた耐プラズマ性試験片に対して、Q−massの設置されたプラズマ装置を用いてスパッタ処理を行った。
スパッタ処理後、Q−massで検出されたアウトガス発生量を確認した。アウトガス発生量の絶対値が50未満であった場合を「〇」、50以上100未満であった場合を「△」、100以上であった場合を「×」として樹脂保護膜の耐プラズマ性を評価した。
(4)有機光デバイスの信頼性
(有機EL素子が配置された基板の作製)
ガラス基板(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mm)にITO電極を1000Åの厚さで成膜したものを基板とした。上記基板をアセトン、アルカリ水溶液、イオン交換水、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄した後、煮沸させたイソプロピルアルコールにて10分間洗浄し、更に、UV−オゾンクリーナ(日本レーザー電子社製、「NL−UV253」)にて直前処理を行った。
次に、この基板を真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)を200mg、他の異なる素焼き坩堝にトリス(8−ヒドロキシキノリラ)アルミニウム(Alq)を200mg入れ、真空チャンバー内を、1×10−4Paまで減圧した。その後、α−NPDの入った坩堝を加熱し、α−NPDを蒸着速度15Å/sで基板に堆積させ、膜厚600Åの正孔輸送層を成膜した。次いで、Alqの入った坩堝を加熱し、15Å/sの蒸着速度で膜厚600Åの発光層を成膜した。その後、正孔輸送層及び発光層が形成された基板を別の真空蒸着装置に移し、この真空蒸着装置内のタングステン製抵抗加熱ボートにフッ化リチウム200mgを、別のタングステン製ボートにアルミニウム線1.0gを入れた。その後、真空蒸着装置の蒸着器内を2×10−4Paまで減圧してフッ化リチウムを0.2Å/sの蒸着速度で5Å成膜した後、アルミニウムを20Å/sの速度で1000Å成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し、10mm×10mmの有機EL素子が配置された基板を取り出した。
(無機材料膜Aによる被覆)
得られた有機EL素子が配置された基板の、該有機EL素子の全体を覆うように、13mm×13mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Aを形成した。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiHガス及び窒素ガスを用い、各々の流量を10sccm及び200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Aの厚さは、約1μmであった。
(樹脂保護膜の形成)
真空蒸着装置内に、無機材料膜Aで被覆された有機EL素子が配置された基板を設置し、真空蒸着装置の中に設置された加熱ボートに各実施例及び各比較例で得られた有機薄膜素子保護用蒸着材料を1g入れ、10Paに減圧して、有機薄膜素子保護用蒸着材料を200℃にて加熱し、有機EL素子を含む11mm×11mmの四角形の部分に、厚さが1μmになるようにして真空蒸着を行った。その後、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を3000mJ/cm照射して、有機薄膜素子保護用蒸着材料を硬化させて樹脂保護膜を形成した。
(無機材料膜Bによる被覆)
樹脂保護膜が形成された有機EL素子が配置された基板の11mm×11mmの樹脂保護膜の全体を覆うように、12mm×12mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Bを形成して有機光デバイス(OLED素子)を得た。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiHガス及び窒素ガスを用い、各々の流量をSiHガス10sccm、窒素ガス200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Bの厚さは、約1μmであった。
得られた有機光デバイスを、温度85℃、湿度85%の環境下で100時間暴露した後、3Vの電圧を印加し、有機光デバイスの発光状態(発光及びダークスポット、画素周辺消光の有無)を目視で観察した。ダークスポットや周辺消光が無く均一に発光した場合を「○」、ダークスポットか周辺消光のいずれかが認められた場合を「△」、ダークスポットや周辺消光が認められた場合を「×」として有機光デバイスの信頼性を評価した。
Figure 2014143195
本発明によれば、成膜性、透明性、耐湿性、及び、耐プラズマ性に優れる有機薄膜素子保護用蒸着材料を提供することができる。また、本発明によれば、該有機薄膜素子保護用蒸着材料を用いてなる樹脂保護膜及び有機光デバイスを提供することができる。

Claims (4)

  1. 1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物とを含有し、
    前記ポリエン化合物及び前記ポリチオール化合物は、SP値が11.5以下であり、かつ、
    前記ポリエン化合物と前記ポリチオール化合物とのSP値の差が1.1以内である
    ことを特徴とする有機薄膜素子保護用蒸着材料。
  2. 請求項1記載の有機薄膜素子保護用蒸着材料を光硬化させて得られることを特徴とする樹脂保護膜。
  3. 請求項2記載の樹脂保護膜により有機薄膜素子を保護してなることを特徴とする有機光デバイス。
  4. 樹脂保護膜上に更に無機材料膜を積層してなることを特徴とする請求項3記載の有機光デバイス。
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