JP2014141984A - 乾式ベルト式無段変速機の推力機構 - Google Patents

乾式ベルト式無段変速機の推力機構 Download PDF

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彬 伊地知
Motoki Tabuchi
元樹 田淵
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Abstract

【課題】ベルト戻りを良好にするとともに、推力を補助する油圧アクチュエータのオイルによる摩擦係数の低下を回避する。
【解決手段】固定シーブ12および可動シーブ13ならびにベルト3が収容されたドライ室23に対して液密状態に遮蔽されかつ油圧によってピストンが前後動する油圧アクチュエータ21と、ピストンと前記可動シーブとを連結しかつ前記ピストン25に作用する油圧を可動シーブ13を固定シーブ12に対して接近させる推力として可動シーブ13に作用させる連結部材31,32とを備えている乾式ベルト式無段変速機の推力機構。
【選択図】 図2

Description

この発明は、ベルトとプーリとの間に潤滑剤を連続的に供給することなく両者の間でトルクを伝達させるように構成され、かつプーリに対するベルトの巻き掛け半径を連続的に変化させて変速比を無段階に変化させることのできる乾式ベルト式無段変速機に関し、特にプーリがベルトを挟み付けるように作用する推力を発生し、あるいは制御する機構に関するものである。
従来、ベルトを巻き掛けるプーリの溝幅を変化させることにより、ベルトの巻き掛け半径を連続的に変化させるように構成されたベルト式無段変速機が知られている。この種の無段変速機では、ベルトとプーリとの間の摩擦力によってトルクを伝達するから、伝達するべきトルクに応じて、ベルトを挟み付けるいわゆる挟圧力を常時作用させる必要があり、また溝幅を変更するために軸線方向に向けた推力を必要とする。そのため、例えば特許文献1に記載されたベルト式無段変速機では、回転軸と一体の固定シーブとその固定シーブに対して接近および離隔する可動シーブとによってプーリを構成し、それらのシーブの対向面をテーパ面とするとともに、可動シーブの背面側に油圧サーボ機構を設け、その油圧サーボ機構によって、ベルト挟圧力を発生させ、また溝幅を変更する推力を発生させるように構成されている。
この特許文献1に記載された無段変速機は、ベルトを構成している金属片(ブロックもしくはエレメントと称されることがある)とプーリとが接触するために、その金属接触する箇所をオイルで潤滑する湿式の無段変速機である。湿式のベルト式無段変速機は、オイルによる潤滑が必須であり、それに伴ってベルトとプーリとの間の摩擦係数が小さくなるので、必要十分なトルクを伝達するためには、ベルト挟圧力を高くしたり、あるいはプーリを大径にすることになり、そのために高油圧を発生するための動力の消費が多くなり、また装置が全体として大型化してしまう。
これに対して乾式と称されるベルト式無段変速機は、多数の合成樹脂で被覆したブロックと呼ばれる金属片を合成樹脂製の張力帯で結束した複合ベルトを、溝幅を変更できるプーリに巻き掛け、その合成樹脂製のブロックおよび張力帯をプーリに接触させることにより、これらの両者の間の摩擦力でトルクを伝達するように構成された変速機である。この種の無段変速機では、ベルトとプーリとの間の摩擦係数が、金属同士が接触する場合の摩擦係数より大きく、そのためプーリによってベルトを挟み付けるいわゆる挟圧力を小さくすることができるなどの利点がある。その半面、ベルトとプーリとの接触箇所にオイルが浸入すると摩擦係数が低下して所期のトルク容量を得られなくなるなどの課題があり、挟圧力を発生させるための推力機構が制約を受ける。
そこで、例えば特許文献2に記載されたベルト式無段変速機では、トルクを軸線方向の推力に変換する押圧カムを用いている。この特許文献2に記載された無段変速機は、ベルトが巻き掛けられる駆動プーリと従動プーリとのそれぞれを、回転軸と一体の固定シーブと、その固定シーブに対して接近および離隔するように軸線方向に移動する可動シーブとによって構成し、それらのシーブの互いに対向する面をテーパ形状の面とすることにより、これらのシーブの間隔すなわち溝幅に応じて、ベルトが巻き掛かる半径が連続的に変化するように構成されている。そして、一方のプーリ(例えば従動プーリ)の背面と、回転軸に取り付けたバネ受けとしての支持円板との間にコイルスプリングが配置され、そのコイルスプリングによって溝幅が狭くなる方向に可動シーブを押圧するように構成されている。さらに、その可動シーブの背面と回転軸との間に、トルクに応じて軸線方向に推力を生じる押圧カムが設けられている。したがって、その可動シーブと回転軸との間で伝達するべきトルクが大きくなれば、可動シーブを固定シーブ側に押圧する推力すなわち挟圧力が増大し、伝達トルクべきトルクに応じた摩擦力(すなわち伝達トルク容量)が生じるようになっている。
なお、上述した押圧カムに相当するトルクカムを備えたベルト式無段変速機が特許文献3にも記載されている。
特開2007−309462号公報 特開平9−112641号公報 特開2000−110858号公報
乾式のベルト式無段変速機では、上記の特許文献2に記載されているようにいわゆるトルクカムを使用することにより、伝達するべきトルクに応じた挟圧力あるいは軸線方向の推力(以下、単に推力と記すことがある)を得ることができる。しかしながら、推力は、車両の駆動力源から駆動輪に向けてトルクを伝達する場合にのみ必要とされるのではなく、プーリの溝幅を変化させて変速を行う場合にも大きい推力が必要となる場合がある。例えば、車両が短距離で停止するべく急制動された場合、変速比は停車後の再発進に備えて大きい変速比になっている必要があり、したがって駆動プーリの溝幅は急速に増大させ、これに対して従動プーリの溝幅は急速に狭くすることになる。そのため、従動プーリにおいては、可動シーブに対して大きい推力を作用させて、固定シーブに向けて迅速に移動させる必要がある。
しかしながら、トルクカムは上述したように伝達するトルクに応じた推力を発生するように構成されているから、急制動時にはトルクが低下することにより必要十分な推力を得られず、そのために従動プーリにおけるベルトの巻き掛け半径が所期どおりに増大しないいわゆるベルト戻りの不良が生じる可能性がある。このような事情は、トルクカムと併せてスプリングを用いている場合も同様である。
ベルトの巻き掛け半径を変更するための推力は、前述した特許文献1に記載されている油圧サーボ機構によっても発生させることができる。しかしながら、可動シーブを油圧によって直接押圧するとすれば、可動シーブは回転軸に対して回転可能かつ軸線方向に摺動可能に取り付けられているのであるから、その摺動部分での不可避的なオイル漏れや、経時的な変化によるオイル漏れが生じ、その漏洩したオイルがプーリの表面やベルトに付着して、ベルトとプーリとの間の摩擦係数が低下し、ひいては伝達トルク容量が低下してしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、乾式のベルト式無段変速機におけるプーリの推力を、ベルトとプーリとの間の摩擦係数を低下させることなく、必要十分に大きくし、ひいてはベルト戻り不良を回避もしくは抑制することのできる推力機構を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ベルトが巻き掛けられるプーリが、回転軸と一体化されている固定シーブとその固定シーブに対して接近および離隔するように前記回転軸に該回転軸の軸線方向に前後動可能に嵌合された可動シーブとを有し、その可動シーブを前記固定シーブ側に押圧する推力をトルクに応じて発生するトルクカムが設けられ、その可動シーブが前記固定シーブに接近することにより前記プーリに対する前記ベルトの巻き掛け半径が増大する乾式ベルト式無段変速機の推力機構において、前記固定シーブおよび前記可動シーブならびに前記ベルトが収容されたドライ室に対して液密状態に遮蔽されかつ油圧によってピストンが前後動する油圧アクチュエータと、前記ピストンと前記可動シーブとを連結しかつ前記ピストンに作用する油圧を前記可動シーブを前記固定シーブに対して接近させる推力として前記可動シーブに作用させる連結部材とを備えていることを特徴するものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記乾式ベルト式無段変速機は、前記ドライ室を形成するケーシングを有し、前記油圧アクチュエータは、前記ケーシングの外部に設けられていることを特徴とする乾式ベルト式無段変速機の推力機構である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記油圧アクチュエータは、前記回転軸の回転中軸線の延長線上を前記ピストンが前後動するように配置され、前記回転軸は、その端部から前記可動シーブが嵌合している箇所の内周側にまで延びて形成された挿入穴と、前記可動シーブが嵌合している箇所の外周面から前記挿入穴に至りかつ軸線方向に長く形成された長孔とを有し、前記連結部材は、前記ケーシングを貫通して前記挿入孔に前後動可能に挿入されたロッドと、前記長孔を貫通しかつ前記ロッドと前記可動シーブとを連結する連結ピンとを有していることを特徴とする乾式ベルト式無段変速機の推力機構である。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記連結ピンは、前記長孔の内側面に摺動可能に接触して前記回転軸と前記可動シーブとの間でトルクを伝達するように構成されていることを特徴とする乾式ベルト式無段変速機の推力機構である。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記長孔の内側面に、前記連結ピンとの間の摩擦係数を低下させる摩擦係数低下処理が施されていることを特徴とする乾式ベルト式無段変速機の推力機構である。
請求項6の発明は、請求項1ないし5の発明において、前記乾式ベルト式無段変速機は車両に搭載され、前記車両の減速度が予め定めた所定値以上の場合、もしくは前記車両の制動力が予め定めた所定の制動力以上の場合に、前記可動シーブを前記固定シーブ側に移動させる推力が増大するように前記油圧アクチュエータに油圧が供給されるように構成されていることを特徴とする乾式ベルト式無段変速機の推力機構である。
この発明によれば、可動シーブと回転軸との間に作用するトルクが小さくなることにより、トルクに起因して可動シーブを固定シーブ側に押圧する押圧力が小さくなるとしても、油圧アクチュエータによる推力を増大させて可動シーブを固定シーブ側に押すことができる。そのため、例えば油圧アクチュエータが従動プーリの溝幅を減少させてベルトの巻き掛け半径を増大させるように構成されている場合、急制動時においても可動シーブを固定シーブ側に押圧する推力を必要十分に大きくして、いわゆるベルト戻りを確実に生じさせることができる。また、このような推力を発生する油圧アクチュエータは、各シーブやベルトが収容されるドライ室に対して液密状態に隔絶されているうえに、そのピストンを連結部材を介して可動シーブに連結してあるから、油圧アクチュエータのオイルがドライ室に浸入したり、あるいはプーリもしくはベルトに付着するなどの事態を防止もしくは抑制し、ベルト式無段変速機の伝達トルク容量が低下することを回避することができる。
この発明に係る推力機構を備えた乾式ベルト式無段変速機の一例を概略的に示す模式図である。 その従動プーリについての推力機構の一例を示す模式的な断面図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 この発明の他の例を模式的に示す、図2と同様の断面図である。 その連結ピンの形状を示す部分斜視図である。
つぎにこの発明を、図に示す実施の形態に基づいて具体的に説明する。この発明は、乾式のベルト式無段変速機を対象とする推力機構であり、その乾式のベルト式無段変速機自体は従来知られているものであってよい。図1はその一例を模式的に示しており、ここに示すベルト式無段変速機は車両に搭載される変速機であって、溝幅を変化させることのできる駆動プーリ1と従動プーリ2と、これらのプーリ1,2に巻き掛けられたベルト3とを有している。その駆動プーリ1は図示しないエンジンなどの駆動力源から動力が入力されるプーリであって、回転軸(入力軸)4に一体化された固定シーブ5と、その固定シーブ5に対して接近および離隔する可動シーブ6とによって構成されている。これらのシーブ5,6の互いに対向する面はテーパ状に形成されており、これらのテーパ面の間がベルト3を巻き掛けるベルト溝となっている。したがって、ベルト溝の幅が広ければベルト3の巻き掛け半径が小さくなり、これとは反対にベルト溝の幅が狭ければ、ベルト3の巻き掛け半径が大きくなるように構成されている。
可動シーブ6は、回転軸4にその軸線方向に前後動できるように嵌合されており、この可動シーブ6と回転軸4との間にはスライドキーやスプラインなどの回転止めのための機構(図示せず)が設けられており、したがって可動シーブ6は回転軸4と一体になって回転し、かつ軸線方向には相対的に移動できるように構成されている。
ベルト3は、少なくともプーリ1,2に接触する部分が合成樹脂などの非金属材料によって構成されており、より具体的にはこのベルト3はいわゆる引張型のベルトであって、多数の合成樹脂で被覆したブロックと呼ばれる金属片を合成樹脂製の張力帯で結束した複合ベルトであり、その合成樹脂製のブロックおよび張力帯がプーリ1,2に接触するように構成されている。したがって、金属同士の接触が生じないので、オイルによる潤滑を特には行う必要がなく、むしろベルト3とプーリ1,2との間にオイルが介在することは避ける必要がある。このように潤滑油を必要としないことにより「乾式」と称されている。
駆動プーリ1におけるベルト溝の幅(以下、単に溝幅と記す)を変化させるための機構は、油圧を必要としない機械式アクチュエータによって構成されている。その機械式アクチュエータは図1に示す例では、送りねじ機構によって構成されており、上記の回転軸4と平行にねじ軸7が配置されており、そのねじ軸7に噛み合っているねじ溝が外周部に形成されているねじ車8が、可動シーブ6に回転可能でかつ軸線方向には一体化された状態で取り付けられている。また、ねじ軸7は、減速歯車機構9を介して変速用モータ10に連結されている。すなわち、この変速用モータ10によってねじ軸7を正回転させ、あるいは逆回転させることにより、可動シーブ6が固定シーブ5に対して接近して溝幅が狭くなり、また反対に固定シーブ5から離れて溝幅が広くなるように構成されている。なお、変速用モータ10は、ベルト式無段変速機のケーシング11の外面に取り付けられている。
従動プーリ2は、上記の駆動プーリ1と同様に、固定シーブ12と可動シーブ13とを有し、これらのシーブ12,13の対向面がテーパ状に形成されていることにより、これらのテーパ面の間隔である溝幅が各シーブ12,13の間隔に応じて変化し、その溝幅の変化に応じてベルト3の巻き掛け半径が大小に変化するように構成されている。その固定シーブ12は回転軸(出力軸)14に一体化されており、これに対して可動シーブ13は回転軸14にその軸線方向に前後動できかつ回転方向には回転軸14と一体化するように嵌合させられる。この可動シーブ13の背面側(固定シーブ12とは反対側)に、可動シーブ13を固定シーブ12側に押す押圧力(推力)を発生するための機構が設けられている。
すなわち、図2に示すように、回転軸14には、可動シーブ13の背面に向けて突出した円筒部15を有するカム部材16が回転可能に嵌合され、そのカム部材16が図示しない出力ギヤなどの出力部材に連結されている。そのカム部材16の軸線方向での先端面が、軸線方向に連続的に突出しかつ後退する凹凸面とされており、この凹凸面がカム面となっている。これに対して可動シーブ13には背面側に延びているボス部17が一体に形成されており、そのボス部17の軸線方向での先端部に、上記のカム面に摺動可能に接触させられているカム部が設けられている。これら互いに接触しているカム面とカム部とによってトルクカム18が構成されている。すなわち、カム面が回転軸14もしくはカム部材16の軸線方向および円周方向に対して斜めになっている傾斜面であるのに対してカム部がそのいわゆる傾斜面に対して軸線方向に向けて押し付けられているから、両者の間にトルクが作用した場合にそのトルクに応じた軸線方向の分力すなわち推力が生じるようになっている。なお、このトルクカムの構成は従来知られているトルクカムと同様であってよい。
さらに、カム部材16はその円筒部15より外周側に突出したフランジ部19を備えており、このフランジ部19と可動シーブ13の背面との間にコイルスプリング20が配置されている。このコイルスプリング20は圧縮した状態で、前記円筒部15およびボス部17の外周側に嵌合させられており、したがって可動シーブ13には固定シーブ12側に押圧する弾性力が常時作用しており、その弾性力と前記トルクカムによる軸線方向の荷重とが推力となっている。
この発明に係る推力機構は、更に、油圧アクチュエータ21を備えている。この油圧アクチュエータ21は、可動シーブ13を固定シーブ12に対して急速に近づける際に、可動シーブ13を固定シーブ12側に押圧する推力を補助するためのものであり、従動プーリ2から離れた位置に設けられ、連結部材を介して可動シーブ13に推力を付与するように構成されている。このような構成は、万が一、オイルが漏洩した場合に、そのオイルがプーリ1,2やベルト3などに付着して摩擦係数が低下することを回避するための構成であり、より具体的に説明すると、上述したプーリ1,2およびベルト3などの変速比を設定するための機構は、無段変速機のケーシング11の内部に収容されており、そのケーシング11の内部は潤滑油が浸入しないように外部に対して液密状態に封止され、いわゆるドライ室23となっている。油圧アクチュエータ21はそのドライ室23に対して液密状態に遮蔽されており、図1および図2に示す例では、ケーシング11の外面で、前述した回転軸14を軸線方向へ延長した位置に配置されている。そして、この油圧アクチュエータ21は、前記ケーシング11に一体化させたシリンダ24の内部を、ピストン25が油圧によって回転軸14の中心軸線に沿って前後動するように構成されている。
この油圧アクチュエータ21によって前記可動シーブ13を軸線方向に移動させるための構成について説明すると、前述した可動シーブ13はその内周側に配置したブッシュ26を介して回転軸14に対して前後動可能でかつ相対回転可能に嵌合させられている。また、可動シーブ13と回転軸14との間にスライドキー27が設けられている。そのスライドキー27は回転軸14の外周部に形成されたキー溝に嵌め込まれる一方、回転軸14の外周側に突出した部分が、可動シーブ13の内周部に少なくとも可動シーブ13の前後動長さに亘ってその軸線方向に沿って形成されたキー溝28に挿入されている。さらに、回転軸14にはその端部(図2に示す例では油圧アクチュエータ21側の端部)から可動シーブ13が嵌合している箇所に到るまでの部分に、軸線方向に沿って形成された挿入穴29が形成されている。そして、この挿入穴29から回転軸14の外周面に到るように半径方向に向けて貫通させた長孔30が形成されている。この長孔30は、上述したブッシュ26やスライドキー27などに干渉しない位置に軸線方向に延びて形成され、その長さは、可動シーブ13の前後動長さ以上に設定されている。
上記の挿入穴29の内部には、ケーシング11を貫通して前記ピストン24に連結されたロッド31が前後動できるように挿入されている。なお、ケーシング11を貫通している箇所は、適宜のシールリング22によって液密状態が維持されている。このロッド31の先端部は前記長孔30の部分にまで延びており、図3に断面図として示してあるように、その先端部には半径方向に突出した連結ピン32が取り付けられている。その連結ピン32は長孔30を貫通して可動シーブ13に固定され、したがってロッド31と可動シーブ13とがこの連結ピン32によって、一体となって軸線方向に移動するように連結されている。これらロッド31および連結ピン32がこの発明における連結部材に相当している。
上記の油圧アクチュエータ21に対して供給する油圧は、車両に搭載されている場合には、従来の一般的な車両用自動変速機と同様に、エンジンなどの動力源によって油圧ポンプを駆動して発生させることができる。また、油圧アクチュエータ21に対するその油圧の供給および排出の制御は、供給用電磁弁および排出用電磁弁を電気的に制御することにより行うことができる。特に上記の油圧アクチュエータ21は、従動プーリ2における溝幅を急速に狭くしてベルト3の巻き掛け半径を増大させる場合の推力を補助するためのものであるから、車両の減速度が予め定めたしきい値以上の場合、あるいは制動力が予め定めた所定値以上の場合に、供給用電磁弁を開いて油圧アクチュエータ21に油圧を供給するように構成することが好ましい。
つぎに上記のベルト式無段変速機および推力機構の作用について説明すると、駆動側の回転軸4に伝達されたトルクによりその回転軸4およびこれと一体の駆動プーリ1が回転し、さらにこの駆動プーリ1に巻き掛けられているベルト3にトルクが伝達されてベルト3が走行する。従動プーリ2における可動シーブ13には、コイルスプリング20の弾性力が常時作用していてベルト3は可動シーブ13と固定シーブ12との間に挟み付けられ、しかもトルクカム18によって、トルクに応じた推力が可動シーブ13を固定シーブ12側に押圧していて、その推力によってもベルト3は可動シーブ13と固定シーブ12との間に挟み付けられている。そして、各シーブ12,13の対向面がテーパ面となっているから、ベルト3には巻き掛け半径を増大させる方向の力が作用し、これがベルト3の張力となっている。したがってベルト3を走行させている状態で、駆動プーリ1における溝幅を前述した変速用モータ10によって変化させると、駆動プーリ1におけるベルト3の巻き掛け半径が溝幅に応じて変化し、それに伴って従動プーリ2における溝幅が押し広げられ、あるいは縮小し、所定の変速比が設定される。このような変速制御は、例えばエンジンの目標回転数を車両の走行状態に基づいて算出し、エンジンの実回転数がその目標回転数に一致するように前述した変速用モータ10をフィードバック制御することにより行われる。
上述したトルクカム18は、可動シーブ13と回転軸14との間で伝達するトルクに応じた軸線方向の力すなわち推力を発生するので、例えば車両に対する加速要求が増大して、ベルト3を介して伝達するべきトルクが増大すると、従動プーリ2における可動シーブ13を固定シーブ12側に押圧する推力が増大する。そのため、ベルト式無段変速機としての伝達トルク容量が増大するから、ベルト3の滑りを生じることなく、入力側の回転軸4から出力側の回転軸14にトルクが伝達される。
また、車両が制動操作されて減速する場合、停車後の発進に備えて変速比を最大変速比もしくはこれに近い変速比に変更する。これは、駆動プーリ1における溝幅を増大させることにより駆動プーリ1に対するベルト3の巻き掛け半径を減少させ、同時に従動プーリ2における可動シーブ13を固定シーブ12側に急速に移動させて従動プーリ2に対するベルト3の巻き掛け半径を増大させることにより実行される。その場合、制動操作されているのであるから、入力側の回転軸4から出力側の回転軸14に伝達するトルクが小さくなり、それに伴って従動プーリ2における可動シーブ13と回転軸14との間のトルク、言い換えればトルクカム18に作用するトルクが小さくなるから、トルクカム18によって生じる軸線方向の推力が小さくなる。これに対して、制動力が所定値以上であり、あるいは制動操作に起因する減速度が所定のしきい値以上であれば、前述した油圧アクチュエータ21に油圧が供給され、そのピストン24を図2の左方向に移動させる圧力が生じる。このピストン24と従動プーリ2における可動シーブ13とは、ロッド31および連結ピン32によって連結されているので、ピストン24に作用する圧力が可動シーブ13を固定シーブ12側に押圧する推力として作用する。すなわち、従動プーリ2の溝幅を小さくする推力が油圧アクチュエータ21によって補助され、その結果、図2の上半分に示すように、可動シーブ13が固定シーブ12側に迅速に移動してベルト式無段変速機の変速比が停止後の発進に備えた大きい変速比に迅速に変化させられる。したがって、いわゆる急制動時もしくは停車に向けた急減速時におけるベルト戻りが良好になる。
この発明に係る推力機構は、上記のように油圧を使用してベルト戻りを確実に生じさせるように構成されているが、その油圧アクチュエータ21は、各プーリ1,2やベルト3が収容されているドライ室23に対して液密状態に隔絶され、かつ上記のロッド31および連結ピン32などの連結部材によって油圧アクチュエータ21と可動シーブ13とが連結されているから、油圧アクチュエータ21のオイルがプーリ1,2やベルト3などに付着することを防止もしくは抑制することができる。このようにこの発明に係る推力機構によれば、油圧によっていわゆるベルト戻りを確実に生じさせることができるとともに、オイルによる伝達トルク容量の低下を防止もしくは抑制することができる。
この発明に係る推力機構の他の例を図4および図5に示してある。ここに示す例は、ロッド31と可動シーブ13とを連結する連結ピン32が、回転軸14と可動シーブ13との間でトルクを伝達するキーとして機能するよう構成し、それに伴って前述したスライドキー27を廃止した例である。すなわち、連結ピン32は図4および図5に示すように、回転軸14の軸線方向に長い薄板状に形成されており、この連結ピン32は可動シーブ13および回転軸14をそれぞれの半径方向に貫通してそれぞれに固着されている。なお、連結ピン32は長孔30に対しては軸線方向に移動可能に嵌合している。したがって、回転軸14と可動シーブ13とが、連結ピン32と長孔30の内側面との間の隙間に相当する角度、相対回転すると連結ピン32と長孔30の内側面とが接触し、回転軸14と可動シーブ13との間でトルクが伝達される。すなわち、図4および図5に示す連結ピン32は、油圧アクチュエータ21による推力を可動シーブ13に伝達する機能に加えて、回転軸14と可動シーブ13とを回転方向に対して相互に拘束するキーとしての機能を備えている。
このように連結ピン32は長孔30の内側面に密着してトルクを伝達し、その状態で軸線方向に移動させられて長孔30の内側面上を摺動することがある。したがって、長孔30の内側面には、連結ピン32の相対的な摺動を円滑にし、また摩耗を抑制するために、摩擦係数低下処理が施されている。その摩擦係数低下処理は、自己潤滑性の樹脂や耐摩耗性の高い樹脂、あるいはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などを長孔30の内側面にコーティングする処理である。
図4および図5に示すように構成した場合、連結ピン32がキーとしての機能を兼ね備えるので、図2に示すようにスライドキーを廃止することができる。そのため、軸線方向に並べて配置する部品数が少なくなるので、ベルト式無段変速機の全体としての軸長を短くすることが可能になる。
なお、可動シーブ13の推力を補助するアクチュエータをケーシング11の外部に設けるとすれば、そのアクチュエータは前述した油圧式のものから電動機や電磁アクチュエータに変更してもよい。このような構成であれば、プーリ1,2やベルト3に対するオイルの影響が生じる可能性が元来存在しないが、上述した推力を増大させることに伴うケーシング11の内部空間を占有する部品が発生しないので、組立性が損なわれないなどの利点がある。
3…ベルト、 11…ケーシング、 12…固定シーブ、 13…可動シーブ、 14…回転軸(出力軸)、 16…カム部材、 18…トルクカム、 20…コイルスプリング、 21…油圧アクチュエータ、 23…ドライ室、 24…シリンダ、 25…ピストン、 27…スライドキー、 28…キー溝、 29…挿入穴、 30…長孔、 31…ロッド、 32…連結ピン。

Claims (6)

  1. ベルトが巻き掛けられるプーリが、回転軸と一体化されている固定シーブとその固定シーブに対して接近および離隔するように前記回転軸に該回転軸の軸線方向に前後動可能に嵌合された可動シーブとを有し、その可動シーブを前記固定シーブ側に押圧する推力をトルクに応じて発生するトルクカムが設けられ、その可動シーブが前記固定シーブに接近することにより前記プーリに対する前記ベルトの巻き掛け半径が増大する乾式ベルト式無段変速機の推力機構において、
    前記固定シーブおよび前記可動シーブならびに前記ベルトが収容されたドライ室に対して液密状態に遮蔽されかつ油圧によってピストンが前後動する油圧アクチュエータと、
    前記ピストンと前記可動シーブとを連結しかつ前記ピストンに作用する油圧を前記可動シーブを前記固定シーブに対して接近させる推力として前記可動シーブに作用させる連結部材と
    を備えていることを特徴する乾式ベルト式無段変速機の推力機構。
  2. 前記乾式ベルト式無段変速機は、前記ドライ室を形成するケーシングを有し、
    前記油圧アクチュエータは、前記ケーシングの外部に設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の乾式ベルト式無段変速機の推力機構。
  3. 前記油圧アクチュエータは、前記回転軸の回転中軸線の延長線上を前記ピストンが前後動するように配置され、
    前記回転軸は、その端部から前記可動シーブが嵌合している箇所の内周側にまで延びて形成された挿入穴と、前記可動シーブが嵌合している箇所の外周面から前記挿入穴に至りかつ軸線方向に長く形成された長孔とを有し、
    前記連結部材は、前記ケーシングを貫通して前記挿入孔に前後動可能に挿入されてたロッドと、前記長孔を貫通しかつ前記ロッドと前記可動シーブとを連結する連結ピンとを有している
    ことを特徴とする請求項2に記載の乾式ベルト式無段変速機の推力機構。
  4. 前記連結ピンは、前記長孔の内側面に摺動可能に接触して前記回転軸と前記可動シーブとの間でトルクを伝達するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の乾式ベルト式無段変速機の推力機構。
  5. 前記長孔の内側面に、前記連結ピンとの間の摩擦係数を低下させる摩擦係数低下処理が施されていることを特徴とする請求項4に記載の乾式ベルト式無段変速機の推力機構。
  6. 前記乾式ベルト式無段変速機は車両に搭載され、
    前記車両の減速度が予め定めた所定値以上の場合、もしくは前記車両の制動力が予め定めた所定の制動力以上の場合に、前記可動シーブを前記固定シーブ側に移動させる推力が増大するように前記油圧アクチュエータに油圧が供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の乾式ベルト式無段変速機の推力機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105904758A (zh) * 2016-06-13 2016-08-31 陈妙娟 活动式榨油机构清洗***

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