JP2014141580A - プロテオグリカン及び化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロテオグリカンについて、保水性が改善されたプロテオグリカンを提供する。
【解決手段】プロテオグリカンは、波数1736cm−1付近に赤外吸収ピークを呈する分子構造を有し、1420cm−1付近の分子吸光係数が25以下である特徴を有する。このプロテオグリカンは、従前のプロテオグリカンに比較し、保水性が改善されたものである。このプロテオグリカンにカルボン酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの弱酸強塩基イオン性化合物や塩基性アミノ酸が付加したものは、更に保水性が向上する。
【選択図】図2

Description

本発明は、化粧料や飲食品等で使用されるプロテオグリカンに係り、特に保水性が改善されたプロテオグリカン、このプロテオグリカンを含む化粧料に関するものである。
美容や健康を目的として、肌に塗布する化粧品やトイレタリー用品、髪のケア製品などに保水性を有する成分が含有されているものが多い。
保水性成分は、肌の乾燥を防ぎ、肌に潤いを与えるために美容液に不可欠なものとなっている。保水性を有する物質は、グリセリンや植物抽出液などいろいろあるが、代表的なものとして、多糖やタンパク質などの高分子化合物がある。多糖の代表的なものとしてヒアルロン酸があり、タンパク質の代表的なものとしてコラ−ゲンがある。近年、プロテオグリカンが、保水性以外にも、さまざまな機能を有すことが明らかになってきていることから、化粧品やトイレタリーのみならず、健康飲料や健康食品、医療の分野などで注目されている。
プロテオグリカンは天然の高分子化合物であり、動物において、結合組織の細胞外マトリックス中の基質を形成しており、グリコサミノグリカンとタンパク質の共有結合物の総称である。一般の糖タンパク質に比較して、糖含量が極めて多い物質である。プロテオグリカンは、起源となる原料や抽出・製造条件により、分子量や含まれるアミノ酸や糖(中性糖、ウロン酸、アミノ糖など)の種類や量、比率も異なり、さまざま存在し、千差万別である。
プロテオグリカンを美容液や化粧品に用いるとき、その保水性を補うため、10重量%以上のコラ−ゲンと併用すること(特許文献1)やアシル化アルカリ処理コラ−ゲンと併用することが行われている(特許文献2)。しかし、これらの方法は、プロテオグリカンを利用するには、コラ−ゲンと併用するという煩わしさがあることや、水に不溶性のコラ−ゲンを利用するため、透明または清澄な製品には利用することが困難であった。
特開平6−166616号 公報 特開平6−179612号 公報
上記課題を鑑み、本発明は、保水性が改善されたプロテオグリカン、このプロテオグリカンを含む化粧料を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明の第1の態様は、分子量10万以上の主分子鎖を骨格として有するプロテオグリカンであって、波数1736cm−1付近に赤外吸収ピークを呈する第1の固有分子構造を有し、1420cm−1付近の赤外吸収ピークを呈する第2の固有分子構造が、分子吸光係数が25以下となるように、主分子鎖から削減された分子構造を備えることを要旨とする。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様で説明した分子量10万以上の主分子鎖を骨格として第1の固有分子構造を有し、第2の固有分子構造が主分子鎖から削減された分子構造を備えるプロテオグリカンを0.01質量%以上含有する化粧料であることを要旨とする。
本発明により、保水性が改善されたプロテオグリカン、このプロテオグリカンを含む化粧料が提供される。
本発明の第1の実施の形態の基礎としての、比較例1に係る、プロテオグリカンの赤外吸収ピークを説明する赤外吸収スペクトルである。 第1の実施の形態の実施例1に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークを説明する赤外吸収スペクトルである。 第1の実施の形態の実施例2に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークを説明する赤外吸収スペクトルである。 第1の実施の形態の比較例1に係るプロテオグリカンの保水性を測定した結果を説明する図である。 第1の実施の形態に係る各種プロテオグリカン(実施例1、2及び4〜7に係るプロテオグリカン)の保水性を測定した結果を比較例1に係るプロテオグリカンの保水性と比較して示す図である。 第1の実施の形態の実施例8に係るプロテオグリカンの保水性を測定した結果を、比較例1に係るプロテオグリカンと比較して説明する図である。 本発明の第2の実施の形態の基礎としての、比較例2に係る、プロテオグリカンの赤外吸収ピークを説明する赤外吸収スペクトルである。 第2の実施の形態の実施例9に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークを説明する赤外吸収スペクトルである。 第2の実施の形態の比較例3に係る、プロテオグリカンの赤外吸収ピークを説明する赤外吸収スペクトルである。 第2の実施の形態の実施例11に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークを説明する赤外吸収スペクトルである。 第2の実施の形態に係る各種プロテオグリカン(実施例10及び12)の保水性を測定した結果を、比較例2〜4と比較しながら説明する図である。
以下、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態をより具体的に説明する。以下に示す第1及び第2の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するためのプロテオグリカンやプロテオグリカンの製造方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、由来とするプロテオグリカンの原料、プロテオグリカンの抽出薬剤等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
特に、以下の本発明の第1の実施の形態では鮭由来のプロテオグリカンについて、第2の実施の形態では鮫由来のプロテオグリカンについて例示的に説明するが、プロテオグリカンの由来は、牛、鶏などの動物や鮭、鮫、鯨、エイなどの魚類の軟骨であり、本発明のプロテオグリカンは、第1及び第2の実施の形態で説明する鮭及び鮫に限定されるものではなく、その種類を問わないものである。また、プロテオグリカンの抽出薬剤についても、酢酸などの有機酸や酸、アルカリ、グアニジン塩酸などいろいろあり、第1及び第2の実施の形態での説明に限定されるものではなく、本発明では抽出薬剤を問わないものである。また、温度や時間などの抽出・製造の条件も、第1及び第2の実施の形態で説明に限定されるものではない。
本発明の第1及び第2の実施の形態に係るプロテオグリカンの製造法としては、プロテオグリカンを酸で処理すると得られる。酸として、無機酸やトリフルオロ酢酸、クエン酸などの有機酸がある。無機酸としては塩酸、硫酸、硝酸などが有るが、塩酸が好ましい。また、無機酸やトリフルオロ酢酸の濃度は0.1M以下が好ましく、プロテオグリカンと無機酸やトリフルオロ酢酸が接触する温度も10℃以下の低温下が好ましい。接触する時間は数十分〜数時間で十分である。酸で処理した後、酸を除去する。酸を除去する方法としては、分子量分画10万以下の大きさの膜を利用などがある。
この酸処理したプロテオグリカンは、新たに、波数1736cm−1付近に赤外吸収ピークを呈する分子構造を有し、1420cm−1付近の吸収が弱く、もしくは非常に弱くなるか消失する。赤外吸収スペクトルにおいては、一般的に吸収の強度は、目で見て任意的につけたものを利用しており、みかけの分子吸光係数εが5〜25を弱い、0〜5を非常に弱いとしている。(参考図書:赤外線吸収スペクトル−定性と演習−、中西香爾ら共著、南江堂)
常法により得られるプロテオグリカンは、3419cm−1、1642cm−1、1420cm−1、1234cm−1、1067cm−1、595cm−1付近に強い赤外の吸収を有し、他に2937cm−1、2367cm−1、2341cm−1、1379cm−1、1129cm−1付近に弱い赤外の吸収を有する。
上記酸処理した第1及び第2の実施の形態に係るプロテオグリカンに陰イオン物質の分子を加え、接触させることにより、第1及び第2の実施の形態に係るプロテオグリカンの陽電荷部位に陰イオン物質を付加させる。陰イオン物質を含む化合物として、弱酸と強塩基からなるイオン性化合物がある。加えるイオン性化合物の量は、種類やプロテオグリカンの性質により異なる。イオン性化合物としては、カルボン酸塩やリン酸塩、炭酸塩などがある。カルボン酸塩として、多価カルボン酸とモノカルボン酸があるが、多価カルボン酸としては、クエン酸三ナトリム、クエン酸二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、フマル酸二ナトリウム、アジピン酸二ナトリウムやこれらのカリウム塩やリチウム塩、アンモニウム塩などがあげられる。また、これらのイオン性化合物の水和物も有効である。また、モノカルボン酸塩として、乳酸塩や安息香酸、脂肪酸塩などがあげられ、これらの塩としてナトリウムやカリウム、アンモニアがあげられる。
リン酸塩としては、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムやこれらのカリウム塩やリチウム塩、アンモニウム塩などがあげられる。また、これらのイオン性化合物の水和物も有効である。また、炭酸塩としては、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム、これらのカリウム塩やその水和物などがあげられる。
別の一つは、酸処理したプロテオグリカンに塩基性アミノ酸を加え、接触させることにより、第1及び第2の実施の形態に係るプロテオグリカンの陰電荷部位に塩基性アミノ酸を付加させる。加える塩基性アミノ酸の量は、種類やプロテオグリカンの性質により異なる。塩基性アミノ酸としては、アルギニン、リシン、ヒスチジンがある。また、アミノ酸の一種であるシトルリンやオルニチンなどや塩基性アミノ酸の高分子であるポリリシンも有効である。
弱酸と強塩基からなるイオン性化合物や塩基性アミノ酸を、酸処理したプロテオグリカンと数十分間以上接触させておくと、酸処理したプロテオグリカンに一部付加する。得られた第1及び第2の実施の形態に係るプロテオグリカンは乾燥粉末化してもよいし、このままの溶液状でもよい。また、透析処理やエタノ−ルやアセトンなどにより沈殿処理を行って、過剰のイオン性化合物や塩基性アミノ酸を除去してもよい。
このようにして得られた陰イオン物質や塩基性アミノ酸が付加したプロテオグリカンは、付加する前のプロテオグリカンに比較し、保水性がさらに向上する。
第1及び第2の実施の形態に係るプロテオグリカンや陰イオン物質や塩基性アミノ酸が付加したプロオグリカンを化粧料の原料の一部に用いることにより、製品価値の向上を図ることが可能になる。化粧料としては、皮膚を健やかに保ち、肌を整えることを目的としている皮膚用化粧品やトイレタリー用品などがある。皮膚用化粧品の具体例として、化粧水や美容液、乳液、クリ−ム、リップ類などに適用できる。トイレタリー用品としては、シャンプー、リンスから、入浴剤、石鹸などがある。
(第1の実施の形態:鮭由来プロテオグリカン)
第1の実施の形態に係るプロテオグリカンの骨格構造を明確にするため、比較例1として、常法により鮭由来プロテオグリカンを調製した。生のシロザケの胴体より頭部を切断し、頭部の表皮と肉片を除去し、鼻軟骨部分を裁断し、集めた。鮭鼻軟骨1Kgに対して、5%酢酸(関東化学(株))を4L加え、室温でときどき撹拌した。1日後、ろ過により固形分を除去し、溶液を得た。この溶液を分子量10万の限外ろ過膜(ミリポア社)を付着した卓上型循環式濃縮装置((株)トライテック)に通し、加水しながら、分子量10万以上の成分を集めた。残っている低分子成分を除去するため、透析用セルロ−スチュ−ブ(三光純薬(株))に分子量10万以上の画分を入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は定期的に交換した。透析用セルロ−スチュ−ブ内溶液を凍結乾燥し、固形分の重量を測定したところ、6gであった(比較例1)。
得られた比較例1に係る鮭由来プロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるロ−リ−法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、10.7%(重量比)であった。また、得られたプロテオグリカンのウロン酸含量を、比色法であるカルバゾ−ル硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、27.4%(重量比)であった。
比較例1に係る鮭由来プロテオグリカンの赤外吸収ピークをKBr法にて測定した。装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株))を用いた。
図1は、比較例1に係る鮭由来プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを測定した結果である。グラフの横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過率(%T)を示す。グラフ内の数字は吸収箇所を表す。数字の波数は、1:3419cm−1、2:2937cm−1、3:2367cm−1、4:2341cm−1、6:1642cm−1、7:1420cm−1、8:1379cm−1、9:1234cm−1、10:1129cm−1、11:1067cm−1、12:596cm−1である。
(実施例1:クエン酸処理)
実施例1に係るプロテオグリカンは、以下のように調製した。比較例1に係る鮭由来プロテオグリカンを試料として、この試料0.5gを蒸留水100mLに溶解し、4℃の低温室にて、撹拌しながらクエン酸一水和物(和光純薬工業(株))を0.05g添加した。一晩放置し、透析用セルロ−スチュ−ブ(三光純薬(株))に入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は1日に3回、交換した。透析用セルロ−スチュ−ブ内液を凍結乾燥したところ、0.45gの実施例1に係るプロテオグリカンを得た。また、この実施例1に係る鮭由来プロテオグリカン0.2gを蒸留水100mLに溶解したところ、pH2.7であった。
得られた実施例1に係る鮭由来プロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるロ−リ−法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、16.4%(重量比)であった。また、得られた実施例1に係る鮭由来プロテオグリカンのウロン酸含量を、比色法であるカルバゾ−ル硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、31.5%(重量比)であった。
実施例1に係る鮭由来プロテオグリカンの赤外吸収ピークをKBr法にて測定した。装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株))を用いた。
図2は、実施例1に係る鮭由来プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを測定した結果である。グラフの横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過率(%T)を示す。グラフ内の数字は吸収箇所を表す。本発明の実施例1に係る鮭由来プロテオグリカンの特徴である、5:波数1736cm−1に吸収が見られ、図1の赤外吸収スペクトルに見られた1420cm−1付近に吸収ピークはほとんどなかった。他に1:3421cm−1、2:2930cm−1、3:2370cm−1、4:2341cm−1、6:1641cm−1、8:1378cm−1、9:1227cm−1、10:1158cm−1、11:1071cm−1、12:594cm−1にプロテオグリカンの吸収が見られた。図2から、実施例1に係る鮭由来プロテオグリカンは、波数1736cm−1付近に赤外吸収ピークを呈する第1の固有分子構造を有し、1420cm−1付近の赤外吸収ピークを呈する第2の固有分子構造が比較例1に係る鮭由来プロテオグリカンの主分子鎖から削減された分子構造を備えることが理解できる。
(実施例2:塩酸処理)
実施例2に係るプロテオグリカンは、以下のように調製した。比較例1に係る鮭由来プロテオグリカンを試料として、この試料2gを蒸留水800mLに溶解し、4℃の低温室にて、撹拌しながら最終濃度0.05Mになるように塩酸を添加した。3時間後、透析用セルロ−スチュ−ブ(三光純薬(株))に入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は1日に3回、交換した。透析用セルロ−スチュ−ブ内液を凍結乾燥したところ、収量1.6gで、実施例2に係るプロテオグリカンを得た。この実施例2に係るプロテオグリカン0.2gを蒸留水100mLに溶解したところ、pH2.6であった。
得られた実施例2に係るプロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるロ−リ−法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、12.4%(重量比)であった。また、得られたプロテオグリカンのウロン酸含量を、比色法であるカルバゾ−ル硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、29.2%(重量比)であった。
実施例2に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークをKBr法にて測定した。装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株))を用いた。
図3は、実施例2に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークを測定した結果を示す赤外吸収スペクトルである。グラフの横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過率(%T)を示す。グラフ内の数字は吸収箇所を表す。実施例1に係るプロテオグリカンの場合と同様に、本発明のプロテオグリカンの特徴である、5:波数1736cm−1に吸収ピークが見られ、図1の赤外吸収スペクトルに見られた7番目のピークである1420cm−1の吸収ピークは弱かった。他に1:3421cm−1、2:2929cm−1、3:2369cm−1、4:2341cm−1、6:1651cm−1、8:1378cm−1、9:1226cm−1、10:1158cm−1、11:1071cm−1、12:584cm−1にプロテオグリカンの吸収が見られた。
図3から、実施例2に係る鮭由来プロテオグリカンは、実施例1に係るプロテオグリカンの場合と同様に、波数1736cm−1付近に赤外吸収ピークを呈する第1の固有分子構造を有し、1420cm−1付近の赤外吸収ピークを呈する第2の固有分子構造の少なくとも一部が、比較例1に係る鮭由来プロテオグリカンの主分子鎖から削減された分子構造を備えることが理解できる。図3を、図2に示した実施例1に係るプロテオグリカンの赤外吸収スペクトルと比較すれば、クエン酸処理に係る実施例1のプロテオグリカンも、塩酸処理に係る実施例2のプロテオグリカンも、波数4000cm−1〜400cm−1の範囲においてはほぼ同一の赤外吸収スペクトルを示し、処理方法に依存しない共通の特有な分子構造を有することが理解できる。
比較例1及び実施例2に係るプロテオグリカンの分子量を高速液体クロマトグラフィ−で測定した。ポンプはL−6200(日立製作所(株)、示差屈折計はXRD−880((有)島村計器製作所)、デ−タ処理装置はD−2500(日立製作所(株))、カラムはTSKgel G5000PWXL(7.8×300mm、東ソ−(株))、溶離液は20mMリン酸緩衝液(pH6.8)、流速0.5mL/分で分析し、ピ−クの溶出時間を測定し、分子量標準物質としてプルラン(製品名:STANDARD P−82、昭和電工(株))を用いた検量線から分子量求めた。その結果、検出されたピ−クはプロテオグリカンのピーク1本のみで、対称形であり、比較例1に係るプロテオグリカンの分子量は27万、実施例2に係るプロテオグリカンの分子量は19万であった。
(実施例3:陰イオンの付加)
実施例2に係るプロテオグリカン0.3gを蒸留水100mLに溶解し、リン酸三ナトリウム・十二水和物(関東化学(株))を0.18g添加し、室温で撹拌した。この溶液を透析用セルロ−スチュ−ブ(三光純薬(株))に入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は1日に3回、交換し、実施例3に係るプロテオグリカンを調製した。
3日後に、透析用セルロ−スチュ−ブ内溶液のpHを測定すると5.2であった。この実施例3に係るプロテオグリカンの溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥物のリン酸量を、比色法による化学分析(リンモリブデン酸還元法Fiske−Subbarow法)により吸光度を測定し、リン酸二水素カリウム(試薬特級、関東化学(株))を標準物質として検量線から求めたところ、実施例3に係るプロテオグリカンのリン酸量は82μgであった。なお、実施例2に係るプロテオグリカンのリン酸量を同様に測定したが、リン酸は検出されなかった。
(比較例1に係るプロテオグリカンの保水性の測定)
比較例1に係るプロテオグリカン0.5g、0.3g、0.1gをそれぞれ蒸留水100mLに溶解し、透析用セルロ−スチュ−ブ(外周9cm×長さ35cm、三光純薬(株))に入れ、上下の口を封じ、4℃の低温室で、水に対して透析した。最初3日間は毎日1回、水を交換し、その後は1週間に1回水を交換した。吸水した透析用セルロ−スチュ−ブの重量を不定期に測定し、あらかじめ測定した風袋の重量を控除し、吸水・保水した量を求めた。
図4は、比較例1に係るプロテオグリカンの保水性を測定した結果である。グラフの横軸は経過時間(日)を示し、縦軸は、透析用セルロ−スチュ−ブ内液の重量(g)を示す。比較例1に係るプロテオグリカンの場合でも、プロテオグリカンの量が多いと、吸水・保水量が多くなることが明らかになった。
(実施例4〜7:陰イオン及び塩基性アミノ酸の付加)
実施例2に係るプロテオグリカン0.3gを蒸留水100mLに溶解し、クエン酸三カリウム・一水和物(和光純薬工業(株))を1.1g、リン酸三ナトリウム・十二水和物(和光純薬工業(株))を0.3g、炭酸ナトリウム(関東化学(株))を0.1g、アルギニン(和光純薬工業(株))を0.2g、それぞれ添加し、撹拌し、それぞれ実施例4、5、6及び7に係るプロテオグリカンの溶液を調製した。これら実施例4、5、6及び7に係るプロテオグリカンの各溶液と上記で調製した比較例1に係るプロテオグリカンの0.3%溶液100mLと実施例1及び2に係るプロテオグリカンの0.3%溶液100mLを、それぞれ透析用セルロ−スチュ−ブ(外周9cm×長さ35cm、三光純薬(株))に入れ、上下の口を封じ、4℃の低温室で、水に対して透析した。最初3日間は毎日1回、水を交換し、その後は1週間に1回水を交換した。吸水した透析用セルロ−スチュ−ブの重量を経日的に測定し、あらかじめ測定した風袋の重量を控除し、吸水・保水した量を求めた。
図5は、比較例1、実施例1、2及び実施例4〜7に係るプロテオグリカンの保水性を測定した結果である。グラフの横軸は経過時間(日)を示し、縦軸は、透析用セルロ−スチュ−ブ内液の重量(g)を示す。この結果、30日間で、実施例1及び2に係るプロテオグリカンの保水性は、比較例1に係るプロテオグリカンに比較して、向上したことが分かる。また、リン酸三ナトリウム・十二水和物、クエン酸三カリウム・一水和物、炭酸ナトリウム、アルギニンを添加した実施例4、5、6及び7に係るプロテオグリカンは、比較例1に係るプロテオグリカンに比較して、吸水・保水量が多くなることが分かる。特に、実施例5に係るリン酸三ナトリウム・十二水和物では、約2.4倍にもなった。
これら実施例4、5、6及び7に係るプロテオグリカンの溶液について、30日後のpHを測定したところ、クエン酸三カリウム・一水和物添加はpH5.1、リン酸三ナトリウム・十二水和物添加はpH5.2、炭酸ナトリウム添加はpH5.6、アルギニン添加はpH5.1であった。
(実施例8)
実施例2に係るプロテオグリカン0.3gを100mLの蒸留水に溶解し、クエン酸三ナトリウム・一水和物(和光純薬工業(株))を1.3g添加し、室温で撹拌して、実施例8に係るプロテオグリカンの溶液を調製した。この実施例8に係るプロテオグリカンの溶液と比較例1に係るプロテオグリカン0.3%溶液100mLをそれぞれ透析用セルロ−スチュ−ブ(外周9cm×長さ35cm、三光純薬(株))に入れ、上下の口を封じ、4℃の低温室で、水に対して透析した。最初3日間は毎日1回、水を交換し、その後は1週間に1回水を交換した。吸水した透析用セルロ−スチュ−ブの重量を不定期に測定し、あらかじめ測定した風袋の重量を控除し、吸水・保水した量を求めた。
図6は、保水性を測定した結果である。グラフの横軸は経過時間(日)を示し、縦軸は、透析用セルロ−スチュ−ブ内液の重量(g)を示す。この結果、180日間で、プロテオグリカンを塩酸処理し、クエン酸三ナトリウムを添加した実施例8に係るプロテオグリカンは、元の比較例1に係るプロテオグリカンに比較して約3倍以上の吸水・保水量を示した。
実施例5に係るプロテオグリカンを含む美容液を試作した。実施例5に係るプロテオグリカンは、実施例2に係るプロテオグリカンにリン酸三ナトリウム・十二水和物を添加し、透析処理し、凍結乾燥し、調製した。実施例5に係るプロテオグリカン5mgとビタミンC250mg、グリセリン10mLを蒸留水40mLに溶解し、ガラス瓶に入れ、完成である。得られた美容液は、無色透明、清澄であり、肌に塗布したとき、べたつき感がなく、さらさらしているが、しっとり感が感じられるものであった。
実施例5に係るプロテオグリカンを含むクリ−ムを試作した。実施例5に係るプロテオグリカンは、実施例2に係るプロテオグリカンにリン酸三ナトリウム・十二水和物を添加し、透析処理し、凍結乾燥し、調製した。実施例5に係るプロテオグリカン10mgを水24mLに溶解し、オリ−ブオイル20mL、乳化ワックス6gを混合し、広口のプラスチックの瓶に入れた。また、プロテオグリカンを含まないクリームを、水24mLに溶解し、オリ−ブオイル20mL、乳化ワックス6gを混合し同様に試作した。結果、両者のクリ−ムを肌に塗布したとき、プロテオグリカンを含むクリームは、含まないクリームよりしっとり感が感じられるものであった。
(第2の実施の形態:鮫由来プロテオグリカン)
第2の実施の形態に係るプロテオグリカンの骨格構造を明確にするため、比較例2として、常法により鮫由来プロテオグリカンを調製した。市販の鮫軟骨粉末100gに対して、5%酢酸(関東化学)を1L加え、4℃で一晩、撹拌した。遠心分離により固形分を除去し、溶液を得た。この溶液を分子量10万の限外ろ過膜(ミリポア社)を付着した卓上型循環式濃縮装置((株)トライテック)に通し、加水しながら、分子量10万以上の成分を集めた。残っている低分子成分を除去するため、透析用セルロ−スチュ−ブ(三光純薬(株))に分子量10万以上の画分を入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は定期的に交換した。透析用セルロ−スチュ−ブ内溶液を凍結乾燥し、固形分の重量を測定したところ、0.8gであった。
得られた比較例2に係るプロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるロ−リ−法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、14.9%(重量比)であった。また、得られた比較例2に係るプロテオグリカンのウロン酸含量を、比色法であるカルバゾ−ル硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、33.8%(重量比)であった。
比較例2に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークをKBr法にて測定した。装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株))を用いた。
図7は、比較例2に係るプロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを測定した結果である。グラフの横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過率(%T)を示す。グラフ内の数字は吸収箇所を表す。数字の波数は、1:3425cm−1、2:2937cm−1、3:2371cm−1、4:2341cm−1、6:1650cm−1、7:1424cm−1、8:1380cm−1、9:1233cm−1、10:1129cm−1、11:1069cm−1、12:585cm−1である。図7を、図1に示した比較例1に係るプロテオグリカンの赤外吸収スペクトルと比較すれば、第1の実施の形態で説明した鮭由来のプロテオグリカンも第2の実施の形態で説明する鮫由来のプロテオグリカンも、波数4000cm−1〜400cm−1の範囲においては、ほぼ同一の赤外吸収スペクトルを示し、共通の分子鎖を基礎とする分子構造を有することが理解できる。
(実施例9:塩酸処理)
この比較例2に係るプロテオグリカン0.5gを蒸留水100mLに溶解し、4℃の低温室にて、撹拌しながら最終濃度0.05Mになるように塩酸を添加した。3時間後、透析用セルロ−スチュ−ブ(三光純薬(株))に入れ、4℃の低温室で、水に対して中性になるまで3日間透析した。外液の水は定期的に交換した。透析用セルロ−スチュ−ブ内液を凍結乾燥したところ、収量は0.36gで実施例9に係るプロテオグリカンを得た。この実施例9に係るプロテオグリカン0.3gを蒸留水100mLに溶解したところ、pH2.4であった。
得られた実施例9に係るプロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるロ−リ−法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、9.4%(重量比)であった。また、得られた実施例9に係るプロテオグリカンのウロン酸含量を、比色法であるカルバゾ−ル硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、14.0%(重量比)であった。
実施例9に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークをKBr法にて測定した。装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株))を用いた。
図8は、実施例9に係るプロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを測定した結果である。グラフの横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過率(%T)を示す。グラフ内の数字は吸収箇所を表す。実施例1及び2に係るプロテオグリカンの場合と同様に、本発明の実施例9に係るプロテオグリカンの特徴である、5:波数1736cm−1に吸収が見られ、図1の赤外吸収スペクトルに見られた7番目のピークである1420cm−1の吸収は弱かった。他に1:3420cm−1、2:2929cm−1、3:2371cm−1、4:2343cm−1、6:1642cm−1、8:1379cm−1、9:1224cm−1、10:1158cm−1、11:1057cm−1、12:589cm−1にプロテオグリカンの吸収ピークが見られた。
図8から、実施例9に係る鮫由来プロテオグリカンは、実施例1及び2に係るプロテオグリカンの場合と同様に、波数1736cm−1付近に赤外吸収ピークを呈する第1の固有分子構造を有し、1420cm−1付近の赤外吸収ピークを呈する第2の固有分子構造の少なくとも一部が、比較例2に係る鮭由来プロテオグリカンの主分子鎖から削減された分子構造を備えることが理解できる。図8を、図2及び図3に示した実施例1及び2に係るプロテオグリカンの赤外吸収スペクトルと比較すれば、第1の実施の形態で説明した鮭由来のプロテオグリカンも第2の実施の形態で説明する鮫由来のプロテオグリカンも、波数4000cm−1〜400cm−1の範囲においては、ほぼ同一の赤外吸収スペクトルを示し、共通の分子構造を有することが理解できる。よって、本発明の規定する分子構造は、第1及び第2の実施の形態で説明する鮭及び鮫に限定されるものではなく、鮭、鮫以外の鯨、エイなどの魚類の軟骨或いは牛、鶏などの動物の軟骨を由来とする種々のプロテオグリカンに適用可能であることが理解できる。
(実施例10:陰イオンの付加)
実施例9に係るプロテオグリカン0.3gを蒸留水100mLに溶解し、クエン酸三ナトリウム・一水和物(和光純薬工業(株))を0.7g添加し、室温で撹拌し、実施例10に係るプロテオグリカンを調製した。
(比較例3:アルカリ抽出)
常法により比較例3に係る鮫由来プロテオグリカンを調製した。市販の鮫軟骨粉末10gに対して、0.05M水酸化ナトリウム(関東化学(株))溶液を200mL加え、4℃で一晩、撹拌した。遠心分離により固形分を除去し、溶液を得た。この溶液を分子量10万の限外ろ過膜(ミリポア社)を付着した卓上型循環式濃縮装置((株)トライテック)に通し、加水しながら、分子量10万以上の成分を集めた。残っている低分子成分を除去するため、透析用セルロ−スチュ−ブ(三光純薬(株))に分子量10万以上の画分を入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は定期的に交換した。透析用セルロ−スチュ−ブ内溶液を凍結乾燥し、固形分の重量を測定したところ、0.95gの比較例3に係るプロテオグリカンを得た。
得られた比較例3に係るプロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるロ−リ−法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、15.1%(重量比)であった。また、得られた比較例3に係るプロテオグリカンのウロン酸含量を、比色法であるカルバゾ−ル硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、26.3%(重量比)であった。
比較例3に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークをKBr法にて測定した。装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株))を用いた。
図9は、比較例3に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークを測定した結果である。グラフの横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過率(%T)を示す。グラフ内の数字は吸収箇所を表す。数字の波数は、1:3444cm−1、2:2933cm−1、3:2371cm−1、4:2341cm−1、6:1651cm−1、7:1415cm−1、8:1379cm−1、9:1239cm−1、10:1128cm−1、11:1067cm−1、12:582cm−1である。図9から、比較例3に係るアルカリ抽出をした鮭由来プロテオグリカンは、図1に示した比較例1及び図7に示した比較例2と同様に、図8に示された波数1736cm−1付近の赤外吸収ピークがなく、1420cm−1付近の赤外吸収ピークに近い、1415cm−1付近の赤外吸収ピークが存在することが分かる。
(実施例11:アルカリ抽出後の塩酸処理)
比較例3に係るプロテオグリカン0.5gを蒸留水100mLに溶解し、4℃の低温室にて、撹拌しながら最終濃度0.05Mの塩酸になるように塩酸を添加した。3時間後、透析用セルロ−スチュ−ブ(三光純薬(株))に入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は1日に3回、交換した。透析用セルロ−スチュ−ブ内液を凍結乾燥したところ、収量は0.43gの実施例11に係るプロテオグリカンを得た。この実施例11に係るプロテオグリカン0.3gを蒸留水100mLに溶解したところ、pH2.3であった。
得られた実施例11に係るプロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるロ−リ−法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、20.7%(重量比)であった。また、得られた実施例11に係るプロテオグリカンのウロン酸含量を、比色法であるカルバゾ−ル硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、26.9%(重量比)であった。
実施例11に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークをKBr法にて測定した。装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株))を用いた。
図10は、実施例11に係るプロテオグリカンの赤外吸収ピークを測定した結果である。グラフの横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過率(%T)を示す。グラフ内の数字は吸収箇所を表す。実施例1、2及び9に係るプロテオグリカンの場合と同様に、本発明の実施例11に係るプロテオグリカンの特徴である、5:波数1736cm−1に吸収が見られ、図1、図7及び図9の赤外吸収スペクトルに見られた7番目のピークである1420cm−1の吸収は非常に弱かった。他に1:3411cm−1、2:2932cm−1、3:2373cm−1、4:2341cm−1、6:1642cm−1、8:1378cm−1、9:1223cm−1、10:1162cm−1、11:1055cm−1、12:587cm−1にプロテオグリカンの吸収が見られた。図10から、実施例11に係る鮫由来プロテオグリカンは、実施例1、2及び9に係るプロテオグリカンの場合と同様に、波数1736cm−1付近に赤外吸収ピークを呈する第1の固有分子構造を有し、1420cm−1付近の赤外吸収ピークを呈する第2の固有分子構造の少なくとも一部が、比較例3に係る鮭由来プロテオグリカンの主分子鎖から削減された分子構造を備えることが理解できる。
図10を、図2、図3及び図8に示した実施例1、2及び9に係るプロテオグリカンの赤外吸収スペクトルと比較すれば、第1の実施の形態で説明した鮭由来のプロテオグリカンも第2の実施の形態で説明する鮫由来のプロテオグリカンも、波数4000cm−1〜400cm−1の範囲においては、ほぼ同一の赤外吸収スペクトルを示し、共通の固有な分子構造を有することが理解できる。又、クエン酸処理、塩酸処理、アルカリ抽出−塩酸処理等の処理方法にも依存しないで、波数4000cm−1〜400cm−1の範囲においては、ほぼ同一の赤外吸収スペクトルを示し、共通の固有な分子構造を有することが理解できる。よって、本発明が規定する特有な分子構造は、第1及び第2の実施の形態に係る鮭及び鮫に限定されるものではなく、鮭、鮫以外の鯨、エイなどの種々の魚類の軟骨或いは牛、鶏などの種々の動物の軟骨を由来とする種々のプロテオグリカンにも適用可能であることが理解できる。更に本発明が規定する特有な分子構造は、プロテオグリカンの抽出薬剤についても、酢酸などの有機酸や酸、アルカリ、グアニジン塩酸等に限定されるものではないことが理解できる。
(実施例12:陰イオンの付加)
実施例11に係るプロテオグリカン0.3gを蒸留水100mLに溶解し、クエン酸三ナトリウム・一水和物(和光純薬工業(株))を0.9g添加し、室温で撹拌し、実施例12に係るプロテオグリカンを調製した。
(保水性の測定)
(a)比較例2に係る鮫プロテオグリカン−酢酸抽出0.3%溶液100mLと(b)実施例10に係る鮫酢酸抽出−塩酸処理プロテオグリカン0.3gにクエン酸三ナトリウム添加物100mL、(c)比較例3に係る鮫プロテオグリカン−アルカリ抽出0.3%溶液100mLと(d)実施例12に係る鮫アルカリ抽出−塩酸処理0.3gにクエン酸三ナトリウム添加物100mL、(e)比較例4に係るヒアルロン酸ナトリウム(鶏冠由来、和光純薬工業(株))0.3%溶液100mLをそれぞれ透析用セルロ−スチュ−ブ(外周9cm×長さ35cm、三光純薬(株))に入れ、上下の口を封じ、4℃の低温室で、水に対して透析した。最初3日間は毎日1回、水を交換し、その後は1週間に1回水を交換した。吸水した透析用セルロ−スチュ−ブの重量を不定期に測定し、あらかじめ測定した風袋の重量を控除し、吸水・保水した量を求めた。
図11は、実施例10及び12に係るプロテオグリカンを比較例2〜4とともに保水性を測定した結果である。グラフの横軸は経過時間(日)を示し、縦軸は、透析用セルロ−スチュ−ブ内液の重量(g)を示す。この結果、30日間で、クエン酸三ナトリウムを添加した実施例10及び12に係るプロテオグリカンは、比較例4に係るヒアルロン酸ナトリウムより高い吸水・保水量を示すことが分かる。更に、実施例10及び12に係るプロテオグリカンは、それぞれの原料となった元のプロテオグリカンである比較例2及び3に係るプロテオグリカンに比較して、約1.5倍〜2倍以上の吸水・保水量を有することが明らかになった。
クエン酸三ナトリウム・一水和物を添加した実施例10及び12に係るプロテオグリカン溶液の30日間透析した後の溶液のpHを測定したところ、実施例10及び12に係るプロテオグリカンともpH5.1であった。
プロテオグリカンは、さまざまな機能を有すことが報告されており、本発明により保水性が改善されたものが提供されることにより、化粧料産業に広く利用されることが可能である。
(実施例1:クエン酸処理)
実施例1に係るプロテオグリカンは、以下のように調製した。比較例1に係る鮭由来プロテオグリカンを試料として、この試料0.5gを蒸留水100mLに溶解し、4℃の低温室にて、撹拌しながらクエン酸一水和物(和光純薬工業(株))を10g添加した。一晩放置し、透析用セルロースチューブ(三光純薬(株))に入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は1日に3回、交換した。透析用セルロースチューブ内液を凍結乾燥したところ、0.45gの実施例1に係るプロテオグリカンを得た。また、この実施例1に係る鮭由来プロテオグリカン0.2gを蒸留水100mLに溶解したところ、pH2.7であった。

Claims (5)

  1. 分子量10万以上の主分子鎖を骨格として有するプロテオグリカンであって、波数1736cm−1付近に赤外吸収ピークを呈する第1の固有分子構造を有し、1420cm−1付近の赤外吸収ピークを呈する第2の固有分子構造が、分子吸光係数が25以下となるように、前記主分子鎖から削減された分子構造を備えることを特徴とするプロテオグリカン。
  2. 前記分子構造内の陽電荷部位に、陰イオン物質の分子が付加していることを特徴とする請求項1に記載のプロテオグリカン。
  3. 前記陰イオン物質がカルボン酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオンから選ばれる1種以上であることを特徴とするプロテオグリカン。
  4. 前記分子構造内の陰電荷部位に、塩基性アミノ酸の分子が付加していることを特徴とする請求項1に記載のプロテオグリカン。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロテオグリカンを0.01質量%以上含有することを特徴とする化粧料。
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