JP2014140837A - 分離膜エレメント - Google Patents

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健太朗 高木
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俊介 田林
Yoshie Marutani
由恵 丸谷
Yoshiki Okamoto
宜記 岡本
Hiroyuki Yamada
博之 山田
Shuji Furuno
修治 古野
Tsuyoshi Hamada
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Takao Sasaki
崇夫 佐々木
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Abstract

【課題】長期間にわたり運転されたときの分離膜エレメントの分離除去性能を安定化させる。
【解決手段】
集水管、および集水管に巻回された膜を備える分離膜エレメントにおいて、リーフ間を接着する接着剤の少なくとも一部が、膜の巻回方向において透過側流路材よりも外側に配置されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用される分離膜エレメントに関する。
海水およびかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントに使用される分離膜は、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種の形状が提案されている。
スパイラル型分離膜エレメントでは、一般的に、供給側流体の流路を形成させるために、供給側流路材として、主に高分子製のネットが使用される。また、透過側流路材としては、分離膜の落ち込みを防ぎ、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔の細かいトリコットと呼ばれる編み物部材が使用される。
特開2006−247453号公報 特開2010−99590号公報
しかし、上記した分離膜エレメントは、長期間にわたり運転を行った際の安定性が十分に高いとは言えない。そこで、本発明は、長期間にわたり運転されたときの分離膜エレメントの分離除去性能を安定化させることのできる分離膜エレメントを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の分離膜エレメントは、集水管、および前記集水管に巻回された封筒状膜を備える分離膜エレメントであって、
前記封筒状膜は、
基材および分離機能層を有し、前記基材側の面が互いに対向するように配置された分離膜と、
前記分離膜の基材側の面に固着した流路材と、
接着剤によって対向する前記分離膜の基材側の面の間が封止された封止部と、
を備え、
前記接着剤の少なくとも一部は、前記流路材よりも、前記封筒状膜の巻回方向において前記流路材よりも外側に配置される。
本発明によって、長期間にわたり運転を行っても安定した透過側流路を形成することができ、分離膜エレメントを得ることができる。
分離膜リーフの一形態を示す分解斜視図である。 分離膜の長さ方向において連続的に設けられた流路材を備える分離膜を示す平面図である。 分離膜の長さ方向において不連続的に設けられた流路材を備える分離膜を示す平面図である。 図2および図3の分離膜の断面図である。 分離膜本体の概略構成を示す断面図である。 分離膜エレメントの一形態を示す展開斜視図である。 実施例1における分離膜リーフの形態を示す模式図である。 実施例2における分離膜リーフの形態を示す模式図である。 実施例3における分離膜リーフの形態を示す模式図である。 実施例4における分離膜リーフの形態を示す模式図である。 実施例5における分離膜リーフの形態を示す模式図である。 図7の封筒状膜のA-A断面図である。 封筒状膜における封止部の配置の他の例を示す断面図である。 図8の封筒状膜のA-A断面図である。 封筒状膜における封止部の配置の他の例を示す断面図である。 封筒状膜における封止部の配置の他の例を示す断面図である。 図11の封筒状膜のA-A断面図である。 実施例9における分離膜リーフの形態を示す模式図である。 実施例10における分離膜リーフの形態を示す模式図である。 図18の封筒状膜のA-A断面図である。 図19の封筒状膜のB-B断面図である。
以下、本発明の実施の一形態について、詳細に説明する。
〔1.分離膜〕
(1−1)分離膜の概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。以下の実施施形態において、分離膜の透過側の面には、流路材が固着している。流路材は固着により分離膜と一体化しているので、流路材も含めて分離膜とみなすこともできる。よって、以下では、流路材と膜部分とを区別するために、膜部分を「分離膜本体」と称することがある。すなわち、分離膜は、分離膜本体と、分離膜本体上に配置された流路材とを備えるとも表現できる。
このような分離膜の例として、本実施形態の分離膜1は、図1に示すように、分離膜本体2と透過側の流路材3とを備える。分離膜本体2は、供給側の面21と透過側の面22とを備える。
本書において、分離膜本体の「供給側の面」とは、分離膜本体の2つの面のうち、原水が供給される側の表面を意味する。「透過側の面」とは、その逆側の面を意味する。後述するように分離膜本体が、図7に示すように、基材201及び分離機能層203を備える場合は、一般的に、分離機能層側の面が供給側の面であり、基材側の面が透過側の面である。
流路材3は、透過側の面22上に、流路を形成するように設けられている。分離膜1の各部の詳細については後述する。
図中にx軸、y軸、z軸の方向軸を示す。図1等に示すように、分離膜本体2は長方形であり、x軸方向およびy軸方向は、分離膜本体2の外縁に平行である。x方向は分離膜の幅方向に相当し、y軸方向が長さ方向に相当する。また、製膜時の方向の観点から、幅方向をCD(Cross direction)、長さ方向をMD(Machine direction)と称することがある。
(1−2)分離膜本体
<概要>
分離膜本体としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜本体は、単一層によって形成されていてもよいし、分離機能層と基材とを備える複合膜であってもよい。また、図7に示すように、複合膜においては、分離機能層203と基材201との間に、多孔性支持層202が形成されていてもよい。
<分離機能層>
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5nm以上3000nm以下であることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5nm以上300nm以下であることが好ましい。
分離機能層の厚みは、これまでの分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚みの測定が可能である。また、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持層より上に位置するひだ構造の断面長さ方向に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定し、その平均から求めることができる。
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であってもよいし、分離機能のみを備えていてもよい。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を備える層を指す。
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、またはポリスルホンを主成分として含有する層が好ましく適用される。
なお、本書において、「XがYを主成分として含有する」とは、XにおけるYの含有率が、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であることを意味する。また、Yに該当する複数の成分が存在する場合は、それら複数の成分の合計量が、上述の範囲を満たせばよい。
一方、多孔性支持層分離機能層としては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという点で架橋高分子が好ましく使用される。特に、原水中の成分の分離性能に優れるという点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、有機無機ハイブリッド機能層などが好適に用いられる。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成可能である。
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。このような膜は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することで形成される。例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、ポリアミド分離機能層が得られる。
また、分離機能層の構成成分はポリアミドに限定されるものではなく、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッドであってもよい。
なお、いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
<多孔性支持層>
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層に使用される材料やその形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基板上に形成されてもよい。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
多孔性支持層は、分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離膜のような分離性能を有さない。多孔性支持層の有する孔のサイズおよび孔の分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよいし、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径の分布を有してもよい。また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。特に界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3nm以上50nm以下の投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持層の厚みは特に限定されないが、分離膜に強度を与えるため等の理由から、20μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3kV〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真に基づいて、多孔性支持層の膜厚、表面の投影面積円相当径を測定することができる。
多孔性支持層の厚み、孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された、各投影面積円相当径の平均値である。
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成される。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒は調整可能である。
例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって得ることができる。
<基材>
分離膜本体の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜本体は基材を有してもよい。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は、優れた製膜性を有するので、高分子重合体の溶液を流延した際に、その溶液が過浸透により裏抜けすること、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布と比べて、高分子溶液流延時に繊維の毛羽立ちによって起きる不均一化および膜欠点の発生を抑制することができる。さらに、分離膜は、連続製膜されるときに、製膜方向に対し張力がかけられるので、寸法安定性に優れる長繊維不織布を基材として用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるだけでなく、分離膜に凹凸を付与する際の、多孔性支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、分離膜表面の凹凸形状が安定するので好ましい。
より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°以上25°以下であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°以上90°以下であることが好ましい。
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において、収縮は顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°以上90°以下であると、熱による幅方向の変化を抑制することもできるので好ましい。
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標である。具体的には、繊維配向度とは、連続製膜を行う際の製膜方向(MD)、つまり不織布基材の長手方向と、不織布基材を構成する繊維の長手方向との間の角度の平均値である。つまり、繊維の長手方向が製膜方向と平行であれば、繊維配向度は0°である。また、繊維の長手方向が製膜方向に直角であれば、すなわち不織布基材の幅方向に平行であれば、その繊維の配向度は90°である。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は以下のように測定される。まず、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。次に、そのサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影する。撮影像の中で、各サンプルあたり10本の繊維を選び、不織布の長手方向を0°としたときの、繊維の長手方向の角度を測定する。ここで、不織布の長手方向とは、不織布製造時の“Machine direction”を指す。また、不織布の長手方向は、多孔性支持層の製膜方向に一致する。これらの方向は、図中の長さ方向方向に一致する。図中のCD方向は、不織布製造時の“Cross direction”に一致する。こうして、1枚の不織布あたり計100本の繊維について、角度の測定が行われる。こうして測定された100本の繊維について長手方向の角度から平均値を算出する。得られた平均値の小数点以下第一位を四捨五入して得られる値が、繊維配向度である。
基材の厚みは、30μm以上300μm以下の範囲内、または50μm以上250μm以下の範囲内にあることが好ましい。
(1−3)透過側流路材
<概要>
分離膜本体の透過側の面には、基材とは異なる組成を有し、基材の厚さ方向において分離機能層とは逆側に固着することで、透過側流路を形成するように流路材が設けられる。「透過側の流路を形成するように設けられる」とは、分離膜が後述の分離膜エレメントに組み込まれたときに、分離膜本体を透過した透過流体が集水管に到達できるように、流路材が形成されていることを意味する。流路材の構成の詳細は以下のとおりである。
<流路材の構成成分>
流路材3は、分離膜本体2とは異なる材料で形成されることが好ましい。異なる材料とは、分離膜本体2で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、流路材3の組成は、分離膜本体2のうち、流路材3が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体2を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
流路材を構成する材料としては特に限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンやオレフィン共重合体などが好ましく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーも選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の流路材を形成することができる。
<<概要>>
従来広く用いられているトリコットは編み物であり、立体的に交差した糸で構成されている。つまり、トリコットは、二次元的に連続した構造を有している。このようなトリコットが流路材として適用された場合、流路の高さはトリコットの厚みよりも小さくなる。すなわち、トリコットの厚みの全てを流路の高さとして利用することはできない。
これに対して、本発明の構成の例として、図1等に示す流路材3は、互いに重ならないように配置されている。よって、本実施形態の流路材3の高さ(つまり厚み)は全て、流路の溝の高さとして活用される。よって、本実施形態の流路材3が適用された場合、流路材3の高さと同じ厚みを有するトリコットが適用された場合よりも、流路は高くなる。つまり、流路の断面積がより大きくなるので、流動抵抗はより小さくなる。
また、各図に示した形態では、不連続な複数の流路材3が、1つの分離膜本体2上に固着されている。「不連続」とは、複数の流路材が、間隔を置いて設けられている状態である。つまり、1枚の分離膜中の流路材3を分離膜本体2から剥離すると、互いに分かれた複数の流路材3が得られる。これに対して、ネット、トリコットおよびフィルム等の部材は、分離膜本体2から分離されても、連続した一体の形状を示す。
不連続な複数の流路材3が設けられていることで、分離膜1は、後述の分離膜エレメント100に組み込まれたときに、圧力損失を低く抑えることができる。このような構成の一例として、図2では、流路材3は幅方向においてのみ不連続に形成されおり、図3では幅方向および長さ方向のいずれにおいても不連続に形成されている。図2および図3において、隣接する流路材3の間に、透過側流路5が形成される。
分離膜は、分離膜エレメントにおいて長さ方向が巻回方向と一致するように配置されることが好ましい。つまり、分離膜エレメントにおいて、分離膜は、幅方向が集水管6の長手方向に平行であり、長さ方向が集水管6の長手方向に直交するように配置されることが好ましい。
流路材3は、幅方向において不連続に設けられると共に、長さ方向においては、分離膜本体2の一端から他端まで連続するように設けられている。つまり、図5のように分離膜エレメントに分離膜が組み込まれたときに、流路材3は、巻回方向における分離膜1の内側端部から外側端部まで連続するように配置される。巻回方向の内側とは、分離膜において集水管に近い側であり、巻回方向の外側とは、分離膜において集水管から遠い側である。
流路材が「長さ方向において連続する」とは、図2のように流路材が途切れることなく設けられている場合と、図3のように、流路材が途切れる箇所はあるが、流路材が実質的に連続している場合の両方を包含する。「実質的に連続する」形態とは、好ましくは、長さ方向における流路材の間隔e(つまり流路材において途切れている部分の長さ)が5mm以下であることを満たす。特に、間隔eは、1mm以下を満たすことがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。また、長さ方向において並ぶ一列の流路材の先頭から最後尾までに含まれる間隔eの合計値が、100mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく3mm以下であることがさらに好ましい。なお、図2の形態では、間隔eは0(ゼロ)である。
図2のように流路材3が途切れずに設けられている場合、加圧ろ過時に膜落ち込みが抑制される。膜落ち込みとは、膜が流路に落ち込んで流路を狭めることである。
図3では、流路材3は、幅方向だけでなく長さ方向においても不連続に設けられている。つまり、流路材3は、長さ方向において間隔をおいて設けられている。ただし、上述したように、流路材3が長さ方向において実質的に連続していることで、膜落ち込みが抑制される。また、このように、2つの方向において不連続な流路材3が設けられることで、流路材と流体との接触面積が小さくなるので圧力損失が小さくなる。この形態は、流路5が分岐点を備える構成であるとも言い換えられる。つまり、図3の構成において、透過流体は、流路5を流れながら、流路材3によって分けられ、さらに下流で合流することができる。
上述したように、図2では、流路材3が、長さ方向において分離膜本体2の一端から他端まで連続するように設けられている。また、図3では長さ方向において流路材3は複数の部分に分割されているが、これらの複数の部分が、分離膜本体2の一端から他端まで並ぶように設けられている。
流路材が「分離膜本体の一端から他端まで設けられている」とは、流路材が分離膜本体2の縁まで設けられている形態と、縁近傍において流路材が設けられていない領域がある形態との両方を包含する。
つまり、流路材は、透過側の流路を形成できる程度に、長さ方向に分離膜本体2の全体に渡って分布していればよく、分離膜本体において、流路材が設けられない部分があってもよい。例えば、透過側の面における他の分離膜との封止部分には、流路材が設けられる必要はない。また、その他の仕様上または製造上の理由により、分離膜の端部などの一部の箇所に、流路材が配置されない領域が設けられていてもよい。
幅方向においても、流路材3は、分離膜本体2の全体にわたってほぼ均等に分布することができる。ただし、長さ方向における分布と同様に、透過側の面における他の分離膜との封止部分には、流路材が設けられる必要はない。また、その他の仕様上または製造上の理由により、分離膜の端部などの一部の箇所に、流路材が配置されない領域が設けられていてもよい。
<<分離膜本体および流路材の寸法>>
図2〜図4に示すように、a〜fは下記値を指す。
a:分離膜本体2の長さ
b:分離膜本体2の幅方向における流路材3の間隔
c:流路材の高さ(流路材3と分離膜本体2の透過側の面22との高低差)
d:流路材3の幅
e:分離膜本体2の長さ方向における上記流路材の間隔
f:流路材3の長さ
値a〜fの測定には、例えば、市販の形状測定システムまたはマイクロスコープなどを用いることができる。各値は、1枚の分離膜において30箇所以上で測定を行い、それらの値を総和した値を測定総箇所の数で割って平均値を算出することで、求められる。このように、少なくとも30箇所における測定の結果得られる各値が、上記範囲を満たせばよい。
(分離膜本体の長さa)
長さaは、長さ方向における分離膜本体2の一端から他端までの距離である。この距離が一定でない場合、1枚の分離膜本体2において30箇所以上の位置でこの距離を測定し、平均値を求めることで長さaを得ることができる。
(幅方向での流路材間隔b)
幅方向における流路材3の間隔bは、流路5の幅に相当する。1つの断面において1つの流路5の幅が一定でない場合、つまり隣り合う2つの流路材3の側面が平行でない場合は、1つの断面内で、1つの流路5の幅の最大値と最小値の平均値を測定し、その平均値を算出する。図4に示すように、長さ方向に垂直な断面において、流路材3は上が細く下が太い台形状を示す場合、まず、隣接する2つの流路材3の上部間の距離と下部間の距離を測定して、その平均値を算出する。任意の30箇所以上の断面において、流路材3の間隔を測定して、それぞれの断面において平均値を算出する。そして、こうして得られた平均値の相加平均値をさらに算出することで、間隔bが算出される。
間隔bが大きくなるにつれて圧力損失が小さくなるものの、膜落ち込みが生じやすくなる。逆に間隔bが小さいほど膜落ち込みが生じにくくなるが、圧力損失は大きくなる。圧力損失を考慮すると、間隔bは0.05mm以上、0.2mm以上、または0.3mm以上であることが好ましい。また、膜落ち込みの抑制という面では、間隔bは5mm以下、3mm以下、2mm以下、または0.8mm以下であることが好ましい。
これらの上限および下限は任意に組み合わせられる。例えば、間隔bは、0.2mm以上5mm以下であることが好ましく、この範囲であれば、膜落ち込みを抑えながら圧力損失を小さくすることができる。間隔bはより好ましくは、0.05mm以上3mm以下であり、0.2mm以上2mm以下であり、さらに好ましくは0.3mm以上0.8mm以下である。
(流路材の高さc)
高さcとは、流路材と分離膜本体の表面との高低差である。図4に示すように、高さcは、長さ方向に垂直な断面における、流路材3の最も高い部分と分離膜本体の透過側面との高さの差である。すなわち、高さにおいては、基材中に含浸している部分の厚みは考慮しない。高さcは、30箇所以上の流路材3について高さを測定し、平均して得られる値である。流路材の高さcは、同一の平面内における流路材の断面の観察によって得られてもよいし、複数の平面における流路材の断面の観察によって得られてもよい。
高さcは、エレメントの使用条件および目的などに応じて適宜選択できるが、例えば以下のように設定されてもよい。
高さcが大きい方が流動抵抗が小さくなる。よって、高さcは0.03mm以上、0.05mm以上または0.1mm以上であることが好ましい。その一方で、高さcが小さい方が、1つのエレメント当たりに充填される膜の数が多くなる。よって、高さcは、0.8mm以下、0.4mm以下または0.32mm以下であることが好ましい。これらの上限および下限は組み合わせ可能であり、例えば、高さcは、0.03mm以上0.8mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.32mm以下であることがさらに好ましい。
また、隣り合う2つの流路材の高さの差が小さいことが好ましい。高さの差が大きいと加圧ろ過時に分離膜の歪みが生じるので、分離膜に欠陥が発生することがある。隣接する2つの流路材の高低差は、0.1mm以下であることが好ましく、0.06mm以下であることがより好ましく、0.04mm以下であることがさらに好ましい。
同様の理由から、分離膜に設けられた全ての流路材の最大高低差は0.25mm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.1mm以下であり、さらに好ましくは0.03mm以下である。
(流路材の幅d)
流路材3の幅dは、次のように測定される。まず、長さ方向に垂直な1つの断面において、1つの流路材3の最大幅と最小幅の平均値を算出する。つまり、図4に示すような上部が細く下部が太い流路材3においては、流路材下部の幅と上部の幅を測定し、その平均値を算出する。このような平均値を少なくとも30箇所の断面において算出し、その相加平均を算出することで、1枚の膜当たりの幅dを算出することができる。
流路材3の幅dは好ましくは0.2mm以上または0.3mm以上である。幅dが0.2mm以上であることで、分離膜エレメントの運転時に流路材3に圧力がかかっても、流路材の形状を保持することができ透過側流路が安定的に形成される。幅dは、好ましくは2mm以下または1.5mm以下である。幅dが2mm以下であることで、透過側の流路を十分確保することができる。
流路材の幅が流路材間隔bよりも広いことで、流路材にかかる圧力を分散することができる。
流路材3は、その長さがその幅よりも大きくなるように形成されている。このように長い流路材3は「壁状物」とも称される。
(長さ方向での流路材間隔e)
長さ方向における流路材3の間隔eは、長さ方向において隣り合う流路材3間の最短距離である。図2に示すように、流路材3が長さ方向において分離膜本体2の一端から他端まで(分離膜エレメント内では、巻回方向の内側端部から外側端部まで)連続して設けられている場合、間隔eは0mmである。また、図3に示すように、流路材3が長さ方向において途切れている場合、間隔eは、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以下である。間隔eが上記範囲内であることで、膜落ち込みが生じても膜への機械的負荷が小さく、流路閉塞による圧力損失を比較的小さくすることができる。なお、間隔eの下限は、0mmである。
(流路材の長さf)
流路材3の長さfは、分離膜本体2の長さ方向における流路材3の長さである。長さfは、1枚の分離膜1内で、30個以上の流路材3の長さを測定し、その平均値を算出することで求められる。流路材の長さfは、分離膜本体の長さa以下であればよい。流路材の長さfが分離膜本体の長さaと同等のときは、流路材3が分離膜1の巻回方向内側端部から外側端部へ連続的に設けられていることを指す。長さfは、好ましくは10mm以上または20mm以上である。長さfが10mm以上であることで、圧力下でも流路が確保される。
(寸法a−fの関係)
上述したように、本実施形態の流路材は、従来のトリコットのような連続形状を有する流路材に比べて圧力損失を小さくすることができる。言い換えると、本実施形態の技術によると、圧力損失が同等であっても、従来技術よりもリーフ長を大きくすることができる。リーフ長を大きくすることができると、リーフ数を低減することができる。
寸法a−fが以下の数式を満たすように設定されることで、リーフ数を特に低減することができる。
i)a(b+c)(b+d)×10−6/b(e+f)≦1400かつ
ii)850≦a≦7000かつ
iii)b≦2かつ
iv)c≦0.5かつ
v)0.15≦df/(b+d)(e+f)≦0.85
このように、透過側に流路材を所定の形態で設けることで、従来のトリコットのような連続形状を有する流路材に比べて圧力損失が小さくなるので、リーフ長を長くすることができる。よって、1個の分離膜エレメント当たりのリーフ数を低減しても、分離性能に優れる分離膜エレメントを提供することができる。
なお、上記の数式において、長さの単位はmmが採用されうる。
(形状)
流路材の形状は特に限定されないが、流路の流動抵抗を少なくし、透過させた際の流路を安定化させるような形状が選択され得る。これらの点で、分離膜の面方向に垂直ないずれかの断面において、流路材の形状は、直柱状や台形状、曲柱状、あるいはそれらの組み合わせでもよい。
流路材の断面形状が台形の場合、上底の長さと下底の長さとの差が大きすぎると、小さい方に接する膜で加圧ろ過時の膜落込みが生じやすくなる。例えば、流路材の上底の方が下底よりも短い場合、その間の流路においては、上部の幅は下部の幅よりも広い。よって、上の膜が下に向かって落ち込みやすい。そこで、このような落ち込みを抑制するために、流路材の下底の長さに対する上底の長さの比率は0.6以上1.4以下が好ましく、0.8以上1.2以下がさらに好ましい。
は、流動抵抗を低減する観点から、後述の分離膜面に対して垂直な直柱状であることが好ましい。また、流路材は、高い箇所ほど幅が小さくなるように形成されていてもよいし、逆に高い箇所ほど幅が広くなるように形成されていてもよいし、分離膜表面からの高さによらず、同じ幅を有するように形成されていてもよい。
ただし、加圧ろ過時の流路材潰れが著しくない範囲であれば、流路材の断面において、その上辺が丸みを帯びていても良い。
流路材が熱可塑性樹脂であれば、処理温度および選択する熱可塑性樹脂の種類を変更することで、要求される分離特性や透過性能の条件を満足できるように自由に流路材の形状を調整することができる。
また、流路材の分離膜の平面方向における形状は、図2および図3に示すように、全体として直線状であってもよく、その他の形状として、例えば曲線状、鋸歯状、波線状であってもよい。また、これらの形状において、流路材は破線状やドット状であってもよい。流動抵抗を低減する観点からドット状や破線状が好ましいが、流路材が途切れるために加圧ろ過時の膜落ち込みが発生する箇所が多くなるため、用途に応じて適宜設定すれば良い。
また、流路材の分離膜の平面方向における形状が直線状である場合、隣り合う流路材は、互いに略平行に配置されていてもよい。「略平行に配置される」とは、例えば、流路材が分離膜上で交差しないこと、隣り合う2つの流路材の長手方向のなす角度が0°以上30°以下であること、上記角度が0°以上15°以下であること、及び上記角度が0°以上5°以下であること等を包含する。
また、流路材の長手方向と集水管の長手方向との成す角度は、60°以上120°以下であることが好ましく、75°以上105°以下であることがより好ましく、85°以上95°以下であることがさらに好ましい。流路材の長手方向と集水管の長手方向との成す角度が上記範囲であることで、透過水が効率良く集水管に集められる。
流路を安定して形成するために、分離膜エレメント使用中に分離膜本体が加圧されても、分離膜本体の落ち込みが抑制されることが好ましい。そのためには、分離膜本体と流路材との接触面積が大きいこと、つまり分離膜本体の面積に対する流路材の面積(分離膜本体の膜面に対する投影面積)が大きいことが好ましい。一方で、圧力損失を低減させるには、流路の横断面積が広いことが好ましい。
流路の横断面とは、流路の長手方向に対して垂直な断面(図1等の例では巻回方向に対して垂直な断面)である。分離膜本体と流路材との接触面積を大きく確保しつつ、かつ流路の断面積を広く確保するには、流路材の側面が凹形状であるか、流路横断面において、流路材の形状が台形であることが好ましい。つまり、流路自体の断面形状は、楕円、半円、台形等であることが好ましい。
なお、これ以外にも、流路材の断面形状は、幅に変化のない矩形であってもよい。分離膜性能に影響を与えない範囲内であれば、巻回方向に垂直な方向での断面形状において、幅に変化がある形状であってもよい。そのような断面形状として、上述した以外に、三角形、半球のような形状が挙げられる。
流路材の形状は、図示する形状に限定されるものではない。分離膜本体の透過側の面に、例えばホットメルト法のように、溶融した材料を固着させることで流路材を配置する場合は、処理温度や選択するホットメルト用樹脂の種類を変更することで、要求される分離特性および透過性能の条件を満足できるように、流路材の形状を自由に調整することができる。
図1−図3では、流路材3の平面方向における形状(x−y平面視における形状)は、その長手方向が巻回方向に平行な直線状である。ただし、流路材3は、分離膜本体2の表面から突出し、かつ分離膜エレメントとしての所望の効果が損なわれない範囲において、他の形状に変更可能である。すなわち、平面方向における形状は、曲線状および波線状等であってもよい。また、1つの分離膜に、幅および長さの少なくとも一方が互いに異なる複数の流路材が形成されていてもよい。
(投影面積比)
分離膜の透過側の面に対する流路材の投影面積比は、特に透過側流路の流動抵抗を低減し、流路を安定に形成させる点では、0.03以上0.85以下であることが好ましく、0.15以上0.85以下であることがより好ましく、0.2以上0.75以下であることがさらに好ましく、0.3以上0.6以下であることがさらに好ましい。なお、投影面積比とは、分離膜を5cm×5cmで切り出し、分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる流路材の投影面積を、切り出し面積(25cm)で割った値である。また、この値は、上述の式df/(b+d)(e+f)で表すこともできる。
〔2.分離膜エレメント〕
(2−1)概要
図6に示すように、分離膜エレメント100は、集水管6と、上述したいずれかの構成を備え、集水管6の周囲に巻回された分離膜1を備える。また、分離膜エレメント100は、図示しない端板等の部材をさらに備える。
(2−2)分離膜
<概要>
分離膜1は、集水管6の周囲に巻回されており、幅方向が集水管6の長手方向に沿うように配置される。その結果、分離膜1は、長さ方向が巻回方向に沿うように配置される。
よって、壁状物である流路材3は、分離膜1の透過側の面22において、少なくとも集水管6の長手方向に不連続状に配置される。つまり、流路5は、巻回方向において分離膜の外側端部から内側端部まで連続するように形成される。その結果、透過水が中心パイプへ到達し易く、すなわち流動抵抗が小さくなるので、大きな造水量が得られる。
「巻回方向の内側」及び「巻回方向の外側」は、図6に示す通りである。つまり、「巻回方向の内側端部」及び「巻回方向の外側端部」とはそれぞれ、分離膜1において集水管6に近い方の端部、及び遠い方の端部に該当する。
上述したように、流路材は分離膜の縁まで達していなくてもよいので、例えば、巻回方向における封筒状膜の外側端部、及び集水管長手方向における封筒状膜の端部では、流路材が設けられていなくてもよい。
<膜リーフおよび封筒状膜>
図1に示すように、分離膜1は、膜リーフ4(本書において、単に「リーフ」と称することがある。)を形成する。リーフ4において分離膜1は、その供給側の面21が、図示しない供給側流路材を挟んで他の分離膜7の供給側の面71と対向するように、配置される。分離膜リーフ4において、互いに向かい合う分離膜の供給側の面の間には供給側流路が形成される。
また、1つのリーフ4において、互いに対向する分離膜1の供給側の面の間は、巻回方向内側端部(一点鎖線で示す部分)で、折り畳みまたは封止により、閉じている。
分離膜の供給側面が、折り畳まれているのではなく封止されていると、分離膜の端部における撓みが発生しにくい。折り目近傍での撓みの発生が抑制されることで、巻囲したときの分離膜間での空隙の発生およびこの空隙によるリークの発生が抑制される。また、折り畳みによって分離膜リーフを形成する場合、リーフが長いほど(つまり元の分離膜が長いほど)分離膜の折りたたみに要する時間は長い。しかし、分離膜の供給側面を、折り畳みでなく封止することで、リーフが長くても製造時間の増大を抑制することができる。
図1に示すように、複数の膜リーフ4が重ねられる。膜リーフ4が重ねられることで、分離膜1と、分離膜1の透過側の面22に対向する他の膜リーフの分離膜7とが、分離膜対8を形成する。分離膜対は、封筒状膜とも呼ばれる。封筒状膜において、向かい合う透過側の面の間は、透過水が集水管6に流れるように、分離膜の長方形状において、巻回方向内側の一辺のみにおいて開放され、他の三辺においては封止される(図中に2点鎖線で示す。)。透過水はこの封筒状膜によって原水から隔離される。
透過側の面の封止部の形態としては、接着剤(ホットメルト等も含む)などの樹脂による接着、加熱またはレーザなどによる融着、およびゴム製シートが挟みこまれることによる封止等が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高いために特に好ましい。これらの手法は、供給側の面の封止にも適用されてもよい。ただし、透過側の面と供給側の面とで、封止の手法は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上述したように、分離膜の供給側面が、折り畳まれているのではなく封止されていることで、分離膜の端部における撓みが発生しにくい。その結果、リークの発生が抑制され、封筒状膜の回収率が向上する。封筒状膜の回収率とは、次のように求められる。すなわち、水中で分離膜エレメントのエアリークテスト(airleak test)を行って、リークが発生した封筒状膜数をカウントする。そのカウント結果に基づいて、(エアリークが発生した封筒状膜の数/評価に供した封筒状膜の数)の比率を、封筒状膜の回収率として算出する。
具体的なエアリークテストの方法は、以下のとおりである。分離膜エレメントの中心パイプの端部を封止し、もう一方の端部から空気を注入する。注入された空気は集水管の孔を通過して分離膜の透過側に到達するが、上記のように分離膜の折りたたみが不十分で折り目近傍で撓みが生じるなどの理由によって、透過側の面において、封止部分に空隙が存在すると、空気が分離膜の供給側へ移動する。すると、分離膜エレメントの端部から、つまり供給側の面の間から、水中に空気が漏れる。このときのエアリークを気泡の発生として確認することができる。
なお、分離膜リーフおよび封筒状膜において、互いに対向する分離膜(図1における分離膜1および7)は、同じ構成を備えてもよいし、異なる構成を備えてもよい。すなわち、分離膜エレメントにおいて、向かい合う2枚の透過側の面のうち、少なくとも一方に上述の透過側流路材が設けられていればよいので、透過側流路材を備える分離膜と、備えない分離膜とが交互に重ねられていてもよい。ただし、説明の便宜上、分離膜エレメントおよびそれに関係する説明においては、「分離膜」は、透過側流路材を備えない分離膜(たとえば分離膜本体と同じ構成を備える膜)を含む。
透過側の面において、または供給側の面において、互いに対向する分離膜は、2枚の異なる分離膜であってもよいし、1枚の膜が折りたたまれたものであってもよい。
<封止部>
(封止部の形態)
以下、封筒状膜の封止部について説明する。分離膜の透過側の面の間を封止する封止部は、その少なくとも一部が、膜面方向(x−y平面方向)において流路材よりも外側に配置されている。
封止部は、上述したように、封筒状膜の三辺に設けられる。よって、封止部は、巻回方向外側端部に設けられた部分および幅方向の両端に設けられた部分を含む。以下、巻回方向外側端部の封止部を第1封止部411と称し、幅方向の両側に設けられた部分を第2封止部(412,413)と称することがある。また、第2封止部は、原水の供給方向において上流側端部、下流側端部にそれぞれ設けられるので、それぞれを上流側封止部412、下流側封止部413と称する。
以下、図面を参照して、封止部41の具体的な構成について説明する。なお、以下の図面では、流路材3は巻回方向(つまり長さ方向)に連続しているが、以下に説明する構成と、流路材について上述した全ての形態とは互いに組み合わせ可能である。
図7に示す例では、第1封止部411および2つの第2封止部(412,413)の全て流路材3の外側に配置され、かつその全体が、流路材3の外側に配置されている。図7の封筒状膜のA-A断面図(幅方向に垂直な断面図)は、図12に示すとおりである。また、図7および図12の例では封止部41は、接着剤層40により形成されている。
すなわち、分離膜上で、流路材3が配置されている領域をR1、それ以外の領域をR2と称する場合、図7に示すように、封止部41の全体が領域R2内に配置されている。領域R1とR2との間の境界(図7等に点線で示す)は、流路材3の集合体の外縁をなぞることで決定される。
つまり、封止部41のうち、第1封止部411は幅方向における分離膜1の全体にわたって、流路材3よりも巻回方向における外側に配置されている。言い換えると、全ての流路材3は、第1封止部411よりも巻回方向内側に配置されている。
また、上流側封止部412および下流側封止部413は、長さ方向全体における分離膜1の全体にわたって、流路材3よりも幅方向における外側に配置されている。つまり、全ての流路材3は、上流側封止部412よりも下流寄りに配置されるか、下流側封止部413よりも上流寄りに配置される。
このように、封止部41が流路材3よりも外側に配置されると、封止部41は、流路材3によって生じる凹凸を避けて分離膜間を封止できる。よって、分離膜エレメントを繰り返し運転しても、透過側への原水の流入を抑制でき、長期運転を実施しても高品質な透過水を安定に得ることが可能となる。
逆に、封止部41が外側端部に配置されていない場合、すなわち流路材3が固着している領域R1内のみに封止部41が設けられている場合、流路材3が障害となり、封止部41において原水が透過側へ流入しやすくなる。原水が透過側へ流入すると、ろ過した清澄な水と各種イオンや濁質を含む水が混合されるので、得られる透過水の質が低下する。
また、固着した流路材3は、加工条件により程度に差はあるが基材へ含浸しているが、含浸深さが大きく、例えば分離機能層にまで達すると、ろ過された水が分離膜本体を透過し難くなるので、ろ過抵抗が大きくなる。したがって、ろ過抵抗の低減という観点からは、透過側流路として機能する領域(図12で長さL1に対応する領域)において、流路材を構成する材料の分離膜本体への含浸深さは、小さいことが好ましい。
その一方で、分離膜の周縁部では、分離膜によって形成された封筒の外側から、原水が封筒の内側に染みこみやすい。よって、原水が透過水へ混入する危険性を低減するという観点からは、分離膜本体2中に接着剤が含浸することが好ましい。含浸部分では、原水の染み込みことが抑制されるからである。そのため、接着剤は基材に対して、基材の厚みの97%以上含浸していることが好ましく、99%以上含浸していることがより好ましい。
含浸率は、封止部の断面を観察して、(含浸している深さ/基材厚み)を測定および算出することで求められる。具体的には、特に、第1封止部411における集水管の長手方向に垂直な断面において、含浸率が97%以上100%以下であればよい。つまり、複数の含浸率を得た場合は、その最小値が、97%以上であればよい。ここで、第1封止部の巻回方向における中央ライン(集水管の長手方向に平行なライン)よりも外側で、断面を観察することが好ましい。また、この外側領域で、透過側流路材が分離膜に固着しているのであれば、その透過側流路材を通る断面を観察すること、つまり、透過側流路材の下における接着剤の含浸率を測定することが好ましい。具体的な方法は実施例に記載するとおりである。
上記2つの観点による問題を流路材の含浸のみによって解決しようとすると、分離膜の周縁部のみにおいて含浸を進めることになる。しかしながら、そうすると、流路として機能する領域の流路材の高さと、周縁部における流路材との間、流路材の高さに差が生じてしまい、エレメントの巻囲性および安定性が低下する。
これに対して、封止部41を流路材3よりも外側に形成することで、原水が透過水に混入する危険をより低減することができる。
特に、分離膜の幅全体にわたって、第1封止部411が流路材3よりも巻回方向外側に配置されていることが好ましい。この形態によると、透過側流路材3がストライプ形状等、分離膜の長さ方向に長い形状である場合にも、流路材3による凹凸を避けて分離膜間を封止することができる。また、この形態によると、複数の透過側流路材3が分離膜の幅方向に間隔をおいて設けられている場合であっても、分離膜の巻回方向外側端部における分離膜断面から基材へ原水が染み込むことによる透過水への原水の混入を、効果的に抑制できる。
さらに封止部41に含まれる接着剤として、流路材3を形成する材料よりも硬化時間が長く、それゆえに含浸が進みやすい材料を用いることが好ましい。なお、硬化時間は25℃の空気下で30分以上または3時間以上であることが好ましい。
また、接着剤の粘度は、150P以下の範囲内であることが好ましく、120P以下がより好ましい。粘度が150P以下であることで、リーフを集水管に巻囲するときに、しわの発生が生じにくい。また、分離膜に充分に接着剤を含浸させることができるので、接着剤が分離膜の周縁部において、基材中の空隙を埋めることができ、原水の流入を防ぐことができる。そして、接着剤の粘度は、40P以上または50P以上であることが好ましい。粘度が40P以上であることで、リーフの端部からの接着剤の流出を抑制でき、その結果、接着剤が封止すべき部分以外の不要な箇所に付着することを抑制できる。
このような接着剤としては、例えば、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールとを、イソシアネート:ポリオール=1:1〜1:5の割合で混合したものが好ましい。接着剤の粘度は、予め主剤、硬化剤単体、及び配合割合を規定した混合物の粘度をB型粘度計(JIS K 6833)で測定できる。
なお、接着剤としては、反応系の接着剤だけでなく、溶媒が気化することで固化する接着剤、ホットメルトおよびヒートシール等の熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。接着剤として、例えば熱可塑性樹脂が使われる場合、熱によって融解した樹脂が基材に含浸する。
図7等に示す構成では、封止部41全体が流路材3より外側に形成されている。つまり、封止部41は、封筒状膜8の開口部分を除いて、全ての流路材3を囲むように、かつ連続するように配置されている。つまり、これらの例では、封止部41は、領域R1から分離膜の外縁まで連続する空白領域が存在しないように配置されている。このように、これによって、リークがさらに生じにくいという効果が得られる。
なお、図13に示すように、封止部41が領域R2から領域R1にまで延びている場合も、「封止部が外側に配置されている」構成に含まれる。この例では、封止部41が、領域R1と領域R2にまたがるように形成されていることで、流路材3に重なっている。しかし、この場合も、領域R2に配置された封止部41によって、リーク発生は効果的に抑制される。
ただし、本発明は、図7のように封止部全体が流路材3より外側に配置されている形態に限定されず、封止部の一部が流路材より内側に配置される形態も含む。すなわち、図のような封筒の開口部分を除いた領域R1の外縁の全長のうち、封止部41に囲まれている部分の長さが占める割合(封止部41の全長のうち、巻回方向の外側端部に配置された封止部の長さ割合)は、図7等に示す構成では100%であるが、この割合は100%に満たなくてもよく、5%以上であればよい。特に原水の水質が比較的良好で運転圧力が0.5MPaを下回る浄水器用エレメントであれば、上記割合が5%以上であることで、高い耐久性を得ることができる。
図7等に、封止部41の、幅方向、長さ方向のいずれにおける幅も同一のL4として示す。ただし、封止部41の幅は、位置によって異なっていてもよい。L4は、例えば2mm以上または10mm以上である。L4が2mm以上であることで、良好な封止性が保たれる。また、L4は、例えば100mm以下または30mm以下である。L4が100mm以下であることで、分離に寄与する分離膜の面積が十分に確保される。
また、図12に示すように、封止部41と流路材3との間には、間隙が設けられていてもよい。
長さ方向における封止部41と流路材3との間の距離(間隙長さL3)が、透過側流路長L1に対して占める割合、つまり(L3/L1)×100は、0%以上30%以下が好ましく、0%以上10%以下がさらに好ましく、0%以上3%以下が特に好ましい。この割合を、「欠点率」と称する。
なお、図7、図12の構成では、透過側流路長L1は、巻回方向内側から外側にかけて並んだ複数の流路材3のうちの、先頭の流路材の先端から、最後尾の流路材の後端までの距離に一致する。また、透過側流路長L1は、流路材3が長さ方向において連続していれば、上述の流路材の長さfに相当する。図13のように、封止部41が領域R1に配置されている場合は、流路材の先頭から封止部41の先端までの距離が、透過側流路長L1に相当する。また、図12において封止部41と流路材3との間に設けられた間隙部分に、流路材3を構成する材料が、幅方向において隙間なく連続して塗布されていてもよい。この場合も、この部分の長さは、L3と同様に設定される。
このような間隙部分があってもよい理由は以下のとおりである。
分離膜を透過した水は透過側流路5を通過して集水管6に集められる。分離膜において、集水管から遠い領域、つまり巻回方向外側の端部近傍の領域(図12における右側端部に近い領域)を透過した水は、集水管6に向かう間に、巻回方向においてより内側の領域を透過した水と合流し、集水管6へ向かう。よって、透過側流路においては、集水管6から遠い方が、存在する水量が少ない。
そのため、巻回方向外側の端部近傍の領域において、透過側流路材が存在せず、その領域での流動抵抗が高くなっても、エレメント全体の造水量に与える影響は軽微である。同様の理由で、巻回方向外側の端部近傍の領域において、流路材の形成精度が低く、流路材を形成する樹脂が幅方向において連続して塗布されていても、エレメントとしての造水量に与える影響は小さい。この領域において、分離膜本体の面方向(x−y平面)において、隙間無く塗布されている場合も同様である。
(接着支持体)
図8に示す構成では、接着支持体50が、第1封止部411、第2封止部(412,413)の全体にわたって設けられる。図14に図8の構成のA−A断面図を示す。本形態では、封止部40の幅、つまり接着剤層40の幅と、接着支持体50の幅とは一致している。
また、図11に示すように、接着剤層40の幅の中に納まるように、接着支持体50が設けられていてもよい。
封止部41における接着支持体50の位置は、特に限定されるものではない。例えば、封止部41(411,412,413)のうちの一部にのみ、接着支持体50が設けられていても良い。
このような例として、図9では、接着支持体50が第1封止部411および上流側封止部412にのみに設けられ、下流側封止部413には設けられていない。また、図10では、接着支持体50が第1封止部411のみに設けられ、上流側封止部412および下流側封止部413には設けられていない。また、図19では、上流側封止部412および下流側封止部413にのみ接着支持体50が設けられている。このように、接着支持体は、分離膜において、集水管長手方向の帯状端部の片側または両側、巻回方向の外側端部のいずれの位置に設けられてもよい。
また、接着支持体は、不連続であってもよい。例えば、図示しないが、接着支持体50が、第1封止部411、上流側封止部412または下流側封止部413の各部において、2箇所以上に分けて設けられてもよい。
また、接着支持体50は、封止部41において、分離膜の中央寄りに設けられていてもよく(図16)、外側寄りに設けられていてもよい(図15)。
接着層40および接着支持体50の平面配置の例については上述したとおりであるが、接着層40と接着支持体50との立体的配置は特に限定されるものではなく、例えば、図14に示すように接着支持体50の上に乗るように配置されていてもよいし、図15または図16に示すように接着支持体50の一部を覆うように配置されていてもよいし、図17に示すように、接着支持体50を包むように配置されていてもよいし、図20または図21に示すように、接着層40が接着支持体50に膜の面方向で接するが、接着支持体50に被さらない形態であってもよい。なお、いずれの図面においても、接着支持体50と分離膜との間の接着剤の図示は省略されている。
なお、接着支持体50は接着剤を含有するため、接着支持体の幅gは、いずれの形態においても、接着剤層40の幅L4以下となる。
接着支持体は、接着剤が保持される効果、流路材3が配置された領域R1と、その外側であって接着に寄与する領域との高低差を小さくする効果、接着剤の使用量を低減する効果、接着剤の広がりを抑制する効果の少なくとも1つを実現できることが好ましい。例えば、接着支持体50を配置した後に、その外縁に接着剤を塗布すると、巻囲の際の接着剤の広がりが接着支持体50によって抑制されるため、接着剤による有効膜面積の低下を低減できる。なお、後述の図18−図21の形態のように、接着剤に浸していない支持体を配置し、かつその外側に接着剤を塗布することで、支持体により接着剤の広がりを抑制する場合は、その支持体の直下では、接着剤の含浸率は、97%より小さくなり得る。この場合も、支持体にはその外側から接着剤が多少は含浸するので、支持体も封止に寄与し得る。よって、説明の便宜上、このような支持体も、封止部の一部として図18−図21に示す。
接着支持体の種類は特に限定されないが、接着支持体が多孔質体であるとリーフ接着剤の接着支持体への含浸が進むため、膜リーフに接着支持体を配置した後にリーフ接着剤を塗布することができ、工程が簡便になる傾向にあるため好ましい。なお、リーフ接着剤の接着支持体への含浸量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されない。
接着支持体は、フィルム、テープ、分離膜、樹脂製シート状物、紙、ガラス繊維、セラミック繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、金属繊維、金属薄板、ゴム、織物、トリコットなどの編み物、不織布、スポンジ、ポーラスシリコン、多孔質シート状物、ネットなどが好ましく、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。
接着支持体の厚みは流路材の高さと同等かまたはそれ以下であることが好ましい。接着支持体の高さがこの範囲にあれば、エレメントに充填できる膜面積を維持できるからである。
また、接着支持体の厚みは、0.02mm以上であることが好ましい。これによって、エレメント巻囲した時に、接着剤が流動して有効膜面積が低下するのを抑制できるとともに、接着剤の使用量を抑えつつ、膜間を効果的に封止できるという利点が得られる。
(2−3)透過側流路
上述したように、分離膜1には透過側流路材3を備えている。透過側流路材3によって、封筒状膜の内側、つまり向かい合う分離膜の透過側の面の間には、透過側流路が形成される。
(2−4)供給側流路
(流路材)
分離膜エレメント100は、重なり合う分離膜の供給側の面の間に、分離膜1に対する投影面積比が0を超えて1未満となる流路材を備える(図示せず)。供給側流路材の投影面積比は0.03以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.40以下、特に好ましくは、0.15以上0.35以下である。投影面積比が0.03以上0.50以下であることで、流動抵抗が比較的小さく抑えられる。なお、投影面積比とは、分離膜と供給側流路材を5cm×5cmで切り出し、供給側流路材を分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる投影面積を切り出し面積で割った値である。
供給側流路材の高さは、後述するように各性能のバランスや運転コストを考慮すると0.5mmを超えて2.0mm以下が好ましく、0.6mm以上1.0mm以下がさらに好ましい。
供給側流路材の形状は特に限定されず、連続形状を有していてもよいし、不連続な形状を有していてもよい。連続形状を有する流路材としては、フィルムおよびネットといった部材が挙げられる。ここで、連続形状とは、実質的に流路材の全範囲において連続であることを意味する。連続形状には、造水量が低下するなどの不具合が生じない程度に、流路材の一部が不連続となる箇所が含まれていても良い。また、「不連続」の定義については、透過側の流路材について説明したとおりである。なお、供給側流路材の素材は特に限定されず、分離膜と同素材であっても異素材であっても良い。
(2−5)集水管
集水管6は、その中を透過水が流れるように構成されていればよく、材質、形状、大きさ等は特に限定されない。集水管6としては、例えば、複数の孔が設けられた側面を有する円筒状の部材が用いられる。
(2−6)端板
図6に示すように、分離膜エレメント100は、集水管6の長手方向において、分離膜1の巻回体の両端に装着された端板81および82を備える。端板81は原水が通過可能に形成された原水孔83、および透過水が通過可能に形成された中心孔84を備え、端板82も同様に、原水が通過可能に形成された原水孔85、および透過水が通過可能に形成された中心孔86を備える。
図6では、端板81の形状と端板82の形状とは同じであるが、1つのエレメントにおいて、2つの端板の形状は互いに異なっていてもよい。また、図6では、端板81を上流側に、端板82を下流側に配置している。
複数の分離膜エレメント100が直列に繋がれた状態で使用される場合、原水の供給方向において最上流に位置する分離膜エレメントに、原水孔83を介して原水が供給される。最上流の分離膜エレメントでは、上流側に位置する端板においては、孔84は、設けられないか、またはふさがれている。供給された原水は、巻回体内を通る間に、透過水と濃縮水とに分けられる。
濃縮水は、下流側の端板の原水孔85を通り、さらに下流側のエレメントの原水孔83を通って、下流側エレメントで同様に分離される。
透過水は、エレメント内の集水管6を通り、さらにそのエレメントにおける下流側の端板の中心孔86、次のエレメントの上流側端板の中心孔84を通って、次のエレメントの集水管6に流入する。最終的には、透過水は最下流のエレメントの下流側端板の中心孔86を通って回収される。
〔3.分離膜エレメントの製造方法〕
(3−1)分離膜本体の製造
分離膜本体の製造方法については上述したが、簡単にまとめると以下のとおりである。
良溶媒に樹脂を溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストして純水中に浸漬して多孔性支持層と基材を複合させる。その後、上述したように、多孔性支持層上に分離機能層を形成する。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し分離膜本体の連続シートを作製する。
なお、化学処理の前または後で、エンボス等によって分離膜本体に凹凸を形成してもよい。
(3−2)透過側流路材の配置
分離膜の製造方法は、分離膜本体の透過側の面に、不連続な流路材を設ける工程を備える。この工程は、分離膜製造のどの時点で行われてもよい。例えば、流路材は、基材上に多孔性支持層が形成される前に設けられてもよいし、多孔性支持層が設けられた後であって分離機能層が形成される前に設けられてもよいし、分離機能層が形成された後、上述の化学処理が施される前または後に行われてもよい。
流路材を配置する方法は、例えば、柔らかな材料を分離膜上に配置する工程と、それを硬化する工程とを備える。具体的には、流路材の配置には、紫外線硬化樹脂、化学重合、ホットメルト、乾燥等が利用される。特に、ホットメルトは好ましく用いられ、具体的には、熱により樹脂等の材料を軟化する(つまり熱溶融する)工程、軟化した材料を分離膜上に配置する工程、この材料を冷却により硬化することで分離膜上に固着させる工程を含む。
流路材を配置する方法としては、例えば、塗布、印刷、噴霧等が挙げられる。また、使用される機材としては、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、ロール型コーター、押出型コーター、印刷機、噴霧器などが挙げられる。
(3−3)分離膜リーフの形成
分離膜リーフは、上述したように、供給側の面が内側を向くように分離膜を折りたたむことで形成することされてもよいし、別々の2枚の分離膜を貼り合わせることで形成されてもよい。
分離膜エレメントの製造方法は、分離膜の巻回方向における内側端部を、供給側の面において封止する工程を備えることが好ましい。封止する工程においては、2枚の分離膜を、互いの供給側の面が向かい合うように重ねる。さらに、重ねられた分離膜の巻回方向における内側端部、つまり図5における左側端部を封止する。
「封止」する方法としては、接着剤またはホットメルトなどによる接着、加熱またはレーザなどによる融着、およびゴム製シートを挟みこむ方法が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高いために特に好ましい。
このとき、重ねられた分離膜の内側に、分離膜とは別に形成された供給側流路材を配置してもよい。上述したように、エンボスまたは樹脂塗布等によって分離膜の供給側の面にあらかじめ高低差を設けることで、供給側流路材の配置を省略することもできる。
供給側の面の封止と透過側の面の封止(封筒状膜の形成)とは、どちらかが先に行われてもよいし、分離膜を重ねながら、供給側の面の封止と透過側の面の封止とを並行して行ってもよい。ただし、巻回時における分離膜でのシワの発生を抑制するためには、隣り合う分離膜が巻回によって長さ方向にずれることを許容するように、幅方向端部における接着剤またはホットメルトの固化等、つまり封筒状膜を形成するための固化等を、巻回の終了後に完了させることが好ましい。
(3−4)封筒状膜の形成
1枚の分離膜を透過側面が内側を向くように折り畳んで貼り合わせることで、または2枚の分離膜を透過側面が内側を向くように重ねて貼り合わせることで、封筒状膜を形成することができる。長方形状の封筒状膜においては、長さ方向の一端のみが開口するように、他の3辺を封止する。封止は、接着剤またはホットメルト等による接着、熱またはレーザによる融着等により実行できる。
こうして形成された封筒状膜の封止部の形状、構成については上述したとおりである。封止部は特に、透過側流路材が形成された領域よりも、分離膜の外側に、つまり外縁寄りに設けられることが好ましい。
(3−5)分離膜の巻回
分離膜エレメントの製造には、従来のエレメント製作装置を用いることができる。また、エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216、特公平4−11928、特開平11−226366)に記載される方法を用いることができる。詳細には以下の通りである。
集水管の周囲に分離膜を巻回するときは、分離膜を、リーフの閉じられた端部、つまり封筒状膜の閉口部分が集水管を向くように配置する。このような配置で集水管の周囲に分離膜を巻きつけることで、分離膜をスパイラル状に巻回する。
集水管にトリコットや基材のようなスペーサーを巻回しておくと、エレメント巻囲時に集水管へ塗布した接着剤が流動し難く、リークの抑制につながり、さらには集水管周辺の流路が安定に確保される。なお、スペーサーは集水管の円周より長く巻回しておけばよい。
集水管にトリコットを巻回しておくと、エレメント巻囲時に集水管へ塗布した接着剤が流動し難く、リークの抑制につながり、さらには集水管周辺の流路が安定に確保される。なお、トリコットは集水管の円周より長く巻回しておけばよい。
(3−6)その他の工程
分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された分離膜の巻回体の外側に、フィルムおよびフィラメント等をさらに巻きつけることを含んでいてもよいし、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカット、端板の取り付け等のさらなる工程を含んでいてもよい。
〔4.分離膜エレメントの利用〕
分離膜エレメントは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることで、分離膜モジュールとして使用されてもよい。
また、上記の分離膜エレメント、モジュールは、それらに流体を供給するポンプや、その流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、例えば原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、分離膜エレメントの供給流路、透過流路の保持性を考慮すると、膜モジュールに被処理水を透過する際の操作圧力は、0.2MPa以上5MPa以下が好ましい。原水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上45℃以下が好ましい。また、原水のpHが中性領域にある場合、原水が海水などの高塩濃度の液体であっても、マグネシウムなどのスケールの発生が抑制され、また、膜の劣化も抑制される。
分離膜エレメントによって処理される流体は特に限定されないが、水処理に使用する場合、原水としては、海水、かん水、排水等の500mg/L以上100g/L以下のTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるが、1Lを1kgと見なして「重量比」で表されることもある。定義によれば、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(分離膜透過側の高低差)
キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100を用い、5cm×5cmの透過側の測定結果から平均の高低差を解析した。10μm以上の高低差のある30箇所を測定し、各高さの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めた。
(透過側流路材のピッチおよび間隔)
走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所製)を用いて任意の30箇所の膜断面を500倍(視野幅2μm)で写真撮影した。分離膜の透過側における流路材の頂点から、隣の流路材の頂点までの水平距離を200箇所について測定し、その平均値をピッチとして算出した。流路材の断面形状における上部が平らである場合は、平らな部分の中点を頂点とみなした。
また、間隔bについては、ピッチを測定した写真において、上述の方法で測定した。
(流路材の投影面積比)
流路材と共に分離膜を5cm×5cmで切り出し、レーザ顕微鏡(倍率10〜500倍の中から選択)を用い、ステージを移動させて、該流路材の全投影面積を測定した。該流路材を分離膜透過側または供給側から投影した時に得られる投影面積を切り出し面積で割った値[df/(b+d)(e+f)]を投影面積比とした。
(造水量)
分離膜または分離膜エレメントについて、原水として濃度500mg/LかつpH6.5の食塩水を用いて、運転圧力0.7MPa、運転温度25℃、回収率15%の条件下で100時間運転を行った。その後、同条件で、10分間の運転を行うことで透過水を得た。この10分間の運転で得られた透過水の体積から、分離膜の単位面積あたり、かつ1日あたりの透水量(立方メートル)を、造水量(m/日)として表した。
(脱塩率(TDS除去率))
造水量の測造水量の測定における10分間の運転で用いた原水およびサンプリングした透過水について、TDS濃度を伝導率測定により求め、下記式からTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/原水中のTDS濃度)}。
(欠点率)
分離膜に含まれる全ての透過側流路材について、上述の透過側流路長L1と、間隙長さL3を測定し、欠点率(%)を上述の式(L3/L1×100)の式に基づいて算出した。こうして、一列の流路材あたりの欠点率が算出された。さらに、各列の流路材について算出された欠点率から、1枚の分離膜における欠点率の平均値を求めた。以下の実施例では、得られた平均値を「欠点率」として扱う。
(TDS比)
作製したエレメントに原水として濃度500mg/LかつpH6.5、25℃の食塩水を運転圧力0.7MPaでエレメントを30分運転した。そして、運転圧力を0.3MPaに変更し1分間運転して運転を終了するサイクル(発停)を8000回繰り返した後にTDS除去率を測定し、TDS比(−)=(発停8000回後のTDS除去率)/初期TDS除去率とした。
(接着剤の含浸率)
分離膜の巻回方向における外側端部から内側に5mmの位置において、分離膜に固着した流路材を、分離膜と共に集水管の長手方向に切断することで、封止部を含む断片を得た。得られた断片をさらに集水管の長手方向に対して垂直方向に100箇所切断することで、サンプルを得た。各サンプルの断面において、走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所製)を用いて、10個の任意の含浸部(基材中に接着剤が含浸している部分)を100倍で写真撮影した。各断面中の任意の10箇所の含浸部における含浸率を、含浸率(%)=(接着剤の最大含浸厚み/基材厚み)×100の式に基づいて算出した。この10個の値から相加平均値を算出し、その断面の含浸率とした。こうして得られた100個の断面のそれぞれ含浸率を、その分離膜の含浸率とした。
なお、断面の数を100としているのは、接着部分において分離膜に固着している流路材があれば、100個の断面の中にそこをとおる断面が含まれると考えられるからである。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec、密度0.80g/cm)上にポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持層(厚さ130μm)ロールを作製した。
その後、多孔性支持膜ロールを巻き出し、ポリスルホン表面に、m−PDA2.1重量%およびε−カプロラクタム4.6重量%を含有する水溶液を塗布した。エアーノズルから窒素を吹き付けることで支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.07重量%を含む25℃のn−デカン溶液を、支持膜の表面が完全に濡れるように塗布した。その後、膜から余分な溶液をエアブロー除去し、80℃の熱水で洗浄した。
次いで、スリット幅0.5mm、ピッチ0.9mmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、バックアップロールを20℃に温度調節しながら、分離膜エレメントとした場合に集水管の長手方向に対して垂直になるよう(つまり巻回方向に沿うように)直線状に、エチレン酢酸ビニル系ホットメルト701A(TEX YEAR INDUSTRIES INC.製)を、樹脂温度125℃、走行速度3.0m/minで塗布して、流路材を分離膜に固着させた。
こうして形成された流路材の断面形状は、上底0.45mm、下底0.55mmの台形であった。また、流路材の高さcは0.26mmであり、流路材の幅dは0.5mmであり、流路材の長手方向が集水管長手方向と成す角度は90°であり、幅方向における流路材間隔eは0.4mmであり、幅方向における流路材のピッチは0.9mmであった。また、投影面積比を式(df)/(b+d)(e+f)に当てはめて算出すると、0.55 であった。
また、分離膜の幅方向両端、巻回方向における外側端部に該当する位置には、流路材がない領域R2を設けた。
得られた分離膜ロールを、分離膜エレメントでの有効面積が35.2mとなるように折り畳み断裁加工し、長さ800mmである26枚のリーフを作製した。
こうして得られたリーフに対して、図7のように、透過側の流路材の外側に、接着剤を塗布し、ABS製集水管(幅:1,020mm、径:30mm、孔数40個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付けた。リーフ間を接着した接着剤(つまり上述の接着剤層40)を、「リーフ接着剤」と称する。リーフ接着剤としては主剤であるイソシアネートおよび硬化剤であるポリオールをそれぞれ1:2で混合したものを用いた。
巻回された封筒状膜の外周にさらにフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、端板取りつけ、およびフィラメントワインディングを行うことで、8インチエレメントを作製した。
得られたエレメントにおいて、領域R2の幅および封止部の幅L4は20mmであり、全ての封止部(つまり接着剤層)は、透過側流路材よりも外側、つまり分離膜の外縁寄りに配置されていた。また、上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
図示の都合上、図面では、透過側流路材と封止部との位置関係を、欠点率がゼロより大きくなるように描いているが、本実施例では欠点率がゼロになるように接着剤を塗布した。つまり、透過側流路が形成されておらず、かつ封止部でもない領域L3は0mmであった。また、他の例についても同様に、欠点率をゼロとした。
このエレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率はそれぞれ、31.7m/dayおよび99.1%であり、TDS比は0.985だった。
(実施例2)
図8のように巻回方向外側端部および集水管長手方向の帯状端部両側の固着した流路材の外側で、分離膜において接着支持体が配置されるべき箇所に接着剤を塗布し、そこに、ポリエチレンテレフタレート製短繊維不織布(目付:130g/m、厚み:260μm、見掛け密度:0.50g/cm)を接着支持体として配置した。そして、その接着剤が固化する前に、接着支持体上に同じ接着剤を塗布し、リーフを貼り合わせて封筒状膜を形成した。以上の操作以外は全て実施例1と同様にして、分離膜ロールを作製し、分離膜エレメントを作製した。
完成したエレメントにおいて、透過側流路材よりも外側の領域の幅、封止部の幅L4および不織布の幅(つまり接着支持体の幅g)は、全て30mmであった。なお、本例およびMDおよびCDの両方向に沿って3箇所にコの字形に接着支持体が設けられている他の例において、3箇所の接着支持体は全て、同幅とした。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は31.3m/dayおよび99.2%、TDS比は0.998だった。
(実施例3)
図9のように巻回方向外側端部および集水管長手方向の帯状端部原水入口側の固着した流路材の外側にポリエチレンテレフタレート製短繊維不織布(目付:130g/m、厚み:260μm、見掛け密度:0.50g/cm)を配置してからリーフ接着剤を不織布上から塗布した。それ以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製し、分離膜エレメントを作製した。
完成したエレメントにおいて、透過側流路材よりも外側の領域の幅、封止部の幅L4および不織布の幅(つまり接着支持体の幅g)は、全て30mmであった。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は31.4m/dayおよび99.1%、TDS比は0.996だった。
(実施例4)
図10ように巻回方向外側端部にポリエチレンテレフタレート製短繊維不織布(目付:130g/m、厚み:260μm、見掛け密度:0.50g/cm)を配置してからリーフ接着剤を不織布上から塗布した。それ以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製し、分離膜エレメントを作製した。
完成したエレメントにおいて、透過側流路材よりも外側の領域の幅、封止部の幅L4および不織布の幅(つまり接着支持体の幅g)は、全て30mmであった。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は31.5m/dayおよび99.1%、TDS比は0.995だった。
(実施例5)
実施例1で得た透過側流路材が固着した分離膜ロールを、分離膜エレメントでの有効面積が0.48mとなるように折り畳み断裁加工し、ネット(厚み:510μm、ピッチ:2mm×2mm、繊維径:255μm、投影面積比:0.21)を供給側流路材として幅200mmで2枚のリーフを作製した。また透過側流路の領域における透過側流路材の投影面積比は0.55だった。
ポリエチレンテレフタレート製短繊維不織布(目付:130g/m、厚み:260μm、見掛け密度:0.50g/cm、幅:15mm)を、接着支持体として用いた。コの字に流路材を囲むように、接着支持体が配置されるべき箇所を中心に接着剤を不織布幅より広く、接着剤を塗布し、塗布した領域の中にそこに接着支持体を配置した(図11に示すとおり)。そして、その接着剤が固化する前に、接着支持体上に同じ接着剤を塗布し、リーフを貼り合わせて封筒状膜を形成した。
その後、ABS製集水管(幅:300mm、外径:17mm、孔数8個×直線状2列)に巻き付けながら2枚のリーフをスパイラル状に巻き付けた分離膜エレメントを作製し、外周にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、端板取りつけを行い、2インチエレメントを作製した。エッジカットでは、接着支持体よりも外側をカットし、接着支持体を切断しなかった。
完成したエレメントにおいて、透過側流路材よりも外側の領域の幅および封止部の幅L4はいずれも30mmであり、不織布の幅(つまり接着支持体の幅g)は、15mmであった。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は0.225m/dayおよび99.1%、TDS比は0.995だった。
(実施例6)
接着支持体として、予め接着剤を含浸させたポリエチレンフィルム(厚み20μm)を用いた以外は、全て実施例5と同様にして分離膜ロールを作製し、分離膜エレメントを作製した。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は0.226m/dayおよび99.0%、TDS比は0.992だった。
(実施例7)
リーフ接着剤をホットメルト接着剤(東レ・ファインケミカル株式会社製、商品名 ケミットR−248)としたこと以外は全て実施例5と同様に分離膜ロールを作製し、分離膜エレメントを作製した。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は0.230m/dayおよび98.9%、TDS比は0.980だった。
(実施例8)
リーフ接着剤をヒートシール(圧力:0.5MPa、温度:250℃)としたこと以外は全て実施例5と同様に分離膜ロールを作製し、分離膜エレメントを作製した。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は0.232m/dayおよび98.5%、TDS比は0.970だった。
(実施例9)
図18のように、接着支持体50として、ポリエチレンテレフタレート製短繊維不織布(目付:70g/m、厚み:80μm、見掛け密度:0.9g/cm、幅:10mm)を、分離膜の透過側の面に、流路材3が配置されている領域R1をコの字に囲むように配置した。接着支持体よりも外側に(分離膜の外縁側に)接着剤を塗布し、リーフを貼り合わせて封筒状膜を形成した。以上の操作以外は全て実施例1と同様にして、分離膜エレメントを作製した。なお、エッジカットでは、接着支持体よりも外側をカットし、接着支持体を切断しなかった。こうして、図18および図20に示すリーフを有するエレメントを得た。
完成したエレメントにおいて、透過側流路材よりも外側の領域の幅および封止部の幅L4はいずれも30mmであり、不織布の幅(つまり接着支持体の幅g)は、10mmであった。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。なお、これは、含浸率を測定した箇所が、接着支持体よりも外側だったためである。上述の含浸率の測定とは別に、接着支持体の直下、特に巻回方向内側よりの箇所を観察すると、含浸率は小さく抑えられていた。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は32.2m/dayおよび99.2%、TDS比は0.998だった。
(実施例10)
図19のように、流路材3が設けられた領域R1のCD方向における外側に、ポリエチレンテレフタレート製短繊維不織布(目付:70g/m、厚み:80μm、見掛け密度:0.9g/cm、幅:10mm)を配置した。接着支持体よりも外縁に(分離膜の外縁側に)接着剤を塗布し、リーフを貼り合わせて封筒状膜を形成した。以上の操作以外は全て実施例1と同様にして、分離膜エレメントを作製した。なお、エッジカットでは、接着支持体よりも外側をカットし、接着支持体を切断しなかった。こうして、図19および図21に示すリーフを有する分離膜エレメントを作製した。
完成したエレメントにおいて、透過側流路材よりも外側の領域の幅および封止部の幅L4はいずれも30mmであり、不織布の幅(つまり接着支持体の幅g)は、10mmであった。上述の方法で算出された接着剤の基材への含浸率は、100個の値のすべてが97%以上であり、最大値は100%であった。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は32.0m/dayおよび99.2%、TDS比は0.998だった。
(比較例1)
透過側流路材を分離膜全体に塗布し、透過側流路材の上からリーフ接着剤を塗布したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜へ流路材を固着させ、実施例4と同様に分離膜エレメントを作製した。なお、接着剤の基材への含浸率の一部は97%を下回っていた。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、造水量および脱塩率は31.9m/dayおよび98.9%、TDS比は0.720だった。
結果から明らかなように、実施例の分離膜および分離膜エレメントは、高造水性能、安定運転性能、優れた除去性能を有している。
Figure 2014140837
Figure 2014140837
本発明の膜エレメントは、特に、かん水や海水の脱塩に好適に用いることができる。
1 分離膜
2 分離膜本体
21 分離膜の供給側の面
22 分離膜の透過側の面
201 基材
202 多孔性支持層
203 分離機能層
3 透過側流路材
4 分離膜リーフ
40 接着剤層
41 封止部
411 第1封止部
412 上流側封止部(第2封止部)
413 下流側封止部(第2封止部)
5 透過側流路
50 接着支持体
6 集水管
7 分離膜
71 供給側の面
72 透過側の面
81、82 端板
100 分離膜エレメント
a 分離膜(リーフ)長さ
b 透過側流路材の幅方向間隔
c 透過側流路材の高低差
d 透過側流路材の幅
e 透過側流路材の長さ方向の間隔
f 透過側流路材の長さ
g 接着支持部の幅
R1 流路材が形成されている領域
R2 流路材が形成されていない領域
L1 透過側流路長
L3 透過側流路が形成されておらず、かつ封止部でもない領域
L4 封止部の幅

Claims (7)

  1. 集水管、および前記集水管に巻回された封筒状膜を備える分離膜エレメントであって、
    前記封筒状膜は、
    基材および分離機能層を有し、前記基材側の面が互いに対向するように配置された分離膜と、
    前記分離膜の基材側の面に固着した流路材と、
    接着剤によって対向する前記分離膜の基材側の面の間が封止された封止部と、
    を備え、
    前記封止部の少なくとも一部は、前記流路材よりも、前記封筒状膜の巻回方向において前記流路材よりも外側に配置される
    分離膜エレメント。
  2. 前記封止部が、前記集水管の長手方向における前記分離膜の幅全体に渡って、前記流路材よりも外側に配置されている
    請求項1記載の分離膜エレメント。
  3. 前記分離膜エレメントは、前記集水管の長手方向における第1端で、原水の供給を受けることができるようになっており、
    前記封止部は、前記分離膜の長手方向における両端のうち、前記第1端側端部に配置される上流側封止部を含み、
    前記上流側封止部は、前記流路材よりも前記第1端側に配置される
    請求項1または2に記載の分離膜エレメント。
  4. 前記封止部は、前記分離膜の長手方向における両端のうち、前記第1端とは逆の第2端側端部に配置される下流側封止部をさらに備え、
    前記下流側封止部は、前記流路材よりも第2端側に配置される、
    請求項3に記載の分離膜エレメント。
  5. 前記封止部の少なくとも一部は、
    前記流路材よりも前記分離膜の外側の位置で、前記分離膜上に配置された接着支持体と、
    前記接着支持体上に配置され、かつ接着剤で形成された接着剤層と、
    を備える
    請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜エレメント。
  6. 前記接着支持体には、前記接着剤が含浸している
    請求項5に記載の分離膜エレメント。
  7. 前記接着支持体が多孔質構造を有する
    請求項6に記載の分離膜エレメント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020149041A1 (ja) * 2019-01-18 2020-07-23 日東電工株式会社 スパイラル型膜エレメント及びその製造方法
CN117732286A (zh) * 2023-12-18 2024-03-22 上海乐纯生物技术股份有限公司 一种具有高度贯穿的梯度海绵状结构超滤膜及其制备方法

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