JP2014125710A - 繊維製品及びその製造方法 - Google Patents

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一郎 小澤
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【課題】蓄熱性が高くコストも安価な長繊維詰め物を充填した繊維製品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の繊維製品は、花糸を芯糸で一体化した長繊維を布地内に充填した繊維製品であって、前記長繊維には、融解と凝固の相変化に伴う潜熱を利用した蓄熱物質が直接付着されている。本発明の繊維製品の製造方法は、花糸を芯糸で一体化した長繊維を、融解と凝固の相変化に伴う潜熱を有する蓄熱物質を含む液に接触させ、乾燥かつ熱固定させ、その後布地内に充填する。
【選択図】図1

Description

本発明は、蓄熱物質を付着させた長繊維を充填した繊維製品及びその製造方法に関する。
寒い時期には羽毛布団、羽毛ジャケットなどの羽毛製品が有用であるが、その供給量には限度がある上、自然条件や厄病(例えば鳥ウィルス)の影響によって供給量も変動するという問題がある。あるいは自然保護の観点から、野生の鳥を捕捉することには限度がある。近年羽毛の消費量は世界的に増大しており、供給量不足からコストが高くなっている。従来から詰め綿については多くの提案がある。特許文献1には繊維にパラフィンワックス封入マイクロカプセルと水分吸収発熱剤を付着させた寝具類が提案され、特許文献2には側地に相変化物質を内包するマイクロカプセルを付着させることが提案されている。
特開2003−193371号公報 特開2004−154281号公報
しかし、特許文献1にあるように綿(いわゆる短繊維詰め綿)を加工するのは、形状が崩れやすいという欠点があった。
本発明は、上記問題を解決するため、蓄熱性が高くコストも安価な詰め物を充填した繊維製品及びその製造方法を提供する。
本発明の繊維製品は、花糸を芯糸で一体化した長繊維を布地内に充填した繊維製品であって、前記長繊維には、融解と凝固の相変化に伴う潜熱を利用した蓄熱物質が直接付着されていることを特徴とする。
本発明の繊維製品の製造方法は、花糸を芯糸で一体化した長繊維を、融解と凝固の相変化に伴う潜熱を有する蓄熱物質を含む液に接触させ、乾燥かつ熱固定させ、その後布地内に充填することを特徴とする。
本発明の繊維製品は、詰め綿が長繊維であることから移動しにくく、嵩も高く、そのうえ融解と凝固の相変化に伴う潜熱を利用した蓄熱物質が直接付着されていることにより、蓄熱性の高い繊維製品が得られる。例えば布団の場合は日光のもとに干しておくと暖かみが残る時間が長くなり、ジャケットコートの場合は暖かい場所から寒い場所へ、あるいはその逆に寒い場所から暖かい場所に移動したときに寒暖の差を緩衝させることができる。また本発明方法は長繊維に蓄熱物質を直接付着する処理をしても、繊維の一体性及び嵩高性などは変わらず、長繊維詰め綿の長所をそのまま生かすことができる。
図1は本発明の一実施形態における掛け布団の斜視図である。 図2は図1のI−I線断面図である。 図3は本発明の一実施形態における枕の断面図である。 図4は本発明の一実施形態における長繊維詰め綿の両端を固定し、シートに成形した状態を示す断面の説明図である。 図5は本発明の一実施形態における長繊維詰め綿の製造工程を示す説明図である。 図6は本発明の一実施形態における撚糸工程の概略説明図である。 図7は同、撚糸工程におけるループヤーンの拡大側面図である。 図8は同、揉み・開繊工程でループ状繊維が開繊された状態の長繊維詰め綿の概略側面図である。 図9は同、得られた長繊維詰め綿の概略断面図である。 図10は、本発明の一実施形態におけるループヤーン(エアー交絡糸)の拡大側面図である。 図11は本発明の実施例品と比較例品の蓄熱性を示す温度変化グラフである。
本発明で使用する蓄熱物質は、25℃以上40℃以下に融点を持つパラフィン系ワックスが好ましい。このパラフィン系ワックスはカプセル化されているものでもよい。このパラフィン系ワックスは、柔軟性が実使用に問題を生じないレベルであれば、バインダーを用いて繊維に付着させても良い。蓄熱物質は長繊維詰め綿に対して1〜20重量%付着されているのが好ましい。前記の範囲であれば蓄熱を有効に利用できる。なお、パラフィン系ワックスは、相変換物質(PCM)を用いた調湿加工剤等として、市販されているものを用いることができる。
この蓄熱物質は水などの溶液に分散させ、この中に長繊維詰め綿を浸漬させるなどして接触させ、乾燥かつ熱固定させる。接触手段としては、パディング法、スプレー法、ロールコーター法、スリットコーター法などがある。長繊維を蓄熱物質の水分散液に接触させた後、乾燥かつ熱固定させ、その後布地内に充填する。長繊維詰め綿に蓄熱物質を直接付着する処理をしても、両端を固定しておけば繊維の一体性及び嵩高性などは変わらず、長繊維詰め綿の長所をそのまま生かすことができる。これに対して通常のカードウェブのような短繊維詰め綿は、水溶液に浸漬したり接触させると繊維はバラバラになりやすく、所定の形状は崩れやすい。したがって、この点も長繊維詰め綿を使用する利点となる。
本発明で使用する長繊維の詰め綿は、花糸を芯糸で一体化し、前記花糸は開繊されてループ状繊維を形成している。これにより、嵩高い詰め物が得られる。本発明において、「花糸を芯糸で一体化した」とは、花糸及び芯糸の構成単繊維を互いに絡めることをいい、構成単繊維が必ずしも互いに融着固定されている必要はない。もちろん、融着固定されていてもよい。また、「花糸は開繊されてループ状繊維を形成している」とは、エアー交絡のように、エアー交絡時に同時に開繊されてもよいし、独立した開繊工程によって開繊されてもよいことを意味する。なお、花糸と芯糸の一体化は、花糸と芯糸をまとめて撚りをかけることや花糸と芯糸を交絡させることなどで実現できる。ループ状繊維は長繊維であるマルチフィラメント繊維で構成され、開繊され、ループ状繊維同士を融着させてもよい。ループ状繊維同士が融着されることにより、嵩高性の向上と耐洗濯性を向上できる。すなわち、開繊させたループ状繊維同士を融着させることにより、固定点が多くなるため、へたりにくくなる。融着以外に交絡させてもよい。交絡はエアーノズルを使用して、長繊維の構成単繊維を互いに絡めることにより実現できる。加えて、長繊維詰め綿は少なくとも一方向に多数本引き揃えられ、両端が側地とともに縫製されて側地に一体化しているので、洗濯を繰り返しても中綿の片寄りはない。エアー交絡で得られる詰め綿は、特に形状が崩れやすいため、本発明のパラフィン系ワックスを付着させるうえで、長繊維状態で用いることは有効である。
長繊維詰め綿は、両端部がリボン状細幅布と一体縫製され、長繊維詰め綿シートに成形されていることが好ましい。シートの状態であれば側地内に充填するのに便利であり、側地と縫製する際の取り扱い性が良好になる。長繊維詰め綿は、両端以外の部分でも側地とともに縫製されて一体化してもよい。例えば布団の場合、主面の中央部分に単数又は複数のキルト(縫製)を入れて長繊維詰め綿と側地を一体化してもよい。このようにするとさらに耐洗濯性が向上する。
花糸及び/又は芯糸が融着繊維を含む場合、花糸及び芯糸の融着繊維は、融点が異なる2以上のポリマーで構成される複合繊維とするのが好ましい。この複合繊維としては、高融点ポリマーが芯、低融点ポリマーが鞘である芯鞘構造の繊維が好ましい。低融点ポリマーを融着させるためである。このような芯鞘構造の複合繊維は、例えばKBセーレン社製“ベルカップル”、ユニチカ社製“メルセット”、ウンジンケミカル社製“EZBON”などがある。これらの複合繊維は、芯がポリエチレンテレフタレート(PET)であり、鞘が低融点ポリエステル共重合体で構成されている。花糸及び芯糸の融着繊維は、ポリエステルマルチフィラメント融着繊維であることが好ましい。ポリエステルはへたりにくいからである。また、融着繊維の融着温度が160〜200℃であることが好ましい。この範囲であれば、加工しやすい。
花糸及び/又は芯糸はさらに非融着繊維を含んでもよい。非融着繊維としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等の合成繊維が好ましい。前記芯糸の融着繊維と非融着繊維の割合は、前記芯糸を100重量%としたとき融着繊維が10〜100重量%、非融着繊維が0〜90重量%であることが好ましい。
ループ状繊維のループの平均長さは1〜200mmの範囲が好ましく、5〜50mmの範囲がより好ましく、10〜40mmの範囲がさらに好ましい。ループ状繊維のループの平均長さが前記の範囲であれば、風合いと嵩高性と嵩耐久性を更に高めることができる。
ループ状繊維(花糸)の単繊維繊度が0.1〜300dtex、かつトータル繊度が10〜600dtex(dtexはdeci texを示す。)の範囲が好ましい。更に好ましくは単繊維繊度が1.0〜50dtex、かつトータル繊度が20〜250dtexの範囲であり、特に好ましくは単繊維繊度が2.0〜25dtex、かつトータル繊度が30〜100dtexの範囲である。繊度が前記の範囲であれば、へたりにくく、かつ風合いも良好である。
芯糸は、融点が異なる2以上のポリマーで構成される複合繊維を含む構成でもよい。融点が異なる2以上のポリマーで構成される複合繊維としては、融点の異なるポリマーを芯鞘状などに複合したコンジュゲート繊維などが例示され、具体的には、高融点ポリマーがポリプロピレンポリマーであり、低融点ポリマーがポリエチレンポリマーまたは低融点ポリプロピレンポリマーからなる芯鞘繊維等が挙げられる。融点が異なる2以上のポリマーで構成される複合繊維は、単独で芯糸を構成してもよく、また他の芯糸と組み合わせて、芯糸を構成してもよい。ループ状繊維をより確実に一体化する観点から、芯鞘繊維を低融点熱接着繊維糸と組み合わせて用いるのが好ましい。
前記融点が異なる少なくとも2種類の芯糸又は融点が異なる2以上のポリマーの融点差は、10〜200℃あることが好ましい。
また、長繊維詰め綿としてエアー交絡糸を用いる場合は、花糸と芯糸は非融着繊維であってもよい。非融着繊維としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等の合成繊維が好ましい。
ループ状繊維(花糸)と芯糸の重量比は、ループ状繊維(花糸)と芯糸を母数にしたとき、ループ状繊維(花糸)の割合は51〜99質量%(wt%)の範囲が好ましい。更に好ましくは80〜98wt%の範囲、特に好ましくは85〜97wt%の範囲である。前記範囲であれば、芯糸による固定一体化はしっかりしたものとなり、かつ風合いも良好となる。
本発明の詰め綿には、さらにシリコーン処理剤が熱固定されていることが好ましい。シリコーン処理剤の好ましい付着量は、ループ状繊維(花糸)と芯糸の合計量に対して0.1〜10wt%の範囲である。さらに、硬さ調整のためアクリル樹脂、ウレタン樹脂等を固定しても良い。
本発明の詰め綿は長繊維である。基本的に数十センチメートル〜数十万メートルあるいはそれ以上の長さでも可能である。側地と一体化する際には、側地の1辺の長さに折りたたんでもよいし、所定の長さにカットしてもよい。長繊維詰め綿の引き揃え方向は、人体の身長方向と垂直方向が好ましい。例えば掛け布団であれば幅方向(横方向)、枕であれば長さ方向(縦方向)である。長繊維詰め綿の単位長さ当たりの重量は0.01〜3g/mの範囲が好ましく、さらに好ましい重量は0.05〜1.5g/mの範囲である。前記の範囲であれば製造が可能で取り扱い性も良好である。
以下図面を用いて説明する。各図面において、同一符号は同一部分を示す。まず、本発明の一実施例における掛け布団を図1〜図2により説明する。図1はこの掛け布団の斜視図であり、掛け布団1は側地2と、側地の2つの長辺に形成された縫製線4,5と、布団1の主面(側地)の長さ方向に沿ってほぼ中央に形成された縫製(キルト)線6と、縫製線6に直行する縫製(キルト)線7a〜7cで構成されている。図2は図1のI−I線断面図であり、長繊維詰め綿8が縫製線4,5,6で側地2a,2bと固定されている状態を示している。図1〜図2において、縫製(キルト)線6、7a〜7cは必ずしも必要ではなく、省略することもできる。
図3は本発明の一実施例における枕の断面図である。この枕3は、長繊維詰め綿8が縫製線4,5で側地2a,2bと固定されている状態を示している。中央部のキルト線がない例である。
図4は本発明の一実施例における長繊維詰め綿の両端固定を示す説明図である。長繊維詰め綿8の両端は、リボン状細幅布10a,10bに予め縫製により固定して長繊維詰め綿シート9に成形しておく。こうしておくと、長繊維詰め綿8はまとまりよく一体化して取り扱うことができる。布団の場合、図4の状態で側地内に充填するには、側地の短辺の一つを残して予め縫製し、裏返しにしておき、側地の両端と長繊維詰め綿シート9のリボン状細幅布10a,10bとを縫製し、その後側地をひっくり返し、開けてあった一つの短辺を縫製する。別の方法として、同じく布団の場合、短辺の一つを残して予め縫製しておいた側地に図4の長繊維詰め綿シート9を充填し、側地の両端部において側地とリボン状細幅布とを縫製して固定し、その後に開けてあった一つの短辺を縫製して布団にする。別の方法として、長繊維詰め綿8を多数本引き揃え、前記長繊維詰め綿の両端部を側地の端と直接合わせ、縫製により固定することもできる。
図1〜図4の例において、長繊維詰め綿8は所定の長さにカットして揃えてもよいし、綛(かせ)のように所定長さのループ状にし、これを両端で折りたたんでもよい。縫製された布団1又は枕3は、側地内で長繊維詰め綿の両端が側地に固定されており、両固定箇所の間で長繊維詰め綿を構成する芯糸の長さは変化することはなく、かつ花糸と芯糸は一体化しているので、洗濯を繰り返しても長繊維詰め綿の動きは制限され、詰め綿の片寄りが少なく、嵩も高い詰め物製品となる。
図5は、本発明の一例の長繊維詰め綿の製造工程を示す説明図である。図5に示すように、花糸31と芯糸32をウエストゲージ33に供給し、撚糸工程34で撚糸する。次に、揉み・開繊工程35で花糸のループ状繊維を開繊した後、第一熱処理工程36で加熱して花糸の少なくとも一部のループ状繊維同士を融着し、かつ芯糸の融着繊維を熱融着させてループ状繊維を一体化する。次に、シリコーン樹脂散布工程37で柔軟剤かつ平滑剤であるシリコーン樹脂を散布し、第二熱処理工程38でキュアリングする。その後、蓄熱物質分散液処理工程39において長繊維詰め綿を蓄熱物質の水分散液に接触させた、乾燥・熱固定工程40で乾燥かつ熱固定させ、本発明の長繊維詰め綿8を得る。このようにして得た長繊維詰め綿を布地内に充填する。
図6は本発明の一例の撚糸工程の概略説明図である。図6に示すように、花糸11をウエストゲージ13に回転又は糸振りさせて供給し、一種類の花糸又は少なくとも2種類の芯糸12a,12bは、花糸11の少なくとも一部を挟み込むようにウエストゲージ13に供給する。ここでウエストゲージとは、漏斗状の器具であり、上部が大きく開放され、ここに糸を落とすことができ、下部出口は狭くなっていて、糸を一時的に貯めることができる器具をいう。次いで、花糸11と芯糸12a,12bをまとめて撚りを掛け、ループヤーン14を形成する。ループヤーン14は撚糸機20によって実撚りを掛けて形成される。すなわち、モーター15、ベルト16を介してボビン17が回転され、この周りのリング18にトラベラー19が組み込まれ、ボビン17の回転より遅れて回転することにより、トラベラー19を通過するループヤーン14には実撚りが掛けられる。好ましい撚り数は150〜350回/mである。得られたループヤーン14の拡大図を図7に示す。花糸11はループを形成し、芯糸12a,12bは撚り掛けされて、全体をまとめている。
得られたループヤーン14は、図5に示す揉み・開繊工程35で開繊処理される。この工程では、ゴム、織物、不織布、樹脂シート等を2枚擦り合わせることにより、間に入れたループヤーンは揉まれ、図8に示すループ状繊維23のように開繊される。このような開繊処理を行うことで、好ましい嵩高性、例えば40mm以上の嵩高性を得ることができる。また、花糸として前記中空状や高強力ポリエステル繊維を選択し開繊処理を組合せたり、30dtex以下のポリエステルモノフィラメント繊維をマルチフィラメント繊維に加え開繊処理を組合せることにより、50mm以上150mm程度の嵩高性を発現させることが可能となる。開繊するには揉み手段のほか、叩いたり、ブラッシング処理等を採用することもできる。機械的揉み機の揉み部材としては、ゴム(ネオプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等)発泡体(ウレタンフォーム、シリコーンゴムフォーム、エチレン−ビニルアルコール(EVA)系発泡体、セルロース系発泡体等)、不織布、人工皮革等がある。また、ブラシの場合は、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、塩化ビニル、アクリル、アラミド、フッ素樹脂等の合成繊維;羊毛、馬毛、鹿毛、豚毛等の獣毛繊維、金属線等のブラシがある。
揉み・開繊工程で開繊処理されたループヤーンは、ボビンから解舒し、図5に示す第一熱処理工程36で熱処理する。熱処理温度は、ループヤーンの融着ポリマーが融着する例えば70〜220℃、特に140〜210℃、熱処理時間は1秒〜20分程度が好ましい。さらに、1kg/cm2以上の圧力を加えるとより好ましい。この第一熱処理により、開繊されたループ状繊維同士の接触部は融着される。芯の部分にもループ状繊維は集中するので融着される。得られた長繊維詰め綿8の概略断面図を図8に示す。22は芯糸、23は開繊されたループ状繊維である。
次にシリコーン樹脂散布工程において、シリコーン樹脂が散布される。シリコーン樹脂としては、分子末端がハイドロジェン基(−OH)、ビニル基(−CH=CH2)等を有する反応性シリコーン処理剤を使用するのが好ましい。例えば、松本油脂製薬社製“TERON E 530”バルキーシリコン、“TERON E 731”、“TERON E 722”等のソフトシリコンを使用できる。散布量は、乾燥重量で詰め綿に対し0.1〜10wt%散布するのが好ましい。
次に第二熱処理工程において、例えば120〜200℃で1秒〜20分程度熱処理し、シリコーン樹脂をキュアリングする。得られた長繊維詰め綿8は、図9に示すように開繊されたループ状繊維23と芯糸が熱融着している芯部25とからなる。24はループ状繊維23同士の融着部である。
長繊維詰め綿としてエアー交絡糸を用いる場合は、エアー交絡糸は、例えば、芯糸及び花糸をエアー交絡装置の2個のフィードローラに、それぞれ1本供給し、芯糸の供給速度を10〜200m/min、花糸の供給速度を20〜10000m/min、巻き取り速度10〜200m/minとして、空気圧力0.01〜1.0MPaの交絡ノズルで混繊交絡処理を施した後、デリベリローラ通過後の複合糸をリング撚糸機構付のボビンで巻き取ることで得ることができる。そして、上記で得られたループヤーン(エアー交絡糸)はボビンから解舒し、必要に応じて図5に示す揉み・開繊工程で開繊処理する。揉み・開繊工程では、ゴム、織物、不織布、樹脂シート等を2枚擦り合わせることにより、間に入れたループヤーンは揉まれ、開繊される。次にシリコーン樹脂散布工程において、シリコーン樹脂が散布される。シリコーン樹脂としては、分子末端がハイドロジェン基(−OH)、ビニル基(−CH=CH2)等を有する反応性シリコーン処理剤を使用するのが好ましい。例えば、松本油脂製薬社製“TERON E 530”バルキーシリコン、“TERON E 731”、“TERON E 722”等のソフトシリコンを使用できる。散布量は、乾燥重量で詰め綿に対し0.1〜10wt%散布するのが好ましい。次に熱処理工程において、140〜190℃で1〜10分間熱処理し、シリコーン樹脂をキュアリングする。得られた長繊維詰め綿40では、図10に示しているように、芯糸42と花糸41の構成繊維が互いに絡まっており、花糸41が解繊されて部分的にループ状繊維を形成する。なお、芯糸及び/又は花糸が融着繊維を含む場合は、キュアリング時に芯糸及び花糸を融着固定することもできる。この場合は、解繊されて部分的にループ状繊維を形成した花糸41及び/又は芯糸42は融着された部分を有することになる。
本発明の詰め物体は、布団、寝袋、枕、クッション、マット、ぬいぐるみ、ひざ掛け、ジャケット、パンツ、ベスト、コート、防寒服、ネックウォーマーなどに好適である。
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜2、比較例1)
芯糸及び花糸共にウンジンケミカル社製商品名“EZBON”(芯がPET、鞘がポリエステル共重合体からなる複合マルチフィラメント繊維、トータル繊度78dtex、フィラメント数24本、ストレート糸)を用い、エアー交絡装置の2個のフィードローラに、それぞれ2本供給し、芯糸の供給速度を50m/min、花糸の供給速度を800m/min、巻き取り速度55m/minとして、空気圧力0.4MPaの交絡ノズルで混繊交絡処理を施した後、デリベリローラ通過後の複合糸にリング撚糸機構付のボビンで巻き取り、エアー交絡糸を得た。
得られたループヤーン(エアー交絡糸)はボビンから解舒し、図5に示す揉み・開繊工程で開繊処理した。揉み・開繊工程では、ゴム、織物、不織布、樹脂シート等を2枚擦り合わせることにより、間に入れたループヤーンは揉まれ、開繊された。
次にシリコーン樹脂散布工程において、シリコーン樹脂を散布した。シリコーン樹脂としては、松本油脂製薬社製“TERON E 530”のバルキーシリコン、“TERONE 731”、“TERON E 722”のソフトシリコンを3種混合水溶液として使用した。散布量は、乾燥重量で詰め綿に対し3.0wt%散布した。次に熱処理工程において、140〜190℃で1〜10分間熱処理し、シリコーン樹脂をキュアリングすると共に芯糸及び花糸を融着固定した。
得られた長繊維詰め綿は、芯糸42と花糸41の構成繊維が互いに絡まっており、花糸41が解繊されて部分的にループ状繊維を形成しており、解繊されて部分的にループ状繊維を形成していた。この長繊維詰め綿の1mあたりの重量は0.18gであった。
得られた長繊維詰め綿を、蓄熱材として融点35℃のパラフィン系ワックス(大原パラヂウム社製、商品名“パラファインTPC−35H”)、シリコーン系柔軟剤(大原パラヂウム社製、商品名“パラゾールCH−S”)、アクリル系柔軟剤(大原パラヂウム社製、商品名“パラゾールCH−370”)をそれぞれ下記表1に示す量を20℃の水に分散し、パディングし、絞り(絞り率60%)、100℃で20分間乾燥かつ熱固定させた。比較例として、蓄熱材を付着させてない長繊維詰め綿を使用した。
得られた長繊維詰め綿をループ状にして一方向に引き揃え、長繊維詰め綿シートをタテ15cm、ヨコ15cm角のタフタ織物の側地に10g充填して詰め物体とした。この詰め物体の蓄熱測定は次のように行った。条件は表1にまとめて示す。
(1)詰め物体に温度センサーを差し込み、25℃の恒温室で調温した後、42℃の恒温室に移動させて温度の上昇を測定した。
(2)次に、そのまま12℃の恒温室に移動させて、表面温度の低下を測定した。
(3)測定は実施例品及び比較例品を同時に行った。
Figure 2014125710
以上の測定結果のグラフを表2及び図11に示す。
Figure 2014125710
表2及び図11から明らかなとおり、実施例1〜2品の昇温速度及び下降温度速度はいずれも低く、15分間以上にわたって蓄熱性が認められた。また実施例1品の昇温時における温度差は比較例1品に比べて最高−4.5℃、実施例2品のそれは最高−4.7℃であり、実施例1品の下降時における温度差は比較例1品に比べて最高+7.2℃、実施例2品のそれは最高+5.1℃であり、それぞれ蓄熱性が認められた。
1 掛け布団
2a,2b 側地
3 枕
4,5,6,7a〜7c 縫製線
8,40 長繊維詰め綿
9 長繊維詰め綿シート
10a,10b リボン状細幅布
11,31,41 花糸
12a,12b,22,32,42 芯糸
13,33 ウエストゲージ
14 ループヤーン
15 モーター
16 ベルト
17 ボビン
18 リング
19 トラベラー
20 撚糸機
23 ループ状繊維
24 融着部
25 芯部
34 撚糸工程
35 揉み・開繊工程
36 第一熱処理工程
37 シリコーン樹脂散布工程
38 第二熱処理工程
39 蓄熱物質分散液処理工程
40 乾燥・熱固定工程

Claims (5)

  1. 花糸を芯糸で一体化した長繊維を布地内に充填した繊維製品であって、
    前記長繊維には、融解と凝固の相変化に伴う潜熱を利用した蓄熱物質が直接付着されていることを特徴とする繊維製品。
  2. 前記蓄熱物質は、25℃以上40℃以下に融点を持つパラフィン系ワックスである請求項1に記載の繊維製品。
  3. 前記長繊維には前記蓄熱物質が1〜20重量%付着されている請求項1又は2に記載の繊維製品。
  4. 前記繊維製品は、布団、毛布、寝袋、枕、クッション、マット、ぬいぐるみ、ひざ掛け、ジャケット、パンツ、ベスト、コート、防寒服及びネックウォーマーから選ばれる少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維製品。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維製品の製造方法であって、
    花糸を芯糸で一体化した長繊維を、融解と凝固の相変化に伴う潜熱を有する蓄熱物質を含む液に接触させ、乾燥かつ熱固定させ、その後布地内に充填することを特徴とする繊維製品の製造方法。
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