JP2014117069A - 交流回転機の制御装置および交流回転機の制御方法 - Google Patents

交流回転機の制御装置および交流回転機の制御方法 Download PDF

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正人 伊藤
Yusuke Morita
友輔 森田
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Abstract

【課題】交流回転機を少ない電力で安定に駆動し、駆動時の振動および騒音の低減を図る。
【解決手段】インダクタンスに周波数特性を有する交流回転機(1)に対して電力給電部(3)を介して所望の電力を給電する制御部(101)を備え、制御部(101)は、交流回転機(1)のインダクタンスを含む関数が極値となる周波数(fh)の電力と基本波周波数の電力を、電力給電部(3)を介して交流回転機(1)に給電する。
【選択図】図1

Description

本発明は、交流回転機の制御に関し、特に、少ない電力で安定に駆動することで、駆動時の振動、騒音を低減することのできる交流回転機の制御装置および交流回転機の制御方法に関する。
交流回転機を駆動する際には、所望のトルクを発生させるために、回転子の位置を検出あるいは推定し、回転子の位置に対応した適切な位相で、電動機に電力を給電する必要がある。
ここで、電気的な突極性がある交流回転機の回転子磁極位置を推定するために、基本波周波数より高い周波数の電圧ないしは電流を基本波に重畳させて交流回転機に印加する場合を考える。この場合には、重畳する電圧ないし電流の周波数または振幅を可変とすることで、高周波スペクトルを分散し、あるいは特定の高周波成分の振幅の平均値を低減させ、交流回転機からの電磁騒音を低減させたモータ制御装置を実現している(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−343833号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に記載の従来のモータ制御装置では、交流回転機の巻線インダクタンスの周波数特性を考慮していない。そして、電気的な突極性が、重畳される電圧、電流または電力の周波数により変動する交流回転機に対してこのような従来技術を適用した場合には、重畳される電圧、電流または電力の周波数によっては、突極性が小さい周波数領域で使用することになる。
この結果、所望の回転子位置の推定精度を得るために、交流回転機の駆動以外に必要な電力、電圧または電流の振幅が大きくなり、交流回転機や電力給電手段で発生する損失や交流回転機から発生する振動、騒音が増大するといった課題がある。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、交流回転機を少ない電力で安定に駆動し、駆動時の振動および騒音の低減を図った交流回転機の制御装置および交流回転機の制御方法を得ることを目的とする。
本発明に係る交流回転機の制御装置は、インダクタンスに周波数特性を有する交流回転機に対して電力給電部を介して所望の電力を給電する制御部を備えた交流回転機の制御装置であって、制御部は、交流回転機のインダクタンスを含む関数が極値となる周波数の電力と基本波周波数の電力を、電力給電部を介して交流回転機に給電するものである。
また、本発明に係る交流回転機の制御方法は、インダクタンスに周波数特性を有する交流回転機に対して電力給電部を介して所望の電力を給電する制御部を備えた交流回転機の制御方法であって、制御部において、交流回転機のインダクタンスを含む関数が極値となる周波数の電力と基本波周波数の電力を、電力給電部を介して交流回転機に給電するステップを備えるものである。
本発明によれば、インダクタンスを含む関数が極値または極値近傍となる周波数の電力と基本波周波数の電力を交流回転機に給電することによって、交流回転機を少ない電力で安定に駆動し、駆動時の振動および騒音の低減を図った交流回転機の制御装置および交流回転機の制御方法を得ることができる。
本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置を含むシステム全体の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における高周波電圧発生器が出力する3相交流電圧を示した説明図である。 本発明の実施の形態1における位置推定手段の内部演算を表すブロックである。 本発明の実施の形態1における交流回転機1の固定子・回転子構造の説明図である。 本発明の実施の形態1における交流回転機1の回転子の斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る交流回転機1の無負荷駆動時における交流回転機1の回転子位置とインダクタンスの関係を示した図である。 本発明の実施の形態1において、無負荷のときの高周波電圧を印加した際に、図1に示す回転二軸電流に基づく電流ベクトルの軌跡を示す図である。 本発明の実施の形態1における突極性の指標の周波数特性を示す図である。 本発明の実施の形態1における第1のインダクタンスと第2のインダクタンスとの差の周波数特性を示す図である。 本発明の実施の形態1における第1のインダクタンスと第2のインダクタンスとの比の周波数特性を示す図である。 本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置を含むシステム全体の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における高周波電流発生器が出力するd軸高周波電流指令およびq軸高周波電流指令を示した説明図である。 本発明の実施の形態2における位置推定手段の内部演算を表すブロックである。 本発明の実施の形態3における交流回転機の制御装置を含むシステム全体の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る交流回転機1の負荷時(基本周波数の電流通電時)の交流回転機1の回転子位置とインダクタンスの関係を示した図である。
以下、本発明の交流回転機の制御装置および交流回転機の制御方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置を含むシステム全体の構成を示すブロック図である。本実施の形態1における交流回転機の制御装置は、制御手段101として構成されており、電流検出手段2による検出結果に基づいて、電力給電手段3を介して所望の電力を供給することで、交流回転機1を制御している。
ここで、図1における交流回転機1は、インダクタンスに周波数特性を有する交流回転機であり、詳細については、後述する。
交流回転機1は、電力給電手段3と接続されている。ここで、電力給電手段3は、インバータ、サイクロコンバータ、あるいはマトリックスコンバータ等の交流電力を出力可能な電力変換器である。そして、この電力給電手段3は、交流回転機1に対して電力を給電することにより、交流回転機1を駆動する。
また、電流検出手段2は、交流回転機1を流れる電流を検出する。本実施の形態1における電流検出手段2は、交流回転機1と電力給電手段3とを結ぶ電力線から2相分の電流(図1の例では、U相電流iu、V相電流iv)を検出する。なお、電流検出手段2は、U相電流iu、V相電流iv、W相電流iwのうちの任意の2相分の電流を検出してもよく、また、全ての相電流を検出してもよい。
あるいは、電流検出手段2は、電力給電手段3がインバータの場合、インバータの入力である直流母線電流からU、V、W相電流iu、iv、iwを再生する手法を用いた演算で、電流を検出してもよい。
次に、制御手段101の詳細構成を説明する。制御手段101は、三相・二相変換器4、座標変換器5、d軸電流制御器6、q軸電流制御器7、座標変換器8、二相・三相変換器9、加算器10、位置推定手段102、減算器103、および高周波電圧発生器104を備えて構成されている。
制御手段101は、マイコンやDSP等のCPUを用いて、電流検出手段2より検出した電流値をA/D変換した電流値情報iu、ivに基づいて、電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*を演算し、電力給電手段3へ出力する。
三相・二相変換器4は、電流検出手段2で検出したU相電流iuとV相電流ivを、固定二軸(α−β軸)上の電流iαsとiβsに変換する。座標変換器5は、後述する位置推定手段102が出力する推定位置θpを用いて、電流iαs、iβsを回転二軸(d−q軸)電流id、iqに変換する。
電流指令値id*、iq*は、交流回転機1の位置指令、速度指令、トルク指令等に基づいて求められるものである。そこで、電流指令値id*、iq*の発生源については、公然に知られた公知技術のため、図1では省略している。
減算器103は、電流指令値id*と座標変換器5の出力であるidとの差分、電流指令値iq*と座標変換器5の出力であるiqとの差分から、それぞれd軸電流偏差Δid、q軸電流偏差Δiqを演算する。
d軸電流制御器6は、比例積分制御などを用いて、d軸電流偏差Δidを0にする制御量として、d軸電圧指令値Vd*を出力する。同様に、q軸電流制御器7は、比例積分制御などを用いて、q軸電流偏差Δiqを0にする制御量として、q軸電圧指令値Vq*を出力する。
座標変換器8は、後述する位置推定手段102が出力する推定位置θpを用いて、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*を固定二軸(α−β軸)上の電圧指令値Vα*とVβ*に変換する。
二相・三相変換器9は、電圧指令値Vαs*とVβs*を、電圧指令値としての三相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*に変換する。
高周波電圧発生器104は、周期Tvh、周波数fvh=(1/Tvh)、振幅Vhの3相交流電圧Vuh、Vvh、Vwhを出力する。図2は、本発明の実施の形態1における高周波電圧発生器104が出力する3相交流電圧Vuh、Vvh、Vwhを示した説明図である。
なお、図2に示すように、本実施の形態1においては、3相交流電圧Vuh、Vvh、Vwhを正弦波交流電圧としているが、本発明は、正弦波交流電圧に限定されるものではない。例えば、基本波周期がTvhである矩形波電圧、方形波電圧、のこぎり波電圧等を正弦波交流電圧として用いてもよい。3相交流電圧の周期Thについては、後述する。
加算器10は、二相・三相変換器9から出力された三相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*と、高周波電圧発生器104から出力された3相交流電圧Vuh、Vvh、Vwhとを加算することにより、電力給電手段3へ出力する電圧指令Vuh*、Vvh*、Vwh*を出力する。
次に、位置推定手段102について説明する。位置推定手段102は、二相電流iαs、iβsを入力し、推定位置θpを出力する。図3は、本発明の実施の形態1における位置推定手段102の内部演算を表すブロックである。図3に示した位置推定手段102は、フーリエ変換器20、乗算器21、減算器22、および位置演算器23を備えて構成されている。
フーリエ変換器20は、二相電流iαs、iβsから、高周波電圧Vuh、Vvh、Vwhを印加することにより交流回転機1に発生する、高周波電圧Vu、Vv、Vwの周波数fvhと同じ周波数の成分の振幅(大きさ)Iαs、Iβsを抽出する。
乗算器21は、フーリエ変換器20の出力であるIαs、Iβsをそれぞれ二乗し、(Iαs・Iαs)と(Iβs・Iβs)とを出力する。減算器22は、(Iβs・Iβs)から(Iαs・Iαs)を減じてΔIαβを出力する。さらに、位置演算器23は、減算器22の出力であるΔIαβより、推定位置θpを演算する。
このようにして求めた推定位置θpは、レゾルバやエンコーダ等の位置検出用センサを用いて直接その位置を検出したものではなく、演算により求めた推定値である。つまり、本実施の形態1において推定位置θpを求めるということは、位置推定手段102によって正しい回転子位置が推定できることを意味している。以下、位置推定手段102により推定位置θpを求める処理内容について、さらに具体的に説明する。
交流回転機1が永久磁石型同期回転機の場合、固定直交座標(α−β軸)での電圧方程式は、下式(1)のように表すことができる。
Figure 2014117069
回転機が停止時または低速運転時と仮定し、ω=0とする。また、微分演算子Pをラプラス演算子sに置き換えると、固定直交座標での電流iαs、iβsは、下式(2)となる。
Figure 2014117069
ここで、高周波電圧発生器104から交流回転機1を駆動するための交流電圧の角周波数よりも十分に高い角周波数ωh(=2π/(Tvh))の高周波電圧Vuh、Vvh、Vwhを印加すると仮定する。この場合には、R<<Lα・ωhおよびR<<Lβ・ωhが成り立ち(s=jωh(jは虚数単位)とした場合)、固定子抵抗Rの影響を無視すると、上式(2)は、下式(3)となる。
Figure 2014117069
また、高周波電圧発生器104より印加する高周波電圧Vuh、Vvh、Vwhは、固定直交座標では、下式(4)のように表すことができる。
Figure 2014117069
また、上式(4)の固定直交座標での高周波電圧は、下式(5)で表され、この式(5)に上式(4)を代入し、s=jωh(jは虚数単位)とすると、下式(6)となる。
Figure 2014117069
上式(6)に示すように、固定直交座標での電流iαs、iβsの振幅に、回転子位置情報θ(=推定位置θp)が含まれていることが分かる。そこで、固定直交座標での電流iαs、iβsの振幅Iαs、Iβsを、フーリエ変換器20にて抽出する。
すなわち、フーリエ変換器20により、高周波電圧Vuh、Vvh、Vwhを印加することにより交流回転機1に発生する電流iαs、iβsから、高周波電圧Vuh、Vvh、Vwhを印加することにより交流回転機1に発生する高周波電圧Vu、Vv、Vwの周波数fvhと同じ周波数成分を抽出し、かつその振幅Iαs、Iβsを求める。そして、フーリエ変換器20で抽出した振幅Iαs、Iβsに基づいて、下式(7)に示すような演算を施すことにより、回転子位置情報θのみを含んだ項を抽出する。
Figure 2014117069
この演算を実現するために、振幅Iαs、Iβsをそれぞれ二乗する乗算器21と乗算器21の出力である(Iβs・Iβs)から、(Iαs・Iαs)を減じて回転子位置θの情報のみを含むΔIαβを出力する減算器22を用いる。
位置演算器23では、上式(7)に含まれるcos2θの逆余弦を演算することにより、θ(推定位置θp)を計算する。なお、推定位置θpの演算は、逆余弦演算ではなく、cos2θの値を記憶したテーブルを用意し、テーブルとして記憶装置に記憶されたcos2θの値に基づいて推定位置θpを求めてもよい。
次に、位置推定手段102の位置推定精度について説明する。乗算器21の出力である(Iβs・Iβs)と(Iαs・Iαs)との和Iαβは、下式(8)となる。
Figure 2014117069
上式(8)は、交流回転機1に流れる電流のうち、高周波電圧の周波数fvhに等しい周波数成分の振幅の2乗に比例する項であり、上式(8)で求まる値が大きいほど、高周波電圧の周波数fvhの成分の振幅は、大きくなる。
上式(7)におけるcos2θの振幅成分を、下式(9)に示す。さらに、下式(9)に上式(8)を代入すると、下式(10)となる。
Figure 2014117069
ここで、U相電流iuとV相電流ivは、制御手段101に入力される際にA/D変換に伴う量子化誤差を生ずる。このため、α相電流iαとβ相電流iβにも量子化誤差が生じ、上式(7)で表されたΔIαβも量子化に伴う誤差を生ずる。よって、ΔIαβの振幅である上式(9)で求まる値は、大きいほど量子化誤差の影響が相対的に小さくなり、位置演算器23で求められる推定位置θpの誤差も小さくなる。
上式(10)より、ΔIαβの振幅を大きくする方法は、2つある。第1の方法は、Iαβを大きくする方法であり、第2の方法は、lもしくはlの絶対値を大きくする方法である。
第1の方法であるIαβを大きくする方法は、上式(9)式からもわかるように、交流回転機1に流れる電流のうち、高周波電圧の周波数に等しい周波数成分の振幅Iαs、Iβsを増大することとなる。したがって、この第1の方法は、交流回転機1の巻線で発生する銅損の増大や交流回転機1の振動、騒音増大を引き起こすため、好ましくない。
一方、lもしくはlの絶対値を大きくする第2の方法は、lがIαs、Iβsに依存しないため、上述した課題を発生しない利点がある。ここで、lは上式(1)より、d軸インダクタンスLdhとq軸インダクタンスLqhの差に比例した量であるため、lもしくはlの絶対値が大きいほど、交流回転機1の突極性は、大きい。
以上より、交流回転機1の巻線で発生する銅損の増大や交流回転機1の振動、騒音の増大を引き起こすことなく、推定位置θpの推定精度を得るためには、交流回転機1の突極性を大きくできればよいこととなる。
次に、交流回転機1の詳細について説明する。ここで説明する交流回転機1は、表面磁石型の永久磁石同期回転機である。図4は、本発明の実施の形態1における交流回転機1の固定子・回転子構造の説明図である。理解を助けるために、図4においては、交流回転機1の断面図を直線状に描いており、2通りの回転子位置d、qを表している。
ここで、交流回転機1は、固定子鉄心201と、電機子巻線202を具備した固定子と、永久磁石204間の周囲に配置された導体206とを有している。なお、図4では、4極の交流回転機を図示しているが、極数やスロット数は、これに限定されない。また、図4におけるNとSは、永久磁石の極性を示している。
図5は、本発明の実施の形態1における交流回転機1の回転子の斜視図である。より具体的には、10極の回転子の場合において、図4に対応する構成例を示す図である。図5に示すように、永久磁石304間の周囲に導体306と導体308が配置されている。ここで、導体306と導体308は、閉じた回路であるので、導通回路に相当する。
永久磁石304の周囲に導体306と導体308を配置し、交流回転機1の回転子が導通回路を有することにより、交流回転機1に高周波電圧を印加すると、導通回路に高周波電圧の周波数の渦電流が流れる。そして、渦電流による磁束が、固定子−回転子間のギャップ部において、永久磁石304による磁束を打ち消すように作用する。
図4に戻って、回転子位置に対するインダクタンスの差異が最も大きい回転子位置dと回転子位置qを比較する。図4の波形は、高周波電圧印加時の電機子に流れる渦電流により発生する磁束207を表している。ただし、簡単のため、基本波成分のみを示している。
まず、回転子位置がdの場合には、電機子に流れる渦電流により発生する磁束207のうち、例えば、導体206a、206bの間に鎖交し、導体206に渦電流が流れる。その渦電流により、電機子d軸電流によって発生する磁束が打ち消され、インダクタンスが小さくなる。
一方、回転子位置がqの場合には、渦電流により発生する磁束207のうち、例えば、206aと206bの間に鎖交する分が互いに打ち消すため、導体に渦電流が流れず、インダクタンスも変化しない。このように、回転子の位置によって、インダクタンスに差が生じ、突極性が生じる。
図6は、本発明の実施の形態1に係る交流回転機1の無負荷駆動時における交流回転機1の回転子位置とインダクタンスの関係を示した図であり、突極性を示す図である。図6において、横軸は、交流回転機1の回転子位置(電気角)、縦軸は、回転子位置に対するインダクタンスである。高周波電圧の周波数を小さい順にf1、f2、f3とした場合のインダクタンスを示している。
ここで、回転子位置に対するインダクタンスのうち、最大値を第1のインダクタンスL1、最小値を第2のインダクタンスL2とすると、周波数f2、f3において、インダクタンスは0および180度で最小値、90度および270度で最大値を取っている。したがって、この場合、L1は、q軸インダクタンスLqhに等しく、L2は、d軸インダクタンスLdhに等しい。
図6において、周波数f1、f2、f3の90度および270度におけるインダクタンス値をそれぞれL1(f1)、L1(f2)、L1(f3)とし、0度および180度におけるインダクタンス値をそれぞれL2(f1)、L2(f2)、L2(f3)とする。そして、第1のインダクタンスL1で比較した場合、L1(f1)、L1(f2)、L1(f3)の差異は、ほとんどなく、第2のインダクタンスL2で比較した場合には、L2(f1)は最も高く、L1(f1)とほぼ等しい。
高周波電圧の周波数がf1からf2、f3と高くなるにつれて、第2のインダクタンスL2は、L2(f2)、L2(f3)となり、第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2の差が大きくなる。これは、交流回転機1の導体206に渦電流が流れることにより生ずる磁束の大きさが、高周波電圧の周波数によって変動し、第1のインダクタンスと第2のインダクタンスに差が生じるためである。
以上より、第2のインダクタンスは、高周波電圧の周波数に対する関数となり、突極性も高周波電圧の周波数によって変動する。
図7は、本発明の実施の形態1において、無負荷のときの高周波電圧を印加した際に、図1に示す回転二軸(d−q軸)電流id、iqに基づく電流ベクトルの軌跡を示す図である。より具体的には、高周波電圧の周波数をf1、f2、f3とした場合の電流ベクトルの軌跡を示し、ベクトルの向きがd軸に一致したときのベクトルの大きさを、それぞれIdh(f1)、Idh(f2)、Idh(f3)とし、ベクトルの向きがq軸に一致したときのベクトルの大きさを、それぞれIqh(f1)、Iqh(f2)、Iqh(f3)とする。
図7においては、d軸電流を横軸、q軸電流を縦軸としている。周波数f1、f2、f3のうち、最も周波数の低いf1に対する電流ベクトル軌跡は、ほぼ真円に近く、Idh(f1)≒Iqh(f1)である。周波数をf1からf2、f3と高くするにつれて、q軸方向の電流ベクトルIqh(f1)、Iqh(f2)、Iqh(f3)の差異は小さいが、d軸方向の電流ベクトルIdh(f1)、Idh(f2)、Idh(f3)は、この順で大きくなっていることがわかる。
これは、図6の回転子位置に対するインダクタンスが高周波電圧の周波数をf1から、f2、f3と高くするにつれて、0度および180度のインダクタンスL2(=Ld)が減少していくことに起因している。ここで、d軸方向の電流ベクトルIdhとq軸方向の電流ベクトルIqhとの差をΔIhとすると、ΔIhの差が大きいほど、第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2の差が大きく、突極性が大きくなり、位置推定精度を向上できる。
このd軸方向の電流ベクトルIdhとq軸方向の電流ベクトルIqhとの差ΔIhは、例えば、特開2011−4583号公報において、それを表す計算式が記載されており、下式(11)で与えられている。ここで、Vhaは、高周波電圧の回転二軸(d−q軸)換算値である。
Figure 2014117069
上式(11)より、d軸インダクタンスLdhおよびq軸インダクタンスLqhと、ΔIhとの関係に着目すると、下式(12)で表される項が大きいほど、ΔIhが大きくなり、位置推定精度を向上できることがわかる。そこで、下式(12)で表される項を、突極性の指標と定義する。
Figure 2014117069
先に述べたように、L1は、q軸インダクタンスLqhに等しく、L2は、d軸インダクタンスLdhに等しい。このため、上式(12)は、下式(13)にて表すことができ、突極性の指標は、第2のインダクタンスの逆数と第1のインダクタンスの逆数との差に等しい。
Figure 2014117069
図8は、本発明の実施の形態1における突極性の指標の周波数特性を示す図である。横軸は、高周波電圧の周波数であり、縦軸は、突極性の指標(第2のインダクタンスの逆数と第1のインダクタンスの逆数の差)であり、縦軸の値が大きいほど、位置推定精度を向上できる。
言い換えると、縦軸の値が大きいほど、少ない電圧、電流もしくは電力で、位置推定精度を確保でき、交流回転機1を安定に駆動できる。図8より、突極性の指標(第2のインダクタンスL2の逆数と第1のインダクタンスL1の逆数の差)は、周波数fhにて極値をとっている。
図9は、本発明の実施の形態1における第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2との差の周波数特性を示す図である。横軸は、高周波電圧の周波数であり、縦軸は、第1のインダクタンスL1と第1のインダクタンスL2の差であり、縦軸の値が大きいほど、上式(1)におけるlの絶対値が大きくなるため、位置推定精度を向上できる。
言い換えると、縦軸の値が大きいほど、少ない電圧、電流もしくは電力で位置推定精度を確保でき、交流回転機1を安定に駆動できる。図9より、第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2の差L1−L2は、周波数fhにて極値をとっている。
図10は、本発明の実施の形態1における第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2との比L1/L2の周波数特性を示す図である。横軸は、高周波電圧の周波数であり、縦軸は、第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2との比L2/L1であり、縦軸の値が大きいほど、突極性が大きくなり、位置推定精度を向上できる。
言い換えると、縦軸の値が大きいほど、少ない電圧、電流もしくは電力で位置推定精度を確保でき、交流回転機1を安定に駆動できる。図10より、第2のインダクタンスL2と第1のインダクタンスL1との比は、周波数fhにて極値をとっている。
以上より、突極性の指標(第2のインダクタンスL2の逆数と第1のインダクタンスL1の逆数との差)、第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2との差、および第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2との比は、いずれも第1のインダクタンスL1と第2のインダクタンスL2によって構成され、高周波電圧、高周波電流もしくは高周波電力の周波数に対してインダクタンスを含む関数となっており、周波数fhで極値(もしくは最大値とも言える)をとっている。
本実施の形態1では、高周波電圧発生器で発生する高周波電圧(Vuh、Vvh、Vwh)の周波数fvhを、fhに一致、またはfh近傍に設定し、電力給電手段3より周波数fhまたはfh近傍の電圧を印加する。これにより、交流回転機1には、周波数fhの成分を含む電流が流れる。
電力は、電圧と電流の積であることを考慮すると、電力給電手段3から交流回転機1に対して、基本周波数の電力に加え、インダクタンスを含む関数が極値となる周波数fhの電力が給電されることによって、基本波周波数に加え、周波数fhおよびfh近傍以外の周波数帯の電力を給電する場合に比べ、交流回転機1の所望の位置推定精度を得るのに必要な電力を小さくすることができ、交流回転機1で発生する損失、振動、騒音を低減できる。
以上のように、実施の形態1によれば、インダクタンスを含む関数が極値または極値近傍となる周波数の電力と基本波周波数の電力を交流回転機に給電することによって、交流回転機を少ない電力で安定に駆動することができる。この結果、駆動時の振動および騒音の低減を図った交流回転機の制御装置および交流回転機の制御方法を実現することができる。
なお、上述した実施の形態1においては、加算器10にて、二相・三相変換器9の出力(Vu*、Vv*、Vw*)と高周波電圧発生器の出力(Vuh、Vvh、Vwh)とを加算する構成としている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、座標変換器8の出力(Vα*、Vβ*)に周波数fhまたは周波数fh近傍の高周波電圧(Vαh、Vβh)を加算する構成でもよい。さらに、本発明は、座標変換器8の入力(Vdh、Vqh)に周波数fhまたは周波数fh近傍の高周波電圧(Vdh、Vqh)を加算する構成でもよい。
また、交流回転機1の回転子の推定位置θpの推定方法に関しても、本実施の形態1における位置推定手段102の構成に限定されるものではない。電流検出手段によって検出された電流から、回転子の位置推定用に加算された周波数fhもしくはfh近傍の高周波電圧と同一の周波数成分を抽出して推定する回転子の位置推定手段は、全て本発明に含まれる。
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置を含むシステム全体の構成を示すブロック図である。本実施の形態2における交流回転機の制御装置は、制御手段401として構成されており、先の実施の形態1と同様に、電流検出手段2による検出結果に基づいて、電力給電手段3を介して所望の電力を供給することで、交流回転機1を制御している。
なお、図11において、先の実施の形態1における構成を表す図1のブロック図と同じ機能を有するものについては、同一の番号とし、説明を省略する。
次に、制御手段401の詳細構成を説明する。制御手段401は、三相・二相変換器4、座標変換器5、d軸電流制御器6、q軸電流制御器7、座標変換器8、二相・三相変換器9、位置推定手段402、加減算器403、および高周波電流発生器405を備えて構成されている。
制御手段401は、マイコンやDSP等のCPUを用いて、電流検出手段2より検出した電流値をA/D変換した電流値情報iu、ivを用いて、電圧指令Vu*、Vv*、Vw*を演算し、電力給電手段3へ出力する。また、その他の動作・機能として、制御手段401は、先の図1に示した制御手段101と比較して、位置推定手段402、加減算器403、高周波電流発生器405が異なる。
高周波電流発生器405は、周期Tih、周波数fih=1/Tih、振幅Ihのd軸高周波電流指令idh*およびidh*より電気角で位相が90度遅れているq軸高周波電流指令iqh*を出力する。図12は、本発明の実施の形態2における高周波電流発生器405が出力するd軸高周波電流指令idh*およびq軸高周波電流指令iqh*を示した説明図である。
加減算器403は、電流指令id*、iq*、高周波電流発生器405の出力idh*、iqh*、および座標変換器5の出力id、iqを入力し、下式(14)、(15)の演算によって、d軸電流偏差Δid、q軸電流偏差Δiqを出力する。
Figure 2014117069
d軸電流偏差Δid、q軸電流偏差Δiqは、それぞれd軸電流制御器6、q軸電流制御器7にて0に制御される。このことから、上式(14)、(15)にそれぞれΔid=0、Δiq=0を代入すると、座標変換器5の出力であるd軸電流id、q軸電流iqは、それぞれ下式(16)、(17)で表される。
Figure 2014117069
上式(16)、(17)より、交流回転機1を流れるd軸電流id、q軸電流iqには、高周波電流指令idh*、iqh*が含まれることがわかる。
次に、位置推定手段402について説明する。位置推定手段402は、二相電圧指令Vαs*、Vβs*を入力し、推定位置θpを出力する。図13は、本発明の実施の形態2における位置推定手段402の内部演算を表すブロックである。図13に示した位置推定手段402は、フーリエ変換器410、乗算器411、減算器412、および位置演算器413を備えて構成されている。
フーリエ変換器410は、二相電圧指令Vαs*、Vβs*から、これらVαs*、Vβs*の振幅(大きさ)Vαa、Vβaを抽出する。
乗算器411は、フーリエ変換器410の出力であるVαa、Vβaをそれぞれ二乗し、(Vαa・Vαa)と(Vβa・Vβa)とを出力する。減算器412は、(Vβa・Vβa)から(Vαa・Vαa)を減じてΔVαβを出力する。さらに、位置演算器413は、減算器412の出力であるΔVαβより、推定位置θpを演算する。
以下、位置推定手段402により推定位置θpを求める処理内容について、さらに具体的に説明する。
上式(1)において、回転機が停止時または低速運転時と仮定し、ω=0とする。また、微分演算子Pをラプラス演算子sに置き換えると、固定直交座標での電圧vαs、vβsは、下式(18)となる。
Figure 2014117069
ここで、高周波電流発生器405から交流回転機1を駆動するための交流電流の基本周波数よりも十分に高い角周波数ωh(=2π/(Tih))の高周波電流idh、iqhを通電すると仮定する。この場合には、R<<Lα・ωhおよびR<<Lβ・ωhが成り立ち(s=jωh(jは虚数単位)とした場合)、固定子抵抗Rの影響を無視すると、上式(18)は、下式(19)となる。
Figure 2014117069
また、高周波電流発生器405より通電する高周波電流idh、iqhは、固定直交座標では、下式(20)のように表すことができる。
Figure 2014117069
また、上式(20)の固定直交座標での高周波電流は、下式(21)で表され、この式(21)に上式(20)を代入し、s=jωh(jは虚数単位)とすると、下式(22)となる。
Figure 2014117069
上式(22)に示すように、固定直交座標での電圧Vαs、Vβsの振幅に、回転子位置情報θ(=推定位置θp)が含まれていることが分かる。そこで、固定直交座標での電圧Vαs、Vβsの振幅Vaα、Vaβを、フーリエ変換器410にて抽出する。そして、フーリエ変換器410で抽出した振幅Vaα、Vaβに基づいて、下式(23)に示すような演算を施すことにより、回転子位置情報θのみを含んだ項を抽出する。
Figure 2014117069
この演算を実現するために、振幅Vaα、Vaβをそれぞれ二乗する乗算器411と乗算器411の出力である(Vaα・Vaα)から、(Vaβ・Vaβ)を減じて回転子位置θの情報のみを含むΔVαβを出力する減算器412を用いる。
位置演算器413では、上式(23)に含まれるcos2θの逆余弦を演算することにより、θ(推定位置θp)を計算する。なお、推定位置θpの演算は、逆余弦演算ではなく、cos2θの値を記憶したテーブルを用意し、テーブルとして記憶装置に記憶されたcos2θの値に基づいて推定位置θpを求めてもよい。
上式(23)に含まれるcos2θの振幅は、下式(24)となる。
Figure 2014117069
この振幅が大きいほど、推定位置θpに対する、ΔVαβの変動が大きい。ΔVαβの変動が大きいほど、制御手段401の演算に用いるマイコンやCPUの演算分解能の影響を相対的に小さくできるため、推定位置θpをより正確に演算でき、位置推定精度を向上できる。
ΔVαβは、高周波電流の振幅ihの2乗に比例する。よって、ihを大きくすると、ΔVαβも大きくなり、推定位置θpをより正確に演算できるが、交流回転機1の巻線での損失や交流回転機1の振動、騒音が増大してしまう。
一方、ΔVαβは、lに比例する。lは上式(1)より、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスとの差に比例するので、突極性が大きいほど、ΔVαβも大きくなり、推定位置θpをより正確に演算できる。
そこで、本実施の形態2では、高周波電流発生器で発生する高周波電流指令idh*、iqh*の周波数fih(fih=図12のTihの逆数)を交流回転機1の突極性の指標が極値となる周波数fhもしくはfh近傍に設定し、電力給電手段3より周波数fhまたはfh近傍の電流を通電する。これにより、交流回転機1には、周波数fhの成分を含む電圧が印加される。
電力は、電圧と電流の積であることを考慮すると、電力給電手段3から交流回転機1に、基本周波数の電力に加え、インダクタンスを含む関数が極値となる周波数fhの電力が給電されることによって、基本波周波数に加え、周波数fhおよびfh近傍以外の周波数帯の電力を給電する場合に比べ、交流回転機1の所望の推定位置精度を得るのに必要な電力を小さくすることができ、交流回転機1で発生する損失、振動、騒音を低減できる。
以上のように、実施の形態2によれば、先の実施の形態1と同様に、インダクタンスを含む関数が極値または極値近傍となる周波数の電力と基本波周波数の電力を交流回転機に給電することによって、交流回転機を少ない電力で安定に駆動することができる。この結果、駆動時の振動および騒音の低減を図った交流回転機の制御装置および交流回転機の制御方法を実現することができる。
なお、上述した実施の形態2においては、高周波電流指令値idh*、iqh*を電流指令id*、iq*に加算し、固定直交座標での電圧Vαs、Vβsに基づいて位置推定手段402により推定位置θpを推定した。しかしながら、推定位置θpを演算する手段は、これに限定されるものではなく、電流指令値に交流回転機のインダクタンスを含む関数が極値をとる周波数の高周波電流指令値を加算し、交流回転機1の電圧に基づいて回転子位置を推定するものは、全て本発明に含まれる。
実施の形態3.
図14は、本発明の実施の形態3における交流回転機の制御装置を含むシステム全体の構成を示すブロック図である。本実施の形態3における交流回転機の制御装置は、制御手段501として構成されており、先の実施の形態1、2と同様に、電流検出手段2による検出結果に基づいて、電力給電手段3を介して所望の電力を供給することで、交流回転機1を制御している。
なお、図14において、先の実施の形態1における構成を表す図1のブロック図と同じ機能を有するものについては、同一の番号とし、説明を省略する。
次に、制御手段501の詳細構成を説明する。制御手段501は、三相・二相変換器4、d軸電流制御器6、q軸電流制御器7、二相・三相変換器9、加算器10、位置推定手段102、減算器103、高周波電圧発生器104、位置補正手段502、加算器503、座標変換器505、および座標変換器508を備えて構成されている。
位置補正手段502は、座標変換器505の出力であるd軸電流id、q軸電流iqを入力し、位置補正θhを出力する。位置補正手段502の動作については、後述する。
加算器503は、位置推定手段102の出力θpと、位置補正手段502の出力θhとの和θp2を出力する。
座標変換器508は、加算器503が出力する回転子位置θp2を用いて、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*を固定二軸(α−β軸)上の電圧指令値Vα*とVβ*に変換する。
座標変換器505は、加算器503が出力する回転子位置θp2を用いて、iαs、iβsを回転二軸(d−q軸)電流id、iqに変換する。
次に、位置補正手段502について詳しく説明する。図15は、本発明の実施の形態3に係る交流回転機1の負荷時(基本周波数の電流通電時)の交流回転機1の回転子位置とインダクタンスの関係を示した図である。先に示した図6では、回転子位置90度および270度にて第1のインダクタンス値L1をとり、L1は、q軸インダクタンスLqhに等しく、回転子位置0および180度にて第2のインダクタンス値L2をとり、L2は、d軸インダクタンスLdhに等しかった。しかしながら、本実施の形態3における図15では、第2のインダクタンスL2が、d軸(回転子位置0度)からΔθだけずれており、LdhとL2は、異なる値をとる。
同様に、q軸インダクタンスLqhと第1のインダクタンス値L1は、異なる値をとる。これは、負荷時、交流回転機1に電流を通電することにより、交流回転機1の固定子鉄心201が、磁気飽和を起こすことに起因する。
以下、位置のずれ量Δθによって、回転子位置の推定誤差が発生する原理について述べる。上式(1)において、位置のずれ量Δθがある場合におけるインダクタンスLα、Lβ、Lαβは、下式(25)のように表される。
Figure 2014117069
上式(25)を上式(3)に代入し、上式(4)〜(7)と同じ計算を実行すると、ΔIαβは、下式(26)となる。
Figure 2014117069
上式(26)に含まれるcos2θの逆余弦を演算することにより、推定位置θpを計算すると、推定位置θpは、下式(27)となり、推定位置θpは、回転子位置θに対し、位置のずれΔθが発生する。
Figure 2014117069
そこで、位置補正手段502は、この位置のずれ量Δθが交流回転機1に通電される基本周波数の電流に依存することを利用し、d軸電流id、q軸電流iqと位置のずれ量Δθの関係を、テーブル化あるいはΔθを電流の関数とするなどの方法であらかじめ記憶しておき、座標変換器505の出力であるd軸電流id、q軸電流iqを入力し、位置のずれ量Δθを補正する位置補正θhを演算および出力する。
なお、位置補正手段502に入力するd軸電流id、q軸電流iqは、図14においては、座標変換器505の出力を入力している。しかしながら、座標変換器505の出力であるd軸電流id、q軸電流iqに対し、高周波成分をローパスフィルタで低減もしくは除去した電流を入力してもよい。この場合、高周波電流を低減もしくは除去したことにより、位置補正手段502の出力であるθhに含まれる高周波電流と同じ周波数成分が低減もしくは除去されるため、より正確に基本波周波数に対する位置補正θhの演算が実施できる。
なお、本実施の形態3では、d軸電流id、q軸電流iqに基づいて位置補正θhを演算および出力する構成とした。しかしながら、位置のずれ量Δθは、交流回転機1に通電される電流に依存するため、交流回転機1に流れる基本波周波数の電流、もしくは交流回転機1に流れる基本波周波数を含む電流に基づいて、位置補正θhを演算および出力してもよい。
例えば、電流検出手段2から検出した電流iu、iv、三相・二相変換器4の出力iαs、iβs、d軸電流指令、q軸電流指令、電流指令値id*、iq*の少なくとも1つに基づいて、位置補正θhを演算・出力すればよい。
以上のように、実施の形態3によれば、位置補正手段を備えることにより、交流回転機の負荷時において、磁気飽和に伴う位置推定手段の位置のずれ量Δθを補正することが可能となる。この結果、交流回転機が負荷駆動時においても、良好な駆動性能を得ることができる。
なお、本実施の形態3における位置補正手段502を、先の実施の形態2において、交流回転機1が負荷時における位置推定手段402のθpの補正にも適用できることは言うまでもない。
また、実施の形態1〜3においては、交流回転機1として表面磁石型の同期回転機について述べた。しかしながら、埋込磁石型の同期回転機や誘導回転機のロータに、先の図5に示した導体306を取り付けることによって、本発明を実施することができる。
埋込磁石型の同期回転器や誘導回転機のロータに、図5に示すような導体306を取り付けることによって、インダクタンスが周波数特性を有し、インダクタンスを含む関数が極値となる周波数に対しては、導体を配置しない場合に比べて突極性が増大する。この結果、その周波数の電力を給電することにより、少ない電力で埋込磁石型の同期回転機や誘導回転機を安定に駆動することができる。
1 交流回転機、2 電流検出手段、3 電力給電手段(電力給電部)、4 三相・二相変換器、5 座標変換器、6 d軸電流制御器、7 q軸電流制御器、8 座標変換器、9 二相・三相変換器、10 加算器、20 フーリエ変換器、21 乗算器、22 減算器、23 位置演算器、101 制御手段(制御部)、102 位置推定手段、103 減算器、104 高周波電圧発生器、201 固定子鉄心、202 電機子巻線、204 永久磁石、206、206a 導体、207 磁束、303 回転子鉄心、304 永久磁石、305 シャフト、306 導体、308 導体、401 制御手段(制御部)、402 位置推定手段、403 加減算器、405 高周波電流発生器、410 フーリエ変換器、411 乗算器、412 減算器、413 位置演算器、501 制御手段(制御部)、502 位置補正手段、503 加算器、505 座標変換器、508 座標変換器。

Claims (10)

  1. インダクタンスに周波数特性を有する交流回転機に対して電力給電部を介して所望の電力を給電する制御部を備えた交流回転機の制御装置であって、
    前記制御部は、前記交流回転機の前記インダクタンスを含む関数が極値となる周波数の電力と基本波周波数の電力を、前記電力給電部を介して前記交流回転機に給電する
    交流回転機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の交流回転機の制御装置において、
    前記交流回転機は、第1のインダクタンスと第2のインダクタンスを有し、前記第1のインダクタンスおよび前記第2のインダクタンスの少なくともいずれか一方が周波数特性を有し、
    前記制御部は、前記インダクタンスを含む関数として、前記第1のインダクタンスと前記第2のインダクタンスによって構成される関数を使用する
    交流回転機の制御装置。
  3. 請求項2に記載の交流回転機の制御装置において、
    前記制御部は、前記インダクタンスを含む関数として、前記第2のインダクタンスの逆数と前記第1のインダクタンスの逆数との差によって構成される関数を使用する
    交流回転機の制御装置。
  4. 請求項2に記載の交流回転機の制御装置において、
    前記制御部は、前記インダクタンスを含む関数として、前記第1のインダクタンスと前記第2のインダクタンスとの差によって構成される関数を使用する
    交流回転機の制御装置。
  5. 請求項2に記載の交流回転機の制御装置において、
    前記制御部は、前記インダクタンスを含む関数として、前記第1のインダクタンスと前記第2のインダクタンスとの比によって構成される関数を使用する
    交流回転機の制御装置。
  6. 請求項2から5のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置において、
    前記交流回転機の回転子は、周囲に導体が配置された永久磁石を有し、前記導体に流れる渦電流によって、前記第1のインダクタンスと前記第2のインダクタンスとに差が生じる
    交流回転機の制御装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置において、
    前記制御部は、前記インダクタンスを含む関数が極値となる周波数の電圧を、前記電力給電部を介して印加することで前記交流回転機を流れる電流に基づいて、前記交流回転機の推定位置を求める
    交流回転機の制御装置。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置において、
    前記制御部は、前記インダクタンスを含む関数が極値となる周波数の電流を、前記電力給電部を介して通電することで前記交流回転機に印加される電圧に基づいて、前記交流回転機の推定位置を求める
    交流回転機の制御装置。
  9. 請求項7または8に記載の交流回転機の制御装置において、
    前記制御部は、前記基本周波数の電流に応じて、前記推定位置を補正する
    交流回転機の制御装置。
  10. インダクタンスに周波数特性を有する交流回転機に対して電力給電部を介して所望の電力を給電する制御部を備えた交流回転機の制御方法であって、
    前記制御部において、前記交流回転機の前記インダクタンスを含む関数が極値となる周波数の電力と基本波周波数の電力を、前記電力給電部を介して前記交流回転機に給電するステップ
    を備える交流回転機の制御方法。
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