JP2014115358A - 熱線制御シートおよび熱線制御シート付き窓 - Google Patents

熱線制御シートおよび熱線制御シート付き窓 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、入射面に対する光の入射角度に応じて熱線量を制御することが可能な熱線制御シートであって、多重像や虹ムラの発生を抑えて優れた視認性を得ることができる熱線制御シートを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部、および上記溝部内に形成された熱線吸収部を有する熱線制御層と、上記熱線制御層の少なくとも一方側に形成されたアンチグレア層と、を有することを特徴とする熱線制御シートを提供することにより上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンチグレア層を有する視認性に優れた熱線制御シート、および熱線制御シート付き窓に関するものである。
熱線制御シートは、赤外線等の熱線を選択的に吸収または透過させて、熱線制御シートを介して入射される熱線量を制御することができる機能性シートである。
近年、地球温暖化等の環境問題が深刻となり、世界的にその対策が進められている。中でも、省エネルギーの観点から、外部から入射する熱線量を調整して住宅や自動車等の室内や車内の温度を制御する方法が注目されている。
住宅や自動車の窓ガラスに用いられる熱線制御シートとしては、例えば、図6に示すように、光透過部2の表面上に、直線かつ並列に複数本の溝部3が形成され、上記溝部3に熱線吸収剤を含有する熱線吸収部4が形成された構造を有するものが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。このような構造を有する熱線制御シートを住宅や自動車の窓ガラスに用いる場合には、夏季および冬季、または朝夕および昼間で太陽の高さが変化することによる熱線制御シートに対する光源の入射角度の変化を利用して熱線を制御することができる。そのため、夏季には入射する熱線量を低減して室内や車内等の温度上昇を抑制し、冬季には入射する熱線量を十分に確保して室内や車内等の温度低下を抑制することが可能である。
具体的に、図7(a)、(b)は、従来の熱線制御シート1の一例を示す概略断面図である。
図7(a)は、太陽の高さが高い夏季の昼間のように、熱線制御シート1に対する光源lの入射角度θが90°>θである場合を示した図である。この場合、熱線制御シート1に対する入射角度θが90°>θで入射した入射光linの殆どは、光透過部2の表面上に形成された熱線吸収部4に入射することになる。熱線吸収部4に入射光linが入射すると、入射光linに含まれる熱線hは熱線吸収部4に含有された熱線吸収剤に吸収され、また、図示はしないが、入射光linに含まれる熱線h以外の可視光線は、熱線吸収部4に含有された熱線吸収剤に吸収されることなく、熱線制御シート1を透過する。すなわち、入射光に含まれる熱線を選択的に遮断することができる。
一方、図7(b)は、太陽の高さが比較的低い冬季の昼間のように、熱線制御シート1に対する入射光linの入射角度θが90°=θである場合を示した図である。この場合、熱線制御シート1に対する入射角度θが90°=θで入射した入射光linの殆どは、光透過部2の表面上に形成された熱線吸収部4に入射されないため、入射光linに含まれる熱線hは、熱線吸収部4に含有された熱線吸収剤に吸収されることなく、熱線制御シート1を透過する。また、図示はしないが、入射光linに含まれる熱線h以外の可視光線も、熱線hと同様に熱線制御シート1を透過する。すなわち、入射光に含まれる熱線および可視光線を透過することができる。
なお、図7(a)、(b)は、光透過部2において熱線吸収部4を有する側を入射面とした場合であるが、図7(a)、(b)とは反対側の面を入射面とすることもできる。
特開2010−259406号公報 特許第4858269号
ところで、上述した熱線制御シートは、光透過部の表面に形成された溝部内に、熱線吸収剤として熱線吸収粒子を含有する熱線吸収部が形成された構造を有する。そのため、粒子を含有しない光透過部を光が透過する場合には光の散乱は発生しないものの、光が透明熱線吸収粒子を含有する光熱線吸収部を透過する場合には、熱線吸収粒子に光があたることによって光の散乱が発生する。すなわち、光透過部のみを透過する光と比較して熱線吸収部を透過する光の拡散が増大する。このように、熱線吸収部を透過するか否かにより光の拡散に偏りが生じると、出射光の光量にも偏りが生じ、熱線制御シートを介して観察される像が多重像として知覚されるといった問題がある。すなわち、熱線制御シートを透過する光に回折現象が生じてしまう。
また、上述のように、熱線制御シートを透過する光に回折現象が生じると、回折した光が互いに干渉し合うことにより波長毎に光の強度に差異が生じてしまう場合があり、熱線制御シートを介して虹ムラが観察されるという問題がある。
熱線制御シートの視認性を向上させる方法としては、例えば特許文献1には、光透過部および熱線吸収部の界面における光の反射を抑制する方法として、光透過部と熱線吸収部とを同じ屈折率に調整する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1では、光が熱線吸収粒子を含有する熱線吸収部を透過するか否かによる光の拡散の偏りについては言及されておらず、光の回折現象および干渉現象を低減させることを目的としていない。
また、例えば特許文献2は、予め熱線吸収部を形成し、その後、熱線吸収部を光透過部で覆うことにより熱線制御シートを製造し、熱線吸収部の表面を平坦にすることを目的とした発明である。すなわち、光が熱線吸収粒子を含有する熱線吸収部を透過するか否かによる光の拡散の偏りについては言及されておらず、光の回折現象および干渉現象を低減させることを目的としていない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、入射面に対する光の入射角度に応じて熱線量を制御することが可能な熱線制御シートであって、多重像や虹ムラの発生を抑えて優れた視認性を得ることができる熱線制御シートを提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部、および上記溝部内に形成された熱線吸収部を有する熱線制御層と、上記熱線制御層の少なくとも一方側に形成されたアンチグレア層と、を有することを特徴とする熱線制御シートを提供する。
本発明によれば、熱線制御層の少なくとも一方側にアンチグレア層が形成されていることにより、熱線制御層を光が透過する際に熱線吸収部を透過する光と熱線吸収部を透過しない光との間で生じる光の拡散の偏りを緩和することができる。これにより、多重像や虹ムラの発生を抑え、優れた視認性を得ることができる。
また、本発明は、上記アンチグレア層が、少なくとも一方の面に凹凸形状を有することが好ましい。これにより、熱線制御層を光が透過する際に熱線吸収部を透過する光と熱線吸収部を透過しない光との間で生じる光の拡散の偏りを緩和し、多重像や虹ムラの発生を抑え、優れた視認性を得ることができる。
さらに、本発明は、上記アンチグレア層が、微粒子とバインダー樹脂とを含有することが好ましい。これにより、熱線制御層を光が透過する際に熱線吸収部を透過する光と熱線吸収部を透過しない光との間で生じる光の拡散の偏りを緩和し、多重像や虹ムラの発生を抑え、優れた視認性を得ることができる。
さらにまた、本発明は、窓材と、上記窓材の少なくとも一方の表面に粘着された上述の熱線制御シートと、を有することを特徴とする熱線制御シート付き窓を提供する。
本発明によれば、窓材の少なくとも一方の表面に粘着された熱線制御シートが、光透過部および熱線吸収部の表面上にアンチグレア層を有することにより、熱線吸収部を透過して出射される光と、熱線吸収部を透過せずに出射される光との光の拡散の偏りを緩和することができる。これにより、多重像や虹ムラの発生を抑え、優れた視認性を得ることができる。
本発明においては、光透過部および熱線吸収部を有する熱線制御シートにおいて、光透過部および熱線吸収部の表面上にアンチグレア層を有することにより、光の回折現象や干渉現象による多重像や虹ムラの発生を抑えることができ、優れた視認性を得ることができるという効果を奏する。
本発明の熱線制御シートの一例を示す概略斜視図である。 熱線制御層の一方側にアンチグレア層を有する本発明の熱線制御シートを説明する模式図である。 熱線制御層の他の方側にアンチグレア層を有する本発明の熱線制御シートを説明する模式図である。 本発明における熱線制御層の一例を示す概略断面図である。 本発明における溝部の一例を示す模式図である。 従来の熱線制御シートの一例を示す概略斜視図である。 従来の熱線制御シートの他の例を示す概略断面図である。 熱線制御シートにおける熱線吸収部の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の熱線制御シートおよび熱線制御シート付き窓について詳細に説明する。
A.熱線制御シート
本発明の熱線制御シートについて説明する。
本発明の熱線制御シートは、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部、および上記溝部内に形成された熱線吸収部を有する熱線制御層と、上記熱線制御層の少なくとも一方側に形成されたアンチグレア層と、を有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の熱線制御シートの一例を示す概略斜視図である。本発明の熱線制御シート10は、一方の表面に複数本の溝部3を有する光透過部2、および溝部3内に形成された熱線吸収部4を有する熱線制御層1とアンチグレア層5とを有する。
本発明の熱線制御シート10は、図1(a)に示すように、熱線制御層1における光透過部2および熱線吸収部4の表面側にアンチグレア層5が形成されていてもよく、あるいは、図1(b)に示すように、熱線吸収層1における光透過部2および熱線吸収部4の表面とは反対側にアンチグレア層5が形成されていてもよい。なお、図1(a)に示す熱線制御シート10におけるアンチグレア層5は、後述する第1態様のアンチグレア層5を用いた場合の例であり、図1(b)に示す熱線制御シート10におけるアンチグレア層5は、後述する第2態様のアンチグレア層5を用いた場合の例である。
また、本発明の熱線制御シートを用いる場合は、図1(a)、(b)のいずれにおいても、アンチグレア層5が形成された側が観察側となる。
さらに、図1(a)、(b)に示す熱線吸収部の表面の縦断面形状は凹部状であるが、熱線吸収部の表面形状は特に特に限定されない。
図2は、熱線制御層の一方側にアンチグレア層を有する本発明の熱線制御シートを説明する模式図である。
図2(a)に示す従来の熱線制御シート10’の場合には、従来の熱線制御シート10’に入射した入射光linは、表面の溝部3内に形成された熱線吸収部4を有する光透過部2を透過する。このとき、熱線制御シート10’を透過して出射される出射光loutには、熱線吸収部4を透過する光と、熱線吸収部4を透過せずに光透過部2のみを透過する光とがある。一般的な熱線吸収部4は透明熱線吸収粒子を含有する。そのため、熱線吸収部4を透過する光は、透明熱線吸収粒子により散乱して拡散される。一方、熱線吸収部4を透過せずに粒子を含有しない光透過部2のみを透過する光は、粒子による光の散乱が発生しないため拡散は抑制される。このように、光が熱線吸収部4を透過するか否かによって、従来の熱線制御シート10’に入射した入射光linの拡散に偏りが生じ、熱線制御シート10’から出射される出射光loutの光量に偏りが生じる。
これに対し、図2(b)に示す本発明の熱線制御シート10の場合には、熱線制御層1を透過した光は、熱線制御層1の出射面側に形成されたアンチグレア層5によって拡散される。すなわち、熱線吸収部4を透過するか否かによる拡散の偏りを有する光が、アンチグレア層5によりさらに拡散されることになる。これにより、アンチグレア層を有さない従来の熱線制御シートと比較して、熱線吸収部4を透過するか否かによる光の拡散の偏りは緩和され、熱線制御シート10から出射される出射光loutの光量の偏りについても緩和される。
なお、図2(b)に示す熱線制御シート10におけるアンチグレア層5は、後述する第2態様のアンチグレア層5を用いた場合の例である。また、図2(a)、(b)に示す熱線吸収部の表面の縦断面形状は凹部状であるが、熱線吸収部の表面形状は特に限定されない。
図3は、熱線制御層の他の方側にアンチグレア層を有する本発明の熱線制御シートを説明する模式図である。
図3(a)に示す従来の熱線制御シート10’の場合には、上記図2(a)と同様に、光が熱線吸収部4を透過するか否かによって、従来の熱線制御シート10’に入射した入射光linの拡散に偏りが生じ、熱線制御シート10’から出射される出射光loutの光量に偏りが生じる。
これに対し、図3(b)に示す本発明の熱線制御シート10の場合には、熱線制御シート10に入射した入射光linは、熱線制御層1の出射面側に形成されたアンチグレア層5によって拡散される。そのため、図2(b)と同様に、アンチグレア層を有さない従来の熱線制御シートと比較して、熱線吸収部4を透過するか否かによる光の拡散の偏りは緩和され、熱線制御シート10から出射される出射光loutの光量の偏りについても緩和される。
なお、具体的な説明は上述の図2(a)、(b)と同様である。
また、図3(b)に示す熱線制御シート10におけるアンチグレア層5は、後述する第1態様のアンチグレア層5を用いた場合の例である。さらに、図2と同様に、図3(a)、(b)に示す熱線吸収部の表面の縦断面形状は凹部状であるが、熱線吸収部の表面形状は特に限定されない。
本発明によれば、熱線制御層の少なくとも一方側にアンチグレア層が形成されていることにより、熱線制御層を光が透過する際に熱線吸収部を透過する光と熱線吸収部を透過しない光との間で生じる光の拡散の偏りを緩和することができる。これにより、多重像や虹ムラの発生を抑え、優れた視認性を得ることができる。
この理由としては、以下のことが考えられる。すなわち、熱線制御層を透過して出射される光には、熱線制御層における光透過部および熱線吸収部のいずれも透過する光と、熱線制御層における光透過部のみを透過する光とがある。熱線制御層における光透過部および熱線吸収部のいずれをも透過する光は、熱線吸収部を透過する際に、熱線吸収部に含有される熱線吸収粒子によって散乱される。そのため、熱線制御層を透過して出射される光は、熱線吸収部を透過する光と熱線吸収部を透過しない光とで光の拡散の程度に偏りが生じる。すなわち、熱線制御層からの出射光の光量に偏りが生じることになる。このような光量の偏りは、光の回折現象の発生や、それに伴って発生する光の干渉現象を誘発する。したがって、従来の熱線制御シートでは多重像や虹ムラにより視認性が低下するものと考えられる。
これに対して本発明の熱線制御シートでは、熱線制御層の少なくとも一方側に形成されたアンチグレア層により、熱線吸収部を透過するか否かによる拡散の偏りを有する光が拡散されて出射することになる。したがって、本発明の熱線制御シートの場合には、アンチグレア層を有さない従来の熱線制御シートの場合と比較して、熱線吸収部を透過する光と熱線吸収部を透過しない光との間における光の拡散の偏りが緩和される。これにより、光の回折現象やそれに伴って発生する光の干渉現象を抑制して多重像や虹ムラの発生を抑えることができ、優れた視認性を得ることができると推量される。
また、例えば図1(a)に示すように、熱線制御層1において光透過部2および熱線吸収部4の表面に直接アンチグレア層5が形成されている場合には、多重像や虹ムラの発生をより効果的に抑えることができる。
この理由としては、以下のことが考えられる。すなわち、熱線吸収部は、通常、溝部を有する光透過部の表面にワイピングコート法を用いて熱線吸収部形成用塗工液を塗布することにより熱線吸収部が形成されている。ワイピングコート法により熱線吸収部を形成すると、図8(a)に示すように、擦切りの影響や熱線吸収部形成用塗工液の硬化収縮の影響により、熱線吸収部4の表面が窪んでしまう場合がある。熱線吸収部の表面が窪み、光透過部および熱線吸収部の表面形状に差異が生じると、光透過部の表面から入射または出射する光と熱線吸収部の表面から入射または出射する光との拡散に偏りが生じる。すなわちこの場合には、光が透明熱線吸収粒子を含有する熱線吸収部を透過するか否かによる光の拡散の偏りとともに、熱線吸収部の表面形状に起因した光の拡散の偏りが生じ、熱線制御シートから出射される光の拡散の偏りが顕著になるという問題がある。
したがって、図1(a)に示すように、熱線制御層1において光透過部2および熱線吸収部4の表面に直接アンチグレア層5が形成されている場合には、アンチグレア層5により熱線吸収部4の表面と光透過部2の表面との表面形状の差異をなくすことができる。したがって、熱線吸収粒子を含有する熱線吸収部を透過するか否かによる光の拡散の偏りと、熱線吸収部と光透過部との表面形状に起因した光の拡散の偏りとを緩和し、光の回折現象やそれに伴って発生する光の干渉現象を効果的に抑制して多重像や虹ムラの発生を抑えることができると推量される。
なお、図8(b)に示すように、例えばインクジェット法により熱線吸収部を形成するにあたって、熱線吸収部形成用塗工液を滴下した際の熱線吸収部形成用塗工液の表面張力の影響により熱線吸収部4の表面が盛り上がってしまう場合も同様の問題が生じる。
以下、本発明の熱線制御シートを構成する各部材について説明する。
1.アンチグレア層
本発明におけるアンチグレア層は、後述する熱線制御層の少なくとも一方側に形成されるものである。本発明においては、アンチグレア層を用いて光を拡散させることにより、後述する熱線吸収部を透過するか否かによる光の拡散の偏りを緩和することができる。
ここで、アンチグレア層が「熱線制御層の少なくとも一方側に形成される」とは、熱線制御層の少なくともいずれか一方の面上にアンチグレア層が形成されることを指し、熱線制御層の表面にアンチグレア層が直に接していてもよく、あるいは熱線制御層とアンチグレア層との間に他の層を有していてもよい。
本発明者らは、光の拡散の偏りによる回折現象や干渉現象による多重像や虹ムラの発生を抑えることができるアンチグレア層として、少なくとも一方の面が凹凸形状及び/または微粒子とバインダー樹脂とを含有するアンチグレア層を用いることとした。すなわち、少なくとも一方の面が凹凸形状である態様と、微粒子およびバインダー樹脂を含有する態様と、少なくとも一方の面が凹凸形状であり、かつ所定の屈折率差を有する微粒子およびバインダー樹脂を含有する態様とである。
本発明においては、アンチグレア層が上記のいずれかの態様であることにより、光の拡散に偏りを有する熱線制御層からの出射光が拡散されることで、光の拡散の偏りが緩和される。これにより、光の回折現象や干渉現象に起因する多重像や虹ムラの発生が抑えられ、優れた視認性を得ることができると推量される。
以下、少なくとも一方の面が凹凸形状であるアンチグレア層を第1態様、微粒子およびバインダー樹脂を含有するアンチグレア層を第2態様、および少なくとも一方の面が凹凸形状であり、かつ所定の屈折率差を有する微粒子およびバインダー樹脂を含有するアンチグレア層をその他の態様として、それぞれの態様について説明する。
(1)第1態様
本態様のアンチグレア層は、少なくとも一方の面が凹凸形状である。
本態様のアンチグレア層を熱線制御シートに用いる場合には、光の拡散に偏りを有する熱線制御層からの出射光を、アンチグレア層の表面の凹凸形状によって拡散することができる。
アンチグレア層表面の凹凸形状の十点平均粗さRz(μm)としては、光の拡散に偏りを有する熱線制御層からの出射光を拡散して光の拡散の偏りを緩和することができる粗さであれば特に限定されるものではないが、例えば、0.05≦Rz≦1.60の範囲内であることが好ましく、中でも0.50≦Rz≦1.00の範囲内であることが好ましい。
なお、アンチグレア層表面の凹凸形状の十点平均粗さRzは、走査型プローブ顕微鏡ユニットNanocute(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いて測定した値である。
また、アンチグレア層表面の凹凸形状における凹凸の平均間隔Sm(μm)としては、光の拡散に偏りを有する熱線制御層からの出射光を拡散して光の拡散の偏りを緩和することができる間隔であれば特に限定されるものではないが、例えば、30≦Sm≦600の範囲内であることが好ましい。
なお、アンチグレア層表面の凹凸形状における凹凸の平均間隔Smは、走査型プローブ顕微鏡ユニットNanocute(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いて測定した値である。
さらに、アンチグレア層表面の凹凸形状における凹凸の平均傾斜角θaとしては、光の拡散に偏りを有する熱線制御層からの出射光を拡散して光の拡散の偏りを緩和することができる傾斜角であれば特に限定されるものではないが、例えば、0.1≦θa≦2.5の範囲内であることが好ましい。
なお、アンチグレア層表面の凹凸形状における凹凸の平均傾斜角θaは、走査型プローブ顕微鏡ユニットNanocute(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いて測定した値である。
本態様のアンチグレア層のヘイズ値としては、比較的低いことが好ましい。上記アンチグレア層を熱線制御シートに用いた際に、熱線制御シートを介して観察される像が白濁して見えるといった現象の発生を抑制することができるからである。具体的には、10%以下であることが好ましく、中でも3%以下であることが好ましい。
なお、ここでのヘイズ値は、スガ試験機株式会社製 全自動直読ヘイズコンピュータ(HGM−2DP)を用いて測定した値である。
本態様のアンチグレア層としては、光透過性を有することが好ましい。アンチグレア層の光透過性としては、熱線制御シートの用途等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、全光線透過率が70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。
なお、アンチグレア層の全光線透過率は、スガ試験機株式会社製 全自動直読ヘイズコンピュータ(HGM−2DP)を用いて測定した値である。
本態様のアンチグレア層の材料としては、表面を凹凸形状にすることができる材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、電離放射線硬化性樹脂を挙げることができる。なお、ここでの電離放射線とは、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、γ線、X線、電子線、および活性エネルギー線等を指す。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。中でも、紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。例えば、重合性オリゴマーないしはプレポリマー、特には、多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーが挙げられる。重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等が挙げられ、これらを単独で用いても良く2種類以上を併用してもよい。本発明においては、(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマーが好ましい。なお、ここでの(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
また、本態様のアンチグレア層は微粒子を含有しないことが好ましい。本態様のアンチグレア層が微粒子を含有しないことにより、光の回折現象や干渉現象に起因する多重像や虹ムラの発生が抑えられ、優れた視認性を得ることができる。
さらに、本態様のアンチグレア層は、上述した材料の他にも必要に応じてその他の材料を含有していてもよい。その他の材料としては特に限定されるものではないが、例えば、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等が挙げられる。
本態様のアンチグレア層の厚みとしては、アンチグレア層の少なくとも一方の面を所定の凹凸形状にすることができる程度であれば特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.8μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
アンチグレア層が上記範囲よりも厚い場合には、入射光に含まれる可視光線の透過率が低下して熱線制御シートの視認性の低下を招くおそれや、硬化収縮の応力によるアンチグレア層の界面における密着性の低下を招くおそれがある。
また、アンチグレア層の厚みが上記範囲よりも薄い場合には、アンチグレア層の少なくとも一方の面を所定の凹凸形状にすることが困難になるおそれがある。
このようなアンチグレア層の形成方法としては、後述する熱線制御層の少なくとも一方側に形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばアンチグレア層形成用塗工液を塗布法により熱線制御層の一方側に塗工し、その後、表面に凹凸形状を有するロール金型を塗工されたアンチグレア層形成用塗工膜に押し当てた状態で紫外線を照射して硬化することによりアンチグレア層を形成する方法や、基材上にアンチグレア層を上述した塗布法により形成し、その後、アンチグレア層が形成された基材を熱線制御層の一方側にラミネート法により貼り合わせる方法等が挙げられる。上記塗布法としては、アプリケーターコート、ミヤバコート、ワイヤバーコート、グラビアコート、ダイコート等が挙げられる。また、アンチグレア層の少なくとも一方の面を所定の凹凸形状にする方法としては特に限定されるものではないが、例えば、サンドブラスト加工等が挙げられる。
(2)第2態様
本態様のアンチグレア層は、微粒子およびバインダー樹脂を含有する。
本態様のアンチグレア層を熱線制御シートに用いる場合には、光の拡散に偏りを有する熱線制御層からの出射光を、アンチグレア層に含有された微粒子によって散乱させて拡散することができる。
本態様のアンチグレア層としては、光透過性を有し、ヘイズ値が比較的低いことが好ましい。アンチグレア層の光透過性およびヘイズ値については、上記「(1)第1態様」の項に記載したものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本態様のアンチグレア層の表面平均粗さRaとしては、本態様のアンチグレア層のヘイズ値を所定の範囲内とすることができる程度であれば特に限定されるものではないが、例えば、0.1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、中でも0.1nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。本態様のアンチグレア層の表面平均粗さRaが上記範囲内であることにより、光の回折現象や干渉現象に起因する多重像や虹ムラの発生が抑えられ、優れた視認性を得ることができる。
また、本態様のアンチグレア層の厚みとしては、アンチグレア層が所定の光透過性を有する程度であれば特に限定されるものではない。なお、具体的な厚みについては、上記「(1)第1態様」の項に記載したものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
さらに、本態様のアンチグレア層の形成方法としては、上記「(1)第1態様」の項に記載したものと同様とすることができる。
以下、アンチグレア層に含有される微粒子およびバインダー樹脂について説明する。
(a)微粒子
本態様のアンチグレア層に用いられる微粒子は光透過性を有することが好ましい。
本態様における微粒子の光透過性としては、アンチグレア層の光透過性が上述した範囲内となり、本態様のアンチグレア層を熱線制御シートに用いた場合に熱線制御シートの光透過性を低下させない程度であれば特に限定されるものではない。
このような微粒子の屈折率としては、後述するバインダー樹脂の屈折率との屈折率差が0.1〜0.6の範囲内、中でも0.1〜0.3の範囲内であれば特に限定されるものではない。微粒子とバインダー樹脂との屈折率差が上記範囲内であることにより、光の拡散に偏りを有する熱線制御層からの出射光を微粒子によって効果的に散乱させることができ、光の拡散の偏りを緩和することができる。
なお、微粒子の屈折率は、日本分光株式会社製分光エリプソメーター(製品名:ELC−300)を用いて測定した値である。
本態様における微粒子の材料としては、上記屈折率を有するものであれば特に限定されるものではなく、無機材料からなる微粒子であってもよく、有機材料からなる微粒子であってもよい。
無機材料からなる微粒子としては、例えばシリカビーズや金属酸化物微粒子である酸化タングステン系化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化錫、アンチモン錫酸化物(ATO)、酸化セシウム、硫化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、無水アンチモン酸亜鉛、LaB、CeB、PrB、NdB、GdB、TbB、DyB、HoB、YB、SmB、EuB、ErB、TmB、YbB、LuB、SrB、CaB、(La,Ce)Bなどの六ホウ化物、硫化銅またはそれらの混合物などが挙げられる。
また、有機材料からなる微粒子としては、例えば、スチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル‐スチレンビーズ、およびポリカーボネートビーズ等のプラスチックビーズが挙げられる。
本態様のアンチグレア層に用いられる微粒子の形状としては、アンチグレア層に入射した光を微粒子によって散乱させることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、真球状や楕円状等が挙げられる。中でも、真球状であることが好ましい。
また、微粒子の平均粒径R(μm)としては、材料等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば0.3≦R≦15の範囲内であることが好ましく、中でも0.3≦R≦5の範囲内であることが好ましい。
微粒子の平均粒径が上記範囲内であることにより、本態様のアンチグレア層の光透過性を所定の範囲内とすることができ、アンチグレア層を熱線制御シートに用いた際の視認性の低下を抑制することができる。
なお、微粒子の平均粒径は、微粒子を電子顕微鏡で観察し、算術平均により求められる。
本態様のアンチグレア層における微粒子の含有量としては、微粒子の材料等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、後述するバインダー樹脂100質量%に対して2質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、中でも3質量%〜15質量%の範囲内であることが好ましい。アンチグレア層における微粒子の含有量が上記範囲内であることにより、アンチグレア層により十分に光を拡散することができ、さらに所望の光透過性を得ることができる。
(b)バインダー樹脂
本態様のアンチグレア層に用いられるバインダー樹脂は光透過性を有することが好ましい。
本態様におけるバインダー樹脂の光透過性としては、アンチグレア層の光透過性が上述した範囲内となり、本態様のアンチグレア層を熱線制御シートに用いた場合に熱線制御シートの光透過性を低下させない程度であれば特に限定されるものではない。例えば、全光線透過率が70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。
なお、全光線透過率の測定方法については、上記「(1)第1態様」の項に記載した内容と同様である。
本態様におけるバインダー樹脂の屈折率としては、上述した微粒子との屈折率差が「(a)微粒子」の項に記載した範囲内となり、光の拡散に偏りを有する熱線制御層からの出射光を微粒子によって効果的に散乱し、光の拡散の偏りを緩和することができれば特に限定されない。具体的なバインダー樹脂の屈折率としては、例えば、1.40〜1.50の範囲内であることが好ましい。
なお、バインダー樹脂の屈折率の測定方法については、上記「(a)微粒子」の項に記載した内容と同様である。
本態様におけるバインダー樹脂の材料としては、上記屈折率を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、電離放射線硬化性樹脂を挙げることができる。なお、ここでの電離放射線は、上記「(1)第1態様」の項に記載したものと同様である。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。中でも、紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
具体的には、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等の反応性オリゴマー、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等の反応性のモノマー等が挙げられる。
本態様のアンチグレア層におけるバインダー樹脂の含有量としては、微粒子の含有量等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、アンチグレア層の全質量100質量%に対して、85質量%〜98質量%の範囲内であることが好ましい。
(c)その他
本態様のアンチグレア層としては、その他の材料を含有していてもよい。その他の材料については、上記「(1)第1態様」の項に記載した内容と同様である。
(3)その他の態様
本発明におけるアンチグレア層としては、上述した第1態様や第2態様の他に、以下のような態様であってもよい。すなわち、アンチグレア層の少なくても一方の面が凹凸形状であり、かつ所定の屈折率差を有する微粒子およびバインダー樹脂を含有する態様である。
本態様のアンチグレア層の光透過性、ヘイズ値および形成方法については、上記「(1)第1態様」の項に記載した内容と同様である。
以下、本態様のアンチグレア層表面の凹凸形状、本態様のアンチグレア層に含有される微粒子およびバインダー樹脂について説明する。
本態様のアンチグレア層表面の凹凸形状の十点平均粗さRz(μm)、凹凸の平均間隔Sm(μm)、凹凸の平均傾斜角θa、ヘイズ値、光透過性、厚みおよび形成方法については、上記「(1)第1態様」の項に記載した内容と同様であるため、ここでの記載は省略する。
本態様のアンチグレア層に含有される微粒子およびバインダー樹脂の屈折率差としては、例えば、0.03〜0.15の範囲内であることが好ましく、中でも0.03〜0.07の範囲内であることが好ましい。本態様のアンチグレア層に含有される微粒子およびバインダー樹脂の屈折率差が上記範囲であることにより、光の回折現象や干渉現象に起因する多重像や虹ムラの発生が抑えられ、優れた視認性を得ることができる。
また、本態様のアンチグレア層に含有される微粒子の屈折率としては、後述するバインダー樹脂の屈折率に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、1.40〜1.60の範囲内であることが好ましい。
なお、微粒子の屈折率の測定方法については、上記「(a)微粒子」の項に記載した内容と同様である。
このような微粒子の材料としては、本態様のアンチグレア層が所定の光透過性を得ることができるものであれば特に限定されるものではなく、無機材料からなる微粒子であってもよく、有機材料からなる微粒子であってもよい。無機材料からなる微粒子としては、例えば、シリカビーズが挙げられる。また、有機材料からなる微粒子としては、例えば、スチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル‐スチレンビーズ、およびポリカーボネートビーズ等のプラスチックビーズが挙げられる。
なお、本態様における微粒子の光透過性、形状、平均粒径R(μm)および含有量については、上記「(2)第2態様 (a)微粒子」の項に記載した内容と同様である。
さらにまた、本態様のアンチグレア層に含有されるバインダー樹脂の光透過性、屈折率、材料および含有量については、上記「(2)第2態様 (b)バインダー樹脂」の項に記載した内容と同様である。
(4)アンチグレア層
本発明におけるアンチグレア層は、熱線制御層において熱線吸収部が形成された側に形成されてもよく、あるいは熱線制御層において熱線吸収部が形成された側とは反対側に形成されてもよく、特に限定されるものではない。なお、アンチグレア層が、熱線制御層において熱線吸収部が形成された側に形成され、かつアンチグレア層が光透過部および熱線吸収部の表面に直に接している場合には、上述した第1態様のアンチグレア層を用いることが好ましい。
また、本発明におけるアンチグレア層は、熱線制御層の少なくとも一方側に形成された独立した層であってもよく、あるいは、熱線制御シートを構成するいずれかの層に機能が付与されたものであってもよい。
本発明におけるアンチグレア層が独立した層である場合には、アンチグレア層は上述した第1態様、第2態様またはその他の態様のいずれの態様であってもよい。
一方、アンチグレア層がその他の層に機能が付与されたものである場合には、上述した第1態様のように、熱線制御シートを構成するいずれかの層の少なくとも一方の表面を凹凸形状にする態様、または上述した第2態様のように、熱線制御シートを構成するいずれかの層が微粒子およびバインダー樹脂を含有する態様となる。アンチグレア層の機能を付与することができる層としては、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、例えば、アンチグレア層が第1態様である場合には、熱線制御層、基材、またはハードコート層等が挙げられ、アンチグレア層が第2態様である場合には、基材、またはハードコート層等が挙げられる。
なお、熱線制御層、基材、またはハードコート層等にアンチグレア層の機能を付与する場合の具体的な内容については、上記「(1)第1態様」および「(2)第2態様」の項で記載した内容と同様である。
また、本発明においては、後述する熱線制御層においてアンチグレア層が形成された側が観察者側となる。これにより、熱線制御層から出射された拡散に偏りを有する光が、アンチグレア層を透過して光の拡散の偏りが緩和した後に観察者側に届くことになる。
2.熱線制御層
本発明における熱線制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部、および上記溝部内に形成された熱線吸収部を有するものである。
以下、光透過部および熱線吸収部について説明する。
(1)光透過部
本発明における光透過部は、一方の表面に複数本の溝部を有するものである。
以下、光透過部および溝部についてそれぞれ説明する。
(a)光透過部
本発明における光透過部の屈折率としては、目的に応じて適宜調整されるものであるが、中でも、後述する熱線吸収部との屈折率差が0.025以下であることが好ましい。
光透過部が、上記条件を満たす屈折率であることにより、光透過部と熱線吸収部との界面における光の反射や屈折の発生を抑えて、熱線制御シートにおける光の拡散の偏りを低減することができる。
このように、光透過部の屈折率としては、後述する熱線吸収部の屈折率に応じて適宜調整されるものであるが、例えば1.40〜1.80の範囲内であることが好ましく、中でも1.45〜1.70の範囲内であることが好ましく、特に1.50〜1.65の範囲内であることが好ましい。
なお、光透過部の屈折率の測定方法については、上記「1.アンチグレア層」の項に記載した内容と同様である。
また、本発明における光透過部は、光透過性を有することが好ましい。具体的には、可視光線透過率が70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。
光透過部が上述した所定の光透過性を有することにより、光透過部に入射した光が吸収されることによる光の損失の発生を抑制することができる。これにより、熱線制御シートの視認性を向上させることができる。
なお、光透過部の可視光線透過率は、赤外可視紫外分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC)を用いて、測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定することにより得られる。
このような本発明における光透過部の材料としては、一方の表面に複数本の溝部を形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、上記「1.アンチグレア層 (1)第1態様」の項で記載したものと同様である。
また、光透過部に用いられる材料として多官能性のウレタン(メタ)アクリレートを用いる場合には、目的に応じてメチル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレートのような希釈剤を併用することができる。上記単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。また、希釈剤としては、上記のモノマーを用いて、塗工性を確保することもできる。
さらに、光透過部に用いられるその他の材料として、紫外線吸収剤(UVA)等の耐候性改善剤を含有させても良い。紫外線吸収剤については、上記「1.アンチグレア層」の項に記載したものと同様であるため、ここでの記載は省略する。
なお、上記光透過部は、さらにハードコート性や光安定剤や耐傷フィラー、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、等の添加剤を含有しても良い。
光透過部の厚みとしては、後述する熱線吸収部の大きさ等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、中でも、25μm〜250μmの範囲内であることが好ましく、特に、50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。
光透過部の厚みが上記範囲よりも大きい場合には、光透過層に入射した光が吸収されてしまうことによる光の損失が発生し、熱線制御シートの視認性が低下するおそれがある。また、光透過部の厚みが上記範囲よりも小さい場合には、光透過層の一方の表面に形成される後述する溝部を形成することが困難になるおそれがある。
なお、本発明における光透過部の厚みとは、図4のtを指す。
(b)溝部
本発明における溝部は、上述した光透過部の一方の表面に複数本形成されるものである。
本発明における溝部は、光透過部の一方の表面に複数本形成されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光透過部の一方の表面に直線状に形成されてよく、曲線状に形成されていてもよい。また、隣り合う各溝部は、平行して形成されていてもよく、ランダムに形成されていてもよく、交差して形成されていてもよい。
中でも、本発明においては、光透過部の一方の表面に、直線状の溝部がそれぞれ平行して形成されていることが好ましい。
上記複数本の溝部のピッチ幅としては、製造する熱線制御シートの用途等に応じて適宜調整されるものである。例えば、各ピッチ幅が同じになるように各溝部が規則的に配列していてもよく、各ピッチ幅がランダムになるように各溝部が不規則的に配列していてもよい。
具体的な溝部のピッチ幅としては、例えば、30μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも、40μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、特に、50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。溝部のピッチ幅が上記範囲内であることにより、太陽の高さが比較的高い夏季の昼間のように、熱線制御シートに対する光の入射角度が小さい場合には、溝部内に形成される熱線吸収部によって十分に熱線を吸収することができるからである。
なお、本発明における溝部のピッチ幅とは、図4のpを指す。
また、本発明における溝部の深さ方向への断面形状としては、後に、溝部内に熱線吸収部を形成した際に熱線制御シートとして所望の効果が得られるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、図5(a)に示すように、三角形、矩形、楔形等が挙げられる。また、溝部の深さ方向への断面形状としては、図5(b)に示すように、各角部が曲率を有していてもよい。さらに、図示はしないが、溝部の深さ方向への断面形状における各辺が曲線であってもよい。
本発明における溝部の深さとしては、熱線制御シートに対する光の入射角度に応じて熱線を制御することが可能な程度であれば特に限定されるものではないが、例えば、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、中でも、25μm〜250μmの範囲内であることが好ましく、特に、50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。
また、溝部の深さは、上述した光透過部の厚みの30%〜100%未満の範囲内であることが好ましく、中でも、40%〜97.5%の範囲内であることが好ましく、特に、50%〜95%の範囲内であることが好ましい。溝部の深さが、光透過部の厚みに対して上記範囲よりも小さいと、熱線制御シートの厚みが相対的に増し屈曲性が低下する場合があるからである。
なお、本発明における溝部の深さとは、図4のdを指す。
本発明における溝部の幅としては、熱線制御シートの視認性を低下させない程度であれば特に限定されるものではないが、例えば、5μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、中でも、7μm〜45μmの範囲内であることが好ましく、特に、10μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。溝部の幅が上記範囲よりも大きすぎる場合には、溝部内に形成される熱線吸収部の面積が増えて熱線制御シートの視認性が低下するおそれがある。また、例えば冬季のように熱線を透過させたい場合であっても、溝部の幅が上記範囲より大きすぎると、溝部内に形成される熱線吸収部によって殆どの熱線が吸収されてしまう可能性がある。一方、溝部の幅が上記範囲よりも小さすぎる場合には、溝部内に形成される熱線吸収部の熱線吸収率が制限されてしまい、熱線制御シートとして所望の効果が得られない場合がある。
なお、本発明における溝部の幅とは、図4のwを指す。
本発明における溝部の形成方法としては、光透過部の一方の表面に上述した所定の溝部を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、光透過部形成用塗工液をインクジェット法等により基材上に塗工し、その後、形成された光透過部形成用塗工膜に所定の凸形状の金型を押し当てながら、紫外線等を照射して硬化させることにより溝部を形成する方法が挙げられる。
(2)熱線吸収部
本発明における熱線吸収部とは、上述した溝部内に形成されるものである。
本発明における熱線吸収部の屈折率としては、目的に応じて適宜調整されるものであるが、光透過部との屈折率差が上記「(1)光透過部」の項に記載した範囲内となることが好ましい。
このように、熱線吸収部の屈折率としては、上述した光透過部の屈折率に応じて適宜調整されるものである。
なお、熱線吸収部の屈折率の測定方法については、上記「1.アンチグレア層」の項に記載した内容と同様である。
本発明における熱線吸収部は、熱線吸収剤として熱線吸収粒子を含有するものである。以下、熱線吸収粒子について説明する。
(a)熱線吸収粒子
熱線吸収粒子は、赤外線等の熱線を吸収し、かつ可視光線を透過することができるものであれば良い。具体的な本発明における熱線吸収部の可視光線透過率としては、例えば、50%以上であることが好ましく、中でも60%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましい。また、本発明における熱線吸収部の熱線吸収率としては、例えば、50%以上であることが好ましく、中でも60%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましい。
なお、可視光線透過率としては、まず、後述する実施例で用いられるバインダ樹脂95質量%に熱線吸収粒子を5質量%含有させて全体量を100質量%とした熱線吸収部形成用組成物を、東洋紡績製PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、厚さ100μm)の上に膜厚1μmで塗工し、赤外可視紫外分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC)を用いて、測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定することにより得られる。また、熱線吸収率としては、可視光線透過率と同様の測定サンプルおよび測定装置を用い、測定波長780nm〜2500nmの範囲内で測定することにより得られる。
上記熱線吸収粒子としては、所定の効果が得られるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、透明性を有する無機ナノ粒子を用いることができ。具体的には、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、六ホウ化セリウム、無水アンチモン酸亜鉛および硫化銅またはそれらの混合物のナノ粒子等を用いることができる。中でも、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
上記熱線吸収粒子はナノ微粒子であることが好ましく、その平均粒径(D50)としては、例えば、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも、20nm〜150nmの範囲内であることが好ましく、特に、30nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。熱線吸収粒子の平均粒径が上記範囲よりも大きいと、熱線吸収部に入射した光が熱線吸収粒子により散乱されてヘイズ値が上昇し、熱線制御シートの視認性が低下する場合がある。また、熱線吸収粒子の平均粒径が上記範囲よりも小さいと、熱線を十分に吸収できず、熱線制御シートとしての機能が発揮できない場合がある。なお、上記平均粒径は、熱線吸収粒子の粒子を電子顕微鏡で観察し、算術平均により求められる。
本発明における熱線吸収粒子は、ブロードな粒度分布を示すことが好ましい。また、熱線吸収粒子の粒度分布のうち、累積粒度分布の微粒子側から累積90%の粒径D90が可視領域内にないことが好ましい。熱線吸収部に入射した光が散乱されることによるヘイズ値の上昇を抑え、熱線制御シートの視認性が低下を防止することができるからである。
上記熱線吸収粒子の粒度分布としては、後述する測定法を用いて測定し、累積粒度分布の微粒子側から、累積10%の粒径をD10とし、累積90%の粒径をD90としたとき、D90の値が25nm以上400nm以下であることが好ましく、中でも、50nm以上200nm以下であることが好ましい。また、累積10%の粒径D10と累積90%の粒径D90との比(D90/D10)が、2〜400の範囲内であることが好ましく、中でも、3〜200の範囲内であることが好ましく、特に、4〜100の範囲内であることが好ましい。
熱線吸収粒子の粒度分布のD90/D10の値が上記範囲内にあることにより、ブロードな粒度分布となり、より広い波長の熱線を吸収することができる。なお、上記粒度分布は、粒度分布計により測定される。
熱線吸収部に含まれる熱線吸収粒子の含有率としては、熱線吸収部の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、中でも、0.2質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、特に、0.5質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。熱線吸収粒子の含有率が上記範囲であることにより、熱線吸収部に入射した熱線を十分に吸収することができ、かつ熱線吸収粒子により光が散乱しヘイズ値が上昇することを抑制することができるからである。
(b)その他の材料
本発明における熱線吸収部は、上述した熱線吸収粒子の他に、必要に応じてバインダー樹脂、光開始剤、紫外線吸収剤、光安定剤を有することができ、少なくともバインダー樹脂を有することが好ましい。
熱線吸収部に用いられるバインダー樹脂については、上記「1.アンチグレア層」の項に記載したものと同様である。
なお、バインダー樹脂には光開始剤が含まれることが好ましい。波長300nm〜400nmの紫外線等の電離放射線を照射してバインダー樹脂を硬化させることができるからである。上記光開始剤としては、照射する電離放射線の種類に応じて適宜選択でき、例えば、ケトン系やアセトフェノン系の光開始剤、具体的には、サンドレー1000、Darocure1163、Darocure1173、Irgacure183、Irgacure651等を用いることができる。なお、上記光開始剤の含有率としてはバインダー樹脂の量に応じて適宜調整することができ、例えば、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度の範囲内であることが好ましい。
上記バインダー樹脂の屈折率としては小さいことが好ましい。上述した熱線吸収粒子の屈折率が比較的大きいため、バインダー樹脂の屈折率が小さいことにより、熱線吸収部全体の屈折率を所定の範囲に調整することができるからである。
熱線吸収部におけるバインダー樹脂の含有率としては、熱線吸収部の全質量(100質量%)に対して、40質量%〜98質量%の範囲内であることが好ましく、中でも、50質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましい。
(c)熱線吸収部
本発明における熱線吸収部の形成方法としては、光透過部の表面に形成された溝部内に熱線吸収部を形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ワイピングコート法やインクジェット法が挙げられる。
ワイピングコート法により、溝部を有する光透過部の表面に熱線吸収部形成用塗工液を塗布して熱線吸収部を形成する場合、擦切りの影響や熱線吸収部形成用塗工液の硬化収縮の影響により、熱線吸収部の表面の縦断面形状が凹部状になることがある。また、インクジェット法により熱線吸収部形成用塗工液を光透過部における溝部に滴下して熱線吸収部を形成する場合、熱線吸収部形成用塗工液の表面張力の影響により、熱線吸収部の表面の縦断面形状が凸部状になることがある。このように、熱線吸収部の表面が凹部状または凸部状である場合には、上記熱線吸収部の表面形状による光の反射や屈折が生じ、熱線制御層からの出射光に偏りが生じるといった問題がある。しかしながら、本発明の熱線制御シートは上述したアンチグレア層を有することにより、熱線制御層からの出射光を拡散させ、光の偏りを緩和することができる。
3.その他
本発明の熱線制御シートは、必要に応じてその他の構成を有していてもよい。その他の構成としては、例えば、ハードコート層、粘着層、基材等が挙げられる。
(1)ハードコート層
本発明の熱線制御シートは、耐候性や耐傷性の向上を目的としてハードコート層を有していてもよい。
ハードコート層に用いられる材料としては、一般的に使用されるものであればよく、例えば、電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂については、上記「2.熱線制御層 (1)光透過部」の項で記載した内容と同様である。
なお、ハードコート層を形成する位置については、後述する「B.熱線制御シート付き窓」の項に記載する。
ハードコート層の厚みとしては、0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも1.0μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
(2)粘着層
本発明の熱線制御シートは、窓ガラスや基材等に粘着するための粘着層を有していてもよい。
粘着層としては、一般的に使用されているものであれば特に限定されるものではなく、例えば感圧粘着剤が挙げられる。
粘着層に用いられる具体的な材料としては、例えば、ゴム系、アクリル系、オレフィン系、ポリエステル系、およびポリウレタン系の粘着剤等が挙げられる。
粘着層の厚みとしては、本発明の熱線制御シートを窓ガラスや基材等に粘着することができれば特に限定されるものではないが、例えば、5μm〜100μmの範囲内が好ましく、中でも、10μm〜75μmの範囲内が好ましい。
(3)基材
本発明の熱線制御シートは、熱線制御シート全体の形状を保持することができる基材を有していてもよい。
本発明における基材としては、アンチグレア層、および熱線制御層を支持することができるものであり、熱線制御シートの視認性に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、中でも、フィルム基材であることが好ましい。
上記フィルム基材としては、光透過性を有するものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等の樹脂フィルム等が挙げられる。中でも、光透過性および強度の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートの樹脂フィルムが好ましい。また、上記フィルム基材は、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
なお、上記フィルム基材は、必要に応じて片面または両面に表面処理等を行っていてもよい。上記表面処理としては、コロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線照射処理等の酸化法による表面処理や、サンドブラスト法、溶剤処理法等の凹凸化法による表面処理、化学的表面処理等が挙げられる。
上記フィルム基材の厚みとしては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも10μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。
4.熱線制御シート
本発明の熱線制御シートは、光透過性を有し、優れた視認性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、全光線透過率が70%以上であることが好ましい。
なお、ここでの全光線透過率は、スガ試験機株式会社製 全自動直読ヘイズコンピュータ(HGM−2DP)を用いて測定した値である。
また、本発明の熱線制御シートのヘイズ値としては、熱線制御シートを介して観察される像が白濁して視認性に悪影響を及ぼさない程度であれば特に限定されないが、例えば、10%以下であることが好ましい。
なお、ここでのヘイズ値は、スガ試験機株式会社製 全自動直読ヘイズコンピュータ(HGM−2DP)を用いて測定した値である。
本発明の熱線制御シートの用途としては、通常、窓に貼り付けて熱線を制御するという用途が挙げられる。このような用途で熱線制御シートを用いる場合には、熱線制御層においてアンチグレア層が形成される側が観察者側となればよく、内貼りであっても外貼りであってもよい。
なお、ここでの内貼りとは、窓材において観察者側に熱線制御シートを貼り付ける場合を指し、外貼りとは、窓材において観察者側とは反対側に熱線制御シートを貼り付ける場合を指す。
また、本発明の熱線制御シートを窓材に内貼りする場合には、熱線制御シートにおける熱線制御層に対して窓材側とは反対の面側にアンチグレア層が配置されるように、熱線制御シートを窓材に貼りつける。一方、本発明の熱線制御シートを窓材に外貼りにする場合には、熱線制御シートにおける熱線制御層に対して窓材側にアンチグレア層が配置されるように、熱線制御シートを窓材に貼りつける。すなわち、熱線制御シートを窓材に内貼りする場合、および外貼りする場合のいずれであっても、アンチグレア層が観察者側になるように貼りつける。これにより、熱線制御層から出射された光の拡散の偏りを、アンチグレア層によって緩和することができ、多重像や虹ムラの発生を抑えて優れた視認性を得ることができる。
また、本発明の熱線制御シートの構成としては、熱線制御層およびアンチグレア層を有するものであれば特に限定されるものではない。
アンチグレア層が独立した層として形成され、かつ内貼りの場合における本発明の熱線制御シートの具体例としては、下記表で表される熱線制御シートが挙げられる。なお、表1には、2層〜6層で構成された熱線制御シートについて示したが、本発明の熱線制御シートとしては6層以上から構成されていてもよい。
Figure 2014115358
アンチグレア層が独立した層として形成され、かつ外貼りの場合における本発明の熱線制御シートの具体例としては、下記表で表される熱線制御シートが挙げられる。なお、表2には、2層〜6層で構成された熱線制御シートについて示したが、本発明の熱線制御シートとしては6層以上から構成されていてもよい。
Figure 2014115358
アンチグレア層が熱線制御シートを構成するいずれかの層に機能が付与されたものであり、かつ内貼りの場合における本発明の熱線制御シートの具体例としては、下記表で表される熱線制御シートが挙げられる。また、表中の*は、アンチグレア層の機能が付与されていることを指す。なお、表3に示す熱線制御シートは、熱線制御層にアンチグレア層の機能を付与した場合を示すものであるが、熱線制御層以外にも基材やハードコート層にアンチグレア層の機能を付与したものであってもよい。
Figure 2014115358
アンチグレア層が熱線制御シートを構成するいずれかの層に機能が付与されたものであり、かつ外貼りの場合における本発明の熱線制御シートの具体例としては、下記表で表される熱線制御シートが挙げられる。また、表中の*は、アンチグレア層の機能が付与されていることを指す。なお、表4に示す熱線制御シートは、熱線制御層にアンチグレア層の機能を付与した場合を示すものであるが、熱線制御層以外にも基材やハードコート層にアンチグレア層の機能を付与したものであってもよい。
Figure 2014115358
B.熱線制御シート付き窓
本発明の熱線制御シート付き窓は、窓材と、上記窓材の少なくとも一方の表面に粘着された上述の熱線制御シートと、を有することを特徴とするものである。
本発明の熱線制御シート付き窓としては、熱線制御シートが窓材に内貼りされたものであってもよく、あるいは熱線制御シートが窓材に外貼りされたものであってもよい。
熱線制御シートを窓材に内貼りする場合には、熱線制御シートにおける熱線制御層に対して窓材側とは反対の面側にアンチグレア層が配置されるように、熱線制御シートを窓材に貼りつける。一方、熱線制御シートを窓材に外貼りにする場合には、熱線制御シートにおける熱線制御層に対して窓材側にアンチグレア層が配置されるように、熱線制御シートを窓材に貼りつける。
すなわち、本発明の熱線制御シート付き窓は、熱線制御シートを窓材に内貼りする場合、および外貼りする場合のいずれであっても、アンチグレア層が観察者側になるように熱線制御シートが窓材に貼りつけられたものである。本発明の熱線制御シート付き窓において、熱線制御シートにおけるアンチグレア層が上述のように配置されていることにより、熱線制御層から出射された光の拡散の偏りをアンチグレア層によって緩和することができ、多重像や虹ムラの発生を抑えて優れた視認性を得ることができる。
1.熱線制御シート
本発明に用いられる熱線制御シートについては、上記「A.熱線制御シート」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.窓材
本発明における窓材としては、一般的に用いられるものであれば特に限定されるものではない。また、本発明における窓材は、無色であってもよく、着色されたものであってもよい。本発明における熱線制御シートは、視認性を向上させることができるという効果を奏するものであるため、本発明の熱線制御シート付き窓に用いられる窓材としては、光透過性を有し、無色であることが好ましい。このような窓材としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ガラス等が挙げられる。
3.熱線制御シート付き窓
本発明の熱線制御シート付き窓における熱線制御シートは、必要に応じて、基材、ハードコート層、または粘着層等を有していてもよい。
熱線制御シート付き窓の具体例としては、上記「A.熱線制御シート」の項に示した表1〜表4と同様とすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(基材の準備)
まず、基材として、厚みが100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製 A4300)を準備した。
(熱線制御層の形成)
次に、基材の表面に、下記の組成を有する液状の光透過部形成用塗工液を塗布し、その後硬化した。硬化後の光透過部形成用塗工膜の厚みは100μmであった。
<光透過部形成用塗工液の組成>
・ウレタンアクリレート系プレポリマー …70質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートモノマー(DPHA) …28質量部
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガキュア184」) …2質量部
次いで、凸形状の金型が円周方向に直線状に連なったロールを、基材上に形成された光透過部形成用塗工膜に押し当て、水銀灯による紫外線照射により光透過部形成用塗工膜を硬化した。このようにして、溝部を有する光透過部を形成した。なお、得られた溝部は、ピッチ幅が78μm、深さが63μm、下底幅が24μm、上低幅が28μmであり、図1に示すような楔形の断面形状であった。
下記の組成を有する熱線吸収部形成用塗工液を、溝部を有する光透過部の表面に塗工した。その後、溝部以外の領域に塗工された熱線吸収部形成用塗工液を、鉄製ドクターブレドを用いて擦切ることにより、溝部内のみに熱線吸収部形成用塗工液を充填させた。次いで、水銀灯による紫外線照射を行い、熱線吸収部形成用塗工液を架橋硬化して熱線吸収部を得た。なお、熱線吸収部の表面の縦断面形状は凹部状であった。
<熱線吸収部形成用塗工液の組成>
・透明アクリル系の紫外線硬化性プレポリマー …100質量部
・ATOナノ粒子(平均粒子径100nm) …4.5質量部
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガキュア184」) …2質量部
(アンチグレア層の形成)
下記の組成を有するアンチグレア層形成用塗工液を、ダイコート法を用いて熱線制御層が形成された側と反対の基材表面に塗布し、その後、70℃の条件下で1分間乾燥させて溶剤分を蒸発させた。次に、水銀灯による紫外線照射を行い、アンチグレア層形成用塗工液を架橋硬化してアンチグレア層を得た。硬化後のアンチグレア層の厚みは3μmであった。
なお、実施例1におけるアンチグレア層は、本発明の第2態様のアンチグレア層である。
<アンチグレア層形成用塗工液の組成>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) …70質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートモノマー(DPHA) …28質量部
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガキュア184」) …2質量部
・スチレン−アクリル共重合微粒子(平均粒径R=3.5μm) …10質量部
・シリカ微粒子(平均粒径R=1μm) …2質量部
・トルエン …70質量部
[実施例2]
アンチグレア層としての機能を有するAGフィルム(大日本印刷社製 商品名:DS−LR)を熱線制御層が形成された側と反対の基材表面にドライラミネート用接着剤で接着してアンチグレア層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
なお、実施例2におけるアンチグレア層は、本発明の第1態様のアンチグレア層である。
[実施例3]
アンチグレア層としての機能を有するAGフィルム(大日本印刷社製 商品名:DS−21)を熱線制御層が形成された側と反対の基材表面にドライラミネート用接着剤で接着してアンチグレア層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
なお、実施例3におけるアンチグレア層は、本発明の第2態様のアンチグレア層である。
[実施例4]
アンチグレア層としての機能を有するAGフィルム(日本油脂社製 商品名:RL7300)を熱線制御層が形成された側と反対の基材表面にドライラミネート用接着剤で接着してアンチグレア層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
なお、実施例4におけるアンチグレア層は、本発明の第2態様のアンチグレア層である。
[比較例1]
アンチグレア層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
(評価)
1)多重像、虹ムラ
蛍光灯からの光を熱線制御シートに照射して熱線制御シートを介して観察した際に、多重像および虹ムラが発生するかを目視により評価した。
2)ヘイズ値、全光線透過率
全自動直読ヘイズコンピュータ(スガ試験機社製 HGM−2DP)を用いて測定した。
3)可視光線透過率、日射透過率
可視光線透過率、日射透過率については、JIS A5759:2008に基づいて、380nm〜780nmの波長域、および300nm〜2500nmの波長域における透過率を測定することにより算出した。測定には赤外可視紫外分光光度計(島津製作所社製 UV3100PC)を用いた。
また、熱線制御シートに対する光の入射角度が30°および60°の場合の測定は、試験体を傾斜させて行った。
これらの結果を表5および表6に示す。
Figure 2014115358
Figure 2014115358
表5に示すように、熱線制御層の一方側にアンチグレア層を有する実施例1〜4では、多重像および虹ムラの発生を抑制し、熱線制御シートの視認性を向上させることができた。また、アンチグレア層を有さない比較例1と比べて、ヘイズ値の著しい上昇、および光透過性の低下もみられなかった。
さらに、表6に示すように、熱線制御層の一方側にアンチグレア層を有する実施例1〜4では、熱線制御シートに対する光の入射角度に応じた熱線の制御機能についても、アンチグレア層を有さない比較例1と同等の結果が得られた。
1 … 熱線制御層
2 … 光透過部
3 … 溝部
4 … 熱線吸収部
5 … アンチグレア層
10 … 本発明の熱線制御シート
10’… 従来の熱線制御シート
100… 熱線制御シート付き窓
h … 熱線
in … 入射光
out … 出射光

Claims (4)

  1. 一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部、および前記溝部内に形成された熱線吸収部を有する熱線制御層と、
    前記熱線制御層の少なくとも一方側に形成されたアンチグレア層と、を有することを特徴とする熱線制御シート。
  2. 前記アンチグレア層が、少なくとも一方の面に凹凸形状を有することを特徴とする請求項1に記載の熱線制御シート。
  3. 前記アンチグレア層が、微粒子とバインダー樹脂とを含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱線制御シート。
  4. 窓材と、
    前記窓材の少なくとも一方の表面に粘着された請求項1から請求項3までのいずれかに記載の熱線制御シートと、を有することを特徴とする熱線制御シート付き窓。
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