JP2014114467A - ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents

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【課題】ガスバリア性が低下する要因となる異物の効率的な除去と、異物の再付着無く安定したガスバリア性の発現を可能にしたガスバリア性フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】高分子フィルム基材の少なくとも片側に、2層以上の金属酸化物層を形成するガスバリア性フィルムの製造方法において、該高分子フィルム基材1に、以下の工程[A]、工程[B]、工程[C]を順次実施する工程を含み、工程[B]および工程[C]を同一真空装置内で実施する工程を有するガスバリア性フィルムの製造方法。工程[A]:1層目の金属酸化物を形成する工程。工程[B]:1層目の金属酸化物層の表面をプラズマ処理する工程。工程[C]:1層目の金属酸化物層の上に少なくても2層目の金属酸化物層を形成する工程。
【選択図】図1

Description

本発明は、高いガスバリア性が必要とされる食品、医薬品の包装用途や太陽電池、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレーなどの電子部材用途に使用されるガスバリア性フィルムの製造方法に関する。
ガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品や医薬品などの包装材および薄型テレビ、太陽電池などの電子デバイス部材として用いられている。
上記のようなガスバリア性フィルムは大型化や生産性で有利である高分子基材を用いて製造されるが、前記適用分野における水蒸気透過率および酸素透過率の高度な要求には高分子基材のみでは達成し得ないものである。その要求を達成するため、高分子基材のガスバリア性向上技術としては、例えば、有機ケイ素化合物の蒸気と酸素を含有するガスを用いてプラズマCVD法により基材上に、ケイ素酸化物を主体とし、炭素、水素、ケイ素及び酸素を少なくとも1種類含有した化合物とすることによって、透明性を維持しつつガスバリア性を向上させる方法が用いられている(特許文献1)。また、プラズマCVD法などの成膜方法以外のガスバリア性向上技術としては、ガスバリア性を低下させるピンホールやクラックの発生原因となる突起や凹凸を減少させた平滑基材や表面平滑化を目的としたアンダーコート層を設けた基材が用いられている(特許文献2)。他にも、成膜方法以外のガスバリア性向上技術としては、基板上にエポキシ化合物である有機層とプラズマCVD法で形成されたケイ素系酸化物層を交互に積層させることで、膜応力によるクラック及び欠陥の発生を防止した多層積層構成のガスバリア性フィルムが用いられている(特許文献3)。
しかしながら、前記技術を用いた場合においても、基材上に付着している異物または基材自体の凹凸に起因するピンホールにより、水蒸気透過率および酸素透過率の低下が発生する。特許文献3の技術においては、積層数を増やすことでピンホールの影響を低減できるが、生産性が大きく損なわれる。
上記課題に対し、基材上に蒸着法で金属酸化物を含有する蒸着層を形成した後、真空紫外光を照射するエキシマ処理を施し、ポリシラザン改質層を形成する工程からなるガスバリアフィルムの製造方法(特許文献4)、また、少なくとも2層のセラミック層を有する積層体において、積層前の少なくとも1層のセラミック層表面に付着した異物除去工程を有するガスバリア性薄膜積層体の製造方法(特許文献5)が知られている。
しかしながら、1層目の層を形成し表面処理により異物を除去しても、再度大気下にさらした後次工程を実施したり、除去工程が大気下で実施されたりするなど、異物が再付着し、次工程層の形成で再度ピンホールが形成されてしまう。
特開平8−142252号公報(特許請求の範囲) 特開2002−113826号公報(特許請求の範囲) 特開2003−341003号公報(特許請求の範囲) 特開2012−106421号公報(特許請求の範囲) 特開2007−277631号公報(特許請求の範囲)
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、ガスバリア性が低下する要因である異物の効率的な除去と異物の再付着なく安定したガスバリア性の発現を可能にしたガスバリア性フィルムの製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、
(1)高分子フィルム基材の少なくとも片側に、2層以上の金属酸化物層を形成するガスバリア性フィルムの製造方法において、該高分子フィルム基材に、以下の工程[A]、工程[B]、工程[C]を順次実施する工程を含み、工程[B]および工程[C]を同一真空装置内で実施する工程を有するガスバリア性フィルムの製造方法。
工程[A]:1層目の金属酸化物層を形成する工程
工程[B]:1層目の金属酸化物層の表面をプラズマ処理する工程
工程[C]:1層目の金属酸化物層の上に少なくとも2層目の金属酸化物層を形成する工程
(2)前記高分子フィルム基材に、前記工程[A]、工程[B]、工程[C]を順次実施する工程が、工程[A]、工程[B]および工程[C]を同一真空装置内で実施する工程である前記(1)に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
(3)前記プラズマ処理のプラズマが少なくとも酸素プラズマを含む前記(1)または(2)に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
(4)前記2層目の金属酸化物層の形成をバイアススパッタ法または化学気相蒸着法により行う前記(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
(5)前記2層目の金属酸化物層が珪素を含む酸化物で構成されている前記(1)〜(4)のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
(6)前記1層目の金属酸化物層の形成をスパッタリング法により行う前記(1)〜(5)のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
(7)前記1層目の金属酸化物層が亜鉛または珪素の少なくとも一方を含有する酸化物で構成されている前記(1)〜(6)のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
本発明によれば、優れたガスバリア性能を有するガスバリア性フィルムを安定して製造することが可能となる。
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法によれば、高分子フィルム基材の少なくとも片側に、2層以上の金属酸化物層からなるガスバリア性フィルムの製造方法において、該高分子フィルム基材に、以下の工程[A]、工程[B]、工程[C]を順次実施する工程を含み、工程[B]および工程[C]を同一真空装置内で実施する工程を有するガスバリア性フィルムの製造方法である。
工程[A]:1層目の金属酸化物層を形成する工程
工程[B]:1層目の金属酸化物層の表面をプラズマ処理する工程
工程[C]:1層目の金属酸化物層の上に少なくとも2層目の金属酸化物層を形成する工程。
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法により、ガスバリア性を発現する1層目の金属酸化物層の内部および表面の異物、1層目の金属酸化物層を貫通する突起などが工程[B]のプラズマ処理により除去・クリーニングされ、さらに、前記除去・クリーニングにより発生した空孔もしくは凹みが、2層目の金属酸化物層により補修され、ガスバリア性が高いガスバリア性フィルムが得られる。
かかるガスバリア性フィルムを得るために、前記工程[B]および工程[C]が同一真空装置内で実施される。これにより、前記工程[B]を大気下で実施する必要がなかったり、前記工程[B]実施後に1層目の金属酸化物層を大気下にさらすことがなかったりするため、異物の再付着を防ぐことが可能になる。よって、2層目の金属酸化物層を形成するとき再付着した異物によるガスバリア性の低下を防ぐことができる。さらに、前記工程[A]、工程[B]および工程[C]を同一真空装置内で実施することにより、前記工程[A]、工程[B]間でも大気下にさらされることがないため、1層目の金属酸化物層の表面異物を低減することができるため好ましい。
以下、本発明の個別の構成要素について詳細に説明する。
[高分子フィルム基材]
本発明における高分子フィルム基材とは、フィルム形態を有していれば素材は特に限定されないが、ロールトゥロールへの生産適用やガスバリア性フィルムに必要な柔軟性を有することから、有機高分子であることが好ましい。本発明に好適に用いることができる有機高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマーなどを挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートを含むことが好ましい。また、前記有機高分子は、単独重合体、共重合体のいずれでもよいし、1種類の有機高分子を用いてもよいし、複数種類の有機高分子をブレンドして用いてもよい。
また、本発明において高分子フィルム基材に好適に用いることができる有機高分子は、上記に列挙したごとく、基本となる骨格が線状の有機高分子である(ここで線状とは分岐を有していたとしても、網状構造を有していないことを示す:以降、基本となる骨格が線状の有機高分子を線状有機高分子と略記する)。なお、分子内に2以上の官能基を有する架橋剤を添加し反応させたり、放射線照射したりすることにより、部分的に架橋を形成したとしても、数平均分子量が5,000〜20,000であれば線状有機高分子であると定義する。かかる場合の線状有機高分子は、鉛筆硬度がF以下である範囲であることが好ましい(鉛筆硬度は、(軟)10B〜B、HB、F、H〜9H(硬)である)。
高分子フィルム基材の形態は、単層フィルム、あるいは、2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムであってもよい。フィルムの種類としては、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルム等を使用してもよい。アンダーコート層及びガスバリア層を形成する側の高分子基材表面には、密着性を良くするために、コロナ処理、イオンボンバード処理、溶剤処理、および、粗面化処理、といった前処理が施されていても構わない。また、アンダーコート層及びガスバリア層を形成する側の反対面には、フィルムの巻き取り時の滑り性の向上を目的として、有機物や無機物あるいはこれらの混合物のコーティング層が施されていても構わない。
本発明に使用する高分子フィルム基材の厚みは特に限定されないが、柔軟性を確保する観点から500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。引張りや衝撃に対する強度を確保する観点から5μm以上が好ましい。さらに、フィルムの加工やハンドリングの容易性から10μm〜200μmがより好ましい。
[1層目の金属酸化物層]
本発明における1層目の金属酸化物層には、特に金属種を限定するものではなく公知の金属酸化物を使用することができる。例えば、Zn、Si、Al、Ti、Zr、Sn、In、Nb、MoおよびTaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物、または、それらの混合物等が挙げられ、特に、高いガスバリア性が得られるものとして、酸化亜鉛−二酸化ケイ素−酸化アルミニウムの共存相からなる金属酸化物が好適に用いられる。
1層目の金属酸化物層を形成する方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法等によって形成することができる。これらの方法の中でも、1層目の金属酸化物層は簡便かつ安価に金属酸化物層を形成可能な方法として、スパッタリング法が好ましい。スパッタリングにより、1層目の金属酸化物層を形成する場合の例としては、図2に示す構造の巻き取り式のスパッタリング装置を使用し、高分子フィルム基材の面上に1層目の金属酸化物層を形成せしめる混合焼結材のスパッタターゲットをスパッタ電極に設置し、アルゴンガスおよび酸素ガスによるスパッタリングを実施し該1層目の金属酸化物層を設ける方法が挙げられる。
本発明に使用する1層目の金属酸化物層の厚みは、10nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。層の厚みが10nmより薄くなると、十分にガスバリア性が確保できない箇所が発生し、ガスバリア性フィルムの面内でガスバリア性がばらつくなどの問題が生じる場合がある。また、1層目の金属酸化物層の厚みは、1,000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。金属酸化物層の厚みが1,000nmより厚くなると、金属酸化物層内に残留する応力が大きくなるため、曲げや外部からの衝撃によって1層目の金属酸化物層にクラックが発生しやすくなり、使用に伴いガスバリア性が低下する場合がある。
[2層目の金属酸化物層]
本発明における2層目の金属酸化物層には、特に金属種を限定するものではなく公知の金属酸化物を使用することができる。例えば、Zn、Si、Al、Ti、Zr、Sn、In、Nb、MoおよびTaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物、または、それらの混合物等が挙げられ、特に、酸化珪素が取り扱い容易であり、下記の形成方法で簡便に形成することができる。2層目の金属酸化物層はバイアススパッタ法や化学気相蒸着法により形成することで、1層目の金属酸化物層の表面をプラズマ処理した際に発生する凹凸や抜けのカバレージが良好であるため好ましい。
本発明に使用する2層目の金属酸化物層の厚みは、10nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。金属酸化物層の厚みが10nmより薄くなると、1層目の金属酸化物層に表面処理による凹凸や抜けが発生した場合、凹凸や抜けを埋めきれず、ガスバリア性フィルムの面内でガスバリア性がばらつくなどの問題が生じる場合がある。また、2層目の金属酸化物層の厚みは、1,000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。金属酸化物層の厚みが1,000nmより厚くなると、金属酸化物層内に残留する応力が大きくなるため、曲げや外部からの衝撃によって2層目の金属酸化物層にクラックが発生しやすくなり、使用に伴いガスバリア性が低下する場合がある。
なお、各層の厚みは、後述するが透過電子顕微鏡(TEM)による断面観察像から、容易に測定することができる。
[プラズマ処理]
本発明におけるプラズマ処理とは、プラズマ発生装置内に処理ガスを導入し発生させたプラズマにより、前記高分子フィルム基材上に形成した1層目の金属酸化物層の表面をクリーニングすることである。プラズマの発生方法としては特に制限はなく、マイクロ波によりプラズマを発生させる方法や、マグネトロン電極により発生させる方法など公知の方法が利用できる。このとき、導入する処理ガスとしては、アルゴンなどの不活性ガスや酸素などの公知のガスを使用することができる。特に、酸素ガスにより発生した酸素プラズマは、組成が有機物である1層目の金属酸化物層の内部および表面にある異物、または、1層目の金属酸化物層を貫通する突起などと強く反応し、二酸化炭素、水、酸化窒素などのガス成分となり残渣等なくクリーニングを可能とするため好ましい。このとき、前記プラズマ処理は真空装置内で実施されるため、ガス成分は除去される。
[本発明で得られるガスバリア性フィルムの用途]
本発明の製造方法で得られるガスバリア性フィルムは、水蒸気等に対するガスバリア性に優れているので、例えば、食品、医薬品などの包装材および薄型テレビ、太陽電池などの電子デバイス部材として有用に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[各層の厚み]
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム((株)日立製作所製FB−2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、観察用サンプルの断面を観察し、各層の厚みを測定した。各水準のサンプルの観察に当たっては層の面方向に視野を6等分した5個所の境界の位置において厚みを測定し、小数点第2位を四捨五入し5点の平均を求めた。基材、各層のそれぞれの界面は、透過型電子顕微鏡による断面観察写真によって判断した。
[各層の組成]
X線光電子分光法(XPS法)を用いることにより、酸素原子に対する含有金属または非金属原子の原子数比を測定した。評価n数は各水準1で行った。
測定条件は下記の通りとした。
・装置:Quantera SXM (PHI社製)
・励起X線:monochromatic AlKα1,2
・X線径100μm
・光電子脱出角度:10°。
[水蒸気透過度(g/(m・24hr・atm))]
温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cmの条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過度測定装置(機種名:DELTAPERM(登録商標))を使用して測定した。評価は各水準について測定場所を変えて10点測定し、測定回数は各点について10回とした。まず、10回測定を行った1点につき、小数点第2位を四捨五入し、当該点における平均値を求めた。次に10点の平均値をさらに平均した上で、小数点第2位を四捨五入し、その値を水蒸気透過度(g/(m・24hr・atm))とした。各点の水蒸気透過度が2.0×10−4(g/(m・24hr・atm))以下の値であれば○、2.0×10−4(g/(m・24hr・atm))より大きい値であれば×と表記した。測定結果を表1に示した。
(1層目の金属酸化物層)
図2に示す構造の巻き取り式のスパッタリング・化学気相蒸着装置(以降スパッタ・CVD装置と略す)を使用し、高分子フィルム基材5の面上に酸化亜鉛と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとで形成された混合焼結材であるスパッタターゲットをスパッタ電極13に設置し、アルゴンガスおよび酸素ガスによるスパッタリングを実施し1層目の金属酸化物層を設けた。
具体的な操作は以下のとおりである。まず、スパッタ電極13に酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの組成質量比が77/20/3で焼結されたスパッタターゲットを設置したスパッタ・CVD装置6の巻き取り室7の中で、巻き出しロール8に前記高分子フィルム基材5を第1の層を設ける側の面がスパッタ電極13に対向するようにセットし、巻き出し側ガイドロール9、10、11を介して、クーリングドラム12に通した。減圧度2×10−1Paとなるように酸素ガス分圧10%としてアルゴンガスおよび酸素ガスを導入し、直流電源により投入電力3,500Wを印加することにより、アルゴン・酸素ガスプラズマを発生させ、スパッタリングにより前記高分子フィルム基材5の表面上に1層目の金属酸化物層を形成した。厚みはフィルム搬送速度により調整した。
(プラズマ処理)
図2に示す構造のスパッタ・CVD装置を使用し、高分子フィルム基材5の面上に、プラズマで1層目の金属酸化物層表面をプラズマ処理した。
具体的な操作は以下のとおりである。スパッタ・CVD装置6の巻き取り室7の中で、巻き出しロール8に前記高分子フィルム基材5をセットし、巻き出し側ガイドロール9、10、11を介して、クーリングドラム12に通した。プラズマ処理用電極19に処理ガス0.5L/分を導入し、直流電源により投入電力1,000Wを印加することにより、プラズマを発生させ、1層目の金属酸化物層表面をプラズマ処理した。
(2層目の金属酸化物層)
図2に示す構造のスパッタ・CVD装置を使用し、高分子フィルム基材5の面上に、ヘキサメチルジシロキサンを原料とした化学気相蒸着を実施し2層目の金属酸化物層を設けた。
具体的な操作は以下のとおりである。スパッタ・CVD装置6の巻き取り室7の中で、巻き出しロール8に前記高分子フィルム基材5をセットし、巻き出し側ガイドロール9、10、11を介して、クーリングドラム12に通した。減圧度2×10−1Paとなるように酸素ガス0.5L/分とヘキサメチルジシロキサン70cc/分を導入し、高周波電源からCVD電極14に投入電力1,000Wを印加することにより、プラズマを発生させ、CVDにより前記高分子フィルム基材5の表面上に2層目の金属酸化物層を形成した。その後、ガイドロール15、16、17を介して巻き取りロール18に巻き取った。
(実施例1)
高分子フィルム基材として、厚み188μmの高分子フィルム基材5(東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)U35:一方の面に易接着層が形成され、もう一方の面はポリエチレンテレフタレートが露出している)を用い、該高分子フィルム基材のポリエチレンテレフタレートが露出している面に、1層目の金属酸化物層を膜厚150nm目標として設けた。
1層目の金属酸化物層の前記高分子フィルム基材とは逆の面を、処理ガスとして酸素を導入し酸素プラズマにてプラズマ処理を実施した後、2層目の金属酸化物層を厚み150nm目標として前記1層目の金属酸化物層上に1層積層し、ガスバリア性フィルムを得た。
この様にして得たガスバリア性フィルムの、1層目の金属酸化物層の組成は、Zn原子濃度が27atom%、Si原子濃度が13atom%、Al原子濃度が3atom%、O原子濃度が57atom%であった。2層目の金属酸化物層の組成は、ケイ素原子に対する酸素原子の原子数比が1.95であった。
得られたガスバリア性フィルムから縦100mm、横100mmの試験片を切り出し、各層の厚み及び水蒸気透過度の評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2)
プラズマ処理の処理ガスをアルゴンと酸素の比率1:1で導入した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
この様にして得たガスバリア性フィルムの、1層目の金属酸化物層の組成は、Zn原子濃度が27atom%、Si原子濃度が13atom%、Al原子濃度が3atom%、O原子濃度が57atom%であった。2層目の金属酸化物層の組成は、ケイ素原子に対する酸素原子の原子数比が1.95であった。
(実施例3)
プラズマ処理の処理ガスをアルゴンのみ導入した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
この様にして得たガスバリア性フィルムの、1層目の金属酸化物層の組成は、Zn原子濃度が27atom%、Si原子濃度が13atom%、Al原子濃度が3atom%、O原子濃度が57atom%であった。2層目の金属酸化物層の組成は、ケイ素原子に対する酸素原子の原子数比が1.95であった。
(比較例1)
プラズマ処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
この様にして得たガスバリア性フィルムの、1層目の金属酸化物層の組成は、Zn原子濃度が27atom%、Si原子濃度が13atom%、Al原子濃度が3atom%、O原子濃度が57atom%であった。2層目の金属酸化物層の組成は、ケイ素原子に対する酸素原子の原子数比が1.95であった。
表1から、同一真空装置内で1層目の金属酸化物層の表面をプラズマ処理し、2層目の金属酸化物層を設けることにより、安定したガスバリア性を有するガスバリアフィルムの製造が可能であることがわかる。
Figure 2014114467
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法により、安定したガスバリア性フィルムの製造が可能になる。
本発明の製造方法により製造されるガスバリア性フィルムの概略を示す断面図である。 本発明の製造方法を実施するための巻き取り式のスパッタリング・化学気相蒸着装置の概略を示す模式図である。
1 高分子フィルム基材
2 1層目の金属酸化物層
3 プラズマ処理面
4 2層目の金属酸化物層
5 高分子フィルム基材
6 巻き取り式スパッタリング・化学気相蒸着装置
7 巻き取り室
8 巻き出しロール
9、10、11 巻き出し側ガイドロール
12 クーリングドラム
13 スパッタ電極
14 CVD電極
15、16、17 巻き取り側ガイドロール
18 巻き取りロール
19 プラズマ処理用電極

Claims (7)

  1. 高分子フィルム基材の少なくとも片側に、2層以上の金属酸化物層を形成するガスバリア性フィルムの製造方法において、該高分子フィルム基材に、以下の工程[A]、工程[B]、工程[C]を順次実施する工程を含み、工程[B]および工程[C]を同一真空装置内で実施する工程を有するガスバリア性フィルムの製造方法。
    工程[A]:1層目の金属酸化物層を形成する工程
    工程[B]:1層目の金属酸化物層の表面をプラズマ処理する工程
    工程[C]:1層目の金属酸化物層の上に少なくとも2層目の金属酸化物層を形成する工程
  2. 前記高分子フィルム基材に、前記工程[A]、工程[B]、工程[C]を順次実施する工程が、工程[A]、工程[B]および工程[C]を同一真空装置内で実施する工程である請求項1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  3. 前記プラズマ処理のプラズマが少なくとも酸素プラズマを含む請求項1または2に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  4. 前記2層目の金属酸化物層の形成をバイアススパッタ法または化学気相蒸着法により行う請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  5. 前記2層目の金属酸化物層が珪素を含む酸化物で構成されている請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  6. 前記1層目の金属酸化物層の形成をスパッタリング法により行う請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  7. 前記1層目の金属酸化物層が亜鉛または珪素の少なくとも一方を含有する酸化物で構成されている請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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