JP2014091057A - ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性に優れるガスバリアフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)、及び2個以上のアルコキシ基を有し且つラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)を含む原料組成物に、水を添加して、アルコキシシラン(A)及び上記アルコキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得る工程と、
上記反応組成物に、活性エネルギー線を照射してアルコキシシラン(A)の加水分解物をラジカル予備重合させた後、反応組成物を基材上に塗工して更に活性エネルギー線を照射してアルコキシシラン(A)の加水分解物をラジカル主重合を行った後、ラジカル重合体とアルコキシシラン(B)の加水分解物とを脱水縮合させて、ガスバリア性樹脂層を形成する工程と、
を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れたガスバリア性フィルム、及びその製造方法に関する。
ガスバリア性フィルムは、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気などの影響を防止するために、食品や医薬品の包装袋に用いられている。また、ガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュール、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス )表示パネルなどに使用される素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、製品構成体の一部として或いはそれら素子のパッケージ材料としても用いられている。
このようなガスバリア性フィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルムも用いられているが、これらは水蒸気バリア性が不充分であり、高湿度条件下においては酸素バリア性が低下するといった問題点を有している。
そこで、プラスチックシート上に、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの金属酸化物の蒸着層と、シランカップリング剤及び合成樹脂若しくは合成樹脂のモノマーを含む組成物を硬化させてなるガスバリア性樹脂層とが積層一体化されたガスバリア性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許第3403882号公報 特許第3974219号公報 特開2010−000677号公報
しかしながら、特許文献1〜3で開示されるガスバリア性フィルムでは、ガスバリア性樹脂層を用いてガスバリア性フィルムを厚くすることによりガスバリア性の向上を図っているのみであり、またガスバリア性樹脂層に用いられるシランカップリング剤はガスバリア性樹脂層とこれと隣接する他の層との接着性の向上を図ったにすぎない。このため、特許文献1〜3のガスバリア性フィルムでは依然として酸素や水蒸気などのガスバリア性が不充分であるといった問題点を有している。
したがって、本発明の目的は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れるガスバリアフィルムの製造方法を提供することである。
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、
分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部、及び分子中に2個以上のアルコキシ基を有し且つラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)25〜200重量部を含む原料組成物に、水10〜100重量部を添加して、上記アルコキシシラン(A)のアルコキシ基及び上記アルコキシシラン(B)のアルコキシ基を加水分解させることにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物及び上記アルコキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得る加水分解工程と、
上記反応組成物に、活性エネルギー線を照射して、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が1〜60%となるまで、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行う予備重合工程と、
活性エネルギー線を照射した上記反応組成物を基材上に塗工し、上記反応組成物にさらに活性エネルギー線を照射することにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が80%以上となるように、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行うことにより、上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合体を得た後、上記ラジカル重合体と上記アルコキシシラン(B)の加水分解物とを脱水縮合させることにより、ガスバリア性樹脂層を形成する主重合工程と、
上記ガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を形成する無機化合物膜形成工程と、
を有することを特徴とする。
[加水分解工程]
まず、本発明の方法では、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部、及び分子中に2個以上のアルコキシ基を有し且つラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)25〜200重量部を含む原料組成物に、水10〜100重量部を添加して、上記アルコキシシラン(A)のアルコキシ基及び上記アルコキシシラン(B)のアルコキシ基を加水分解させることにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物及び上記アルコキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得る加水分解工程を実施する。
(アルコキシシラン(A))
アルコキシシラン(A)は、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有する。
本発明において、ラジカル重合性基は、ラジカルによって付加重合することが可能な基を意味する。アルコキシシラン(A)のラジカル重合性基としては、不飽和二重結合を有している基が挙げられ、具体的には、アリル基、イソプロペニル基、マレオイル基、スチリル基、ビニルベンジル基、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基及びビニル基などが挙げられる。なお、(メタ)アクリロキシ基とは、アクリロキシ基(CH2=CHC(O)O−)又はメタクリロキシ基(CH2=C(CH3)C(O)O−)を意味する。
アルコキシシラン(A)が有するラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基、及びビニル基が好ましく挙げられる。(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、2−(メタ)アクリロキシエチル基、及び3−(メタ)アクリロキシプロピル基などの炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基が好ましく挙げられる。(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基、又はビニル基を有するアルコキシシラン(A)は、ラジカル重合反応性に優れ高度に重合することができ、緻密な網目構造を有する高分子鎖を形成してガスバリア性に優れたガスバリア性樹脂層を形成することができる。
アルコキシシラン(A)としては、下記一般式(1)で示されるアルコキシシランが好ましく挙げられる。
Figure 2014091057

(式中、R1は炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基又はビニル基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、且つnは0又は1である。)
上記一般式(1)のR1において、炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、2−(メタ)アクリロキシエチル基、及び3−(メタ)アクリロキシプロピル基などが好ましく挙げられる。
また、上記一般式(1)のR2は炭素数1〜8のアルキル基であり、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
一般式(1)で示されるアルコキシシランとして具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。これらのアルコキシシラン(A)は一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。なかでも、ラジカル重合反応性に優れることから、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及び3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
(アルコキシシラン(B))
アルコキシシラン(B)は、分子中に2個以上のアルコキシ基を有し且つラジカル重合性基を有しないものである。このようなアルコキシシラン(B)としては、下記一般式(II)で示されるアルコキシシランが好ましく用いられる。
Figure 2014091057

(式中、R及びRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表し、mは0〜2の整数である。)
上記一般式(II)のR及びRは、炭素数1〜8のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。R及びRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が挙げられる。mは0であるのが好ましい。
上記一般式(II)で示されるアルコキシシラン(B)は、アルコキシシラン(A)のラジカル重合により得られる重合体の主鎖間に架橋構造を付与することができ、得られるガスバリア性フィルムに優れたガスバリア性を付与することが可能となる。
なかでもアルコキシシラン(B)としては、アルコキシシラン(A)の重合体の主鎖間に緻密な架橋構造を均一に形成することができることから、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、及びテトラブトキシシランが好ましく挙げられる。これらのアルコキシシラン(B)は一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
原料組成物中におけるアルコキシシラン(B)の含有量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、25〜200重量部に限定されるが、40〜150重量部が好ましく、60〜100重量部がより好ましい。原料組成物におけるアルコキシシラン(B)の含有量が少な過ぎると、後述するアルコキシシラン(A)のラジカル重合体の主鎖間に十分な架橋構造を形成できない虞れがある。また、原料組成物中におけるアルコキシシラン(B)の含有量が多過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層が白色となって透明性が低下する虞れがある。
原料組成物は、無機粒子や溶剤などをさらに含んでいてもよい。原料組成物中における無機粒子の含有量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましい。また、原料組成物中における溶剤の含有量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましい。
(水)
本発明の方法では、原料組成物に、水を添加することによって、アルコキシシラン(A)やアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基を加水分解させて、シラノール基とする。これにより、シラノール基を有するアルコキシシラン(A)の加水分解物、及びシラノール基を有するアルコキシシラン(B)の加水分解物が得られる。なお、シラノール基とは、珪素原子に直接結合しているヒドロキシ基(≡Si−OH)を意味する。
原料組成物へ添加する水の添加量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、10〜100重量部に限定されるが、20〜75重量部が好ましい。水の添加量が少な過ぎると、アルコキシシラン(A)やアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基を十分に加水分解させることができない虞れがある。また、水の添加量が多過ぎると、アルコキシシラン(A)やアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基の加水分解反応後に、当該反応に寄与しなかった過剰量の水が反応組成物中に存在することとなる。この過剰量の水は、後工程における加水分解反応させたアルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)の脱水縮合反応を阻害する虞れがある。
(酸触媒)
原料組成物には、酸触媒をさらに添加することが好ましい。酸触媒は、アルコキシシラン(A)やアルコキシシラン(B)が有しているアルコキシ基の加水分解反応を促進させるために用いられる。
酸触媒としては、塩酸、硫酸、及び硝酸などの無機酸、並びに、ギ酸、及び酢酸などの有機酸が挙げられる。なかでも、上記アルコキシ基の加水分解を適度に促進させることができることから、硝酸を用いるのが好ましい。
原料組成物へ添加する酸触媒の添加量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、0.0001〜0.01重量部が好ましく、0.001〜0.005重量部がより好ましい。酸触媒の添加量が少な過ぎると、酸触媒の添加により得られる効果が十分でない虞れがある。また、酸触媒の添加量が多過ぎると、ガスバリ性樹脂層の酸性度が高くなる虞れがある。酸性度の高いガスバリア性樹脂層を含んでいるガスバリア性フィルムは、早期に劣化する虞れがある。
上述したアルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)を含む原料組成物に水を添加することにより、アルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基の加水分解を行う。アルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基の加水分解反応を十分に行うためには、原料組成物に水を添加して得られた混合物を十分に撹拌することが好ましい。混合物の撹拌時間は、1〜24時間が好ましく、3〜10時間がより好ましい。また、混合物を撹拌する際に、混合物の温度は、15〜35℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。混合物の温度が35℃を超えると、混合物中に含まれている水が蒸発してアルコキシ基の加水分解を十分に行えなくなったり、アルコキシ基の加水分解により生じたシラノール基が脱水縮合する虞れがある。
混合物中におけるシラノール基の形成を確認するには、混合物について赤外吸収スペクトルを測定することにより行うことができる。赤外吸収スペクトルでは、波数812cm-1、1088cm-1、2840cm-1の付近に、アルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)のSi−O−C部分に由来する吸収ピークが現れる。したがって、アルコキシ基の加水分解反応前後で混合物の赤外吸収スペクトルを測定し、アルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)のSi−O−C部分に由来する吸収ピークが減少していれば、アルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)が有しているアルコキシ基が加水分解によって減少し、これによってシラノール基が形成されていると判定することができる。
[予備重合工程]
次に、本発明の方法では、上述した加水分解工程により得られた反応組成物に、活性エネルギー線を照射して、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が1〜60%となるまで、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行う予備重合工程を実施する。
(光重合開始剤)
反応組成物は、光重合開始剤を含んでいることが好ましい。光重合開始剤を用いることによって、ラジカル重合反応を迅速に行うことができる。したがって、ラジカル重合を行う前に、反応組成物に予め光重合開始剤を添加することが好ましい。
光重合開始剤としては、光照射によってラジカルを発生させるものであれば、特に限定されず、例えば、α−ヒドロキシケトン化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ベンジルケタール化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、チオキサントン化合物、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、テトラメチルチウラムジスルフィド及びジベンゾイルジスルフィドなどの有機ジスルフィド類などが挙げられる。光重合開始材としては、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが好ましい。なお、光重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
反応組成物中における光重合開始剤の含有量は、原料組成物に含まれていたアルコキシシラン(A)100重量部に対して、0.01〜0.5重量部が好ましく、0.08〜0.4重量部がより好ましい。反応組成物中における光重合開始剤の含有量が少な過ぎると、光重合開始剤の添加により得られる効果が十分ではない虞れがある。また、反応組成物中における光重合開始剤の含有量が多過ぎると、活性エネルギー線を照射した反応組成物に凝集物が生じる虞がある。凝集物を含む反応組成物は、均一な厚みで塗布できない虞れがある。
予備重合工程では、上述した各成分を含む反応組成物を後述する基材に塗工する前に、反応組成物に活性エネルギー線を照射して、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基を重合転化率が1〜60%となるまで、アルコキシシラン(A)の加水分解物をラジカル重合させる。
反応組成物に照射する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、及びγ線などが挙げられる。なかでも紫外線が好ましい。
紫外線を照射する場合、反応組成物への紫外線の照射量は、500〜5000mJ/cm2が好ましく、1000〜3000mJ/cm2がより好ましい。このような照射量で紫外線を照射することにより、アルコキシシラン(A)の加水分解物を所定の重合転化率まで十分にラジカル重合させることができる。また、紫外線照射は、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等の通常の紫外線ランプを用いて行えばよい。
予備重合工程において反応組成物に活性エネルギー線を照射している間、反応組成物の表面温度は、80℃以下が好ましく、10〜50℃がより好ましい。活性エネルギー線を照射している間に反応組成物の温度が80℃を超えると、アルコキシシラン(A)やアルコキシシラン(B)が有しているアルコキシ基の加水分解が進行し、ガスバリア性に優れるガスバリア性樹脂層が得られなくなる虞れがある。
予備重合工程では、反応組成物への活性エネルギー線の照射によって、アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が、1〜60%、好ましくは3〜57%、より好ましくは5〜55%となるまで、アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行う。アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が1%未満であると、得られるガスバリア性樹脂層の可撓性が低下して、ガスバリア性フィルムを曲げたり撓ませたりした際にガスバリア性樹脂層にひび割れが発生し、結果としてガスバリア性フィルムのガスバリア性が低下する虞れがある。また、アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が60%を超えると、活性エネルギー線を照射した後の反応組成物中にゲル状の凝集物が発生し、反応組成物の塗工性が低下したり、アルコキシ基の加水分解反応及び脱水縮合反応が不十分となって、得られるガスバリア性樹脂層のガスバリア性が低下する虞れがある。
本発明において、アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率とは、ラジカル重合開始前に反応組成物に含まれているアルコキシシラン(A)の加水分解物の重量に対する、アルコキシシラン(A)のラジカル重合によって形成された重合体の重量の割合を意味する。
そして、アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率の測定は、次の通りにして行うことができる。まず、活性エネルギー線を照射した反応組成物に当該反応組成物と同量の水を添加して混合液を得、この混合液をその液温が20℃となるようにしながら1時間に亘って撹拌する。その後、撹拌した混合液をその液温が20℃となるようにしながら1時間放置した後、混合液中に沈降した固形分の重量W2(g)を測定する。そして、この固形文の重量W2(g)を、ラジカル重合開始前に反応組成物に含まれているアルコキシシラン(A)の加水分解物の重量W1(g)で除した値に100を掛けることにより[(W2/W1)×100]、アルコキシシラン(A)が有するラジカル重合性基の重合転化率[%]を算出することができる。
なお、ラジカル重合開始前に反応組成物に含まれているアルコキシシラン(A)の加水分解物の重量は、アルコキシシラン(A)の加水分解物において全てのアルコキシル基が加水分解してシラノール基を形成していると仮定して、原料組成物に用いたアルコキシシラン(A)の重量W0(g)に、アルコキシシラン(A)の分子量(M0)に対するアルコキシシラン(A)の加水分解物の分子量(M1)の比(M1/M0)を乗じることにより、算出された値とする。また、混合液中に沈降した固形分の重量W2(g)を、アルコキシシラン(A)のラジカル重合によって形成された重合体の重量とする。
[主重合工程]
次に、本発明の方法では、活性エネルギー線を照射した上記反応組成物を基材上に塗工し、上記反応組成物にさらに活性エネルギー線を照射することにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が80%以上となるように、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行うことにより、上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合体を得た後、上記ラジカル重合体と上記アルコキシシラン(B)の加水分解物とを脱水縮合させることにより、ガスバリア性樹脂層を形成する主重合工程を実施する。
(基材)
本発明の方法に用いられる基材は、ガスバリア性フィルムが用いられる用途に応じて決定すればよい。基材としては、合成樹脂フィルムが挙げられる。また、無機化合物膜が少なくとも一面に形成されている合成樹脂フィルムを基材として用いることもできる。
合成樹脂フィルムの材料は、透明な熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。透明な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンなどのポリエーテル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などのビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテルスルフォン;ポリスルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルケトンケトンなどが使用できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
なかでも、合成樹脂フィルムの材料としては、ガスバリア性樹脂層との接着性に優れることから、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタラートがより好ましい。
合成樹脂フィルムには、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤が含有されていてもよい。また、合成樹脂フィルムの表面に、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理などの表面改質処理を施してもよい。これにより、ガスバリア性樹脂層や無機化合物膜との接着性を向上させることができる。合成樹脂フィルムの厚みは、3〜300μmが好ましく、12〜300μmがより好ましく、50〜200μmが特に好ましい。
なお、基材に用いられる無機化合物膜は、後述するガスバリア性樹脂層上に形成される無機化合物膜と同様の構成を有するため、ここでは詳細な説明を省略する。
基材上に反応組成物を塗工する方法としては、ロールコーター法、スピンコーター法、ディッピング法、バーコーター法、フローティングナイフコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、ブレードコーター法、及びスプレー法が挙げられる。
合成樹脂フィルムに塗工した反応組成物への活性エネルギー線の照射によって、アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が、80%以上、好ましくは98〜100%となるまで、アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合をさらに行う。アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が80%未満であると、得られるガスバリア性樹脂層の柔軟性が低下する虞れがある。
基材上に塗工した反応組成物に照射する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、及びγ線などが挙げられる。なかでも、電子線が好ましい。
反応組成物に電子線を照射する場合、電子線の加速電圧は、30〜200kVが好ましく、70〜180kVがより好ましい。また、電子線の照射線量は、10〜200kGyが好ましく、100〜175kGyがより好ましい。
ラジカル重合工程において反応組成物に活性エネルギー線を照射している間、反応組成物の表面温度は、80℃以下が好ましく、10〜50℃がより好ましい。活性エネルギー線を照射している間に反応組成物の温度が80℃を超えると、ラジカル重合工程においてアルコキシシラン(A)やアルコキシシラン(B)が有しているアルコキシ基の加水分解が進行し、ガスバリア性に優れるガスバリア性樹脂層が得られなくなる虞れがある。
主重合工程では、基材上に塗工した反応組成物に活性エネルギー線を照射して、アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行うことにより、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体を得た後、ラジカル重合体とアルコキシシラン(B)の加水分解物との脱水縮合を行う。ラジカル重合体は、アルコキシシラン(A)の加水分解物に由来するシラノール基を有している。このようなラジカル重合体が有しているシラノール基と、アルコキシシラン(B)の加水分解物が有しているシラノール基とを脱水縮合させることにより、ガスバリア性樹脂層が得られる。
ラジカル重合体とアルコキシシラン(B)の加水分解物との脱水縮合は、基材上に塗工された後に活性エネルギー線が照射された反応組成物を加熱することにより行うことが好ましい。組成物を加熱することによって、組成物中に含まれる水を除去して乾燥させることにより、脱水縮合を促進させることができる。
具体的には、基材上に塗工された後に活性エネルギー線が照射された反応組成物を、好ましくは90〜150℃、より好ましくは100〜130℃に加熱することが好ましい。また、加熱時間は、0.05〜0.5時間が好ましく、0.1〜0.3時間がより好ましい。
ガスバリア性樹脂層の厚みは、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、1〜10μmが特に好ましい。厚みが0.01μm未満であるガスバリア性樹脂層では十分なガスバリア性を有していない虞れがある。また、厚みが100μmを超えるガスバリア性樹脂層では、剛性が高くなり過ぎてガスバリア性フィルムの取扱性を低下させる虞れがある。
本発明の方法では、上述した通り、初めに、アルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基を加水分解させてシラノール基を形成し、次に、アルコキシシラン(A)の加水分解物をラジカル重合させた後に、アルコキシシラン(A)の加水分解物に由来するラジカル重合体とアルコキシシラン(B)の加水分解物との脱水縮合を行う。シラノール基の形成後、アルコキシシラン(A)の加水分解物をラジカル重合させている間にも、シラノール基の一部が脱水縮合反応を生じている可能性もある。しかしながら、シラノール基の脱水縮合の反応速度は非常に遅い。このため、シラノール基の脱水縮合反応よりも、上述したラジカル重合が優先的に生じる。したがって、ラジカル重合を行っている間に生じるシラノール基の脱水縮合反応はほとんど生じておらず無視することができ、ラジカル重合を行った後に、アルコキシシラン(A)の加水分解物に由来するラジカル重合体とアルコキシシラン(B)の加水分解物とがそれぞれ有しているシラノール基の大部分が脱水縮合することとなる。
本発明の方法により得られるガスバリア性樹脂層では、アルコキシシラン(A)の加水分解物に由来するラジカル重合体の主鎖間を架橋するようにして、ラジカル重合体が有しているアルコキシシラン(A)の加水分解物に由来するシラノール基と、アルコキシシラン(B)の加水分解物が有しているシラノール基との脱水縮合によるシロキサン結合(−Si−O−Si−)が形成されており、最終的に得られる重合体が複雑な網目構造を形成している。
また、脱水縮合よりも先に、アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合体を優先的に高分子量化することによって、相互に隣接するラジカル重合体の主鎖同士を近接させた状態とすることができ、このようにしてラジカル重合体の主鎖同士を近接させた状態で、このラジカル重合体が有するシラノール基と、アルコキシシラン(B)の加水分解物が有しているシラノール基との脱水縮合反応を行うことができ、ラジカル重合体の主鎖間をシロキサン結合が架橋した緻密な網目構造を形成することができる。
このようなガスバリア性樹脂層は、ラジカル重合体の主鎖間をシロキサン結合が架橋した複雑且つ緻密な網目構造が形成されていることによって、酸素や水蒸気などのガスの透過を高く防止することができ、得られるガスバリア性フィルムに優れたガスバリア性を付与することができる。
さらに、アルコキシシラン(A)の加水分解物を、重合転化率が1〜60%となるまで予備重合した後に、重合添加率が80%以上となるように主重合することによって、アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行うことによって、得られるガスバリア性樹脂層中において、ラジカル重合体の主鎖部分と、その間を架橋するシロキサン結合とを均一に分散させた状態とすることができる。これにより、ラジカル重合体の主鎖部分に起因する優れた柔軟性と、シロキサン結合に由来する優れた硬度とが付与されることで、柔軟で且つ強靱なガスバリア性樹脂層が得られる。
このようなガスバリア性樹脂層は、折り曲げや熱膨張などの変形による外力が加わったとしても、外力を均一に分散させることができ、割れなどの破損の発生を高く低減することができる。したがって、上記ガスバリア性樹脂層を用いてなるガスバリア性フィルムは、耐屈曲性や可撓性にも優れていることから、ガスバリア性フィルムは折り曲げて設置したり、高温下にて使用しても、優れたガスバリア性を維持することができる。
[無機化合物膜形成工程]
そして、本発明の方法では、上述の通りにして形成されたガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を形成する無機化合物膜形成工程を実施する。無機化合物膜を用いることにより、ガスバリア性フィルムのガスバリア性を向上させることができる。
無機化合物膜を構成している材料としては、金属酸化物又は金属窒化物が挙げられる。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンなどの金属酸化物、並びに窒化ケイ素、及び窒化チタンなどの金属窒化物が挙げられる。なかでも、優れたガスバリア性を有する無機化合物膜を形成できることから、金属酸化物が好ましく、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンがより好ましく、酸化ケイ素、酸化アルミニウムがより好ましく、酸化ケイ素が特に好ましい。
酸化ケイ素を含む無機化合物膜は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、イットリウムなどの他の金属原子や、炭素、ホウ素、窒素、フッ素などの非金属原子を含んでいてもよい。
無機化合物膜の厚みが薄過ぎると、酸素や水蒸気に対して十分なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを提供できない虞れがある。また、無機化合物膜の厚みが厚過ぎると無機化合物膜を形成する際にガスバリア性樹脂層との間における収縮率の差に起因してクラックが生じ易くなり、ガスバリア性フィルムの酸素や水蒸気に対するバリア性が低下する虞れがある。したがって、無機化合物膜の厚みは、5nm〜10μmが好ましく、10nm〜5μmがより好ましい。
無機化合物膜の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD)や、化学的気相成長法(CVD)などが挙げられ、スパッタリング法が好ましい。
上述した本発明の方法により得られるガスバリア性フィルムの模式断面図を図1に示す。図1に示すガスバリア性フィルムでは、基材10上にガスバリア性樹脂層20及び無機化合物膜20がこの順で積層一体化されている。
本発明の方法により得られるガスバリア性フィルムが用いられる用途としては、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装などの用途が挙げられる。また、このような包装用用途の他にも、本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュール、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどに使用される素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、製品構成体の一部として或いはそれら素子のパッケージ材料として用いることができる。なかでも、本発明のガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性、可撓性、及び耐屈曲性を有していることから、太陽電池モジュールの裏面側保護シート又は受光面側保護シートとして用いられるのが好ましい。裏面側保護シート及び受光面側保護シートは、太陽電池モジュールにおいて発電素子とエチレン−酢酸ビニル共重合体などの封止樹脂とを保護するために用いられる。
本発明の方法によれば、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れたガスバリア性フィルムを製造することが可能となる。上記方法により得られるガスバリア性フィルムに折り曲げや熱膨張などの変形による外力が加わったとしても、ガスバリア性樹脂層に割れなどの破損が発生することが高く低減される。従って、本発明のガスバリア性フィルムは、折り曲げて設置したり、高温下にて使用しても、優れたガスバリア性を維持することができる。
本発明の方法により得られるガスバリア性フィルムの模式断面図である。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[実施例1]
1.加水分解工程
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)100重量部、及びテトラエトキシシラン(B)94重量部を含む原料組成物に、水54重量部及び硝酸0.002重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を25℃で3時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメトキシ基と、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基とをそれぞれ加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物及びテトラエトキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.予備重合工程
反応組成物の全量に、光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 商品名「イルガキュア907」)0.2重量部を添加した後、反応組成物に紫外線ランプ(9W)を用いて、照射量1400mJ/cm2として紫外線を15分間照射することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率が32%となるまで、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基のラジカル重合を行った。
3.主重合工程
紫外線を照射した反応組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。次に、PETフィルムの一面に塗工した反応組成物に、電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率が99%となるまで、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基のラジカル重合を行うことにより、ラジカル重合体を得た。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物に由来するシラノール基と、テトラエトキシシラン(B)の加水分解物が有するシラノール基とを脱水縮合させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
4.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[実施例2〜5]
反応組成物の製造におけるテトラエトキシシラン(B)、水、及び硝酸の配合量、反応組成物への光重合開始剤の添加量、並びに予備重合工程における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率を、それぞれ表1に示した通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを製造した。
[実施例6]
1.加水分解工程
ビニルトリメトキシシラン(A2)100重量部、及びテトラエトキシシラン(B)70重量部を含む原料組成物に、水32重量部及び硝酸0.001重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を20℃で3時間撹拌することにより、ビニルトリメトキシシラン(A2)が有しているメトキシ基と、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基とをそれぞれ加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物及びテトラエトキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.予備重合工程
反応組成物の全量に、光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 商品名「イルガキュア907」)0.1重量部を添加した後、反応組成物に、紫外線ランプ(9W)を用いて、照射量1000mJ/cm2として紫外線を15分間照射することにより、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物の重合転化率が5%となるまで、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物が有しているビニル基のラジカル重合を行った。
3.主重合工程
紫外線を照射した反応組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。次に、PETフィルムの一面に塗工した反応組成物に、電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物の重合転化率が98%となるまで、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物が有しているビニル基のラジカル重合を行うことにより、ラジカル重合体を得た。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体におけるビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物に由来するシラノール基と、テトラエトキシシラン(B)の加水分解物が有するシラノール基とを脱水縮合させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
4.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[比較例1]
1.加水分解工程
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)100重量部、及びテトラエトキシシラン(B)94重量部を含む原料組成物に、水54重量部及び硝酸0.002重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を35℃で1時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメトキシ基と、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基とをそれぞれ加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物及びテトラエトキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.主重合工程
反応組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。次に、PETフィルムの一面に塗工した反応組成物に、電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率が95%となるまで、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基のラジカル重合を行うことにより、ラジカル重合体を得た。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物に由来するシラノール基と、テトラエトキシシラン(B)の加水分解物が有するシラノール基とを脱水縮合させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
3.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[比較例2〜3]
反応組成物の製造におけるテトラエトキシシラン(B)、水、及び硝酸の配合量を、それぞれ表1に示した通りに変更した以外は、比較例1と同様にしてガスバリア性フィルムを製造した。
[比較例4]
1.加水分解工程
ビニルトリメトキシシラン(A2)100重量部、及びテトラエトキシシラン(B)70重量部を含む原料組成物に、水32重量部及び硝酸0.001重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を20℃で10時間撹拌することにより、ビニルトリメトキシシラン(A2)が有しているメトキシ基と、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基とをそれぞれ加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物及びテトラエトキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.主重合工程
反応組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。次に、PETフィルムの一面に塗工した反応組成物に、電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物の重合転化率が99%となるまで、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物が有しているビニル基のラジカル重合を行うことにより、ラジカル重合体を得た。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体におけるビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物に由来するシラノール基と、テトラエトキシシラン(B)の加水分解物が有するシラノール基とを脱水縮合させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
3.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[比較例5]
1.加水分解工程
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)100重量部、及びテトラエトキシシラン(B)63重量部を含む原料組成物に、水43重量部及び硝酸0.002重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を25℃で3時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメトキシ基と、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基とをそれぞれ加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物及びテトラエトキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.予備重合工程
反応組成物の全量に、光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 商品名「イルガキュア907」)2重量部を添加した後、反応組成物に、紫外線ランプ(9W)を用いて、照射量4000mJ/cm2として紫外線を45分間照射することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率が78%となるまで、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基のラジカル重合を行った。
3.ガスバリア性樹脂層形成工程
紫外線を照射した反応組成物の粘度が過度に上昇したため、紫外線を照射した反応組成物に、当該反応組成物100重量部に対して15重量部の酢酸エチルを添加して混合することにより、反応組成物の粘度を低下させた。この粘度を低下させた反応組成物をポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物に由来するシラノール基と、テトラエトキシシラン(B)の加水分解物が有するシラノール基とを脱水縮合させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
4.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[比較例6]
1.加水分解工程
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)100重量部、テトラエトキシシラン(B)14.7重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート85.3重量部、及び2−エチルヘキシルアクリレート91.1重量部を含む原料組成物に、水2.9重量部及び硝酸0.001重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を20℃で24時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメトキシ基と、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基とをそれぞれ加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物及びテトラエトキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.主重合工程
反応組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。次に、PETフィルムの一面に塗工した反応組成物に、電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率が95%となるまで、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基と、トリプロピレングリコールジアクリレートが有しているアクリロキシ基と、2−エチルヘキシルアクリレートが有しているアクリロキシ基とのラジカル重合を行うことにより、ラジカル重合体を得た。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物に由来するシラノール基と、テトラエトキシシラン(B)の加水分解物が有するシラノール基とを脱水縮合させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
3.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[比較例7]
1.加水分解工程
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)100重量部、テトラエトキシシラン(B)20重量部、及びトリプロピレングリコールジアクリレート100重量部を含む原料組成物に、水2.2重量部及び硝酸0.001重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を20℃で24時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメトキシ基と、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基とをそれぞれ加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物及びテトラエトキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.主重合工程
反応組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。次に、PETフィルムの一面に塗工した反応組成物に、電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率が95%となるまで、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基と、トリプロピレングリコールジアクリレートが有しているアクリロキシ基とのラジカル重合を行うことにより、ラジカル重合体を得た。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物に由来するシラノール基と、テトラエトキシシラン(B)の加水分解物が有するシラノール基とを脱水縮合させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
3.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[比較例8]
1.加水分解工程
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)100重量部、及びトリプロピレングリコールジアクリレート250重量部を含む原料組成物に、水2.9重量部及び硝酸0.001重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を20℃で24時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメトキシ基と、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基とをそれぞれ加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物及びテトラエトキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.主重合工程
反応組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。次に、PETフィルムの一面に塗工した反応組成物に、電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率が95%となるまで、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基と、トリプロピレングリコールジアクリレートが有しているアクリロキシ基とのラジカル重合を行うことにより、ラジカル重合体を得た。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物に由来するシラノール基を脱水縮合させてシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
3.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[比較例9]
1.加水分解工程
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)100重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート20重量部、及び2−エチルヘキシルアクリレート100重量部を含む原料組成物に、水2.9重量部及び硝酸0.001重量部を添加することにより混合物を得た。混合物を20℃で24時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメトキシ基を加水分解させてシラノール基を形成させた。これにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物を含む反応組成物を得た。
2.主重合工程
反応組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(厚み50μm)の一面にグラビアコーターにより塗工した。次に、PETフィルムの一面に塗工した反応組成物に、電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物の重合転化率が95%となるまで、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物が有している3−メタクリロキシプロピル基と、トリプロピレングリコールジアクリレートが有しているアクリロキシ基と、2−エチルヘキシルアクリレートが有しているアクリロキシ基とのラジカル重合を行うことにより、ラジカル重合体を得た。その後、反応組成物が塗工されたPETフィルムを、オーブン中、120℃の温度で0.2時間加熱することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物に由来するシラノール基を脱水縮合させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成した。これにより、PETフィルムの一面にガスバリア性樹脂層(厚み8μm)を形成した。
3.無機化合物膜形成工程
PETフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタにより、ガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる無機化合物膜(厚み80nm)を直接形成した。これにより、PETフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び無機化合物膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(評価)
ガスバリア性フィルムについて、下記手順に従って、耐屈曲性試験を行い、耐屈曲性試験前後の水蒸気透過率を測定した。結果を表1に示す。
(耐屈曲性試験)
ガスバリア性フィルムについて、JIS C5016に準拠した耐屈曲性試験を行った。耐屈曲性試験は、ガスバリア性フィルムを、その無機化合物膜形成面が凸面に形成されるようにしてU字状に屈曲させた状態で、耐屈曲性試験機の固定板と可動板との間に取り付けた後、可動板を所定のストロークで複数回繰り返して往復運動させることにより行った。ガスバリア性フィルムの屈曲半径は10mmとし、ストロークは60mmとし、可動板の往復運動の回数は50回とした。
(水蒸気透過率)
ガスバリア性フィルムの水蒸気透過率(g/m2・day)は、JIS K7126(差圧法)に準拠した差圧式のガスクロマトグラフ法によって、ガス・蒸気透過率測定装置(GTRテック社製 装置名GTR−300XASC)を用いて、測定時間2時間、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
Figure 2014091057
10 合成樹脂フィルム
20 無機化合物膜
30 ガスバリア性樹脂層

Claims (6)

  1. 分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部、及び分子中に2個以上のアルコキシ基を有し且つラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)25〜200重量部を含む原料組成物に、水10〜100重量部を添加して、上記アルコキシシラン(A)のアルコキシ基及び上記アルコキシシラン(B)のアルコキシ基を加水分解させることにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物及び上記アルコキシシラン(B)の加水分解物を含む反応組成物を得る加水分解工程と、
    上記反応組成物に、活性エネルギー線を照射して、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が1〜60%となるまで、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行う予備重合工程と、
    活性エネルギー線を照射した上記反応組成物を基材上に塗工し、上記反応組成物にさらに活性エネルギー線を照射することにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物の重合転化率が80%以上となるように、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物のラジカル重合を行うことにより、上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合体を得た後、上記ラジカル重合体と上記アルコキシシラン(B)の加水分解物とを脱水縮合させることにより、ガスバリア性樹脂層を形成する主重合工程と、
    上記ガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を形成する無機化合物膜形成工程と、
    を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
  2. アルコキシシラン(A)が、下記一般式(1)で示されるアルコキシシランを含むことを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
    Figure 2014091057

    (式中、R1は炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基又はビニル基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、且つnは0又は1である。)
  3. アルコキシシラン(A)が、3−(メタ)クリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はビニルトリメトキシシランを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  4. アルコキシシラン(B)が、下記一般式(II)で示されるアルコキシシランを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
    Figure 2014091057

    (式中、R及びRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表し、mは0〜2の整数である。)
  5. 無機化合物膜が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンよりなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  6. 無機化合物膜をスパッタリング法によって形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018207508A1 (ja) * 2017-05-12 2018-11-15 富士フイルム株式会社 ガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法
TWI737286B (zh) * 2020-05-04 2021-08-21 國立臺北科技大學 氣體阻障層合體
CN114890803A (zh) * 2022-05-30 2022-08-12 武汉科技大学 一种含超氧自由基的高温氧化物熔体的制备方法

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