JP2014089465A - 偏光膜および偏光フィルム - Google Patents

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竜弥 荒木
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裕 藤田
Atsushi Muraoka
敦史 村岡
Hiroaki Sawada
浩明 澤田
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Abstract

【課題】優れた光学特性と、優れた耐久性とを兼ね備えた偏光フィルムを提供する。
【解決手段】偏光膜は、二色性物質を含むポリビニルアルコール系樹脂膜から構成され、該ポリビニルアルコール系樹脂膜のNz係数が1.10以上1.50以下であり、厚みが10μm未満である。Nz係数がこの範囲内にあるポリビニルアルコール系樹脂膜から構成され、その配向性が制御されていることにより、優れた光学特性と、優れた耐久性とを兼ね備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光膜および偏光フィルムに関する。
代表的な画像表示装置である液晶表示装置は、その画像形成方式に起因して、液晶セルの両側に偏光フィルムを配置することが必要不可欠である。偏光フィルムは、通常、偏光膜の両面に保護フィルムが積層されて形成される。偏光膜は、代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸し、染色することにより製造される(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。しかし、偏光フィルムは、温度・湿度変化による影響を受けやすく、特に、急激な温度変化によりクラックが発生する等の耐久性に問題がある。
特開平10−288709号公報 特開平11−49878号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、優れた光学特性と、優れた耐久性とを兼ね備えた偏光フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記耐久性の問題は、光学特性(例えば、偏光度)が高いほど発生しやすく、上記クラックが延伸方向に沿って発生する傾向にあることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の偏光膜は、二色性物質を含むポリビニルアルコール系樹脂膜から構成され、該ポリビニルアルコール系樹脂膜のNz係数が1.10以上1.50以下であり、厚みが10μm未満である。
本発明の偏光膜は、Nz係数が特定の範囲内にあるポリビニルアルコール系樹脂膜から構成され、その配向性(ポリビニルアルコール系樹脂分子の配向状態)が制御されていることにより、優れた光学特性と、優れた耐久性とを兼ね備えた偏光フィルムを提供することができる。具体的には、本発明の偏光膜を用いることにより、優れた光学特性を保持しながら、急激な温度変化によるクラックの発生が抑制された偏光フィルムを提供することができる。さらに、本発明によれば、偏光膜の厚みを10μm未満とすることにより、耐久性を格段に向上させることができる。
PVA系樹脂膜のNz係数の算出方法を説明するグラフである。 偏光膜の製造方法の具体例を説明する概略図である。 偏光膜の製造方法の具体例を説明する概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
面内位相差(Re)は、膜(層)の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
厚み方向の位相差(Rth)は、膜(層)の厚みをd(nm)としたとき、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)によって求められる。
A.偏光膜
本発明の偏光膜は、二色性物質を含むポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)膜から構成される。
上記二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料等が挙げられる。これらは、単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。好ましくは、ヨウ素が用いられる。
上記PVA系樹脂膜を形成するPVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光膜を得ることができる。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜4500、さらに好ましくは1500〜4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
PVA系樹脂膜のNz係数は、好ましくは1.10以上である。一方、PVA系樹脂膜のNz係数は、好ましくは1.50以下、さらに好ましくは1.40以下である。Nz係数をこのような範囲内に設定することにより、偏光膜の光学特性を維持させながら、優れた耐久性を備える偏光フィルムを得ることができる。Nz係数が1.10未満であると、PVA系樹脂膜の配向性(一軸性)が高くなり過ぎて、十分な耐久性が得られないおそれがある。Nz係数が1.50を超えると、例えば、液晶テレビに求められる表示品質が得られないおそれがある。
上記PVA系樹脂膜のNz係数は、PVA系樹脂膜の分子鎖の配向性の指標であり、PVA系樹脂膜の位相差から算出される。PVA系樹脂膜の位相差(a値)は、測定波長(λ)を変えて偏光膜の位相差を測定し、図1に示すように、横軸を測定波長として偏光膜の位相差をプロットし、下記式に基づき近似曲線を作成し、この近似曲線から漸近線(a値)を算出することにより求められる。ここで、偏光膜の位相差は、正面および斜めから測定される。
R=a+b/(λ−600
ここで、R:偏光膜の位相差、a:PVA系樹脂膜の位相差、b:定数である。
偏光膜は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光膜の単体透過率40%における偏光度は、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.93%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
偏光膜の厚みは、10μm未満である。通常、偏光膜は保護フィルムよりも収縮力が大きく、偏光膜と保護フィルムとの界面で応力が生じてクラックが発生し得る。偏光膜の収縮力は厚みに依存し、厚みが薄いほど収縮力は小さくなる。市販の偏光膜は、通常、その厚みが20μm〜25μm程度と比較的厚く耐久性が十分ではないが、本発明によれば、耐久性に優れた偏光膜を得ることができる。すなわち、厚みを10μm未満とすることにより、耐久性を格段に向上させることができる。一方で、厚みは、好ましくは1μm以上である。厚みが1μm未満であると、十分な光学特性が得られないおそれがある。
本発明の偏光膜は、任意の適切な形態で使用され得る。代表的には、偏光膜は、少なくともその片側に保護フィルムを積層させて(偏光フィルムとして)使用される。保護フィルムの形成材料としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重体樹脂等が挙げられる。なお、後述の熱可塑性樹脂基材を、そのまま保護フィルムとして用いてもよい。
保護フィルムの厚みは、好ましくは20μm〜100μmである。保護フィルムは、接着層(具体的には、接着剤層、粘着剤層)を介して偏光膜に積層されていてもよいし、偏光膜に密着(接着層を介さずに)積層されていてもよい。接着剤層は、任意の適切な接着剤で形成される。接着剤としては、例えば、ビニルアルコール系接着剤が挙げられる。
B.偏光膜の製造方法
本発明の偏光膜は、上記Nz係数を満足し得る限り、任意の適切な方法により製造される。偏光膜は、代表的には、PVA系樹脂膜に、適宜、延伸、染色等の処理を施すことにより製造される。
B−1.PVA系樹脂膜
上記PVA系樹脂膜は、代表的には、長尺状に形成される。PVA系樹脂膜の厚みは、好ましくは100μm未満である。PVA系樹脂膜は、例えば、PVA系樹脂フィルムであってもよいし、熱可塑性樹脂基材上に形成されたPVA系樹脂層であってもよい。PVA系樹脂フィルムは、厚み10μm以上の偏光膜を製造する場合に好ましく用いられる。PVA系樹脂フィルムの厚みは、好ましくは50μm〜80μmである。熱可塑性樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体は、厚み10μm未満の偏光膜を製造する場合に好ましく用いられる。PVA系樹脂層の厚みは、好ましくは5μm〜20μmである。このような薄い厚みでも、熱可塑性樹脂基材を用いることで良好に延伸することができる。
上記積層体を構成する熱可塑性樹脂基材の厚み(延伸前)は、好ましくは50μm〜250μmである。50μm未満であると、延伸時に破断するおそれがある。また、延伸後に厚みが薄くなり過ぎて、搬送が困難になるおそれがある。250μmを超えると、延伸機に過大な負荷が加わるおそれがある。また、搬送が困難になるおそれがある。
熱可塑性樹脂基材の形成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重体樹脂等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、シクロオレフィン系樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)、非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂である。非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体が挙げられる。
熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは170℃以下である。このような熱可塑性樹脂基材を用いることにより、PVA系樹脂の結晶化が急速に進まない温度での積層体の延伸を可能とし、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂層の配向を妨げる)を抑制することができる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
上記PVA系樹脂層の形成方法は、任意の適切な方法を採用することができる。好ましくは、熱可塑性樹脂基材上に、PVA系樹脂を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより、PVA系樹脂層を形成する。なお、このようにして得られるPVA系樹脂層は、積層体として(熱可塑性樹脂基材上に形成されたまま)だけではなく、熱可塑性樹脂基材から剥離してPVA系樹脂フィルムとして用いてもよい。
上記塗布液は、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部〜20重量部である。このような樹脂濃度であれば、熱可塑性樹脂基材に密着した均一な塗布膜を形成することができる。
塗布液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用し得る。
塗布液の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
上記乾燥温度は、熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、さらに好ましくはTg−20℃以下である。このような温度で乾燥することにより、PVA系樹脂層を形成する前に熱可塑性樹脂基材が変形するのを防止して、得られるPVA系樹脂層の配向性が悪化するのを防止することができる。
B−2.延伸
上記Nz係数は、例えば、延伸方法、延伸倍率、延伸温度等の延伸条件を適宜選択することにより制御することができる。延伸方法としては、例えば、テンター延伸機を用いた固定端延伸、周速の異なるロールを用いた自由端延伸、同時二軸延伸機を用いた二軸延伸、逐次二軸延伸が挙げられる。これらは、単独で、または、二種以上組み合わせて採用し得る。具体的には、図3に示すように、PVA系樹脂膜10を周速の異なるロール31,31,32,32間に通して搬送方向(MD)に延伸(自由端延伸)する場合、例えば、搬送方向に直交する方向(TD)への延伸と組み合わせる形態が挙げられる。以下、好ましい実施形態について具体的に説明する。
好ましい実施形態においては、本発明の偏光膜は、PVA系樹脂膜を第1の方向に収縮させて、第2の方向に延伸することにより製造される。このような製造方法によれば、上記Nz係数を良好に満足させることができる。
第1の方向は、1つの実施形態においては、PVA系樹脂膜の搬送方向(MD)である。搬送方向は、好ましくは、長尺状のPVA系樹脂膜の長尺方向であり、PVA系樹脂膜の長尺方向に対して反時計回りに−5°〜+5°の方向を包含し得る。別の実施形態においては、第1の方向は、搬送方向に直交する方向(TD)である。搬送方向に直交する方向は、好ましくは、長尺状のPVA系樹脂膜の幅手方向であり、PVA系樹脂膜の長尺方向に対して反時計回りに85°〜95°の方向を包含し得る。なお、本明細書において、「直交」とは、実質的に直交する場合も包含する。ここで、「実質的に直交」とは、90°±5.0°である場合を包含し、好ましくは90°±3.0°、さらに好ましくは90°±1.0°である。
収縮は、延伸と同時に行ってもよいし、別のタイミングで行ってもよい。また、その順序も限定されないし、一段階で収縮させてもよいし、多段階で収縮させてもよい。1つの実施形態においては、好ましくは、PVA系樹脂膜を第2の方向に延伸しながら、第1の方向に収縮させる。別の実施形態においては、好ましくは、PVA系樹脂膜を第1の方向に収縮させた後に、第2の方向に延伸する。
本実施形態では、例えば、PVA系樹脂膜の収縮率を調整することにより、上記Nz係数を良好に満足させることができる。PVA系樹脂膜の第1の方向の収縮率は、好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下、特に好ましくは20%以下である。優れた耐久性を達成することができる。一方、収縮率は、好ましくは5%以上である。5%を下回ると、十分な光学特性が得られないおそれがある。
上記第2の方向は、所望の偏光膜に応じて、任意の適切な方向に設定することができる。好ましくは、第2の方向と上記第1の方向とは直交する。具体的には、上記第1の方向がPVA系樹脂膜の搬送方向(MD)である場合、第2の方向は、好ましくは、搬送方向に直交する方向(TD)である。上記第1の方向が搬送方向に直交する方向(TD)である場合、第2の方向は、好ましくは、搬送方向(MD)である。なお、第2の方向が、実質的に、得られる偏光膜の吸収軸方向となる。
PVA系樹脂膜の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、後述のPVA系樹脂膜の延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。また、本工程における延伸方式は、特に限定されず、空中延伸(乾式延伸)方式でもよいし、水中延伸(湿式延伸)方式でもよい。
延伸温度は、延伸方式、延伸対象等に応じて、任意の適切な値に設定することができる。例えば、熱可塑性樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を空中延伸方式により延伸する場合の延伸温度は、熱可塑性樹脂基材の形成材料等に応じて、任意の適切な値に設定することができる。延伸温度は、代表的には熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以上であり、好ましくは熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)+10℃以上、さらに好ましくはTg+15℃以上である。一方、延伸温度は、好ましくは170℃以下である。このような温度で延伸することで、PVA系樹脂の結晶化が急速に進むのを抑制して、当該結晶化による不具合(例えば、PVA系樹脂膜延伸時の破断)を抑制することができる。
PVA系樹脂フィルムを空中延伸方式により延伸する場合の延伸温度は、代表的には70℃〜130℃であり、好ましくは80℃〜120℃である。
水中延伸方式を採用する場合、延伸温度は、好ましくは85℃以下、さらに好ましくは30℃〜65℃である。85℃を超えると、PVA系樹脂に吸着させたヨウ素が溶出する、PVA系樹脂が溶出する等の不具合が発生するおそれがあり、得られる偏光膜の光学特性が低下するおそれがある。
水中延伸方式を採用する場合、PVA系樹脂膜をホウ酸水溶液中で延伸することが好ましい。ホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂膜に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。具体的には、ホウ酸は水溶液中でテトラヒドロキシホウ酸アニオンを生成してPVA系樹脂と水素結合により架橋し得、剛性と耐水性を付与し得る。その結果、例えば、より高い偏光膜コントラスト比の実現を図ることができる。ホウ酸水溶液は、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部である。PVA系樹脂膜の延伸浴への浸漬時間は、好ましくは15秒〜5分程度である。
第2の方向の延伸倍率は、PVA系樹脂膜の元長に対して、好ましくは4.0倍以上である。第1の方向に収縮させることにより、このような高い倍率での延伸が可能となり、優れた光学特性を有する偏光膜を得ることができる。一方、延伸倍率は、好ましくは6.0倍以下、さらに好ましくは5.5倍以下である。
収縮・延伸工程の具体例を図2に示す。図示例では、PVA系樹脂膜10をその長尺方向に搬送しながら、同時二軸延伸機を用いて、PVA系樹脂膜10を搬送方向(MD)に収縮させて、搬送方向に直交する方向(TD)に延伸する。具体的には、テンター入口の左右のクリップ21,21で把持されたPVA系樹脂膜10を、所定の速度で搬送しながらTD延伸する。図示例では、PVA系樹脂膜の収縮は、例えば、クリップの搬送方向の移動速度を徐々に減速させ、クリップ間距離を縮めることにより制御する。テンター入口の搬送方向のクリップ間距離L1とテンター出口の搬送方向のクリップ間距離L2(クリップの搬送方向の移動速度)とを調整することにより、収縮率を制御することができる。具体的には、クリップのテンター出口の速度を、テンター入口の速度×収縮率とすることで、所望の収縮率を達成し得る。なお、図2において、破線はクリップ21のレールを示す。
図2に示すように、同時二軸延伸機を用いてPVA系樹脂膜の収縮・延伸を行う場合、好ましくは、PVA系樹脂膜を収縮させた後に延伸する。具体的には、搬送方向のクリップ間距離を縮めた後にTD延伸する。このような実施形態によれば、延伸の際にPVA系樹脂膜により均一に力がかかり、クリップ把持部が選択的に延伸されるのを防止することができる。具体的には、PVA系樹脂膜端辺において、クリップで把持されない部分が内方に湾曲するのを防止することができる。その結果、均一性を高めることができる。
B−3.その他の処理
偏光膜を製造するための処理としては、延伸処理以外に、例えば、染色処理、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が挙げられる。これらの処理は、任意の適切なタイミングで施し得る。
上記染色処理は、代表的には、PVA系樹脂膜を上記二色性物質で染色する処理である。好ましくは、PVA系樹脂膜に二色性物質を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、二色性物質を含む染色液にPVA系樹脂膜を浸漬させる方法、PVA系樹脂膜に染色液を塗布する方法、PVA系樹脂膜に染色液を噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、二色性物質を含む染色液にPVA系樹脂膜を浸漬させる方法である。二色性物質が良好に吸着し得るからである。
二色性物質としてヨウ素を用いる場合、上記染色液は、好ましくは、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.04重量部〜5.0重量部である。ヨウ素の水に対する溶解性を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物塩を配合することが好ましい。ヨウ化物塩としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムである。ヨウ化物塩の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.3重量部〜15重量部である。
染色液の染色時の液温は、好ましくは20℃〜40℃である。染色液にPVA系樹脂膜を浸漬させる場合、浸漬時間は、好ましくは5秒〜300秒である。このような条件であれば、PVA系樹脂膜に十分に二色性物質を吸着させることができる。
上記不溶化処理および架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂膜を浸漬させることにより行う。上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂膜を浸漬させることにより行う。上記乾燥処理における乾燥温度は、好ましくは30℃〜100℃である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、得られた偏光膜の厚みの測定方法は以下の通りである。
(偏光膜の厚み)
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG−205 type pds−2」)を用いて、後述の染色処理後に、PVA系樹脂層もしくはPVA系樹脂フィルムの厚みを測定した。
[実施例1]
<積層体の作製>
(熱可塑性樹脂基材)
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で厚み200μm、Tg123℃のシクロオレフィン系樹脂フィルム(JSR社製、商品名「ARTON」)を用いた。
(塗布液の調製)
重合度1800、ケン化度98〜99%のポリビニルアルコール(PVA)樹脂(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセノール(登録商標)NH−18」)を水に溶解させて、濃度7重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。
(PVA系樹脂層の形成)
延伸処理を施した熱可塑性樹脂基材の片面に、上記塗布液をダイコーター(ダイコート法)により塗布した後、100℃で180秒間乾燥して、厚み9μmのPVA系樹脂層を形成した。このようにして、積層体を作製した。
<収縮・延伸処理>
得られた積層体を、図2に示すように、同時二軸延伸機を用いて、140℃で、第1の方向(MD)に40%収縮させると同時に、第2の方向(TD)に5.0倍に乾式延伸した。
<染色処理>
次いで、積層体を、25℃のヨウ素水溶液(ヨウ素濃度:0.5重量%、ヨウ化カリウム濃度:10重量%)に30秒間浸漬させた。
<架橋処理>
染色後の積層体を、60℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:5重量%、ヨウ化カリウム濃度:5重量%)に60秒間浸漬させた。
<洗浄処理>
架橋処理後、積層体を、25℃のヨウ化カリウム水溶液(ヨウ化カリウム濃度:5重量%)に5秒間浸漬させた。
このようにして、熱可塑性樹脂基材上に、厚み3μmの偏光膜を作製した。
積層体の偏光膜側にビニルアルコール系接着剤を介して保護フィルム(厚み:80μm、富士フイルム社製、商品名「TD80UL」)を貼り合わせた。次に、偏光膜から熱可塑性樹脂基材を剥離し、この剥離面にビニルアルコール系接着剤を介して保護フィルム(厚み:40μm、東洋鋼鈑社製、商品名「ファインキャスト」)を貼り合わせて偏光フィルムを作製した。
[実施例2]
積層体の作製に際し、厚み10μmのPVA系樹脂層を形成したこと、収縮・延伸処理において第1の方向の収縮率を35%としたこと、および、染色処理に際してヨウ素濃度を0.45重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製した。なお、得られた偏光膜の厚みは、3μmであった。
[実施例3]
積層体の作製に際し、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成したこと、収縮・延伸処理において第1の方向の収縮率を15%としたこと、および、染色処理に際してヨウ素濃度を0.35重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製した。なお、得られた偏光膜の厚みは、3μmであった。
(比較例1)
積層体のかわりに厚み60μmのPVA系樹脂フィルム(クラレ社製、商品名「PE−6000」)を用いたこと、収縮・延伸処理の温度を110℃として第1の方向の収縮率を48%とし、第2の方向の延伸倍率を6.0倍としたこと、および、染色処理に際してヨウ素濃度を0.25重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製した。なお、得られた偏光膜の厚みは、19μmであった。
(比較例2)
積層体の作製に際し、厚み7μmのPVA系樹脂層を形成したこと、および、収縮・延伸処理において第1の方向の収縮率を55%としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製した。なお、得られた偏光膜の厚みは、3μmであった。
(比較例3)
積層体の作製に際し、厚み15μmのPVA系樹脂層を形成したこと、収縮・延伸処理において第1の方向に収縮させなかった(収縮率を0%とした)こと、および、染色処理に際してヨウ素濃度を0.3重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製した。なお、得られた偏光膜の厚みは、3μmであった。
各実施例および比較例で得られた偏光フィルムについて評価を行った。評価方法および評価基準は、以下のとおりである。測定結果を表1に示す。
1.PVA系樹脂膜のNz係数
位相差測定装置(王子計測機器社製、商品名「KOBRA 31X100/IR」)を用いて、23℃における波長(λ)848.2nm,903.4nm,954.7nm,1000.9nm,1045.9nmおよび1089.0nmの光で偏光膜の位相差を測定した。具体的には、各波長の正面の位相差(Re)および吸収軸を傾斜軸として30°傾斜させて測定した位相差(R30)を測定し、得られた位相差値から3次元屈折率計算ソフト(N−Calc.Ver.1.23)を用いて、Nz係数を求めた。なお、測定は、上記近似曲線に関する決定係数が0.9以上となる回数を実施した。
2.耐久性
得られた偏光フィルムから、第2の方向(TD)を短辺とする試験片(1150mm×650mm)を切り出した。各実施例および比較例について、10枚の試験片を用意した。粘着剤で試験片をガラス板に貼り合わせ、これを急激に環境温度が変化するオーブン内に放置し、放置後の偏光フィルムのクラック発生率を調べた。環境温度変化の詳細、クラック発生率の計算式および評価基準は以下のとおりである。
(環境温度変化の詳細)
常温→85℃→−45℃→常温を1サイクルとし、200サイクル後のクラックの発生の有無を観察した。なお、1サイクルにかかる時間は1時間とした。
(クラック発生率の計算式)
クラック発生率(%)=(クラック発生したサンプル数)/10×100
(評価基準)
◎:0%〜10%
○:20%〜30%
△:40%〜50%
×:60%以上
3.偏光度
分光光度計(村上色彩社製、製品名「Dot−41」)を用いて、偏光膜(偏光フィルム)の単体透過率(Ts)、平行透過率(Tp)および直交透過率(Tc)を測定し、単体透過率40%における偏光度(P)を次式にて求めた。なお、これらの透過率は、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により測定し、視感度補正を行ったY値である。
偏光度(P)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
(評価基準)
◎:99.95%以上
○:99.93%以上
×:99.9%未満
Figure 2014089465
各実施例の偏光フィルムは、優れた耐久性と優れた光学特性とを兼ね備えていた。一方、比較例1および2は、偏光度は高いものの耐久性は低く、偏光膜の厚みの厚い比較例1は特に低かった。比較例3は、耐久性に優れるものの偏光度が低かった。
本発明の偏光膜および偏光フィルムは、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、カーナビゲーション、コピー機、プリンター、ファックス、時計、電子レンジ等の液晶パネルに好適に用いられる。
10 PVA系樹脂膜

Claims (1)

  1. 二色性物質を含むポリビニルアルコール系樹脂膜から構成され、
    該ポリビニルアルコール系樹脂膜のNz係数が1.10以上1.50以下であり、
    厚みが10μm未満である、偏光膜。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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