JP2014080146A - 車両のブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 弁機構を構成する弁の個数を低減しつつ各ホイールシリンダにおける液圧を制御することができる車両のブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】 車両のブレーキ装置は、左右前輪側においてホイールシリンダ42FRが保持弁61FRに接続され、ホイールシリンダ42FLが保持弁61FLに接続される。一方、左右後輪側においては、ホイールシリンダ42RR及びホイールシリンダ42RLが1つの共通の保持弁61Rに接続される。又、ホイールシリンダ42FR,42FL,42RR,42RLは、減圧弁62FR,62FL,62RR,62RLに接続される。更に、左右後輪側において、個別流路51RR上の分岐点Pと減圧用個別流路56RRの分岐点Q1との間に絞り弁MV1が設けられ、個別流路51RL上の分岐点Pと減圧用個別流路56RLの分岐点Q2との間に絞り弁MV2が設けられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ドライバによるブレーキペダルの操作に応じて液圧を発生させるマスタシリンダと、加圧ポンプの駆動により液圧を発生させる動力式液圧源と、電気信号によって制御される複数の電磁弁からなり、前記マスタシリンダ又は前記動力式液圧源から出力された液圧が伝達される弁機構と、前記弁機構を介して前記マスタシリンダ又は前記動力式液圧源から出力された液圧が伝達されて車輪に制動力を与えるホイールシリンダと、前記弁機構の作動を制御する制御手段とを備えた車両のブレーキ装置に関する。
この種の車両のブレーキ装置として、従来から、例えば、下記特許文献1に示されたブレーキシステムは知られている。この従来のブレーキシステムは、動力式液圧源が接続された共通通路と各車輪に設けられたそれぞれのブレーキシリンダとの間に設けられて、共通通路とそれぞれのブレーキシリンダとを連通させたり遮断したりする保持弁と、各ブレーキシリンダとリザーバとを連通させたり遮断したりする減圧弁とを備えている。そして、この従来のブレーキシステムでは、各ブレーキシリンダにおける液圧を独立的に制御するために、保持弁がブレーキシリンダごとに設けられるようになっている。
又、この種のブレーキ装置として、従来から、例えば、下記特許文献2に示されたアンチスキッド装置用液圧制御装置も知られている。この従来のアンチスキッド装置用液圧制御装置では、油圧ポンプによって加圧されたブレーキ液が流量等分配弁によって等分配されて左右のホイールシリンダに供給されるようになっている。ここで、流量等分配弁は、内部に摺動可能なピストン部材、ピストン部材内部に左右それぞれ固定絞り、シリンダ部材、ハウジング部材、左右蓋部材から構成され、ピストン部材の左右に形成された給油孔及びシリンダ部材の左右に形成された給油孔とがピストン部材のストロークに伴って可変絞りとして機能するようになっている。これにより、流量等分配弁は、スキッド状態でのブレーキ液増圧モードにおいて、左右のホイールシリンダの圧力差によりピストン部材が動作し、油圧ポンプから供給されたブレーキ液を各給油孔からなる可変絞りを介して左右のホイールシリンダに等分配するものである。従って、流量等分配弁は、左右のホイールシリンダに圧力差が生じた場合にも、油圧ポンプから供給されたブレーキ液を左右のホイールシリンダに等分配するため、左右のホイールシリンダの圧力上昇勾配を同じにするようになっている。
特開2011−156999号公報 特開平5−330416号公報
上記特許文献1に示されたブレーキシステムによれば、各ブレーキシリンダ(ホイールシリンダ)ごとに保持弁及び減圧弁が設けられているため、これら保持弁及び減圧弁をそれぞれ開閉作動させることにより、各ブレーキシリンダ(ホイールシリンダ)の液圧を互いに独立的に増圧又は減圧制御することができる。これにより、例えば、車両の走行状態や挙動変化に応じて、上記特許文献2に示されたアンチスキッド装置用液圧制御装置に比してよりきめ細かく制動力を制御することができる。
ところで、上記特許文献1に示されたブレーキシステムのような車両のブレーキ装置では、高価な保持弁を各ホイールシリンダごとに設けているため、各車輪におけるきめ細やかな制動力の制御が可能となる反面、その製造コストが高くなる。このため、良好な制動力制御、言い換えれば、各ホイールシリンダにおける増圧又は減圧制御を可能として製造コストを低減することが熱望されている。
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、弁機構を構成する弁の個数を低減しつつ各ホイールシリンダにおける液圧を制御することができる車両のブレーキ装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明による車両のブレーキ装置は、マスタシリンダと、動力式液圧源と、弁機構と、ホイールシリンダと、制御手段とを備えている。
前記マスタシリンダは、ドライバによるブレーキペダルの操作に応じて液圧を発生させるものである。前記動力式液圧源は、加圧ポンプの駆動により液圧を発生させるものである。尚、前記動力式液圧源がアキュムレータを有する場合には、加圧ポンプにより発生した液圧をアキュムレータに蓄圧する。前記弁機構は、電気信号によって制御される複数の電磁弁からなり、前記マスタシリンダ又は前記動力式液圧源から出力された液圧が伝達されるものである。前記ホイールシリンダは、前記弁機構を介して前記マスタシリンダ又は前記動力式液圧源から出力された液圧が伝達されて車輪に制動力を与えるものである。前記制御手段は、前記弁機構の作動を制御するものである。
この場合、車両のブレーキ装置は、更に、増圧機構を備えることができる。前記増圧機構は、前記マスタシリンダ及び前記動力式液圧源に接続されて、前記動力式液圧源からの液圧を用いて前記マスタシリンダからの液圧に対して所定の比となる液圧を発生させるものである。ここで、前記増圧機構は、例えば、前記ドライバによる前記ブレーキペダルの操作に伴って前記マスタシリンダから出力される液圧により機械的に作動することができる。
本発明による車両のブレーキ装置の特徴は、前記弁機構が、少なくとも、前記動力式液圧源から流通する作動液を複数の前記ホイールシリンダに対して分岐する分岐点よりも上流側に設けられて、前記動力式液圧源から出力された液圧の前記複数のホイールシリンダへの伝達を許容又は禁止する電磁開閉弁である保持弁と、前記複数のホイールシリンダごとに設けられて、それぞれの前記ホイールシリンダからリザーバへの液圧の伝達を許容又は禁止する電磁開閉弁である減圧弁とを含んで構成されたことにある。
これによれば、複数のホイールシリンダが接続される共通の(1つの)保持弁を設けることによって高価な保持弁の個数を減らすことができて、車両のブレーキ装置の製造コストを効果的に低減することができる。そして、このように、高価な保持弁の個数を減らした場合であっても、複数のホイールシリンダのそれぞれに減圧弁を設け、共通の保持弁とそれぞれの減圧弁とを協調させて開閉させることにより、互いに連通可能に設けられた各ホイールシリンダにおける液圧を独立的に適切に制御することができる。
この場合、前記弁機構が、更に、前記分岐点と前記複数のホイールシリンダのそれぞれとの間に設けられた絞りを含んで構成されるとよい。この場合、より具体的に、前記絞りを、前記分岐点と、この分岐点よりも下流側かつ前記ホイールシリンダよりも上流側にて前記減圧弁に分岐する分岐点との間に設けることができる。
これらによれば、保持弁と複数のホイールシリンダとの間にそれぞれ設けられた絞りによって、作動液が流通する際に絞りの上流側と下流側との間に圧力損失を適切に発生させることができる。これにより、複数のホイールシリンダが共通の(1つの)保持弁に接続される場合において、複数のホイールシリンダのうちの一部を減圧又は保圧させ他部を保圧又は増圧させるように異なる液圧に制御される状況であっても、絞りによって発生する圧力損失によって流通する作動液の流量を異ならせることができ、液圧の異なるホイールシリンダ同士が互いに影響を与え合うことを効果的に防止することができる。従って、より適切に、各ホイールシリンダの液圧を独立的に制御することができる。
又、これらの場合、前記制御手段は、前記複数のホイールシリンダのうちの一部のホイールシリンダにおける液圧を減圧するときには、前記一部のホイールシリンダに設けられた前記減圧弁を開弁状態に制御するとともに前記保持弁を開弁状態に制御することができる。これによれば、減圧する必要のあるホイールシリンダにおいては、減圧弁が開弁状態に制御されることによって、液圧を速やかに減圧することができる。一方、減圧する必要のないホイールシリンダにおいては、開弁状態に制御された保持弁を介して少なくとも動力式液圧源から液圧が伝達されることによって、液圧が減圧してしまうことを効果的に抑制することができる。
又、この場合、絞りが設けられていれば、減圧する必要のあるホイールシリンダにおいては、減圧弁を介して作動液がリザーバに向けて流出することにより、設けられた絞りを流通する作動液に発生する圧力損失が大きくなる。このため、保持弁を介して少なくとも動力式液圧源から伝達される液圧が消費されにくく(低下しにくく)なり、減圧する必要のないホイールシリンダにおける液圧が低下してしまうことを効果的に抑制することができる。従って、共通の(1つの)保持弁に複数のホイールシリンダが接続される場合であっても、一部のホイールシリンダにおける液圧を独立的に減圧させることができる。
又、これらの場合、前記制御手段は、前記複数のホイールシリンダのうちの一部のホイールシリンダにおける液圧を増圧するときには、前記一部のホイールシリンダに設けられた前記減圧弁を閉弁状態に制御するとともに前記保持弁を開弁状態に制御し、更に、前記複数のホイールシリンダのうちの他部のホイールシリンダに設けられた前記減圧弁を開弁状態に制御することができる。これによれば、増圧する必要のあるホイールシリンダにおいては、減圧弁が閉弁状態に制御されることにより、開弁状態に制御された保持弁を介して少なくとも動力式液圧源から液圧が伝達されて、液圧を速やかに増圧することができる。一方、増圧する必要のないホイールシリンダにおいては、減圧弁が開弁状態に制御されることによって、液圧が増圧してしまうことを効果的に抑制することができる。
又、この場合、絞りが設けられていれば、増圧する必要のないホイールシリンダにおいては、減圧弁を介して作動液がリザーバに向けて流出することにより、設けられた絞りを流通する作動液に発生する圧力損失が大きくなる。このため、保持弁を介して少なくとも動力式液圧源から伝達される液圧が消費されにくく(低下しにくく)なり、増圧する必要のあるホイールシリンダに的確に液圧を伝達することができて、液圧を確実に増圧することができる。従って、共通の(1つの)保持弁に複数のホイールシリンダが接続される場合であっても、一部のホイールシリンダにおける液圧を独立的に増圧させることができる。
又、これらの場合、前記複数のホイールシリンダは、車両の左右後輪側の車輪に制動力を与えるものであるとよく、より具体的には、前記複数のホイールシリンダは、例えば、車両の左右後輪側の2つの車輪に制動力を与えるものであるとよい。又、これらの場合、前記複数のホイールシリンダは、車両における前後左右の対角位置関係にある車輪に制動力を与えるものであるとよい。
これらによれば、ホイールシリンダにおける液圧を制御することによって、車両の挙動変化に対する影響を良好に低減することができる。特に、車両における前後左右の体格位置関係にある車輪に制動力を与えるように複数のホイールシリンダを選択した場合には、車輪に制動力が与えられたときの車両の挙動変化(例えば、ヨー挙動の発生等)に対する影響をより良好に低減することができる。
本発明の実施形態におけるブレーキ制御装置の概略システム図である。 図1の増圧機構の構成を示す概略的な断面図である。 本発明の実施形態における車両のブレーキ装置によるリニア制御モードを説明するための図である。 本発明の実施形態における車両のブレーキ装置による液漏れ発生時のバックアップモードを説明するための図である。 一方のホイールシリンダを減圧させたときの他方のホイールシリンダへの影響を説明するためのグラフである。 本発明の実施形態における車両のブレーキ装置による右後輪側のみを減圧させる場合を説明するための図である。 本発明の実施形態における車両のブレーキ装置による一方のホイールシリンダを減圧させたときの他方のホイールシリンダへの影響を説明するためのグラフである。 本発明の実施形態における車両のブレーキ装置による右後輪側のみを増圧させる場合を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車両のブレーキ装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両のブレーキ装置の概略システム構成図である。
本実施形態の車両のブレーキ装置は、ブレーキペダル10と、マスタシリンダユニット20と、動力液圧発生装置30と、液圧制御弁装置50と、増圧機構80と、増圧機構カット弁90と、ブレーキ制御を司るブレーキECU100とを含んで構成される。各車輪にそれぞれ設けられるブレーキユニット40FR,40FL,40RR,40RLは、ブレーキロータ41FR,41FL,41RR,41RLとブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ42FR,42FL,42RR,42RLとを備える。尚、ブレーキユニット40は、4輪ともにディスクブレーキ式に限るものではなく、例えば、4輪ともドラムブレーキ式であっても良いし、前輪がディスクブレーキ式、後輪がドラムブレーキ式等任意に組み合わせたものでも良い。又、以下の説明においては、車輪ごとに設けられる構成についてその符号も末尾に、右前輪についてはFR、左前輪についてはFL、右後輪についてはRR、左後輪についてはRLを付すものとするが、特に車輪位置を特定する必要がない場合には、末尾の符号を省略する。
ホイールシリンダ42FR,42FL,42RR,42RLは、液圧制御弁装置50に接続されて同装置50から供給される作動液(ブレーキフルード)の液圧が伝達されるようになっている。そして、液圧制御弁装置50から供給される液圧により、車輪と共に回転するブレーキロータ41FR,41FL,41RR,41RLにブレーキパッドを押し付けて車輪に制動力を付与する。
マスタシリンダユニット20は、マスタシリンダ21とリザーバ22とを備えている。マスタシリンダ21は、加圧ピストン21a,21bを備えたタンデム式であり、ブレーキペダル10の踏み込み操作に伴って入力されるペダル踏力に対して、それぞれ、所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧Pmc_FR,Pmc_FLを発生する。マスタシリンダ21の上部には、作動液(ブレーキフルード)を貯留するリザーバ22が設けられている。これにより、マスタシリンダ21においては、ブレーキペダル10の踏み込み操作が解除されて加圧ピストン21a,21bが後退しているときに、加圧ピストン21a,21bによって形成される加圧室21a1,21b1がリザーバ22と連通するようになっている。尚、加圧室21a1,21b1は、それぞれ、後述するマスタ圧配管11,12を介して液圧制御弁装置50と連通するようになっている。
動力液圧発生装置30は、動力式液圧源(パワーサプライ)であって、加圧ポンプ31とアキュムレータ32とを備えている。加圧ポンプ31は、その吸入口がリザーバ22に接続され、吐出口がアキュムレータ32に接続され、モータ33を駆動することにより作動液を加圧する。アキュムレータ32は、加圧ポンプ31により加圧された作動液の圧力エネルギーを窒素等の封入ガスの圧力エネルギーに変換して蓄える。又、アキュムレータ32は、マスタシリンダユニット20に設けられたリリーフバルブ23に接続されている。リリーフバルブ23は、作動液の圧力が所定の圧力以上に高まった場合に開弁し、作動液をリザーバ22に戻す。
このように、車両のブレーキ装置は、ホイールシリンダ42に作動液の液圧を付与する液圧源として、ドライバによるブレーキペダル10を介して入力されるペダル踏力を利用して液圧を付与するマスタシリンダ21と、このマスタシリンダ21とは独立して液圧を付与する動力液圧発生装置30とを備える。そして、車両のブレーキ装置においては、マスタシリンダ21(より詳しくは、加圧室21a1,21b1)及び動力液圧発生装置30が、それぞれ、マスタ圧配管11,12及びアキュムレータ圧配管13を介して液圧制御弁装置50に接続される。又、リザーバ22は、リザーバ配管14を介して液圧制御弁装置50に接続される。尚、以下の説明において、マスタ圧配管12については、増圧機構80よりも上流側(入力側)をマスタ圧配管12aと称呼し、増圧機構80よりも下流側(出力側)をマスタ圧配管12bと称呼して区別する。
ここで、マスタ圧配管12aには、シミュレータ流路71及び常閉の電磁開閉弁であるシミュレータカット弁72を介してストロークシミュレータ70が接続される。ストロークシミュレータ70は、ピストン70a及びスプリング70bを備えており、シミュレータカット弁72が開弁状態にあるときに、ドライバによるブレーキペダル10のブレーキ操作量に応じた量の作動液を内部に導入する。そして、ストロークシミュレータ70は、作動液を内部に導入することに合わせてピストン70aをスプリング70bの付勢力に抗して変位させることにより、ドライバによるブレーキペダル10のストローク操作を可能とするとともに、ブレーキ操作量に応じた反力を発生させて、ドライバのブレーキ操作フィーリングを良好にするものである。尚、ストロークシミュレータ70は、マスタ圧配管11に接続可能であることは言うまでもない。
液圧制御弁装置50は、各ホイールシリンダ42FR,42FL,42RR,42RLに接続される4つの個別流路51FR,51FL,51RR,51RLと、個別流路51FR,51FL,51RR,51RLを連通する主流路52と、個別流路51FR,51FLとマスタ圧配管11,12(12b)とを接続するマスタ圧流路53,54と、主流路52とアキュムレータ圧配管13とを接続するアキュムレータ圧流路55とを備えている。ここで、マスタ圧流路53,54、及び、アキュムレータ圧流路55は、それぞれ、主流路52に対して並列に接続される。
個別流路51FR,51FLには、それぞれ、その途中部分に保持弁61FR,61FLが設けられ、個別流路51RR,51RLには、その上流部分に1つの(共通の)保持弁61Rが設けられる。右前輪側のブレーキユニット40FRに設けられた保持弁61FRは、ソレノイドの非通電時にスプリングの付勢力により閉弁状態を維持し、ソレノイドへの通電中においてのみ開弁状態となる常閉の電磁開閉弁である。一方、左前輪側のブレーキユニット40FLに設けられた保持弁61FLは、ソレノイドの非通電時にスプリングの付勢力により開弁状態を維持し、ソレノイドへの通電中においてのみ閉弁状態となる常開の電磁開閉弁である。又、左右後輪側のブレーキユニット40RR,40RLの両方に共通する保持弁61Rは、ソレノイドの非通電時にスプリングの付勢力により閉弁状態を維持し、ソレノイドへの通電中においてのみ開弁状態となる常閉の電磁開閉弁である。
各保持弁61は、開弁状態において作動液を主流路52から個別流路51を介して各ホイールシリンダ42に流すことによって液圧の伝達を許容してホイールシリンダ圧(後述する制御圧Pxに相当)を増圧させる。一方、各保持弁61は、閉弁状態において主流路52から個別流路51を介した各ホイールシリンダ42への作動液の流通を遮断するとともに各ホイールシリンダ42から個別流路51を介した主流路52への作動液の流通を遮断することによって液圧の伝達を禁止し、ホイールシリンダ圧(制御圧Px)を保圧する。
又、各個別流路51FR,51FL,51RR,51RLには、それぞれ、ホイールシリンダ42FR,42FL,42RR,42RLよりも上流側にて減圧用個別流路56FR,56FL,56RR,56RLが接続される。各減圧用個別流路56は、リザーバ流路57に接続される。リザーバ流路57は、リザーバ配管14を介してリザーバ22に接続される。各減圧用個別流路56FR,56FL,56RR,56RLには、その途中部分に、それぞれ、減圧弁62FR,62FL,62RR,62RLが設けられている。減圧弁62FR,62FL,62RRは、ソレノイドの非通電時にスプリングの付勢力により閉弁状態を維持し、ソレノイドへの通電中においてのみ開弁状態となる常閉の電磁開閉弁である。減圧弁62RLは、ソレノイドの非通電時にスプリングの付勢力により開弁状態を維持し、ソレノイドへの通電中においてのみ閉弁状態となる常開の電磁開閉弁である。各減圧弁62は、開弁状態において作動液をホイールシリンダ42から減圧用個別流路56を介してリザーバ流路57に流通させることによって液圧の伝達を許容してホイールシリンダ圧を減圧し、閉弁状態において作動液がリザーバ流路57に流通することを遮断することによって液圧の伝達を禁止してホイールシリンダ圧を保圧する。
更に、本実施形態においては、左右後輪側の個別流路51RR,51RLに、それぞれ、保持弁61Rよりも下流側、より詳しくは、個別流路51RR,51RLの分岐点Pよりも下流側でありかつ減圧用個別流路56RR,56RLの分岐点Q1,Q2よりも上流側に絞りとしての絞り弁MV1,MV2が設けられる。絞り弁MV1,MV2は、例えば、固定型の絞り弁(オリフィス)であり、個別流路51RR,51RLにおける作動液の流量を適宜調整するものである。
マスタ圧流路53,54には、それぞれ、その途中部分にマスタカット弁63,64が設けられる。マスタカット弁63,64は、ソレノイドの非通電時にスプリングの付勢力により開弁状態を維持し、ソレノイドへの通電中においてのみ閉弁状態となる常開の電磁開閉弁である。このようにマスタカット弁63,64を設けることにより、マスタカット弁63,64が閉弁状態にあるときには、マスタシリンダ21(及び増圧機構80)とホイールシリンダ42FR,42FLとの間の接続が遮断されることによって作動液の流通が禁止され、マスタカット弁63,64が開弁状態にあるときには、マスタシリンダ21(及び増圧機構80)とホイールシリンダ42FR,42FLとが接続されることによって作動液の流通が許容される。
アキュムレータ圧流路55には、その途中部分に増圧リニア制御弁65Aが設けられる。又、アキュムレータ圧流路55が接続される主流路52とリザーバ流路57との間には、減圧リニア制御弁65Bが設けられる。増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bは、ソレノイドの非通電時にスプリングの付勢力により閉弁状態を維持し、ソレノイドへの通電量(電流値)の増加に伴って弁開度を増加させる常閉の電磁リニア制御弁である。増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bは、その詳細な説明を省略するが、内蔵されたスプリングが弁体を閉弁方向に付勢するばね力と、相対的に高圧の作動液が流通する一次側(入口側)及び相対的に低圧の作動液が流通する二次側(出口側)の差圧によって弁体が開弁方向に付勢される差圧力との差分として表される閉弁力により閉弁状態を維持する。
一方、増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bは、ソレノイドへの通電により発生する弁体を開弁させる方向に作用する電磁吸引力が上記閉弁力を上回った場合、すなわち、電磁吸引力>閉弁力(=ばね力−差圧力)を満たす場合には、弁体に作用する力のバランスに応じた開度で開弁する。従って、増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bは、ソレノイドへの通電量(電流値)を制御することにより、差圧力すなわち一次側(入口側)と二次側(出口側)との差圧に応じた開度を調整することができる。尚、以下の説明において、増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bの両者について区別する必要がない場合には、単に、リニア制御弁65とも称呼する。
本実施形態における増圧機構80は、マスタシリンダ21の加圧室21b1から出力されるマスタシリンダ圧Pmc_FLを増圧(サーボ)してホイールシリンダ42FLに供給するものである。ここで、増圧機構80を説明しておく。尚、増圧機構80については、後述するように機械的な動作似よってマスタシリンダ圧Pmc_FLを増圧(サーボ)することができる構造であれば、いかなるものであっても採用可能である。又、以下においては、マスタ圧配管12に増圧機構80を設ける場合を説明するが、マスタ圧配管11に増圧機構80を設けるように実施可能であることは言うまでもない。
増圧機構80は、図2に示すように、ハウジング81と、ハウジング81に液密かつ摺動可能に嵌合された段付きピストン82とを含み、段付きピストン82の大径側に大径側室83が設けられ、小径側に小径側室84が設けられる。小径側室84は、動力液圧発生装置30のアキュムレータ32に接続された高圧室85と、高圧供給弁86及び弁座87を介して、連通可能とされている。高圧供給弁86は、図2に示すように、高圧室85内にてスプリングの付勢力によって弁座87に押し付けられており、常閉弁である。
又、小径側室84には、高圧供給弁86に対向して開弁部材88が設けられ、開弁部材88と段付きピストン82との間にスプリングが配置される。このスプリングの付勢力は、開弁部材88を段付きピストン82から離間させる向きに作用する。又、図2に示すように、段付きピストン82の段部とハウジング81との間には、リターンスプリングが設けられ、段付きピストン82を後退方向に付勢する。尚、段付きピストン82とハウジング81との間には図示しないストッパが設けられて、段付きピストン82の前進端位置を規制するようになっている。
更に、段付きピストン82には、大径側室83と小径側室84とを連通させる連通路89が形成される。連通路89は、少なくとも段付きピストン82の後退端位置において、図2に示すように開弁部材88から離間した状態で大径側室83と小径側室84とを連通させ、段付きピストン82が前進して開弁部材88に当接すると遮断される。このように構成されることにより、増圧機構80は、メカ式増圧器(メカ弁)として作動する。
尚、図1及び図2に示すように、高圧室85と動力液圧発生装置30とは高圧供給通路15によって接続され、高圧供給通路15には、増圧機構カット弁90とともに動力液圧発生装置30から高圧室85への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁が設けられる。増圧機構カット弁90は、ソレノイドの非通電時にスプリングの付勢力により開弁状態を維持し、ソレノイドへの通電中においてのみ閉弁状態となる常開の電磁開閉弁である。
このように、増圧機構カット弁90が設けられることにより、ソレノイドへの通電により閉弁状態では動力液圧発生装置30(より詳しくは、加圧ポンプ31又はアキュムレータ32)と高圧室85との間の液圧の伝達、具体的には、作動液の流通が遮断される。従って、仮に、シール性の異常等により増圧機構80に液漏れが生じた場合であっても、増圧機構カット弁90を閉弁状態に維持することにより、アキュムレータ32から高圧の作動液が増圧機構80及びマスタ圧配管12aを介してマスタシリンダ21に逆流することを確実に防止することができる。又、高圧供給通路15を介したアキュムレータ32と増圧機構80の高圧室85との連通(接続)が遮断されるため、仮に、シール性の異常等により増圧機構80に液漏れが生じた場合であっても、アキュムレータ32における液圧(後述するアキュムレータ圧Paccに相当)の低下(消費)を確実に防止することができる。
又、高圧供給通路15に逆止弁を設けることにより、動力液圧発生装置30(より詳しくは、アキュムレータ32)の液圧が高圧室85の液圧よりも高い場合には動力液圧発生装置30から高圧室85への作動液の流れを許容するが、動力液圧発生装置30の液圧が高圧室85の液圧以下の場合には閉弁状態にあり、双方向の流れを禁止する。従って、増圧機構カット弁90が開弁状態にあるときに、仮に、動力液圧発生装置30に液漏れが生じても、高圧室85から動力液圧発生装置30への作動液の逆流を阻止することができ、小径側室84の液圧の低下を防止することができる。
又、マスタ圧配管12aと増圧機構80の大径側室83とはパイロット通路16によって接続されるとともに、パイロット通路16と増圧機構80の出力側(すなわち、小径側室84に連通するマスタ圧配管12b)との間には、増圧機構80をバイパスして接続するバイパス通路17が設けられる。そして、バイパス通路17にはパイロット通路16(マスタ圧配管12a)から増圧機構80の出力側であるマスタ圧配管12bへの作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁が設けられる。更に、段付きピストン82の段部ハウジング81とによって形成される空間とリザーバ22に連通するリザーバ配管14との間には、リザーバ通路18が設けられる。
以下、簡単に増圧機構80の動作を説明しておくと、増圧機構80において、大径側室83にマスタシリンダ21からマスタ圧配管12a及びパイロット通路16を介して作動液(マスタシリンダ圧Pmc_FL)が供給されると、作動液は、連通路89を経て小径側室84に供給される。そして、作動液(マスタシリンダ圧Pmc_FL)の供給に伴って段付きピストン82に作用する前進方向の力(大径側室83に作用するマスタシリンダ圧Pmc_FLによる前進力)がリターンスプリングの付勢力よりも大きくなると、段付きピストン82は前進する。これにより、段付きピストン82が開弁部材88に当接して連通路89が遮断されると、段付きピストン82の前進に伴って小径側室84の液圧が増加し、増圧された作動液(すなわち、サーボ圧)がマスタ圧配管12bを介して液圧制御弁装置50のマスタ圧流路53に出力される。
更に、開弁部材88の前進により高圧供給弁86が開弁状態に切り替えられると、高圧室85から高圧の作動液が小径側室84に供給され、小径側室84の液圧がより高くなる。この場合、増圧機構カット弁90が開弁状態とされていて、動力液圧発生装置30のアキュムレータ32に蓄えられた作動液の液圧(アキュムレータ圧Pacc)が高圧室85内の液圧よりも高い場合には、アキュムレータ32の液圧(アキュムレータ圧Pacc)が高圧供給通路15の逆止弁を経て高圧室85に供給され、小径側室84に供給される。そして、段付きピストン82においては、大径側室83の液圧すなわちマスタシリンダ圧Pmc_FLが、大径側に作用する力(マスタシリンダ圧Pmc_FL×受圧面積)と小径側に作用する力(サーボ圧×受圧面積)とが釣り合う大きさに調整されて出力される。従って、増圧機構80はメカ式の倍力機構であるとも言える。
一方、増圧機構カット弁90が開弁状態にされていて、アキュムレータ32の液圧(アキュムレータ圧Pacc)が高圧室85の液圧以下である場合には、高圧供給通路15に設けられた逆止弁により、アキュムレータ32と高圧室85との間の作動液の流れが阻止されるため、段付きピストン82がそれ以上前進できなくなる。又、段付きピストン82はストッパに当接することによっても前進できなくなることもある。この状態で、マスタシリンダ21から供給されるマスタシリンダ圧Pmc_FLが上昇して小径側室84の液圧よりも高くなると、バイパス通路17及び逆止弁を経てマスタシリンダ圧Pmc_FLがマスタ圧配管12bに供給される。
動力液圧発生装置30及び液圧制御弁装置50は、制御手段としてのブレーキECU100により駆動制御される。ブレーキECU100は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、ポンプ駆動回路、電磁弁駆動回路、各種のセンサ信号を入力するインターフェース、通信インターフェース等を備えている。液圧制御弁装置50に設けられた各電磁開閉弁61〜64,72,90及びリニア制御弁65は、全てブレーキECU100に接続され、ブレーキECU100から出力されるソレノイド駆動信号により開閉状態及び開度(リニア制御弁65の場合)が制御される。又、動力液圧発生装置30に設けられたモータ33についても、ブレーキECU100に接続され、ブレーキECU100から出力されるモータ駆動信号により駆動制御される。
液圧制御弁装置50には、液圧検出手段として、アキュムレータ圧センサ101、マスタシリンダ圧センサ102,103、制御圧センサ104が設けられる。アキュムレータ圧センサ101は、増圧リニア制御弁65Aよりも動力液圧発生装置30側(上流側)のアキュムレータ圧流路55における作動液の液圧、すなわち、アキュムレータ圧流路55はアキュムレータ圧配管13を介してアキュムレータ32と連通しているためアキュムレータ圧Paccを検出する。アキュムレータ圧センサ101は、検出したアキュムレータ圧Paccを表す信号をブレーキECU100に出力する。これにより、ブレーキECU100は、アキュムレータ圧Paccを所定の周期で読み込み、アキュムレータ圧Paccが予め設定された最低設定圧を下回る場合にはモータ33を駆動して加圧ポンプ31により作動液を加圧し、常にアキュムレータ圧Paccが設定圧力範囲内に維持されるように制御する。
マスタシリンダ圧センサ102は、マスタカット弁63よりもマスタシリンダ21側(上流側)のマスタ圧流路53における作動液の液圧、すなわち、マスタ圧流路53はマスタ圧配管11を介して加圧室21a1と連通しているためマスタシリンダ圧Pmc_FRを検出する。マスタシリンダ圧センサ103は、マスタカット弁64よりもマスタシリンダ21側(上流側)のマスタ圧流路54における作動液の液圧、すなわち、マスタ圧流路54はマスタ圧配管12を介して加圧室21b1と連通しているためマスタシリンダ圧Pmc_FLを検出する。マスタシリンダ圧センサ102,103は、検出したマスタシリンダ圧Pmc_FR,Pmc_FLを表す信号をブレーキECU100に出力する。制御圧センサ104は、主流路52における作動液の液圧である制御圧Px(各ホイールシリンダ42におけるホイールシリンダ圧に相当)を表す信号をブレーキECU100に出力する。
又、ブレーキECU100には、ブレーキペダル10に設けられたストロークセンサ105が接続される。ストロークセンサ105は、ドライバによるブレーキペダル10の踏み込み量(操作量)であるペダルストロークSmを表す信号をブレーキECU100に出力する。又、ブレーキECU100には、車輪速センサ106が接続される。車輪速センサ106は、左右前後輪の回転速度である車輪速Vxを検出し、検出した車輪速Vxを表す信号をブレーキECU100に出力する。更に、ブレーキECU100には、ドライバに対して車両のブレーキ装置に発生した異常を報知するインジケータ107が接続される。インジケータ107は、ブレーキECU100による制御に従い、発生した異常を報知する。
次に、ブレーキECU100が実行するブレーキ制御について説明する。ブレーキECU100は、動力液圧発生装置30から出力される液圧(より詳しくは、アキュムレータ圧Pacc)をリニア制御弁65にて調圧して各ホイールシリンダ42に伝達するリニア制御モード(4Sモード)と、少なくともドライバによるブレーキペダル10に対するペダル踏力に応じてマスタシリンダ21にて発生したマスタシリンダ圧Pmc_FR,Pmc_FLをホイールシリンダ42FR,42FLに伝達するバックアップモード(2Sモード)との2つの制御モードによりブレーキ制御を選択的に実行する。
まず、リニア制御モードにおいては、図3に示すように、ブレーキECU100は、常開のマスタカット弁63,64をソレノイドへの通電により閉弁状態に維持するとともに、シミュレータカット弁72をソレノイドへの通電により開弁状態に維持する。又、ブレーキECU100は、常開の増圧機構カット弁90をソレノイドへの通電により閉弁状態に維持する。又、リニア制御モードにおいては、ブレーキECU100は、増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bのソレノイド通電量(電流値)を制御し、通電量に応じた開度に制御する。又、ブレーキECU100は、常開の保持弁61FLを開弁状態に維持するとともに常閉の保持弁61FR,61Rをソレノイドへの通電により開弁状態に維持する。更に、ブレーキECU100は、常閉の減圧弁62FR,62FL,62RRを閉弁状態に維持するとともに常開の減圧弁62RLをソレノイドへの通電により閉弁状態に維持する。
このように液圧制御弁装置50を構成する各弁の開弁状態又は閉弁状態が制御されることにより、リニア制御モードにおいては、マスタカット弁63,64が共に閉弁状態に維持されるため、マスタシリンダ21から出力されるマスタシリンダ圧Pmc_FR,Pmc_FLは、ホイールシリンダ42FR,42FLに伝達されない。又、増圧機構カット弁90が閉弁状態に維持されるため、動力液圧発生装置30の加圧ポンプ31又はアキュムレータ32から出力されるアキュムレータ圧Paccは、増圧機構80に伝達されない。
一方、動力液圧発生装置30から出力されるアキュムレータ圧Paccは、ソレノイドが通電制御状態にある増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bによって調圧され、主流路52及び開弁状態にある保持弁61FR,61FL,61Rを介して、4輪のホイールシリンダ42に伝達される。この場合、減圧弁62が閉弁状態に維持されていれば、各ホイールシリンダ42におけるホイールシリンダ圧は4輪で同一となり、制御圧センサ104によって検出される制御圧Pxとなる。
ところで、本実施形態に係る車両のブレーキ装置が設けられる車両は、例えば、バッテリ電源により駆動される走行用モータを備えた電気自動車(EV)や、走行用モータに加えて内燃機関をも備えたハイブリッド車両(HV)、ハイブリッド車両(HV)に対して更に外部電源を用いてバッテリを充電可能なプラグイン式ハイブリッド車両(PHV)とすることができる。このような車両においては、車輪の回転エネルギーを走行用モータが電気エネルギーに変換することによって発電し、この発電電力をバッテリに回生させることによって制動力を得る回生制動を行うことが可能である。このような回生制動を行う場合には、車両を制動させるために必要な総制動力から回生による制動力分を除いた制動力を車両のブレーキ装置で発生させることにより、回生制動と液圧制動とを併用したブレーキ回生協調制御を行うことができる。
具体的には、ブレーキECU100は、制動要求を受けてブレーキ回生協調制御を開始する。制動要求は、例えば、ドライバがブレーキペダル10を踏み込み操作(以下、単に「ブレーキ操作」とも称呼する。)した場合や、自動ブレーキを作動させる要求がある場合等、車両に制動力を付与すべきときに発生する。ここで、自動ブレーキは、トラクション制御、ビークルスタビリティー制御(車両挙動安定制御)、車間距離制御、衝突回避制御等において作動させる場合があり、これらの制御開始条件が満たされた場合に制動要求が発生する。
ブレーキECU100は、制動要求を受けると、ブレーキ操作量として、マスタシリンダ圧センサ102により検出されるマスタシリンダ圧Pmc_FR、マスタシリンダ圧センサ103により検出されるマスタシリンダ圧Pmc_FL及びストロークセンサ105により検出されるペダルストロークSmのうちの少なくとも一つを取得し、マスタシリンダ圧Pmc_FR、マスタシリンダ圧Pmc_FL及び/又はペダルストロークSmの増大に伴って増大する目標制動力を演算する。尚、ブレーキ操作量については、マスタシリンダ圧Pmc_FR、マスタシリンダ圧Pmc_FL及び/又はペダルストロークSmを取得することに変えて、例えば、ブレーキペダル10に対するペダル踏力を検出する踏力センサを設けて、ペダル踏力に基づいて目標制動力を演算するように実施することも可能である。
ブレーキECU100は、演算した目標制動力を表す情報をハイブリッドECU(図示省略)に送信する。ハイブリッドECUは、目標制動力のうち、電力回生により発生させた制動力を演算して、その演算結果である回生制動力を表す情報をブレーキECU100に送信する。これにより、ブレーキECU100は、目標制動力から回生制動力を減算することによって車両のブレーキ装置で発生させるべき制動力である目標液圧制動力を演算する。ここで、ハイブリッドECUで行う電力回生により発生する回生制動力は、モータかの回転速度により変化するだけではなく、バッテリの充電状態(SOC:State Of Charge)に依存する回生電力制御によっても変化する。従って、目標制動力から回生制動力を減算することにより、適切な目標液圧制動力を演算することができる。
そして、ブレーキECU100は、演算した目標液圧制動力に基づいて、この目標液圧制動力に対応した各ホイールシリンダ42の目標液圧を演算し、ホイールシリンダ圧が目標液圧と等しくなるように、フィードバック制御により増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bのソレノイドに対する駆動電流を制御する。すなわち、ブレーキECU100は、制御圧センサ104によって検出された制御圧Px(=ホイールシリンダ圧)が目標液圧に追従するように、増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bのソレノイドへの通電量(電流値)を制御する。
これにより、作動液が動力液圧発生装置30から増圧リニア制御弁65A及び主流路52を経て各ホイールシリンダ42に供給され、制御圧Px(=ホイールシリンダ圧)が増加して車輪に制動力を発生させる。又、ホイールシリンダ42から作動液が主流路52及び減圧リニア制御弁65Bを経てリザーバ流路57に排出されることにより、制御圧Px(=ホイールシリンダ圧)が低下して車輪に発生する制動力を適切に調整することができる。
そして、例えば、ドライバによるブレーキ操作が解除されると、液圧制御弁装置50を構成する全ての電磁弁(電磁開閉弁)のソレノイドへの通電が遮断されることにより、全ての電磁弁(電磁開閉弁)は図1に示した原位置に戻される。このように、全ての電磁弁(電磁開閉弁)が原位置に戻されることにより、右前輪のホイールシリンダ42FRの液圧(作動液)は開弁状態にあるマスタカット弁63及びマスタ圧配管11を経てマスタシリンダ21及びリザーバ22に戻される。左前輪のホイールシリンダ42FLの液圧(作動液)は開弁状態にあるマスタカット弁64、増圧機構80の連通路89、パイロット通路16及びマスタ圧配管12(マスタ圧配管12a)を経てマスタシリンダ21及びリザーバ22に戻される。左右後輪のホイールシリンダ42RR,42RLの液圧(作動液)は、閉弁状態にある保持弁61Rによって主流路52に流出することなく、開弁状態にある減圧弁62RL及びリザーバ流路57を介してリザーバ22に戻される。
尚、本発明は、ブレーキ回生協調制御を行うことを必須とするものではないため、回生制動力を発生させない車両においても適用可能であることは言うまでもない。この場合には、リニア制御モードにおいて、ブレーキ操作量に基づいて目標液圧を直接演算すればよい。目標液圧は、例えば、マップや計算式等を使って、ブレーキ操作量が大きくなるほど大きな値に設定される。
続いて、バックアップモードを例示的に説明しておく。車両のブレーキ装置においては、ブレーキECU100が所定のイニシャルチェックを実行するようになっており、このイニシャルチェックによって、例えば、各電磁弁(各電磁開閉弁)の切替制御不良やブレーキECU100自体の作動異常等といった制御系(電気系)に異常が検出された場合、或いは、作動液の液漏れの可能性が検出された場合、ブレーキECU100はバックアップモードによって車両のブレーキ装置を作動させて車輪に制動力を発生させる。
まず、制御系(電気系)に異常が検出されたときには、ブレーキECU100は、全ての電磁弁(電磁開閉弁)のソレノイドに対する通電を遮断して、図1に示す原位置に戻す。これにより、増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bは、ソレノイドへの通電が遮断されることによって閉弁状態とされて動力液圧発生装置30が主流路52を介して各ホイールシリンダ42から遮断される。又、本実施形態では、増圧機構カット弁90が開弁状態とされるため、増圧機構80はアキュムレータ32と連通する。又、保持弁61FRと保持弁61Rとは閉弁状態となり、保持弁61FLは開弁状態となる。このため、右前輪のホイールシリンダ42FRと左右後輪のホイールシリンダ42RR,42RLとは主流路52に対して遮断され、左前輪のブレーキシリンダ42FLのみが主流路52と連通する。
この状態において、ドライバによってブレーキペダル10の踏み込み操作がなされると、マスタシリンダ21の加圧ピストン21a,21bの前進に伴って加圧室21a1,21b1内の作動液が加圧される。これにより、加圧室21a1の液圧(マスタシリンダ圧Pmc_FR)は、マスタ圧配管11、マスタ圧流路53及び開弁状態にあるマスタカット弁63を介して右前輪のホイールシリンダ42FRに供給され、ブレーキユニット40FRを良好に作動させることができる。
一方、加圧室21b1の液圧(マスタシリンダ圧Pmc_FL)は、マスタ圧配管12(12a)及びパイロット通路16を介して増圧機構80に供給され、増圧機構80が作動を開始する。すなわち、増圧機構80においては、段付きピストン82が前進し、小径側室84と大径側室83との連通路89を介した連通が開弁部材88によって遮断され、小径側室84内の液圧が増加する。又、開弁部材88が前進して高圧供給弁86が開弁状態となると、開弁状態にある増圧機構カット弁90を介してアキュムレータ32から高圧室85内に高圧の作動液が供給され、小径側室84にアキュムレータ圧Paccが伝達される。
これにより、小径側室84の液圧(サーボ圧)は、マスタシリンダ圧Pmc_FLよりも高くされ、マスタ圧配管12(12b)、マスタ圧流路54及び開弁状態にあるマスタカット弁64を介して左前輪のホイールシリンダ42FLに供給される。尚、保持弁61FLが開弁状態にあるため、マスタカット弁64を介して供給された作動液は主流路52に流入する。この場合、主流路52に接続された保持弁61FR,61Rは閉弁状態に維持されているため、主流路52に流入した作動液は主流路52内を満たし他のホイールシリンダ42FL,42RR,42RLに対して流出することがない。従って、マスタカット弁64を介してサーボ圧(作動液)が左前輪のホイールシリンダ42FLに供給されることにより、ブレーキユニット40FLを良好に作動させることができる。
又、この状態においては、動力液圧発生装置30の加圧ポンプ31は停止状態であるため、アキュムレータ32の液圧(アキュムレータ圧Pacc)は徐々に低下する。このため、アキュムレータ圧Paccが高圧室85の液圧以下になると、高圧供給通路15に設けられた逆止弁によって高圧室85からアキュムレータ32への作動液の流れが阻止されるため、段付きピストン82の前進が阻止され、小径側室84の液圧はそれ以上高くなることがなく、増圧機構80は倍力機能を発揮できなくなる。そして、ドライバのブレーキペダル10に対するペダル踏力によってマスタシリンダ21の加圧室21b1の液圧(マスタシリンダ圧Pmc_FL)が小径側室84の液圧よりも高くなると、マスタシリンダ圧Pmc_FLが、バイパス通路17、マスタ圧配管12b、マスタ圧流路54及びマスタカット弁64を介して左前輪のホイールシリンダ42FLに供給される。
ここで、保持弁61Rは閉弁状態にあるため、左右後輪のホイールシリンダ42RR,42RLには、主流路52を介して加圧室21b1の液圧(サーボ圧又はマスタシリンダ圧Pmc_FL)が供給されない。このことは、マスタシリンダ21の1つの加圧室21b1から供給可能な作動液の量は決まっており、供給先のホイールシリンダ42の個数が多くなると、ホイールシリンダ42の液圧を十分に高くすることができないという問題を生じさせないためである。このため、本実施形態においては、制御系(電気系)に異常が生じたときには、左右前輪側のホイールシリンダ42FR,42FLに少なくともマスタシリンダ圧Pmc_FR,Pmc_FLを供給し、2つのブレーキユニット40FR,40FLを良好に作動させる。
次に、液漏れの可能性が検出された場合のバックアップモードを説明しておく。ブレーキECU100は、例えば、制御圧センサ104によって検出された制御圧Pxの変化(低下)等に基づき、車両のブレーキ装置に液漏れの可能性を検出したときには、図4に示すように、左右前輪側の保持弁61FR,61FLを閉弁状態とし、左右後輪側の保持弁61Rを開弁状態とし、マスタカット弁63,64を開弁状態とする。更に、ブレーキECU100は、シミュレータカット弁72を閉弁状態とするとともに増圧機構カット弁90を閉弁状態に維持し、全ての減圧弁62を閉弁状態とする。
これにより、左右後輪のホイールシリンダ42RR及びホイールシリンダ42RLは、保持弁61R、主流路52、増圧リニア制御弁65A、アキュムレータ圧流路55及びアキュムレータ圧配管13を介して動力液圧発生装置30の加圧ポンプ31及び/又はアキュムレータ32と連通する。このため、ホイールシリンダ42RR,42RLにおいては、アキュムレータ圧Paccが増圧リニア制御弁65Aによって制御(調圧)されて、液圧が制御圧Pxとされる。
一方、右前輪のホイールシリンダ42FRは、マスタカット弁63、マスタ圧流路53及びマスタ圧配管11を介してマスタシリンダ21の加圧室21a1と連通し、液圧がマスタシリンダ圧Pmc_FRとされる。又、左前輪のホイールシリンダ42FLは、マスタカット弁64、マスタ圧流路54、マスタ圧配管12b、増圧機構80、パイロット通路16及びマスタ圧配管12aを介してマスタシリンダ21の加圧室21b1と連通し、液圧が増圧機構80の作動に伴ってマスタシリンダ圧Pmc_FLよりも高いサーボ圧とされる。
このように、車両のブレーキ装置に液漏れの可能性が検出されると、左右前輪の保持弁61FR,61FLが閉弁状態(遮断状態)とされる。このため、主流路52を介した左右前輪のホイールシリンダ42FRとホイールシリンダ42FLとの連通が遮断されるとともに、主流路52を介した左右前輪のホイールシリンダ42FR,42FLと左右後輪のホイールシリンダ42RR,42RLとの連通が遮断される。すなわち、車両のブレーキ装置に液漏れの可能性が検出されると、前輪と後輪とのホイールシリンダ42同士が遮断されて、右前輪、左前輪及び左右後輪の3つのブレーキ系統が互いに独立することになる。その結果、これらの3つのブレーキ系統のうちの1つに液漏れが生じた場合であっても、他のブレーキ系統に影響が及ばないようになっている。
具体的に、今、左前輪のブレーキユニット40FLにおいて、例えば、ホイールシリンダ42FLから外部への液漏れ、或いは、減圧弁62FLのシール性に異常が発生した場合等を想定してみる。この場合、ブレーキECU100は、リニア制御モードにおいて、例えば、アキュムレータ圧センサ101によって検出されるアキュムレータ圧Paccや制御圧センサ104によって検出される制御圧Pxの低下等に基づくことにより、車両のブレーキ装置に液漏れの可能性が生じたことは検出できるものの、液漏れが発生している位置を特定することはできない。しかしながら、上述したように、右前輪、左前輪及び左右後輪の3つのブレーキ系統を互いに独立させることにより、仮に、左前輪のホイールシリンダ42FLから外部への液漏れ、或いは、減圧弁62FLのシール性に異常が発生した場合であっても、他の車輪、すなわち、右前輪にはマスタシリンダ圧Pmc_FRを供給することにより適切な制動力を発生させることができ、左右後輪にはアキュムレータ圧Paccを制御(調圧)した制御圧Pxを供給することにより適切な制動力を発生させることができる。
ところで、ブレーキECU100は、例えば、車輪速センサ106によって検出された車輪速Vxに基づいて周知のアンチスキッド制御の実行が必要である状況や、車両に搭載された他のセンサ群(加速度センサや横加速度センサ、ヨーレートセンサ等)によって検出された各種物理量(前後加速度や横加速度、ヨーレート等)に基づいて周知のビークルスタビリティー制御(車両挙動安定制御)の実行が必要である状況では、これらのアンチスキッド制御及びビークルスタビリティー制御に従って保持弁61、減圧弁62及びリニア制御弁65のそれぞれのソレノイドへの通電を制御することができる。これにより、車両のブレーキ装置においては、各ホイールシリンダ42におけるホイールシリンダ圧を増圧、減圧及び保圧して独立的に制御することができる。以下、このことを具体的に説明する。
上述したように、本実施形態における車両のブレーキ装置の左右前輪側においては、右前輪のホイールシリンダ42FRは保持弁61FRを介して主流路52に接続されるとともに減圧弁62FRを介してリザーバ流路57に接続され、左前輪のホイールシリンダ42FLは保持弁61FLを介して主流路52に接続されるとともに減圧弁62FLを介してリザーバ流路57に接続される。又、右前輪のホイールシリンダ42FRはマスタカット弁63を介してマスタシリンダ21の加圧室21a1に接続され、左前輪のホイールシリンダ42FLはマスタカット弁64を介してマスタシリンダ21の加圧室21b1に接続される。これにより、ホイールシリンダ42FRにおけるホイールシリンダ圧とホイールシリンダ42FLにおけるホイールシリンダ圧とを、互いに独立して減圧したり、増圧したり或いは保圧したりすることができる。
すなわち、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って、右前輪のホイールシリンダ42FRにおけるホイールシリンダ圧のみを減圧する必要が生じた場合には、ブレーキECU100は、ソレノイドへの通電を遮断して保持弁61FRを閉弁状態に維持することにより、ホイールシリンダ42FRと主流路52との連通を禁止する。そして、ブレーキECU100は、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って要求されるホイールシリンダ圧まで減圧するために、例えば、予め設定されたデューティー制御によりソレノイドに通電して、減圧弁62FRを開弁させる。これにより、右前輪のホイールシリンダ42FRにおけるホイールシリンダ圧は、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って、適切に減圧される。
又、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って、左前輪のホイールシリンダ42FLにおけるホイールシリンダ圧のみを減圧する必要が生じた場合には、ブレーキECU100は、ソレノイドへの通電により保持弁61FLを閉弁状態に維持することにより、ホイールシリンダ42FLと主流路52との連通を禁止する。そして、ブレーキECU100は、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って要求されるホイールシリンダ圧まで減圧するために、予め設定されたデューティー制御によりソレノイドに通電して、減圧弁62FLを開弁させる。これにより、左前輪のホイールシリンダ42FLにおけるホイールシリンダ圧は、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って、適切に減圧される。
一方、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御(特に、ビークルスタビリティー制御)に従って、右前輪のホイールシリンダ42FRにおけるホイールシリンダ圧のみを増圧する必要が生じた場合、ブレーキECU100は、リニア制御モードにあるときには、保持弁61FRを開弁状態に維持するとともに、ソレノイドへの通電により保持弁61FLを閉弁状態に移行させ、ソレノイドへの通電を遮断して保持弁61Rを閉弁状態に移行させる。これにより、左前輪のホイールシリンダ42FL及び左右後輪のホイールシリンダ42RR,42RLと主流路52との連通を禁止する。尚、リニア制御モードにおいては、上述したように、減圧弁62は閉弁状態に維持されている。そして、ブレーキECU100は、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って要求されるホイールシリンダ圧まで増圧するために、増圧リニア制御弁65Aによって主流路52の制御圧Pxを増圧し、増圧した制御圧Pxを保持弁61FRを介してホイールシリンダ42FRに伝達(供給)する。これにより、右前輪のホイールシリンダ42FRにおけるホイールシリンダ圧は、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って、適切に増圧される。
又、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御(特に、ビークルスタビリティー制御)に従って、左前輪のホイールシリンダ42FLにおけるホイールシリンダ圧のみを増圧する必要が生じた場合、ブレーキECU100は、リニア制御モードにあるときには、保持弁61FLを開弁状態に維持するとともに、ソレノイドへの通電を遮断することにより保持弁61FR及び保持弁61Rを閉弁状態に移行させる。これにより、右前輪のホイールシリンダ42FL及び左右後輪のホイールシリンダ42RR,42RLと主流路52との連通を禁止する。尚、リニア制御モードにおいては、上述したように、減圧弁62は閉弁状態に維持されている。そして、ブレーキECU100は、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って要求されるホイールシリンダ圧まで増圧するために、増圧リニア制御弁65Aによって主流路52の制御圧Pxを増圧し、増圧した制御圧Pxを保持弁61FLを介してホイールシリンダ42FLに伝達(供給)する。これにより、左前輪のホイールシリンダ42FLにおけるホイールシリンダ圧は、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って、適切に増圧される。
尚、上述した液漏れの可能性が検出されてバックアップモードであるときに、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従って、右前輪のホイールシリンダ42FR(又は左前輪のホイールシリンダ42FL)におけるホイールシリンダ圧のみを増圧する必要が生じた場合には、ブレーキECU100は、例えば、ソレノイドへの通電により左前輪側のマスタカット弁64(又は右前輪側のマスタカット弁63)を閉弁状態に移行させたり、ソレノイドへの通電により左前輪側の減圧弁62FL(又は右前輪側の減圧弁62FR)を予め設定されたデューティー制御により開弁させる。これにより、右前輪のホイールシリンダ42FRのホイールシリンダ圧のみ(又は左前輪のホイールシリンダ42FLのホイールシリンダ圧のみ)を増圧させる(相対的に増圧させる)ことができる。
このように、左右前輪側においては、ホイールシリンダ42FR,42FLがそれぞれ保持弁61FR,61FLを介して主流路52に接続されているため、保持弁61FR及び保持弁61FLの少なくとも一方を閉弁状態に維持することにより、ホイールシリンダ42FR,42FLを互いに遮断することができる。これにより、右前輪のホイールシリンダ42FRのホイールシリンダ圧と左前輪のホイールシリンダ42FLのホイールシリンダ圧とをそれぞれ独立させて適切に減圧させたり、増圧させたりすることができる。
又、上述したように、本実施形態における車両のブレーキ装置の左右後輪側においては、右後輪のホイールシリンダ42RRと左後輪のホイールシリンダ42RLとは1つの共通の保持弁61Rを介して主流路52に接続される。具体的に、右後輪のホイールシリンダ42RRは、共通の保持弁61Rよりも下流側の個別流路51RRに設けられた絞り弁MV1を介して保持弁61Rに接続されるとともに減圧弁62RRを介してリザーバ流路57に接続される。又、左後輪のホイールシリンダ42RLは、共通の保持弁61Rよりも下流側の個別流路51RLに設けられた絞り弁MV2を介して保持弁61Rに接続されるとともに減圧弁62RLを介してリザーバ流路57に接続される。
このように、左右後輪のホイールシリンダ42RR,42RLが1つの共通の保持弁61Rを介して主流路52に接続されている場合であっても、ホイールシリンダ42RR,42RLが、それぞれ、絞り弁MV1,MV2を介して接続されるとともに減圧弁62RR,62RLを介してリザーバ流路57に接続されることにより、ホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧とホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧とを、互いに独立して減圧したり、増圧したりすることができる。以下、このことを詳しく説明する。
アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従う場合、左右後輪側も、左右前輪側と同様に、右後輪のホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧と左後輪のホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧とをそれぞれ独立的に減圧させたり、増圧させたり或いは保圧したりする必要がある。この場合、例えば、右後輪のホイールシリンダと左後輪のホイールシリンダとが1つの共通する保持弁を介して主流路に接続されており、保持弁とそれぞれのホイールシリンダとの間に絞り弁が設けられていない車両のブレーキ装置(以下、この装置を比較装置と称呼する。)においては、左右後輪のホイールシリンダにおけるそれぞれのホイールシリンダ圧を独立的に減圧又は増圧することが困難となる場合がある。
すなわち、比較装置において、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従い、例えば、右後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧のみを減圧する必要が生じた場合、通常、共通の保持弁を閉弁状態に移行させ、右後輪のホイールシリンダとリザーバ流路との間に設けられた右後輪側の減圧弁を開弁する。ところが、比較装置においては、保持弁よりも下流側である右後輪のホイールシリンダと左後輪のホイールシリンダとは直接的にそれぞれの個別流路を介して常に連通した状態にある。このため、単に、右後輪側の減圧弁を開弁すると、右後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧が減圧されることは言うまでもなく、図5に概略的に示すように、例えば、増圧制御中(保圧時)の左後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧に減圧の影響を与えてしまう。従って、比較装置においては、単純な保持弁及び減圧弁の開閉制御によっては、右後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧のみ(又は、左後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧のみ)を減圧させることは困難となる場合がある。
又、比較装置において、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御(特に、ビークルスタビリティー制御)に従って、例えば、右後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧のみを増圧する必要が生じた場合、通常、リニア制御モードでは、共通の保持弁を開弁状態に維持してリニア制御弁によって主流路の制御圧を増圧する。この場合、比較装置においては、保持弁よりも下流側で個別流路を介して右後輪のホイールシリンダと左後輪のホイールシリンダとが直接的に連通した状態にあるため、増圧された制御圧が右後輪のホイールシリンダ及び左後輪のホイールシリンダの両方に供給される。このため、共通の保持弁が開弁状態に維持された状態では、右後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧が増圧されることは言うまでもなく、左後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧までもが増圧されてしまう。従って、比較装置においては、単純な保持弁及び減圧弁の開閉制御によっては、右後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧のみ(又は、左後輪のホイールシリンダにおけるホイールシリンダ圧のみ)を増圧させることは困難となる場合がある。
これに対して、本実施形態における車両のブレーキ装置においては、右後輪のホイールシリンダ42RRが個別流路51RRの分岐点Pと減圧用個別流路56RRの分岐点Q1との間に設けられた絞り弁MV1を介して共通の保持弁61Rに接続され、左後輪のホイールシリンダ42RLが個別流路51RLの分岐点Pと減圧用個別流路56RLの分岐点Q2と間に設けられた絞り弁MV2を介して共通の保持弁61Rに接続される。すなわち、本実施形態における車両のブレーキ装置においては、右後輪のホイールシリンダ42RRと左後輪のホイールシリンダ42RLとを接続する個別流路51RR,51RL上に絞り弁MV1,MV2が設けられる。
これにより、本実施形態における車両のブレーキ装置においては、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従い、例えば、右後輪のホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧のみを減圧する必要が生じた場合、ブレーキECU100は、図6に示すように、ソレノイドへの通電により共通の保持弁61Rを開弁状態に維持する。又、この場合、ブレーキECU100は、ソレノイドへの通電により右後輪の減圧弁62RRを開弁状態に移行させる一方で、ソレノイドへの通電により左後輪の減圧弁62RLを閉弁状態に維持する。
このように保持弁61R、減圧弁62RR,62RLの開閉弁状態が制御される車両のブレーキ装置においては、まず、減圧弁62RRが開弁状態に移行されることにより、ホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧が減圧される。従って、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御による要求に従い、ホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧を適切に減圧させることができる。
この状況においては、共通の保持弁61Rが開弁状態に維持されているため、主流路52側からホイールシリンダ42RR,42RL側への作動液の流入が許容されている。又、左後輪の減圧弁62RLは閉弁状態に維持されているため、ホイールシリンダ42RL側から共通の保持弁61R及びホイールシリンダ42RR側への作動液の流出が許容されている。このため、ホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧の減圧、言い換えれば、ホイールシリンダ42RRに供給されていた作動液が減圧弁62RRを介してリザーバ流路57に流出することに伴い、作動液が絞り弁MV1を介してホイールシリンダ42RRに向けて流れようとする。
ところで、減圧弁62RRが開弁されると、右後輪のホイールシリンダ42RRからリザーバ流路57に作動液が速やかに流出するため、絞り弁MV1を通過する作動液の流量が大きくなり、絞り弁MV1にて発生する圧力損失が大きくなる。このため、ホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧を減圧させるために減圧弁62RRが開弁された場合、開弁されてから短い時間が経過するまでは、作動液が絞り弁MV1を通過しにくい状態となり、その結果、絞り弁MV1よりも上流側における液圧の低下が抑制される。これにより、左後輪のホイールシリンダ42RLから絞り弁MV2を介した作動液の流出が抑制され、図7に概略的に示すように、例えば、増圧制御中のホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧の低下を抑制することができる。更に、この場合、共通の保持弁61Rが開弁状態に維持されていて、主流路52からの作動液の流入が許容されている。このため、例えば、右後輪の減圧弁62RRを開弁するときにリニア制御弁65によって主流路52における制御圧Pxを若干増圧しておくことにより、ホイールシリンダ42RLから作動液の流出、言い換えれば、ホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧の低下を、作動液を流入させることによって補填してより確実に防止することができる。
尚、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従い、左後輪のホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧のみを減圧する必要が生じた場合には、ブレーキECU100は、共通の保持弁61Rを開弁状態に維持するとともに、左後輪の減圧弁62RLを開弁状態に移行させ、右後輪の減圧弁62RLを閉弁状態に維持する。これにより、上述した右後輪側のみを減圧させる場合と同様に、左後輪のホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧のみを適切に減圧させることができる。
又、本実施形態における車両のブレーキ装置においては、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御(特に、ビークルスタビリティー制御)に従い、例えば、右後輪のホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧のみを増圧する必要が生じた場合、ブレーキECU100は、リニア制御弁65によって主流路52における制御圧Pxを増圧するとともに、図8に示すように、ソレノイドへの通電により共通の保持弁61Rを開弁状態に維持する。又、ブレーキECU100は、右後輪の減圧弁62RRを閉弁状態に維持する一方で、ソレノイドへの通電を遮断して左後輪の減圧弁62RLを開弁状態に移行させる。
このように保持弁61R、減圧弁62RR,62RLの開閉弁状態が制御される車両のブレーキ装置においては、特に、ビークルスタビリティー制御による増圧要求に従って主流路52における制御圧Pxが増圧されると、共通の保持弁61Rの下流側に制御圧Pxが伝達される、言い換えれば、主流路52から作動液の流入が許容される。この状況において、右後輪では、減圧弁62RRが閉弁状態に維持されているためにホイールシリンダ42RRからリザーバ流路57への作動液の流出がなく、圧力損失の小さい絞り弁MV1を介して作動液がホイールシリンダ42RRに向けて流入して高圧の制御圧Pxが伝達される。すなわち、ホイールシリンダ42RRのホイールシリンダ圧が増圧される。
一方、この状況において、左後輪では、減圧弁62RLが開弁されるためホイールシリンダ42RLからリザーバ流路57への作動液が速やかに流出し、ホイールシリンダ42RLのホイールシリンダ圧が減圧される。従って、左後輪側においては、共通の保持弁61Rを介して流入して絞り弁MV2を通過する作動液の流量が、絞り弁MV1を通過する作動液の流量よりも大きくなり、絞り弁MV2にて発生する圧力損失が大きくなる。このため、ホイールシリンダ42RLに接続される減圧弁62RRが開弁された場合、開弁されてから短い時間が経過するまでは、作動液が絞り弁MV2を通過しにくい状態、すなわち、絞り弁MV2よりも上流側における制御圧Pxの低下が抑制される。このため、右後輪のホイールシリンダ42RRに対して高圧の制御圧Pxを速やかに伝達することができ、ホイールシリンダ42RRのホイールシリンダ圧を確実に増圧させることができる。
尚、アンチスキッド制御やビークルスタビリティー制御に従い、左後輪のホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧のみを増圧する必要が生じた場合には、ブレーキECU100は、共通の保持弁61Rを開弁状態に維持するとともに、左後輪の減圧弁62RLを閉弁状態に維持し、右後輪の減圧弁62RRを開弁状態に移行させる。これにより、上述した右後輪側のみを増圧させる場合と同様に、左後輪のホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧のみを適切に増圧させることができる。
以上の説明からも理解できるように、本実施形態によれば、車両のブレーキ装置は、上流側である主流路52から下流側である左右後輪側のホイールシリンダ42RR及びホイールシリンダ42RLへの液圧の伝達を許容又は禁止する1つの共通の保持弁61Rと、左右後輪側のホイールシリンダ42RR,42RLのそれぞれからリザーバ22への液圧の伝達を許容又は禁止する減圧弁62RR,62RLを備えることができる。又、本実施形態によれば、車両のブレーキ装置は、保持弁61Rよりも下流側の分岐点Pにて分岐された個別流路51RRと個別流路51RLとにそれぞれ設けられて個別流路51RRから減圧用個別流路56RRが分岐される分岐点Q1よりも上流側に設けられる絞り弁MV1と、個別流路51RLから減圧用個別流路56RLが分岐される分岐点Q2よりも上流側に設けられる絞り弁MV2とを備えることができる。
これにより、複数のホイールシリンダ42RR,42RLが接続される共通の保持弁61Rを設けることによって高価な保持弁61の個数を減らすことができて、車両のブレーキ装置の製造コストを効果的に低減することができる。そして、このように、高価な保持弁61の個数を減らした場合であっても、左右後輪側のホイールシリンダ42RR及びホイールシリンダ42RLにおけるホイールシリンダ圧をそれぞれ適切に制御することができる。
すなわち、左右後輪において、ホイールシリンダ42RR及びホイールシリンダ42RLのうちの一方のホイールシリンダ圧を他方から独立して減圧させる必要があるときには、ブレーキECU100は、共通の保持弁61Rを開弁状態に維持し、ホイールシリンダ圧を減圧させる側のホイールシリンダ42RR又はホイールシリンダ42RLに接続された減圧弁62RR又は減圧弁62RLを開弁するとともに、他側のホイールシリンダ42RL又はホイールシリンダ42RRに接続された減圧弁62RL又は減圧弁62RRを閉弁することができる。これにより、ホイールシリンダ圧を減圧させる側のホイールシリンダ42RR又はホイールシリンダ42RLに接続された絞り弁MV1又は絞り弁MV2にて発生する圧力損失が大きくなるため、ホイールシリンダ圧を減圧させない側のホイールシリンダ42RL又はホイールシリンダ42RRにおけるホイールシリンダ圧が低下することを効果的に抑制することができる。従って、1つの共通の保持弁61に接続されたホイールシリンダ42RR及びホイールシリンダ42RLであっても、それぞれ、独立的にホイールシリンダ圧を減圧させることができる。
又、左右後輪において、ホイールシリンダ42RR及びホイールシリンダ42RLのうちの一方のホイールシリンダ圧を他方から独立して増圧させる必要があるときには、ブレーキECU100は、共通の保持弁61Rを開弁状態に維持し、ホイールシリンダ圧を増圧させる側のホイールシリンダ42RR又はホイールシリンダ42RLに接続された減圧弁62RR又は減圧弁62RLを閉弁するとともに、他側のホイールシリンダ42RL又はホイールシリンダ42RRに接続された減圧弁62RL又は減圧弁62RRを開弁することができる。これにより、増圧させない側のホイールシリンダ42RL又はホイールシリンダ42RRに接続された絞り弁MV2又は絞り弁MV1にて発生する圧力損失が大きくなるため、ホイールシリンダ圧を増圧させる側のホイールシリンダ42RR又はホイールシリンダ42RLに対して主流路52から高圧の制御圧Px(上流側液圧)を供給することができ、ホイールシリンダ圧を確実にかつ速やかに増圧することができる。従って、1つの共通の保持弁61に接続されたホイールシリンダ42RR及びホイールシリンダ42RLであっても、それぞれ、独立的にホイールシリンダ圧を増圧させることができる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、左右後輪側の個別流路51RR,51RLに絞りとして絞り弁MV1,MV2を設けて実施した。この場合、例えば、上述した比較装置のように絞り弁MV1,MV2を省略して実施することも可能である。この場合、上述したように、比較装置においては、例えば、右後輪側のみを減圧するときには左後輪側も減圧してしまう傾向が顕著になるが、共通の保持弁を開弁状態に維持して制御圧を供給することにより、右後輪側の減圧の影響を小さくして左後輪側の減圧傾向を抑制することができる。
又、比較装置においては、例えば、右後輪側のみを増圧するときには、上述したように、左後輪側も増圧してしまうが、左後輪側の減圧弁を開弁することにより、左後輪側の意図しない増圧を防止することができる。この場合、左後輪側の減圧に伴って右後輪側も減圧してしまう傾向が顕著になり得るが、共通の保持弁を開弁状態に維持して制御圧をより増圧して供給することにより、左後輪側の減圧の影響を小さくして右後輪側を確実に増圧させることができる。従って、比較装置においても、上記実施形態と同様に、製造コストを低減することができるとともに、各ホイールシリンダのホイールシリンダ圧を制御することができる。
又、上記実施形態においては、左右後輪に設けられるホイールシリンダ42RRとホイールシリンダ42RLとが主流路52に対して1つの共通の電磁開閉弁である保持弁61Rを介して接続され、この保持弁61Rの下流側にてホイールシリンダ42RRとホイールシリンダ42RLとにそれぞれ接続された絞り弁MV1と絞り弁MV2とを設けて実施した。この場合、下流側である2つのホイールシリンダと上流側である主流路とを1つの共通の電磁開閉弁である保持弁が接続するように構成された車両のブレーキ装置であれば、ホイールシリンダが設けられる車輪位置は限定されない。
この場合、例えば、車両における前後左右の対角位置関係にある右前輪のホイールシリンダ42FRと左後輪のホイールシリンダ42RLとが主流路52に対して1つの共通の保持弁を介して接続されるとともに、ホイールシリンダ42FRに接続された絞り弁とホイールシリンダ42RLに接続された絞り弁とを設けて実施することも可能である。或いは、車両における前後左右の対角位置関係にある左前輪のホイールシリンダ42FLと右後輪のホイールシリンダ42RRとが主流路52に対して1つの共通の保持弁を介して接続されるとともに、ホイールシリンダ42FLに接続された絞り弁とホイールシリンダ42RRに接続された絞り弁とを設けて実施することも可能である。これらの場合であっても、上記実施形態の場合と同様に、ホイールシリンダ42FR及びホイールシリンダ42RLの一方のみを独立的に減圧又は増圧させることができ、ホイールシリンダ42FL及びホイールシリンダ42RRの一方のみを独立的に減圧又は増圧させることができて、上記実施形態と同様の効果が得られる。更に、車両における前後左右の対角位置関係にあるホイールシリンダ同士を1つの共通の保持弁によって接続することにより、例えば、互いに接続されたホイールシリンダが車輪に制動力を発生させることによって、車両に無用なヨー(ヨーレート)が発生することを防止することもできる。
又、上記実施形態においては、左右後輪側の2輪のホイールシリンダ42RR,42RLが1つの共通の保持弁61Rを介して主流路52に接続されるように実施した。すなわち、上記実施形態においては、後輪が2輪の車両に対して車両のブレーキ装置を適用して実施した。この場合、共通の保持弁61Rは2つ以上のホイールシリンダと上流側の主流路とを連通又は遮断することが可能であるため、例えば、トラックのように後輪側の車輪数が2輪以上の車両に対しても上述した車両のブレーキ装置を適用して実施可能であることは言うまでもない。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
又、上記実施形態においては、増圧機構80から出力されるサーボ圧をホイールシリンダ42FLに直接的に伝達するように実施した。この場合、増圧機構80からマスタシリンダ21に対してサーボ圧を伝達するように実施することも可能である。この場合、具体的には、マスタシリンダ21にハイドロブースタを設けておき、このハイドロブースタに対して増圧機構80からサーボ圧を供給する。これにより、マスタシリンダ21を介してサーボ圧相当の液圧を、例えば、ホイールシリンダ42FLに伝達することが可能となり、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
又、上記実施形態においては、リニア制御弁65として、増圧リニア制御弁65A及び減圧リニア制御弁65Bを備える車両のブレーキ装置を採用して実施した。この場合、減圧リニア制御弁65Bを省略して、増圧リニア制御弁65Aのみを備える車両のブレーキ装置を採用して実施することも可能である。又、上記実施形態においては、増圧機構80及び増圧機構カット弁90を備える車両のブレーキ装置を採用して実施した。この場合、増圧機構80及び増圧機構カット弁90を備えない車両のブレーキ装置を採用して実施することも可能である。これらの場合であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
更に、上記実施形態において、上述したイニシャルチェックの実行に際しては、各電磁開閉弁の切替動作に伴う作動音が発生する可能性がある。このため、例えば、車両がHVやPHVである場合には、内燃機関の回転数が所定回転数以上であるときにイニシャルチェックを実行したり、車両がEVである場合には、オーディオ装置の音量が所定音量以上であるときにイニシャルチェックを実行するようにすることができる。これにより、イニシャルチェックに伴って発生する作動音を内燃機関から発せられる音に紛れ込ませたり、オーディオ装置から発せられる音に紛れ込ますことができて、乗員によって作動音が知覚され難くすることができる。
10…ブレーキペダル、20…マスタシリンダユニット、30…動力液圧発生装置、40…ブレーキユニット、50…液圧制御弁装置、51…個別流路、52…主流路、56…減圧用個別流路、61FR,61FL,61R…保持弁、62FR,62FL,62RR,62RL…減圧弁、65…リニア制御弁、100…ブレーキECU、MV1,MV2…絞り弁(絞り)

Claims (10)

  1. ドライバによるブレーキペダルの操作に応じて液圧を発生させるマスタシリンダと、加圧ポンプの駆動により液圧を発生させる動力式液圧源と、電気信号によって制御される複数の電磁弁からなり、前記マスタシリンダ又は前記動力式液圧源から出力された液圧が伝達される弁機構と、前記弁機構を介して前記マスタシリンダ又は前記動力式液圧源から出力された液圧が伝達されて車輪に制動力を与えるホイールシリンダと、前記弁機構の作動を制御する制御手段とを備えた車両のブレーキ装置において、
    前記弁機構が、
    少なくとも、前記動力式液圧源から流通する作動液を複数の前記ホイールシリンダに対して分岐する分岐点よりも上流側に設けられて、前記動力式液圧源から出力された液圧の前記複数のホイールシリンダへの伝達を許容又は禁止する電磁開閉弁である保持弁と、
    前記複数のホイールシリンダごとに設けられて、それぞれの前記ホイールシリンダからリザーバへの液圧の伝達を許容又は禁止する電磁開閉弁である減圧弁とを含んで構成されたことを特徴とする車両のブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載した車両のブレーキ装置において、
    前記弁機構が、更に、
    前記分岐点と前記複数のホイールシリンダのそれぞれとの間に設けられた絞りを含んで構成されたことを特徴とする車両のブレーキ装置。
  3. 請求項2に記載した車両のブレーキ装置において、
    前記絞りが、
    前記分岐点と、この分岐点よりも下流側かつ前記ホイールシリンダよりも上流側にて前記減圧弁に分岐する分岐点との間に設けられることを特徴とする車両のブレーキ装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載した車両のブレーキ装置において、
    前記制御手段は、
    前記複数のホイールシリンダのうちの一部のホイールシリンダにおける液圧を減圧するときには、
    前記一部のホイールシリンダに設けられた前記減圧弁を開弁状態に制御するとともに前記保持弁を開弁状態に制御することを特徴とする車両のブレーキ装置。
  5. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載した車両のブレーキ装置において、
    前記制御手段は、
    前記複数のホイールシリンダのうちの一部のホイールシリンダにおける液圧を増圧するときには、
    前記一部のホイールシリンダに設けられた前記減圧弁を閉弁状態に制御するとともに前記保持弁を開弁状態に制御し、
    更に、前記複数のホイールシリンダのうちの他部のホイールシリンダに設けられた前記減圧弁を開弁状態に制御することを特徴とする車両のブレーキ装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか一つに記載した車両のブレーキ装置において、
    前記複数のホイールシリンダは、
    車両の左右後輪側の車輪に制動力を与えるものであることを特徴とする車両のブレーキ装置。
  7. 請求項6に記載した車両のブレーキ装置において、
    前記複数のホイールシリンダは、
    車両の左右後輪側の2つの車輪に制動力を与えるものであることを特徴とする車両のブレーキ装置。
  8. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか一つに記載した車両のブレーキ装置において、
    前記複数のホイールシリンダは、
    車両における前後左右の対角位置関係にある車輪に制動力を与えるものであることを特徴とする車両のブレーキ装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか一つに記載した車両のブレーキ装置において、
    前記マスタシリンダ及び前記動力式液圧源に接続されて、前記動力式液圧源からの液圧を用いて前記マスタシリンダからの液圧に対して所定の比となる液圧を発生させる増圧機構を備えたことを特徴とする車両のブレーキ装置。
  10. 請求項9に記載した車両のブレーキ装置において、
    前記増圧機構は、
    前記ドライバによる前記ブレーキペダルの操作に伴って前記マスタシリンダから出力される液圧により機械的に作動することを特徴とする車両のブレーキ装置。
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