JP2014076538A - 円筒研削盤へのワーク供給方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】研削加工前に位相出し装置により位相出しされた偏芯ワークを円筒研削盤に搬送する搬送装置がチャック部側と固定部側にバネ機構を介して切分けられ、偏芯ワークの姿勢を保持したままワークの受け渡しを行うようにしたワーク供給方法およびその装置が記載されている。
【選択図】図7
Description
従来、偏芯部の芯出しや位相出しは、コの字形の治具や馬蹄形の治具を偏芯部に当てて機械的に加圧することによって偏芯部をわずかに回転させ、その芯出しと位相出しを行っていた。(特許文献1の(0002)〜(0006)欄を参照)
更に、同軸ワークの同心度・同軸度を測定する方法として、ワークを回転させて接触式センサを用いて2箇所円周面外周の変位データを得ることでそれぞれの中心座標の距離から同心度を算出する方法が知られている。(特許文献2を参照)
また、この発明は、上記位相出し装置を円筒研削盤の前工程に設置して、位相出し装置と円筒研削盤の搬送部にバネ等により把持部と固定部間に自由度を持たせることで、位相出し装置で決定した姿勢を保持したまま円筒研削盤に移し変え、そのままの姿勢を保ったまま円筒研削盤を動作させることができる円筒研削盤へのワーク供給方法およびその装置を提供するものである。
図1は本発明の実施の形態1による位相出し装置40の概略構成図、図2は上記位相出し装置40の測定部分と測定系との関係を示す図である。
図1において、偏芯ワーク1が架台8上に有する台座9に設置された支え部2上に載置されている。上記台座9上の位置には非接触式変位センサ3が設置される。上記ワーク1の一端はチャック5により把持されたまま回転機構6により回転される。位置決め機構4は偏芯ワーク1の上方に上下移動可能に設けられ、偏芯ワーク1の偏芯方向を機械的におおよそ位置決めする機構である。
さらに、チャック爪のワークと接触する部分の形状は、図5(c)のようにチャックする箇所のワーク外径に沿ったR形状かそれと同等なR形状にすることで、チャックのがたつきをチャックのR形状範囲内でのがたつきに抑えることができるため、ワーク回転時の振れ回りを抑制できる。
図2で説明したように、偏芯部と軸受部の変位を測定するとき、回転機構に取付けた回転位相を検出するロータリエンコーダ等のセンサ7から回転角度に対応したパルスを出力し、この回転パルスを一定カウントごとにトリガ信号を出力するデジタルカウンタ12に取込み、上記トリガ信号をパソコン等の制御装置13に出力する。一度デジタルカウンタ等の機器に取込むことで、トリガの間隔を任意に変化させることができ、計測速度、計測精度に合わせた取込みをすることで、計測精度と速度を最適にして設備サイクルタイムを短縮できる。
ここで得られた偏芯部の変位データA(θ)を元に、偏芯方向の位相を計算し、偏芯部の位相を求める。偏芯部の位相を計算する際、測定データで変位が最小となる点を偏芯部の位相として良いが、測定データのノイズや外乱の影響あるいは角度分解能の制約を抑えて高精度に位相を求めるために、三角関数近似等の近似演算を用いる。
Y=D・sinE(X−F)+G (1)
但し、D、E、F、Gは計算結果より得られた数値を示す。
さらに、非接触式変位センサ3として渦電流式センサを用いて回転する偏芯部を測定する場合、上記センサ3の測定原理上、センサ3からの距離が離れると図6の点線17aのように測定される変位が大きくなり、三角関数との整合性が悪くなって計算精度が悪化する。そのため、任意高さ20を設定し、その任意高さ以下のデータを用いて三角関数の近似曲線17で近似することで演算結果の再現性が良くなり、計算結果のばらつきを抑制できて高精度に位相を求めることができる。
X(θ)=A(θ)−α×B(θ) (2)
但し、 0≦α≦1
として、振れ回り成分を除いた偏芯部の変位データX(θ)を求めても良い。このときの偏芯部の変位の中の振れ回り成分をキャンセルした偏芯部変位データX(θ)は図6において16で表され、その近似曲線を18で表している。
ちなみに、従来の機械的に位相出しを行う方法ではワーク径のばらつきや治具と接触する表面の状態によって、±1°程度の位相出しばらつきが生じていたのに対し、本発明の位相出し方法を用いることで、±0.1°以下に抑えることができた。
実施の形態1において高精度に位相出しされたワークは円筒研削盤に搬送されるが、その際に位相出し装置で決定した位相を保ったまま円筒研削盤に搬送することが重要である。このための搬送装置および搬送装置と円筒研削盤との受け渡し動作を図7により説明する。
図7(a)に搬送装置50単体の概略図を示す。図7(a)に示したように、搬送装置50をチャック部側21と固定部側(ベース部側)22に切分け、チャック部側にブッシュ23を、ベース部側にガイドとなる支柱24を設け、ブッシュ23に支柱を通してバネ25でチャック部側を持ち上げることで上下方向に自由度を持たせた構造としている。
図7(b)は搬送装置50から円筒研削盤のチャック27、28にワーク1を受渡ししている状態を示す側面図、図7(c)はその正面図である。
次に搬送装置50のチャック26をはずすことで、搬送装置から円筒研削盤の掴み換えが完了する。位相出し装置から搬送装置への掴み換えも上記と同様に実施できることは言うまでもない。
上記実施の形態1、2によって位相出し装置で決定された位相を保ったまま円筒研削盤に搬送して偏芯部を研削加工することができるが、位相出し装置にて位相を計算した後、搬送装置や円筒研削盤で掴み換える際に、チャック時の微少ずれ等により、位相出し装置で計算されて回転した位相にずれが生じることがある。その結果、円筒研削盤の回転中心と偏芯部の中心にずれが生じて、研削加工時に研削代の取り残し不良が発生する場合がある。また取り残し不良が発生しなくても、粗加工の研削代の範囲内で偏芯部の位相のずれが生じ、このずれと加工ばらつき等により研削加工時の取り残しが発生する可能性がある。
この実施の形態3は、位相出し装置で計算された結果に任意の角度をオフセットして回転させる機能を設けて、円筒研削盤で研削されたときの角度ずれの結果を元に、位相出し装置で計算された角度にオフセットを追加するようにしたものである。
円筒研削盤にワークを設置したときに、円筒研削盤の回転中心とワークの偏芯部の中心のずれ角度を測定して、前工程の位相出し装置での偏芯位相の計算角度にオフセットを追加することで、研削加工時の偏芯部の位相ずれ量を低減できることは実施の形態3で説明した。実施の形態4はこのような円筒研削盤での偏芯部の位相のずれ量の測定方法を提案するものである。
図10(a)は荒加工を実施したワークを示しており、荒加工時に面取り加工を同時に実施することで、偏芯部の中心と面取り箇所の中心が一致する。図10(b)は面取り加工を施した荒加工の外径34(破線)から円筒研削盤で研削加工の仕上げ径35まで取代を除いたときに、円筒研削盤の回転中心とワークの偏芯部の軸心がずれていると、ワークの偏芯部の偏芯方向を下向きに取ったときの左右の面取り幅b1とb2が異なる。この面取り幅の差と偏芯部のずれ量は幾何学的な関係で決まるため、面取り幅の差(b1-b2)を測定する
ことで、偏芯部のずれ量βを求めることができ、位相出し装置の計算結果にオフセットβを追加する。
3 変位センサ、 4 位相決め機構、 5 チャック、 6 回転機構、 7 回転位相検出センサ、 8 架台、 9 台座、 21 チャック部側、 22 固定部側、 23 ブッシュ、 24 支柱、 25 バネ、
26 搬送設備側チャック、 27、28 円筒研削盤のチャック、
30 ダイヤルゲージ、 31 軸受部回転中心、
32 円筒研削盤の回転中心、 33 ワーク偏芯部中心、
34 荒加工外径、 35 研削加工外径。
Claims (4)
- 研削加工前に位相出し装置により位相出しされた偏芯ワークを円筒研削盤に搬送する搬送装置がチャック部側と固定部側にバネ機構を介して切分けられ、上記バネ機構の伸縮によって搬送装置のチャックと円筒研削盤のチャックとの位置ずれを吸収して、偏芯ワークの姿勢を保持したままワークの受け渡しを行うようにしたことを特徴とする円筒研削盤へのワーク供給方法。
- 位相出し装置で位相出しされ、その位相を保ったまま搬送装置により円筒研削盤に搬送されたワークについて、円筒研削盤で偏芯部の位相ずれを測定しておき、そのずれ量を上記位相出し装置にオフセットのためのフィードバックを行うことを特徴とする請求項1に記載の円筒研削盤へのワーク供給方法。
- 予め偏芯部外径の荒加工時に偏芯部に面取り加工を実施し、研削加工後の面取り幅を測定して、円筒研削盤での偏芯位相のずれ量を求め、位相出し装置で求めた偏芯部の位相の計算結果にオフセットすることを特徴とする請求項2に記載の円筒研削盤へのワーク供給方法。
- 研削加工前に位相出し装置により位相出しされた偏芯ワークを円筒研削盤に搬送する搬送装置がチャック部側とベース部側に切分けられ、上記チャック部側にブッシュを、ベース部側にガイドとなる支柱を設け、ブッシュに支柱を通してバネでチャック部側を持ち上げるようにして上下方向に自由度を持たせたことを特徴とする円筒研削盤へのワーク供給装置。
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