JP2014073560A - ワイヤカット放電加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電路が長い放電回路で所望の波形の放電電流パルスを供給することが容易ではない。
【解決手段】加工電源装置は、放電回路1を含んでなる。放電回路1は、主電源回路1Aと補助電源回路1Bとでなる。加工電源装置は、少なくとも、高電圧を出力できる可変の直流電源11と、1以上のスイッチング素子12と、放電電流が予め設定されたピーク電流値以上または以下であることを示す電流検出信号を出力する電流検出器3と、スイッチング素子12をオンオフするゲート信号を出力するパルス発生装置4を有する。パルス発生装置4は、スイッチング素子12をオンオフさせて加工間隙10に放電電流パルスを供給しながら直流電源11の出力電圧を段階的に引き上げるとともに電流検出信号を入力したときに直流電源11の出力電圧の引上げを停止して直流電源11の直流電圧を固定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定の電路を有する放電回路よりも電路が長い放電回路を含んでなる加工電源装置を備えたワイヤカット放電加工装置に関する。特に、本発明は、標準出力電圧よりも高い出力電圧を出力できる直流電源を含んでなる加工電源装置を備えたワイヤカット放電加工装置に関する。
ワイヤカットは、φ0.03mm〜φ0.3mmの金属製の細線であるワイヤ電極を工具電極として被加工物を切断加工する放電加工方法である。そのため、所望の加工形状の反転形状を有するいわゆる総型の工具電極を用いて放電加工する形彫放電加工のように、加工速度を向上させるために放電電流パルスのパルス幅をより長くして大きい放電エネルギで加工するようにすると、長い時間大きい電流密度の電流をワイヤ電極に流すことによってワイヤ電極を抵抗とするジュール熱でワイヤ電極が断線する。
そこで、ワイヤカットでは、可能な限り放電電流パルスのピーク電流値を高くパルス幅を短くすることで放電の繰返し周波数を高くすることによって十分な加工速度を得るようにしている。もともと、総型の工具電極で加工穴を形成する形彫放電加工と異なり、細線のワイヤ電極で加工品を切り出すワイヤカットでは、放電一発当たりの除去量を必要以上に増大して加工面粗さを粗くするよりも、単位時間における放電電流パルスの数を多くして送り速度を速くする方が有利である。
ワイヤ電極は、総型の工具電極に比べると抵抗が小さいので、ピーク電流値が高く短いパルス幅の放電電流パルスを得ることが比較的容易である。ただし、ワイヤカット放電加工装置の加工電源装置と本機とが離れて設置されているので、1MHz以上の高周波の放電電流パルスを供給するためには、放電回路の中の抵抗とインダクタンスを可能な限り小さくする必要がある。
例えば、特許文献1または特許文献2に示されるように、直流電源を含む加工電源装置と加工間隙を含む本機との間を同軸ケーブルのような低インダクタンス線の給電線で接続するとともに極間線を可能な限り短くするようにされる。特に、加工面粗さよりも加工速度を重視する荒加工工程から中加工工程までの取り量が比較的多い加工工程では、特許文献3に示されるように、放電回路の中から不要な電流制限抵抗とインダクタンスを切り離すようにすることができる。また、特許文献4に示されるように、必要に応じて可能な範囲で加工間隙の周辺で高導電性の部材を設けることがある。
しかしながら、制約によって直流電源から加工間隙までの電路の長さがある限度を超えて長くならざるを得ない場合は、一般的なワイヤカット放電加工装置の加工電源装置における300Vまでの直流電源の最大出力電圧では、電圧の立上がりが遅く、急峻な立上がりと立下がり特性を有する放電電流パルスを供給することができない。そのため、放電一発毎の取り量が少なくなるとともに、より長い休止時間が必要となり、加工速度が大幅に低下する。
直流電源から加工間隙までの電路の長さは、電線だけではなく、給電線と、極間線と、被加工物を取り付けて極間線と被加工物との間を電気的に接続し給電するワークスタンドと、一対の通電体間のワイヤ電極と、被加工物自体と、を含んだ総延長距離をいう。したがって、例えば、電線の長さが変わらなくても、大型の機械では、被加工物の大きさに対応してワークスタンドにおける被加工物の取付位置が異なることによって大きい被加工物を取り付けたときに電路の長さがある限界を超えて長くなることがある。以下の説明では、一般的なワイヤカット放電加工装置において直流電源が供給できる最大出力電圧を標準出力電圧という。
近年、耐圧性がより高い電子部品が提供されるようになり、直流電源の出力電圧をより高くすることができるようになってきている。特に、高周波の直流放電電流パルスを供給するために必要な電解効果トランジスタ(MOSFET)の耐圧が1200V以上に向上している。そのため、直流電源の出力電圧を450V〜500Vまで高くすることができる。その結果、直流電源から加工間隙までの距離が“標準的な放電回路”に比べて相当長い放電回路であっても、標準的な放電回路で得ることができる十分な立上がり特性を有する放電電流パルスを供給できることが期待される。
特公平4−59092号公報 特開2002−26957号公報 特開平1−11713号公報 特開平2−63923号公報
電路の長さがより長く標準出力電圧を超える高出力電圧の直流電源を有する放電回路において、標準出力電圧の直流電源を有する標準的な放電回路における加工条件と同じ加工条件では、標準的な放電回路で想定している所望の波形の放電電流パルスを得ることができず、所期の加工目的を達成できない。特に、比較的取り量が多い加工工程では、加工速度が許容できないほど遅くなる。新しい加工条件で所望の放電電流パルスを得るようにすることができるが、新しい加工のたびにテスト加工を繰り返す必要があり、多大な準備時間を費やし、作業効率が著しく低い。
本発明は、上記課題を鑑みて、標準出力電圧よりも高い出力電圧を出力できる直流電源を含んでなる放電回路において、放電回路の電路の長さが長くなり高い出力電圧を供給して加工を行なうときでも、加工条件を変更することなく標準出力電圧の直流電源を有する標準的な放電回路で設定される加工条件と同じ加工条件で標準的な放電回路と同じ波形の所望の放電電流パルスをより容易に供給することができる加工電源装置を備えたワイヤカット放電加工装置を提供することを主たる目的とする。
本発明のワイヤカット放電加工装置は、上記課題を解決するために、可能な限り抵抗とインダクタンスが小さくされた放電回路(1)を含んでなる加工電源装置を備えたワイヤカット放電加工装置において、ワイヤ電極(6)と被加工物(7)とで形成される加工間隙(10)と、加工間隙(10)に直列に設けられ標準出力電圧よりも高い直流電圧を出力することができる可変の直流電源(11)と、加工間隙(10)と直流電源(11)との間に直列に設けられる1以上のスイッチング素子(12)と、放電電流が予め設定されたピーク電流値以上または以下であることを示す電流検出信号を出力する電流検出器(3)と、スイッチング素子(12)をオンオフさせて加工間隙(10)に放電電流パルスを供給しながら直流電源(11)の出力電圧を段階的に引き上げるとともに放電電流が予め設定されたピーク電流値に達して電流検出信号を入力したときに直流電源(11)の出力電圧の引上げを停止して直流電源(11)の出力電圧を固定するパルス発生装置(4)と、を有する加工電源装置を備えるようにする。
特に、上記ワイヤカット放電加工装置は、パルス発生装置(4)が設定されている加工条件のオン時間とオフ時間に基づいて放電回路(1)を導通して加工間隙(10)に放電電流パルスを供給するようにする。
また、上記ワイヤカット放電加工装置は、放電回路(1)が、電流制限抵抗を含まず可能な限り抵抗とインダクタンスが小さくされた主電源回路(1A)と、主電源回路(1A)に並列に設けられ加工間隙(10)に放電を誘起するための電圧を印加するための補助電源回路(1B)と、でなる。より具体的には、可変の直流電源(11)と1以上のスイッチング素子(12)と電流検出器(3)とが主電源回路(1A)に設けられるとともに、主電源回路(1A)が加工間隙(10)とスイッチング素子との間で可変の直流電源(11)と加工間隙(10)とを接続する低インダクタンス線(15)を含んでなり、補助電源回路(1B)が、加工間隙(10)に直列かつ可変の直流電源(11)に並列に設けられる直流電源(21)と、加工間隙(10)と直流電源(21)との間に直列に設けられる1以上のスイッチング素子(22)と、加工間隙(10)と直流電源(21)との間でスイッチング素子(22)に直列に設けられる電流制限抵抗(23)と、を含んでなるようにする。
特に、電流検出器(3)は、放電電流が予め設定された加工条件のピーク電流値(Ip)以上であることを示す第1の電流検出信号(Sr)を出力する第1の電流検出機構(3A)と放電電流が加工条件のピーク電流値(Ip)以下であることを示す第2の電流検出信号(Si)を出力する第2の電流検出機構(3B)とを備え、パルス発生装置(4)が、予め設定された加工条件のオフ時間の終了後に補助電源回路(1B)のスイッチング素子(22)をオンして加工間隙(10)に直流電圧を印加し加工間隙(10)に放電が発生してから主電源回路(1A)から主たる放電電流を供給し第2の電流検出信号(Si)に基づいて主電源回路(1A)のスイッチング素子(12)と補助電源回路(1B)のスイッチング素子(22)を加工条件のピーク電流値(Ip)を超えないようにオンオフさせて加工間隙(10)に放電電流パルスを供給しながら主電源回路(1A)の可変の直流電源(11)の出力電圧を段階的に引き上げるとともに放電電流が予め設定されたピーク電流値に達して第1の電流検出信号(Sr)を入力したときに可変の直流電源(11)の出力電圧の引上げを停止して可変の直流電源(11)の出力電圧を固定するようにする。
標準的な放電回路よりも長い電路を有する放電回路が可能な限り抵抗とインダクタンスが小さくされているので、極間電圧の特性に近い放電電流パルスが供給される。このような放電回路において、標準的な放電回路で供給されている放電電流と同じピーク電流値の放電電流が供給されているときは、標準的な放電回路で供給されている放電電流パルスとほぼ同じ波形の放電電流パルスが供給されているとみなすことができる。
そして、加工間隙に放電電流パルスを供給しながら直流電源の出力電圧を段階的に引き上げるとともに供給されている放電電流が予め設定されているピーク電流値に到達したときに直流電源の引上げを停止して固定し、固定された出力電圧で得ることができる直流電圧を加工間隙に供給して加工をする。このとき、標準的な放電回路で放電電流パルスを供給したときと同一の加工条件で放電電流パルスを供給している。したがって、加工条件を変更することなく、電路の長い放電回路において標準的な放電回路と同じ波形の放電電流パルスを供給することができる。
そのため、本発明のワイヤカット放電加工装置によると、標準的な放電回路で実施していた所望の放電加工を電路がより長い放電回路でもより容易に実施することができる。その結果、例えば、標準出力電圧では所望の波形の放電電流パルスを得ることができない大型のワイヤカット放電加工装置における加工、あるいは加工部位に人が立ち入ることができず加工部位から極端に離れた位置で電力を供給する原子炉内における切断加工のような加工自体が困難であった加工で標準的な放電加工と同様の所望の放電加工が可能になる優れた効果を得る。
本発明のワイヤカット放電加工装置の構成を示すブロック図である。 放電電流パルスの波形を示すタイミングチャートである。 オシロスコープで測定された放電電流パルスの波形図である。
図1には、本発明のワイヤカット放電加工装置の実施の形態が示されている。加工電源装置は、放電回路1を含んで成り、電圧検出器2と、電流検出器3と、パルス発生装置4と、制御装置5と、を有する。制御装置5は、コンピュータ数値制御装置を兼用するようにすることができる。放電回路1は、ワイヤ電極6と被加工物7との間に形成される加工間隙10を含む。直流電源11を含む加工電源装置の本体(電源側)は、ワイヤカット放電加工装置の本機(機械側)から離れて設けられる。
放電回路1は、標準出力電圧の直流電源を有する“標準的な放電回路”よりも電路が長い。標準出力電圧は、具体的に、220V〜300Vである。詳しくは、放電回路1は、標準出力電圧によって予め設定された加工条件で所期の加工目的を達成するために要求される十分な立上がり特性の電圧パルスを加工間隙に供給することができる限界を超えて長い電路を有する。以下の説明では、特段の断りがない限り、実施の形態のワイヤカット放電加工装置を動作させるために必要な加工条件は、オン時間と、オフ時間と、ピーク電流値である。
放電回路1は、可能な限り抵抗とインダクタンスが小さくされている。実施の形態の加工電源装置の放電回路1は、電流制限抵抗を含まず可能な限り抵抗が小さくされた主電源回路1Aと電流制限抵抗を含む補助電源回路1Bとを有する。補助電源回路1Bは、加工間隙10に放電を誘起するための電圧を印加する。主電源回路1Aは、加工間隙10に放電が発生して放電電流が流れた後にピーク電流値の高い主たる放電電流を供給する。補助電源回路1Bは、設計上設けられているので、例えば、主電源回路1Aが補助電源回路1Bの機能を含む場合は、主電源回路1Aは放電回路1と同じである。
主電源回路1Aは、加工間隙10に直列に設けられる可変の直流電源11と、加工間隙10と直流電源11との間に直列に設けられる1以上のスイッチング素子12と、加工間隙10に並列に接続される検出抵抗13と、加工間隙10とスイッチング素子12との間に直列に接続される検出抵抗14と、加工間隙10とスイッチング素子12との間で直流電源11を含む加工電源装置の本体と加工間隙10を含む本機とを接続する低インダクタンス線15と、検出抵抗14と低インダクタンス線15との間に直列に挿設され逆起電圧に因る逆流電流が直流電源11に還流することを防ぐ逆流阻止ダイオード16と、を含んでなる。
主電源回路1Aの直流電源11は、標準出力電圧よりも高い直流電圧を出力することができる。具体的に実施の形態における直流電源11は、15V〜450Vの直流電圧を出力する。直流電源11の出力電圧は、制御装置5によって変えることができる。直流電源11は、設計上の変更ができる。例えば、直流電源11を標準出力電圧の直流電源と高出力電圧の直流電源とを互いに並列になるように分けて設ける設けることができる。
スイッチング素子12は、耐圧性と立上がり特性に優れるタイプの炭化珪素(SiC)の電解効果トランジスタ(MOSFET)である。スイッチング素子12は、直流電源のプラス側に挿設されるスイッチング素子12Aと、直流電源11のマイナス側に挿設されるスイッチング素子12Bとの一対のスイッチング素子でなる。一対のスイッチング素子12は、同期して作動する。したがって、スイッチング素子12は、直流電源11を加工間隙10から実質的に完全に切り離すことができる。ただし、スイッチング素子12Aとスイッチング素子12Bを独立して作動させることができる。
低インダクタンス線15は、加工間隙10を含む本機から離れて設けられる加工電源装置の本体に設けられる直流電源11の電力を加工間隙10に供給するための給電線である。低インダクタンス線15は、同軸ケーブルである。実施の形態の放電回路1では、低インダクタンス線15が標準的な放電回路よりも長くされることがある。または、本機側において、ワイヤ電極6と被加工物7にそれぞれ電気的に接続する極間線が長くされることがある。
主電源回路1A(放電回路1)は、加工間隙10における抵抗と小さい抵抗値の検出抵抗14を除いて直流電源11に直列に電流を制限する抵抗器または抵抗素子を有していない。そのため、主電源回路1Aでは、直流電源11の出力電圧に対する電流の損失が低減され、より高いピーク電流値の放電電流パルスを得ることができる。その結果、主電源回路1Aでは、高周波の放電電流パルスを供給することができる。
また、主電源回路1Aは、低インダクタンス線15で加工間隙10と直流電源11とを接続し、線間インダクタンスを除いてコイルリアクトルまたはインダクタンス素子を積極的には有していない。そのため、主電源回路1Aでは、低インダクタンス線15を含めて加工間隙10と直流電源11との距離が長いときでも、十分な立上がりと立下がり特性を有する放電電流パルスを供給することができる。その結果、主電源回路1Aでは、高周波の放電電流パルスを供給することができる。
補助電源回路1Bは、主電源回路1Aに並列に設けられる。補助電源回路1Bは、具体的に、加工間隙10に直列かつ主電源回路1Aの直流電源11に並列に設けられる直流電源21と、加工間隙10と直流電源21との間に直列に設けられる1以上のスイッチング素子22と、加工間隙10と直流電源21との間でスイッチング素子22に直列に設けられる電流制限抵抗23と、直流電源21に直列に設けられる逆流阻止ダイオード24と、直流電源21とスイッチング素子22との間に設けられるスイッチング素子のブリッジ回路でなる極性切換回路25と、を含んでなる。
実施の形態の補助電源回路1Bの直流電源21は、80Vの直流電圧を出力する。スイッチング素子22は、スイッチング素子12と基本的に同じ構成である。電流制限抵抗23は、加工間隙10に放電が発生した直後に流れる放電電流が途中で途切れることがない範囲で電流値を十分に小さくする相応の抵抗値を有する。逆流阻止ダイオード24は、突発電流が直流電源21を含む補助電源回路1Bに還流することを防ぐ。極性切換回路25は、直流電源21から出力される直流電圧の極性を選択的に切り換える。
補助電源回路1Bは、本質的には、放電を誘起し主電源回路1Aから主たる放電電流が供給されてくるまでの間だけ途切れないように電流を供給するので、電流に優れた立上がり特性が要求されない。したがって、電流制限抵抗23は、電流を維持できる範囲で可能な限り電流を小さく制限する大きさを有する。そのため、補助電源回路1Bから供給される電流は、実質的に放電回路1の電路の長さの影響を受けない。
電圧検出器2は、検出抵抗13とデジタルコンパレータ2Aとを含んでなる。電圧検出器2は、加工間隙10の極間電圧が基準電圧以下になったときに加工間隙10に放電が発生したことを示す放電発生検出信号を出力する。具体的に、電圧検出器2は、検出抵抗13にかかる電圧を取得してデジタルコンパレータ2Aの入力端子Aに入力し、基準電圧を入力端子Bに入力する。デジタルコンパレータ2Aは、入力端子Aに入力される極間電圧が入力端子Bに入力される基準電圧のデータと一致したときに信号電圧を出力する。
基準電圧は、放電が発生したときに加工間隙10に補助電源回路1Bから供給される電流が流れ始めて極間電圧が降下したことが最小の遅延時間で確実に検出できる適切な値に設定される。例えば、直流電源21の電圧が90Vのとき、基準電圧は87Vにされる。デジタルコンパレータ2Aの基準電圧のデータは、制御装置5によって書き換えることができる。デジタルコンパレータ2Aは、出力した信号電圧によってリセットされる。パルス発生装置4は、必要に応じて選択的に放電発生検出信号に基づいて放電電流パルスを出力することができる。
電流検出器3は、放電電流が予め設定された加工条件のピーク電流値以上または以下であることを示す電流検出信号を出力する。後で詳しく説明されるが、実施の形態の加工電源装置では、主電源回路1Aから積極的に電流制限抵抗を除くために、スイッチング素子12のオンオフ動作によって放電電流の電流値を制限することができるように構成されている。そのため、パルス発生装置4に電流制限抵抗に代わって電流を制限するゲート回路4Aが設けられている。そこで、実施の形態の電流検出器3は、第1の電流検出機構3Aと第2の電流検出機構3Bを備えている。
第1の電流検出機構3Aは、電流プローブ30Aと、ピークホールド回路30Bと、デジタルコンパレータ30Cと、を含んでなる。第1の電流検出機構3Aは、電流プローブ30Aから出力される信号電圧をピークホールド回路30Bでデジタル変換してデジタルコンパレータ30Cに入力させ、放電電流が予め設定されている基準電流値以上になったときに電流検出信号を出力する。このとき、基準電流値は、加工条件のピーク電流値に設定されている。したがって、第1の電流検出機構3Aは、放電電流が予め設定された加工条件のピーク電流値以上であることを示す電流検出信号(第1の電流検出信号)を出力する。
電流プローブ30Aは、第1のスイッチング素子12と低インダクタンス線15との間に設けられる。電流プローブ30Aは、放電回路1に流れる放電電流の磁束を捉えて電流を発生させ、負荷抵抗を通して相当する電圧に変換し、ピークホールド回路30Bに放電回路1を流れる放電電流の波形を出力する。電流プローブ30Aは、放電回路1とピークホールド回路30Bとの間に可能な限り抵抗等の回路要素を小さくされた状態で設けられる。そのため、電流プローブ30Aは、1MHz以上の高周波の放電電流の変化、言い換えると放電電流パルスの波形を測定することができる。
ピークホールド回路30Bは、電流プローブ30Aから出力される放電電流の変化を示す信号電圧を入力し、予め規定されている所定のサンプリング期間中に入力される信号電圧のピーク値を保持する。ピークホールド回路30Bは、サンプリング期間に基づく単位時間毎に保持している信号電圧のピーク値をデジタルコンパレータ30Cに出力すると同時に保持している信号電圧のピーク値をリセットする。したがって、ピークホールド回路30Bは、放電電流の変化を表わすアナログの電圧波形をデジタルの電圧波形に変換するアナログデジタル変換器の機能を含んでいる。
デジタルコンパレータ30Cは、入力端子Aにピークホールド回路30Bから単位時間毎に出力されてくる電圧信号を順次入力する。他方、入力端子Bには、制御装置5によって予め基準電流値として加工条件のピーク電流値がセットされている。したがって、デジタルコンパレータ30Cは、放電回路1を流れる放電電流がピーク電流値に到達したときに信号電圧を出力する。
ピークホールド回路30Bから出力される信号電圧は、デジタルコンパレータ30Cのリセット端子に入力される。デジタルコンパレータ30Cは、信号電圧をリセット端子に入力してからクロックで規定される僅かな遅延時間後にデータをリセットして信号電圧の出力を停止するとともにピークホールド回路30Bから次の電圧信号を入力する。したがって、第1の電流検出機構3Aは、ピークホールド回路30Bが信号電圧の所定のサンプリング期間に依存する所定の時間幅の第1の電流検出信号をパルス発生装置4に出力する。
第2の電流検出機構3Bは、検出抵抗14と、差動増幅器30Dと、基準電圧を出力する可変抵抗器と、を含んでいる。第2の電流検出機構3Bは、差動増幅器30Dの第1端子に検出抵抗14の両端の電圧を入力し、第2端子に基準電圧を入力する。差動増幅器30Dは、検出抵抗14の両端の電圧が基準電圧以下のときに信号電圧を出力する。また、検出抵抗14の両端の電圧が基準電圧を上回るときは、信号電圧の出力を停止する。
検出抵抗14の両端の電圧は、放電回路1を流れている放電電流と置き換えることができるように設計されている。一方、制御装置5によって可変抵抗器を操作して加工条件のピーク電流値に相当する基準電圧が出力されるように設定されている。したがって、第2の電流検出機構3Bは、放電電流が予め設定されたピーク電流値以下であることを示す電流検出信号(第2の電流検出信号)を出力する。
パルス発生装置4は、制御装置5から入力する加工条件のデータをセットするデータセレクタのような図示しない設定回路と、設定回路から入力する加工条件のデータと電圧検出器2から入力する放電発生検出信号および電流検出器3から入力する電流検出信号に基づいてスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を出力する図示しない出力回路と、を有する。
パルス発生装置4は、予め設定された加工条件のオフ時間の終了後に放電回路1のスイッチング素子12にゲート信号を出力して放電回路1を導通し、加工間隙10に直流電源11から供給されてくる直流電圧を印加する。実施の形態の加工電源装置には補助電源回路1Bが設けられているので、パルス発生装置4が第1のゲート信号を出力し、補助電源回路1Bのスイッチング素子22がオンして補助電源回路1Bが導通すると、加工間隙10に直流電源21の直流電圧が印加される。
電圧が印加されてから不特定の遅れ時間(放電待機時間)後に加工間隙10に放電が発生する。パルス発生装置4は、加工間隙10に放電が発生し電圧検出器2から放電発生検出信号を入力したら第2のゲート信号を出力して主電源回路1Aのスイッチング素子12をオンし、主電源回路1Aから加工に寄与する主たる放電電流を加工間隙10に供給する。主電源回路1Aから供給される放電電流は、補助電源回路1Bから供給されている小さい電流に重畳され、放電電流は急速に立ち上がる。
パルス発生装置4は、放電発生検出信号を入力したときから時間を計測し、設定回路にセットされている加工条件のオン時間後にスイッチング素子12とスイッチング素子22を共にオフする。その結果、加工間隙10には、設定されたオフ時間毎に設定されたパルス幅の放電電流パルスが加工間隙10に供給される。このように、放電が発生してから予め決められた所定時間後にスイッチング素子をオフすることによって時間幅とピーク電流値が同じ放電電流パルスを一定の休止時間の間隔で供給する方式をオンクランプ方式という。
一方で、加工面粗さよりも加工速度を重視する取り量が比較的多い荒加工工程から中加工工程または放電痕の大きさの差がそれほど重要ではない比較的放電エネルギが小さい仕上げ加工工程では、放電の繰返し周波数をより高くして加工することがある。放電発生検出信号の出力が間に合わない程度に放電の繰返し周波数が高くされているときは、オンクランプ方式で加工することができず、放電の発生のタイミングを考慮しないでスイッチング素子をオンオフする、いわゆるマルチ発振方式で加工することがある。マルチ発振方式で加工するときは、電圧検出器2から入力する放電発生検出信号を演算に取り込まないようにする。
既述のとおり、実施の形態の加工電源装置においては、電流制限抵抗なしに主電源回路1Aを流れる電流を制限するために、パルス発生装置4にゲート回路4Aが設けられている。ゲート回路4Aは、一端子にパルス発生装置4の本体の出力回路から出力される加工条件に従うゲート信号を入力し、他端子に電流検出器3から出力される電流検出信号を入力して、ゲート信号と電流検出信号との論理和を出力する複数のアンドゲートを有する。
ゲート回路4Aの各アンドゲートの他端子には、第2の電流検出機構3Bから第2の電流検出信号を入力する。第2の電流検出信号は、放電回路1を流れる放電電流が設定されているピーク電流値以下である時間と同じ時間幅を有する。したがって、ゲート回路4Aは、放電電流が設定されているピーク電流値以下である間はゲート信号を出力し、ピーク電流値を超えるとゲート信号の出力を停止する。その結果、スイッチング素子12とスイッチング素子22は、放電回路1を流れる放電電流が設定されているピーク電流値を超えないように高速でオンオフを繰り返して放電電流を設定されているピーク電流値に制限している。
パルス発生装置4は、設定回路に設定されている加工条件のオン時間とオフ時間に基づいて主電源回路1Aのスイッチング素子12をオンオフさせて加工間隙10に放電電流パルスを供給しながら、主電源回路1Aの直流電源11の出力電圧を段階的に引き上げる。そして、パルス発生装置4は、電流検出器3から電流検出信号(第1の電流検出信号)を入力したときは、直流電源11の出力電圧の引上げを停止して直流電源11の出力電圧を固定する。その結果、設定されている加工条件で所望の波形の放電電流パルスが供給される。
実施の形態におけるパルス発生装置4は、基本的に、放電一発毎に5V〜15V程度引き上げる。ただし、直流電源11の出力電圧を段階的に引き上げるときのタイミングと単位引上量は、加工環境に対応して設定されてよい。例えば、放電数十発毎または所定の単位時間当たりに出力電圧を数十Vずつ引き上げるようにすることができる。
例えば、図2に示されるように、標準出力電圧の直流電源を備えた標準的な放電回路において、オン時間Onとオフ時間Ofの所定の加工条件で斜線で示される波形WVの放電電流パルスが供給されるとした場合、電路がより長い放電回路1では、同一の加工条件で主たる放電電流を供給する主電源回路1Aのスイッチング素子12をオンオフさせると、加工間隙10の極間電圧Vgが所要の電圧Voまで立ち上がる前にスイッチング素子12がオフする。そのため、放電電流Isは、所要のピーク電流値Ipまで到達せず、ピーク電流値が小さく扁平な波形の放電電流パルスが供給される。
直流電源11の出力電圧を放電一発毎に所定引上量、例えば、20Vずつ引き上げるとした場合、前に供給された電圧よりも極間電圧Vgの立上がり特性が向上してより高い極間電圧Vgを得ることができる。そのため、放電電流パルスIsは、より急峻に短時間で立ち上がろうとする。そして、放電電流Isを供給しながら出力電圧を20Vずつ段階的に高くしていくと、極間電圧Vgが加工条件のオン時間Onの間に所要の極間電圧Voまで立ち上がることができ、放電電流パルスIsが予め設定されている所望のピーク電流値Ipに到達する。
このとき、標準的な放電回路と標準的な放電回路よりも電路が長い放電回路との間に電路の長さ以外に実質的に構成の違いがなく、可能な限り抵抗とインダクタンスが小さくされているとするならば、放電回路1において、仮に放電電流Isが加工条件で設定されているピーク電流値Ipに到達したときは、標準的な放電回路における加工条件と同一の加工条件で供給されている放電電流パルスは、標準的な放電回路で供給される放電電流パルスと同じ波形であるとみなすことができる。
実施の形態の加工電源装置は、電流波形のデータを出力できるピークホールド回路30Bを備えているので、放電電流パルスの波形のデータを得て、標準的な放電回路における放電電流パルスの波形のデータと比較することによって同じ波形の放電電流パルスが供給されているかどうかを判別するようにすることができる。ただし、ピーク電流値だけを測定することによって放電電流パルスの波形を推測して直流電源11の出力電圧を固定するようにしても、実用上問題が生じないので、放電電流パルスの波形で出力電圧を決定する利益はそれほど多くはない。
図3に、オシロスコープに表示された放電電流パルスの波形が示されている。図3Aは、標準的な放電回路において直流電源の直流電圧が300Vであるときに所定の加工条件で供給される放電電流パルスの波形である。図3Bは、標準的な放電回路よりも電路が長くされた放電回路において直流電源の直流電圧が300Vであるときに所定の加工条件で供給される放電電流パルスの波形である。また、図3Cは、標準的な放電回路よりも電路が長くされた放電回路において直流電源の直流電圧が360Vであるときに所定の加工条件で供給される放電電流パルスの波形である。
図3は、放電回路1(主電源回路1A)において、標準的な放電回路での加工条件と同一の加工条件で放電電流パルスを供給したときに、仮に放電電流が所定の時間中にピーク電流値に到達したとするならば、高周波の振動に因る避けることができないが無視できる程度に小さい僅かな誤差を除いて、放電電流パルスの波形が標準的な放電回路で供給される波形と殆ど同じになることを示している。
以下に、図1に示される実施の形態の加工電源装置の動作を説明する。図2のタイミングチャートにおけるAgateは第1のゲート信号の波形、Vgは加工間隙10の極間電圧の波形、Stは放電発生検出信号の波形、Mgateは第2のゲート信号の波形、Isは加工間隙10の放電電流の波形、Srは電流検出信号(第1の電流検出信号)である。
操作者は、予め任意の加工条件のデータを制御装置5に入力し設定する。加工条件のデータは、制御装置5の記憶装置に記憶される。記憶装置に記憶された加工条件のデータまたは加工条件に基づく切換信号は、加工をするときに、電圧検出器2と、電流検出器3と、パルス発生装置4にそれぞれ出力される。実施の形態の加工電源装置の動作に必要な加工条件のデータは、具体的に、放電電流の持続時間(オン時間)Onと、休止時間(オフ時間)Ofと、加工電流(ピーク電流値)Ipと、初期の無負荷電圧(電源電圧)Voである。
制御装置5は、各加工条件のデータをパルス発生装置4に出力する。パルス発生装置4は、各加工条件のデータを設定回路にセットする。また、制御装置5は、初期の電源電圧Voに基づく切換信号を可変の直流電源11に出力して直流電源11の出力電圧をVに固定する。また、直流電源21の出力電圧に基づいて放電の発生を検出するための基準電圧Vrのデータを電圧検出器2のデジタルコンパレータ2Aに出力して入力端子Bにセットする。補助電源回路1Bの直流電源21が一定値に固定されているため、補助電源回路1Bの回路の構成に変更がない限り、一度セットした後で基準電圧Vrを変更する必要はない。
同時に、制御装置5は、電流検出器3の第1の電流検出機構3Aのデジタルコンパレータ30Cの入力端子Bに比較基準としてピーク電流値Ipのデータをセットする。また、制御装置5は、ピーク電流値Ipを電圧に置き換えた基準電圧Vdに従う切換信号を電流検出器3の差動増幅器30Dの可変抵抗器に出力し、差動増幅器30Dが第2端子に比較基準になるピーク電流値Ipを入力できるようにする。
パルス発生装置4は、加工中、設定回路に設定されているオフ時間Ofを計測する。パルス発生装置4は、オフ時間Of経過した時刻t1で、第1のゲート信号Agateを出力する。パルス発生装置4から出力された第1のゲート信号Agateは、ゲート回路4Aを通して補助電源回路1Bのスイッチング素子22のゲートに供給される。その結果、スイッチング素子22がオンして補助電源回路1Bの直流電源21から放電を誘起するための直流電圧が加工間隙10に印加される。
時刻t1の時点では、放電電流Isが放電回路1に流れていないので、電流検出器3の第1の電流検出機構3Aから第1の電流検出信号Srが出力されていない。そして、時刻t1から不特定の放電待機時間Tw後の時刻t2で加工間隙10に放電が発生すると、加工間隙10に放電電流Isが流れ始めて極間電圧Vgが急激に降下する。このとき、補助電源回路1Bの電流制限抵抗23が十分に大きいので放電電流Isは徐々に増大する。
極間電圧Vgの降下に合わせて電圧検出器2の検出抵抗13の両端の電圧が降下して、極間電圧Vgが基準電圧Vr以下になる。そのため、デジタルコンパレータ2Aが信号電圧を出力して、その信号電圧でデジタルコンパレータ2Aの出力がリセットされる。その結果、電圧検出器2のデジタルコンパレータ2Aから短い時間幅の放電発生検出信号Stがパルス発生装置4に出力される。
パルス発生装置4は、電圧検出器2から放電発生検出信号Stを入力すると、時刻t2から少しの遅延時間後の時刻t3で放電発生検出信号Stの立下がりを捉えて第2のゲート信号Mgateを出力する。そして、主電源回路1Aのスイッチング素子12がオンして主電源回路1Aから大きい電流が加工間隙10に供給される。このとき、第1のゲート信号Agateが出力されたままであるので、主電源回路1の直流電源11の直流電圧が重畳され、放電電流Isが急峻に立ち上がる。
時刻t3のとき、直流電源11の出力電圧Vは、初期に設定されている電源電圧Voである。そのため、標準的な放電回路に比べて電路が長い放電回路1では、極間電圧Vgの立上がりが遅い。そのため、放電電流Isは、設定されたオン時間Onが終了する時刻t4までの間にピーク電流値Ipまで立ち上がらない。パルス発生装置4は、時刻t4で第1のゲート信号Agateと第2のゲート信号Mgateの出力を停止するので、スイッチング素子12とスイッチング素子22がオフして放電回路1が非導通になる。その結果、放電電流Isが立ち下がって時刻t5で放電電流Isが流れなくなる。
パルス発生装置4は、再度オフ時間Ofを計測する。同時に、加工条件の電源電圧Voを所定単位引上量高くなるように直流電源11の出力電圧をVに変更して、設定が変更された電源電圧Vになるように直流電源11に切換信号を出力して出力電圧を切り換える。そして、オフ時間Of経過した時刻t6で、第1のゲート信号Agateを出力する。その結果、スイッチング素子22がオンして補助電源回路1Bの直流電源21から放電を誘起するための直流電圧が加工間隙10に印加される。
時刻t7で加工間隙10に再び放電が発生し、加工間隙10に放電電流Isが流れるが、まだ十分な電圧が供給されていないため、加工条件のオン時間On経過した時刻t8では、依然として放電電流Isがピーク電流値Ipまで到達せずに、スイッチング素子12とスイッチング素子22がオフされて放電回路1が非導通になる。
図2に示されるケースでは、依然として所望の波形の放電電流パルスを得ることができなかったため、パルス発生装置4は、オフ時間Ofの間にすでに変更されている加工条件の電源電圧Voをさらに所定単位引上量高くなるように電流電源11の出力電圧をVに変更して、設定が変更された電源電圧Vになるように直流電源11に切換信号を出力して出力電圧を切り換える。そして、オフ時間Of経過した時刻t9で、第1のゲート信号Agateを出力する。
不特定の放電待機時間Tw後に加工間隙10に放電が発生し、加工間隙10に補助電源回路1Bから供給される小さい放電電流が流れるとともに極間電圧Vgが降下し、電圧検出器2から放電発生検出信号Stが出力される。パルス発生装置4が放電の発生に応答して時刻t10で第2のゲート信号Mgateを出力し、スイッチング素子12がオンすると、電源電圧Vに変更された直流電源11の直流電圧が補助電源回路1Bから供給されている直流電源21の直流電圧に重畳される。
このとき、電源電圧Vが放電電流Isの短時間の立上がりに必要十分な電圧であったとすると、極間電圧Vgはより短い時間で立上がり、極間電圧Vgの立上がりに対応して放電電流Isが設定されたオン時間On経過する時刻t11までにピーク電流値Ipまで立ち上がる速度で急峻に立ち上がる。その結果、設定されている加工条件で所望の波形の放電電流パルスが供給される。
放電電流Isがピーク電流値Ipに到達した時刻t11において電流検出器3の第1の電流検出機構3Aから第1の電流検出信号Srが出力される。第1の電流検出信号Srは、パルス発生装置4に入力される。パルス発生装置4は、第1の電流検出信号Srを入力したときは、直流電源11の出力電圧の引上げを停止して直流電源11の出力電圧をVに固定する。そのため、次の電圧パルスが供給される時刻t12以降は、初期の加工条件のVから変更して設定し直されているVの直流電圧が主電源回路1Aの直流電源11から供給される。
以上に説明される実施の形態の加工電源装置は、すでにいくつかの具体的な例が示されているが、本発明の技術思想に反しない限りにおいて、実施の形態と同じ構成に限定されることなく、種々の変形が可能である。
例えば、本発明の加工電源装置には、中仕上げ加工以降に有効な放電加工回路、あるいは被加工物が超硬合金のときに有益な高周波交流電源回路のような他の放電回路を組み合わせて設けることができる。また、ブロック図で示される実施の形態の加工電源装置は、図面の構成に限定されない。例えば、実施の形態の加工電源装置では、パルス発生装置から電圧検出器と電流検出器および直流電源に切換信号を出力しているが、設計上可能な範囲で、各切換信号の一部または全部を制御装置から出力するようにすることができる。
本発明は、金属加工に利用することができる。特に、本発明の加工電源装置は、ワイヤカットに有益である。本発明によると、標準的な放電回路よりも長い電路を有する放電回路であっても、標準的な放電加工における加工条件を変更することなく、標準的な放電加工で供給される所望の波形の放電電流パルスを容易に供給することができる。そして、本発明は、金型あるいは部品の製造技術の発展に寄与する。
1 放電回路
1A 主電源回路
1B 補助電源回路
2 電圧検出器
2A デジタルコンパレータ
3 電流検出器
30A 電流プローブ
30B ピークホールド回路
30C デジタルコンパレータ
30D 差動増幅器
4 パルス発生装置
4A ゲート回路
5 制御装置
6 ワイヤ電極
7 被加工物
10 加工間隙
11 直流電源
12 スイッチング素子
13 検出抵抗
14 検出抵抗
15 低インダクタンス線
16 逆流阻止ダイオード
21 直流電源
22 スイッチング素子
23 電流制限抵抗
24 逆流阻止ダイオード
25 極性切換回路

Claims (5)

  1. 可能な限り抵抗とインダクタンスが小さくされた放電回路を含んでなる加工電源装置を備えたワイヤカット放電加工装置において、ワイヤ電極と被加工物とで形成される加工間隙と、前記加工間隙に直列に設けられ標準出力電圧よりも高い直流電圧を出力することができる可変の直流電源と、前記加工間隙と前記直流電源との間に直列に設けられる1以上のスイッチング素子と、放電電流が予め設定されたピーク電流値以上または以下であることを示す電流検出信号を出力する電流検出器と、前記スイッチング素子をオンオフさせて前記加工間隙に放電電流パルスを供給しながら前記直流電源の出力電圧を段階的に引き上げるとともに放電電流が前記予め設定されたピーク電流値に達して前記電流検出信号を入力したときに前記直流電源の出力電圧の引上げを停止して直流電源の出力電圧を固定するパルス発生装置と、を有する加工電源装置を備えたワイヤカット放電加工装置。
  2. 前記パルス発生装置は、設定されている加工条件のオン時間とオフ時間に基づいて前記放電回路を導通して前記加工間隙に放電電流パルスを供給することを特徴とする請求項1に記載のワイヤカット放電加工装置。
  3. 前記放電回路が、電流制限抵抗を含まず可能な限り抵抗とインダクタンスが小さくされた主電源回路と、前記主電源回路に並列に設けられ前記加工間隙に放電を誘起するための電圧を印加するための補助電源回路と、でなる請求項1に記載のワイヤカット放電加工装置。
  4. 前記可変の直流電源と1以上の前記スイッチング素子と前記電流検出器とが前記主電源回路に設けられるとともに、前記主電源回路が前記加工間隙と前記スイッチング素子との間で前記可変の直流電源と前記加工間隙とを接続する低インダクタンス線を含んでなり、前記補助電源回路が、前記加工間隙に直列かつ前記可変の直流電源に並列に設けられる直流電源と、前記加工間隙と前記直流電源との間に直列に設けられる1以上のスイッチング素子と、前記加工間隙と前記直流電源との間で前記スイッチング素子に直列に設けられる電流制限抵抗と、を含んでなることを特徴とする請求項3に記載のワイヤカット放電加工装置。
  5. 前記電流検出器は、放電電流が予め設定された加工条件のピーク電流値以上であることを示す第1の電流検出信号を出力する第1の電流検出機構と前記放電電流が前記加工条件のピーク電流値以下であることを示す第2の電流検出信号を出力する第2の電流検出機構とを備え、前記パルス発生装置が、予め設定された加工条件のオフ時間の終了後に前記補助電源回路の前記スイッチング素子をオンして前記加工間隙に直流電圧を印加し前記加工間隙に放電が発生してから前記主電源回路から主たる放電電流を供給し前記第2の電流検出信号に基づいて前記主電源回路の前記スイッチング素子と前記補助電源回路の前記スイッチング素子を前記加工条件のピーク電流値を超えないようにオンオフさせて前記加工間隙に放電電流パルスを供給しながら前記主電源回路の前記可変の直流電源の出力電圧を段階的に引き上げるとともに放電電流が前記予め設定されたピーク電流値に達して前記第1の電流検出信号を入力したときに前記可変の直流電源の出力電圧の引上げを停止して前記可変の直流電源の出力電圧を固定することを特徴とする請求項4に記載のワイヤカット放電加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107276405A (zh) * 2017-05-27 2017-10-20 南京理工大学 微细电火花脉冲电源及基于该电源的分段控制方法

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