JP2014073441A - 重金属の不溶化処理方法 - Google Patents

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Naoaki Fujiyoshi
直明 藤吉
Noboru Fujiwara
昇 藤原
Shinji Yasuike
慎治 安池
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Abstract

【課題】重金属を含有するpH11以上のアルカリ性被処理水から、該重金属を効果的に不溶化除去処理する方法を提供する。
【解決手段】(1)重金属を含有するpH11以上の被処理水に対して、リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種と、硫酸カルシウムとを添加する、高アルカリ水中に含まれる重金属の不溶化処理方法、及び(2)さらに水溶性カルシウムを含有する被処理水に対して、さらに水溶性カルシウムを不溶化する薬剤を添加する、重金属の不溶化処理方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、重金属の不溶化処理方法に関し、さらに詳しくは重金属を含有する高アルカリ水中に含まれる重金属を無害化するための不溶化処理方法に関する。
清掃工場等の排水は、焼却灰の成分に起因する重金属が含まれるため処理を必要とする場合が多い。また、かかる排水中にはアルカリ成分も多く含まれ一般的にpHが高い。
工場排水等の水中の重金属イオンを分離除去する際、多くの重金属はpHを高くすることで不溶性の水酸化物を生じるため、pHの高い排水中の重金属は沈殿分離されやすいが、例えば、鉛や亜鉛のような両性の性質を持つ重金属イオンは、高いpHでは可溶性のイオンが生じて溶解するため、pH調整を行ってpHを9前後とする必要がある。
一方、重金属のリン酸塩は水酸化物に比べて溶解度が非常に低いことが知られており、例えば、特許文献1には、重金属含有排水にリン酸又は酸性リン酸塩と凝固剤とカルシウム源を添加して不溶化し、無毒化処理する方法が提案されている。
また、高いpHのままでも鉛を高度に処理できる方法としては、硫化ナトリウムを添加して硫化鉛とする方法や、ジチオカルバミン酸塩によりキレート化する方法が知られている。
さらに、特許文献2には、pH10以上のアルカリ性排水にケイ酸のアルカリ金属塩と凝集剤を添加して重金属を不溶化し除去する、排水の処理方法が提案されている。
特公平1−24556号公報 特開平8−103774号公報
特許文献1においては、金属のリン酸塩は両性ではないため安定であると記述しているが、鉛のリン酸塩は両性であり、pHが高くなると溶解するという欠点がある。また、特許文献1では、リン酸塩を形成して金属含有物を沈殿させるが、その際、硫酸塩とすることが好ましいと記述されている。しかし、硫酸鉛の溶解度ではpHに関係なく排水基準値を満足することはできない。
一方、高いpHでも鉛を高度に処理できる硫化ナトリウムやジチオカルバミン酸塩は、何れも硫黄系化合物で使用環境によっては硫化水素や二硫化炭素といった有害ガスを発生する危険があるため、容易には使用できない。
また、特許文献2に記載のpH10以上のアルカリ性排水の処理方法では、ケイ酸のアルカリ金属塩と凝集剤を添加するが、実施例に示されるように、pHは最終的に11以下とする必要がある。
このように、高いpHでも容易に重金属を不溶化し得る処理方法は、これまで確立されていないのが実情である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、重金属を含有するpH11以上のアルカリ性被処理水から、該重金属を効果的に不溶化処理する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種と、硫酸カルシウムとを、重金属を含有する高アルカリ被処理水に添加することにより、pH11以上の高アルカリ条件下においても水中の重金属を効果的に不溶化し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1]重金属を含有するpH11以上の被処理水に対して、リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種と、硫酸カルシウムとを添加する、高アルカリ水中に含まれる重金属の不溶化処理方法。
[2]被処理水がさらに水溶性カルシウムを含有し、該被処理水に対して該水溶性カルシウムを不溶化する薬剤をさらに添加する、上記[1]に記載の重金属の不溶化処理方法。
[3]硫酸カルシウムが、煤煙脱硫処理によって得られたものである、上記[1]又は[2]に記載の重金属の不溶化処理方法。
[4]水溶性カルシウムを不溶化する薬剤が、炭酸イオン、硫酸イオン及びケイ酸イオンから選ばれる少なくとも1種を供給できる薬剤である、上記[2]又は[3]に記載の重金属の不溶化処理方法。
[5]水溶性カルシウムを不溶化する薬剤が、炭酸、炭酸塩及び重炭酸塩、硫酸及び硫酸塩、並びにケイ酸塩から選ばれる少なくとも1種である、上記[2]〜[4]のいずれかに記載の重金属の不溶化処理方法。
[6]水溶性カルシウムを不溶化する薬剤が、高炉スラグ、細粒の石炭灰、合成ゼオライト、石炭灰人工ゼオライト、及び天然ゼオライトから選ばれる少なくとも1種である、上記[2]〜[5]のいずれかに記載の重金属の不溶化処理方法。
[7]被処理水に対し、水溶性カルシウムを不溶化する薬剤を添加すると同時に、又は添加した後に、硫酸カルシウムと、リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種とを添加する、上記[2]〜[6]のいずれかに記載の重金属の不溶化処理方法。
本発明によれば、重金属を含有するpH11以上のアルカリ性被処理水から、該重金属を効果的に不溶化処理する方法を提供することができる。
石膏とリン酸の反応生成物におけるヒドロキシアパタイト/石膏のピーク比率を示すグラフである。 (a)は脱硫石膏のSEM写真であり、(b)は脱硫石膏にリン酸を反応させて生成したヒドロキシアパタイトのSEM写真である。
本発明の高アルカリ水中に含まれる重金属の不溶化処理方法は、重金属を含有するpH11以上の被処理水に対して、該重金属の不溶化剤として、リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種(以下、「リン酸等」ともいう)と、硫酸カルシウムとを添加することを特徴とする。
<不溶化剤による重金属の不溶化機構>
本発明方法において、重金属の不溶化機構は完全には判明していないが、(i)硫酸カルシウムとリン酸等との反応によってヒドロキシアパタイトが生じ、このヒドロキシアパタイトの結晶構造中に被処理水中の重金属が良好に取り込まれること、及び(ii)必要に応じて添加される水溶性カルシウムを不溶化する薬剤(以下、「水溶性カルシウム不溶化剤」ともいう)が、被処理水中のカルシウムを不溶化することにより、このカルシウムとリン酸等との反応が抑制され、上記(i)の反応が良好に生じること、によるものと推測される。
(上記(i)について)
本発明に用いられる不溶化処理剤は、リン酸等の他に、硫酸カルシウムを含んでいる。この硫酸カルシウムは、pH11以上のアルカリ性域で不安定化し、特にpH12以上の高アルカリ領域において顕著に不安定化する性質を有している。このため、この硫酸カルシウムがリン酸等と反応して速やかに効率よくリン酸カルシウムとなり、重金属の固定効果に優れるヒドロキシアパタイト結晶構造を形成する。
特に、硫酸カルシウムとして後述する脱硫石膏を用いると、硫酸カルシウムがリン酸等と反応する際に、硫酸カルシウムの結晶構造中に存在する不溶性シリカ成分からなる骨格部が残ることによって多孔質で表面積の大きいヒドロキシアパタイト結晶構造を形成するため、表面に多くの重金属を固定することができる。また同時に、そのヒドロキシアパタイト結晶構造の形成過程で重金属を当該結晶構造中に良好に取り込むことができる。
これらの結果、高アルカリ条件下でも重金属を良好に不溶化することができるものと考えられる。
図1はリン酸ナトリウム溶液(10g−P/L)に脱硫石膏83.4g/L量を添加し、硫酸と水酸化ナトリウムで所定のpHに調整後、80℃、6時間反応させて得られた反応生成物におけるヒドロキシアパタイト/石膏のピーク比率を示すグラフである。グラフの縦軸は反応生成物のXRD測定結果において、ヒドロキシアパタイトの最大ピークと石膏の最大ピークの比率、グラフの横軸は試験開始時と終了時のpH測定値の平均値である。
pH11以上の高いアルカリ域において、石膏の分解とヒドロキシアパタイトの生成が特に進んでいることが分かる。硫酸カルシウムとリン酸が反応して硫酸カルシウムが分解し、ヒドロキシアパタイトが生成する反応において、pHは11以上の領域で反応速度は大きくなる。
これに対してリン酸等を添加した場合、高アルカリ条件下では本発明のように重金属を良好に不溶化することができない。例えば、鉛を不溶化する場合、リン酸鉛が生成して鉛が不溶化されると想定されるが、pH11以上、特にpH12以上の高アルカリ性域におけるリン酸鉛の溶解度平衡から鑑みて、鉛の排水基準値(0.1mg/L)を満足することは困難である。
なお、硫酸カルシウム以外の水溶性カルシウムでも、リン酸等と反応してリン酸カルシウムを生成してヒドロキシアパタイト結晶構造を形成することにより、重金属不溶化効果が得られることが期待される。しかしながら、この場合のヒドロキシアパタイト結晶構造の生成速度は遅いため、重金属の固定効果が低いという問題がある。なお、長期間をかければ結晶成長により重金属の固定化率が向上する可能性があるが、それでは実用性がない。
(上記(ii)について)
被処理水中に水溶性カルシウムが含まれていると、当該水溶性カルシウムとリン酸等とが反応してリン酸等が消費されてしまうため、本発明方法によるリン酸等と硫酸カルシウムとの反応による重金属不溶化効果が抑制されてしまうという問題がある。この場合は、更に水溶性カルシウム不溶化剤を添加することにより、水溶性カルシウム不溶化剤が被処理水中の水溶性カルシウムと優先的に反応して当該水溶性カルシウムが不溶化されるため、リン酸等と水溶性カルシウムとの反応が抑制され、リン酸等が無駄に消費されなくなる。これにより、リン酸等が良好に硫酸カルシウムと反応してヒドロキシアパタイト結晶構造の形成に寄与することになり、重金属の不溶化効果が一層向上するものと考えられる。
よって、本発明の重金属の不溶化処理方法においては、前記被処理水が水溶性カルシウムを含有する場合は、該被処理水に対して、水溶性カルシウム不溶化剤を添加することが好ましい。
本発明の重金属の不溶化処理方法によれば、水中の鉛、カドミウム、銅、亜鉛、セレン、ニッケル、ウラン等の重金属の他、フッ素、ヒ素、ホウ素も不溶化することもできる。
<リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種(リン酸等)>
本発明に用いられる重金属の不溶化剤は、リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種を含有する。前述のとおり、不溶化処理剤中のリン酸等と硫酸カルシウムとの反応によって生じるヒドロキシアパタイトの結晶構造中に重金属が取り込まれることにより、重金属が良好に不溶化すると考えられる。
このリン酸等としては、オルトリン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸といった酸、これら酸の重縮合物、これら酸の塩等が挙げられる。このリン酸の塩としては、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム等とリン酸との塩が挙げられる。
非処理水に対するリン酸及びリン酸塩の少なくとも1種(リン酸等)の合計添加量は、一般的に多いほど重金属不溶化効果が向上して好ましいが、コストを考慮すると、被処理水に対するリン酸等の合計添加量は、正リン酸換算で好ましくは0.1〜30g/Lであり、より好ましくは0.5〜10g/Lであり、更に好ましくは1〜5g/Lである。
<硫酸カルシウム>
本発明に用いられる重金属の不溶化処理剤は、硫酸カルシウムを含有する。前述のとおり、不溶化処理剤中のリン酸等と硫酸カルシウムとの反応によって生じるヒドロキシアパタイトの結晶構造中に重金属が取り込まれることにより、重金属が良好に不溶化すると考えられる。
ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)を構成するカルシウムとリンとのモル比は、5:3である。よって、ヒドロキシアパタイト結晶構造を良好に生成する観点からは、添加する硫酸カルシウムとリン酸等との含有割合は、カルシウムとリンとが当該モル比に近くなる割合であることが好ましい。この観点から、リン酸等のリン酸換算添加量に対する硫酸カルシウムの無水硫酸カルシウム換算添加量の質量比(硫酸カルシウムの無水硫酸カルシウム換算添加量/リン酸等のリン酸換算添加量)は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1.5〜6であり、更に好ましくは2〜3である。
硫酸カルシウムとしては、硫酸カルシウム2水和物(二水石膏:CaSO4・2H2O)、硫酸カルシウム1/2水和物(半水石膏:CaSO4・1/2H2O)、及び硫酸カルシウム無水物(無水石膏:CaSO4)の1種又は2種以上が挙げられる。
この硫酸カルシウムとしては、燃焼ボイラーの排煙中に含まれるSOxを石灰乳等で吸収除去する際に排出される脱硫石膏、即ち煤煙脱硫処理によって得られる脱硫石膏が好適である。脱硫石膏は、使用時に、粒子中に存在する不溶性シリカ成分が骨格となり、この骨格構造を保ったまま粒子の一部が溶解して多孔質なヒドロキシアパタイトを生成することにより、多くの重金属を取り込むことができるものと考えられる。なお、この脱硫石膏は、通常、主に硫酸カルシウム2水和物と少量の硫酸カルシウム1/2水和物及び硫酸カルシウム無水物からなる。
図2(a)は脱硫石膏のSEM写真であり、図2(b)は脱硫石膏にリン酸を反応させて生成したヒドロキシアパタイトのSEM写真である。これらの写真のように、石膏粒子は外観を保ったままヒドロキシアパタイトに変化したにもかかわらず、比表面積が増大することから多孔質化したと考えられる。なお、それぞれの比表面積をBET1点法で測定した結果、図2(a)の脱硫石膏の比表面積は6.2m2であり、図2(b)のヒドロキシアパタイトの比表面積は82.5m2である。
<水溶性カルシウムを不溶化する薬剤(水溶性カルシウム不溶化剤)>
本発明に係る水溶性カルシウムを不溶化する薬剤(水溶性カルシウム不溶化剤)が被処理水中に含まれる水溶性カルシウムを不溶化することにより、リン酸等と硫酸カルシウムとが良好に反応してヒドロキシアパタイトを形成し、その結晶構造中に重金属が効率よく取り込まれ、重金属が良好に不溶化すると考えられる。
この水溶性カルシウム不溶化剤としては、例えば、炭酸イオン、硫酸イオン、及びケイ酸イオンから選ばれる少なくとも1種を供給できる薬剤が挙げられる。
上記炭酸イオンは、水溶性カルシウムと反応して炭酸カルシウムを生成することにより該カルシウムを不溶化する。
上記硫酸イオンは、水溶性カルシウムと反応して硫酸カルシウムを生成し、同時に固体廃棄物からのアルミニウムの溶出が伴う場合は、エトリンガイト(3CaO・Al23・3CaSO4・30〜32H2O)やモノサルフェート(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)等の鉱物を生成することにより、水溶性カルシウムを不溶化する。
上記ケイ酸イオンは、カルシウムと反応してトベルモライト(3CaO・2SiO2・3H2O)等の鉱物を生成することにより、水溶性カルシウムを不溶化する。
水溶性カルシウム不溶化剤の具体例としては、炭酸イオンを供給できる炭酸、炭酸塩及び重炭酸塩、硫酸を供給できる硫酸及び硫酸塩、並びにケイ酸塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記の炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、及びケイ酸塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
炭酸塩の好適例としては炭酸ナトリウム等が挙げられ、重炭酸塩の好適例としては重炭酸ナトリウム等が挙げられ、硫酸塩の好適例としては硫酸ナトリウム等が挙げられ、ケイ酸塩の好適例としてはケイ酸カルシウムやケイ酸アルミニウム等が挙げられる。
ケイ酸カルシウムの原料としては、ケイ酸カルシウムを多く含むものであればよく、例えば、高炉スラグ、高炉セメントが好ましく挙げられる。特に高炉水砕スラグを粉砕して製造される高炉スラグ微粉末が水和によりpHを上昇させることがない点においてより好適である。
また、カルシウムの不溶化と溶液のpH上昇を抑制する観点からは、水溶性カルシウム不溶化剤、特に高炉スラグは、ケイ酸カルシウムを主成分としており、該不溶化剤中のカルシウムのCaO換算の含有量は、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。
ケイ酸アルミニウムの原料としては,細粒の石炭灰及びゼオライトから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。細粒の石炭灰としては、体積中位粒径(D50)が好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下の石炭灰フライアッシュを利用することが好ましい。このような細粒の石炭灰は分級装置による粒度調整により得ることができるが、火力発電所設置の電気集じん器の集じん段のうち後段に捕集された細粒の石炭灰をそのまま活用することもできる。水溶性カルシウムをイオン交換により結晶構造中に固定するゼオライト類も水溶性カルシウム不溶化剤として利用可能である。ゼオライトとしては、合成ゼオライト(4Aゼオライト)、石炭灰人工ゼオライト、天然ゼオライト(クリノプチロライト、モルデナイト)等が利用できる。
被処理水に対する水溶性カルシウム不溶化剤の添加量は、一般的に多いほど重金属不溶化効果が向上して好ましいが、コストを考慮すると、被処理水に対する水溶性カルシウム不溶化剤の添加量(水溶性カルシウム不溶化剤/被処理水)は、好ましくは1〜100g/Lであり、より好ましくは1〜60g/Lであり、更に好ましくは1〜30g/Lである。
なお、本発明方法において、不溶化処理剤の添加順序に特に制限はないが、被処理水が水溶性カルシウムを含有する場合は、この水溶性カルシウム不溶化剤を、前述した割合で添加すると同時に、又は添加した後に、硫酸カルシウムとリン酸等をそれぞれ前述した割合で添加することが好ましい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例におけるろ液中のPb、Ca濃度、及びろ液のpHは、下記の方法により測定した。
(1)Pb濃度、Ca濃度
昭和48年2月17日環境庁告示13号「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」の溶出試験に準拠して、試料液イ(溶媒のpH:6.3)を調製し、JIS K0102:1998におけるフレーム原子吸光法によって鉛の含有量を測定した。
(2)pH
昭和48年2月17日環境庁告示13号「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」の溶出試験に準拠して、試料液イ(溶媒のpH:6.3)を調製し、試料液のpHを測定した。
<実施例1>
純水に、鉛イオンが2、20、100ppmとなるよう硝酸鉛を添加し、水酸化ナトリウムを用いてpHを12〜13になるよう調整した水溶液に対して、鉛不溶化剤として脱硫石膏を6.6g/Lの濃度で添加し、次いで75質量%リン酸液を2.25g/Lの濃度で添加し、20時間攪拌した後、口径0.45μmのメンブランフィルターを用いて吸引ろ過したろ液中の鉛濃度及びpHを測定した。その結果を表1に示す。
<比較例1>
鉛不溶化剤として75質量%リン酸液を2.25g/Lのみ添加したこと以外は、実施例1と同様に処理した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
鉛不溶化剤として水酸化カルシウムを5.2g/L添加し、次いで75質量%リン酸液を2.25g/L添加したこと以外は、実施例1と同様に処理した。その結果を表1に示す。
<比較例3>
鉛不溶化剤としてヒドロキシアパタイトを4.0g/L添加したこと以外は、実施例1と同様に処理した。その結果を表1に示す。
表1における実施例1と比較例1〜3との対比から、リン酸と脱硫石膏を添加するとpH12以上でも鉛イオンが顕著に不溶化されるのに対して、リン酸のみの添加(比較例1)や、ヒドロキシアパタイトの添加(比較例3)では鉛イオンが十分に不溶化されないことが分かる。またリン酸と水酸化カルシウム(石膏以外のカルシウム、比較例2)では、脱硫石膏ほどには不溶化されないことが分かる。
<実施例2>
純水に、鉛イオンが100ppmとなるよう硝酸鉛を添加し、水酸化カルシウムを5.2g/L添加してpHを12以上とした水溶液に対して、水溶性カルシウム不溶化剤として炭酸ナトリウムを14.8g/Lの濃度で添加し、さらに鉛不溶化剤として脱硫石膏を6.6g/Lの濃度で添加し、次いで75質量%リン酸液を2.25g/Lの濃度で添加し、6時間攪拌した後、口径0.45μmのメンブランフィルターを用いて吸引ろ過したろ液中の鉛濃度及びpHを測定した。その結果を表2に示す。
<実施例3>
カルシウム不溶化剤として硫酸ナトリウムを20g/Lの濃度で添加した以外は、実施例2と同様に処理した。その結果を表2に示す。
<実施例4>
カルシウム不溶化剤として高炉スラグ微粉末(CaO:42質量%、SiO2:34質量%)を2g/Lの濃度で添加した以外は、実施例2と同様に処理した。その結果を表2に示す。
<実施例5>
カルシウム不溶化剤として国内石炭火力発電所の電気集じん器後段から直接採取した特に細粒の石炭灰(体積中位粒径(D50):4.3μm)を10g/Lの濃度で添加した以外は、実施例2と同様に処理した。その結果を表2に示す。
<実施例6>
カルシウム不溶化剤として石炭灰から製造した人工ゼオライト(新日鉄エンジニアリング株式会社製、最大粒径0.075mm)を10g/Lの濃度で添加した以外は、実施例2と同様に処理した。その結果を表2に示す。
<実施例7>
カルシウム不溶化剤としてクリノプチロライト(北海道余市郡仁木町産、100メッシュ)を10g/Lの濃度で添加した以外は、実施例2と同様に処理した。その結果を表2に示す。
<実施例8>
カルシウム不溶化剤として合成ゼオライト4A(和光純薬工業株式会社製、CAS.NO. 1318-02-1、75μm通過)を10g/Lの濃度で添加した以外は、実施例2と同様に処理した。その結果を表2に示す。
<比較例4>
カルシウム不溶化剤を添加しなかった以外は、実施例2と同様に処理した。その結果を表2に示す。
表2における実施例2〜8と比較例4との対比から、予め水酸化カルシウムを添加して調製した水溶液に対して、リン酸と脱硫石膏を添加しても実施例1のように鉛を顕著に不溶化することができないが、これに炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、高炉スラグ、細粒の石炭灰、石炭灰人工ゼオライト、クリノプチロライト、合成ゼオライト等の各種の水溶性カルシウム不溶化剤を添加することにより、鉛イオンの不溶化効果を向上させることができることが分かる。
<実施例9>
以下の水質組成を示すアルカリ性(pH:11.8)溶液1Lに対しリン酸(9gP)と脱硫石膏(88.3g)を加え、さらに水酸化カリウムを加えてpHを12.4〜12.5に調整した。これを80℃、24時間攪拌後、固液分離した。脱硫石膏は、異なる石炭火力発電所3カ所の脱硫石膏を用いた。
固液分離後得られた液相中の水質を測定した結果を表3に示す(pHは処理後の値)。
脱硫石膏のヒドロキシアパタイト化により、鉛の他に、ホウ素(B)、ヒ素(As)、セレン(Se)の重金属濃度を同時に低減する効果があることが示された。分析は株式会社島津製作所製のICP発光分析装置(ICP−8100)を用いて行った。
本発明の重金属の不溶化処理方法は、重金属を含有するpH11以上のアルカリ性被処理水から、該重金属を工業的に有利に不溶化処理することができる。

Claims (7)

  1. 重金属を含有するpH11以上の被処理水に対して、リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種と、硫酸カルシウムとを添加する、高アルカリ水中に含まれる重金属の不溶化処理方法。
  2. 被処理水がさらに水溶性カルシウムを含有し、該被処理水に対して該水溶性カルシウムを不溶化する薬剤をさらに添加する、請求項1に記載の重金属の不溶化処理方法。
  3. 硫酸カルシウムが、煤煙脱硫処理によって得られたものである、請求項1又は2に記載の重金属の不溶化処理方法。
  4. 水溶性カルシウムを不溶化する薬剤が、炭酸イオン、硫酸イオン及びケイ酸イオンから選ばれる少なくとも1種を供給できる薬剤である、請求項2又は3に記載の重金属の不溶化処理方法。
  5. 水溶性カルシウムを不溶化する薬剤が、炭酸、炭酸塩及び重炭酸塩、硫酸及び硫酸塩、並びにケイ酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項2〜4のいずれかに記載の重金属の不溶化処理方法。
  6. 水溶性カルシウムを不溶化する薬剤が、高炉スラグ、細粒の石炭灰、合成ゼオライト、石炭灰人工ゼオライト、及び天然ゼオライトから選ばれる少なくとも1種である、請求項2〜5のいずれかに記載の重金属の不溶化処理方法。
  7. 被処理水に対し、水溶性カルシウムを不溶化する薬剤を添加すると同時に、又は添加した後に、硫酸カルシウムと、リン酸及びリン酸塩の少なくとも1種とを添加する、請求項2〜6のいずれかに記載の重金属の不溶化処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102282158B1 (ko) * 2021-01-26 2021-07-27 현대제철 주식회사 탈황 폐기물의 중금속 용출 억제 조성물 및 이를 이용한 탈황 폐기물의 중금속 용출 억제 방법
KR102472305B1 (ko) * 2021-06-30 2022-11-30 현대제철 주식회사 탈황 폐기물의 중금속 용출 안정제

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