JP4808873B2 - フッ素を含有する排水の処理方法 - Google Patents

フッ素を含有する排水の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素を含有する排水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鋼工程や半導体製造排水等のフッ素含有排水中のフッ素を処理する方法としては、排水にカルシウム化合物を添加し難溶性のフッ化カルシウムとして固定した後、固液分離を行い処理しているが、この方法では処理水のフッ素濃度を20mg/L程度にしか低減できない。このため、二次処理としてアルミニウム化合物を添加し、中和領域で生成する水酸化アルミニウムにフッ素を吸着させ沈降分離する方法がよく知られている。ここで発生する水酸化アルミニウムはゲル状であり脱水性が悪く、また多量のアルミニウム化合物を添加しないとフッ素が除去できないことから水酸化アルミニウムスラッジが大量に発生することとなる。また、大量に添加しても排水中にはフッ素が数mg/L残存するため環境への影響が懸念される。さらに、この水酸化アルミニウムスラッジは脱水後の含水率が高く、また産業廃棄物となるが廃棄物処理場が不足している昨今、産業廃棄物の削減が大きな課題となっている。
【0003】
このスラッジを減少させる方法として、生成したスラッジの一部をもとの排水処理に再利用する方法(特開昭60−241988号公報、特開昭60−97091号公報、特開平6−154767号公報、特開平8−197070号公報)や、スラッジをアルカリで溶解してアルミン酸とし、このアルミニウム溶液を循環させ、フッ素の吸着除去に再利用する方法(特開平1−107890号公報)、フッ素を吸着したスラッジに過剰のカルシウム化合物を添加しフッ化カルシウムを生成させることにより、吸着フッ素を脱着させ、スラッジをアルカリで溶解し、さらに二酸化炭素を通気することにより結晶性の水酸化アルミニウムを生成させる方法(特開平9−248577号公報)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭60−97091号公報、特開昭60−241988号公報では排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして沈降分離し、分離したフッ素を含有するスラッジを循環させる方法であるが、フッ素を含有するスラッジを循環させるため、条件によってはスラッジからフッ素が溶出し排水を汚染するおそれがあり、また、排水のフッ素濃度は10mg/L程度までしか下がらない。特開平6−154767号公報、特開平8−197070号公報ではフッ素含有排水にカルシウム化合物とアルミニウム化合物とを添加し、生成するフッ化カルシウムまたは水酸化アルミニウム沈殿物にフッ素を吸着させ固液分離後、沈殿物を循環再利用する方法であるが、やはりフッ素を含有する沈殿物からのフッ素の溶出により排水が汚染されるおそれがある。特開平1−107890号公報、特開平9−248577号公報では、フッ素を吸着したゲル状水酸化アルミニウムにカルシウム化合物を添加し、難溶性のフッ化カルシウムを生成させ、ゲル状水酸化アルミニウムに吸着したフッ素を脱着させる工程および装置、脱着後のゲル状水酸化アルミニウムにアルカリを添加して溶解させる工程および装置が必要となり、工程、設備が複雑化する上、中和、アルカリ化に大量の酸またはアルカリが必要となる。また、いずれの方法においても最終的に排水基準以下まで排水中のフッ素濃度を低減できるものの、人と環境保護の点で安全といえる濃度までフッ素濃度を低減することはできていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、工程および処理設備を複雑にすることなく、排水中のフッ素濃度を十分に低減することができるフッ素を含有する排水の処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、フッ素を含有する排水に、セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方、および、硫酸根を含む物質を添加することを特徴とするフッ素を含有する排水の処理方法を提供する。
【0009】
本発明によれば、フッ素を含有する排水に、セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方、および、硫酸根を含む物質を添加することにより、硫酸根を含む物質から硫酸イオンを溶出させ、この硫酸イオンとセメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方に含まれる成分とが反応することにより生じるエトリンガイトやモノサルフェートやCaO−SiO−HO−SO系化合物中にフッ素を固定することができ、これによりフッ素濃度を低減することができる。ここで生成するCaO−SiO−HO−SO系化合物はエトリンガイドやモノサルフェート同様、結晶性水和物であるため水酸化アルミニウムに比べ脱水性が高く発生量も少なく処理が容易である。
【0012】
本発明においては、前記セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方、および、前記硫酸根を含む物質を添加して一度に反応させることにより処理を行うことができる。また、排水中のフッ素濃度が高い場合には、前記セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方を添加して反応させた後に、前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる処理、または、排水にカルシウムを含む物質を添加して反応させた後に、前記セメント物質および前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる処理を行うことが好ましい。
【0013】
さらに、上記の一度に反応させる処理を行う場合には排水のpHを9〜12とすることがより好ましい。さらにまた、上記の2段階で反応させる処理を行う場合には、前記セメント物質を添加して反応させた後で、前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる際には排水のpHを9〜12とすること、または、前記カルシウムを含む物質を添加して反応させた後で、前記セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方および前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる際には排水のpHを9〜12とすることがより好ましい。
【0014】
本発明における前記カルシウムを含む物質としては、天然のカルシウム含有鉱物、製鉄過程で副生するカルシウム含有スラグ、および、水溶性のカルシウム化合物等が例示され、これらのうち少なくとも1種を用いることができる。また、硫酸根を含む物質としては、天然の硫酸含有鉱物、排煙洗浄過程で副生する石膏、酸の中和過程で副生する石膏、および、アルカリの中和過程で副生する石膏が例示され、これらのうち少なくとも1種を用いることができる。
【0015】
本発明によれば、製鋼工場の排ガスの冷却水、都市ゴミ焼却炉の排ガス冷却水、直接溶融炉の排ガス冷却水、半導体工場の洗浄水、セラミック製造工場の洗浄水、および、ガラスエッチング処理工場の洗浄水のうち1種、または2種以上の混合された排水を処理することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態は、フッ素を含有する排水に、カルシウムを含む物質、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加する処理を施すことにより、排水中に不溶性のエトリンガイトやモノサルフェートを生成させ、これらの物質中にフッ素を固定し、排水から分離することによって排水中のフッ素を除去低減する。
【0017】
本実施形態におけるカルシウムを含む物質は、水と接触することによりカルシウムイオンを溶出する鉱物や化合物であり、CaO、Ca(OH)等の天然鉱物、製鉄過程で副生するカルシウム含有スラグ、および、水溶性のカルシウム化合物等が例示され、これらのうち1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。また、アルミニウムを含む物質は、水と接触することによりアルミニウムイオンやアルミン酸イオンを溶出する鉱物や化合物であり、天然のアルミニウム含有鉱物、アルミニウム加工過程で副生するアルミニウム化合物、アルミニウムスラッジ、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、およびその他の水溶性のアルミニウム化合物が例示され、これらのうち1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。さらに、硫酸根を含む物質は、水と接触することにより硫酸イオンを溶出する鉱物や化合物であり、天然の硫酸含有鉱物、排煙洗浄過程で副生する石膏、酸の中和過程で副生する石膏、および、アルカリの中和過程で副生する石膏等が例示され、これらのうち1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。これらの物質は固体のままで添加してもよいし、水溶液もしくは懸濁液として添加してもよい。
【0018】
本実施形態における排水中のフッ素の固定化メカニズムは、以下のように説明される。排水中でカルシウムを含む物質からはCa2+イオン、アルミニウムを含む物質からはpH値が5.1以上でAlO 2−イオンが溶出し、硫酸根を含む物質からはSO 2−イオンが溶出し、これらの溶出イオンが互いに反応してエトリンガイトおよび/またはモノサルフェートを生成する。この生成反応の過程でエトリンガイトおよび/またはモノサルフェートの生成に寄与する硫酸イオン(SO 2−)の一部がフッ素イオン(F)と置換または取り込まれることにより、エトリンガイトおよび/またはモノサルフェート中にフッ素が固定され、排水中のフッ素が低減される。エトリンガイトの生成に伴うフッ素の固定化機構を(1)式に、モノサルフェートの生成に伴うフッ素の固定化機構を(2)式および(2)’式に示す。
【0019】
【化1】
Figure 0004808873
【0020】
本実施形態によれば、フッ素を含有する排水に、カルシウムを含む物質、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加して一度に反応させることにより排水中のフッ素を固定する処理を行うことができ、その後固液分離することによりフッ素含有量の少ない排水を得ることができる。このような一度に反応させる簡単な処理によっても排水中のフッ素を固定化してフッ素含有量を低減することができ、排水中のフッ素含有量が少ない場合にはこのような処理で十分である。
【0021】
ただし、排水中のフッ素含有量が多い場合には、排水にカルシウムを含む物質の一部を添加して反応させた後に、カルシウムを含む物質の残部、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加して反応させることが好ましい。このような2段階で反応させる処理を行うことにより、一層高いフッ素低減効果を得ることができる。以下、この2段階で反応させる処理について説明する。
【0022】
まず、処理する排水にカルシウムを含む物質の一部を添加し、溶出したカルシウムイオンと排水中のフッ素を反応させて難溶性のフッ化カルシウム(CaF)を生成させ、フッ素の一部をフッ化カルシウムとして沈殿させる。次に、フッ化カルシウムの沈殿を固液分離した上澄み液に、カルシウムを含む物質の残部、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含有する物質を添加し、溶出したアルミニウムイオンおよび硫酸イオンと、排水中に残留しているカルシウムイオンおよびフッ素イオンとを反応させ、一部フッ素を取り込んだエトリンガイトおよび/またはモノサルフェートを生成することによりフッ素を固定除去し、排水から分離する。以上のように、まず排水中のフッ素の一部をフッ化カルシウムとして沈殿させた後に、排水中に残留したフッ素をエトリンガイトおよび/またはモノサルフェート中に固定除去するので、排水中のフッ素含有量が高い場合にも十分にフッ素を低減することができる。
【0023】
さらに、上記のように一度に反応させる処理を行う場合には、処理する排水のpHを9〜12とすることがより好ましく、2段階で反応させる処理を行う場合には、前記カルシウムを含む物質の一部を添加して反応させた後で、前記カルシウムを含む物質の残部、前記アルミニウムを含む物質、および、前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる際には排水のpHを9〜12とすることがより好ましい。排水のpHをこのようにすることにより、より高いフッ素低減効果を得ることができる。排水のpHは、例えば、排水にアルカリや酸を添加することにより簡単に調整することができる。
【0024】
なお、上記のように排水に所定の物質を添加して反応させる際には、所定の物質を添加した排水を混合することが好ましい。このようにすることにより、所定の物質からのイオンの溶出、および、溶出したイオンのフッ素等との反応を促進することができる。排水の混合は所定の物質の添加よりも先に開始していてもよいし、所定の物質を添加した後に開始するようにしてもよい。
【0025】
次に、本実施形態を適用した排水処理を行う設備について説明する。
図1は、本実施形態を適用した排水処理を行う排水処理設備の一例を示す概略図である。図1に示すように、この排水処理設備は、排水を貯留する反応槽1と、反応槽1内の排水に、カルシウムを含む物質、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加するための処理剤供給部4と、反応槽1内の排水を攪拌するための攪拌機構8と、反応槽1で処理後の排水を固液分離する固液分離器(シックナー)2とを有している。
【0026】
この排水処理設備においては、フッ素を含有する排水を貯留した貯留槽5から所定量の排水を反応槽1内に供給した後、処理剤供給部4からカルシウムを含む物質、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加し、攪拌機構8で排水を攪拌する。この際、必要に応じてpH調節機構6よりアルカリまたは酸を供給し、フッ素固定が効率よく行われるように排水のpHを9〜12に調整する。所定時間攪拌後、反応槽1内の排水を固液分離器2に導き、沈殿スラッジを分離することにより、排水の処理は終了する。このようにして処理された排水は、フッ素含有量が十分に低減されているので、さらに中和処理等の所定の処理を施した後、環境中に排出することができる。なお、ここでは前述した1度に反応させる処理を行う場合について説明したが、固液分離後の排水を反応槽1内に戻すこと、または反応槽1内でカルシウムを含む物質の一部を添加し反応させた後に同槽内にカルシウムを含む物質の残部、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加することにより前述した2段階で反応させる処理を行うことも可能である。
【0027】
図2は、本発明を実施する排水処理設備の他の例を示す概略図である。図2に示すように、この排水処理設備は、排水にカルシウムを含む物質の一部を添加および混合する第1反応槽11と、カルシウムを含む物質の残部、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加および混合する第2反応槽21とが別個に設けられているが、第1反応槽11および第2反応槽21のそれぞれの構成は図1に示した排水処理設備における反応槽1と同様である。また、第1反応槽11と第2反応槽21との間には第1反応槽11で処理後の排水を固液分離して第2反応槽21に供給する第1固液分離器(シックナー)12が設けられている。また、第1反応槽11内の排水にカルシウムを含む物質の一部を添加する第1処理剤供給部14と、第2反応槽21内の排水にカルシウムを含む物質の残部、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加するための第2処理剤供給部24と、第2反応槽21で処理後の排水を固液分離する第2固液分離器(シックナー)22とが設けられている。
【0028】
この排水処理設備においては、フッ素を含有する排水を貯留した貯留槽15から所定量の排水を第1反応槽11内に供給した後、第1処理剤供給部14からカルシウムを含む物質の一部を添加し、攪拌機構18で排水を攪拌し、排水中のフッ素をCaFとして分離する。この際、必要に応じて第1pH調節機構16よりアルカリを供給し、フッ素固定が効率よく行われるように排水のpHを6以上に調節する。所定時間攪拌後、第1反応槽11内の排水を第1固液分離器12に導き、沈殿スラッジを分離した排水を第2反応槽21内に供給する。次いで、第2反応槽21内の排水に第2処理剤供給部24からカルシウムを含む物質の残部、アルミニウムを含む物質、および、硫酸根を含む物質を添加し、攪拌機構28で排水を攪拌し、排水中のフッ素をエトリンガイトおよび/またはモノサルフェート中に固定除去する。この際、必要に応じて第2pH調節機構26よりアルカリまたは酸を供給し、フッ素固定が効率よく行われるように排水のpHを9〜12に調節する。所定時間攪拌後、第2反応槽21内の排水を第2固液分離器22に導き、沈殿スラッジを分離することにより、排水の処理は終了する。この排水処理設備では、第1反応槽と第2反応槽とを用いた2段階で反応させる処理によりフッ素を低減するので、フッ素濃度の高い排水であってもフッ素含有量を十分に低減することができ、さらに中和処理等の所定の処理を施した後、環境中に排出することができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、フッ素を含有する排水に、セメントおよびセメント原料の少なくとも一方からなるセメント物質、および、硫酸根を含む物質を添加する処理を施すことにより、排水中に不溶性のエトリンガイト、モノサルフェートやCaO−SiO−HO−SO系化合物等を生成させるとともにフッ素をこれらの物質に固定し、排水から分離することによって排水中のフッ素を除去低減する。
【0030】
本実施形態におけるセメント物質は、製品セメントでもセメント原料(セメントクリンカー)でもよく、また両者の混合物であってもよい。また、両者の中間的な材料であってもよい。ここで、セメントとしては、例えばポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中よう熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、膨張セメント、油井セメント、地熱井セメント等が例示され、これらのうちの1種または2種以上の組合せであることが挙げられる。また、セメント原料としては、上記セメントのクリンカーが例示され、これらのうち1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。
【0031】
また、本実施形態における硫酸根を含む物質とは、水と接触することにより硫酸イオンを溶出する鉱物や化合物であり、天然の硫酸含有鉱物、排煙洗浄過程で副生する石膏、酸の中和過程で副生する石膏、および、アルカリの中和過程で副生する石膏等が例示され、これらのうち1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。セメント物質および硫酸根を含む物質は、固体のままで添加してもよいし、水溶液もしくは懸濁液として添加してもよい。
【0032】
本実施形態における排水中のフッ素固定化メカニズムは、以下のように説明される。排水中において、セメント物質に含まれるカルシウムアルミネート、カルシウムアルミニウムフェライト等からカルシウムイオン(Ca2+イオン)およびアルミニウムイオン(pH値が5.1以上でAlO 2−イオン)が溶出する。これらのイオンが硫酸根を含む物質から溶出した硫酸イオン(SO 2−イオン)と反応することにより、エトリンガイトおよびモノサルフェートを生成し、この生成反応の過程で一部の硫酸イオンが排水中に含まれるフッ素イオン(Fイオン)と置換され、エトリンガイトおよびモノサルフェート中にフッ素が固定されるものである。
【0033】
また、排水中において、セメント物質に含まれるカルシウムシリケート、カルシウムアルミニウムシリケート等からカルシウムイオン(Ca2+イオン)およびシリコンイオン(pH値が10以上でHSiO イオン、12以上でSiO 2−)が溶出する。これらのイオンが硫酸根を含む物質から溶出した硫酸イオン(SO 2−イオン)と反応することにより、Ca10(SiO(SO(OH)やCa[(Si,S)O(OH)等のCaO−SiO−HO−SO系化合物を生成し、この生成反応の過程で排水中のフッ素イオン(Fイオン)が水酸基(OHイオン)サイトに組み込まれて固定されるものである。
【0034】
例えば、水共存下でフッ素イオンおよび硫酸イオンと反応してCa10(SiO(SO[(OH)1−yが生成する反応は(3)式で表される。
【0035】
【化2】
Figure 0004808873
【0036】
さらに、カルシウムイオンおよびシリコンイオンがフッ素イオンおよび硫酸イオンと反応してCa[(Si,S)O(OH,F)が生成する。
【0037】
これらのCaO−SiO−HO−SO−F系化合物の生成によるフッ素イオンの固定化のほかに、硫酸イオンが関与しない反応によってCa(SiO(OH,F)およびCaSi(OH)等のCaO−SiO−HO−F系化合物およびゲル状CaO−SiO−HO−F系非晶質化合物、CaAlSiO(OH,F)等のCaO−Al−SiO−HO−F系化合物が生成し、フッ素が固定化される。
【0038】
本実施形態によれば、フッ素を含有する排水にセメント物質および硫酸根を含む物質を添加して一度に反応させる処理により排水中のフッ素を固定化してフッ素含有量を低減することができ、排水中のフッ素含有量が少ない場合にはこのような一度に反応させる簡単な処理で十分である。
【0039】
ただし、排水中のフッ素含有量が高い場合には、排水にセメント物質を添加して反応させた後に、硫酸根を含む物質を添加して反応させる処理を行うか、または、予め排水にカルシウムを含む物質を添加して反応させた後に、前記セメント物質および前記硫酸根を含む物質を添加および混合する処理を行うことが好ましい。このような2段階で反応させる処理によれば、一層高いフッ素低減効果を得ることができる。以下、これらの処理について説明する。
【0040】
最初に、排水にセメント物質を添加して反応させた後に、硫酸根を含む物質を添加して反応させる処理について説明する。
まず、セメント物質を、処理する排水に含まれるフッ素との反応当量よりもやや多めのカルシウムイオンが溶出するように添加し、排水中のフッ素の一部を反応させ、難溶性のフッ化カルシウム(CaF)として沈殿させる。次に、フッ化カルシウムの沈殿を固液分離した上澄み液に、硫酸根を含有する物質を添加し、溶出した硫酸イオンと、排水中に残留しているカルシウムイオンおよびフッ素イオン等とを反応させ、一部フッ素を取り込んだエトリンガイトやモノサルフェートやCaO−SiO−HO−SO系化合物等を生成させることによりフッ素を固定除去し、排水から分離する。
【0041】
次に、排水にカルシウムを含む物質を添加して反応させた後に、前記セメント物質および前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる処理について説明する。
まず、カルシウムを含む物質を、処理する排水に含まれるフッ素との反応当量よりもやや多めに添加し、排水中のフッ素の一部と反応させ、難溶性のフッ化カルシウム(CaF)として沈殿させる。次に、フッ化カルシウムの沈殿を固液分離した上澄み液に、セメント物質および硫酸根を含有する物質を添加し、これらの物質から溶出したイオンと、排水中に残留しているカルシウムイオンおよびフッ素イオン等とを反応させ、上記の処理と同様にフッ素を固定除去し、排水から分離する。
【0042】
なお、この処理で用いるカルシウムを含む物質は、水と接触することによりカルシウムイオンを溶出する鉱物や化合物であり、CaO、Ca(OH)等の天然鉱物、製鉄過程で副生するカルシウム含有スラグ、および、水溶性のカルシウム化合物等が例示され、これらのうち1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。
【0043】
このような2段階で反応させる処理によれば、上記のようにフッ素の一部をフッ化カルシウムとして沈殿させた後に、エトリンガイトやモノサルフェートやCaO−SiO−HO−SO系化合物等にフッ素を固定するので、排水中のフッ素含有量が高い場合にも十分にフッ素を低減することができる。
【0044】
さらに、上記のように一度に反応させる処理を行う場合には、処理する排水のpHを9〜12とすることがより好ましく、2段階で反応させる処理を行う場合には、前記セメント物質を添加して反応させた後で、前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる際には排水のpHを9〜12とすることがより好ましい。また、前記カルシウムを含む物質を添加して反応させた後に、前記セメント物質および前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる場合、前記セメント物質および前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる際には排水のpHを9〜12とすることがより好ましい。排水のpHをこのようにすることにより、より高いフッ素低減効果を得ることができる。排水のpHは、例えば、排水にアルカリや酸を添加することにより簡単に調整することができる。
【0045】
なお、上記のように排水に所定の物質を添加して反応させる際には、所定の物質を添加した排水を混合することが好ましい。このようにすることにより、所定の物質からのイオンの溶出、および、溶出したイオンのフッ素等との反応を促進することができる。排水の混合は所定の物質の添加よりも先に開始していてもよいし、所定の物質を添加した後に開始するようにしてもよい。
【0046】
次に、本実施形態を適用した排水処理を行う設備について説明する。
本実施形態を適用した排水処理を行う設備は、前述の実施形態において説明した排水処理設備とほぼ同様の構成を有するため改めて図示は行わず、図1および図2に基づいて説明する。
本実施形態を適用した処理を行う排水処理設備の第1の例は、その基本構成は図1に示した排水処理設備と同様である。ただし、処理剤供給部4からはセメント物質および硫酸根を含む物質を添加するように構成する。
【0047】
この排水処理設備においては、フッ素を含有する排水を貯留した貯留槽5から所定量の排水を反応槽1内に供給した後、処理剤供給部4からセメント物質、および、硫酸根を含む物質を添加し、攪拌機構8で排水を攪拌する。この際、必要に応じてpH調節機構6よりアルカリまたは酸を供給し、フッ素固定が効率よく行われるように排水のpHを9〜12に調整する。所定時間攪拌後、反応槽1内の排水を固液分離器2に導き、沈殿スラッジを分離することにより、排水の処理は終了する。このようにして処理された排水は、フッ素含有量が十分に低減されているので、次いで中和処理等の所定の処理を施した後、環境中に排出することができる。なお、ここでは前述の一度に反応させる場合について説明したが、2段階で反応させる処理を行うことも可能である。
【0048】
本実施形態を適用した処理を行う排水処理設備の第2の例は、その基本構成は図2に示した排水処理設備と同様である。ただし、第1処理剤供給部14からはセメント物質を、第2処理剤供給部24からは硫酸根を含む物質を、それぞれ添加するように構成する。
【0049】
この排水処理設備においては、フッ素を含有する排水を貯留した貯留槽15から所定量の排水を第1反応槽11内に供給した後、第1処理剤供給部14からセメント物質を添加し、攪拌機構18で排水を攪拌し、排水中のフッ素をCaFとして分離する。所定時間攪拌後、第1反応槽11内の排水を第1固液分離器12に導き、沈殿スラッジを分離した排水を第2反応槽21内に供給する。次いで、第2反応槽21内の排水に第2処理剤供給部24から硫酸根を含む物質を添加し、攪拌機構28で排水を攪拌し、排水中のフッ素をエトリンガイトやモノサルフェートやCaO−SiO−HO−SO系化合物等中に固定除去する。この際、必要に応じて第2pH調節機構26よりアルカリまたは酸を供給し、フッ素固定が効率よく行われるように排水のpHを9〜12に調節する。所定時間攪拌後、第2反応槽21内の排水を第2固液分離器22に導き、沈殿スラッジを分離することにより、排水の処理は終了する。この排水処理設備では、第1反応槽11と第2反応槽21とを用いた2段階で反応させる処理によりフッ素を低減するので、フッ素濃度の高い排水であってもフッ素含有量を十分に低減することができ、中和処理等の所定の処理を施した後、環境中に排出することができる。
【0050】
なお、ここでは前述した2段階で反応させる処理のうち、排水にセメント物質を添加して反応させた後に、硫酸根を含む物質を添加して反応させる処理を行う場合について示したが、予め排水にカルシウムを含む物質を添加して反応させた後に、前記セメント物質および前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる処理も同様にして行うことができる。
【0051】
以上のような本発明の第1および第2の実施形態によれば、例えば、製鋼工場の排ガスの冷却水、都市ゴミ焼却炉の排ガス冷却水、直接溶融炉の排ガス冷却水、半導体工場の洗浄水、セラミック製造工場の洗浄水、および、ガラスエッチング処理工場の洗浄水等のフッ素を含有する排水を処理し、排水中のフッ素含有量を低減することができる。
【0052】
【実施例】
次に本発明の実施例を示す。
[実施例1]
フッ素を1mmol/l(20mg/l)含む排水に添加剤として0.1mm以下に粉砕された酸化カルシウムを5mmol、水溶性硫酸アルミニウムを1.5mmol、0.1mm以下に粉砕された石膏3mmolを同時に添加し、溶液のpHを7〜12の所定pHになるように水酸化ナトリウム又は塩酸で調整しながら30分間攪拌した。更に30分間静置した後の上澄み液を開孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、得られたろ液中のフッ素濃度をJIS K0102の34.2に定める方法で定量した。このような処理における排水のpHと、処理後の排水中のフッ素濃度との関係を図3に示す。図3に示すように、排水のpHが9から12の範囲でフッ素濃度減少率がより高く、特にpHが11の時にはフッ素濃度は2mg/l以下まで減少した。
【0053】
[実施例2]
フッ素を1mmol/l(20mg/l)含む排水に添加剤として0.1mm以下に粉砕された酸化カルシウム、水溶性硫酸アルミニウム、0.1mm以下に粉砕された石膏を表1の割合で同時に添加し、溶液中のpHを9に保つように水酸化ナトリウム又は塩酸で調整しながら30分間攪拌した。更に30分間静置した後の上澄み液を開孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、得られたろ液中のフッ素濃度をJIS K0102の34.2に定める方法で定量した。それぞれの添加水準における処理後に測定されたフッ素濃度を図4に示す。図4に示すように、添加水準Aから添加水準Cとそれぞれの物質の添加量が増加することにともないフッ素濃度は減少しており、添加水準Cでのフッ素濃度は2mg/lであった。
【0054】
【表1】
Figure 0004808873
【0055】
[実施例3]
実施例1と同様の排水に表1と同様の割合で添加剤を添加し、溶液中のpHを11に保つように水酸化ナトリウム又は塩酸で調整しながら20℃で30分間攪拌した。更に、30分間の静置後、上澄み液を開孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、実施例1と同様の方法で得られたろ液中のフッ素濃度を測定した。それぞれの添加水準における処理後に測定されたフッ素濃度を図5に示す。図5に示すように、実施例2と同様にそれぞれの物質の添加量が増加することにともないフッ素濃度は減少しており、また、この場合には実施例2よりも高いフッ素含有量低減効果を得ることができ、添加水準Cでのフッ素濃度は0.2mg/lまで減少した。
【0056】
[比較例1、2]
実施例1と同様の排水に0.1mm以下に粉砕された酸化カルシウムを10mmol添加(比較例1)、水溶性硫酸アルミニウム10mmol添加(比較例2)し、10分間攪拌した後、pHを10に保つよう水酸化ナトリウム又は塩酸を加えで更に30分間攪拌した。30分間の静置後、実施例1と同様の方法でフッ素濃度を測定したところフッ素濃度はそれぞれ17mg/l(比較例1)、14mg/l(比較例2)であり、フッ素濃度を十分に低減することができなかった。
【0057】
[実施例4]
フッ素を20mmol/l(400mg/l)含む排水に0.1mm以下に粉砕された酸化カルシウムを50mmol添加し、10分間攪拌した。30分間放置放置した後、全量を開孔径1μmのメンブランフィルターでろ過した。ろ液に酸化カルシウムを6mmol、水溶性硫酸アルミニウムを3mmol、0.1mm以下に粉砕された石膏6mmolを添加し、pHを11に保つよう水酸化ナトリウム又は硫酸を添加しながら10分間攪拌した。30分間放置した後、上澄み液を開孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過したところ、得られたろ液のフッ素イオン濃度は1mg/l以下であった。
【0058】
[実施例5]
フッ素を20mmol/l(400mg/l)含む排水に0.1mm以下に粉砕された酸化カルシウムを50mmol添加し、10分間攪拌した。その後、酸化カルシウムを6mmol、水溶性硫酸アルミニウムを3mmol、0.1mm以下に粉砕された石膏6mmolを添加し、pHを11に保つよう水酸化ナトリウム又は硫酸を添加しながら10分間攪拌した。30分間放置した後、上澄み液を開孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過したところ、得られたろ液のフッ素イオン濃度は1mg/l以下であった。
【0059】
[実施例6]
フッ素を1mmol/l(20mg/l)含む排水100体積部に対しに粉末ポルトランドセメントと0.1mm以下に粉砕された石膏をそれぞれ1重量部づつ加え、10分間攪拌した。その後pHを11に保つように塩酸を加えて更に10分間攪拌した。30分間の静置後、上澄み上澄み液を開孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過したところ、得られたろ液のフッ素イオン濃度は2mg/lであった。
【0060】
[実施例7]
フッ素を20mmol/l(400mg/l)含む排水100体積部に対し粉末ポルトランドセメントを2重量部添加し10分間攪拌した。30分間放置放置した後、全量を開孔径1μmのメンブランフィルターでろ過した。得られたろ液に水溶性硫酸アルミニウムを3mmol/l、0.1mm以下に粉砕された石膏を0.5重量部添加し、pHを11に保つよう水酸化ナトリウム又は塩酸を添加しながら10分間攪拌した。30分間放置した後、上澄み液を開孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過したところ、得られたろ液のフッ素イオン濃度は2mg/l以下であった。
【0061】
[実施例8]
フッ素を1mmol/l(20mg/l)含む排水100体積部に対し、製鉄過程で副生する二次精錬スラグを0.1mm以下に粉砕した粉末、0.1mm以下に粉砕された石膏をそれぞれ2重量部、0.5重量部を添加して30分間攪拌した。30分間静置した後の上澄み液を開孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過したところ、得られたろ液中のフッ素濃度は1mg/l以下であった。
【0062】
[実施例9]
図1に示した設備を用い、まず反応槽1において、排水(フッ素濃度20mg/l、pH8)に、塩化カルシウム溶液をカルシウムイオン濃度が100mg/lとなるように添加し、次いで0.1mm以下に粉砕された石膏を硫酸イオン濃度が150mg/lとなるように添加し、さらに、ポリ塩化アルミニウムをアルミニウムイオン濃度が60mg/lとなるように添加し、反応槽1内を攪拌しながらpHが11となるように水酸化ナトリウムを加えて調整した。10分間の攪拌の後、固液分離器(シックナー)2において固液分離を行い、上澄み溶液および沈殿スラッジを得た。この上澄み溶液のフッ素濃度を測定したところ、溶液中のフッ素イオン濃度は2mg/lまで低下しており、中和後に放流可能なことが確認された。
【0063】
[実施例10]
図2に示した設備を用い、第1反応槽11において、排水(フッ素濃度100mg/l、pH8)に塩化カルシウム溶液をカルシウムイオン濃度が400mg/lとなるように添加し、20分間攪拌した後、第1固液分離器(シックナー)12において固液分離して上澄み溶液および沈殿スラッジを得た。この上澄み液を第2反応槽21に導き、ここで塩化カルシウム溶液をカルシウムイオン濃度が100mg/lとなるように、また、二水石膏を硫酸イオン濃度が150mg/lとなるように添加し、さらにポリ塩化アルミニウムをアルミニウムイオン濃度が60mg/lとなるように添加し、水酸化ナトリウムでpHを11に調整し、10分間攪拌した。この溶液を第2固液分離器22に移して固液分離を行い、上澄み溶液および沈殿スラッジを得た。この上澄み溶液のフッ素濃度を測定したところ、溶液中のフッ素イオン濃度は1mg/l以下まで低下しており、中和後に放流可能なことが確認された
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フッ素を含有する排水に、セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方および硫酸根を含む物質を添加する処理を施すことにより、排水中に不溶性のエトリンガイトやモノサルフェート等を生成させ、これらの物質中にフッ素を固定し、排水から分離することによって排水中のフッ素を除去低減することができ、これにより工程および処理設備を複雑にすることなく、排水中のフッ素濃度を十分に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を適用した排水処理を一段階の工程で行う設備の概略図。
【図2】本発明法を適用した排水処理を二段階の工程で行う設備の概略図。
【図3】実施例1においてフッ素を含む排水の処理pHによる処理水中のフッ素濃度変化を示すグラフ。
【図4】実施例2においてフッ素を含む排水に酸化カルシウム、硫酸アルミニウム、石膏の添加処理をpH9で行った際の処理水中のフッ素濃度変化を示すグラフ。
【図5】実施例3においてフッ素を含む排水に酸化カルシウム、硫酸アルミニウム、石膏の添加処理をpH11で行った際の処理水中のフッ素濃度変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1;反応槽
2;固液分離器
4;処理剤供給部
5;貯留槽
6;pH調節機構
8;攪拌機構
11;第1反応槽
12;第1固液分離器
14;第1処理剤供給部
15;貯留槽
16;第1pH調節機構
18;攪拌機構
21;第2反応槽
22;第2固液分離器
24;第2処理剤供給部
26;第2pH調節機構
28;攪拌機構

Claims (10)

  1. フッ素を含有する排水に、セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方、および、硫酸根を含む物質を添加することを特徴とするフッ素を含有する排水の処理方法。
  2. 前記セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方および前記硫酸根を含む物質を一度に反応させることを特徴とする請求項に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
  3. 前記セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方を添加して反応させた後に、前記硫酸根を含む物質を添加して反応させることを特徴とする請求項に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
  4. フッ素を含有する排水にカルシウムを含む物質を添加して反応させた後に、前記セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方および前記硫酸根を含む物質を添加して反応させることを特徴とする請求項に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
  5. 排水のpHを9〜12とすることを特徴とする請求項2に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
  6. 前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる際に、排水のpHを9〜12とすることを特徴とする請求項に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
  7. 前記セメントおよびセメントクリンカーの少なくとも一方、ならびに前記硫酸根を含む物質を添加して反応させる際に、排水のpHを9〜12とすることを特徴とする請求項に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
  8. 前記カルシウムを含む物質は、天然のカルシウム含有鉱物、製鉄過程で副生するカルシウム含有スラグ、および、水溶性のカルシウム化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
  9. 前記硫酸根を含む物質は、天然の硫酸含有鉱物、排煙洗浄過程で副生する石膏、酸の中和過程で副生する石膏、および、アルカリの中和過程で副生する石膏の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
  10. 前記フッ素を含有する排水は、製鋼工場の排ガスの冷却水、都市ゴミ焼却炉の排ガス冷却水、直接溶融炉の排ガス冷却水、半導体工場の洗浄水、セラミック製造工場の洗浄水、および、ガラスエッチング処理工場の洗浄水の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のフッ素を含有する排水の処理方法。
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