JP2014063815A - 太陽電池モジュール用封止材組成物、及び封止材シートの製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュール用封止材組成物、及び封止材シートの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014063815A
JP2014063815A JP2012206929A JP2012206929A JP2014063815A JP 2014063815 A JP2014063815 A JP 2014063815A JP 2012206929 A JP2012206929 A JP 2012206929A JP 2012206929 A JP2012206929 A JP 2012206929A JP 2014063815 A JP2014063815 A JP 2014063815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sealing material
solar cell
sheet
cell module
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012206929A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6098084B2 (ja
Inventor
Yasushi Shirohige
靖史 白髭
Toshio Yoshihara
俊夫 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2012206929A priority Critical patent/JP6098084B2/ja
Publication of JP2014063815A publication Critical patent/JP2014063815A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6098084B2 publication Critical patent/JP6098084B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

【課題】従来、低コストで入手可能ではあるものの、封止材シートのベース樹脂としては不適とされていた低分子量(高MFR)のポリエチレン樹脂を用いたものでありながら、耐熱性、絶縁性、加工的性等の諸物性に優れ、太陽電池モジュールの生産性向上に寄与することもできる熱可塑系のポリエチレン封止材シートを提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール用の封止材組成物を、密度0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、前記封止材組成物中の樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上0.5質量部未満含有される架橋剤と、を含み、前記低密度ポリエチレンは、JIS K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが20.0g/10min以上40.0g/10min以下であり、前記架橋剤は、1分間半減期温度が190℃以上250℃以下である封止材組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明はポリエチレン系の太陽電池モジュール用封止材組成物、封止材シートの製造方法、及び太陽電池モジュール用封止材シートに関する。
太陽電池モジュール用の封止材シートとしては、従来、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)と、有機過酸化物に代表される架橋剤との組合せによるものが多く用いられてきた。しかしながら、近年の太陽電池の高出力化に伴い、電気抵抗値の高い封止材が求められるようになり、極性基のあるEVAは、電気抵抗値が不十分であるという問題が顕在化するようになってきた。
この電気抵抗値の問題を解決しうる代替素材として、極性基のないポリエチレン樹脂を用いることが考えられる。ここで、ポリエチレン系の封止材シートの電気抵抗値は、使用するポリエチレン樹脂の密度、及び架橋度合いに依存する。密度、及び架橋度合いが大きい方が電気抵抗値は高くなる。しかし、高密度のポリエチレン樹脂は、透明性に欠けるため、太陽電池用封止材の材料としては好ましくない。よって、ポリエチレン系の封止材シートにおいて好ましい電気抵抗値を備えるためには、低密度ポリエチレンへの架橋処理が必須となる。
このような低密度ポリエチレン封止材シートとして、その封止材組成物に太陽電池モジュールとしての一体化の際の真空ラミネート時にのみ、実質的に架橋が進行する程度の適量の架橋剤を添加した、熱硬化系のポリエチレン封止材シートが開示されている(特許文献1参照)。
特開2012−54521号公報
ここで、例えば、特許文献1に記載の封止材シートのように、熱硬化系のポリエチレン系樹脂を封止材シートの材料樹脂として用いる場合には、ある程度MFRが高い樹脂を用いる必要がある。しかし、熱硬化系のポリエチレン系樹脂は、二重結合の少なさゆえに架橋速度が遅く、モジュール化工程での真空加熱加圧(熱ラミネート)時間が非常に多くかかり生産性が悪く、又、高MFRであり、架橋進行が遅いため、熱ラミネート時に膜厚変化が大きく歩留まりの低下が起こっていた。
その問題を解決するため、製膜後、モジュール化時等において熱硬化処理が不要である熱可塑系のポリエチレン封止材の開発が行われている。製膜して封止材シートとして完成した後には、熱硬化処理を行わない熱可塑系の封止材シート(本明細書においては、以下このような封止材シートのことを「熱可塑系の封止材シート」と言う)においては、熱ラミネート時に物性変化が起こるわけではないため、耐熱性を持たせるために必然的にMFRが低い樹脂が選択されていた。具体的には、比較的分子量が大きく流動性の低い低密度ポリエチレン樹脂、より詳しくは、JIS K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)(本明細書においては、以下、この測定条件による測定値を「MFR」と言う。)が、20.0g/10min未満のポリエチレン樹脂が用いられおり、MFRが、20.0g/10min以上の低分子量のポリエチレン樹脂については、熱可塑系樹脂の封止材においては、事実上太陽電池モジュール用封止材の材料樹脂としての選択肢から除外されていた。
しかし、太陽光発電の広範な普及のためには、更なるコストダウンが必要とされている。一般に、高分子量(低MFR)のポリエチレン樹脂は、低分子量(高MFR)のポリエチレン樹脂と比較して相対的に高価である。太陽電池モジュール用の封止材シートに求められる諸々の物性を備えた上で、更に経済性にも優れる封止材シートの開発が強く望まれている現況の中で、コストダウンの手段として、一般的にローコストで入手可能な低分子量(高MFR)のポリエチレン樹脂を用いた太陽電池モジュールの封止材シートの開発が求められていた。
本発明の目的は、従来、低コストで入手可能ではあるものの、封止材シートのベース樹脂としては不適とされていた低分子量(高MFR)のポリエチレン樹脂を用いたものでありながら、耐熱性、絶縁性、加工的性等の諸物性に優れ、太陽電池モジュールの生産性向上に寄与することもできる熱可塑系のポリエチレン封止材シートを提供することである。
本発明者らは、高MFRの低密度ポリエチレンをベース樹脂とする封止材組成物を、1分間半減期温度が所定の高温度範囲にある架橋剤を含有するものとし、更に、製膜工程を所定の製膜条件の下で行うことにより、高MFRの低密度ポリエチレンをベース樹脂とした熱可塑系のポリエチレン封止材シートでありながら、従来の熱可塑系のポリエチレン封止材シートと遜色のない、或いは、同等以上の、電気抵抗値、透明性、耐熱性、及び密着性等の諸物性を兼ね備えた太陽電池モジュール用封止材シートを、従来品よりもローコストで生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池モジュール用の封止材組成物であって、密度0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、前記封止材組成物中の樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上0.5質量部未満含有される架橋剤と、を含み、前記低密度ポリエチレンは、JIS K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが20.0g/10min以上40.0g/10min以下であり、前記架橋剤は、1分間半減期温度が190℃以上250℃以下である封止材組成物。
(2) (1)に記載の封止材組成物を加熱成形するシート化工程を備え、前記シート化工程は、前記加熱成形を下記の加熱条件で行うことを特徴とする太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
加熱条件:加熱成形中の前記封止材組成物の樹脂温度の平均値が190℃以上260℃以下であり、且つ、加熱成形中の前記樹脂温度が190℃以上である時間が3分以上となること。
(3) (1)又は(2)に記載の製造方法によって製造した太陽電池モジュール用の封止材シートと、その他の太陽電池モジュール構成部材とを、加熱圧着処理により積層一体化する一体化工程を備え、前記加熱圧着処理を下記の加熱条件で行うことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
加熱条件:加熱圧着処理を行っている間の前記封止材シートの樹脂温度が100℃以上170℃以下であること。
本発明の太陽電池モジュール用の封止材組成物及び封止材シートの製造方法によれば、太陽電池モジュール用の封止材シートに求められる電気抵抗値、透明性、耐熱性、及び密着性等の諸物性を兼ね備え、太陽電池モジュールの生産性の向上にも寄与しうる熱可塑系の低密度ポリエチレン封止材シートを、従来よりもローコストで製造することができる。
本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明に係る太陽電池モジュール用の封止材組成物、太陽電池モジュール用の封止材シートとその製造方法、太陽電池モジュール及びその製造方法の順に詳細に説明する。
<封止材組成物>
本発明の太陽電池モジュール用の封止材組成物は、相対的に低コストで収入可能な極めて流動性の高い低分子量のポリエチレン樹脂をベース樹脂とし、且つ、1分間半減期温度が所定の高温度範囲にある架橋剤を含有するものである。この封止材組成物は、所定の高温度範囲の加熱条件下で製膜することにより、太陽電池モジュール用の封止材シートに求められる上記諸物性を有する封止材シートとすることができる。
本発明に用いられる封止材組成物は、密度が0.900g/cm以下であり、且つ、JIS K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが20.0g/10min以上40.0g/10min以下である低密度ポリエチレンと、1分間半減期温度が190℃以上250℃以下である架橋剤と、を必須成分として含有する。以下、上記必須成分について説明した後、その他の樹脂、その他の成分について説明する。
[低密度ポリエチレン]
本発明の封止材組成物は、密度が0.900g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)をベース樹脂として用いる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.900g/cm以下の範囲内、好ましくは0.890g/cm以下の範囲内、より好ましくは0.870g/cm以上0.885g/cm以下の範囲である。この範囲であれば、シート加工性を維持しつつ良好な柔軟性と透明性を付与することができる。
本発明の封止材組成物に用いる低密度ポリエチレンのMFRは、20.0g/10分以上40.0g/10分以下である。又、25.0g/10分以上35g/10分以下であることがより好ましい。
例えば、国際公開公報(WO2011/152314 A1)に記載の通り、低密度ポリエチレン系の封止材シートの製造において、製膜時にゲル分率の変化を伴わない程度の限定的なごく弱い架橋反応(以下「弱架橋」とも言う)を進行させることにより、電気抵抗値、透明性、耐熱性、及び密着性等について好ましい物性を兼ね備える熱可塑系の封止材シートとすることができることは知られている。しかし、この場合、ベース樹脂として、本発明の封止材組成物のような高MFRの低密度ポリエチレン樹脂を選択すると、製膜時に架橋が過度に進行して許容範囲を超えたゲルが発生して生産性が著しく損なわれる。一方、加熱時間の短縮や加熱温度の低下によって架橋の進行を抑えると、封止材シートの耐熱性や絶縁性が不十分となる。よって、上記のように製膜時に弱架橋を行う場合も含めて、熱可塑系のポリエチレン系封止材シートにおいては、MFRが5.0g/10分未満の低MFRのポリエチレン樹脂が、ベース樹脂として用いられてきた。
これに対し、本発明の封止材組成物は、架橋剤の1分間半減期温度と製膜条件を本発明特有の範囲に最適化することにより、高MFRのポリエチレン樹脂をベース樹脂としたものでありながら、製膜時にゲル分率の変化を伴わない程度のごく弱い架橋を限定的に進行させて、耐熱性、絶縁性、加工的性等に優れた封止材シートとするものである。
尚、本明細書において、ゲル分率(%)とは、封止材シート0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。ゲル分率0%とは、上記残留不溶分が実質的に0であり、封止材組成物の架橋反応が実質的に開始していない状態であることを言う。より具体的には、本発明における「ゲル分率0%」とは、上記残留不溶分が全く存在しない場合、及び、精密天秤によって測定した上記残留不溶分の質量%が0.05質量%未満である場合を言うものとする。
ベース樹脂として用いる上記のポリエチレン樹脂は、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンであることがより好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、上記ポリエチレンは、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能であり封止材に対して柔軟性を付与できる。又、上記ポリエチレンの採用により、柔軟性が付与される結果、封止材と透明前面基板との密着性、封止材と裏面保護シートとの密着性等の封止材と基材との密着性が高まる。
又、上記のメタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。したがって、特に、本発明の封止材組成物からなる封止材シートを特に透明前面基板と太陽電池素子との間に配置する場合に、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンの採用により、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与することができる。
又、上記のLLDPEのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、封止材シートに良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材シートと基材との密着性が更に高まる。
本発明の封止材組成物を構成する低密度ポリエチレンには、更に、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有させてもよい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材シートの接着性を向上することができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている方法で製造でき、当該樹脂を太陽電池モジュール用封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造しうる。
直鎖低密度ポリエチレンとグラフト重合させるエチレン性不飽和シラン化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物の含量であるグラフト量は、後述するその他のポリエチレン系樹脂を含む封止材組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、例えば、0.001〜15質量部、好ましくは、0.01〜5質量部、特に好ましくは、0.05〜2質量部となるように適宜調整すればよい。本発明において、エチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
封止材組成物に含まれる上記の密度が0.900g/cm以下のポリエチレンの含有量は、封止材組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上100質量部以下、より好ましくは50質量部以上100質量部以下であり、更に好ましくは90質量部以上100質量部以下である。封止材組成物の融点が80℃未満となる範囲内であれば他の樹脂を含んでいてもよい。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用してもよい。
[架橋剤]
本発明においては、1分間半減期温度が190℃以上250℃以下である架橋剤を用いる。1分間半減期温度を190℃以上とすることは、架橋に寄与する末端二重結合が多く、相対的に架橋反応がより進行しやすい特徴をもつ高MFRの低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂としながらも、過度の架橋の進行を抑制する効果を奏する。又、架橋剤の上限温度は、樹脂酸化劣化の観点から250℃程度である。
尚、モジュール化の工程内で、架橋処理を行うことが求められる従来の熱硬化系の封止材シートの場合には、使用可能な架橋剤の1分間半減期温度は、モジュール化工程での加熱温度及び加熱時間の条件に制約されるため1分間半減期温度が概ね185℃未満のものに事実上限定されていた。従来の熱硬化系の封止材においては、架橋剤は、製膜中に架橋しないことと、熱ラミネート時には架橋するということを、前提に、1分間半減期温度が概ね185℃未満のものが選択されている。即ち、1分間半減期温度が190度以上の架橋剤は、従来、太陽電池用の封止材用途としては、現実に用いられている例はなく、よって、少なくともこの点において、本発明の封止材組成物は、新規なものである。
1分間半減期温度が190℃以上250℃以下である架橋剤の具体例として、例えば、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3,−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等を挙げることができる。
本発明においては、1分間半減期温度が上記範囲にある架橋剤を、封止材組成物中の架橋剤の含有量が、一般的な熱架橋処理の場合よりも少ない特定の範囲の含有量となるように架橋剤を使用する。架橋剤の含有量は、太陽電池モジュール用封止材組成物中に0.01質量%以上0.5質量%未満であり、上限は好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。封止材組成物中の架橋剤の含有量を0.5質量%未満とすることにより、上記の高MFRの低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂とした場合であっても、製膜時の樹脂の過度な架橋と製膜プロセス負荷を抑えてシート化ができ、弱架橋によって耐久性において特に優れた封止材シートとすることができる。封止材組成物中の架橋剤の含有量が0.5質量%以上となると、製膜時に架橋が進行して、製膜不可となってしまう。一方、封止材組成物中の架橋剤の含有量が0.01質量%未満であると上記の高MFRの低密度ポリエチレン樹脂を用いたとしても、弱架橋が進まず耐熱性が不足する。
[架橋助剤]
本発明の封止材組成物においては、架橋助剤は必須の構成要素ではないが、必要に応じて適宜使用することができる。ここで架橋助剤とは、例えば、多官能ビニル系モノマー及び/又は多官能エポキシ系モノマー等であり、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。
架橋助剤を使用する場合には、上記のなかでも、低密度ポリエチレンに対する相溶性が良好で、架橋によって結晶性を低下させ透明性を維持し、低温での柔軟性を付与する観点からTAICが好ましく使用できる。又、シランカップリング剤との反応性の観点から1,6−ヘキサンジオールジアクリレートも好ましく使用することができる。又、封止材組成物への架橋助剤の適量添加は、直鎖低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ、より高い透明性を維持することもできる。
[その他の成分]
本発明の封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の封止材組成物から作製された太陽電池モジュール用の封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、太陽電池モジュール用の封止材シートに良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明に用いる直鎖低密度ポリエチレンでもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。
尚、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
更に、本発明の封止材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、シランカップリング剤等の接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
<封止材シート>
本発明の封止材シートは、上記の本発明の封止材組成物を、下記に詳細を説明する製造方法で製膜する過程で、加熱成形中に上記の弱架橋処理を施すことにより得られるものであり、シート状又はフィルム状としたものである。尚、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
[封止材シートの製造方法]
本発明の封止材シートの製造方法は、上記の封止材組成物を、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により製膜(シート化)することにより行われる。尚、封止材シートが多層フィルムである場合のシート化の方法としては、一例として、2種以上の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。尚、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
(シート化工程)
本発明の製造方法においては、封止材シートのシート化工程における加熱成形を以下の加熱条件の下で行う。即ち、加熱成形中の封止材組成物の樹脂温度が、使用する架橋剤の1分間半減期温度を超えていて、且つ、190℃以上260℃以下の温度範囲にあり、且つ、上記樹脂温度が、上記温度範囲内である時間(この時間のことを「製膜時間」とも言う。より具体的には、成形機への封止材組成物投入から、成形部分から排出されるまでの時間のことを言う)が、3分以上となるように加熱条件を調整して、シート化工程を行う。尚、ここで、本明細書における「加熱成形中の封止材組成物の樹脂温度」とは、押し出し機の成形部分における樹脂温度のことを言うものとする。又、上記成形部分とは、例えばTダイ押し出し機におけるダイス部分のことを言う。尚、このような樹脂温度は、加熱時の封止材シートの上面部に温度センサー熱電対を貼付し、温湿度データロガーを用いることにより、測定することができる。
樹脂温度、及び製膜時間を上記範囲とすることにより、高MFRのポリエチレン樹脂をベース樹脂とした封止材組成物を用いた場合であっても、1分間半減期温度が190℃以上である架橋剤との組合せによって、封止材組成物を好ましい態様で弱架橋することがでる。これにより、本発明の製造方法によれば、本発明の封止材組成物を用いて、優れた絶縁性や耐熱性を有する封止材シートとすることができる。
製膜温度が190℃未満であると、本発明の封止材組成物を用いた場合に、弱架橋が適切に進行せず、封止材シートに絶縁性や耐熱性を付与することができない。
又、製膜温度の上限は、架橋進行の最適化の観点からは、使用する架橋剤の1分間半減期温度に応じて、加熱成形中に限定的な弱架橋反応の範囲を超えた過度の架橋反応が開始しない温度、即ち、封止材組成物のゲル分率を0%に維持できる温度であればよく、具体的には、使用する架橋剤の1分間半減期温度を超える温度であり、且つ、架橋の過度な進行を抑制するために、使用する架橋剤の1分間半減期温度との温度差が25℃以下であればよい。但し、ポリエチレンの酸化の観点から、現実の実施上は、260℃以下であることが好ましい。
又、製膜時間が3分未満であると、やはり、本発明の封止材組成物を用いた場合に、上記製膜温度範囲では、弱架橋が十分に進行せず、封止材シートに上記の絶縁性や耐熱性を十分に付与することができない。上記製膜温度範囲を超えた高温加熱によれば、より短時間での架橋を進行させることは可能ではあるが、ゲル物発生による生産性低下が起こる場合があり好ましくない。
上記シート化工程を経て成形された本発明の封止材シートは、その物性面からは、i)低密度を維持しつつ、ii)耐熱性が向上しているが充分な製膜性を有する、という特徴がある。i)について、本発明の封止材シートの密度は、主たる原料である低密度のポリエチレン系樹脂の密度とほぼ同等の凡そ0.900g/cm以下で増加せず、溶融成形前後の前記樹脂組成物の密度差が0.05g/cm以内である。このため、透明性は維持したままである。
一方、本発明の封止材シートの、ii)耐熱性は、MFRが0.05g/10min以上3.0g/10min未満であり、好ましくは溶融成形前後の封止材組成物のMFR差が20.0g/10min以上30.0g/10min以下であることから、製膜可能なMFRの範囲内でありながら耐熱性が向上している。通常、樹脂のMFRと密度とは正の相関があるところ、本発明においては、密度を変えずに、成形可能なMFRの範囲内でMFRを若干増加させることを可能としている。
上記の弱架橋処理の結果は、そのゲル分率からも理解できる。本発明の封止材シートのゲル分率は0%である。
本発明の封止材シートのポリスチレン換算の重量平均分子量が12万以上30万以下であり、製膜後の封止材シート/封止材組成物中のポリエチレン系樹脂、の重量平均分子量の比が1.3以上4.0以下の範囲である。このことからも、巨大分子化しているが密な架橋構造は形成しておらず、弱架橋が形成されていることが理解できる。
封止材シートは、モジュール製造時の良品率を充分に高く維持するために、熱収縮率が所定の値以下であることが望ましい。封止材シートの熱収縮率は、45%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が最も好ましい。例えば、190℃、真空引き:5分、加圧:(0kPa〜100kPa):1.5分、圧力保持(100kPa):7.0分という、本発明の製造方法における代表的な条件で、且つ、MFRが20.0g/10分以上40.0g/10分以下の高MFRのポリエチレン樹脂を用いてラミネート処理を行った場合には、上記熱収縮率を45%以下に抑えることができる。
以上より、本発明の封止材シートの製造方法によれば、高MFRのポリエチレン樹脂をベース樹脂として用いながら、加熱成形中の封止材組成物のゲル分率を0%に維持することにより、製膜時に押出機等にかかる負荷を低減し、封止材シートの生産性を高めることが可能である。又、成膜時に、限定的なごく弱い架橋を限定的に進行させることによって、製膜後の封止材シートを、耐熱性、絶縁性等に優れた封止材シートとすることができる。
<太陽電池モジュール>
図1は、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、前面封止材層3及び背面封止材層5の少なくとも一方に上記の封止材シートを使用する。
[太陽電池モジュールの製造方法]
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法によれば、上記の加熱圧着処理を行っている間の封止材シートの樹脂温度が100℃以上170℃以下の範囲となるようにして、加熱圧着処理を行うことができる。従来のEVA封止材を用いる場合は一般に140℃を超える加熱が必須である。又、一般的なポリエチレン系の封止材シートは架橋速度が遅いため、これを用いた場合に、例えば140℃以下の温度でラミネート処理を行うと、長時間の加熱が必要となり、ラミネート処理中の膜厚変化が大きくなったり、或いは、一体化後の再度の熱キュアが必要になる等の不都合があった。
尚、太陽電池モジュールの製造時における封止材シートの樹脂温度については、太陽電池モジュールの製造時と同一の構成で積層された封止材シートを含む積層体を、太陽電池モジュール製造時と同一の加熱条件により、試験的に熱ラミネーション処理を行い、その際に、封止材シートの上面部には、温度センサー熱電対を貼付し、温湿度データロガーを用いることにより、測定することができる。本明細書における「加熱圧着処理を行っている間の封止材シートの樹脂温度」とは、そのようにして測定した温度プロファイルのことを言うものとする。
尚、「加熱圧着処理を行っている間の封止材シートの樹脂温度」を「上記温度範囲となるようにする」とは、例えば、バッチ処理により、封止材シートを一定温度で加熱している場合であっても、加熱時間等の調整によって、加熱中の封止材シートの樹脂温度が、最初に100℃以上に達した後、上記温度範囲から逸脱しない範囲で加熱を継続した場合等も含むものとする。
又、従来は、MFRが20.0g/10分以上の高MFRの熱可塑系ポリエチレン樹脂を用いた場合には、耐熱性や成形安定性等に劣ることが問題となるため、材料ポリエチレン樹脂は事実上MFRが20.0g/10分未満の樹脂に限定されていた。しかし、本発明の製造方法においては、MFRが20.0g/10分以上のポリエチレン系樹脂を用いることができるため、更に低温でも適切にラミネート処理を行ない、太陽電池モジュールの製造を好ましい態様で実施することができる。
本発明の封止材シートを用いた前面封止材層3、背面封止材層5の加熱圧着成形後のゲル分率は0%であることが好ましい。この範囲とすることで、太陽電池モジュール1を、高い透明性を有する封止材層を備え、且つ、好ましい耐熱性を有するものとすることができる。
そして、本発明の太陽電池モジュールの製造方法においては、本発明の封止材シートの製造方法によって製造した封止材シートを用いることで、真空加熱ラミネート中における封止材シートの流動を十分に抑制できる。又、モジュール化工程又はその後の加熱工程による架橋工程がないので、架橋条件を考慮する必要がなくなる分、モジュール化工程における真空加熱ラミネートの条件の自由度が高くなり、又、モジュール化工程の時間も短縮でき生産性も大幅に向上する。特にEVA系に比べて架橋速度が遅いというポリエチレン系封止材シートの問題点も解消でき、モジュール化の時間を大幅に短縮することができる。
尚、本発明の太陽電池モジュール1において、前面封止材層3及び背面封止材層5以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4及び裏面保護シート6は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。尚、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は単結晶型に限らず、薄膜型その他の全ての太陽電池モジュールの製造に適用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<封止材シートの製造>
下記組成からなる封止材組成物を混合して溶融し、常法Tダイ法により厚さ400μmとなるように製膜して、実施例、比較例、及び試験例の封止材シートを得た。
尚、製膜時の加熱成形中の加熱条件は、それぞれ表1に記載の通りとした。表1における温度とは、上記において定義した通りの「加熱成形中の封止材組成物の樹脂温度」のことを言い、又、表1における時間とは、上記において定義した通りの「製膜時間」のことを言う。
(ベース樹脂)
MFRの異なる下記の2種のLLDPE(樹脂M1(高MFR)又はM2(低MFR))のいずれか75質量部と、シラン変性ポリエチレン系樹脂(樹脂S)25質量部を混合溶融したものを封止材組成物のベース樹脂とした。
LLDPE(樹脂M1)
:ポリエチレン系樹脂(LLDPE):エチレンと1−ヘキセンとの共重合体であり、密度0.880g/cm、MFR30g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。ポリスチレン換算の数平均分子量55000。
LLDPE(樹脂M2)
:ポリエチレン系樹脂(LLDPE)。エチレンと1−ヘキセンとの共重合体であり、密度0.880g/cm、MFR3g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。ポリスチレン換算の数平均分子量100000。
(架橋剤)
下記の3種の架橋剤(架橋剤1又は架橋剤2)を用い、各実施例、比較例、参考例の封止材組成物に、それぞれ表1に示す量(質量部)を添加した。
2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(架橋剤1)
:1分間半減期温度194℃。アルケマ吉富株式会社製、商品名:「ルペロックス130」
ジ−t−ブチルパーオキサイド(架橋剤2)
:1分間半減期温度197℃。アルケマ吉富株式会社製、商品名:「ルペロックスDI」
2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(架橋剤3)
:1分間半減期温度181℃。アルケマ吉富株式会社製、商品名:「ルペロックス101」
(密着性向上剤)
密着性向上剤としてシランカップリング剤を用いた。シランカップリング剤は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM503)を用い、全ての実施例、比較例、参考例の封止材組成物に、0.5質量部添加した。
(その他の添加剤)
UV吸収剤(ケミプロ化成株式会社製、商品名KEMISORB12)を全ての実施例、比較例、参考例の封止材組成物に、0.25質量部添加した。
耐候安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、商品名Tinuvin770)を全ての実施例、比較例、参考例の封止材組成物に、0.2質量部添加した。
酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、商品名Irganox1076)を全ての実施例、比較例、参考例の封止材組成物に、0.05質量部添加した。
実施例、比較例、及び試験例、それぞれの封止材組成物のMFRを測定した。この測定にあたっては、測定時の架橋進行の影響を排除するため、各封止材組成物から架橋剤成分を排除したものについてMFRを測定した。結果は表1に示す通りとなった。MFRの定義については、先に説明した通りである。
実施例、比較例、及び試験例のそれぞれの製膜後の封止材シートについて、上記において説明した方法によりゲル分率を測定した。結果は表2に示す通りとなった。尚、ゲル分率0%の定義については、先に説明した通りである。
Figure 2014063815
<評価例1>
厚さを400μmで成形した実施例、比較例、及び試験例の封止材シートの体積抵抗値を下記方法により測定し、絶縁性を評価した。
[体積抵抗値(Ω)の試験方法]
上記の封止材シートにつき、JIS C6481により体積抵抗値を測定した。測定機器としては、超絶縁計(日置電機株式会社製:型番SM−8215)を用いて測定した。それぞれの実施例、比較例、及び試験例について測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表2に示す。
A:1.0E+15Ω以上
B:7.0E+14Ω以上1.0E+15Ω未満
C:7.0E+14Ω未満
<評価例2>
30mm×75mmにカットした実施例、比較例、及び試験例の封止材シートを、それぞれガラス基板(青板ガラス 30mm×75mm×3.2mm)に上に積層し、ラミネート後の封止材シートの膜厚が360〜400μとなるようにスペーサーを挟んだ状態で、真空加熱ラミネータ処理を行い、同処理後のそれぞれの封止材シートのHAZEを(%)下記の試験方法により測定して太陽電池モジュールとしての一体化後における透明性を評価した。ラミネート処理条件は、下記の通りとした。
(ラミネート条件) (a)真空引き:5.0分
(b)加圧(0kPa〜100kPa):1.5分
(c)圧力保持(100kPa):8.0分
(d)温度150℃
[ヘーズ(%)の試験方法]
JISK7136に沿って、株式会社村上色彩研究所 ヘーズ・透過率系HM150にて測定した。それぞれの実施例、比較例、及び試験例について測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表2に示す。
A:4.0%未満
B:4.0%以上5.5%未満
C:5.5%以上
<評価例3>
実施例、比較例、及び試験例の製膜後の封止材シートについて、下記の方法により、それぞれ、耐熱クリープを測定し、耐熱性評価の指標値とした。
[耐熱クリープ試験(mm)の試験方法]
7.5×5.0cmにカットした実施例、比較例、及び試験例の製膜後の封止材シートを、ガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 150mm×150mm×3.2mm)上に2枚重ね置き、その上からガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)を重ね置き、評価例2と同じ熱ラミネート条件で真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例、及び試験例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の試験条件における耐熱クリープ試験を行い、耐熱性を評価した。
上記の太陽電池モジュール評価用サンプルを垂直に置き、140℃で12時間放置し、放置後のガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)の移動距離を計測評価した。それぞれの実施例、比較例、及び試験例の製膜後の封止材シートについて測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表2に示す。
A:4.0mm未満
B:4.0mm以上6.0mm未満
C:6.0mm以上
<評価例4>
15mm幅にカットした実施例、比較例、及び試験例の封止材シートを、それぞれガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)上に密着させて、評価例1と同じ熱ラミネート条件で、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の試験条件におけるガラス密着強度を測定してガラス密着性を評価した。
[ガラス密着強度(N/15mm)の試験方法]
剥離試験方法:上記太陽電池モジュール評価用サンプルにおいて、ガラス基板上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行いガラス密着強度を測定した。それぞれの実施例及び比較例について測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表2に示す。
A:30N/15mm以上
B:25N/15mm以上30N/15mm未満
C:25N/15mm未満
Figure 2014063815
表2より、高MFRの樹脂をベース樹脂とした本発明の封止材組成物を用いた封止材シートの製造方法は、ゲル分率を0%に保持したまま製膜を行う方法であるため、シート化工程における生産性の観点から優れた方法であることが分かる。又、流動性の高い樹脂をベース樹脂として用いた場合におきる従来の問題点であった耐熱性についても、低MFRの樹脂を用いた従来品(比較例1、2)に遜色ない物性を封止材シートに付与しうるものであることが分かる。
又、表2より、本発明の製造方法によれば、本発明特有の弱架橋を適切に進行させることによって、従来品以上の優れた、透明性、絶縁性を封止材シートに付与しうるものとすることができる。
又、表2より、本発明の製造方法によれば、太陽電池モジュールの構成部材の主たる材料であるガラスに対する密着性も充分に有する封止材シートを製造できることが分かる。尚、その他の基材との密着性についても、積層する基材毎に製膜条件や封止材組成物への添加物の種類と量を適宜調整することにより、密着性を高めることが可能であると考えられる。
表1〜2より、本発明の封止材シートの製造方法は、架橋剤の種類と含有量、及び、製膜条件を、それぞれ本発明独自の範囲に限定することによって、加工適性、耐熱性、密着性の全てにおいて優れた封止材シートを、従来よりもローコストで製造できる製造方法であることが分かる。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート

Claims (3)

  1. 太陽電池モジュール用の封止材組成物であって、
    密度0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、
    前記封止材組成物中の樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上0.5質量部未満含有される架橋剤と、を含み、
    前記低密度ポリエチレンは、JIS K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが20.0g/10min以上40.0g/10min以下であり、
    前記架橋剤は、1分間半減期温度が190℃以上250℃以下である封止材組成物。
  2. 請求項1に記載の封止材組成物を加熱成形するシート化工程を備え、
    前記シート化工程は、前記加熱成形を下記の加熱条件で行うことを特徴とする太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
    加熱条件:加熱成形中の前記封止材組成物の樹脂温度が、前記架橋剤の1分間半減期温度を超えていて、且つ、190℃以上260℃以下の温度範囲にあり、前記樹脂温度が、前記温度範囲内である時間が3分以上となること。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法によって製造した太陽電池モジュール用の封止材シートと、その他の太陽電池モジュール構成部材とを、加熱圧着処理により積層一体化する一体化工程を備え、
    前記加熱圧着処理を下記の加熱条件で行うことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
    加熱条件:加熱圧着処理を行っている間の前記封止材シートの樹脂温度が100℃以上170℃以下であること。
JP2012206929A 2012-09-20 2012-09-20 太陽電池モジュール用封止材組成物、及び封止材シートの製造方法 Expired - Fee Related JP6098084B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206929A JP6098084B2 (ja) 2012-09-20 2012-09-20 太陽電池モジュール用封止材組成物、及び封止材シートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206929A JP6098084B2 (ja) 2012-09-20 2012-09-20 太陽電池モジュール用封止材組成物、及び封止材シートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014063815A true JP2014063815A (ja) 2014-04-10
JP6098084B2 JP6098084B2 (ja) 2017-03-22

Family

ID=50618811

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012206929A Expired - Fee Related JP6098084B2 (ja) 2012-09-20 2012-09-20 太陽電池モジュール用封止材組成物、及び封止材シートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6098084B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160029565A (ko) 2014-09-05 2016-03-15 에스케이씨 주식회사 태양전지용 봉지재 시트 및 이를 포함하는 태양전지 모듈
JP2016152269A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP2019110310A (ja) * 2019-02-07 2019-07-04 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材シート

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011155238A (ja) * 2009-12-28 2011-08-11 Japan Polyethylene Corp 太陽電池封止材用樹脂組成物
JP2012094845A (ja) * 2010-09-30 2012-05-17 Dainippon Printing Co Ltd 太陽電池モジュール用封止材及びそれを用いた太陽電池モジュールの製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011155238A (ja) * 2009-12-28 2011-08-11 Japan Polyethylene Corp 太陽電池封止材用樹脂組成物
JP2012094845A (ja) * 2010-09-30 2012-05-17 Dainippon Printing Co Ltd 太陽電池モジュール用封止材及びそれを用いた太陽電池モジュールの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160029565A (ko) 2014-09-05 2016-03-15 에스케이씨 주식회사 태양전지용 봉지재 시트 및 이를 포함하는 태양전지 모듈
JP2016152269A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP2019110310A (ja) * 2019-02-07 2019-07-04 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP6098084B2 (ja) 2017-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5716852B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材及びその製造方法
JP5866857B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材組成物、太陽電池モジュール用封止材シート
JP5891745B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP2014072299A (ja) 封止材シート
JP2014241342A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP7347568B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP6106945B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP6375756B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法
JP2022089891A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP6098084B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材組成物、及び封止材シートの製造方法
JP2014241391A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材組成物の組合せセット、封止材シート、及び封止材シートの製造方法
JP6255694B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材
JP2013115212A (ja) 太陽電池モジュール用封止材シートの製造方法及びそれを用いた太陽電池モジュールの製造方法
JP6149371B2 (ja) 太陽電池モジュールおよびその製造方法
JP2012234965A (ja) 太陽電池モジュール用封止材組成物及びその製造方法
JP6028472B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材シートの製造方法
JP6248669B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP6035707B2 (ja) 太陽電池モジュールの製造方法
JP2018050027A (ja) 太陽電池モジュール
JP2014093477A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材組成物
JP6003481B2 (ja) 封止材シート及びその製造方法
JP6205783B2 (ja) 太陽電池モジュールの製造方法
JP2014053427A (ja) 太陽電池モジュール用封止材シートの製造方法
JP6965504B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP2018110160A (ja) 太陽電池モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150727

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160613

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160808

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160928

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6098084

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees