JP6106945B2 - 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はポリエチレン系の太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法に関し、更に詳しくは、電子線等の電離放射線によって架橋処理された封止材シートに関する。
太陽電池モジュール用の封止材としては、従来から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)と、有機過酸化物に代表される架橋剤との組み合わせによるものが多く使用されてきた。又、近年、水蒸気遮断性に優れる利点を生かしてEVAに代わりポリエチレン系樹脂も検討されている。
これに関して、下記の特許文献1では、EVAやポリエチレン系樹脂に有機シラン化合物等のカップリング剤を添加した組成物に、電離放射線を照射して架橋させ、所定のゲル分率を得ることにより、有機過酸化物を用いないで耐クリープ性と密着性を向上させる技術が開示されている。
又、下記の特許文献2には、ポリエチレン系樹脂にシランカップリング剤と有機過酸化物を添加した組成物を加熱して架橋させることにより、耐熱性、密着性等を向上させる技術が開示されている。
特開2009−249556号公報 特開2012−25946号公報
しかしながら、特許文献1に記載の封止材シートのように、ポリエチレン系樹脂に単に電離放射線を照射して得られる封止材シートは、架橋によって耐熱性は向上するものの、透明性を向上することができない。透明性は発電効率に大きく影響し、特にポリエチレン系樹脂の場合にはEVAにくらべてヘーズ値が高く透明性に劣る。このため、電離放射線を照射して耐熱性を向上させるとともに、同時に透明性にも優れるポリエチレン系の封止材シートが求められていた。
一方、特許文献2に記載の封止材シートのように、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材シートの製造において、シランカップリング剤と有機過酸化物を併用すると、封止材組成物の溶融成形時に、成膜中にポリエチレン樹脂中に光学特性を妨げ、生産性を低下させる不要なゲルが発生するという問題があった。尚、図3は、後述の実施例中において詳細を説明する比較例2の予備封止材シートの90×120mmの範囲をカメラによって撮影した拡大写真であり、図中の矢印g部分にゲルが発生していることが分る。
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電離放射線を照射して耐熱性を向上させるとともに、同時に透明性及び密着性にも優れるポリエチレン系の封止材シートを、安定的に提供することにある。
本発明者らは、電離放射線を照射する場合には不要と考えられていた有機過酸化物である架橋剤をあえて少量含有させることにより、電離放射線による耐熱性の向上とともに、透明性の維持も可能となること、及び、密着性の向上のために添加するシランカップリング剤をビニル系のシランカップリング剤に限定することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 密度0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、シランカップリング剤と、架橋剤と、を含有する封止材組成物を溶融成形して予備封止材シートを得るシート化工程と、前記予備封止材シートを、電離放射線の照射によって架橋処理する架橋工程と、を備え、前記シランカップリング剤はビニル系のシランカップリング剤であることを特徴とする太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
(2) 前記封止材組成物中の前記シランカップリング剤の含有量が、0.01質量%以上1.0質量%以下である(1)に記載の太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
(3) 前記封止材組成物中の架橋剤の含有量が、0.005質量%以上1.0質量%以下である(1)又は(2)に記載の太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
(4) 前記溶融成形後の予備封止材シートのゲル分率が0%である(1)から(3)のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
(5) 前記架橋処理後の封止材シートのゲル分率が0%である(1)から(4)のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
(6) 前記架橋処理後の封止材シートの厚さ600μmにおけるヘーズ値が4%以下である(1)から(5)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
(7) 密度0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、ビニル系のシランカップリング剤と、を含有する封止材組成物をシート状に成型した予備封止材シートに、電離放射線を照射してなる、太陽電池モジュール用の封止材シートであって、
前記封止材シート中のビニル系のシランカップリング剤含有量が0.01質量%以上1.0質量%以下であり、前記架橋処理後の封止材シートのゲル分率が0%であり、且つ、厚さ600μmにおけるヘーズ値が4%以下であることを特徴とする封止材シート。
(8) 最外層に配置されて密着強化層を構成する外層と、それ以外の内層とを少なくとも有する多層の太陽電池モジュール用の封止材シートであって、前記封止材組成物を、共押出し法により成型した多層の予備封止材シートに、電離放射線を照射してなり、前記外層中のビニル系のシランカップリング剤含有量が、0.1質量%以上1.0質量%以下であり、前記内層中のビニル系のシランカップリング剤含有量が、0.01質量%以上1.0質量%以下であり、前記架橋処理後の多層の封止材シートのゲル分率が0%であり、且つ、厚さ600μmにおけるヘーズ値が4%以下であることを特徴とする多層の封止材シート。
(9) 前記外層の厚さが、前記封止材シート全体の厚さの10%以上20%以下である(8)に記載の多層の封止材シート。
(10) (7)から(9)のいずれかに記載の封止材シートと、ガラス製の透明前面基板と、を備え、前記封止材シートと、前記透明前面基板とが、密着して積層されている太陽電池モジュール。
本発明によれば、電離放射線を照射して耐熱性を向上させるとともに、同時に透明性と密着性にも優れるポリエチレン系の封止材シートを提供できる。
本発明の一実施形態である太陽電池モジュールの層構成の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態である封止材シート(実施例1)の製造工程における押し出し成形時の予備封止材シート(90×120mmの範囲)にゲルが発生していない様子を示す拡大写真である。 比較例とした一般的な封止材シート(比較例2)の製造工程における押し出し成形時の予備封止材シート(90×120mmの範囲)にゲルが発生している様子を示す拡大写真である。
以下、本発明に係る封止材組成物(以下、単に「封止材組成物」とも言う)、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート(以下、単に「封止材シート」とも言う)、及びこの封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて説明する。
<封止材組成物>
本発明に用いられる封止材組成物は、密度が0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、ビニル系のシランカップリング剤と、架橋剤と、を必須成分として含有する。以下、上記必須成分について説明した後、その他の樹脂、その他の成分について説明する。
[低密度ポリエチレン]
本発明においては密度が0.900g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.900g/cm以下の範囲内、好ましくは0.890g/cm以下の範囲内、より好ましくは0.870g/cm以上0.885g/cm以下の範囲である。密度0.900g/cm以下の範囲内であれば、シート加工性を維持しつつ良好な柔軟性と透明性を付与することができる。
本発明においてはメタロセン系直鎖低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能であり封止材に対して柔軟性を付与できる。柔軟性が付与される結果、封止材と透明前面基板との密着性、封止材と裏面保護シートとの密着性等の封止材と基材との密着性が高まる。
又、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。したがって、本発明の封止材組成物からなる封止材が透明前面基板と太陽電池素子との間に配置されても発電効率はほとんど低下しない。
直鎖低密度ポリエチレンのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、封止材に良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材と基材との密着性が更に高まる。
低密度ポリエチレンのメルトマスフローレート(MFR)は、JIS−K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFR(本明細書においては、以下、この測定条件による測定値をMFRと言う)が0.5g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上40g/10分以下であることがより好ましい。本発明の封止材シートは封止材組成物の溶融形成後に、電離放射線の照射によって、架橋処理を行う架橋済の封止材シートである。このため、ベースとなる低密度ポリエチレンのMFRが高くても、製膜後の架橋処理によってモジュール化時の流動性は抑制できる。このため、上記範囲のような高いMFRであっても好適に使用することができる。
尚、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材組成物においては、更に、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有させることによって、封止材シートに必要十分な密着性を備えさせるものが広く知られている(特開2003−46105号公報に記載)。しかし、本発明の封止材シートは、ビニル系のシランカップリング剤の添加と電離放射線による架橋の組み合わせによって、そのような従来の封止材シートと同等以上の十分にな密着性を封止材シートに備えさせうるものである。よって、一般に市場での入手価格が高価なシラン変性ポリエチレン系樹脂を添加する必要はなく、これにより、製造コストを大きく削減することができるものである。
封止材組成物に含まれる上記の密度が0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂の含有量は、組成物中で好ましくは10質量%以上99質量%以下、より好ましくは50質量%以上99質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。即ち、本発明の効果を損なわない範囲内であれば他の樹脂を含んでいてもよい。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用してもよい。
[シランカップリング剤]
電離放射線の照射よる架橋処理を行う封止材シートの製造方法においては、封止材組成物に、密着性向上のためのシランカップリング剤を添加することが好ましい。これは、電離放射線を大量に照射すると、拡大率を抑制できる一方で、封止材シート表面の密着成分がダメージを受けて密着性が低下する場合もあるが、低分子量のシランカップリング剤の染み出し効果によって密着力が担保できるためであると推測される。しかしながら、上述した通り、一般的にシランカップリング剤を大量に添加すると、封止材組成物中の架橋剤との反応によって成膜性を低下させてしまうという問題があった。そこで、本発明においては、密着性向上剤として添加するシランカップリング剤を、比較的ラジカル反応性が小さいビニル系のシランカップリング剤に限定することによって、この問題を解決した。
ここで、シランカップリング剤とは、分子内に有機材料及び無機材料と結合する官能基を併せ持つシラン化合物のことを言い、一般式R−Si(OR’)3で表されるものである(Rは有機官能基で、R’は、メチル基又はエチル基)。ビニル系のシランカップリング剤とは、ビニル基を有機官能基として有するシランカップリング剤である。このようなビニル系のシランカップリング剤として、公知のシランカップリング剤を好適に用いることができる。例えば、「KBM1003」、「KBE1003」(いずれも「信越シリコーン株式会社」製)があり、市場から容易に入手できる。
ビニル系のシランカップリング剤の含有量は、封止材組成物中に0.01質量%以上1.0質量%以下であり、好ましくは0.02質量%以上1.0質量%以下である。0.01質量%未満であると太陽電池モジュールを構成する部材への密着性が好ましい範囲にまで向上しない。又、1.0質量%を超えると、ビニル系のシランカップリング剤であっても、ゲルの発生等により製膜性が低下し、又、シランカップリング剤が経時により凝集固化し封止材表面で粉化する、いわゆるブリードアウトが発生する場合があり好ましくない。
ビニル基は、アクリロキシ基やメタクリロキシ基等のその他の有機官能基と比較して、ラジカル反応性が相対的に低く、密着性向上に必要な量を添加した場合に、成膜中の不要なゲルの発生は極めて起こりにくい。有機過酸化物等の架橋剤を用いた封止材シートの製造においては、密着性向上のために添加するシランカップリング剤を、ビニル系シランカップリング剤に限定することによって、成膜性を極めて良好な状態に保ったまま、ガラス密着性を向上することを可能としたものであり、この点に本発明の新規な点がある。
[架橋剤]
従来は、電離放射線の照射による架橋処理を行う場合には、熱架橋処理の場合と異なり、有機過酸化物等の架橋剤は不要と考えられていた。しかし、本発明に用いられる封止材組成物は、電離放射線の照射による架橋処理を行うものでありながら、尚、少量の架橋剤を含有するものである。これによって架橋剤を添加しない場合と比較して封止材シートの透明性が向上する。電離放射線の照射による架橋処理における架橋剤の作用は定かでないが、電離放射線はエネルギーが強いので架橋が進行するが、HAZEの要因となる結晶はある温度以上にならないとほぐれず架橋に関与せず残るためであると推定される。このように、架橋剤の添加により、電離放射線の照射による耐熱性の向上とともに透明性の維持も可能としている点にも、本発明の新規な点がある。
架橋剤は公知のものが使用でき特に限定されず、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。
本発明の封止材組成物への架橋剤の添加量は、封止材組成物中に、0.005質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以上0.1質量%未満であることが更に好ましい。封止材組成物への架橋剤の添加量をこの範囲とすることにより、耐熱性、密着性に加えて、透明性においても特に優れた封止材シートとすることができる。この場合において、架橋剤の含有量が0.005質量%未満であると透明性向上の効果が不充分であり、1.0質量%を超えると、押し出し時の負荷が高くなり、成形中にゲルが発生する等して製膜性が低下し、透明性も低下する。尚、本発明の封止材シートは、電離放射線の照射による架橋処理を行うことによって得ることができるものであるが、この場合、架橋材の添加量は、従来の熱架橋の場合と異なり、架橋材の添加量が、0.5質量%未満であっても充分な耐熱性を得ることができる。これにより、封止材組成物のシート化工程における封止材組成物のゲル化による生産性低下のリスクが低減でき、又、架橋剤の使用量削減によって製造コストを下げることもできる。
尚、一般的に、従来の未架橋の封止材シートはモジュール化の工程内で、全ての架橋処理を行うことが求められている。このため、そのような熱架橋処理に用いる架橋剤の半減期温度は、モジュール化工程での加熱温度及び加熱時間の条件に制約されて、1分間半減期温度が概ね185℃未満のものに事実上限定されていた。しかし、本発明の封止材シートを製造する場合には、上記の制約を受けずに架橋剤を選択することができる。一般的に架橋剤の上限温度は、樹脂酸化劣化の観点から230℃程度であるが、本発明の封止材シートの製造においては、この範囲であれば、1分間半減期温度が185℃以上の架橋剤も自由に選択することが可能である。又、このように選択範囲が広がることにより、未架橋で成形可能な温度が向上し、生産性が向上するというメリットもある。
[架橋助剤]
本発明の封止材組成物は、実質的に架橋助剤を使用しないものであることが好ましい。ここで架橋助剤とは、例えば、多官能ビニル系モノマー及び/又は多官能エポキシ系モノマー等であり、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。尚、本発明における「実質的に架橋助剤を使用しない」とは、架橋効果を示さない程度の量が不純物的に含有しても本発明の範囲内であることを意味し、その量は例えば組成物中に0.01質量%未満である。
[ラジカル吸収剤]
本発明においては、上記の架橋剤と、それをクエンチするラジカル吸収剤とを併用することにより、架橋の程度を調整してゲル分率を更に細かく調整することができる。このようなラジカル吸収剤としては、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤や、ヒンダードアミン系の耐候安定化等が例示できる。架橋温度付近でのラジカル吸収能力が高い、ヒンダードフェノール系のラジカル吸収剤が好ましい。ラジカル吸収剤の使用量は、封止材組成物中に0.01質量%以上3質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下の範囲である。この範囲内であれば適度に架橋反応を抑制してゲル分率を調整できる。
[その他の成分]
封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の封止材組成物から作製された封止材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、封止材に良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明に用いる低密度ポリエチレンでもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。尚、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
更に、本発明の封止材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
<封止材シート>
本発明の封止材シートは、上記の封止材組成物を、その融点を超える温度で溶融成形するシート化工程によって予備封止材シートを得て、その後、電離放射線による架橋工程を経て、シート状又はフィルム状の本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートとなる。尚、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
封止材シートは、本発明の封止材組成物を、単層のシート状又はフィルム状としたものであってもよく、或いは、本発明の封止材組成物からなる封止材シートを含む異なる組成の封止材シートを共押し出ししてなる多層の封止材シートとしてもよい。単層の封止材シートとすればその両面がガラスに対して高い密着性を有する封止材シートとなり、様々な層構成に対応可能となり好ましい。
多層の封止材シートの場合には、例えば封止材シートを2層構成として一方をコア層とし、他の一方の層のみに本発明の封止材組成物からなる封止材シートを密着強化層として配置してもよく、コア層を挟んで3層以上の構成として少なくとも一方の最外層に積層される外層を密着強化層を配置してもよい。外層の少なくとも一方を本発明の封止材組成物からなる密着強化層とすることにより、密着強化層がガラス基板と接することになるため、ガラス界面と封止材シートとの密着性が十分に高まる。コア層に含まれる成分は特に限定されないが、上述のシラン共重合体、その他の樹脂、その他の成分を好ましく含有させることができる。具体的には、外層中のビニル系のシランカップリング剤含有量が0.1質量%以上1.0質量%以下であり、コア層及びその他の外層以外の層である内層中のビニル系のシランカップリング剤含有量が0.01質量%以上1.0質量%以下とすることが好ましい。各層の組成をそのようにすることによって、封止材シートに外層の密着性に由来する好ましい密着性と、内層の収縮率の小さいことに由来する安定成形性を付与することができ、且つ、封止材シート全体におけるシラン成分の使用量を節約し製造コストを下げることができる。尚、各層を共押し出ししてなる多層のシートではなくとも、例えば、別途の手段によって、シランカップリング剤の濃度を積層面付近では高くし、内部では低くする等、特定の成分の濃度が、封止材シート内で変化するようにして、上記構成を満たすようにしたものであっても本発明の範囲である。
封止材シートの厚さは100μm以上800μm以下が好ましい。100μm未満であると、充分に衝撃を緩和することができず、800μmを超えてもそれ以上の効果が得られず、不経済であるので好ましくない。
尚、封止材シートが多層のシートである場合については、それぞれの外層の厚さが、封止材シート全体の厚さの10%以上20%以下であることが好ましい。各層の厚さの比率をそのような範囲とすることによって、封止材シートに好ましい密着性を付与することができ、且つ、封止材シート全体におけるシラン成分の使用量を節約し製造コストを下げることができる。
又、本発明の封止材シートのヘーズ値は、厚さ600μmにおけるヘーズ値が4%以下、好ましくは3.9%以下である。上述した通り、本発明においては、電離放射線による架橋処理を行う製造工程に用いる封止材組成物に、従来は不要とされていた架橋剤を敢えて添加しており、これにより、電離放射線による架橋処理を行う場合において、封止材シートの耐熱性と透明性の向上を両立させている。
又、ポリエチレン系の封止材シートのガラス密着性については、電離放射線による架橋工程を経た場合に、太陽電池モジュール用の封止材シートとして好ましくない値にまで低下することがある。しかしながら、本発明の封止材シートは、ビニル系のシランカップリング剤を封止材組成物に添加することによって、封止材シートのガラス密着性が、実用上、好ましい範囲、即ち、少なくともガラス密着強度の値で29N/15mm以上に保持できることを特長とする。尚、本明細書において、ガラス密着強度とは、下記の実施例に記載の方法で測定した太陽電池モジュール用封止材のガラスに対する密着強度のことを言う。
[封止材シートの製造方法]
(シート化工程)
上記封止材組成物の溶融成形は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。封止材シートが多層の封止材シートである場合には、各層を共押し出しして成形する方法により多層の封止材シートを得ることができる。
本発明の封止材シートは、密着性を向上させるために添加するシランカップリング剤をビニル系のシランカップリング剤に限定することによって、この溶融形成段階における不要なゲルの発生を抑制した点に特徴があるものである。
尚、上記の溶融成型時の成形温度の下限は封止材組成物の融点を超える温度であればよく、上限は使用する架橋剤の1分間半減期温度に応じて、成膜中に架橋が過度に進行しない温度であればよく、それらの範囲内であれば特に限定されない。本発明の封止材シートの製造方法においては、上述した通り、従来よりも1分間半減期温度の高い架橋剤を使用することができるため、成形温度を従来よりも高温に設定することにより、押出機等にかかる負荷を低減し、封止材シートの生産性を高めることが可能である。
又、この予備封止材シートの状態におけるゲル分率は0%であることが好ましい。この段階では、架橋が全く開始していなくてもよく、或いは、成膜性が低下しない範囲において、熱と架橋剤による予備的な架橋が限定的に進行していてもよい。
ここで、ゲル分率(%)とは、封止材シート0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。
(架橋工程)
上記のシート化工程後の予備封止材シートに対して、電離放射線による架橋処理を施す架橋工程を、シート化工程の終了後、且つ、封止材を他の部材と一体化する太陽電池モジュール一体化工程の開始前に行う。この架橋工程によって、封止材シートのゲル分率を所定の範囲内になる最適化することによって、より高い密着性、耐熱性を備えた封止材シートとすることができる。
電離放射線の照射による架橋処理については、個別の架橋条件は特に限定されず、トータルな処理結果として、ゲル分率が20%以下、好ましくは0%となるように適宜設定すればよい。具体的には、電子線(EB)、α線、β線、γ線、中性子線等の電離放射線によって行うことができるが、なかでも電子線を用いることが好ましい。電子線照射における加速電圧は、被照射体であるシート厚みによって決まり、厚いシートほど大きな加速電圧を必要とする。例えば、0.5mm厚みのシートでは100kV以上、好ましくは200kV以上で照射する。加速電圧がこれより低いと架橋が充分に行われない。照射線量は5kGy以上1000kGy以下、好ましくは5kGy以上300kGy以下の範囲である。照射線量が5kGyより小さいと充分な架橋が行われず、又1000kGyを超えると発生する熱によるシートの変形や着色等が懸念されるようになる。尚、電離放射線は、両面側から照射してもよい。又、照射は大気雰囲気下でもよく窒素雰囲気下であってもよい。又、この架橋処理はシート化工程に続いて連続的にインラインで行われてもよく、オフラインで行われてもよい。
<太陽電池モジュール>
図1は、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、前面封止材層3及び背面封止材層5の少なくとも一方、好ましくは、少なくとも前面封止材層3に、上記の封止材シートを使用する。
[太陽電池モジュールの製造方法]
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
太陽電池モジュール1は、上記の加熱圧着成形中において、封止材シートの付随的且つ限定的な架橋反応が、更に進んだものであってもよい。
このような本発明の封止材シートを用いることで、真空加熱ラミネートにおける封止材シートの流動を抑制できる。又、モジュール化工程又はその後の加熱工程による架橋工程が必要ではないので、架橋条件を考慮する必要がなくなる分、モジュール化工程における真空加熱ラミネートの条件の自由度が高くなり、又、モジュール化工程の時間も短縮でき生産性も大幅に向上する。特にEVA系に比べて架橋速度が遅いというポリエチレン系封止材シートの問題点も解消でき、モジュール化の時間を大幅に短縮することができる。
尚、本発明の太陽電池モジュール1において、前面封止材層3及び背面封止材層5以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4及び裏面保護シート6は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。尚、本発明の封止材シートは単結晶型に限らず、薄膜型その他の全ての太陽電池モジュールに適用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の封止材シートの、ガラス密着強度、150℃垂直ズリ試験、熱収縮率、ゲル分率、ヘーズ値(JIS K7136)と、成膜適性について測定、評価するために、以下の通り、実施例、比較例、参考例の封止材シートを製造した。
<太陽電池モジュール用の封止材シートの製造>
[予備封止材シート]
以下において説明する封止材組成物原料を表1に記載の割合で混合し、それぞれ実施例、比較例、参考例の封止材シートの内層用及び外層用封止材シートを作成するための封止材組成物とした。下記に記載の各原料は、それぞれ表1に記載の量(質量部)を添加した。但し、シランカップリング剤マスターバッチについては、封止材組成物中のシランカップリング剤の含有量が表1に記載の割合(質量%)となるように、添加量を適宜調整した。
そして、それぞれの封止材組成物を、φ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度220℃、引き取り速度1.1m/minで内層用及び外層用の予備封止材シートを作製し、これらの内層用及び外層用の予備封止材シートを積層して、3層の太陽電池モジュール用予備封止材シートとした。予備封止材シートは、いずれも、厚さ600μm、外層:内層:外層の厚さの比を1:5:1とした。尚、封止材組成物原料としては、以下の原料を使用した。
(ポリエチレン系樹脂)
メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)(表1において「M」と記載):密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンをベース樹脂として用いた。
シラン架橋性樹脂(表1において「S」と記載):密度0.881g/cmであり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とからなるシラン架橋性樹脂をベース樹脂に混合するシラン共重合体を含有する樹脂として用いた。この樹脂の密度は0.884g/cm、190℃でのMFRが1.8g/10分である。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤マスターバッチ1(表1において「SC1」と記載):密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット98.5質量部に対して、ビニル系のシランカップリング剤として、市販の「KBM1003」(「信越シリコーン株式会社」製)を1.5質量部含浸させたコンパウンドペレットをシランカップリング剤マスターバッチ1として用いた。
シランカップリング剤マスターバッチ2(表1において「SC2」と記載):シランカップリング剤をメタクリロキシ系のシランカップリング剤(「KBM503」「信越シリコーン株式会社」製)としたことの他は、シランカップリング剤マスターバッチ1と同じコンパウンドペレットをシランカップリング剤マスターバッチ2として用いた。
シランカップリング剤マスターバッチ3(表1において「SC3」と記載):シランカップリング剤をアクリロキシ系のシランカップリング剤(「KBM5103」「信越シリコーン株式会社」製)としたことの他は、シランカップリング剤マスターバッチ1と同じコンパウンドペレットをシランカップリング剤マスターバッチ3として用いた。
シランカップリング剤マスターバッチ4(表1において「SC4」と記載):シランカップリング剤をエポキシ系のシランカップリング剤(「KBM403」「信越シリコーン株式会社」製)としたことの他は、シランカップリング剤マスターバッチ1と同じコンパウンドペレットをシランカップリング剤マスターバッチ4として用いた。
(架橋剤)
架橋剤マスターバッチ(表1において「架橋MB」と記載):密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5質量部を含浸させたコンパウンドペレットを架橋剤マスターバッチとして用いた。
(耐候剤)
耐候剤マスターバッチ(表1において「耐候MB」と記載):密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したものを耐候剤マスターバッチとして用いた。
以上の通り製造した実施例1〜2の予備封止材シートのゲル分率を、下記の方法により測定したところ、いずれの実施予備封止材シートについてもゲル分率は0%であった。
ゲル分率(%):封止材シート0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の重量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率とした。尚、ゲル分率の測定サンプルは、離型処理を施された厚さ50μmのPETフィルム(100mm×100mm)に封止材(50mm×50mm×厚さ約0.4から0.5mm)を挟み、熱ラミネーターにより、所定の温度と時間ラミネートしたものを用いた。
<評価例1>
実施例、比較例及び参考例の各封止材シート(予備封止材シート)の上記の押出し成形時の成膜適性について、次の試験を行い、下記評価基準で評価した。
ゲル発生の有無:押出し成形後の各封止材シート(予備封止材シート)を、目視によって観察し、製膜時のゲルの発生の有無を観察した。尚、図2は、実施例1においてゲルが全く発生していないことを示す拡大写真であり、図3は比較例2においてゲルが発生していることを示す拡大写真である。
樹脂圧:樹脂圧についてもダイニスコ樹脂圧力センサー(NP400シリーズ)によって測定した。これらの結果を、以下の評価基準に基づいて評価した。
(成膜適性評価基準)
A:ゲルが全く発生しておらず、樹脂圧については180kgf/cm未満であったもの。
B:目視困難な程度のゲルは発生したが、樹脂圧については180kgf/cm以上で200kgf/cm未満であったもの。
C:目視で明らかな程度にゲルが発生しており、樹脂圧については200kgf/cm以上であったもの。
評価結果を表2に示す。
[封止材シート]
実施例1〜2、比較例1〜2の予備封止材シートについては、下記、及び表2に記載の架橋条件で、電離放射線の照射による架橋処理を行い、それぞれ実施例、比較例の封止材シートを作成した。又、参考例の予備封止材シートについては、電離放射線の照射による架橋処理を行わず、成形後の予備封止材シートをそのまま参考例の封止材シートとした。尚、実施例と比較例については、電子線照射による架橋処理を行っていないそれぞれの予備封止材シート(表2中「照射量0」と表記)についても、密着強度等を同様に測定評価した。
(架橋条件)
電子線照射装置(岩崎電気株式会社製、製品名EC250/15/180L)を用い、加速電圧は、200kV、照射線量については、表2に記載の各照射量で両面に照射した。例えば、表中に20とある場合は、各面に20kGy、計40kGyの照射を行ったものである。
<評価例2>
実施例、比較例及び参考例の封止材シートについて、ガラス密着強度、耐熱性(150℃垂直ズリ試験)、熱収縮率、ヘーズ値(JIS K7136)について測定、評価した。その結果を表2に示す。尚、それぞれの試験条件は以下の通りである。
ガラス密着強度:15mm幅にカットした実施例、比較例及び参考例の封止材シートを、それぞれガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)上に密着させて150℃、18分で、真空加熱ラミネータで処理を行い、それぞれの実施例及び比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得て、ガラス基板上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行いガラス密着強度を測定した。
耐熱性試験(150℃垂直ズリ試験):シボ加工を施した大判のガラス板に5×7.5cmに切り出した各例の実施例、比較例及び参考例の封止材シートを2枚重ね置き、その上から5×7.5のシボガラスを重ね置き、架橋処理を行なった。この後、大判ガラスを垂直に置き、150℃で12時間放置をする。放置後の5×7.5のシボガラスの移動距離(mm)を計測評価した。
熱収縮率試験:150℃に加熱したタルクプレート上に、実施例、比較例及び参考例の封止材シートにおける100mm×100mmの試験片を置き10分間静置した後の、加熱前後のMD方向の試験片側辺長さの収縮割合を測定、算出した。尚、MD方向とはシート化工程における吐出方向となる長手方向である。
ヘーズ(%):JISK7136に沿って、株式会社村上色彩研究所 ヘーズ・透過率系HM150にて測定した。
ゲル分率(%):上記方法と同方法により測定した。
表2より、ビニル系のシランカップリング剤と架橋剤を含有する封止材組成物からなり、電離放射線の照射による架橋処理を行った実施例の封止材シートは、太陽電池モジュール用の封止材シートとして、好ましい密着性、耐熱性、透明性を兼ね備えたものであり、且つ、優れた成膜適性をも備えるポリエチレン系封止材であることが理解できる。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート

Claims (6)

  1. 密度0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、シランカップリング剤と、架橋剤と、を含有する封止材組成物を溶融成形して予備封止材シートを得るシート化工程と、
    前記予備封止材シートを、電離放射線の照射によって架橋処理する架橋工程と、を備え、
    前記シランカップリング剤はビニル系のシランカップリング剤であって、
    前記封止材組成物中の前記シランカップリング剤の含有量が、0.01質量%以上1.0質量%以下であり、前記封止材組成物中の架橋剤の含有量が、0.005質量%以上0.1質量%未満である太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
  2. 前記溶融成形後の予備封止材シートのゲル分率が0%である請求項1記載の封止材シートの製造方法。
  3. 前記架橋処理後の封止材シートのゲル分率が0%である請求項1又は2に記載の封止材シートの製造方法。
  4. 前記架橋処理後の封止材シートの厚さ600μmにおけるヘーズ値が4%以下である請求項1からのいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
  5. 前記予備封止材シートが、前記封止材組成物を、共押出し法によりシート状に成型してなり、最外層に配置されて密着強化層を構成する外層と、それ以外の内層とを少なくとも有する多層の封止材シートであり、
    前記外層中のビニル系のシランカップリング剤含有量が、0.1質量%以上1.0質量%以下であり、前記内層中のビニル系のシランカップリング剤含有量が、0.01質量%以上1.0質量%以下であり、
    前記架橋処理後の封止材シートのゲル分率が0%であり、且つ、厚さ600μmにおけるヘーズ値が4%以下であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
  6. それぞれの前記外層の厚さが、前記封止材シート全体の厚さの10%以上20%以下である請求項に記載の封止材シートの製造方法。
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