JP2014062146A - 繊維強化プラスチックおよびその製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチックおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014062146A
JP2014062146A JP2012206341A JP2012206341A JP2014062146A JP 2014062146 A JP2014062146 A JP 2014062146A JP 2012206341 A JP2012206341 A JP 2012206341A JP 2012206341 A JP2012206341 A JP 2012206341A JP 2014062146 A JP2014062146 A JP 2014062146A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
reinforced plastic
fibers
resin
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012206341A
Other languages
English (en)
Inventor
Ai Noto
愛 能登
Yoshie Inagaki
由江 稲垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2012206341A priority Critical patent/JP2014062146A/ja
Publication of JP2014062146A publication Critical patent/JP2014062146A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、複雑な形状、特にリブやボス等の突起部を有しているにもかかわらず優れた機械的特性を発揮する繊維強化プラスチックを提供する。また、賦型性に優れ、上記プラスチックを容易に成形できる繊維強化プラスチックの製造方法を提供する。
【解決手段】強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる繊維強化プラスチックであって、該繊維強化プラスチックが、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性樹脂30〜95重量%からなり、該強化繊維が、炭素繊維10〜50重量%および耐熱有機繊維90〜50重量%からなり、かつ、該繊維強化プラスチックが、突起部を有していることを特徴とする繊維強化プラスチックとする。
また、強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、該強化繊維が、炭素繊維10〜50重量%および耐熱有機繊維90〜50重量%からなる繊維強化プラスチック成形用基材を、突起部を有する金型にはさみ、加熱または加熱加圧して突起部を有する繊維強化プラスチックを成形する。
【選択図】なし

Description

本発明は、軽量な繊維強化プラスチックを製造するための、取り扱い性が良好で、かつ、変形性に優れ立体形状への賦型が容易である繊維強化プラスチック成形用基材を提供するものである。
炭素繊維を強化材として使用した複合材料は、引張強度・引張弾性率が高く、線膨張係数が小さいので寸法安定性に優れることおよび、耐熱性、耐薬品性、耐疲労特性、耐摩耗性、電磁波シールド性、X線透過性にも優れることから、炭素繊維を強化材として使用した繊維強化プラスチックは、自動車、スポーツ・レジャー、航空・宇宙、一般産業用途に幅広く適用されている。
具体例としては、炭素繊維フィラメントと他の有機繊維を混編、混織する方法や、炭素繊維および他の繊維をフィラメント状態のまま開繊し、シート状にしたものを積層した後、マトリックス樹脂のシート材とともにプレス等の技術手段により成型する方法、あるいは、炭素繊維および他の繊維を6mm以下の長さにカッティングしたカットファイバーを熱可塑性樹脂にコンパウンドの後、射出成型する方法などが挙げられる(特許文献1及び2等)。
一方、短時間で効率よく成形可能な方法として、スタンピング成形等の金型内での成形用基材のプレス成形による成形技術が知られている。この技術は、加熱されている基材を金型内にて所定形状にプレス成形するものであるが、織物や開繊シートを強化繊維として用いた場合、複雑な形状を有する成形品、特にリブやボス等の突起部を有する成形品とする際、その形状に追従できず、目的とする成形品が得られなかったり、突起部の強度が不十分となったりして、均一な形状や物性を有する成形品が得られないという問題点がある。
また、繊維基材に熱可塑性樹脂を含浸しスタンピング成形した成形品では、一般に強化繊維の含有率を大きくすることが困難なため、強度や剛性等の機械的特性が低い。特にリブやボス等の突起物を有する複雑な形状の成形品は、強化繊維の含有率が低い上に、樹脂と強化繊維が分離して流動するために、突起物の先まで十分に強化繊維が行き渡らず、突起物の機械的特性が低く、成形品の機械的特性が場所によってばらつくという問題点がある。
特開平8−118379号公報 特開平6−23856号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点の解決を目的とするものであり、複雑な形状、特にリブやボス等の突起部を有しているにもかかわらず優れた機械的特性を発揮する繊維強化プラスチックを提供するものである。また、賦型性に優れ、上記プラスチックを容易に成形できる繊維強化プラスチックの製造方法を提供するものである。
本発明者が、検討した結果、強化繊維および熱可塑性繊維を一定の条件で混合した基材を用いて成形することにより、優れた機械的特性を発揮する繊維強化プラスチックが得られることを見出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる繊維強化プラスチックであって、該繊維強化プラスチックが、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性樹脂30〜95重量%からなり、該強化繊維が、炭素繊維10〜50重量%および耐熱有機繊維90〜50重量%からなり、かつ、該繊維強化プラスチックが、突起部を有していることを特徴とする繊維強化プラスチックが提供される。
また、強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、該強化繊維が、炭素繊維10〜50重量%および耐熱有機繊維90〜50重量%からなる繊維強化プラスチック成形用基材を、突起部を有する金型にはさみ、加熱または加熱加圧して突起部を有する繊維強化プラスチックを成形することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法が提供される。
本発明の繊維強化プラスチックは、強化繊維を用いていることにより、高い機械的物性を示し、さらに強化繊維として炭素繊維と耐熱有機繊維、特にアラミド繊維を併用することで耐衝撃性能に優れている。また、本発明の繊維強化プラスチックは、射出成形のように炭素繊維や耐熱有機繊維といった強化繊維が切断されて短くなったり、塊状となったりすることがなく、繊維間の交絡を成形できるため、成形体として十分な強度や弾性率を発揮することができる。また、特定方向に力学特性を高め、強化繊維の性能を十分に生かし、繊維強化プラスチックとして強度設計等が容易に行うことができる。
本発明の繊維強化プラスチックは、複雑な形状、特にリブやボス等の突起部を有しているにもかかわらず、該突起部においても他の部分と同様に優れた機械的特性を発揮する。また、本発明の製造方法によれば、突起部がある複雑な形状の成形品を一体成形で得られることから、複雑な立体形状への賦型が容易であるとともに、かつ、成形前の熱可塑性中間基材において熱可塑性樹脂が繊維の形状で他の強化繊維間に存在するため、繊維強化複合材料とした場合に、これが溶融して十分に耐熱有機繊維の隙間に浸透し、突起物などを有していても強度、弾性率、耐衝撃性などの力学特性に優れた繊維強化プラスチックを成形することができる。
本発明においては、上記繊維強化プラスチックが、強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる繊維強化プラスチックである。
本発明における強化繊維の形態は、カットファイバー(短繊維)であり、高い剛性を保持するために、繊維長は、20〜150mmであり、好ましくは20〜120mm、より好ましくは20〜100mm、さらに好ましくは20〜80mmである。また、同様の観点から、繊維径は、好ましくは5〜150μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは5〜60μmである。
本発明においては、強化繊維としては耐衝撃性を高めるため、炭素繊維と耐熱性有機繊維とを併用する。
本発明で用いる炭素繊維としては、引張強度3000MPa以上、弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。前記炭素繊維の原料としては特に限定するものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示できる。これらの炭素繊維のうち、取扱性能、製造工程通過性能に適したPAN系炭素繊維が特に好ましい。
本発明に用いる耐熱有機繊維は、融点、軟化点、または熱分解開始温度が250℃以上の耐熱性有機繊維であることが好ましく、例えば、芳香族ポリアミド(アラミド)、芳香族ポリエーテルアミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどが好ましく使用できる。なかでも耐衝撃性、生産性、価格などからアラミド繊維が好ましく使用できる。
本発明におけるアラミド繊維とは、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分、もしくは芳香族アミノカルボン酸成分から構成される芳香族ポリアミド、又はこれらの芳香族共重合ポリアミドからなるポリマーであり、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが例示できる。特にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドが、耐衝撃性の点から好ましい。
本発明に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリプロプピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂が好ましく使用される。
上記熱可塑性樹脂は、ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した、メルトボリュームフローレイトが、好ましくは12〜60cm/10分、より好ましくは16〜40cm/10分、さらに好ましくは16〜30cm/10分であることが好ましい。上記の溶融特性を有することにより、熱可塑性樹脂が、強化繊維間に十分に含浸し、さらに得られる繊維強化プラスチックの剛性や、耐衝撃性の向上が容易となる。特に、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、上記メルトボリュームフローレイトを有する樹脂を用いることで、上記効果がより顕著に表れることがわかった。
本発明においては、強化繊維:熱可塑性樹脂が重量比で5:95〜70:30であり、好ましくは20:80〜60:40である。強化繊維の重量比が5重量%未満では、十分な力学的特性、すなわち曲げ強度や、曲げ弾性率を得ることができず、一方、熱可塑性樹脂の重量比が30重量%未満では、強化繊維を十分に結合して繊維強化プラスチックを形成するのが難しくなる。
本発明の繊維強化プラスチックは、突起部を有し、該突起部とは、成形体表面より突起しているものである。具体的な例としてはリブ、ボス、直方体や立方体などがあげられるが、それらに限定されるものではなく、複雑な形状も含まれる。また突起部の高さを0.5mm〜100mmの範囲内に制限することにより、金型を用いたプレスによる、とくに後述のような各種プレス成形方法により、短時間で効率よく所望の成形体を成形できるようになり、量産性に優れた製造技術を提供できる。プレス成形によってより確実に所定形状の成形体を得るためのより好ましい突起部の高さは、0.5〜60mmである。
本発明においては、炭素繊維に対し、比較的伸度の高い耐熱有機繊維をより多く存在させることが肝要である。これにより、複雑な形状を有する製品形状と高い力学的な要求特性、特に耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチックとすることができる。また、後述する繊維強化プラスチック成形用基材を用いる製造方法においては、基材の伸度が高くなり、基材の賦型性(金型内の凹凸への追従性)が向上し、突起部など複雑な形状を有していても、先端にまでより多くの強化繊維を存在させることが可能となる。炭素繊維と耐熱有機繊維との重量比は10:90〜50:50であり、好ましくは15:85〜50:50であり、耐熱有機繊維の割合が50%未満である場合には、突起部の先端まで強化繊維が行き渡らない可能性があり、炭素繊維の割合が10%未満である場合には、繊維強化プラスチックとした場合に十分な機械的強度が得られない可能性がある。
以上に説明した本発明の繊維強化プラスチックは、以下に説明する方法により製造するのが好ましい。
すなわち、強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、該強化繊維が、炭素繊維10〜50重量%および耐熱有機繊維90〜50重量%からなる繊維強化プラスチック成形用基材(以下、単に基布と称することがある)を、突起部を有する金型にはさみ、加熱または加熱加圧して突起部を有する繊維強化プラスチックを成形することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法である。これにより、該基材は賦型性(金型内の凹凸への追従性)に優れ、突起部などの複雑な形状を有するにも関わらず、突起部やその他の部分でも均一な、優れた力学特性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
本発明で用いる基材は強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維:熱可塑性繊維が重量比で5:95〜70:30であり、好ましくは20:80〜60:40である。強化繊維の重量比が5重量%未満では、十分な力学的特性、すなわち曲げ強度や、曲げ弾性率を得ることができず、一方、熱可塑性樹脂の重量比が30重量%未満では、熱可塑性繊維を溶融し十分に繊維間に含浸させて繊維強化プラスチックを成形するのが難しくなる。
本発明の熱可塑性繊維は、前記の熱可塑性樹脂を溶融紡糸等により繊維状に成形したものを好ましく提示でき、前記のように該熱可塑性樹脂は、ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した、メルトボリュームフローレイトが、好ましくは12〜60cm/10分、より好ましくは16〜40cm/10分、さらに好ましくは16〜30cm/10分である。
本発明における熱可塑性繊維の形態は、また、炭素繊維や耐熱有機繊維と同時に加工する際の加工性の観点から、カットファイバー(短繊維)であることが好ましく、繊維長は好ましくは20〜150mmであり、より好ましくは30〜100mm、さらに好ましくは35〜80mm、よりさらに好ましくは35〜65mmである。また、同様の観点から、繊維径は、好ましくは5〜150μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは5〜60μmである。
本発明においては、基材の突起部にも追従する柔軟性を確保するために基材の伸度を高くすることが有用である。一般に、強化繊維は高モジュラス、低伸度であり、熱可塑性繊維の伸度を高く設計することが望ましい。特に融点や軟化点が高く、溶融粘度が高い熱可塑ポリマーからなる熱可塑性繊維を用いた場合、該繊維の伸度を高くすることにより、基材の柔軟性を高めることができる。よって、熱可塑性繊維の伸度は、好ましくは30%以上、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは60%以上である。一方、伸度があまり大きすぎても、ニードルパンチ等で繊維が伸び成形性が悪くなるため、好ましくは150%以下、より好ましくは120%以下、さらに好ましくは100%以下とするのが望ましい。特に、熱可塑性繊維としてポリカーボネート繊維を用いる場合は、上記伸度とすることが好ましい。
本発明で用いる基材は、強化繊維と熱可塑性繊維を混合したものである。強化繊維を予めマトリックス樹脂となる熱可塑性繊維と混合することにより、均一な基材を作成可能であり、例えばポリカーボネート樹脂のように溶融時の粘度が高い樹脂であっても、強化繊維近傍にマトリックス樹脂を存在させることが可能となるため、強化繊維とマトリックス樹脂とを容易に密着することができる。
本発明で用いる基布としては、不織布の形態であることが好ましく、乾式不織布、湿式不織布のいずれもが使用可能であるが、剛性、耐衝撃性を特に要求される製品においては、繊維長の長いことが有益であるため、乾式不織布法にて作成することがより好ましい。また、繊維は開繊機、カードなどの工程により一方向に引き揃えられることが剛性、耐衝撃性をより向上させる。
一方、湿式不織布法においては、完成した繊維強化プラスチックの剛性面では劣るものの、黒鉛、セラミックなどに代表されるフィーラーを同時に添加することにより、耐熱性、導電性、蓄熱性、伝熱性、電磁波遮蔽性などの新たな機能を追加した繊維強化プラスチックの作成が可能であり、非常に有用である。
本発明において、強化繊維と熱可塑性繊維とが、少なくとも一部で交絡していることが好ましい。かかる交絡としては、厚さ方向に切断した基材の切断面を、走査型電子顕微鏡(倍率:12倍)にて観察し、基材の厚さの半分以上の長さにわたって、厚さ方向(厚さ方向に対し、±45°以内の方向を含む)に配列している5本以上の短繊維が絡み合って集束した繊維束が、基材表面を観察し1cm当たり1ケ以上あることが好ましい。かかる交絡の存在により、基材の取扱いが容易になり、かつ、立体成形性においても有利な構造となる。よって、あまり上記交絡が多すぎても、基布が硬くなる傾向にあり、強化繊維と熱可塑性繊維とが両方で5本以上絡み合った繊維束の数(交絡数)は、基材表面において、好ましくは1〜50ケ/cmであり、より好ましくは1〜20ケ/cmである。なお、この交絡は、ニードルパンチ不織布の場合は針の打ち込み密度により、ウォーターニードルの場合は水柱の密度により、湿式不織布の場合は繊維の水中への分散、撹拌の条件の調整により上記範囲とすることができる。
また、本発明においては、強化繊維同士、強化繊維が炭素繊維と耐熱有機繊維からなる場合、それらが少なくとも一部で交絡していることが好ましい。これによって、熱可塑性樹脂中に強化繊維が交絡せずに含有される繊維強化プラスチックと対比し、高い剛性や耐衝撃性を発揮することができる。かかる観点から、上記交絡の状態としては、強化繊維と熱可塑性繊維、または、強化繊維同士が不織布形状として互いの繊維が交絡していることが好ましい。
基材をニードルパンチ不織布とする場合は、打ち込み密度を、好ましくは200〜800本/cm、好ましくは300〜700本/cmとすることが望ましい。打ち込み密度が200本/cm未満では、十分に繊維同士を交絡させることができず、基材の形態維持性が低下し、繊維強化プラスチックに立体成型する際に目付に変動し易くなる。一方、打ち込み密度が200本/cm超えると、基材が硬くなり易く好ましくない。
また、基材の1枚の目付は、好ましくは50〜500g/cm、より好ましくは70〜400g/cm、70〜300g/cmとすることが好ましい。目付が50g/cm未満では取扱い性が悪くなる傾向があり、500g/cmを超えると基材が硬くなり立体成形性が低下する傾向にある。
上記基材を用いて本発明の繊維強化プラスチックを成形する際は、基材を1枚または複数積層して用いることができる。本発明においては、1枚の基布の目付を上記範囲とすることにより、積層数を増やしても、基材が複雑な金型にも柔軟に適応して、立体成形を容易に行うことができる。
不織布の作成方法としては、一般的な乾式不織布、湿式不織布のいずれもが使用可能であるが、剛性、耐衝撃性を特に要求される製品においては、繊維長の長いことが有益であるため、乾式不織布法にて作成することがより好ましい。また、繊維は開繊機、カードなどの工程により一方向に引き揃えられることが剛性、耐衝撃性をより向上させる。
本発明の繊維強化プラスチックの基材となる不織布は、開繊機、カードなどの工程を通過することで、その機械方向に異方性を持った基材となる。また、一般的なクロスレイヤー工程での方向転換や、ニードルパンチ工程での機械方向の張力負荷により、異方性の程度を制御することが可能である。また、不織布基材を積層してプレス成形する方法も取られる手段であり、積層方向を変化させることでも異方性の制御は可能である。
繊維強化プラスチックの成型方法としては、プレス成型、スタンパブル成型などが好適例として示されるが、一般的な熱圧成型法は全て適用可能である。この際、熱可塑性繊維の融点または軟化点以上の温度で加熱または加熱加圧を行うことで、繊維強化プラスチックを成形することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)繊維長、繊度
JIS L 1015に準拠して測定した。
(2)繊径
キーエンス社製光学顕微鏡DEGITAL MICROSCOPE VHX−1000を用い1000倍で繊維断面の直径を10本測定し、その平均値とした。
(3)繊維の引張強度、伸度、弾性率
ASTM D885に準拠して測定した。
(4)ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト
ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した。
(5)各繊維の融点、軟化点、熱分解開始温度
株式会社リガク社製示差熱分析装置TAS200にて窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて測定し算出した。
(6)繊維強化プラスチックの曲げ強度、弾性率
JIS K 7171に準拠し、リブ部周辺より厚さ2mm、長さ100mm、幅10mmの試験片を切り出し、支点間距離80mmでの3点曲げにて測定した。
(7)繊維強化プラスチックの衝撃強度
JIS K 7111に準拠し、リブ部周辺より厚さ2mm、長さ100mm、幅10mmの試験片を切り出し、測定した。
(8)立体成形性
リブの高さhが30mmでかつ、リブ立ち上がり面の角度θが70°であり、リブの頂部におけるリブ幅dが80mmのリブ部をもつ金型を用い、基材をプレス加工した際の、立体加工性を目視判定した。判定基準は以下の通りである。
○:繊維がリブ部側面に均一に広がっており、樹脂の含浸ムラが無いもの。
△:繊維がリブ部側面に均一に広がっているが、樹脂の未含浸が見られるもの。
×:繊維がリブ部側面に均一に広がらず、偏りが見られるもの。
[実施例1]
強化繊維として、繊維径7μmの炭素繊維(東邦テナックス製、引張強度4200MPa)を35mmにカットした繊維、および、繊維径12μmのアラミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維)(帝人テクノプロダクツ製 テクノーラ(商標)、引張強度3400MPa)を51mmにカットした繊維を用い、熱可塑性繊維として、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトL−1225L メルトボリュームフローレイト 18cm/10分間)を290℃にて溶融押し出し、直径30μm、伸度61%のフィラメントを得、これを51mmにカットしたポリカーボネート繊維と用い、これらの繊維を、重量比16:24:60で混合し、開繊機にて混合した後、カード工程を通過させることにより繊維ウェブを作成した。このようにして得られた繊維ウェブをニードルパンチ機により38番針にて針深度9mm、460本/cmの密度で打ち込みをして目付183g/mの不織布を得た。これを14枚積層させ、「リブ付き平板」の金型を使用し、成型圧力5MPa、成型温度が300℃にて加温加圧することにより、厚み2mmの繊維強化プラスチック成形体を作成した。リブ部周辺から試験片を切り出し、曲げ強度、曲げ弾性率、シャルピー衝撃試験値を評価した。
[実施例2、3、比較例1]
炭素繊維、アラミド繊維、ポリカーボネート繊維との混合割合を表1の重量比となるよう変更した以外は実施例1と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
[比較例2]
実施例1で使用した炭素繊維およびアラミド繊維を使用し、重量比で炭素繊維:アラミド繊維が40:60となるよう開繊機にて混合した後、カード工程を通過させることにより、繊維の引き揃え性を向上させたウェブを作成した。このようにして得られた繊維ウェブをニードルパンチ機により38番針にて針深度10mm、460本/cmの密度で打ち込みをして目付80g/mの不織布を得た。上記不織布にポリカーボネート製フィルム(帝人化成製パンライトシート 100μm厚み、比重1.2)を1枚積層させ、240℃×0.1MPaにて20秒間圧着することにより基材間を接着させ、繊維強化プラスチック用基材183g/mを作成した。これらを14枚積層させ、「リブ付き平板」の金型を使用し、成型圧力5MPa、成型温度が300℃にて加温加圧することにより、厚み2mmの繊維強化プラスチック成形体を作成した。
[比較例3]
炭素繊維およびアラミド繊維からなる不織布に代えて、アラミド織物(帝人テクノプロダクツ製テクノーラ織物 目付80g/m)とした以外は、比較例1と同様の処理を実施し、繊維強化プラスチック成形体を作成、同様に評価した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2014062146
本発明は、優れた耐衝撃性を有する軽量な繊維強化プラスチックを提供するものであり、本発明により製造された繊維強化プラスチックは、補強用、摩擦・摺動用、自動車、船舶などの産業用部品、電気・電子機器、AV機器、OA機器、建築用の部品・部材、建材、建具、パッキン類又はシール類などに好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる繊維強化プラスチックであって、該繊維強化プラスチックが、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性樹脂30〜95重量%からなり、該強化繊維が、炭素繊維10〜50重量%および耐熱有機繊維90〜50重量%からなり、かつ、該繊維強化プラスチックが、突起部を有していることを特徴とする繊維強化プラスチック。
  2. 請求項1に記載の突起部の高さが0.5mm〜100mmである請求項1に記載の繊維強化プラスチック。
  3. 耐熱有機繊維が、融点、軟化点又は熱分解開始温度が250℃以上の有機繊維である請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック。
  4. 耐熱有機繊維がアラミド繊維、ポリオキシベンザゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維である請求項3に記載の繊維強化プラスチック。
  5. 熱可塑性樹脂が、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  6. 強化繊維の繊維直径が5〜100μmである請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  7. 熱可塑性樹脂のメルトボリュームフローレイトが16〜60cm/10分である請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  8. 炭素繊維と耐熱性有機繊維との両方を含み、該炭素繊維と該耐熱性有機繊維が少なくとも一部で交絡している請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  9. 強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、該強化繊維が、炭素繊維10〜50重量%および耐熱有機繊維90〜50重量%からなる繊維強化プラスチック成形用基材を、突起部を有する金型にはさみ、加熱または加熱加圧して突起部を有する繊維強化プラスチックを成形することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
  10. 熱可塑性繊維が、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる請求項9に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
JP2012206341A 2012-09-19 2012-09-19 繊維強化プラスチックおよびその製造方法 Pending JP2014062146A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206341A JP2014062146A (ja) 2012-09-19 2012-09-19 繊維強化プラスチックおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206341A JP2014062146A (ja) 2012-09-19 2012-09-19 繊維強化プラスチックおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014062146A true JP2014062146A (ja) 2014-04-10

Family

ID=50617693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012206341A Pending JP2014062146A (ja) 2012-09-19 2012-09-19 繊維強化プラスチックおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014062146A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018039486A (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 本田技研工業株式会社 鞍乗り型車両の車体カバー構造

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018039486A (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 本田技研工業株式会社 鞍乗り型車両の車体カバー構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6087545B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形用基材
CN103987764B (zh) 碳纤维基材、预浸料坯及碳纤维增强复合材料
JP5932576B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形用基材
JP6965957B2 (ja) 積層基材およびその製造方法並びに炭素繊維強化樹脂基材
JP2018080442A (ja) 平面状複合材料
KR102320480B1 (ko) 탄소섬유 강화 성형 재료 및 성형체
JP6699986B2 (ja) プリフォーム、および一体化シート材料の製造方法
JP2013204187A (ja) 繊維強化プラスチック成型用基材
JP2012184286A (ja) 繊維強化プラスチック及びその製造方法
JP6801321B2 (ja) リブ成形用積層基材
JP2014091825A (ja) プリプレグおよび複合材料
KR20150008868A (ko) 보강용 탄소섬유 다발, 그 제조 방법 및 그것을 사용한 복합체의 제조 방법
KR102362036B1 (ko) 탄소섬유 강화 수지 복합재료
JP2013245328A (ja) 繊維強化樹脂ペレット、その製造方法及び繊維強化樹脂成形体
JP2014062336A (ja) 繊維強化プラスチック用の半製品の製造方法
WO2016084824A1 (ja) 炭素繊維マット、プリフォーム、シート材料および成形品
JP2014050981A (ja) 繊維強化プラスチック成形用基材および繊維強化プラスチック
JP6046425B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形用基材および耐衝撃性繊維強化プラスチック
JP2014069403A (ja) スタンパブルシート状物を用いたプレス成型品の製造方法
JP2014065831A (ja) 繊維強化プラスチックおよびその製造方法
JP2014062143A (ja) 繊維強化プラスチック
JP2014062146A (ja) 繊維強化プラスチックおよびその製造方法
JP2014065830A (ja) 繊維強化プラスチックおよびその製造方法
JP2014051554A (ja) 繊維強化プラスチック成形用基材
JP2015196933A (ja) 吸音材構造物