JP2014069403A - スタンパブルシート状物を用いたプレス成型品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄型成形品にも対応でき、力学特性の等方性に優れ、立体形状への賦型が容易であり、複雑形形態のプレス成形品を安定的に製造する方法、それによって得られるプレス成型品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂繊維または粒子を含む強化繊維からなるシート状物をプレス力を0.1〜100MPaにてプレス成形するプレス成形品の製造方法であって、40〜100重量%の炭素繊維と0〜60重量%の耐熱有機繊維からなる強化繊維を含み、5〜70重量%の当該強化繊維および30〜95重量%の熱可塑性材料を含む、熱的に変形可能なシート状物であり、耐熱有機繊維の繊維長が10〜100mm、炭素繊維の繊維長が100mm以下であり、前記シート状物は、そこに含まれる強化繊維単糸と該強化繊維単糸と交差する他の強化繊維単糸とで形成される二次元配向角の平均値が5〜90度であり、かつ25℃での厚み(mm)が0.03〜1.00mm、引張強度が50〜1000MPaとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、スタンパブルシート状物を用いたプレス成型品の製造方法に関するものである。
炭素繊維やガラス繊維を強化材として使用した複合材料は、引張強度・引張弾性率が高く、線膨張係数が小さいので寸法安定性に優れることおよび、耐熱性、耐薬品性、耐疲労特性、耐摩耗性、電磁波シールド性、X線透過性にも優れ、そして金属材料やセラミック材料に比較して軽量であることから、炭素繊維またはガラス繊維、特に近年は前者を強化材として使用した繊維強化プラスチックは、自動車、スポーツ・レジャー、航空・宇宙、一般産業用途に幅広く採用されている。
しかしながら、かかる繊維強化プラスチックは、剛性には優れるものの耐衝撃性に劣る欠点を一方で有している。耐衝撃性向上のために、繊維強化プラスチックをセラミックス層あるいは金属層と積層する複合体構造などが提案されているが、これらの複合構造体は重量増加を伴うものであり、繊維強化プラスチックの優れた特徴の一つである軽量性を損なうことになる。
また、耐衝撃性に優れる有機繊維を追加成分として併用することにより、耐衝撃性が向上することも提案されている。有機繊維の併用方法としては、炭素繊維またはガラス繊維のフィラメントと当該有機繊維を混編、混織する方法や、炭素繊維またはガラス繊維、および当該有機繊維をフィラメント状態のまま開繊し、シート状にしたものを積層した後、マトリックス樹脂のシート材とともにプレス等の技術手段により成型する方法、あるいは、炭素繊維またはガラス繊維、および当該有機繊維を概ね6mm以下の長さに切断したカットファイバーを熱可塑性樹脂にコンパウンドの後、射出成型する方法などが挙げられる(特許文献1及び2など)。
しなしながら、フィラメント繊維による成型方法の場合、強度、剛性の高いハイグレードな繊維強化プラスチックの製造が可能であるものの、成型にかかる時間を要し、コンベンショナルな装置を用いることができず、結果的にコストが非常に高くなり一部、特に高級な用途に展開されているのみである状況に留まるのが実状である。一方、射出成型を用いる方法では、加工特性に優れ、コンベンショナルな装置を用いることができるため安価な繊維強化プラスチックが製造できるものの、添加する繊維の長さを短くする必要があり、剛性、耐衝撃性の面で十分な性能を得ることが困難であった。
また、強化繊維を束状に分散させることによって、等方的な特性が得られるシート材料が提案されている。しかしながら、プリプレグにように薄肉に加工することができず、また成形時に樹脂が大きく流動するため等方的な特性を損ない、力学特性も低下する場合がある(特許文献3及び4など)。
さらに、特許文献5には、強化繊維単糸同士が交差形成される二次元配向角に着目して、これを一定の範囲内に規定することを主たる技術内容とする出願が公開されている。薄型成形品、複雑形状に適してはいるが、依然とてして、物性面で改善すべき余地があった。すなわち、規定された範囲内で安定して且つ均一に充分な強度や加工性をバランスよく維持することが困難な場合があった。
特開昭62−275133号公報 特開平2−64133号公報 特許第2507565号公報 特許第1761874号公報 特許第4807477号公報
本発明の目的は、薄型成形品にも対応でき、力学特性の等方性に優れ、立体形状への賦型が容易であり、複雑形形態のプレス成形品を安定的に製造する方法、それによって得られるプレス成型品を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、上記課題は、次の方法により解決できることを見出した。すなわち、本発明によれば、(a)熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子が30〜95重量%と、(b)炭素繊維が40〜100重量%および耐熱有機繊維が0〜60重量%の比率で構成される強化繊維が5〜70重量%とからなり、耐熱有機繊維の繊維長が10mmより長く150mm以下、炭素繊維の繊維長が150mm以下であり、強化繊維単糸と該強化繊維単糸と交差する他の強化繊維単糸とで形成される二次元配向角の平均値が5〜90度であるスタンパブルシート状物を、プレス成形することを特徴とするプレス成形品の製造方法が提供される。
本発明は、特定のスタンパブルシート状物を用いて成形することにより、薄型成形品にも対応でき、力学特性の等方性に優れ、立体形状への賦型が容易であり、複雑形形態のプレス成形品を安定的に製造する方法、それによって得られるプレス成型品を提供すること積層成形品には不向きであった薄型成形品にも対応でき、等方的に力学特性に優れた、複ができる。
本発明は、(a)熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子と、(b)強化繊維とからなるスタンパブルシート状物をプレス成型するプレス成型品の製造法である。
本発明で用いられるスタンパブルシート状物(以下、単にシート状物と称することがある)は、(a)熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子:(b)強化繊維が重量比で、30:70〜95:5、好ましくは40:60〜80:20である。熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子の重量比が30重量%未満では、熱可塑性樹脂からなる繊維や粒子を溶融し十分に強化繊維間に含浸させてプレス成型品を成形するのが難しくなり、一方、強化繊維の重量比が5重量%未満では、プレス成型品として十分な機械的特性が得られない。
本発明に用いる(b)強化繊維は、炭素繊維のみを用いるか、耐衝撃性を高めるため、炭素繊維と耐熱有機繊維とを併用する。炭素繊維:耐熱有機繊維が重量比で、40:60〜100:0、好ましくは40:60〜90:10、より好ましくは40:60〜70:30である。炭素繊維の割合が少ないと曲げ強度や曲げ弾性率といった優れた機械的特性が得られ難くなる傾向にある。一方で、耐熱性有機繊維を上記割合で含有させることにより耐衝撃性を向上させる上で有利である。
本発明で用いる炭素繊維としては、引張強度3000MPa以上、弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。前記炭素繊維の原料としては特に限定するものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示できる。これらの炭素繊維のうち、取扱性能、製造工程通過性能に適したPAN系炭素繊維が特に好ましい。
本発明における炭素繊維の形態は、加工性の観点からカットファイバー(短繊維)であり、繊維長が150mm以下であるが、高い剛性を保持するために、繊維長は好ましくは10mmより長く150mm以下、より好ましくは15〜100mmであり、さらに好ましくは20〜80mm、さらにより好ましくは20〜60mmである。
本発明に用いる耐熱有機繊維としては、融点、軟化点又は熱分解開始温度が250℃以上の有機繊維であれば、特に限定するものではないが、具体的には、芳香族ポリアミド(アラミド)、芳香族ポリエーテルアミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、全芳香族ポリエステル繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、およびポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド繊維等のエンプラ繊維を好適に例として挙げることができる。なかでも耐衝撃性、生産性、価格などからアラミド繊維が好ましく使用できる。また、炭素繊維と同時に加工する際の加工性の観点から、カットファイバーの状態で用いる。高い耐衝撃性を保持するために繊維長は10mより長く150mm以下であり、好ましくは15〜150mm、より好ましくは20〜120mm、さらに好ましくは35〜80mm、よりさらに好ましくは35〜60mmである。特に20mm以上の長さを持った短繊維であることがより好ましい。
本発明におけるアラミド繊維とは、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分、もしくは芳香族アミノカルボン酸成分から構成される芳香族ポリアミド、又はこれらの芳香族共重合ポリアミドからなるポリマーであり、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが例示できる。特にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドが、耐衝撃性の点から好ましい。
また、本発明においては、炭素繊維および耐熱有機繊維の繊維直径は好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜80μm、さらに好ましくは5〜60μmである。100μmを超えると繊維自体の曲げ剛性が高まり、繊維の分散や交絡が十分でなくなる場合がある。また、5μmより小さいと、引張りや曲げに対する強力が不足して製造工程中に切れたり、繊維塊となったりするなどプレス成形体として均質なものが得られなくなることが加工条件によっては生じる場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子を構成する該熱可塑性樹脂としては、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等を好ましい例として挙げることができ、これらから選ばれる一種または二種以上であってもよい。
上記の熱可塑性樹脂は、ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した、メルトボリュームフローレイトが、好ましくは12〜60cm/10分、より好ましくは16〜40cm/10分、さらに好ましくは16〜30cm/10分であることが好ましい。上記の溶融特性を有することにより、熱可塑繊維を溶融した際、強化繊維の繊維間に該樹脂が十分に含浸し、さらに得られるプレス成型品の剛性、耐衝撃性が容易となる。特に、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、上記メルトボリュームフローレイトを有する樹脂を用いることで、より顕著な効果得られることがわかった。
また、(a)熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子と(b)強化繊維とからなるスタンパブルシート状物は、シート状、布帛状またはウェブ状などの形態に加工した前駆体を意味するものであり、強化繊維間に樹脂の含浸する空隙を有していれば、その形態や形状には特に制限はなく、例えば、強化繊維が、有機化合物や無機化合物と混合されていたり、強化繊維同士が他の成分で目留めされていたり、強化繊維が樹脂成分と接着されていたりしてもよい。本発明では、強化繊維の二次元配向を容易に実現する観点から、乾式法や湿式法で得られる不織布形態で、強化繊維が十分に開繊され、かつ強化繊維同士が有機化合物で目留めされたシート状物が好ましい形状として例示できる。
また、本発明で用いられるシート状物は、可塑性樹脂からなる繊維または粒子を溶融し、マトリックスとなる樹脂成分を含浸させるために十分な空隙を有することが好ましく、このためシート状物には通気性を確保することが好ましい。通気性は、例えばJIS P8117に基づくガーレー式試験機法、あるいはASTM D737に基づくフラジール形法で測定することができる。このうち、より通気性に優れた材料を評価する目的で、ASTM D737に基づくフラジール形法で測定される空気量(cm/cm・s)を目安とすることが好ましく、空気量としては好ましい50以上であり、より好ましくは70以上であり、さらに好ましくは100以上である。また、空気量の上限には特に制限はないが、1000以下が一般的に例示できる。
本発明における二次元配向角は、ある強化繊維単糸とそれと交差する他の強化繊維単糸とで形成される二次元の配向角である。ここでシート状物において、上記のある強化繊維とそれと交差する他の強化繊維単糸が必ずしも接触している必要はない。二次元配向角は交差する2つの強化繊維単糸が形成する2つの角度のうち、0度以上90度以下の角度と定義する。
具体的にシート状物から二次元配向角の平均値を測定する方法には特に制限はないが、例えば、シート状物の表面から強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。この場合シート状物を加熱加圧した成型体の表面を研磨して繊維を露出させることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。また、シート状物に透過光を利用して強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。この場合、シート状物を薄くスライスすることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。さらに、シート状物をX線CT透過観察して強化繊維の配向画像を撮影する方法も例示できる。X線透過性の高い強化繊維の場合には、強化繊維にトレーサ用の繊維を混合しておく、あるいは強化繊維にトレーサ用の薬剤を塗布しておくと、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。また、上記方法で測定が困難な場合には、強化繊維の構造を崩さないように樹脂を除去した後に強化繊維の配向を観察してもよい。例えばシート状物を2枚の金属メッシュに挟み、シート状物が動かないように固定してから樹脂成分を融解除去したり焼き飛ばしたりして、得られるシート状物を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察して測定することもできる。
本発明での強化繊維の二次元配向角の平均値は5〜90度であり、好ましくは20〜70度であり、より好ましくは30〜60度である。二次元配向角の平均値が5度未満の場合、繊維が実質的に一方向にのみ配向していることとなり、直行する方向の引張特性が極端に低いなど、力学特性が低下するだけでなくどの問題を生じる場合がある。
二次元配向角をより好ましくは30〜60度に近づけるには、シート状物を製造する際に、強化繊維を分散させ、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維(以下、熱可塑性繊維と称することがある。)を用いる場合には両繊維を分散させ、かつ平面的に配置することで達成できる。強化繊維等の分散を高めるために、乾式法では、開繊バーを設ける方法やさらに開繊バーを振動させる方法、さらにカードの目をファインにする方法や、カードの回転速度を調整する方法などが例示できる。湿式法でも、強化繊維を分散させる際の攪拌条件を調整する方法、濃度を希薄化する方法、溶液粘度を調整する方法、分散液を移送させる際に渦流を抑制する方法などが例示できる。また平面的に配置するために、乾式法では、強化繊維を集積する際に、静電気を用いる方法、整流化したエアを用いる方法、コンベアの引取速度を調整する方法などが例示できる。湿式法でも、超音波などで分散した強化繊維の再凝集を防止する方法、濾過速度を調整する方法、コンベアのメッシュ径を調整する方法、コンベアの引取速度を調整する方法などが例示できる。これらの方法は、特に限定されるものではなく、シート状物の状態を確認しながら、その他の製造条件を制御することでも達成できる。特に湿式法で製造する場合には、抄紙シート状物の製造装置を用いる方法が例示できる。投入繊維の濃度を増やすことで、得られるシート状物の目付を増やすことができる。さらに、分散液の流速(流量)とメッシュコンベアの速度を調整することでも目付を調整することができる。例えば、メッシュコンベアの速度を一定にして、分散液の流速を増やすことで得られるシート状物の目付を増やすことができる。逆にメッシュコンベアの速度を一定にして、分散液の流速を減らすことで、得られるシート状物の目付を減らすこともできる。さらには、分散液の流速に対して、メッシュコンベアの速度を調整することで、繊維の配向をコントロールすることも可能である。例えば、分散液の流速にたいして、メッシュコンベアの速度を速くすることで、得られるシート状物中の繊維の配向がメッシュコンベアの引き取り方向に向きやすくなる。このように各種パラメータを調整し、シート状物の製造が可能である。
本発明において、強化繊維と熱可塑性繊維とが、少なくとも一部で交絡していることが好ましい。かかる交絡としては、厚さ方向に切断したシート状物の切断面を、走査型電子顕微鏡(倍率:12倍)にて観察し、シート状物の厚さの半分以上の長さにわたって、厚さ方向(厚さ方向に対し、±45°以内の方向を含む)に配列している5本以上の短繊維が絡み合って集束した繊維束が、シート状物表面を観察し1cm当たり1ケ以上あることが好ましい。かかる交絡の存在により、シート状物の取扱いが容易になり、かつ、立体成形性においても有利な構造となる。よって、あまり上記交絡が多すぎても、基布が硬くなる傾向にあり、強化繊維と熱可塑性繊維とが両方で5本以上絡み合った繊維束の数(交絡数)は、シート状物表面において、好ましくは1〜50ケ/cmであり、より好ましくは1〜20ケ/cmである。なお、この交絡は、ニードルパンチ不織布の場合は針の打ち込み密度により、ウォーターニードルの場合は水柱の密度により、湿式不織布の場合は繊維の水中への分散、撹拌の条件の調整により上記範囲とすることができる。
また、本発明においては、上記二次配向角を満足すれば、強化繊維同士、強化繊維が炭素繊維と耐熱有機繊維からなる場合、それらが少なくとも一部で交絡していることが好ましい。これによって、熱可塑性樹脂中に強化繊維が交絡せずに含有されるプレス成型品と対比し、高い剛性や耐衝撃性を発揮することができる。かかる観点から、上記交絡の状態としては、強化繊維と熱可塑性繊維、または、強化繊維同士が不織布形状として互いの繊維が交絡していることが好ましい。
本発明においては、シート状物の複雑な形状へも追従する立体形状への賦型性を高め、柔軟性を確保するためにシート状物の伸度を高くすることが有用である。一般に、強化繊維は高モジュラスであり、上記柔軟性を得るためには、熱可塑性繊維の伸度を高く設計することが望ましい。特に融点や軟化点が高く、溶融粘度が高い熱可塑ポリマーからなる熱可塑性繊維を用いた場合、該繊維の伸度を高くすることにより、シート状物の柔軟性を高めることができる。よって、熱可塑性繊維の伸度は、好ましくは30%以上、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは60%以上である。一方、伸度があまり大きすぎても、ニードルパンチ等で繊維が伸び成形性が悪くなるため、好ましくは150%以下、より好ましくは120%以下、さらに好ましくは100%以下とするのが望ましい。特に、熱可塑性繊維としてポリカーボネート繊維を用いる場合は、上記伸度とすることが好ましい。
また、本発明においては、シート状物の嵩密度は0.01〜0.7g/cmであることが好ましく、0.1〜0.5g/cmであることがより好ましい。嵩密度が0.01以下である場合にはシート状物としての強度が十分に得られない可能性があり、0.7g/cmを超える場合には十分な軽量性を確保できない可能性があるため好ましくない。また、嵩密度が0.7g/cmを超える場合にはドレープ性(シート状物のしなやかさ)が乏しくなる可能性があり、積層または成形する際の作業性が著しく低下すると共に、立体成型をする際に型の曲面形状に正確に沿わず、しわ状になったり、強化繊維が折れ、成形品に欠陥が生じてしまう不具合が起こりやすい。
上記の二次元配向角を有するシート状物は、前記の強化繊維と熱可塑性繊維を混綿し、カード機を用いて一方向に引き揃えたウェブを、強化繊維の配向角の平均値が5度〜90度となるよう、該ウェブを積層することにより成形できる。
また、シート状物には上記の繊維配向が崩れない程度にニードルパンチをかけた不織布とすることもできる。この場合は、針の打ち込み密度を、好ましくは200〜800本/cm、好ましくは300〜600本/cmとすることが望ましい。打ち込み密度が200本/cm未満では、十分に繊維同士を交絡させることができず、シート状物の形態維持性が低下し、プレス成型品に立体成型する際に目付が変動し易くなる。一方、打ち込み密度が700本/cmを超えると、シート状物の伸度が低下し易くなり好ましくない。
上記シート状物とするためには、ニードルパンチ不織布を成形する際、例えば、ランダムウェーバー機を用いるか、針の打ち込み数が不織布の長さ方向と幅方向が同程度となるよう配列したカード機を用いることで配向角を上記範囲とすることもできる。
また、シート状物の1枚の目付は、好ましくは50〜500g/cm、より好ましくは70〜400g/cm、さらに好ましくは70〜300g/cmである。目付が50g/cm未満では取扱い性が悪くなる傾向があり、一方、目付が500g/cmを超えるとシート状物が硬くなり立体成形性が低下する傾向にある。
上記シート状物を用いてプレス成型品を成形する際は、シート状物を1枚または複数積層して用いることができる。本発明においては、1枚のシート状物の目付を上記範囲とすることにより、積層数を増やしても、シート状物が複雑な金型にも柔軟に適応して、立体成形を容易に行うことができる。
本発明で得られるプレス成形品は、各種部品、部材に使用することが可能であるが、その使用用途を広げるために、前記成形品は軽量でありかつ剛性、強度に優れることが好ましい。さらに寸法安定性の指標である線膨張係数にも優れることが好ましい。
具体的な指標としては、前記成形品の曲げ弾性率をEc、比重をρとしたときに、Ec1/3・ρ−1で表される、軽量性を示すひとつのパラメータである比剛性が1.5〜5であることが好ましい。一般的にスチールやアルミニウムの比剛性は1.5以下であり、これらの金属材料よりも優れた比剛性の領域となるため、1.5以上であることが好ましい。また、より好ましくはマグネシウムの一般的な比強度である2.0を超える2.0〜5、さらに好ましくは2.5〜5である。また、成形品の設計を容易にするために、比剛性は等方性を有していることが好ましく、前記比剛性の等方性の指標として、前記曲げ弾性率Ecが、測定方向による最大曲げ弾性率EcMaxと最小曲げ弾性率EcMinとの関係において、EcMax≦EcMin×2である。より好ましくはEcMax≦EcMin×1.8であり、さらに好ましくはEcMax≦EcMin×1.5である。
成形品の強度についての具体的な指標としては、前記成形体の引張強度σc、比重ρとすると、σc/ρが100〜500であることが好ましい。より好ましくは200〜500、さらに好ましくは300〜500である。また前述の比剛性の記載と同様の理由より、前記引張強度の等方性の指標として、前記引張強度σcが、測定方向による最大引張強度σcMaxと最小引張強度σcMinとの関係において、σcMax≦σcMin×2である。より好ましくはσcMax≦σcMin×1.8であり、さらに好ましくはσcMax≦σcMin×1.5である。
成形品の寸法安定性を示す一つのパラメータである線膨張係数についての具体的な指標としては、前記成形体の線膨張係数Ccが1×10−6〜20×10−5/Kであることが好ましい。より好ましくは1×10−6〜15×10−5/K、さらに好ましくは1×10−6〜10×10−5/Kである。また前述の比剛性の記載と同様の理由より、前記線膨張係数の等方性の指標として、前記線膨張係数Ccが、測定方向による最大線膨張係数CcMaxと最小線膨張係数CcMinとの関係において、CcMax≦CcMin×2である。より好ましくはCcMax≦CcMin×1.8であり、さらに好ましくはCcMax≦CcMin×1.5である。
また、本発明で得られるプレス成形品は、薄肉性、軽量性を考慮した場合、その最大厚みが好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm、さらに好ましくは2mm以下、よりさらに好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは1.2mm以下である。なお、ここで説明される最大厚みとは、成形品を構成する各平面部の厚みのうち最も大きな厚みのことを意味する。最大厚みは、成形品を構成する平面部において、最も厚みの大きな部分を測定して決定する。
またプレス成形品は、形状設計の自由度から、その厚みが変化していてもよい。この厚み変化は、連続的に変化したものであることがより好ましい。なお、ここでいう「連続的に」とは、厚みがテーパー状に変化していることを意味する。
さらに、プレス成形品は形状による剛性向上の効果を高めたり、形状による意匠効果を持たせるために、凹凸形状を有することが好ましい。具体的には成形品の基準面から凹凸形状を形成している凹凸面との高さの差が3mm以上であることが好ましい。基準面とは、成形品を形成する平面部のうち、面積が最も大きな平面部のことをいう。基準面と凹凸形状を形成している凹凸面とは、基準面に実質的に平行かつ、基準面から平面部1つ以上を隔てて形成される平面部のことである。ここで、実質的に平行とは、基準面と対象とする平面部とが形成する角度が20°以下のことをいう。基準面と凹凸面とが平行な場合には、基準面と凹凸面との高さの差はそのまま測定できるが、基準面と凹凸面とがある角度を形成する場合には、基準面と凹凸面上の点Pとの高さの差のうち、最も高さの差が大きくなるものを、基準面と凹凸面との高さの差とする。基準面から凹凸面との高さの差は5mm以上であることがより好ましい。
また、上記以外にも様々な使用を想定し、成形品には複雑形状を形成することが好ましい。例えば多数の平面部よりなる箱型形状を形成する場合には、平面部同士を屈曲部で繋ぐ形状となるが、その屈曲程度を表すための、屈曲部におけるR部の曲率半径が小さいことが好ましい。より複雑な形状を形成させるという観点からは、該R部の曲率半径は5mm以下であることが好ましい。
さらに、プレス成形品に複雑な形状を形成させる観点からは、前記屈曲部の個数が3個以上であることが好ましい。単純な成形品の折り曲げ形状では屈曲部が1個であり、コの字形状、単純なS字形状では屈曲部が2個となる。通常、部材などの複雑形状成形品はさらに屈曲部の個数が多くなる場合が大半であり、屈曲部の個数としては3個以上が好ましい目安となる。単純な四角形状の箱型成形品の場合には屈曲部が8個である。
また、プレス成形品は形状として各種ケース、筐体や部材への適用範囲を広げる観点から、成形品が屈曲部で区切られる平面部3面から構成される頂点を有することが好ましい。ここで、屈曲部で区切られる平面部3面から構成される頂点とは、平面部3面から構成されるコーナー部のことである。
さらにプレス成形品には、剛性を高める観点からリブが形成されていてもよい。リブの形状は特に限定されないが、線状リブ、T字リブ、十字リブなどが好ましく挙げられる。リブの高さは成形品の必要に応じて設定することになるが、成形品の薄肉性の観点からは10mm以下であることが好ましい。より好ましくは5mm以下である。
プレス成形品は軽量性を確保する観点からは、中空体であってもよい。この場合、成形品の形状に合わせていくつかの成形品を接合して、中空成形体を形成してもよい。
また、さらに高い力学特性を成形品に付与することを目的として、別の成形体と一体化させてもよい。別の成形品としては、力学特性を高めるためには、連続した強化繊維と樹脂とを有してなる繊維強化複合材料が接合されていることが好ましい。例えば、連続した強化繊維をエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂または、ポリプロピレンやポリアミドなどの熱可塑性樹脂と複合した繊維強化複合材料を成形品の表面に接合することで、極めて優れた力学特性や剛性を付与することが可能となる。
本発明において、プリフォームを成形して得られる成形品同士を接合一体化させてもよい。目的により、他方の繊維質量含有率を上げておき、高い強度として一体化させたものなどが例示できる。
成形品の適用用途を広げる観点からは、複雑形状の成形体を接合することが好ましい。ここで複雑形状の成形体とは、例えばエッジ、フレーム、ボス、リブ、ヒンジ、マウントなどの複雑形状の射出成形体が例示できる。成形品な優れた力学特性を活用できる用途を広げることができる。
一体化させるための手法としては特に限定されないが、接着剤や熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着などの方法が例示できる。なかでもプロセスの容易さや、成形サイクルの短さから、熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着が好ましい。
ここでプレス成形の種類は得られる成形品に応じ選択が可能である。ここで、プレス成形とは、加工機械および型、工具その他成形用の治具や副資材等を用いて、前記積層プリフォームに曲げ、剪断、圧縮等の変形を与えて成形体を得る方法であるが、その成形形態として絞り、深絞り、フランジ、コールゲート、エッジカーリング、型打ちなどが例示される。また、プレス成形の方法としては、各種存在するプレス成形の方法のなかでも、大型の航空機などの成形品部材を作製する際によく使用されるオートクレーブ法や、工程が比較的簡便である金型プレス法が好ましく挙げられるが、設備や成形工程でのエネルギー使用量、使用する成形用の治具や副資材等の簡略化、成形圧力、温度の自由度の観点から、金属製の型を用いて成形をおこなう金型プレス法を用いることがより好ましい。
金型プレス法には、前記プリフォームを型内に予め配置しておき、型締とともに加圧、加熱をおこない、次いで型締をおこなったまま、金型の冷却により該プリフォームの冷却をおこない成形品を得るホットプレス法や、予め該プリプレグまたはプリフォームを、熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度以上に、遠赤外線ヒーター、加熱板、高温オーブン、誘電加熱などに例示される加熱装置で加熱し、該繊維または該粒子を溶融、軟化させた状態で、前記成形型の下面となる型の上に配置し、次いで型を閉じて型締を行い、その後加圧冷却する方法であるスタンピング成形を採用することができる。プレス成形方法については、特に制限はないが、成形サイクルを早めて生産性を高める観点からは、スタンピング成形であることが好ましい。
さらに、上記繊維や粒子が熱可塑性樹脂からなるため、前記予熱によりプリプレグまたはプリフォームを賦形可能な状態とできる。そして予熱の温度は、前記熱可塑性樹脂の融点または軟化点以上とすることが好ましい。
予熱したプリプレグまたはプリフォームをプレス成形に用いられる金型まで搬送するに際し、予熱状態を十分に保ったままでプレス成形するために、素早く搬送することが好ましい。具体的には、プリプレグまたはプリフォームを予熱後、金型まで搬送してプレス成形で加圧を開始するまでの所要時間が1分以内であることが好ましく、30秒以内であることがより好ましく、15秒以内であることがさらに好ましい。
プレス金型での加圧については、プリプレグまたはプリフォームを良好に賦形させる観点から、加圧力は0.1MPa以上である必要がある。好ましくは1MPa以上、より好ましくは10MPa以上である。加圧力の上限については、成形時の強化繊維の折損を抑え本発明の目的を達成する観点から、100MPa以下である必要がある。
プレス金型での冷却については特に制限されることはないが、プリプレグまたはプリフォームを構成する樹脂として熱可塑性樹脂を使用しているので、予熱したプリフォームを十分に冷却させる観点から、金型の表面温度を熱可塑性樹脂の融点または軟化点以下とすることが好ましい。また脱型を早めて成形サイクルを短くする観点からは、金型温度を熱可塑性樹脂の融点または軟化点よりも30℃以上低くすることが好ましい。より好ましくは50℃以上低くすることである。
次に本発明において、プリフォームを金型に配置してプレス成形する工程について説明する。本発明では、プリフォームを、次式で示されるチャージ率を100%より大きくして金型に配置することが好ましい。
チャージ率(%)=100×(プリフォームの面積)/(金型キャビティ総面積)。
チャージ率が100%より大きい、すなわち金型キャビティ総面積を全てカバーする大きさよりも大きいプリフォームを金型に配置することで、成形時にプリフォームに過度な流動を起こすことなく、繊維配向を保ったままで成形が可能となる。このため、成形時に繊維配向を乱したり、成形時の流動によって繊維配向に異方性を生じさせたりすることを極力抑えて、プリプレグまたはプリフォームの繊維配向を活かした成形品を得ることができる。好ましくはチャージ率を105%以上、さらに好ましくは110%以上とすることである。チャージ率の上限については、特に制限はないが、材料を有効に使用し、無駄を省く観点からは150%以下であることが好ましい。
次に成形用の金型について説明する。金型は大きく2種類に分類され、1つは鋳造や射出成形などに使用される密閉金型であり、もう1つはプレス成形や鍛造などに使用される開放金型である。密閉金型は主に内部に材料を流し込んで成形する金型であり、開放金型は主に材料を流さずに変形させて成形する金型である。成形時にシート状物に過度な流動を起こすことなく、成形時にプリプレグまたはプリフォームの繊維配向を乱したり、成形時の流動によって繊維配向に異方性を生じさせたりすることを極力抑えて、プリプレグまたはプリフォームの繊維配向を活かした成形品を得るために、開放金型を用いることが好ましい。また、成形時の分解ガスや混入空気を型外に排除する観点からも開放金型が好ましい。
さらに、金型には打ち抜き機構、パンチング機構、タッピング機構から選択される少なくとも一種を有する金型が好ましい。プレス成形で得られた成形品は、プリフォームのチャージ率を、金型のキャビティ総面積に対し100%より大きくしてプレス成形する場合もあり、成形品として必要な部分と不必要な部分(端部)を有することがある。従って、成形後に成形品の形状を仕上げるために、この端部を除去する工程が必要となる場合がある。また、成形品は、その使用目的などによっては発生ガスや熱交換のための通気口や排気口、成形品の掴み部分、加工用のネジ孔やボルト接合用の孔、意匠性の付与を目的とした孔や打ち抜き模様などで利用する孔部を有する成形品に加工することが想定される。前記した3つの機構から選択される少なくとも一種を有することで、プレス成形後に端部を除去する工程や必要な孔部を形成する工程をプレス成形と同時に実施することができ、工程の簡略化を図ることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)繊維長、繊度
JIS L 1015に準拠して測定した。
(2)繊径
キーエンス社製光学顕微鏡DEGITAL MICROSCOPE VHX−1000を用い1000倍で繊維断面の直径を10本測定し、その平均値とした。
(3)繊維の引張強度、伸度、弾性率
ASTM D885に準拠して測定した。
(4)ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト
ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した。
(5)各繊維の融点、軟化点、熱分解開始温度
株式会社リガク社製示差熱分析装置TAS200にて窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて測定し算出した。
(6)プレス成形品の曲げ強度、弾性率
JIS K 7171に準拠し、厚さ5mm、長さ100mm、幅10mmの試験片を用いて、支点間距離80mmでの3点曲げにて測定した。
強度は、200MPa以上、弾性率は15GPa以上を合格とした。
また、曲げ強度および曲げ弾性率を測定する供試体は、作成された成形品サンプルから方向を30度ごとに変え、合計12方向で測定し(n数5で合計60点)。そのうちの、最大値、最小値を表1に示す。
(7)二次元配向角の平均値
任意の箇所から切り出したプレス成型品を2枚の金属メッシュに挟み、動かないように固定してから樹脂成分を熱で融解ドリップ、フローさせて除去し、得られるシート状物を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察して測定した。これを以下の1)、2)手順で測定した。
1)無作為に選択した強化繊維単糸Aに対して交差している全ての強化繊維単糸Bとの二次元配向角の平均値を測定する。強化繊維単糸Aに交差する強化繊維単糸Bが多数の場合には、交差する強化繊維単糸Bを無作為に30本選び測定した平均値を代用してもよい。
2)上記Iの測定を別の強化繊維単糸に着目して合計5回繰り返し、その平均値を二次元
配向角の平均値として算出する。
(8)繊維交絡数
厚さ方向に切断した基材の切断面を、走査型電子顕微鏡(倍率:12倍)にて観察し、基材の厚さの半分以上の長さにわたって、厚さ方向(厚さ方向に対し、±45°以内の方向を含む)に配列している5本以上の短繊維が集束した繊維束が、基材表面1cmあたり何個あるかを数え、ケ/cmで表わした。
[実施例1]
繊維径12μmの炭素繊維(東邦テナックス製、引張強度4200MPa)を35mmにカットした繊維と繊維径12μmのアラミド繊維(コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維)(帝人テクノプロダクツ製 テクノーラ(商標)、引張強度3400MPa)を51mmにカットした繊維を重量比で90:10の割合で開繊機にて混合し、強化繊維混合物を得た。
熱可塑性繊維は、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトL−1225L メルトボリュームフローレイト 18cm/10分間)を290℃にて溶融押し出しし、直径30μm、伸度61%のフィラメントを得た。得られたフィラメントを51mmにカットした。
上記の強化繊維混合物とポリカーボネート繊維を重量比で40:60になるように開繊機にて混合した後、カード機にて目付200g/mの不織布を作成し、カード工程を通過させた。そして、得られた不織布を8枚積層し1600g/mの繊維積層物を得た。以下の実施例、比較例でも繊維の強化繊維の二次元配向角を調整、変化付けは、上記の不織布作成、カード工程および積層工程において行った。特に積層工程においては、積層するシート状物の切り出し方向をかえることで容易に二次元配向角の調整を行なった。上記で上記積層物を、ニードルパンチ機により38番針にて針深度10mm、500本/cmの密度で打ち込みをしてニーパン不織布を得た。次いで、予め離型処理を施したステンレス板で挟み、ホットプレス熱盤上にセットした後、同じく予め離型処理を施した鋼製スペーサーを使用して、約2mmと5mmのプレス成型品を作成した。なお、このときの成型条件は、成型圧力が5MPa、成型温度が300℃、二次元配向角は46度であった。
[実施例2〜9、比較例1]
実施例1の積層工程においてを変化、調整した以外は実施例1と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
[実施例10]
実施例1の炭素繊維とアラミド繊維の混合比率を40:60にした以外は実施例1と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
[実施例11〜13、比較例4〜5]
実施例10の強化繊維混合物とポリカーボネート繊維の比率を表1のように変更した以外は実施例10と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
[実施例14]
実施例12の熱可塑性繊維を直径12μmのポリエステル繊維に変更した以外は実施例12と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
[実施例15]
実施例12の熱可塑性繊維を直径18μmのポリプロピレン繊維に変更し、プレス成型の温度を220℃とした以外は実施例12と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
[実施例16]
実施例12の熱可塑性繊維を直径14μmのポリアミド繊維とし、プレス成型の温度を280℃とした以外は実施例12と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
[実施例17]
実施例12のアラミド繊維を、直径14μmのポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(PBO繊維 引張強度5800MPa)に変更した以外は実施例4と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
[実施例18]
実施例12のアラミド繊維を、直径14μmのポリエーテルイミド繊維に変更した以外は実施例12と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
[比較例2〜3]
実施例1の炭素繊維とアラミド繊維の混合比率を表1のように変更した以外は実施例1と同様の処理を実施し、プレス成型品を作成した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2014069403
本発明は、優れた耐衝撃性を有する軽量なプレス成型品を提供するものであり、本発明により製造されたプレス成型品は、補強用、摩擦・摺動用、自動車、船舶などの産業用部品、電気・電子機器、AV機器、OA機器、建築用の部品・部材、建材、建具、パッキン類又はシール類などに好適に用いることができる。

Claims (20)

  1. (a)熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子が30〜95重量%と、(b)炭素繊維が40〜100重量%および耐熱有機繊維が0〜60重量%の比率で構成される強化繊維が5〜70重量%とからなり、耐熱有機繊維の繊維長が10mmより長く150mm以下、炭素繊維の繊維長が150mm以下であり、強化繊維単糸と該強化繊維単糸と交差する他の強化繊維単糸とで形成される二次元配向角の平均値が5〜90度であるスタンパブルシート状物を、プレス成形することを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  2. プレス成形において、熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子を含む強化繊維からなる成形用シート状物のチャージ率を、金型のキャビティ総面積に対し100%より大きくしてプレス成形する、請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  3. プレス成形の加圧力が0.1〜100MPaである、請求項1または2に記載のプレス成形品の製造方法。
  4. プレス成形品の厚みが、0.03〜10mmである、請求項1〜3のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  5. プレス成形品の厚みが連続的に変化したものである、請求項1〜4のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  6. プレス成形品の最大厚みが2mm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  7. プレス成形において、開放金型を用いてプレス成形する、請求項1〜6のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  8. プレス成形において、打ち抜き機構、パンチング機構、タッピング機構から選択される少なくとも一種を有する金型を用いてプレス成形する、請求項1〜7のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  9. プレス成型を、冷却用金型をもちいてスタンピング成形する、請求項1〜8のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  10. プレス成型品の曲げ弾性率Ec、比重ρとすると、Ec1/3・ρ−1が1.5〜5である、請求項1〜9のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  11. 曲げ弾性率Ecが、測定方向による最大曲げ弾性率EcMaxと最小曲げ弾性率EcMinとの関係において、EcMax≦EcMin×2である、請求項10に記載のプレス成形品の製造方法。
  12. プレス成形品の引張強度σc、比重ρとすると、σc/ρが100〜500である、請求項1〜11のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  13. 引張強度σcが、測定方向による最大引張強度σcMaxと最小引張強度σcMinとの関係において、σcMax≦σcMin×2である、請求項12に記載のプレス成形品の製造方法。
  14. プレス成形品の線膨張係数Ccが1×10−6〜20×10−5/Kである、請求項1〜13のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  15. プレス成形品の面内方向の線膨張係数Ccが、測定方向による最大線膨張係数CcMaxと最小線膨張係数CcMinとの関係において、CcMax≦CcMin×2である、請求項1〜14のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
  16. 耐熱有機繊維が、アラミド繊維、または、ポリベンズビスオキサゾール繊維である、請求項1〜15のいずれかに記載のプレス成型品の製造方法。
  17. 熱可塑性樹脂からなる繊維または粒子が、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートのうち少なくとも1種からなる、請求項1〜16のいずれかに記載のプレス成型品の製造方法。
  18. 強化繊維と熱可塑性繊維が一部で交絡している請求項1〜17のいずれかに記載のプレス成型品の製造方法。
  19. 炭素繊維と耐熱有機繊維との両方を含み、該炭素繊維と該耐熱有機繊維が少なくとも一部で交絡している請求項1〜18のいずれかに記載のプレス成型品の製造方法。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載のプレス成型品の製造方法により得られるプレス成型品。
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