JP2014054874A - ハイブリッド車両のオートクルーズ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オートクルーズ制御中において、目標車速Vtgtを維持するために必要な要求トルクをモータ3により達成可能なときにはEV走行モードを選択し(S4がYes)、達成不能なときにはHEV走行モードを選択する(S4がNo)。車速Vが目標車速Vtgtから外れると、HEV走行モードでは、エンジン2に対応する低い制御ゲインを適用して目標車速Vtgtと車速Vとの偏差ΔVに基づき要求トルクを算出し(S6)、EV走行モードでは、モータ3に対応する高い制御ゲインを適用して偏差ΔVに基づき要求トルクを算出し(S10)、それぞれエンジン2やモータ3を駆動制御する(S8,12)。
【選択図】図2
Description
一方で、近年では環境問題を考慮して、走行用動力源としてエンジンと共にモータを搭載したハイブリッド車両が実用化されている。この種のハイブリッド車両は、走行状態などに応じてエンジン及びモータを適切に運転させることにより、車両全体としてのエネルギ効率を向上させて燃費節減やエミッション低減を達成するものである。例えば車両の加速時には、モータを力行制御して発生した駆動力でエンジンを補助することにより、エンジン側の負担を軽減しつつ効率の良好な領域でエンジンを運転させている。また、車両の減速時には、モータを回生制御して制動力を発生させると共に、車両の運動エネルギを回生電力として回収して後のモータ運転に有効利用している。
運転者により目標車速が設定されてオートクルーズ制御が開始されると、まず、平坦路で目標車速を維持するために必要なエンジン出力を算出し、このエンジン出力に基づきエンジンを制御する。
結果として目標車速を維持した上で、登坂路での出力増加分や降坂路での出力低下分をモータの駆動力により補ってエンジン出力を一定に保つことにより、燃費節減やエミッション低減を図っている。
図4はこの従来技術のオートクルーズ制御の実行状況を示すタイムチャートである。なお、図中の路面勾配については0を平坦路として表し、要求トルクの欄にはモータの出力可能範囲Tev(最大力行トルクTm1と最大回生トルクTm2との間の領域)を併記している。
要求トルクがモータの出力可能範囲Tev内にあり、モータのみで要求トルクを達成可能なときには、走行モードとしてEV走行が選択される。また要求トルクがモータの出力可能範囲Tevを超えているとき、即ち登坂路で駆動力が不足したり降坂路で制動力が不足したりした場合には、エンジンの駆動力或いはエンジンブレーキを併用すべくHEVモードが選択される。
図4に示すように、まず登坂路の走行中にはHEVモードが選択され、モータのみでは不足する駆動力がエンジンにより補われて目標車速Vtgtが維持されている。車両が降坂路に侵入すると、車速Vの増加に伴って目標車速Vtgtとの偏差ΔV(=Vtgt−V)が次第に負側に増加する。従って、上記制御ゲインにより偏差ΔVに基づき要求トルクが順次減少側に算出される。
これにより大きく増加していた車速Vが低下方向に転じ、それに応じて偏差ΔVが減少し始める。要求トルクが減少し続けて最大回生トルクTm2を下回ると、走行モードが再びHEVモードに切り換えられて、モータの負側の駆動力の不足分がエンジンブレーキにより補われる。そして、要求トルクが増加に転じて最大回生トルクTm2を上回ると、走行モードが再びEVモードに切り換えられる。
モータの駆動力が最大力行トルクTm1を上回ると、走行モードが再びHEVモードに切り換えられ、モータの駆動力の不足分がエンジンの駆動力により補われる。これにより大きく減少していた車速Vが増加方向に転じ、それに応じて偏差ΔVが減少し始める。そして、要求トルクが低下して最大力行トルクTm1を下回ると、走行モードが再びEVモードに切り換えられて、車速Vが目標車速Vtgt付近に復帰する。
また、車速Vを目標車速Vtgtに復帰させるためにHEVモードへの切換が必要になるため、頻繁な走行モードの切換により実質的なEVモードの期間が短縮化してしまう。結果として降坂路でモータの回生制御により車両の運動エネルギを十分に回収できなくなると共に、HEVモードへの切換毎にエンジン始動により無駄な電力を消費してしまい、ハイブリッド車両の利点を活かすことができなかった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、目標車速を確実に維持して良好な走行フィーリングを実現できると共に、可能な限りEVモードの期間を確保することによりハイブリッド車両の利点を十分に活かすことができるハイブリッド車両のオートクルーズ制御装置を提供することにある。
また、要求トルクの迅速な変化により車速が目標車速から大きく外れる事態を防止できるため、多くの場合には第2の走行モードに切り換えることなく第1の走行モードを継続したまま目標車速への復帰を達成できる。結果として、可能な限り第1の走行モードの期間を確保することによりハイブリッド車両の利点を十分に活かすことができる。
偏差がモード切換禁止範囲内にあるときには、例えば偏差の増減が未だ少なく第1の走行モードを継続しても支障ない状況、或いは、要求トルクの変化によって既に偏差の増加が抑制されており、そのままで目標車速に復帰する状況と見なせる。よって、これらの場合には第2の走行モードへの切換は必要なく第1の走行モードを継続でき、これにより目標車速を確実に維持可能とした上で、第1の走行モードの期間を一層延長化することができる。
図1は本実施形態のオートクルーズ制御装置が搭載されたハイブリッド型トラックを示す全体構成図である。
ハイブリッド型トラック1はいわゆるパラレル型ハイブリッド車両として構成されており、以下の説明では、車両と称する場合もある。車両1には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)2、及び例えば永久磁石式同期電動機のように発電機としても作動可能なモータ3が搭載されている。エンジン1の出力軸にはクラッチ4が連結され、クラッチ4にはモータ3の回転軸を介して自動変速機5の入力側が連結されている。自動変速機5の出力側にはプロペラシャフト6を介して差動装置7が連結され、作動装置7には駆動軸8を介して左右の駆動輪9が連結されている。
従って、クラッチ4の切断時には、上記のようにモータ3が発生する正側または負側の駆動力が駆動輪9側に伝達されて車両1が走行する。また、クラッチ4の接続時には、エンジン2及びモータ3の駆動力が駆動輪9側に伝達されたり、或いはエンジン2の駆動力のみが駆動輪側に伝達されたりして車両1が走行する。
また、車両ECU13には、図示はしないがクラッチ4を断接操作するアクチュエータ、及び自動変速機5を変速操作するアクチュエータなどが接続されると共に、エンジン制御用のエンジンECU22、インバータ制御用のインバータECU23、及びバッテリ11を管理するバッテリECU24が接続されている。
基本的に走行モードの切換は、ハイブリッド車両の特徴を活かすために可能な限りEVモードを優先して行われ、要求トルクやバッテリSOCなどからの要請に応じてHEVモードやE/Gモードに切り換えられる。
例えばEVモードによる走行中において、アクセル操作に応じて要求トルクが増加または減少してモータ3の出力可能範囲Tev(図4に示す)を外れたときには、HEVモードに切り換えられてモータ駆動力の不足分がエンジン2の駆動力或いはエンジンブレーキにより補われる。また、例えばバッテリ11のSOC低下により充電を要する場合には、E/Gモードに切り換えられた上でモータ3が回生制御され、車両1の走行を継続させながらエンジン2の駆動力の一部を用いてモータ3を発電させ、その発電電力をバッテリ11に充電する。
また、車両1の走行中において車両ECU13は、アクセル操作量θaccや車速Vなどに基づき図示しないシフトマップから目標変速段を算出し、この目標変速段を達成すべく、アクチュエータによりクラッチ4の断接操作及び変速段の切換操作を実行する。
また、インバータECU23は、車両ECU13から入力された走行モード及びトルク指令値を達成するように、インバータ10を駆動制御する。例えばEVモードやHEVモードでは、正側のトルク指令値に対してモータ3を力行制御して正側の駆動力を発生させ、負側のトルク指令値に対してはモータ3を力行制御して負側の駆動力を発生させる。また、E/Gモードの場合には、モータ3の駆動力を0に制御する。
また、バッテリECU24は、バッテリ11の温度、バッテリ11の電圧、インバータ10とバッテリ11との間に流れる電流などを検出すると共に、これらの検出結果からバッテリ11のSOCを求め、このSOCを検出結果と共に車両ECU13に出力する。
オートクルーズ制御中の要求トルクはアクセル操作量θaccなどに基づくことなく、目標車速Vtgtを維持するために必要な駆動力として算出される。例えば、車速Vと目標車速Vtgtとの偏差ΔVに基づくPID制御などにより、偏差ΔVを縮小する方向に要求トルクが順次算出される。
そして、このオートクルーズ制御中においても、要求トルクがモータ3の出力可能範囲Tev内にあり、モータ3のみで要求トルクを達成可能なときには、走行モードとしてEV走行が選択される。また、要求トルクがモータ3の出力可能範囲Tevを超えてモータ3のみでは達成不能なとき、即ち登坂路で駆動力が不足したり降坂路で制動力が不足したりした場合には、エンジン2の駆動力或いはエンジンブレーキを併用すべくHEVモードに切り換えられる。
そこで、本実施形態では、予め走行モードに対応して最適な制御ゲインをそれぞれ設定し、オートクルーズ制御中には走行モードに応じた制御ゲインにより要求トルクを算出しており、以下、その制御内容を説明する。
これに対してEVモードで適用する制御ゲイン(以下、第1の制御ゲインという)は、エンジン2側の制御に比べて格段に応答性が良好なモータ3側の制御に対応して高い値(偏差ΔVに対する制御量が大であり応答性が良好な値)が設定されている。例えばPID制御の場合には制御ゲインとして、P動作の比例ゲイン、I動作の積分ゲイン及びD動作の微分ゲインの少なくとも何れかが高い値に設定される。オートクルーズ制御中には、これらの第1及び第2の制御ゲインが走行モードに応じて車両ECU13により使い分けられる。
まず、車両ECU13は、ステップS2で現在オートクルーズ制御を実行中であるか否かを判定し、No(否定)のときには一旦ルーチンを終了する。ステップS2の判定がYes(肯定)のときには、ステップS4に移行してEVモードを実行可能であるか否かを判定する。上記したように当該判定はモータ3の出力可能範囲Tevに基づき行われ、要求トルクが出力可能範囲Tev内にある場合には走行モードとしてEVモードが選択され、出力可能範囲Tevを外れるとHEVモードに切り換えられる。
従って、以上の処理が繰り返されることで各ECU22,23によりエンジン2及びモータ3が制御されてHEVモードが実行されると共に(駆動制御手段)、要求トルクの達成により目標車速Vtgtへの復帰が図られる。
その後にステップS14で、目標車速Vtgtと車速Vとの偏差ΔVが予め設定されたモード切換禁止範囲Vev内にあるか否かを判定する。モード切換禁止範囲Vevは、EVモードからHEVモードへの切換を禁止するための要件であり、例えば目標車速Vtgtを中心とした±5Km/hの速度領域が設定されている。ステップS14の判定がYesのときには上記ステップS10に戻り、ステップS14の判定がNoになるとルーチンを終了する。
従って、ステップS10,12の処理が繰り返されることでインバータECU23によりモータ3が制御されてEVモードが実行されると共に(駆動制御手段)、要求トルクの達成により目標車速Vtgtへの復帰が図られる。偏差ΔVがモード切換禁止範囲Vev内にあるとしてステップS14でYesの判定が下されている限り、ステップS10,12の処理によりEVモードが継続されてHEVモードへの切換が禁止される。そして、偏差ΔVがモード切換禁止範囲Vevを外れてステップS14の判定がNoになった時点でモード切換の禁止が解除され、再びステップS4での判定に基づき走行モードが選択される。
まず登坂路の走行中にはHEVモードが選択され、モータ3のみでは不足する駆動力がエンジン2により補われて目標車速Vtgtが維持されている。車両1が降坂路に侵入すると、車速Vの増加に伴って目標車速Vtgtとの偏差ΔV(=Vtgt−V)が次第に負側に増加し、偏差ΔVに応じて要求トルクが順次減少側に変化する。
このため、車速Vは早期時点で増加を抑制されて低下方向に転じ、それに応じて偏差ΔVはモード切換禁止範囲Vevの上限を超える以前に減少し始める。偏差ΔVの減少開始は、その時点のモータ3の駆動力を継続すれば目標車速Vtgtへの復帰が可能であることを意味する。よって、このときには図4のステップS14の処理によりEVモードが継続される(換言すれば、HEVモードへの切換によるエンジンブレーキの補助が行われない)ことになるが、車速Vは目標車速Vtgtから大きく外れることなく迅速に目標車速Vtgtに復帰する。
しかも本実施形態では、従来技術などと同様にモータ3の出力可能範囲Tevに基づき走行モードを切り換えると共に、それに加えてオートクルーズ制御のEVモードからHEVモードへの切換については所定の制限を付加している。即ち、本実施形態ではEVモードの実行中には、たとえ要求トルクが出力可能範囲Tevを外れたとしても、このときの偏差ΔVがモード切換禁止範囲Vev内にある限りEVモードを継続している。
よって、これらの場合にはHEVモードへの切換は必要なく、EVモードを継続しても何ら問題は生じない。このため、目標車速Vtgtを確実に維持可能とした上で、全体としてのEVモードの期間を一層延長化できると共に、モータ3の回生制御によるエネルギ回収やエンジン始動に要する電力節減を達成することができる。
また上記実施形態では、EVモードの実行中において偏差ΔVがモード切換禁止範囲Vev内にある場合にはEVモードを継続したが(図2のステップS14)、これに限るものではなく、当該処理を省略してもよい。
なお、路面勾配θを推定するための手法は種々の文献に開示されており、例えば特開2003−097945号公報に記載されたものを用いることができる。当該公報の技術では、加速度センサにより検出された前後加速度から車輪速センサにより検出された実際の前後加速度を減算することで路面勾配に起因する加速度を求め、この路面勾配による加速度を角度換算して路面勾配を求めている。
3 モータ
13 車両ECU(走行モード切換手段、要求トルク設定手段)
22 エンジンECU(駆動制御手段)
23 インバータECU(駆動制御手段)
Claims (2)
- 走行用動力源としてエンジン及びモータを搭載し、少なくとも上記モータを単独で使用する第1の走行モードと、上記モータ及びエンジンを併用する第2の走行モードとを選択的に実行して走行するハイブリッド車両において、
運転者により設定された目標車速に基づき車速を制御するオートクルーズ制御中に、該目標車速を維持するために必要な要求トルクを上記モータにより達成可能なときには上記第1の走行モードを選択し、上記モータのみでは上記要求トルクを達成不能なときには上記第2の走行モードを選択する走行モード切換手段と、
上記第2の走行モードの実行中には、予め設定された第2の制御ゲインを適用して、上記目標車速と車速との偏差または上記車両が走行中の路面勾配に基づき上記要求トルクを算出し、上記第1の走行モードの実行中には、予め上記モータの制御応答性に対応して上記第2の制御ゲインよりも高い値に設定された第1の制御ゲインを適用して、上記偏差または上記路面勾配に基づき上記要求トルクを算出する要求トルク設定手段と、
上記要求トルク設定手段により算出された要求トルクに基づき、上記各走行モードに応じて上記モータ及びエンジンを駆動制御して該要求トルクを達成する駆動制御手段と
を備えたことを特徴とするハイブリッド車両のオートクルーズ制御装置。 - 上記走行モード切換手段は、上記第1の走行モード中において、上記目標車速を含むように予め設定されたモード切換禁止範囲内に上記偏差があるときには、上記モータのみで上記要求トルクを達成不能な場合でも上記第1の走行モードを継続することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両のオートクルーズ制御装置。
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