以下、図面を参照しながら、本発明を適用したカメラシステムの好ましい実施の形態について詳細に説明する。以下の説明においては、カメラシステムの一例として、レンズ交換式デジタルカメラが開示される。
図1は、このカメラシステムのブロック構成図を示している。カメラシステムは、交換レンズ1とカメラ本体2とから構成される。
システムコントローラ200(カメラ制御部)は、カメラ本体2の制御を行なうと共に交換レンズ1がカメラ本体2へ装着された際にはカメラシステムを統括して制御する。システムコントローラ200は、CPU200a、画像処理回路200b、焦点検出回路200c等の複数の機能ブロックから構成される。
CPU200aは、不揮発性メモリ212に記憶されたプログラムコードを実行することで、システムコントローラ200に所定の動作を行わせる。不揮発性メモリ212としては、例えば、フラッシュメモリ(flash memory)、磁気抵抗メモリ(MRAM: Magnetoresistive Random Access Memory),抵抗変化型メモリ(ReRAM:Resistance Random Access Memory),強誘電体メモリ(FeRAM:Ferroelectric Random Access Memory),相変化記録技術を利用した半導体メモリ(PRAM:Phase change RAM)等のカメラシステムの電源をオフしても記憶内容が消えないメモリであればいずれのメモリでも利用可能である。揮発メモリ214は、例えばシステムコントローラ200が画像処理動作を行う際に一時的に画像データを格納するために、ワークメモリとして利用される。揮発メモリ214としては、例えばDRAM(Dynamic Random Accsess Memory)を利用可能である。
撮像部202は、光電変換素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)と光電変換素子を駆動する駆動回路、光電変換素子の出力をデジタル信号に変換するAD変換回路等から構成される。撮像部202は、レンズ1が形成した被写体の光学像は電気信号(デジタル信号)へ変換し、システムコントローラ200へ出力する。AF動作の際に、この電気信号は、焦点検出回路200cへ入力される。静止画像ファイル或は動画像ファイルの生成の際に、この電気信号は、画像処理回路200bへ入力される。
シャッタ205は、撮像部202のイメージセンサ(光電変換素子)の露光時間を制御する部材である。シャッタ205のオープン状態(交換レンズからの光束を透過する状態)とクローズ状態(交換レンズからの光束を遮光する状態)とは、シャッタ駆動機構204によって設定される。
コネクタ206は、カメラ本体2と交換レンズ1を電気的に接続する。コネクタ206によって接続されるラインには、システムコントローラ200の通信ポートと交換レンズ1内のレンズコントローラ100の通信ポートとを結ぶ通信ライン、カメラ本体2から交換レンズ1へ電力を送信するための電力送信ライン等が含まれる。
記憶媒体210は、撮影動作に伴いシステムコントローラ200によって生成された画像データ(所定形式の静止画像データファイル、動画像データファイル等)が記憶される。記録媒体210として、例えば、カメラ本体2へ着脱可能なメモリカード、小型のHDD(Hard Disk Drive)、光ディスク等が利用可能である。
カメラ操作部216は、カメラの利用者によって操作されるカメラ本体に設けられたスイッチ、釦、ダイヤル等の操作部材から構成される。PowerSW216a(電源スイッチ)は、カメラシステムの起動と停止を指示するためのスイッチである。撮影動作の開始を指示するレリーズ釦(不図示)は、二つの操作状態(半押しと全押し)を検出できる。カメラ利用者がレリーズ釦を半押した場合に1stRelSw216bのみがオン状態となり、カメラ利用者がレリーズ釦を全押しした場合に1stRelSw216b及び2ndRelSw216cが共にオン状態となる。システムコントローラ200は、レリーズ釦の半押しを1stRelSw216bの状態に基づき検出すると、撮影準備動作を行う。撮影準備動作において、所定の撮影準備動作(焦点調整動作、被写体輝度測定動作、被写体検出動作など)が行なわれる。更にシステムコントローラ200は、レリーズ釦の全押しを2ndRelSw216cの状態に基づき検出すると、被写体像の画像データを取得し、所定の画像ファイルへ変換し、記録媒体210へ記録する。
表示部208には、動作状態(カメラの動作モード、撮影条件など)を示す情報、ライブビュー画像(撮像部202からリアルタイムに被写体像を取得し表示すること)、再生画像(既に記憶媒体210へ記録されている画像ファイルをから読み出して再生)などが表示される。表示部208は、液晶表示素子、有機EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー等の表示素子から構成される。
バッテリ220は、カメラシステムの駆動電力を供給する電源である。バッテリ220の出力は、電源回路218により所定の電圧に変換され、カメラシステム内の各回路ブロックへ供給される。更に電源回路218の出力は、コネクタ206介して撮影レンズ1内の回路ブロックへも供給される。
撮影レンズ1がカメラ本体2へ装着されると、コネクタ206から供給される電力によってレンズコントローラ100(レンズ制御部)は動作を開始する。レンズコントローラ100はコネクタ206を介してシステムコントローラ200からの指令に応じて所定の動作を行う。レンズコントローラ100はその内部に、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ100eを有する。不揮発性メモリ100aは、レンズコントローラ100に所定の動作を実行させるためのプログラムコード、AF動作に関連した制御パラメータ(AF補正量、区分情報Full、区分情報Limit1、区分情報Limit2)等が記憶されている。これら制御パラメータは後述される。図1において、制御パラメータの記憶部としてレンズコントローラ100内部の不揮発性メモリ100eを利用したが、この記憶部としてレンズコントローラ100外部に不揮発性メモリをつなげても良い。
レンズ操作部102は、カメラの利用者によって操作される交換レンズ上に設けられたスイッチ、釦、ダイヤル等の操作部材から構成される。例えば、撮影レンズ1は、被写体距離が無限(∞)から0.5(m)の範囲において焦点調整動作が出来るものと仮定する。
カメラ利用者(ユーザ)は、焦点調節が可能な被写体距離を無限(∞)から1(m)に設定すると共に焦点調節が禁止される被写体距離を1(m)から0.5(m)に設定することを希望する場合、第一の駆動制限スイッチを操作してLimit1Sw102aをON状態にすればよい。カメラから被写体までの距離が遠い場合、この操作によってAF動作に要する時間が短縮される。
ユーザは、焦点調節が可能な被写体距離を3(m)から0.5(m)に設定すると共に焦点調節が禁止される被写体距離を無限(∞)から3(m)に設定することを希望する場合、第二の駆動制限スイッチを操作してLimit2Sw102bをON状態にすればよい。カメラから被写体までの距離が近い場合、この操作によって、AF動作に要する時間を短縮される。
ユーザは第一の駆動制限スイッチ或は第二の駆動制限スイッチを被写体距離に応じて適宜操作することで、レリーズタイムラグを減らすことができる。なお、第一の駆動制限スイッチと第二の駆動制限スイッチは同時に操作できない機構(不図示)を有しているものとする。従って、Limit1Sw102aとLimit2Sw102bが同時にON状態に設定されることはない。
光学系110は、被写体像を撮像部202のイメージセンサ上へ形成する。焦点調整動作において、ステッピングモータ104の駆動力は、レンズ駆動機構106を介して、光学系110へ伝達される。このことにより被写体の像は光軸に沿って変位する。なお光学系110を構成するレンズの一部のみを変位させて焦点調整動作をしてもよい。焦点調整動作に際し、全ての構成レンズを変位させる必要があるか、一部の構成レンズを変位させる必要があるかは、光学系110のレンズ形式に依存する。以下では焦点調整動作に関連して変位するレンズを単に“焦点調整レンズ”と呼ぶ。
駆動範囲検出エンコーダ108は、焦点調整動作において変位される焦点調整レンズの位置を検出するセンサ(位置検出部)である。レンズコントローラ100は、第一の駆動制限スイッチ或は第二の駆動制限スイッチが操作された際に、焦点調整レンズの変位可能(駆動可能)な範囲を、駆動範囲検出エンコーダ108の出力に基づき判定する。
光学系110を通過する光束はシボリ114により制限される。シボリ駆動機構112は、例えばステッピングモータを駆動元として有し、レンズコントローラ100の制御信号に応じてシボリ114の駆動を行なう。
本発明のカメラシステムよる焦点調整動作を、図2のフローチャートに基づき説明する。交換レンズ1の動作は、同図上の左に示されたフローチャート(S100〜S116)に対応し、これら動作ステップは、レンズコントローラ100により実行される。カメラ本体2の動作は、同図上の右に示されたフローチャート(S200〜S220)に対応し、これらの動作ステップはシステムコントローラ200により実行される。図2のフローチャートは、本発明に関わる焦点調整動作を主に開示し、発明に関わらない動作は省略されている。
PowerSW216aがユーザにより操作されてONすると、レンズコントローラ100に先立ちシステムコントローラ200は、動作開始する。システムコントローラ200は動作を開始するとカメラ本体2内部の回路の初期化動作を行う。この時カメラ本体2に交換レンズ1が装着されている時は、コネクタ206を介して電力を供給する。更にシステムコントローラ200は、撮像部から所定のフレームレートで画像データを取得して表示部へ表示する。この動作によって所謂ライブビュー表示と呼ばれる表示動作が開始される。この動作によりユーザは被写体像を表示部208上で観察可能となる。
レンズコントローラ100は、カメラ本体2からコネクタ206を介して電力が供給されると動作を開始する。レンズコントローラ100は交換レンズ1内部の回路の初期化、レンズ駆動機構106の初期化、シボリ駆動機構112の初期化等を行なう。そしてレンズコントローラ100はカメラ本体2(カメラボディ)との初期通信の要求を待つ。
システムコントローラ200は、初期化動作が終わり撮影レンズ1(レンズ)が装着されていることを検出した場合、レンズコントローラ100と初期通信を行なう(S200)。この初期通信において、システムコントローラ200は、レンズコントローラ100に対して“AF補正量”の送信を要求し、この情報が受信されると不揮発性メモリ212の所定アドレスへ格納する。
レンズコントローラ100は、システムコントローラ200から“AF補正量”の送信要求を受信すると、不揮発性メモリ100aから“AF補正量”を読み出してシステムコントローラ200へ送信する。“AF補正量”は図5に示したようにデータテーブルとして不揮発性メモリ100aの所定アドレスに記憶されている。
システムコントローラ200とレンズコントローラ100との間で行なわれる初期通信は、カメラ本体2が動作中に、交換レンズ1が交換され、焦点調整動作のために新たな“AF補正量”が必要になった際にも行なわれる。
フローチャートに基づく焦点調整動作の説明の前に、図3を用いて焦点調整動作の概要を説明する。
図3において横軸は焦点調整レンズの位置を示し、縦軸はコントラスト値を示す。横軸の左端は、焦点レンズの無限側の移動限界に相当し、焦点調整レンズを駆動する機構により決まる無限側の駆動限界(メカストッパ1)である。横軸の右端は、焦点調整レンズの至近側の移動限界に相当し、焦点調整レンズを駆動する機構により決まる至近側の駆動限界(メカストッパ2)である。“無限側”は、遠い距離の被写体にピントを合わせる際に焦点調整レンズを移動させる方向であり、“至近側”は、近い距離の被写体にピントを合わせる際に焦点調整レンズを移動させる方向を意味する。
焦点調整レンズの“レンズ位置情報”は、メカストッパ1を基準としたパルス数で表され、このパルス数は、焦点調整レンズを駆動するステッピングモータ104へ供給された駆動パルス信号に基づき生成される。レンズコントローラ100は、“レンズ位置情報”の生成を以下の如く行なう。即ち、レンズコントローラ100は、メカストッパ1に焦点調整レンズがあるとき、レンズ位置情報をクリアする(レンズ位置情報=0[pls])。そして、レンズコントローラ100は、無限側から至近側へ焦点レンズを移動する際に、ステッピングモータ104へ供給した駆動パルス信号をカウントし、このカウント数を“レンズ位置情報”へ加算する。更に、レンズコントローラ100は、至近側から無限側へ焦点調整レンズを移動する際に、ステッピングモータ104へ供給した駆動パルス信号をカウントし、このカウント数を“レンズ位置情報”から減算する。このようにステッピングモータ104へ供給した駆動パルス信号に基づき“レンズ位置情報”は生成される。
図3では、メカストッパ1からメカストッパ2の間において、“レンズ位置情報”は0[pls]から500[pls]の値が設定される。 “レンズ位置情報”が0[pls]から99[pls]の領域は、無限側の駆動余裕であり、“レンズ位置情報”が400[pls]から500[pls]の領域は、至近側の駆動余裕である。焦点調整レンズを設定できる有効な範囲(光学系110が被写体像をイメージセンサ上へ形成できる範囲)は、無限端(レンズ位置情報=100[pls])から至近端(“レンズ位置情報”=400[pls])の領域である。これら“レンズ位置情報”の値は説明のために便宜上設定した一例である。無限側の駆動余裕は、無限端或はその近傍で焦点調整レンズを駆動する際に必要な領域であり、至近側の駆動余裕は、至近端或はその近傍で焦点調整レンズを駆動する際に必要な領域である。
一例として、所望の被写体へ焦点を合わせる(ピントを合わせる)ために、焦点調整レンズを無限端(“レンズ位置情報”=100[pls])から所定位置(“レンズ位置情報”=Fp)へ駆動するものとする。図3上の*1は、焦点調整レンズの移動軌跡を示した線である。システムコントローラ200は、焦点調整レンズの移動中に、撮像部202から取得した電気信号に基づきコントラスト値をリアルタイムに算出する。図3上の*2の線は、この算出されたコントラスト値をプロットし、各プロットを結ぶことで得られる。
システムコントローラ200は、所定の空間周波数(例えば20[cycle/mm])に対応したコントラスト値を算出する。図3上の*3の破線は、複数の空間周波数、レンズ収差等を考慮した場合のコントラストの変化を示す。被写体像の焦点を正確に合わせるには、焦点調整レンズの位置を、*2上のコントラストが最大(Cpx)となるレンズ位置(Fpx)へ設定するのではなく、*3上のコントラストが最大(C2)となるレンズ位置(Fp)へ設定しなければならない。2つのコントラストの最大位置の差(Δ2)は、“AF補正量”として不揮発性メモリ100eの所定アドレスに記憶されている。Δ2は、光学シミュレーションに基づき求めることが出来る。或は、交換レンズ1の光学特性データを個々に測定することでΔ2を求めることも可能である。Δ2は図5に開示したAF補正情報テーブル上の区分2に対応する“AF補正量”である。
焦点調整動作は、第一の調整動作と第二の調整動作に概略分けることが出来る。
第一の調整動作において、システムコントローラ200からの指示に従いレンズコントローラ100はレンズスキャン駆動を開始する。スキャン動作中にシステムコントローラ200はコントラスト値を求める計算を繰り返し、その計算結果の履歴データ(*2上のPn、Pn−1、Pn−2、Pn−3、Pn−4、Pn−5・・・に対応)を揮発性メモリ214の所定エリア(ワークメモリ)へ記録する。システムコントローラ200は、この履歴からコントラストの最大値(Cpx)を検出すると、レンズコントローラ100へレンズスキャン駆動の停止を指示する。このレンズスキャン駆動によってレンズ位置はPa1からPa2へ変化する(駆動軌跡の*1aに相当)。
第二の調整動作において、焦点調整レンズは、レンズスキャン駆動が終了した時のレンズ位置(Pa2)から*3上のコントラストが最大となる位置(Fp)へ駆動される。レンズスキャン駆動が終了した時のレンズ位置(Pa2)はコントラスト値(空間周波数20[cycle/mm]におけるコントラスト値)が最大となるレンズ位置(Fpx)から変位している。システムコントローラ200は、この変位量(Px)をコントラスト値の履歴データから求める。上述したようにイメージセンサ上に被写体像を正しく形成するためには“AF補正量”を考慮しなければならない。そこでシステムコントローラ200はレンズコントローラ100へレンズ位置(Pa2)から焦点調整レンズを所定量(Px+Δ2)分駆動することを指令する。この動作によって焦点調整レンズはスキャン駆動とは反対方向へ所定量変位する(駆動軌跡の*1bに相当)。この動作によって被写体像はイメージセンサ上に形成される(ピントが合う)。
上記の例では、第二の調整動作において、焦点調整レンズはスキャン駆動とは反対方向へ駆動された。しかし“Δ2”の値によりスキャン駆動と同じ方向へ駆動されることもありえる。或は“Δ2”の値により焦点調整レンズの駆動の必要がない(第二の調整動作が必要ない)こともありえる。
システムコントローラ200は、ユーザがレリーズ釦を半押し操作を検出するまで待機する(S202)。レリーズ釦が半押しされて、1stRelSW216bがONすると、システムコントローラ200はレンズコントローラ100へスキャン開始コマンドを送る(S204)。システムコントローラ200は、レンズコントローラ100への同期信号の出力を開始する。同期信号は撮像部から画像データを取得する際のフレームレートに基づき所定の周期で生成され、レンズコントローラ100へ出力される。更にシステムコントローラ200は、焦点検出回路200cを制御してこの画像データからコントラスト値の算出動作を開始する(S206)。
一方、レンズコントローラ100は、レンズ操作部の状態の検出動作(S102)とシステムコントローラ200からのコマンドの検出動作(S104)とを継続する。S102において、レンズコントローラ100はLimit1Sw102a(第一の駆動制限スイッチ)とLimit2Sw102b(第二の駆動制限スイッチ)の状態を検出する。システムコントローラ200からスキャン開始のコマンドを受信すると、ステッピングモータ104へ駆動信号を出力する(S106)。この動作によって焦点調整レンズは、スキャン動作を開始する。そして光学系110が形成する被写体像は光軸に沿って移動する(上述した第一の調整動作が開始されることを意味する)。スキャン動作はシステムコントローラ200からスキャン停止コマンドを受信するまで継続される。
ここで、図4A、図4B、図4Cに基づき、レンズ操作部102の状態と焦点調整レンズの駆動範囲の関係を説明する。
図4Aは、Limit1Sw102aとLimit2Sw102bがOFFの場合に、焦点調整レンズが駆動される範囲を示す。“レンズ位置情報”に基づき、焦点調整レンズの駆動範囲は、例えば5つの領域(区分)が設定される。“レンズ位置情報”が0〜99[pls]の範囲にあるとき、焦点調整レンズは“区分1”に位置する。“レンズ位置情報”が100〜199[pls]の範囲にあるとき、焦点調整レンズは“区分2”に位置する。“レンズ位置情報”が200〜299[pls]の範囲にあるとき、焦点調整レンズは“区分3”に位置する。“レンズ位置情報”が300〜399[pls]の範囲にあるとき、焦点調整レンズは“区分4”に位置する。“レンズ位置情報”が400〜500[pls]の範囲にあるとき、焦点調整レンズは“区分5”に位置する。
焦点調整レンズを設定できる有効な範囲(光学系110が被写体像をイメージセンサ上へ形成できる範囲。焦点調整動作が可能な被写体距離)は、“区分2”、“区分3”、“区分4”で示される範囲である。図5に開示されるAF補正情報のテーブルは、この“区分2”、“区分3”、“区分4”に対して“AF補正量”を示している。
“区分1”は、無限側の駆動余裕であり、無限端(“区分1”と“区分2”の境界)或はその近傍で焦点調整動作を行う際に必要な領域となる。“区分5”は、至近側の駆動余裕であり、至近端(“区分4”と“区分5”の境界)或はその近傍で焦点調整動作を行う際に必要な領域となる。
図4Bは、Limit1Sw102aがONの場合(焦点調整可能な被写体距離を∞から1(m)に制限)に、焦点調整レンズが駆動される範囲を示す。この場合に、焦点調整レンズを設定できる有効な範囲は、“区分2”、“区分3”で示される範囲に制限される。焦点調整レンズが駆動される範囲が制限されたことにより、“区分4”は至近側の駆動余裕となる。“区分4”は、変更された至近端(“区分3”と“区分4”の境界)或はその近傍で焦点調整動作を行う際に必要な領域となる。
図4Cは、Limit2Sw102bがONの場合(焦点調整可能な被写体距離を3(m)から0.5(m)に制限)に、焦点調整レンズが駆動される範囲を示す。この場合に、焦点調整レンズを設定できる有効な範囲は、“区分3”、“区分4”で示される範囲に制限される。焦点調整レンズが駆動される範囲が制限されたことにより、“区分2”は無限側の駆動余裕となる。“区分2”は、変更された無限端(“区分2”と“区分3”の境界。無限側の移動限界位置)或はその近傍で焦点調整動作を行う際に必要な領域となる。
以上の説明で示した区分の数は、便宜上設定した一つの例に過ぎない。また撮影レンズがズームレンズの場合は、撮影レンズの焦点距離の変化に応じて区分の数を変化させても良い。
図2のフローチャートの説明に戻る。
レンズコントローラ100はスキャン動作中、レンズ操作部102の状態の検出動作(S107)と焦点調整動作に必要な情報の送信動作(S108)とを合わせて実行する。S107で実行される動作は、上述のS102で実行される動作と同じである。S108において同期信号に同期してシステムコントローラ200へ送信される情報は、“レンズ位置情報”と“区分情報”である。この実施例において、“区分情報”として“区分情報full”、 “区分情報limit1”、“区分情報limit2”が存在する。レンズコントローラ100は、Limit1Sw102aがONの場合に、“区分情報limit1”を送信し、Limit2Sw102bがONの場合に、“区分情報limit2”を送信し、Limit1Sw102aとLimit2Sw102bが共にOFFの場合に“区分情報full”を送信する。図6に開示されたテーブルは、この“区分情報”の一例である。
スキャン動作中、システムコントローラ200は、レンズコントローラ100が同期信号に同期して送信する“区分情報”と“レンズ位置情報”を受信する(S208)。更に、システムコントローラ200は、画像データを取得する毎にコントラスト値を算出する。揮発性メモリ214には一定数のコントラスト値を格納可能な領域が確保されている。システムコントローラ200は、この所定領域へ最新の計算値が記憶すると共に記録された最も古い計算値は廃棄される。従って揮発性メモリ214の中に過去から最新のコントラスト値の履歴データが形成される。システムコントローラ200は、最新のコントラスト値を計算する毎に、この履歴データを分析してピーク位置(最大値)の検出を行なう(S210)。システムコントローラ200は、そしてピーク位置を検出した場合、レンズコントローラ100へスキャン停止コマンドを送信する(S212)。
一方、レンズコントローラ100は、S110においてスキャン停止コマンドを受信すると、S112においてステッピングモータ104への駆動信号の供給を停止する。この処理によってレンズスキャン動作は終了する(上述した第一の調整動作が終了したことを意味する)。すなわち、レンズコントローラ100により実行される動作ステップS106〜S112及びシステムコントローラ200により実行される動作ステップS204〜S212は、上述した第一の調整動作に相当する。
上述した第二の調整動作で焦点調整レンズの駆動量がS214において算出される。すなわちシステムコントローラ200は、“レンズ位置情報”、“区分情報”“AF補正量”基づき駆動量を算出する。
次にS124で実行される算出動作を図7のフローチャートを使って説明する。システムコントローラ200は、前述したように取得したコントラスト値に基づき合焦位置パルスFpxを演算後(S300)、レンズコントローラ100から送信された現在の“区分情報”によりfpxがどの区分に属しているかを“区分2”から“区分4”まで昇順に検索する(S301)。すなわち、fpxが区分2の端点がよりも小さい場合は、合焦位置fpxは“区分2”に所属していると判断し、図5を参照して“区分2”のAF補正量を読み出す(S302)。fpxが“区分2”の端点よりも大きく、かつ“区分3”の端点よりも小さければ“区分3”に所属していると判断し、図5を参照して“区分3”のAF補正量を読み出す(S304,S035)。“区分2”、“区分3”のいずれにも該当しない場合はfpxが“区分4に該当すると判断し、図5を参照して“区分4”のAF補正量を読み出す(S306)。図3を例にとると、レンズコントローラはFpxが200〜299pls位置の範囲内にあるため、 “区分3”の領域にあると判断し、図5を参照して“区分3”のAF補正量Δ2を読み出す。上述したフローにてAF補正量を確定後、システムコントローラ200は合焦位置の補正を行ない、真の合焦位置fpを算出する(S303)。ここでは便宜上、加算式となっているが減算式となってもよい。また図5のAF補正量は正/負両方の値をとってもよい。本発明では、AF補正量が正/負両方の値をとり、正は至近方向に合焦位置を補正するという意味である。
図2のフローチャートの説明に戻る。
S216において、システムコントローラ200はレンズ駆動コマンドと共に駆動量をレンズコントローラ100へ送信する。
一方、レンズコントローラ100は、レンズ駆動コマンドが受信されるまで待機する(S114)。このコマンドを受信するとシステムコントローラ200から駆動量を受信し、この駆動量に基づく駆動信号をステッピングモータ104へ印加する。焦点調整レンズは合焦位置へ駆動される。すなわち光学系110による被写体像はイメージセンサの受光面に結像される(ピントが合う)。
レンズコントローラ100により実行される動作ステップS116及びシステムコントローラ200により実行される動作ステップS214、S216は、上述した第二の調整動作に相当する。
以上に説明した焦点調整動作では、異常時の処理動作ついての説明は省略されている。例えばスキャン動作中にコントラストの最大位置を検出できない場合等の処理動作である。
システムコントローラ200は、焦点調整動作の終了後、ユーザがレリーズ釦を全押し操作を検出するまで待機する(S218)。システムコントローラ200は、レリーズ釦の全押しにより2ndRelSW216cがONされると、静止画の取得動作を行う(S220)。システムコントローラ200は所定の露出条件でイメージセンサを露光する(シボリ110とシャッタ203を制御する)。そして取得された画像データは画像処理回路200bで所定の静止画ファイルへ変換される。この静止画像ファイルは記憶媒体210へ格納される。
また、本発明の施形態においては、カメラシステム(撮影機器)として、レンズ交換式デジタルカメラを用いて説明したが、撮影レンズの交換が可能なビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよい。さらに、撮影レンズの交換が可能であれば、携帯電話、スマートフォーンや携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器、移動体等に搭載されるカメラでもよい。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に断らない限り、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。