JP2014047495A - 避難用建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】津波あるいは洪水の発生時の緊急避難先として使用できるとともに、建物本体の破壊や浸水を確実に防止して建物本体の機能を保持することを可能にする避難用建物を提供する。
【解決手段】津波あるいは洪水の発生時の避難拠点として使用するための避難用建物Aであって、周方向全周にわたって延在するとともに、津波あるいは洪水に対して予め設定された最大水位よりも高く、且つ水圧や流出物による衝撃に耐え得る耐圧性能を備えた外周防圧壁1と、外周防圧壁1の内側に設けられ、ライフライン機能を備えた建物本体2とからなり、外周防圧壁1に、外面から外側に突出し周方向の全周にわたって延在する波返し部6を設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、津波や河川の氾濫などの洪水が発生した際に避難する避難用建物に関する。
従来、大規模な津波発生時の沿岸部における緊急避難先として、国などで想定されている最大津波高さよりも高い中高層ビルを指定するケースが多い。また、このような避難用の建物としては、例えば津波の水圧によって押し流されることのない鉄筋コンクリート造のビルを指定するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−221792号公報
ここで、上記従来の避難用建物に対しては、津波が発生した際に、コンクリート構造の建物自体(躯体のみ)が津波に流されずに残ることが求められ、この残った建物本体を拠点として復興事業等の対応を行なうことが想定されている。
しかしながら、このような避難用建物では、津波によって避難用建物自体に浸水や破壊が生じ、電気、ガス、水などの設備や通信設備などのライフライン設備を失って建物の機能自体が喪失してしまう。このため、津波による被災後に建物までの電気、ガス、水などのライフラインが復旧しても、建物の機能自体が喪失していることによって、この避難用建物を拠点として復興活動を行うことが困難になる場合があった。
本発明は、上記事情に鑑み、津波あるいは洪水の発生時の緊急避難先として使用できるとともに、建物本体の破壊や浸水を確実に防止して建物本体の機能を保持することを可能にする避難用建物を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の避難用建物は、津波あるいは洪水の発生時の避難拠点として使用するための避難用建物であって、周方向全周にわたって延在するとともに、津波あるいは洪水に対して予め設定された最大水位よりも高く、且つ水圧や流出物による衝撃に耐え得る耐圧性能を備えた外周防圧壁と、前記外周防圧壁の内側に設けられ、ライフライン機能を備えた建物本体とからなり、前記外周防圧壁には、外面から外側に突出し前記周方向の全周にわたって延在する波返し部が設けられていることを特徴とする。
この発明においては、所定の耐圧性能を備えた外周防圧壁によって建物本体が全周にわたって囲まれているため、津波あるいは洪水の発生時に、外周防圧壁内に水が浸入し、建物本体に浸水あるいは破壊といった被害が生じることを防止できる。
また、外周防圧壁に環状の波返し部が設けられているため、津波あるいは洪水が発生し、避難用建物に水が押し寄せた際に、この波返し部によって水の圧力に効率的に抵抗することができるとともに、外周防圧壁に衝突して上方に競り上がろうとする水を波返し部で抑えることができる。これにより、津波あるいは洪水の発生時に、外周防圧壁内に水が浸入し、建物本体に浸水あるいは破壊といった被害が生じることをより確実に防止できる。さらに、津波あるいは洪水の発生時に、外部から建物上部への避難用の外部廊下として波返し部を利用することも可能になる。よって、津波あるいは洪水が発生した際に、建物本体を緊急避難先として使用でき、安全な避難場所を確保することが可能になる。
また、津波あるいは洪水の発生時に、外周防圧壁内に水が浸入し、建物本体に浸水あるいは破壊といった被害が生じることを防止できるため、被害を抑えた状態で建物本体が残り、建物本体のライフライン機能を保持することができる。これにより、津波等によって被災した後、周囲のライフラインの復旧に伴って建物本体の機能を速やかに回復させることができ、被災後に残った建物本体を拠点として好適に利用し、復興事業等を行うことが可能になる。
また、本発明の避難用建物においては、前記波返し部が高さ方向に所定の間隔をあけて複数設けられていることが望ましい。
この発明においては、波返し部が高さ方向(上下方向)に複数設けられていることにより、津波あるいは洪水の発生時に押し寄せる水の水位、すなわち、津波あるいは洪水の規模が違っても、その水位に応じた位置の波返し部によって水の競り上がりを効果的に抑えることが可能になる。
さらに、本発明の避難用建物において、前記外周防圧壁には、地表面側に、外面から内面に貫通する複数の開口部が形成され、前記外周防圧壁の内側には、前記開口部よりも上方に配設され、前記外周防圧壁の内部を、前記開口部を介して外部と連通する下方空間と前記建物本体が配される上方空間とに区画するとともに、前記建物本体を支持する支持スラブが設けられていることがより望ましい。
この発明においては、外周防圧壁の地表面側に開口部が設けられ、さらに外周防圧壁の内部に支持スラブが設けられているため、津波あるいは洪水の発生時に、避難用建物に押し寄せた水や流出物の一部を、開口部から外周防圧壁の支持スラブよりも下方の下方空間(ピロティー空間)に通し、さらに他の開口部から外部に流通させることができる。これにより、水の流れに対する抵抗を少なくし、避難用建物に押し寄せた水や流出物による外周防圧壁への衝撃を軽減させることができ、外周防圧壁が破損し、外周防圧壁内に水が浸入することをより確実に防止することが可能になる。
また、本発明の避難用建物において、前記外周防圧壁は、少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成されていることがさらに望ましい。
この発明においては、外周防圧壁の少なくとも一部の外面が平面視円弧状に形成されていることによって、津波あるいは洪水の発生時に、避難用建物に押し寄せた水の抵抗を受けにくくすることができる。すなわち、水の流れに対する抵抗を少なくし、避難用建物に押し寄せた水や流出物による外周防圧壁への衝撃を軽減させることができ、外周防圧壁が破損し、外周防圧壁内に水が浸入することをさらに確実に防止することが可能になる。
また、本発明の避難用建物においては、前記外周防圧壁と前記支持スラブの少なくとも一部の表面が、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤との化学反応により形成された化合物からなる補強塗膜によって被覆されていることが望ましい。
この発明において、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤との化学反応により形成された化合物からなる補強塗膜は、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性に優れた合成樹脂である。このため、この補強塗膜で外周防圧壁や支持スラブの表面を被覆すると、外周防圧壁や支持スラブの変形が塑性域に達しても、補強塗膜がこれら外周防圧壁や支持スラブの大変形に追従して伸び変形するので、津波や洪水による衝撃や水圧を受けた際に、補強塗膜によって外周防圧壁や支持スラブの変形に応じたエネルギー吸収性能が発揮され、外周防圧壁や支持スラブの耐久性を大幅に向上させることが可能になる。
また、仮に、津波や洪水による衝撃や水圧を受け、外周防圧壁や支持スラブの変形が塑性域に達してコンクリートに破壊が生じた場合に、補強塗膜は伸びることはあっても破断せず、補強塗膜によって外周防圧壁や支持スラブの表面を被覆した状態で維持することができる。これにより、津波や洪水による衝撃や水圧を受けても、外周防圧壁や支持スラブのコンクリート片の散逸が防止され、また、外周防圧壁や支持スラブが転倒したり崩壊したりせずに自立した形状で確実に保持することができる。
さらに、外周防圧壁や支持スラブの表面が補強塗膜で被覆することにより、防水性、防食性、断熱性などが発揮され、例えば、通常時、あるいは被災後において、塩害などによるコンクリート劣化、ひび割れの発生などを防止することができる。
本発明の避難用建物においては、津波あるいは洪水の発生時の緊急避難先を確保できるとともに、単に被害を少なくした状態で建物を残すだけでなく、建物本体の破壊や浸水を防止することで建物本体のライフラインを維持することができ、被災後における建物本体の機能を保持し、確実に復興活動の拠点とすることができる。
本発明の一実施形態に係る避難用建物が沿岸部に設定されている状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る避難用建物を示す斜視図である。 図2のX1−X1線矢視図である。 図2のX1−X1線矢視図である。 図2のX2−X2線矢視図である。 図4のX1−X1線矢視図である。 図4のX2−X2線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る避難用建物の外周防圧壁を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る避難用建物の外周防圧壁を示す断面図である。 各材料の応力ひずみ関係を示す図であり、ポリウレア樹脂の力学的特性を示す図である。
以下、図1から図10を参照し、本発明の一実施形態に係る避難用建物について説明する。
本実施形態の避難用建物Aは、図1に示すように、沿岸部に設けられ、例えば巨大地震に伴う大規模津波の発生時に緊急避難先として使用される建物である。
そして、本実施形態の避難用建物Aは、図2から図7に示すように、周方向全周にわたって延在して平面視略楕円の筒状に形成された外周防圧壁(少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成された外周防圧壁)1と、外周防圧壁1の内側に所定の間隔(吹抜け空間R)をもって設けられ、ライフライン機能を備えた建物本体2とで構成されている。
外周防圧壁1は、図2から図7、図8及び図9に示すように、地上に立設されており、津波(あるいは洪水)によって想定される最大津波高さ(予め設定される最大水位)よりも高い高さ寸法H(図4、図5参照)を有し、且つ水圧や瓦礫などの流出物による衝撃に耐え得る耐圧性能を備えて形成されている。例えば、想定最大津波高さが15mの場合には、外周防圧壁1の高さ寸法Hが20m以上などとして設定される。また、本実施形態の外周防圧壁1は、鉄筋コンクリート造(RC造)、あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)で構築されている。
ここで、外周防圧壁1の厚さ寸法t(図4、図5参照)は、想定される津波により受ける水圧と、津波によって流されてくる瓦礫などの流出物の衝撃とに耐えることができる強度によって決定される。そのため、厚さ寸法tが上下方向T1で一定である必要はなく、例えば下方に向かうに従い漸次厚くなるようにして外周防圧壁1が構成されていてもよい。
さらに、本実施形態の外周防圧壁1は、楕円形を呈する内部において、長径方向S1の両端側の空間(吹抜け空間R)をそれぞれ区画するように短径方向S2に沿って、一対のコア隔壁3が下端から上端まで立設されている。また、図3、図4、図5、図9に示すように、外周防圧壁1の一対のコア隔壁3の間の内部には、例えば、2階部分に極厚の支持スラブ4が一対のコア隔壁3と外周防圧壁1の内面に接続して水平に配設されている。そして、この支持スラブ4によって、外周防圧壁1の内部が、上方空間P1と下方空間P2とに区画されている。また、図2、図3、図5、図7、図8に示すように、外周防圧壁1の地表面側に外面から内面に貫通する複数の開口部5が形成され、下方空間P2は、この開口部5を通じて外部と連通し、ピロティー空間を形成している。なお、この開口部5、ピロティー空間P2は、通常時、例えば建物のエントランス、エントランスホールなどとして利用される。
さらに、本実施形態の外周防圧壁1は、図2から図9に示すように、外面から外側に突出し周方向の全周にわたって延在する楕円環状の波返し部6が具備されている。本実施形態において、この波返し部6は鉄筋コンクリート製で3m程度の幅寸法(突出寸法)をもって形成されている。また、本実施形態では、この波返し部6が建物本体2の階層毎に、上下方向T1の高さ方向に所定の間隔をあけて複数配設されている。さらに、外周防圧壁1は、図2、図5、図6、図8、図9に示すように、上下に隣り合う波返し部6の間に、外面から内面に貫通して形成される採光部7が周方向に所定の間隔をあけて複数配設されている。
また、この採光部7には、外周防圧壁1の内側に外の光を導入するための補強ガラスブロック壁などの光を通す材料が設けられ、他のコンクリート壁部分と同様に津波による耐圧性能を有している。また、採光部7の補強ガラスブロックなどとコンクリート壁部分とは、十分な水密性が確保された状態で接合されている。また、適宜、外周防圧壁1に耐圧扉を設けるようにしてもよく、この耐圧扉は、津波などが発生した際に水密に閉じることが可能であり、通常時は開放した状態にすることができる。
次に、本実施形態の建物本体2は、図2から図5に示すように、平面視で略矩形状をなし、最上階位置が外周防圧壁1の上端と略同等の高さ位置となるように複数階で構築されている。そして、この建物本体2は、外周防圧壁1の一対のコア隔壁3の間で、支持スラブ4上に載置した形で設けられている。また、建物本体2の屋上部分には屋上避難部が設けられている。さらに、建物本体2の外側の吹抜け空間R、すなわち一対のコア隔壁3と外周防圧壁1の間の空間には、各コア隔壁3に沿って上下方向T1に延在し建物本体2の上層階に向けて延びる避難階段8とエレベータ9が設けられている。避難階段8は、コア隔壁3毎に2箇所ずつ設けられ、エレベータ9は、一方の壁面のみに設けられている。そして、建物本体2のフロア毎に避難階段8に連絡可能な耐水扉が設けられている。また、コア隔壁3には、適宜な箇所に採光窓(図示省略)が設けられ、吹抜け空間Rに外から取り入れられた光をさらに建物本体2の室内に導入可能に構成されている。
さらに、本実施形態では、図3から図5に示すように、建物本体2が積層ゴム10などからなる免震層11を介して外周防圧壁1内の支持スラブ4上に設置されている。これにより、建物本体2は、免震層11によって免震建物として機能するように構成されている。なお、このように免震建物として機能する建物本体2と、コア隔壁3などはエキスパンションジョイントなど、相対移動を許容可能な手段をもって互いに接続されている。
さらに、本実施形態では、例えば、外周防圧壁1(波返し部6を含む)と支持スラブ4の全表面、あるいは、津波が発生した際に大きな衝撃や水圧を受ける外周防圧壁1や支持スラブ4の局部(例えば、外周防圧壁1の下側、外周防圧壁1の外面、波返し部6、支持スラブ4の下面など)の表面を、補強塗膜で被覆している。
ここで、補強塗膜は、外周防圧壁1と支持スラブ4の表面に吹き付けやローラーなどで塗布される樹脂製の塗膜であって、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤との化学反応により形成された化合物からなる。例えば、補強塗膜としては、イソシアネートとアミンとの化学反応により形成された化合物であるポリウレア樹脂を用いることができる。
この補強塗膜は、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性(強度、伸び)に優れた合成樹脂からなり、例えばポリウレア樹脂の場合は、図10に示す応力ひずみ特性を有する。補強塗膜を構成する合成樹脂としては、例えば引張強度が鉄筋の十分の一程度の20MPa程度(10〜25MPa)であって、破断伸びが200%以上の物性を有する樹脂からなる。ポリウレア樹脂としては、例えば「スワエールAR−100(登録商標:三井化学産資株式会社製)」が用いられる。なお、補強塗膜の厚さ寸法Dは、2mm以上であることが好ましい。
また、補強塗膜を被覆する施工方法としては、塗布するコンクリート表面を十分に清掃して塵等を取り除いた後、プライマーを塗布し、その後、補強塗膜材料を外周防圧壁1や支持スラブ4の表面に所定厚さだけ塗布する。これにより、外周防圧壁1や支持スラブ4の表面に補強塗膜が形成される。なお、プライマーの塗布は省略することも可能であり、或いは、補強塗膜と外周防圧壁1や支持スラブ4との付着性を高めるために外周防圧壁1や支持スラブ4の表面を斫って凸凹に加工してもよい。
次に、上記構成からなる本実施形態の避難用建物Aの作用及び効果について説明する。
本実施形態の避難用建物Aは、所定の耐圧性能を備えた外周防圧壁1によって建物本体2が全周にわたって囲まれているため、津波の発生時に、外周防圧壁1内に水が浸入し、建物本体2に浸水あるいは破壊といった被害が生じることを防止できる。
さらに、外周防圧壁1が楕円状であり円弧面を備えているため、津波の流れに対する抵抗を少なくすることができる。また、外周防圧壁1に環状の波返し部6が設けられているため、津波が発生し、避難用建物Aに水が押し寄せた際に、この波返し部6によって津波の圧力に効率的に抵抗することができるとともに、外周防圧壁1に衝突して上方に競り上がろうとする水を波返し部6で抑えることができる。
これにより、津波の発生時に、外周防圧壁1内に水が浸入し、建物本体2に浸水あるいは破壊といった被害が生じることを確実に防止できる。さらに、津波の発生時に、外部から建物上部への避難用の外部廊下として波返し部6を利用することも可能にある。よって、津波が発生した際に、建物本体2を緊急避難先として使用でき、安全な避難場所を確保することができる。
また、津波の発生時に、外周防圧壁1内に水が浸入し、建物本体2に浸水あるいは破壊といった被害が生じることを抑えることができるため、被害を抑えた状態で建物本体2が残り、建物本体2のライフライン機能を保持することができる。これにより、津波等によって被災した後、周囲のライフラインの復旧に伴って建物本体2の機能を速やかに回復させることができ、被災後に残った建物本体2を拠点として好適に利用し、復興事業等を行うことも可能になる。
また、外周防圧壁1の地表面側に開口部5が設けられ、さらに外周防圧壁1の内部に支持スラブ4が設けられているため、津波の発生時に、避難用建物Aに押し寄せた水や瓦礫などの流出物の一部を、開口部5から外周防圧壁1の支持スラブ4よりも下方のピロティー空間P2に通し、さらに他の開口部5から外部に流通させることができる。これにより、水の流れに対する抵抗を少なくし、避難用建物Aに押し寄せた水や流出物による外周防圧壁1への衝撃を軽減させることができ、外周防圧壁1が破損し、外周防圧壁1内に水が浸入することをより確実に防止することが可能になる。
さらに、波返し部6が高さ方向に複数設けられていることにより、津波の発生時に押し寄せる水の水位、すなわち、津波の規模が違っても、その水位に応じた位置の波返し部6によって水の競り上がりを効果的に抑えることが可能になる。
さらに、建物本体2が積層ゴム10などからなる免震層11を介して外周防圧壁1内の支持スラブ4上に設置されているため、大きな地震に対しても確実に建物本体2及び建物内容物・設備に損傷が生じることを抑止できる。
また、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性に優れた補強塗膜で外周防圧壁1や支持スラブ4の表面を被覆すると、外周防圧壁1や支持スラブ4の変形が塑性域に達しても、補強塗膜がこれら外周防圧壁1や支持スラブ4の大変形に追従して伸び変形するので、津波による衝撃や水圧を受けた際に、補強塗膜によって外周防圧壁1や支持スラブ4の変形に応じたエネルギー吸収性能が発揮される。これにより、外周防圧壁1や支持スラブ4の耐久性を大幅に向上させることが可能になる。
また、仮に、津波による衝撃や水圧を受け、外周防圧壁1や支持スラブ4の変形が塑性域に達してコンクリートに破壊が生じた場合、補強塗膜は伸びることはあっても破断せず、補強塗膜によって外周防圧壁1や支持スラブ4の表面を被覆した状態で維持することができる。これにより、津波による衝撃や水圧を受けても、外周防圧壁1や支持スラブ4のコンクリート片の散逸が防止され、また、外周防圧壁1や支持スラブ4が転倒したり崩壊したりせずに自立した形状で確実に保持することができる。
さらに、外周防圧壁1や支持スラブ4の表面が補強塗膜で被覆することにより、防水性、防食性、断熱性などが発揮され、例えば、通常時、あるいは被災後において、塩害などによるコンクリート劣化、ひび割れの発生などを防止することができる。
また、本実施形態では、外周防圧壁1が平面視略楕円の筒状に形成され、少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成されていることによって、津波の発生時に、避難用建物Aに押し寄せた水の抵抗を受けにくくすることができる。すなわち、水の流れに対する抵抗を少なくし、避難用建物Aに押し寄せた水や流出物による外周防圧壁1への衝撃を軽減させることができ、外周防圧壁1が破損し、外周防圧壁1内に水が浸入することをさらに確実に防止することが可能になる。
よって、本実施形態の避難用建物Aにおいては、津波の発生時の緊急避難先を確保できるとともに、単に被害を少なくした状態で建物を残すだけでなく、建物本体2の破壊や浸水を防止することで建物本体2のライフラインを維持することができ、被災後における建物本体2の機能を保持し、確実に復興活動の拠点とすることができる。
以上、本発明による避難用建物の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明の避難用建物は、新設であることに制限されず、既設の建物に対しても適用可能である。例えば、既設の高層ビル(建物)の周囲に設定される最大水位高さおよび水圧に対応する外周防圧壁を構築することも可能である。
また、外周防圧壁1の形状は、平面視で楕円形状であることに限定されることはなく、津波や洪水時に水圧を受けにくい形状であればよく、例えば円形などであってもかまわない。また、建物本体2の平面視形状についても、特に限定を必要としない。さらに、外周防圧壁1、および建物本体2の高さを制限する必要もない。要は、外周防圧壁1の高さが想定される最大水位(津波高さ)よりも大きく設定されていればよい。
さらに、本実施形態では、外周防圧壁1の一部分に採光部7を設けているが、この採光部7の形状、大きさ、位置、部材等の構成は適宜設定することができ、また省略することも可能である。例えば、建物本体2の構造、例えば開口窓の位置に合わせて配置することができる。
また、本実施形態では津波を避難用建物Aの適用対象として説明を行ったが、津波だけではなく、豪雨に伴う河川などの氾濫による洪水の場合に適用する避難用建物としても勿論採用可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 外周防圧壁
2 建物本体
3 コア隔壁
4 支持スラブ
5 開口部
6 波返し部
7 採光部
8 避難階段
9 エレベータ
10 積層ゴム
11 免震層
A 避難用建物
H 外周防圧壁の高さ寸法
P1 上方空間
P2 下方空間(ピロティー空間)
R 吹抜け空間
t 外周防圧壁の厚さ寸法
T1 上下方向

Claims (5)

  1. 津波あるいは洪水の発生時の避難拠点として使用するための避難用建物であって、
    周方向全周にわたって延在するとともに、津波あるいは洪水に対して予め設定された最大水位よりも高く、且つ水圧や流出物による衝撃に耐え得る耐圧性能を備えた外周防圧壁と、
    前記外周防圧壁の内側に設けられ、ライフライン機能を備えた建物本体とからなり、
    前記外周防圧壁には、外面から外側に突出し前記周方向の全周にわたって延在する波返し部が設けられていることを特徴とする避難用建物。
  2. 請求項1記載の避難用建物において、
    前記波返し部が高さ方向に所定の間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする避難用建物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の避難用建物において、
    前記外周防圧壁には、地表面側に、外面から内面に貫通する複数の開口部が形成され、
    前記外周防圧壁の内側には、前記開口部よりも上方に配設され、前記外周防圧壁の内部を、前記開口部を介して外部と連通する下方空間と前記建物本体が配される上方空間とに区画するとともに、前記建物本体を支持する支持スラブが設けられていることを特徴とする避難用建物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の避難用建物において、
    前記外周防圧壁は、少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成されていることを特徴とする避難用建物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の避難用建物において、
    前記外周防圧壁と前記支持スラブの少なくとも一部の表面が、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤との化学反応により形成された化合物からなる補強塗膜によって被覆されていることを特徴とする避難用建物。
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