JP2014042786A - 下腿潰瘍用光硬化型ブーツ及び下腿潰瘍用光硬化型ブーツセット - Google Patents

下腿潰瘍用光硬化型ブーツ及び下腿潰瘍用光硬化型ブーツセット Download PDF

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Abstract

【課題】容易且つ安価に個々の患者の足に合わせた形状を維持しつつ、菌の発生を抑制できる環境を有する下腿潰瘍用光硬化型ブーツを提供する。
【解決手段】被装着体の下肢X1のふくらはぎ部、踵部、及び足底部のうちの少なくともいずれか1つの部位に装着させる固定部材102を備えており、固定部材は光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでいる。固定部材は光照射後硬化する光感受部と光照射後硬化しない非光感受部と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、下腿潰瘍用光硬化型ブーツ及び下腿潰瘍用光硬化型ブーツセットに関する。
下肢の疾患の一つである下腿潰瘍は、静脈等の血流不全によるうつ滞等を原因として、下肢の組織が壊死し、(皮膚表面に)組織欠損部が生じる疾患である。下腿潰瘍は、疾患の症状が悪化するスピードや疾患が生じる部位が、個人により大きくばらつくという特性を有している。この疾患の特性に照らして、下腿潰瘍を治療するには、潰瘍部分の抗菌処理(菌が発生しにくい環境の構築)、免荷・除圧処理(潰瘍部分に作用する荷重の低減処理)及びアライメント調整(潰瘍部分の表面処理)を疾患の症状の変化に応じて最適化し続けることが重要であるとされている。これらの要素技術の内、安定した免荷・除圧及びアライメント調整を実現するためには、前提として、潰瘍部分を被覆する部材(被覆材)等を個人の足の形状に沿わせて、強固に固定することが重要であると考えられる。
従って、『(潰瘍を患った)患者の足に合わせた形状を維持し続けること』と、『菌が発生しにくい環境をつくること』が、下腿潰瘍を患った患者が使用する歩行用治療具(例えば、下腿潰瘍用ブーツ)として、重要な機能であると考えられる。
下腿潰瘍用ブーツとしても機能し得る、いわゆるTCC(TOTAL CONTACTCAST)という治療方法(構成)は、潰瘍部分に免荷・除圧を施した上で、ギブス等で巻くため、(潰瘍を患った)患者の足に合わせた固定具を構成できる。しかしながら、TCCに用いるギブスは、水などを用いて硬化させられるため、(硬化させる際に用いた)水内部の菌が潰瘍部で増殖する危険性がある。即ち、TCCは、『菌が発生しにくい環境をつくること』という機能を十分に満たしているとは言い難い。
これに対し、(図11に示すような)特許文献1記載の既成の医療用ブーツ1は、(シェル2、3に備えられている)ベルト4、5の取外しにより医療用ブーツ1の脱着が容易であり、潰瘍部分の処置を短期サイクルで行うことができるため、(潰瘍部での)『菌が発生しにくい環境をつくること』を十分に行うことができる。しかしながら、既成の医療用ブーツ1は、(下腿潰瘍の)症状の変化により下肢と医療用ブーツ1の間に隙間が生じる可能性があり、『(潰瘍を患った)患者の足に合わせた形状を維持し続けること』を実現することが困難である。この結果、既成の医療用ブーツ1は、安定した免荷・除圧等を十分に行うことが困難となる恐れがある。無論、下腿潰瘍の変化に伴い、医療用ブーツ1の形状を患者の足の形状に合わせ続けることはできるが、医療用ブーツ1を頻繁に製作(改良)することは、患者にとって金銭的負担が非常に大きくなるため、望ましい措置とは言い難い。
特開平09−201378号公報(図3)
即ち、従来の下腿潰瘍用ブーツは、『(潰瘍を患った)患者の足に合わせた形状を維持し続けること』と、『菌が発生しにくい環境をつくること』の機能を十分に満たしているとは言い難い。
以上のことから、上記課題に鑑み、本発明は、容易且つ安価に個々の患者の足に合わせた形状を維持しつつ、菌の発生を抑制できる環境を有する下腿潰瘍用光硬化型ブーツを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、被装着体の下肢に装着させる固定部材を備えており、前記固定部材は光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでいる、下腿潰瘍用光硬化型ブーツを提供する。
下腿潰瘍用光硬化型ブーツに用いられている光硬化型樹脂は、光を受光する前は柔らかい状態(硬度が低いまま)であり、受光することにより硬化する(硬度が高くなる)。即ち、下腿潰瘍用光硬化型ブーツは、光硬化型樹脂を有する固定材を下肢の形状に沿って硬化させるブーツである。このため、下腿潰瘍用光硬化型ブーツは、患者の足に合わせた形状であって、且つ、十分な固定力を有するブーツを容易に構成することができる。更に、(下腿潰瘍用光硬化型ブーツを構成する)光硬化型樹脂を含んだ固定部材は、(既存の医療用ブーツに用いられる)プラスチックや金属等に比べて安価であるため、患者は(下腿潰瘍の症状の変化に伴う)下肢の形状の変化に合わせて、下腿潰瘍用光硬化型ブーツを再製作し続けることができる。即ち、下腿潰瘍用光硬化型ブーツは、『(潰瘍を患った)患者の足に合わせた形状を維持し続けること』ができる。しかも、光硬化型樹脂は、光により硬化するため、(上述したような水等を用いて硬化させる場合に問題となる)下腿潰瘍用光硬化型ブーツ内部での菌が増殖しやすい環境を作ることはなく、結果として、『菌が発生しにくい環境をつくること』を十分に満たしている。
即ち、本発明は、容易且つ安価に個々の患者の足に合わせた形状を維持しつつ、菌の発生を抑制できる環境を有する下腿潰瘍用光硬化型ブーツを提供することができる。
前記固定部材は、前記下肢のふくらはぎ部、踵部、及び足底部のうちの少なくともいずれか1つの部位を覆っていることが好ましい。更に、前記固定部材は前記下肢のすね部と甲部のうちの少なくともいずれか1つの部位を覆っていることが好ましい。
また、前記固定部材は、光照射後硬化する光感受部と、光照射後硬化しない非光感受部と、を備えていることが好ましい。前記非光感受部は、光硬化型樹脂と、該光硬化型樹脂を覆って遮光する遮光部材と、を含むことが好ましい。前記非光感受部は前記下肢の潰瘍部に位置することが好ましい。また、前記非光感受部は前記下肢の切断部に位置することが好ましい。
また、前記非光感受部は前記下肢の凸部及び/または可動部に位置することが好ましい。
この場合、前記光硬化型医療用固定材では、光照射により、光感受部が選択的に硬化し、凸部及び/または可動部に位置する非光感受部が選択的に非硬化状態となる。これにより、患部等の固定をしつつ、凸部に対する固定部材の接触による痛みを低減したり、可動部に対する固定部材の接触による動作の制限を抑制したりすることが可能である。
ここで、『凸部』とは、人体の下肢において主に骨が突出して形成されている骨突起部に位置する部位を指す。具体的には、膝蓋骨部、大腿骨部、脛骨部、腓骨部、及び舟状骨部が挙げられる。そして、大腿骨部としては、より具体的には、大腿骨の内側顆部や大腿骨の外側顆部等の大腿骨顆部が挙げられる。また、脛骨部としては、より具体的には、脛骨の内側顆部又は外側顆部、内果、脛骨粗面が挙げられ、腓骨部としては、外果が挙げられ、舟状骨部としては、舟状骨粗面部が挙げられる。
『可動部』とは、人体の下肢において動作させることが可能な部位を指す。具体的には、膝の関節部、足の関部節、足の指の関節部が挙げられる。足の関節部としては、距腿関節部、距骨下関節部、又はショパール関節部等の足関節部が挙げられる。
また、前記固定部材には前記下肢に発生する菌を抑制する抗菌加工が施されていることが好ましい。
本発明は、光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでおり、被装着体の下肢に装着させる固定部材と、前記固定部材の反下肢側に配置され、前記固定部材を下肢に固定させる装具と、を備えている、下腿潰瘍用光硬化型ブーツセットという構成でもよい。
下肢の固定範囲及び固定強度の最適化は、潰瘍部の安定した免荷・除圧を実現するために非常に重要な要素である。仮に、固定範囲が狭すぎたり、固定強度が弱すぎたりした場合には、安定した免荷・除圧ができない恐れがある。一方、固定範囲が広すぎたり、固定強度が強すぎたりした場合には、(固定部分の)下肢の筋肉の硬化、萎縮の問題(いわゆる、「筋萎縮と筋拘縮」の問題)が生じる危険性があるとともに、(下腿潰瘍の主要因の一つである)血流不全をより悪化させ、下腿潰瘍の状態を一層悪化させる危険性がある。このため、患者の下肢の形状に合わせて固定しつつ、固定範囲及び固定強度を変化させる(最適化を図れる)下腿潰瘍用ブーツセットが必要とされている。
これに対し、本構成に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツセットは、光硬化型樹脂を含んだ固定部材を装具と組み合わせることにより、患者の下肢の形状にあわせて固定しつつ、固定範囲及び固定強度を変化させることができ、上記問題を解決している。
固定範囲が広すぎたり、固定強度が強すぎたりした場合には、例えば、(光硬化型樹脂を含んだ)固定部材に『軟性装具』を組み合わせることにより、『固定部材』が患部を固定するとともに、『軟性装具』が関節の可動域の制限をしつつ、安定した動作(例えば、歩行動作)を促すことができる。これにより、本構成は、潰瘍部の固定により、『潰瘍の回復』を促しつつ、安定した動作により、『血流の改善』及び『筋萎縮や筋拘縮の予防』を実現することができる。
また、固定範囲が狭すぎたり、固定強度が弱すぎたりした場合には、例えば、(光硬化型樹脂を含んだ)固定部材に『軟性装具』を組み合わせることにより、(光硬化型樹脂を含む)『固定部材』が下肢とのフィット性を保持しつつ、『硬性装具』が(光硬化型樹脂を含んだ)固定部材の固定力をより強固なものにすることができる。この結果、固定部材に軟性装具を組み合わせた構成は、潰瘍部の安定した免荷・除圧を実現できる。
即ち、本構成は、容易且つ安価に個々の患者の足にあわせた形状を維持しつつ、菌の発生を抑制できる環境を有し、且つ、固定範囲及び固定強度を変化させることができる下腿潰瘍用光硬化型ブーツを提供することができる。
前記固定部材と、前記装具と、のいずれかの部材には、前記下肢に発生する菌を抑制する抗菌加工が施されていることが好ましい。
更に、本発明は、被装着体の下肢の潰瘍部を覆う被覆材と、前記被覆材を前記下肢に支持する支持部材と、光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでおり、前記支持部材の反下肢側に配置する固定部材と、を備えており、前記被覆材と、前記支持部材と、前記固定部材と、の内の少なくともいずれか1つの部材には、前記下肢に発生する菌を抑制する抗菌加工が施されている下腿潰瘍用光硬化型ブーツセット、という構成でもよい。
本構成では、(非装着体の)下肢側から、被覆材、支持部材、固定部材の順に配置されている。
上記部材の内、抗菌加工を施す部材を、例えば、(下肢に接する)被覆材とした場合、(固定部材を抗菌加工した場合よりも)下肢の菌を直接的且つ強力に抑制することができる。これに対し、例えば、(被覆材を被装着体に支持する)支持部材に抗菌加工を施した場合には、支持部材が接する広範囲の部位の下肢の菌を抑制することができる。また、例えば、被覆材と固定部材等の複数の部材に対して、抗菌加工を施した場合、被覆材に施された抗菌加工が下肢の菌の発生を抑制しつつ、固定部材に施された抗菌加工が外界から下肢への菌の参入を防止することができる。即ち、本構成は、潰瘍の状態の変化に応じて抗菌作用を施す部材を変化させることにより、菌の抑制範囲及び菌の抑制強度を変化させることができる。
即ち、本構成は、容易且つ安価に個々の患者の足に合わせた形状を維持しつつ、菌の抑制範囲及び菌の抑制強度の選択性を備えた菌の発生を抑制できる環境を有する下腿潰瘍用光硬化型ブーツを提供することができる。
本発明は、容易且つ安価に個々の患者の足に合わせた形状を維持しつつ、菌の発生を抑制できる環境を有する下腿潰瘍用光硬化型ブーツを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツの装着状態を表す状態図である。 本発明の第1実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツの構成を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツの固定部材の分解図である。 本発明の第1実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツを構成する固定部材の光感受部と非光感受部の模式的断面図である。 本発明の第1実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツを患者に装着する手順を説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツの第1変形例を説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツの第2変形例を説明するための説明図である。 本発明の第2実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツを説明するための説明図である。 本発明の第3実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツを説明するための説明図である。 本発明の第4実施形態に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツを説明するための説明図である。 従来の医療用ブーツの一例にかかる医療用ブーツの内面図である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲を狭く解釈されるということはない。また、各実施形態で共通する構成及び材質については重複説明を省略する。
<光硬化型ブーツ100の構成>
まず、図1〜図3を用いて、下腿潰瘍用光硬化型ブーツ(以下、光硬化型ブーツ)100の構成について説明する。
図1は、光硬化型ブーツ100の装着状態を表す状態図である。図2は、光硬化型ブーツ100の構成を説明する説明図である。図3は、光硬化型ブーツ100の第1固定部材102の分解図である。
なお、以下、各実施形態、各変形例で参照する各図面において、実質的に同一の機能を有するもの(構成)については、部品番号の下二桁を同一のものとして、重複した説明を省略する。
光硬化型ブーツ100は、主に、患者X(被装着体)の下肢X1に装着させる固定部材と、固定部材102、104を患者(被装着体)Xの下肢X1に締付けるための第1〜第3固定ベルト106、108、110と、固定部材102、104の足底に配置される舟底状の靴底112を備えている。患者Xは、潰瘍部を覆う被覆材、ストッキング(支持部材)等を着用した上で、固定部材102、104を固定ベルト106、108、110により固定する(本実施形態では、説明の便宜上、被覆材、ストッキングを図示しない)。
本実施形態において、固定部材には被装着体の下肢X1に発生する菌を抑制する抗菌加工が施されている。また、創傷被覆材、ストッキングにも抗菌加工が施されている。
固定部材は光照射により硬化する光硬化型樹脂122を含んでいる。固定部材は、主に、第1固定部材102と第2固定部材104から構成されている。第1、第2固定部材102、104は、ともに略L字状の形状である。第1固定部材102(固定部材)は、脚のふくらはぎ部Y1、踵部Y2、及び足底部Y3を覆っている。第2固定部材(固定部材)104は、第1固定部材102と組み合わせられ、脚のすね部Z1と足の甲部Z2を覆っている。
第1、第2固定部材102、104は光照射後硬化する光感受部120と、光照射後硬化しない非光感受部130と、を備えている。図4を用いて、光感受部120と非光感受部130について以下で詳述する。
図4は、(光硬化型ブーツ100を構成する)固定部材の光感受部120と非光感受部130模式的断面図である。図4(A)は、第1、第2固定部材102、104の光感受部120の模式的断面図である。図4(B)は、第1、第2固定部材102、104の非光感受部130の模式的断面図である。
(光感受部)
第1、第2固定部材102、104は、主に、光硬化型樹脂122、光硬化型樹脂122を保持する基材124、カバー材126A、126B、緩衝材(例えば、スポンジ等)128を備えている。
カバー材126A、126Bは、光硬化型樹脂122及び基材124を包む形状であり、患者(被装着体)Xに装着された際に上記光感受部120の下肢X1側を覆う下肢側カバー材126Aと、当該下肢X1側と向かい合う側から基部を覆う反下肢側カバー材126Bとを有する。更に、下肢側カバー材126Aの下肢X1側には、緩衝材128(例えば、スポンジ)が設けられる。
第1、第2固定部材102、104の光感受部120(より具体的には、光感受部120に備えられている光硬化型樹脂122)は、光源140から照射された光を受光することにより硬化する。光源140は、後述する光重合開始剤の吸収波長の光を出す光源140(例えば、可視光や400nm以下の波長を出す光源140等)であればよい。
(非光感受部)
非光感受部130は、光硬化型樹脂122と、該光硬化型樹脂122を覆って遮光する遮光部材132と、を含んでいる。より具体的には、非光感受部130は、(上記した光感受部120にも用いられている)光硬化型樹脂122と、基材124と、カバー材126A、126B(より具体的には、下肢側カバー材126A、反下肢側カバー材126B)と、緩衝材128と、を有し、更に反下肢側カバー材126Bには(光硬化型樹脂122を遮光する)遮光部材132を有する。すなわち、非光感受部130は、光硬化型樹脂122を遮光部材132により遮光したものであり、遮光部材132により覆われている点で光感受部120と異なる。
非光感受部130に含まれる光硬化型樹脂122は、遮光部材132により遮光されているため、光照射後も硬化せず、光感受部120に含まれる光硬化型樹脂122よりも低い硬度を有する。つまり、非光感受部130は、光感受部120と異なり、光照射後も変形することが可能なものである。
本実施形態では、第1、第2固定部材102、104は、第1、第2、第3非光感受部130A、130B、130Cを備えている(図2、図3参照)。
第1非光感受部130Aは下肢X1の潰瘍部に位置する。本実施形態では、第1固定部材102の第1非光感受部130Aは、患者X(被装着体)の潰瘍が生じている足底部Y3の一部に位置する。
また、第2、第3非光感受部130B、130Cは下肢X1の凸部及び/または可動部に位置する。本実施形態では、第1固定部材102の第2非光感受部130は、踝(凸部)Y4に位置し、(足関節Z3の動作等に伴う)踝Y4のこすれによって生じる痛みを低減し、円滑な動作を行うことができる。また、第2固定部材104の第3非光感受部130Cは、足の関節部(可動部)Z3に位置し、可動域の制限を適度に設けつつ、足の背屈をさせることができる。
次に、図4を用いて、光硬化型ブーツ100の第1、第2固定部材102、104(より具体的には、光感受部120と非光感受部130)を構成する光硬化型樹脂122、基材124、カバー材(下肢側カバー材126A、反下肢側カバー材126B)、緩衝材128、遮光部材132について詳細に説明する。
(基材)
基材124は、光硬化型ブーツ100を形成するために光硬化型樹脂122を『保持する』部材である。基材124としては、各種の繊維を使用した織物、編物、不織布等が使用できる。その繊維としては、天然繊維、化学繊維が使用でき、例えば、綿、毛、レーヨン、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、その他の繊維がある。基材124の厚みについては、3〜25mm程度であることが好ましく、より好ましくは、5〜15mm程度である。
また、図4(A)及び図4(B)では、説明の便宜上、基材124上に光硬化型樹脂122が積層されている例を示しているが、本実施形態は当該例に限定されない。例えば、光硬化型樹脂122は基材124によって保持されていてもよい。なお、ここでいう、「保持する」こととは、例えば、含浸、積層、貼付、塗付すること等が挙げられる。
本実施形態に係る基材124は、6層に積層された構造を有している。なお、積層構造については、例えば、より薄型の5層もしくはそれ以下の薄型の積層構造でもよいし、もしくは、逆に、より厚型の7層もしくはそれ以上の厚型の積層構造でもよい。
(光硬化型樹脂)
次に、(上述した基材124に積層される)光硬化型樹脂122について説明する。光硬化型樹脂122は、光照射により硬化する樹脂である。光硬化型樹脂122としては、感光性樹脂、光重合開始剤等のその他の成分を含有している。
感光性樹脂としては、例えば、光照射により架橋し得る感光性基を有する樹脂がある。具体的には、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等を有するアクリル系の光硬化性の樹脂、光ラジカル付加型および光カチオン重合型の樹脂等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、光照射により、ラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。また、必要に応じて光増感剤等の成分を含有していてもよい。
光硬化型樹脂122としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソシアネート基を2つ有するポリイソシアネートと活性水素基を有する(メタ)アクリル酸誘導体によって得られるウレタン系(メタ)アクリル酸誘導体オリゴマーと、400〜700nmの光を吸収するチタノセン系光重合開始剤を含む光硬化型樹脂122を使用可能である(詳細については、WO2006/090605号公報参照。)。
光硬化型樹脂122には、必要に応じて更に種々の成分を配合することができる。例えば、安定剤(貯蔵中にゲル化を防止し、貯蔵安定性を維持するための添加剤)を配合することができる。重合禁止剤、酸化防止剤、タックフリー化剤、チキソトロピー性付与剤、シランカップリング剤、界面活性剤、光増感剤、有機または無機微粒子などがある。
光硬化型ブーツ100の人体への装着後に光感受部120を光照射により硬化させ、患部等の固定を十分なものとしつつ装着性を良好なものとするためには、光硬化型樹脂122の3点曲げ強度については、20〜120N/cmであることが好ましく、より好ましくは30〜120N/cmである。なお、後述する包帯状の固定部材(いわゆる、キャストタイプの固定部材)に含まれる光硬化型樹脂122についても、同等の3点曲げ強度を有する。
(カバー材)
カバー材(より具体的には、下肢側カバー材126A、反下肢側カバー材126B)は、光を透過し、且つ、光硬化型樹脂122の患部等に対して水平方向の側面を覆い、硬化前の光硬化型樹脂122が流動して、光硬化型ブーツ100の内部から漏れ出すことを防止するための樹脂止め用部材である(図4(A)及び図4(B)参照)。なお、カバー材126A、126Bは、光硬化型樹脂122が浸透して表面に出ずに、光硬化型樹脂122と非反応性であることが好ましい。
上記カバー材126A、126Bとして、光を透過するフィルムを使用することもできる。材料としては、ポリエステル系、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ナイロン、ポリウレタン等を使用できる。なお、カバー材126A、126Bは、上記した編み物、織物、不織布、シートなどと併用してもよい。
また、カバー材126A、126Bが患部に対して垂直方向に複数設けられてもよい。
(緩衝材)
緩衝材128は、光硬化型ブーツ100の人体への接触による緩衝性を有するものである。また、緩衝材128は、適度な通気性を有し、硬化時における光硬化型樹脂122の反応熱が下肢X1等の側へ伝わりにくく、下肢X1等の形状に追随して変形しやすく、成形性の良いものがよい。緩衝材128として、例えば、ポリエステル系等の繊維、不織布、発泡体、ネオプレンゴム等を用いることもできる。上記緩衝材128は複層にしてもよい。
(遮光部材)
遮光部材132は、光硬化型樹脂122を遮光する部材である。遮光部材132は、要は、下肢X1に装着後、光硬化型樹脂122を遮光するものであればよく、例えば、金属薄膜、金属固着フィルム、不透明着色フィルム、顔料・染料等が塗工されているフィルム等の薄膜とすることが可能である。
遮光部材132の厚みについては、下肢X1への光硬化型ブーツ100の装着後、遮光部材132が人体の運動の妨げとならず、且つ光硬化型樹脂122を遮光可能なものにするという観点から0.01〜5mm程度であることが好ましい。より好ましくは、上記厚みは、0.01〜1mm程度である。
なお、遮光部材132の取り付けについては、光硬化型ブーツ100への遮光部材132の巻き付けや貼り付け等、任意の方法を採用することが可能である。なお、遮光部材132は、下肢X1への装着前に光硬化型ブーツ100に取り付けられていてもよいし、下肢X1への装着時に光硬化型ブーツ100に取り付けられてもよい。
なお、光感受部に含まれる光硬化型樹脂と、非光感受部に含まれる光硬化型樹脂とは、同一の符号を付して説明しているが、光感受部と非光感受部とは、必ずしも同一の光硬化型樹脂を含んでいなくてもよい。
(抗菌加工について)
上述したように、本実施形態では、被覆材、ストッキング(支持部材)、第1、第2固定部材102、104のいずれに対しても、抗菌加工を施している。
抗菌加工の加工材については、無機系(例えば、金属塩)、有機系(例えば、ビグアナイド、両性界面活性剤、第四アンモニウム塩等)、天然有機系(例えば、糖質、トロポロン、エステル等)等のいずれを用いてもよい。また、抗菌加工の加工法についても、練り込み加工(合成繊維を作る際に、抗菌剤を練り込んでしまう方法)、後加工(有機系抗菌剤を繊維架橋型バインダで生地にコートし、固着させる方法)等のいずれを用いてもよい。また、被覆材、支持部材、固定部材等の部材に対して、抗菌加工の加工材や加工法を同じとしてもよいし、異なるようにしてもよい。
本実施形態においては、創傷被覆材、ストッキング、固定部材の全ての部材に抗菌加工を施しているが、これに限らず、創傷被覆材、ストッキング、固定部材の内、1つの部材、又は(任意に選択した)2つの部材に対して、抗菌加工を施すようにしてもよい。更に、他の部材を付加する場合には、それらの部材に抗菌加工を施すようにしてもよい。また、光硬化型ブーツの部材は、抗菌加工に加えて、防水加工や防臭加工等を施すようにしてもよい。
(その他の部材について)
第1、第2、第3固定ベルト106、108、110は、それぞれ、足首、脚のすね、足の甲に配置されている。第1、第2、第3固定ベルト106、108、110は、面ファスナを装着することにより、第1、第2固定部材102、104を下肢X1に固定する。
(光硬化型ブーツセット)
なお、本実施形態に係る光硬化型ブーツ100は、患者(被装着体)の下肢の潰瘍部を覆う被覆材と、被覆材を下肢X1に支持するストッキング(支持部材)と、光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでおり、ストッキング(支持部材)を反下肢側から固定する固定部材と、を備えており、被覆材と、ストッキング(支持部材)と、固定部材と、の全ての部材には、患者(被装着体)の下肢に発生する菌を抑制する抗菌加工が施されている光硬化型ブーツセット(下腿潰瘍用光硬化型ブーツセット)と捉えてもよい。
<光硬化型ブーツの作用効果>
次に、本実施形態に係る光硬化型ブーツ100の作用効果を説明する。
図5を参照しながら、上述した光硬化型ブーツ100を下肢X1に装着する手順を説明しつつ、光硬化型ブーツ100の作用効果を詳述する。
図5は、光硬化型ブーツ100を患者Xに装着する手順を説明するための説明図である。
図5に示すように、ここでは、本実施形態に係る光硬化型ブーツ100が(患者Xの)下肢X1に装着される場合を例に説明する(図5(A)参照)。
下肢X1Xに対し、光透過性を有さない包装材等から取り出された(脚のふくらはぎ部Y1、踵部Y2、及び足底部Y3を覆う)第1固定部材102を装着する(図5(B)、図2参照)。
次に、第1固定部材102に遮光部材132を取り付け、非光感受部130を構成する。本実施形態では、患者Xは、足底部Y3の一部に潰瘍部を有するため、第1固定部材102の足底部Y3の一部(非装着体の潰瘍部に位置する部位)に遮光部材132を取り付け、第1非光感受部130Aを構成する。また、下肢X1の踝(凸部)Y4に位置する部位に遮光部材132を取り付け、第2非光感受部130Bを構成する(図5(C)、図2参照)。
次に、光源140を用いて、第1固定部材102に光を照射する(図5(D)、図2参照)。光照射により、(第1固定部材102の)光感受部120は硬化する。一方で、(第1固定部材102の)第1、第2非光感受部130A、130Bである足底部Y3の潰瘍部に位置する部位、及び下肢X1の踝(凸部)Y4に位置する部位は、光照射後も非硬化状態を保つ。このように、第1固定部材102は、光感受部12010を硬化させつつ、足底部Y3、踝(凸部)Y4に位置する第1、第2非光感受部130A、130Bを硬化させないようにすることができる。
次に、(脚のすね部Z1と足の甲部Z2を覆う)第2固定部材104を包装材から取り出し、下肢X1の足関節部(可動部)Z3に位置する部位に遮光部材132を取り付け、第3非光感受部130Cを構成する。その上で、光照射により、(第2固定部材104の)光感受部120を硬化させる。一方、(第2固定部材104の)第3非光感受部130Cである足関節部(可動部)Z3は、光照射後も非硬化状態を保つ(図5(E)、図2参照)。
次に、硬化した第1、第2固定部材102、104が、第1〜第3固定ベルト106、108、110により下肢X1に固定される。以上のプロセスにより、光硬化型ブーツ100は患者Xの下肢X1に装着される(図5(F)、図2参照)。
以上の手順により、患者Xは光硬化型ブーツ100を装着することができる。
本実施形態に係る光硬化型ブーツ100に用いられている光硬化型樹脂122は、光を受光する前は柔らかい状態(硬度が低いまま)であり、受光することにより硬化する(硬度が高くなる)。即ち、光硬化型ブーツ100は、光硬化型樹脂122を有する第1、第2固定材102、104を下肢X1の形状に沿って硬化させるブーツである。このため、光硬化型ブーツ100は、患者Xの下肢X1に合わせた形状であって、且つ、十分な固定力を有するブーツを容易に構成することができる。更に、(光硬化型ブーツ100を構成する)光硬化型樹脂122を含んだ第1、第2固定材102、104は、(既存の医療用ブーツに用いられる)プラスチックや金属等に比べて安価であるため、患者Xは、(下腿潰瘍の症状の変化に伴う)下肢X1の形状の変化に合わせて、光硬化型ブーツ100を再製作し続けることができる。即ち、光硬化型ブーツ100は、『(潰瘍を患った)患者Xの下肢X1に合わせた形状を維持し続けること』ができる。しかも、光硬化型樹脂122は光により硬化するため、(上述したような水等を用いて硬化させる場合に問題となる)光硬化型ブーツ100内部で菌が増殖しやすい環境をつくる危険性は非常に低い。このため、光硬化型ブーツ100『菌が発生しにくい環境をつくること』を十分に満たしていると言える。本実施形態では、被覆材、ストッキング(支持部材)、及び第1、第2固定材102、104に対して抗菌加工が施されているため、潰瘍部に対して強力に抗菌効果を作用させつつ、第1、第2固定材102、104が備わっている広範囲に亘って下肢X1に菌が発生しにくい良好な衛生環境を長期間維持することができる。
また、本実施形態では、第1非光感受部130Aは下肢X1の潰瘍部に位置するため、患者(被装着体)Xの潰瘍部に位置する光硬化型樹脂122は、光照射後も柔らかい状態(非硬化状態)を保持されているのに対し、潰瘍部周辺(創傷が生じていない部分)の光硬化型樹脂122は光照射後硬化する。これにより、患者の体重が足底部Y3にかかると、第1非光感受部130Aは荷重に応じて変形しつつ、潰瘍部周辺の硬化した光感受部120が荷重を受ける。これにより、光硬化型ブーツ100は、下腿潰瘍の治癒をより促進することができる。
また、本実施形態では、第2、第3非光感受部130B、130Cは下肢X1の踝部(凸部)Y4及び足関節部(可動部)Z3に位置している。足関節部Z3に位置する第3非光感受部130Cは、自身の変形により、患者Xがリハビリ等の運動をすることを可能とし、(患者Xの)「筋委縮や筋拘縮」を予防することができる。また、第3非光感受部130Cは、自身の変形により荷重の集中を防止するため、リハビリ等の運動による「新たな潰瘍の発生」を防止することができる。要するに、本構成は、二律背反の関係にあった「潰瘍の防止」と「筋委縮や筋拘縮の防止」を共に実現することができる。また、踝部(凸部)Y4に位置する(第1固定部材102の)第2非光感受部130Bは、(足関節部Z3の動作等に伴う)踝部Y4のこすれによって生じる痛みを低減し、円滑な動作(リハビリ)を行うことができる。
即ち、光硬化型ブーツ100は、容易且つ安価に個々の患者Xの下肢X1に合わせた形状を維持しつつ、菌の発生を抑制でき、且つ、リハビリ等の運動をすることができる。
<構成の変形例>
図6(第1変形例に係る光硬化型ブーツ600の構成を説明するための説明図)に示すように、第1、第2固定部材602、604は、第1、第2固定部材602、604の端部の一部に連結部T1を設け、着脱時にも一体の構成とするようにしてもよい。例えば、足の一方(外側)の側面部に位置する第1、第2固定部材602、604の一部に切断部T2を備え、足のもう一方(内側)の側面部に位置する第1、第2固定部材602、604の一部に連結部T1を備えている。第2固定部材604は、連結部T1を中心としてX方向(足の側面方向)回転させることにより開口する。本構成においては、連結部T1、切断部T2を共に光硬化型ブーツ600の側面に設け、X方向に回転しているが、これに限らず、足趾の先端(つま先)を第1、第2固定部材の連結部とし、この連結部を中心に光硬化型ブーツの前方に回転して開口するタイプとしてもよい。
また、固定部材が、靴下形状で一連一体の構成となっており、足に装着した後、光照射されることにより、硬化する構成としてもよい。足全体を覆う一体型構成は、包帯状の固定部材、いわゆるキャストタイプの固定部材を用いる構成でもよい。なお、本構成に係る(足全体を覆う)固定部材を開口する場合、ブーツ製作者(医療従事者等)は、固定部材を切断する専用の切断手段(例えば、ギブスカッタ等)で切断してもよいし、任意に定めた切断部をあらかじめ遮光し、柔らかい状態を確保しておき、一般的に用いられる切断手段(例えば、はさみ等)により切断できるようにしてもよい。
また、図7(第2変形例に係る光硬化型ブーツ700を説明するための説明図)に示すように、第1、第2固定部材702、704の反下肢側(外側)に、硬性の支柱717を備える構成としてもよい。第1、第2固定部材702、704、及び支柱に第1〜第5固定ベルト706、708、710、714、716を通すことにより、第1、第2固定部材702、704をより強固に固定させることができる。
<第2実施形態>
上記実施形態において、第1固定部材102が『下肢X1のふくらはぎ部Y1、踵部Y2、及び足底部Y3』を覆っており、第2固定部材104が『下肢X1のすね部Z1と甲部Z2』を覆っているが、第1、第2固定部材102、104はこれに限らず、他の構成でもよい。図8に、第2実施形態に係る光硬化型ブーツ200を説明するための説明図を示す。本実施形態においても、光硬化型ブーツ200は患者Xの下肢X2に装着させる第1、第2固定部材202、204を備えており、第1、第2固定部材202、204は光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでいる。本実施形態では、第2固定部材204の配置・構成を変更するようにしている。第2固定部材204は、下肢X2のふくらはぎ部(の一部)、踝部、足底部を覆っている。これに対し、第1固定部材202は、(上記実施形態と同様に、)下肢X2のふくらはぎ部、踵部、及び足底部を覆っている。この構成により、第1固定部材202が足関節の底屈を防止し、且つ、第2固定部材204が内反・外反方向への運動を防止することができる。これにより、患者Xは円滑な歩行を行うことができる。
即ち、光硬化型ブーツ200は、容易且つ安価に個々の患者Xの下肢X2に合わせた形状を維持しつつ、菌の発生を抑制でき、且つ、リハビリ等の運動をすることができる。
<第3、第4実施形態>
また、光硬化型ブーツ(光硬化型ブーツセット)は、上記実施形態に限らず、患者(被装着体)の下肢X3、X4に装着させ、光照射により硬化する光硬化型樹脂322、422を含んでいる固定部材302、402と、固定部材302、402の外側(反下肢側)に配置され、固定部材302、402を下肢X3、X4に固定させる『装具』305、405、409と、を備えている、光硬化型ブーツセット(下腿潰瘍用光硬化型ブーツ)300、400としてもよい。
下肢の固定範囲及び固定強度の最適化は、潰瘍部の安定した免荷・除圧を実現するために非常に重要な要素である。仮に、固定範囲が狭すぎたり、固定強度が弱すぎたりした場合には、安定した免荷・除圧ができない恐れがある。一方、固定範囲が広すぎたり、固定強度が強すぎたりした場合には、(固定部分の)下肢X1の筋肉の硬化、萎縮の問題(いわゆる、「筋萎縮と筋拘縮」の問題)が生じる危険性があるとともに、(下腿潰瘍の主要因の一つである)血流不全をより悪化させ、下腿潰瘍の状態を一層悪化させる危険性がある。このため、患者の下肢の形状にあわせて固定しつつ、固定範囲及び固定強度を変化させる(最適化を図れる)下腿潰瘍用ブーツセットが必要とされている。
これに対し、本構成に係る下腿潰瘍用光硬化型ブーツセット300、400は、光硬化型樹脂322、422を含んだ固定部材302、402を装具305、405、409と組み合わせることにより、患者の下肢X3、X4の形状にあわせて固定しつつ、固定範囲及び固定強度を変化させることができ、上記問題を解決している。
固定範囲が広すぎたり、固定強度が強すぎたりした場合には、例えば、図9(第3実施形態に係る光硬化型ブーツ100を説明するための説明図)に示すように、(光硬化型樹脂322を含んだ)固定部材302に『軟性装具』305を組み合わせた構成としてもよい。本構成では、略L字状の固定部材302は光照射により硬化する光硬化型樹脂322を含んでいる。固定部材302は、下肢X3のふくらはぎ部(の一部)、踵部、及び足底部を覆っている。固定部材302の反下肢側(外側)に、固定部材302をより下肢X3に密着させ、下肢X3に固定させる軟性装具(下腿潰瘍用免荷サンダル)305を備えている。この構成により、本構成は、固定部材302が潰瘍部を固定するとともに、軟性装具305が関節の可動域の制限をしつつ、安定した動作(例えば、歩行動作)を促すことができる。この結果、潰瘍部の固定により、『潰瘍の回復』を促しつつ、安定した動作により、『血流の改善』及び『筋萎縮や筋枸縮の予防』を実現することができる。
また、固定範囲が狹すぎたり、固定強度が弱すぎたりした場合には、例えば、図10(第4実施形態に係る光硬化型ブーツ100を説明するための説明図)に示すように、(光硬化型樹脂422を含んだ)固定部材402に『硬性装具』405、409を組み合わせた構成としてもよい。本構成では、光照射により硬化する光硬化型樹脂422がストッキングに塗布されており、ストッキングが固定部材としての機能を有する。光硬化したストッキング(固定部材)402の反下肢側(外側)に、ストッキング(固定部材)402をより下肢X4に密着させ、下肢X4に固定させる硬性装具405、409を備えている。この構成により、(光硬化型樹脂422を含む)ストッキング(固定部材)402が下肢X4とのフィット性を保持しつつ、硬性装具405、409が(光硬化型樹脂422を含んだ)ストッキング(固定部材)402の固定力をより強固なものにすることができる。この結果、ストッキング(固定部材)402に硬性装具405、409を組み合わせた構成は、潰瘍部の安定した免荷・除圧を実現できる。
即ち、第3、第4実施形態に係る光硬化型ブーツセット300、400は、容易且つ安価に個々の患者の下肢X3、X4にあわせた形状を維持しつつ、菌の発生を抑制できる環境を有し、且つ、固定範囲及び固定強度を変化させることができる。
(非光感受部について)
なお、上述した実施形態において、潰瘍部に設けられた非光感受部は、患者の『足底』に位置しているが、これに限らず、例えば、患者が足先部(爪周辺部位)や足の甲部等に潰瘍部を有している場合には、足先部や足の甲部等に非光感受部を設けてもよい。
また、上記実施形態において、非光感受部は下肢の潰瘍部、または下肢の凸部及び/または可動部に位置するようにしているが、これに限らず、非光感受部は下肢の切断部に位置するようにしてもよい。(固定部材の)下肢の切断部に(被覆材等を介して、)当接する部分が、柔らかい状態であるため、下肢の切断面の皮膚を傷つけることなく、切断面の皮膚を良好な状態に保つことができる。
なお、下肢の潰瘍部、凸部及び/または可動部、及び下肢の切断部に位置する部位を非光感受部としてもよいし、切除手段(例えば、ギブスカッター等)により切除してもよい。また、例えば、潰瘍部等に位置する固定部材の部分に対して、反下肢側に突出する凸形状を形成し、固定部材と下肢間に空隙を設けるようにしてもよいし、緩衝材(スポンジ)を設け、固定部材を硬化させるようにしてもよい。
(温度、湿度環境の最適化)
光硬化型ブーツの固定部材に『無数の細かい孔』を設け、光硬化型ブーツ内部の温度、湿度の最適化を図り、ブーツ内部の菌の増殖を抑制する構成としてもよい。
(睡眠中の適用)
光硬化型ブーツは、患者が歩行する場合に限らず、睡眠中の場合に装着してもよい。
(その他の構成について)
上記実施形態において、固定ベルトは、面ファスナにより固定されているが、これに限らず、スナップフィット等により固定してもよいし、その他金具を用いて固定してもよい。
固定ベルトの形状、本数、走行ライン等については、固定部材を安定して固定できれば、他の構成でもよい(例えば、ベルトの本数を4本や2本にしたりすることができる。)。
靴底の形状、配置等は、本実施形態に示したものに限らず、歩行時の円滑且つ安定した重心移動を実現できる趣旨を満たせばよい。
上記実施形態において、光硬化型ブーツは、被覆材、ストッキング(支持部材)、固定部材、ベルト、靴底を主な部材として構成しているが、この構成に限らず、下肢に発生する菌の抑制、下肢の形状に対してのフィット性の向上という観点に照らして、他の部材を付加してもよいし、構成部材の一部を排除する構成してもよい。例えば、足と固定部材の間に熱変形樹脂等を用いて、より高精度に足と固定部材の隙間をなくすようにしてもよい。
100 光硬化型ブーツ
102、104 第1、第2固定部材
106、108、110 第1、第2、第3固定ベルト
120 光感受部
122 光硬化型樹脂
124 基材
126A、126B 下肢側カバー材、反下肢側カバー材
128 緩衝材
130 非光感受部
130A、130B、130C 第1、第2、第3非光感受部
132 遮光部材
X 患者
X1 下肢
Y1 ふくらはぎ部
Y2 踵部
Y3 足底部
Y4 踝(凸部)
Z1 脚のすね部
Z2 足の甲部
Z3 足の関節部(可動部)

Claims (12)

  1. 被装着体の下肢に装着させる固定部材を備えており、
    前記固定部材は光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでいる、
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  2. 請求項1において、
    前記固定部材は、前記下肢のふくらはぎ部、踵部、及び足底部のうちの少なくともいずれか1つの部位を覆っている
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  3. 請求項1又は2において、
    更に、
    前記固定部材は前記下肢のすね部と甲部のうちの少なくともいずれか1つの部位を覆っている
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記固定部材は、
    光照射後硬化する光感受部と、
    光照射後硬化しない非光感受部と、を備えている
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  5. 請求項4において、
    前記非光感受部は、光硬化型樹脂と、該光硬化型樹脂を覆って遮光する遮光部材と、を含む
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  6. 請求項4又は5において、
    前記非光感受部は前記下肢の潰瘍部に位置する
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  7. 請求項4〜6のいずれかにおいて、
    前記非光感受部は前記下肢の切断部に位置する
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  8. 請求項4〜7のいずれかにおいて、
    前記非光感受部は前記下肢の凸部及び/または可動部に位置する
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  9. 請求項1〜8のいずれかにおいて、
    前記固定部材には前記下肢に発生する菌を抑制する抗菌加工が施されている
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツ。
  10. 光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでおり、被装着体の下肢に装着させる固定部材と、
    前記固定部材の反下肢側に配置され、前記固定部材を前記下肢に固定させる装具と、を備えている
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツセット。
  11. 請求項10において、
    前記固定部材と、前記装具と、のいずれかの部材には、前記下肢に発生する菌を抑制する抗菌加工が施されている
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツセット。
  12. 被装着体の下肢の潰瘍部を覆う被覆材と、
    前記被覆材を前記下肢に支持する支持部材と、
    光照射により硬化する光硬化型樹脂を含んでおり、前記支持部材の反下肢側に配置する固定部材と、を備えており、
    前記被覆材と、前記支持部材と、前記固定部材と、の内の少なくともいずれか1つの部材には、前記下肢に発生する菌を抑制する抗菌加工が施されている
    下腿潰瘍用光硬化型ブーツセット。
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