JP2014030136A - 弾性波デバイス - Google Patents

弾性波デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2014030136A
JP2014030136A JP2012170269A JP2012170269A JP2014030136A JP 2014030136 A JP2014030136 A JP 2014030136A JP 2012170269 A JP2012170269 A JP 2012170269A JP 2012170269 A JP2012170269 A JP 2012170269A JP 2014030136 A JP2014030136 A JP 2014030136A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
temperature compensation
resonator
wave device
acoustic wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012170269A
Other languages
English (en)
Inventor
Tokihiro Nishihara
時弘 西原
Shinji Taniguchi
眞司 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Yuden Co Ltd filed Critical Taiyo Yuden Co Ltd
Priority to JP2012170269A priority Critical patent/JP2014030136A/ja
Priority to US13/734,188 priority patent/US8941286B2/en
Priority to SG2013005616A priority patent/SG193077A1/en
Publication of JP2014030136A publication Critical patent/JP2014030136A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

【課題】圧電薄膜共振器毎に温度特性と電気的特性とを制御すること可能な弾性波デバイスを提供すること。
【解決手段】基板10と、前記基板上に設けられた圧電膜14と、前記圧電膜を挟んで対向した下部電極12および上部電極16と、前記圧電膜の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数の弾性定数を有する温度補償膜28と、前記温度補償膜の上面および下面にそれぞれ形成され、互いに電気的に短絡した複数の導電膜と、を具備し、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する共振領域50における前記温度補償膜の面積は、前記共振領域の面積とは異なる圧電薄膜共振器を備える弾性波デバイス。
【選択図】図1

Description

本発明は、弾性波デバイスに関し、例えば圧電薄膜共振器を備える弾性波デバイスに関する。
圧電薄膜共振器を用いた弾性波デバイスは、例えば無線機器等のフィルタとして用いられている。圧電薄膜共振器は、圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する構造を有している。圧電薄膜共振器を用いた弾性波デバイスとして、フィルタおよびデュプレクサがある。圧電薄膜共振器の圧電膜、下部電極および上部電極は、一般的に弾性定数の温度係数が負である。これにより、圧電薄膜共振器の共振周波数は、温度上昇とともに低周波数側にシフトする。このように、弾性波デバイスにおいては、共振周波数、***振周波数および通過帯域等が温度により変化する。
周波数の温度変化を抑制するために、圧電膜、下部電極および上部電極の温度係数とは逆の温度係数を有する酸化シリコン膜等の温度補償膜を積層膜中に挿入した圧電薄膜共振器が知られている(例えば、非特許文献1)。
温度補償膜を用いた際に、電界が温度補償膜に集中し励振効率が低下することを抑制するため、温度補償膜の上下面に互いに短絡した電極を設けた構造が知られている(例えば、特許文献1)。下部電極内に温度補償膜を埋め込んだ圧電薄膜共振器が知られている(例えば、特許文献2)。
特開昭60−16010号公報 米国特許出願公開第2011/0266925号明細書
Proc. IEEE Ultrasonics Symposium 2000, pp855-858
しかしながら、温度補償膜を使用した圧電薄膜共振器において、温度特性を改善するために温度補償膜を厚くすると、実効的電気機械結合係数が低下する。例えば圧電薄膜共振器を用いたフィルタにおいては、温度補償膜を厚くすることにより温度特性は改善するが、通過帯域のマッチングが悪化する。または、通過帯域の損失が悪化する。このように、温度特性と実効的電気機械結合係数とがトレードオフとなる。このため、例えば、同一弾性波デバイス内において、圧電薄膜共振器毎に温度特性と電気的特性とを制御することが難しい。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、圧電薄膜共振器毎に温度特性と電気的特性とを制御すること可能な弾性波デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた圧電膜と、前記圧電膜を挟んで対向した下部電極および上部電極と、前記圧電膜の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数の弾性定数を有する温度補償膜と、前記温度補償膜の上面および下面にそれぞれ形成され、互いに電気的に短絡した複数の導電膜と、を具備し、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する共振領域における前記温度補償膜の面積は、前記共振領域の面積とは異なる圧電薄膜共振器を備える弾性波デバイスである。本発明によれば、圧電薄膜共振器毎に温度特性と電気的特性とを制御することが可能な弾性波デバイスを提供することができる。
上記構成において、前記下部電極および前記上部電極の少なくとも一方は前記導電膜を含む構成とすることができる。
上記構成において、前記温度補償膜は、酸化シリコンまたは窒化シリコンを主成分とする構成とすることができる。
上記構成において、前記温度補償膜は、酸化シリコンを主成分とし、F、H、CH、CH、Cl、C,N、PおよびSのいずれかを含む構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電膜は、窒化アルミニウムを主成分とする構成とすることができる。
上記構成において、前記共振領域において、前記基板と前記下部電極との間に空隙が形成されている構成とすることができる。
上記構成において、前記共振領域において、前記下部電極下に前記圧電膜を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜を具備する構成とすることができる。
上記構成において、前記温度補償膜の側面は上面の幅が下面より小さいテーパを有する構成とすることができる。
上記構成において、前記共振領域に対し、前記共振領域における前記温度補償膜の面積比が異なる複数の前記圧電薄膜共振器を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の圧電薄膜共振器を含むフィルタを備える構成とすることができる。
上記構成において、前記フィルタはラダー型フィルタであり、複数の前記圧電薄膜共振器は直接共振器と並列共振器とを含む構成とすることができる。
上記構成において、前記直列共振器と前記並列共振器との前記面積比の差により、前記直列共振器と前記並列共振器との共振周波数の差を形成する構成とすることができる。
上記構成において、前記フィルタを含むデュプレクサを備える構成とすることができる。
本発明によれば、圧電薄膜共振器毎に温度特性と電気的特性とを制御すること可能な弾性波デバイスを提供することができる。
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のA−A断面図である。 図2(a)は温度補償膜の一例を示す平面図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。 図3(a)は絶縁膜の別の一例を示す平面図、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。 図4(a)から図4(c)は、実施例1に係る並列共振器の製造方法を示す断面図(その1)である。 図5(a)および図5(b)は、実施例1に係る並列共振器の製造方法を示す断面図(その2)である。 図6(a)は、実施例2に係る圧電薄膜共振器の平面図、図6(b)および図6(c)は、図6(a)のA−A断面図である。 図7(a)は、実施例3に係る圧電薄膜共振器の平面図、図7(b)および図7(c)は、図7(a)のA−A断面図である。 図8(a)は、実施例4に係る圧電薄膜共振器の平面図、図8(b)および図8(c)は、図8(a)のA−A断面図である。 図9(a)は、実施例4の変形例に係る圧電薄膜共振器の平面図、図9(b)および図9(c)は、図9(a)のA−A断面図である。 図10は、実施例5に係るデュプレクサの回路図である。 図11(a)は、受信フィルタの通過特性を示す図、図11(b)は、通過特性の受信帯域近傍の拡大図、図11(c)は、受信帯域近傍のアンテナからの信号のリターンロスを示す図である。 図12(a)から図12(c)は、それぞれタイプA、BおよびCにおける各温度での通過特性を示す図である。 図13(a)は、送信フィルタの通過特性を示す図、図13(b)は、通過特性の送信帯域近傍の拡大図、図13(c)は、送信帯域近傍のアンテナからの信号のリターンロスを示す図である。 図14(a)から図14(d)は、それぞれタイプD、E、FおよびGにおける各温度での通過特性を示す図である。
以下図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
実施例1は、弾性波デバイスに用いられる共振器の例である。図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のA−A断面図である。図1(b)は、例えばラダー型フィルタの直列共振器、図1(c)は例えばラダー型フィルタの並列共振器の断面図を示している。
図1(a)および図1(b)を参照し、直列共振器Sの構造について説明する。シリコン(Si)基板である基板10上に、基板10の平坦主面との間に下部電極12側にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成されるように下部電極12が設けられている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙30の周辺では空隙30の高さが小さく、空隙30の内部ほど空隙30の高さが高くなるような形状の膨らみである。下部電極12は下層12aと上層12bとを含んでいる。下層12aは例えばCr(クロム)膜であり、上層12bは例えばRu(ルテニウム)膜である。
下部電極12上に、(002)方向を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする圧電膜14が設けられている。圧電膜14を挟み下部電極12と対向する領域(共振領域50)を有するように圧電膜14上に上部電極16が設けられている。共振領域50は、楕円形状を有し、厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。上部電極16は下層16aおよび上層16bを含んでいる。下層16aおよび上層16bは、例えばRu膜である。下層16aと上層16bとの間に、温度補償膜28が設けられている。温度補償膜28は、主成分を酸化シリコンとする膜である。酸化シリコンは、弾性定数の温度係数が正である。共振領域50における温度補償膜28の面積は共振領域50の面積とは異なる。例えば、共振領域50内の温度補償膜28は、共振領域50の面積より小さくなるようにパターニングされている。
上部電極16上には周波数調整膜24として酸化シリコン膜が形成されている。共振領域50内の積層膜18は、下部電極12、圧電膜14、上部電極16、温度補償膜28および周波数調整膜24を含む。周波数調整膜24はパッシベーション膜として機能してもよい。
図1(a)のように、下部電極12には犠牲層をエッチングするための導入路33が形成されている。犠牲層は空隙30を形成するための層である。導入路33の先端付近は圧電膜14で覆われておらず、下部電極12は導入路33の先端に孔部35を有する。図1(a)および図1(b)のように、圧電膜14には下部電極12と電気的に接続するための開口部36が設けられている。開口部36の底の下部電極12上には外部接続用のAu等のバンプ用下地膜が設けられていてもよい。
図1(a)および図1(c)を参照し、並列共振器Pの構造について説明する。並列共振器Pは直列共振器Sと比較し、上部電極16と周波数調整膜24との間に、Ti(チタン)層からなる質量負荷膜20が設けられている。よって、積層膜18は直列共振器Sの積層膜に加え、共振領域50内の全面に形成された質量負荷膜20を含む。その他の構成は直列共振器Sの図1(b)と同じであり説明を省略する。
直列共振器Sと並列共振器Pとの共振周波数の差は、質量負荷膜20の膜厚を用い調整する。直列共振器Sと並列共振器Pとの両方の共振周波数の調整は、周波数調整膜24の膜厚を調整することにより行なう。なお、質量負荷膜20を用いず、共振領域50に対する温度補償膜28の面積比を、直列共振器Sと並列共振器Pとで変えることにより、直列共振器Sと並列共振器Pとの共振周波数の差を調整することもできる。例えば、並列共振器における共振領域50内の温度補償膜28の面積を直列共振器における共振領域50内の温度補償膜28の面積より大きくしてもよい。
図1(b)および図1(c)において、圧電膜14の開口部36側の外周が上部電極16より内側に位置している。これにより、圧電膜14内の弾性波が共振領域50の外側に漏れることを抑制できる。また、圧電膜14の外周の位置は、上部電極16と一致していてもよいし、上部電極16より大きくてもよい。
基板10としては、Si基板以外に、石英基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。下部電極12および上部電極16としては、RuおよびCr以外にもAl(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Pt(白金)、Rh(ロジウム)またはIr(イリジウム)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。上部電極16を積層膜とした場合、積層膜の界面に温度補償膜28を配置してもよい。例えば、上部電極16の下層16aをRu、上層16bをMoとしてもよい。圧電膜14は、窒化アルミニウム以外にも、ZnO(酸化亜鉛)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PbTiO3(チタン酸鉛)等を用いることができる。また、例えば、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素としてSc(スカンジウム)を用いることにより、圧電膜14の圧電性が向上するため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。
温度補償膜28の弾性定数は、圧電膜14の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数を有する。これにより、周波数温度係数を0に近づけることができる。圧電膜14が窒化アルミニウムの場合、弾性定数の温度係数は負である。よって、温度補償膜28としては、弾性定数の温度係数が正の材料を用いる。例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜が弾性定数の温度係数が正である。酸化シリコン膜または窒化シリコン膜は化学量論的な組成でなくてもよい。また、温度補償膜28は、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を主成分とし、共振特性の向上または温度特性の改善のため他の元素を含んでもよい。例えば、温度補償膜28は、酸化シリコン膜を主成分とし、F(フッ素)、H(水素)、CH、CH、Cl(塩素)、C(炭素)、N(窒素)、P(燐)およびS(硫黄)のいずれかを含んでもよい。これにより、酸化シリコン膜の弾性定数の温度係数を大きくすることができる。よって、温度補償膜28の膜厚を小さくできる。このため、温度補償膜28のパターニング精度が向上する。また、実施例2および3のように、温度補償膜28上に圧電膜14を形成する場合、温度補償膜28が薄いことにより圧電膜14の配向性の劣化を抑制できる。
周波数調整膜24としては、酸化シリコン膜以外にも窒化シリコン膜または窒化アルミニウム等を用いることができる。質量負荷膜20としては、Ti以外にも、Ru、Cr、Al、Cu、Mo、W、Ta、Pt、RhもしくはIr等の単層膜を用いることができる。また、例えば窒化シリコンまたは酸化シリコン等の窒化金属または酸化金属からなる絶縁膜を用いることもできる。質量負荷膜20は、上部電極16の層間以外にも、下部電極12の下、下部電極12の層間、上部電極16の上、下部電極12と圧電膜14との間または圧電膜14と上部電極16との間に形成することができる。質量負荷膜20は、共振領域50を含むように形成されていれば、共振領域50より大きくてもよい。
温度補償膜28の形状について説明する。図2(a)は温度補償膜の一例を示す平面図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。図2(a)および図2(b)に示すように、共振領域50内に温度補償膜28が島状に形成されている。温度補償膜28が形成されていない領域が開口29である。温度補償膜28の島は、周期的に設けられた円形状のドット状パターンである。
図3(a)は絶縁膜の別の一例を示す平面図、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。図3(a)および図3(b)に示すように、共振領域50内に開口29を有する温度補償膜28が形成されている。開口29は周期的に設けられた円形状のドット状パターンを含む。さらに、ドット状パターンは線状パターンにより連結されている。線状パターンはジグザグに形成されている。
図2(b)および図3(b)に示すように、温度補償膜28の側面は、上面の幅が下面の幅より小さくなるようなテーパ状を有している。温度補償膜28は、上部電極16内に設けられるため、テーパ状を有することにより、上部電極16内の不要な空隙等を抑制できる。図2(a)および図3(b)におけるドット状パターンは、円形状であるが、多角形等他の形状でもよい。ドット状パターンは、周期的に配列されておらず非周期的でもよい。また、線状パターンは、図3(a)以外の形状でもよい。温度補償膜28は、全体に均一に設けられていることが好ましい。例えば、温度補償膜28は、共振領域50内にほぼ一様に形成されている。
共振領域50内において、温度補償膜28は島状に形成されていてもよく、温度補償膜28に開口29が形成されていてもよい。いずれの例においても、共振領域50内の温度補償膜28の形状は共振領域50とは異なる。共振領域50の面積A0に対する共振領域50内における温度補償膜28の面積A1の面積比A1/A0は、1より小さく、かつ0より大きい。面積比A1/A0を所定値以下とする場合は、温度補償膜28を島状に形成し、面積比A1/A0を所定値以上とする場合は、温度補償膜28に開口を形成することができる。例えば、面積比A1/A0が0より大きく、かつ0.5以下の場合は、温度補償膜28を島状に形成し、面積比A1/A0が0.5以上、かつ1より小さい場合は、温度補償膜28に開口を形成することができる。
面積比A1/A0が大きくなるに従い、周波数温度係数は正側にシフトする。共振周波数と実効的電気機械結合係数は小さくなる。よって、面積比A1/A0を変化させることにより、周波数温度係数、共振周波数および実効的電気機械結合係数等の諸特性を制御できる。複数の圧電薄膜共振器を備える弾性波デバイスにおいて、共振器ごとに面積比A1/A0を異ならせることは露光マスクの変更で容易に対応できる。
図4(a)から図5(b)は、実施例1に係る並列共振器Pの製造方法を示す断面図である。図4(a)に示すように、平坦主面を有する基板10上に空隙を形成するための犠牲層38を形成する。犠牲層38の膜厚は、例えば10〜100nmであり、MgO、ZnO、GeまたはSiO等のエッチング液またはエッチングガスに容易に溶解できる材料から選択される。その後、犠牲層38を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。犠牲層38の形状は、空隙30の平面形状に相当する形状であり、例えば共振領域50となる領域を含む。次に、犠牲層38および基板10上に下部電極12として下層12aおよび上層12bを形成する。犠牲層38および下部電極12は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い成膜される。その後、下部電極12を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。下部電極12は、リフトオフ法により形成してもよい。
図4(b)に示すように、下部電極12および基板10上に圧電膜14、上部電極16の下層16aおよび温度補償膜28を、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。温度補償膜28を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。このとき温度補償膜28の側面は上面の幅が下面より小さいテーパを有する。
図4(c)に示すように、上部電極16の上層16bおよび質量負荷膜20を、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。質量負荷膜20を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。直接共振器Sにおいては、質量負荷膜20は完全に除去される。上部電極16を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。
図5(a)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い圧電膜14を所望の形状にパターニングする。圧電膜14のエッチングは、例えば燐酸を含む溶液を用い、圧電膜14の外周の少なくとも一部が上部電極16の外周より内側に位置するように行なう。これにより、共振特性を向上できる。圧電膜14の外周の位置は、例えばエッチング時間により制御することができる。下部電極12が開口部36を介し露出される。よって、開口部36を介し下部電極12にAu等のバンプを電気的に接続することができる。これにより、下部電極12を外部回路と電気的に接続することができる。
図5(b)に示すように、周波数調整膜24を例えばスパッタリング法またはCVD法を用い形成する。フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い周波数調整膜24を所望の形状にパターニングする。
その後、孔部35および導入路33(図1(a)参照)を介し、犠牲層38のエッチング液を下部電極12の下の犠牲層38に導入する。これにより、犠牲層38が除去される。犠牲層38をエッチングする媒体としては、犠牲層38以外の共振器を構成する材料をエッチングしない媒体であることが好ましい。特に、エッチング媒体は、エッチング媒体が接触する下部電極12がエッチングされない媒体であることが好ましい。積層膜18の応力を圧縮応力となるように設定しておく。これにより、犠牲層38が除去されると、積層膜18が基板10の反対側に基板10から離れるように膨れる。下部電極12と基板10との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成される。以上により、図1(a)および図1(b)に示した直列共振器S、および図1(a)および1(c)に示した並列共振器Pが作製される。
実施例1によれば、温度補償膜28は、圧電膜14の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数の弾性定数を有する。上部電極16が温度補償膜28の上面および下面にそれぞれ形成され、互いに電気的に短絡している。これにより、温度補償膜28が共振特性に弾性的に寄与し、周波数温度係数を抑制できる。温度補償膜28が上部電極16(導電膜)に挟まれているため、電気的には温度補償膜28の容量が寄与しない。よって、実効的電気機械結合係数を大きくできる。
さらに、共振領域50における温度補償膜28の面積A1は、共振領域50の面積A0とは異なる。これにより、面積比A1/A0を変化させることにより、圧電薄膜共振器毎に、周波数温度係数等の温度特性と、共振周波数および実効的電気機械結合係数等の電気的特性と、を制御できる。
また、温度補償膜28の上面および下面にそれぞれ形成され互いに短絡された導電膜として、上部電極16を用いることができる。これにより、導電膜を形成する工程を簡略化できる。
また、実施例1においては、圧電膜14を成膜する際の下地の凸凹を小さくできるため、後述する実施例2および3に比べ圧電膜14を成膜する際の配向性を向上できる。
実施例2は、下部電極12内に温度補償膜28が形成された例である。図6(a)は、実施例2に係る圧電薄膜共振器の平面図、図6(b)および図6(c)は、図6(a)のA−A断面図である。図6(b)は、例えばラダー型フィルタの直列共振器、図6(c)は例えばラダー型フィルタの並列共振器の断面図を示している。図6(a)から図6(c)に示すように、下部電極12は、下層12a、中層12cおよび上層12bを含む。下層12aは、例えばCr膜であり、中層12cおよび上層12bは例えばRu膜である。温度補償膜28は、下部電極12の中層12cと上層12bとの間に配置されている。温度補償膜28は、上部電極16内には形成されていない。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例2のように、温度補償膜28の上面および下面にそれぞれ形成され互いに短絡された導電膜として、下部電極12を用いることができる。実施例1および2のように、下部電極12および上部電極16の少なくとも一方は温度補償膜28の上面および下面にそれぞれ形成され互いに短絡された導電膜を含むことができる。後述する実施例3においては、導電膜26aおよび26bを上部電極16および下部電極12と別に形成することになる。一方、実施例1および2においては、導電膜26aおよび26bを上部電極16または下部電極12として形成でき、工程を削減できる。さらに、実施例3においては、圧電膜14を複数回に分けて形成することになる。一方、実施例1および2においては、圧電膜14の形成は1回でよく、工程を削減できる。
実施例3は、温度補償膜28が圧電膜14内に形成された例である。図7(a)は、実施例3に係る圧電薄膜共振器の平面図、図7(b)および図7(c)は、図7(a)のA−A断面図である。図7(b)は、例えばラダー型フィルタの直列共振器、図7(c)は例えばラダー型フィルタの並列共振器の断面図を示している。図7(a)から図7(c)に示すように、圧電膜14内に温度補償膜28が設けられている。温度補償膜28の下面および上面にはそれぞれ導電膜26aおよび26bが設けられている。導電膜26aおよび26bは電気的に短絡している。導電膜26aおよび26bは、例えばRu膜である。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例3においては、温度補償膜28および導電膜26aおよび26bは、圧電膜14の中央部に配置されることが好ましい。これにより、同じ温度特性を得るための温度補償膜28の膜厚を最も薄くできる。温度補償膜28および導電膜26aおよび26bは、圧電膜14の中央部に限らず、中央部より下部電極12側または上部電極16側に配置することもできる。この場合、温度補償膜28の膜厚を適宜設定する。
実施例3においても、温度補償膜28が共振特性に弾性的に寄与し、周波数温度係数を抑制できる。温度補償膜28が導電膜26aおよび26bに挟まれているため、電気的には温度補償膜28の容量が寄与しない。よって、実効的電気機械結合係数を大きくできる。さらに、面積比A1/A0を変化させることにより、圧電薄膜共振器毎に、温度特性と電気的特性とを制御できる。
導電膜26aおよび26bは、電気的に浮いている。例えばグランドから浮いている。これにより、温度補償膜28を電気的により遮蔽することができる。また、製造コストの観点から、導電膜26aおよび26bは、下部電極12および上部電極16の少なくとも一方に含まれる膜と同じ材料の膜を含むことが好ましい。さらに、実効的電気機械結合係数を大きくするため、導電膜26aおよび26bはアルミニウムより大きなヤング率を有していることが好ましい。導電膜26aおよび26bとしては、アルミニウムより大きなヤング率を有する材料として例えばIr、Ru、Rh、W、Mo、Cr、Ta、Pt、TiおよびCuの少なくとも1つを主成分とすることが好ましい。
実施例4は、空隙の構成を変えた例である。図8(a)は、実施例4に係る圧電薄膜共振器の平面図、図8(b)および図8(c)は、図8(a)のA−A断面図である。図8(b)は、例えばラダー型フィルタの直列共振器、図8(c)は例えばラダー型フィルタの並列共振器の断面図を示している。図8(a)から図8(c)に示すように、基板10の上面に窪みが形成されている。下部電極12は、基板10上に平坦に形成されている。これにより、空隙30が、基板10の窪みに形成されている。空隙30は共振領域50に形成されている。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。空隙30は、基板10を貫通するように形成されていてもよい。なお、実施例4において、実施例2と同様に下部電極12内に温度補償膜28が配置されていてもよい。実施例3と同様に圧電膜14内に温度補償膜28および導電膜26aおよび26bが配置されていてもよい。
実施例4の変形例は、空隙の代わりに音響反射膜を設ける例である。図9(a)は、実施例4の変形例に係る圧電薄膜共振器の平面図、図9(b)および図9(c)は、図9(a)のA−A断面図である。図9(b)は、例えばラダー型フィルタの直列共振器、図9(c)は例えばラダー型フィルタの並列共振器の断面図を示している。図9(a)から図9(c)に示すように、共振領域50の下部電極12下に音響反射膜31が形成されている。音響反射膜31は、音響インピーダンスの低い膜30aと音響インピーダンスの高い膜30bとが交互に設けられている。膜30aおよび30bの膜厚は例えばそれぞれλ/4(λは弾性波の波長)である。膜30aと膜30bの積層数は任意に設定できる。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。なお、実施例4の変形例において、実施例2と同様に下部電極12内に温度補償膜28が配置されていてもよい。実施例3と同様に圧電膜14内に温度補償膜28および導電膜26aおよび26bが配置されていてもよい。
実施例1から4のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において空隙30が基板10と下部電極12との間に形成されているFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)でもよい。また、実施例4の変形例のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において下部電極12下に圧電膜14を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜31を備えるSMR(Solidly Mounted Resonator)でもよい。
実施例1から実施例4およびその変形例において、共振領域50が楕円形状の例を説明したが、他の形状でもよい。
実施例5は弾性波デバイスとしてデュプレクサの例である。図10は、実施例5に係るデュプレクサの回路図である。図10に示すように、デュプレクサ104は、送信フィルタ60および受信フィルタ62を備えている。送信フィルタ60は、共通端子Antと送信端子Txとの間に接続されている。受信フィルタ62は、共通端子Antと受信端子Rxとの間に接続されている。
送信フィルタ60においては、共通端子Antと送信端子Txとの間に、直列共振器S11からS14が直列に接続されている。共通端子Antと送信端子Txとの間に、並列共振器P11からP13が並列に接続されている。並列共振器P11からP13のグランド側は共通にインダクタL12を介し接地されている。送信端子Txは、インダクタL11を介し接地されている。直列共振器、並列共振器およびインダクタ等の個数や接続は所望の送信フィルタ特性を得るため適宜変更可能である。
受信フィルタ62においては、共通端子Antと受信端子Rxとの間に、直列共振器S21からS24が直列に接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に、並列共振器P21からP24が並列に接続されている。並列共振器P21からP24のグランド側はそれぞれインダクタL22からL25を介し接地されている。受信端子Rxは、インダクタL21を介し接地されている。直列共振器、並列共振器およびインダクタ等の個数や接続は所望の受信フィルタ特性を得るため適宜変更可能である。
共通端子Antは、アンテナ64に接続されている。共通端子AntはインダクタL1を介し接地されている。インダクタL1は、整合回路として機能する。整合回路は、インダクタL1の代わりに複数の素子を有してもよい。
直列共振器S11からS14、S21から24、並列共振器P11からP13、およびP21からP24の少なくとも1つに、実施例1から実施例4およびその変形例の少なくとも1つに係る圧電薄膜共振器を用いる。例えば、直列共振器および並列共振器の全てを、実施例1から実施例4およびその変形例に係る圧電薄膜共振器としてもよい。また、送信フィルタ60および受信フィルタ62のいずれか一方を弾性表面波フィルタとしてもよい。弾性表面波フィルタは、例えば多重モードフィルタでもよい。また、受信フィルタ62は、バランス出力でもよい。受信フィルタ62をバランス出力とする場合に、受信フィルタ62としてDMS(Double Mode SAW)フィルタを用いることができる。
図10に示したデュプレクサ104の共振器を実施例1の圧電薄膜共振器として、WCDMA(Wide-band Code Division Multiple Access)のバンド25のスペックに対するデュプレクサ特性を検討した。バンド25は、送信帯域が1850MHzから1915MHz、受信帯域が1930MHzから1995MHzである。
まず、タイプA、BおよびCの3つのタイプの受信フィルタについてシミュレーションした。表1は、タイプA、BおよびCの各共振器にける共振領域50に対する温度補償膜28の面積比A1/A0を示している。
Figure 2014030136
表1に示すように、タイプAは、比較例であり、全ての共振器の面積比A1/A0が1である。タイプBは、並列共振器の面積比A1/A0が1であり、直列共振器の面積比A1/A0は、全て1以下であり、かつ直列共振器毎に面積比A1/A0が異なる。タイプCは、直列共振器および並列共振器の面積比A1/A0は、全て1以下であり、かつ直列共振器内で面積比A1/A0が異なり、並列共振器内で面積比A1/A0が異なる。さらに、直列共振器と並列共振器とで面積比A1/A0が異なる。直列共振器の中で最も大きい面積比A1/A0は、並列共振器の中で最も小さい面積比A1/A0より小さい。
表2は、積層膜18の各膜の材料と各タイプにおける膜厚を示す表である。
Figure 2014030136
面積比A1/A0が変化すると共振周波数がシフトする。表2に示すように、共振周波数を所望の値とするため、上部電極16の上層16b、温度補償膜28、圧電膜14および下部電極12の上層12bの膜厚を変えている。タイプBおよびCにおいては、直列共振器と並列共振器との共振周波数の差を面積比A1/A0の差により形成できるため質量負荷膜20を用いていない。
表3は、各共振器の共振周波数を示す図である。
Figure 2014030136
表4は、各共振器の周波数温度係数を示す図である。表4の周波数温度係数は、単位温度当りの共振周波数のシフトを示している。
Figure 2014030136
表3および表4を参照し、面積比A1/A0が小さくなると、共振周波数が大きくなり、周波数温度係数が悪化する傾向がある。さらに、周波数温度係数と実効的電気機械係数とはトレードオフの関係がある。よって、面積比A1/A0が小さくなると、実効的電気機械係数は、大きくなる傾向がある。このように、面積比A1/A0を共振器毎に異ならせることにより、共振器毎に共振特性と温度特性とを制御することができる。
図11(a)は、受信フィルタの通過特性を示す図、図11(b)は、通過特性の受信帯域近傍の拡大図、図11(c)は、受信帯域近傍のアンテナからの信号のリターンロスを示す図である。図11(a)から図11(c)において、タイプAを点線、タイプBを破線、タイプCを実線で示している。図11(a)および図11(b)に示すように、タイプAに比べ、タイプB、タイプCとなるに従い受信帯域中央のマッチングが改善している。また、タイプA、BおよびCの順に受信帯域の損失が改善している。また、受信帯域の低帯域側のスカート特性として、減衰量が−2.5dBから−48dBに遷移する周波数の遷移幅を比較すると、タイプA、BおよびCにおいて、それぞれ14.4MHz、12.9MHzおよび11.1MHzである。このように、スカート特性は、タイプA、BおよびCの順に改善している。図11(c)に示すように、タイプA、BおよびCの順にリターンロスが改善している。
図12(a)から図12(c)は、それぞれタイプA、BおよびCにおける各温度での通過特性を示す図である。図12(a)から図12(c)において、点線、破線および実線はそれぞれ温度が−20℃、25℃および85℃における通過特性を示している。図12(a)から図12(c)のように、タイプAに比べタイプBおよびCでは温度特性が改善している。例えば、ガードバンド側の1930MHzにおける−25℃と85℃の損失の差は、タイプA、BおよびCにおいてそれぞれ0.59dB、0.42dBおよび0.44dBである。
次に、タイプD、E、FおよびGの4つのタイプの送信フィルタについてシミュレーションした。表5は、タイプDからGの各共振器にける共振領域50に対する温度補償膜28の面積比A1/A0を示している。
Figure 2014030136
表5に示すように、タイプDは、比較例であり、全ての共振器の面積比A1/A0が1である。タイプEは、直列共振器の面積比A1/A0が1であり、並列共振器の面積比A1/A0は、全て1以下であり、かつ並列共振器毎に面積比A1/A0が異なる。タイプFおよびGは、直列共振器および並列共振器の面積比A1/A0は、全て1以下であり、かつ直列共振器内で面積比A1/A0が異なり、並列共振器内で面積比A1/A0が異なる。タイプFは、直列共振器と並列共振器とで面積比A1/A0がほぼ同じである。タイプGは、直列共振器と並列共振器とで面積比A1/A0が異なる。
表6は、積層膜18の各膜の材料と各タイプにおける膜厚を示す表である。
Figure 2014030136
表6に示すように、共振周波数を所望の値とするため、上部電極16の上層16b、温度補償膜28、圧電膜14、下部電極12の上層12bおよび下層12aの膜厚を変えている。タイプEは、並列共振器の面積比A1/A0を1より小さくしたため、質量負荷膜20の膜厚をタイプDより厚くしている。タイプFは、直列共振器と並列共振器の面積比A1/A0がほぼ同じであるため、質量負荷膜20の膜厚はタイプDと同じである。タイプGにおいては、直列共振器と並列共振器との共振周波数の差を面積比A1/A0の差により形成できるため質量負荷膜20を用いていない。
図13(a)は、送信フィルタの通過特性を示す図、図13(b)は、通過特性の送信帯域近傍の拡大図、図13(c)は、送信帯域近傍のアンテナからの信号のリターンロスを示す図である。図13(a)から図13(c)において、タイプDを点線、タイプEを破線、タイプFを一点鎖線、タイプGを実線で示している。図13(a)および図13(b)に示すように、タイプDに比べ、タイプE、F、Gにおいて送信帯域中央のマッチングが改善している。また、タイプF、Gにおいて送信帯域の低周波数側のマッチングが改善している。タイプDに比べタイプE、FおよびGにおいて送信帯域中央の損失が改善している。さらに、タイプGにおいて送信帯域の低周波数側の損失が改善している。
図14(a)から図14(d)は、それぞれタイプD、E、FおよびGにおける各温度での通過特性を示す図である。図14(a)から図14(d)において、点線、破線および実線はそれぞれ−20℃、25℃および85℃における通過特性を示している。図14(a)から図14(d)を参照し、ガードバンド側の1915MHzにおける−25℃と85℃の損失の差は、タイプD、E、FおよびGにおいてそれぞれ0.44dB、0.37dB、0.38dBおよび0.45dBである。このように、タイプDに比べタイプEおよびFでは、温度特性が改善している。
実施例5によれば、弾性波デバイスが面積比A1/A0が1より小さく0より大きい範囲で異なる複数の圧電薄膜共振器を備える。これにより、共振器毎に共振特性と温度特性とを制御することができる。よって、弾性波デバイスの電気的特性と温度特性とを向上させることができる。
実施例5の送信フィルタ60および受信フィルタ62のように、面積比A1/A0が1より小さく0より大きい範囲で異なる複数の圧電薄膜共振器を備える。例えば、少なくとも2つの圧電薄膜共振器において、面積比A1/A0を1より小さく0より大きい範囲で異ならせてもよい。これにより、送信フィルタ60および受信フィルタ62の通過帯域内の損失および温度特性を改善することができる。
また、送信フィルタ60および受信フィルタ62の少なくとも一方がラダー型フィルタの場合、直列共振器および並列共振器が面積比A1/A0が1より小さく0より大きい範囲で異なる複数の圧電薄膜共振器を備えてもよい。また、直列共振器の面積比A1/A0を1とし、複数の並列共振器内で面積比A1/A0を1より小さく0より大きい範囲で異ならせてもよい。並列共振器の面積比A1/A0を1とし、複数の直列共振器内で面積比A1/A0を1より小さく0より大きい範囲で異ならせてもよい。複数の直列共振器内で面積比A1/A0を1より小さく0より大きい範囲で異ならせ、かつ複数の並列共振器内で面積比A1/A0を1より小さく0より大きい範囲で異ならせてもよい。
例えば、受信フィルタ62および送信フィルタ60のガードバンド側のスカート特性は温度変化が少ないことが好ましい。例えば、バンド25(送信帯域が1850MHzから1915MHz、受信帯域が1930MHzから1995MHz)のように、ガードバンドが狭い場合、スカート特性の温度変化が小さいことが好ましい。よって、受信フィルタ62と送信フィルタ60とのうち通過帯域の高い方のフィルタは、並列共振器の面積比A1/A0を大きくすることが好ましい。受信フィルタ62と送信フィルタ60とのうち通過帯域の低い方のフィルタは、直列共振器の面積比A1/A0を大きくすることが好ましい。さらに、通過帯域幅を広くするためには、実効的電気機械結合係数が大きい方が好ましい。よって、通過帯域の高い方のフィルタの直列共振器の面積比を小さくすることが好ましい。通過帯域の低い方のフィルタの並列共振器の面積比を小さくすることが好ましい。
さらに、タイプC、FおよびGのように、直列共振器と並列共振器との両方の共振器の面積比A1/A0を1より小さくしてもよい。
さらに、直列共振器と並列共振器との面積比A1/A0の差により、直列共振器と並列共振器と共振周波数の差を形成することができる。これにより、質量負荷膜20を省略することができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電膜
16 上部電極
26a、26b 導電膜
28 温度補償膜
30 空隙
31 音響反射膜
50 共振領域

Claims (13)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた圧電膜と、
    前記圧電膜を挟んで対向した下部電極および上部電極と、
    前記圧電膜の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数の弾性定数を有する温度補償膜と、
    前記温度補償膜の上面および下面にそれぞれ形成され、互いに電気的に短絡した複数の導電膜と、
    を具備し、
    前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する共振領域における前記温度補償膜の面積は、前記共振領域の面積とは異なる圧電薄膜共振器を備える弾性波デバイス。
  2. 前記下部電極および前記上部電極の少なくとも一方は前記導電膜を含むことを特徴とする請求項1記載の弾性波デバイス。
  3. 前記温度補償膜は、酸化シリコンまたは窒化シリコンを主成分とすることを特徴とする請求項1または2記載の弾性波デバイス。
  4. 前記温度補償膜は、酸化シリコンを主成分とし、F、H、CH、CH、Cl、C,N、PおよびSのいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2記載の弾性波デバイス。
  5. 前記圧電膜は、窒化アルミニウムを主成分とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  6. 前記共振領域において、前記基板と前記下部電極との間に空隙が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  7. 前記共振領域において、前記下部電極下に前記圧電膜を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜を具備することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  8. 前記温度補償膜の側面は上面の幅が下面より小さいテーパを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  9. 前記共振領域に対し、前記共振領域における前記温度補償膜の面積比が異なる複数の前記圧電薄膜共振器を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  10. 前記複数の圧電薄膜共振器を含むフィルタを備えることを特徴とする請求項9記載の弾性波デバイス。
  11. 前記フィルタはラダー型フィルタであり、複数の前記圧電薄膜共振器は直接共振器と並列共振器とを含むことを特徴とする請求項10記載の弾性波デバイス。
  12. 前記直列共振器と前記並列共振器との前記面積比の差により、前記直列共振器と前記並列共振器との共振周波数の差を形成することを特徴とする請求項11記載の弾性波デバイス。
  13. 前記フィルタを含むデュプレクサを備えることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
JP2012170269A 2012-02-14 2012-07-31 弾性波デバイス Pending JP2014030136A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012170269A JP2014030136A (ja) 2012-07-31 2012-07-31 弾性波デバイス
US13/734,188 US8941286B2 (en) 2012-02-14 2013-01-04 Acoustic wave device
SG2013005616A SG193077A1 (en) 2012-02-14 2013-01-23 Acoustic wave device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012170269A JP2014030136A (ja) 2012-07-31 2012-07-31 弾性波デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014030136A true JP2014030136A (ja) 2014-02-13

Family

ID=50202436

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012170269A Pending JP2014030136A (ja) 2012-02-14 2012-07-31 弾性波デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014030136A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016507939A (ja) * 2012-12-21 2016-03-10 エプコス アクチエンゲゼルシャフトEpcos Ag 窒化アルミニウム及びスカンジウムを有したmems部品、及びmems部品の製造方法
JP2016076798A (ja) * 2014-10-03 2016-05-12 太陽誘電株式会社 弾性波デバイス
JP2018007242A (ja) * 2016-07-07 2018-01-11 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. 弾性波フィルタ装置及びその製造方法
US10079334B2 (en) 2012-12-21 2018-09-18 Snaptrack, Inc. BAW component and method for manufacturing a BAW component
CN111490748A (zh) * 2020-02-28 2020-08-04 武汉大学 一种薄膜体声波谐振器
CN114112102A (zh) * 2021-11-24 2022-03-01 之江实验室 一种具有线性输出特性的声表面波温度传感器及制备方法
JP2023504309A (ja) * 2020-02-19 2023-02-02 見聞録(浙江)半導体有限公司 電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセス

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016507939A (ja) * 2012-12-21 2016-03-10 エプコス アクチエンゲゼルシャフトEpcos Ag 窒化アルミニウム及びスカンジウムを有したmems部品、及びmems部品の製造方法
US10079334B2 (en) 2012-12-21 2018-09-18 Snaptrack, Inc. BAW component and method for manufacturing a BAW component
US10097152B2 (en) 2012-12-21 2018-10-09 Snaptrack, Inc. MEMS component having AlN and Sc and method for manufacturing a MEMS component
JP2016076798A (ja) * 2014-10-03 2016-05-12 太陽誘電株式会社 弾性波デバイス
US10700664B2 (en) 2014-10-03 2020-06-30 Taiyo Yuden Co., Ltd. Acoustic wave device
JP2018007242A (ja) * 2016-07-07 2018-01-11 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. 弾性波フィルタ装置及びその製造方法
JP7036487B2 (ja) 2016-07-07 2022-03-15 サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド. 弾性波フィルタ装置及びその製造方法
JP2023504309A (ja) * 2020-02-19 2023-02-02 見聞録(浙江)半導体有限公司 電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセス
JP7256929B2 (ja) 2020-02-19 2023-04-12 見聞録(浙江)半導体有限公司 電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセス
CN111490748A (zh) * 2020-02-28 2020-08-04 武汉大学 一种薄膜体声波谐振器
CN111490748B (zh) * 2020-02-28 2024-06-04 武汉敏声新技术有限公司 一种薄膜体声波谐振器
CN114112102A (zh) * 2021-11-24 2022-03-01 之江实验室 一种具有线性输出特性的声表面波温度传感器及制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6302263B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
US8941286B2 (en) Acoustic wave device
JP6325799B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
JP6510987B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
US10469051B2 (en) Acoustic wave filter and duplexer
US20130033337A1 (en) Acoustic wave filter
JP6556099B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
KR100771345B1 (ko) 압전 박막 공진자 및 필터
JP6573853B2 (ja) 弾性波デバイスおよびその製造方法
JP6333540B2 (ja) 圧電薄膜共振子、フィルタ、及び分波器
JP2014030136A (ja) 弾性波デバイス
US8749320B2 (en) Acoustic wave device and method for manufacturing the same
JP2014161001A (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
JP2018182463A (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
JP6185292B2 (ja) 弾性波デバイス
JP6423782B2 (ja) 圧電薄膜共振器およびフィルタ
JP6325798B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
JP6556173B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
JP6368298B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
JP2018125696A (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
JP6469601B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
JP2013168748A (ja) 弾性波デバイス
JP6302437B2 (ja) 弾性波フィルタ、分波器、及びモジュール
JP2018207376A (ja) 弾性波デバイス
US10554196B2 (en) Acoustic wave device