JP2014028506A - ボード用シートおよびそれを用いたホワイトボード - Google Patents

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Abstract

【課題】筆記面の略全面に凹凸がほぼ均一に形成され、筆先が滑りにくく筆記が容易であるとともに光の映り込みやまぶしさ等を生じにくい上、前記凹凸が微細で目立ちにくいため筆記や投影した画像が見やすく、字消しが容易で生産性や凹凸の耐久性にも優れており、なおかつ下地の印刷が見やすいホワイトボードを構成するためのボード用シートと、前記ボード用シートによって筆記面を構成したホワイトボードを提供する。
【解決手段】ボード用シート1は、少なくとも白シートを含む基材2の表面に、互いに物性の異なる2種以上の架橋性の樹脂分を含む塗剤を塗布し、乾燥させ、さらに架橋反応させることにより、前記樹脂分が塗剤の乾燥に伴って相分離して表面が凹凸状とされた樹脂層3を形成し、前記樹脂層の凹凸状の表面を筆記面4とした。ホワイトボードは、前記ボード用シート1によって筆記面を構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホワイトボードの、繰り返し筆記および字消しが可能な筆記面を構成するためのボード用シートと、前記ボード用シートによって筆記面を構成したホワイトボードに関するものである。
繰り返し筆記および字消しが可能な黒板に代わる筆記媒体として、ホワイトボードが広く普及している。また近年、前記筆記面がプロジェクタ、オーバーヘッドプロジェクタ、スライド等の投影面を兼ねるホワイトボード(反射型スクリーンボード)等も普及しつつある。
前記ホワイトボードの筆記面に筆記をするためには、例えば着色剤は含むが定着剤は含まないインクを用いたフェルトペン、いわゆるホワイトボードマーカペンが用いられる。またホワイトボードの筆記面は、前記インクが浸透しない非吸収性の面とされる。そのため筆記後に、例えばフェルト製のイレーザを用いて筆記面のインクを拭き取ることにより、簡単に字消しをすることができる。
前記インクの拭き取りを容易にするため、筆記面は従来、できるだけ平坦面とするのが好ましいと考えられてきた(例えば特許文献1等)。
しかし平坦面では、前記ホワイトボードマーカペンを用いて筆記をする際にペン先が滑って筆記しにくい場合があった。
また前記平坦な筆記面に、例えば室内の照明器具の光や、あるいは窓から差し込んだ外光等が映り込んで筆記が見にくくなったり、プロジェクタ等の光が筆記面で反射することによりまぶしさを感じて筆記や投影した画像が見にくくなったりしやすいという問題もあった。この問題は、筆記面を直接に見た場合だけでなく、例えば前記筆記面を撮影した画像においても同様に発生していた。
そこで、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製の基材の、ホワイトボードの筆記面となる表面の略全面に硬化性樹脂を塗布し、半硬化反応させたのちエンボス加工することで、前記筆記面に微細な凹凸を形成することが提案されている(例えば特許文献2、3等)。
しかしエンボス加工によって形成される凹凸のパターンの、前記筆記面の面方向の大きさはおよそ300μm程度と大きいため、前記凹凸が目立って、筆記や投影した画像が見にくくなりやすいという問題がある。
また前記凹凸は、エンボス加工時の加工性を考慮して、前記のように半硬化状態の硬化性樹脂によって形成されているため耐久性が十分でなく、繰り返し筆記や字消しをすることにより、比較的短期間で失われてしまいやすいという問題がある。
エンボス加工後の硬化性樹脂をさらに硬化反応させて凹凸の耐久性を向上させることも考えられるが、その場合には1つのホワイトボードに対して硬化反応を2回、またはそれ以上の回数、繰り返すことになるため、ホワイトボードの製造工程数、製造に要するエネルギー、および時間が増加して、生産性が大きく低下するという問題がある。
特にホワイトボードの筆記面は大面積であるため、当該筆記面のもとになる基材の表面の略全面に塗布した硬化性樹脂を、例えば加熱したり紫外線を照射したりして硬化反応させるためには大掛かりな装置を要する。そのため、かかる大掛かりな装置を用いた硬化反応を2回以上繰り返し行わなければならないことは、過大なエネルギーの消費に繋がることになる。
また、エンボス加工によって形成した凹凸が、2回目以降の硬化反応時の熱等によって不規則に変形して、筆記面の略全面で均一な凹凸を維持することができずに不均一化するおそれもある。
そして凹凸が不均一化すると、前記筆記面に、筆先が滑り易い部分と滑りにくい部分とが混在することになって、局部的に筆記がしにくくなるという問題を生じる上、光の映りこみやまぶしさ等を抑制する効果も不均一になる。
また凹凸を形成した筆記面は、平滑な筆記面に比べてインクの濡れ性、親和性が高くなる傾向があるが、前記のように凹凸が不均一化すると、局部的に前記濡れ性、親和性が高くなりすぎたり、あるいはインクが凹部に入り込んだりして字消しが容易でなくなる領域が生じるおそれもある。
また特許文献3には、シルクスクリーン法やエッチング法によって、筆記面に凹凸を形成することも提案されている。しかし、これらの方法によって形成される凹凸の、前記筆記面の面方向の大きさは、やはり300μm程度と大きいため、前記凹凸が目立って、筆記や投影した画像が見にくくなりやすいという問題がある。
特許文献4には、透明の薄いプラスチックシートからなる本体シートの、ホワイトボードの筆記面となる表面の略全面をサンドブラスト等によって粗面加工したのち、前記表面を、ホワイトボードマーカペンのインクの滲み込みを防止して簡単に字消しできるようにするために、ハードコート樹脂でコーティングすることが記載されている。
しかし、前記粗面加工をした表面上に、前記の効果を得るために必要な厚みを有するハードコート樹脂を被覆した場合、当該被覆の表面である筆記面において、例えば特許文献4の図3に記載されているように下地の微細な凹凸を忠実に再現することは実質的に困難であり、前記筆記面は凹凸が殆ど失われてしまって、ほぼ平滑な面にごく僅かに凹凸が残留している程度に過ぎなくなる(特許文献4の段落[0009])。
これは、サンドブラスト等によって粗面加工された表面の凹凸が、前記ハードコート樹脂による被覆の厚みに比べてごく微細であって、その上に塗布されたハードコート樹脂によって殆どが埋められてしまうためである。
そして、下地の凹凸が失われて筆記面がほぼ平滑な面になった場合には、前述したペン先の滑りや光の映り込み、まぶしさ等の問題を生じやすくなる。
基材の、ホワイトボードの筆記面となる表面の略全面に、微小な粒子を分散させた硬化性樹脂の塗料を塗布し、硬化反応させることで、前記筆記面に、前記粒子に基づく微細な凸部を形成することが提案されている(例えば特許文献3、5等)。
しかし前記微小な粒子からなる凸部を、前記のように大面積であるボードの筆記面の略全面にわたって均一に分布させることは容易でなく、前記凸部の分布には偏りを生じやすい。
そして凸部の分布に偏りを生じると、前記筆記面に、筆先が滑り易い部分と滑りにくい部分とが混在することになって、局部的に筆記がしにくくなるという問題を生じる上、光の映りこみやまぶしさ等を抑制する効果も不均一になる。また、局部的にインクの濡れ性、親和性が高くなりすぎたり、あるいはインクが凹部に入り込んだりして字消しが容易でなくなる領域を生じるおそれもある。
またホワイトボードの筆記面には、例えば罫線、会社名、表題等を印刷する場合があるが、例えば基材の、筆記面のもとになる表面に、任意の印刷法によって前記印刷をした上に、前記のように微小な粒子を分散させた硬化性樹脂の塗料を塗布し、硬化反応させて凸部を形成した場合には、その下の印刷が前記微小な粒子によって邪魔されて見にくくなるという問題がある。
特開平10−76791号公報 特開昭63−1509098号公報 実公平7−37912号公報 特開平10−250286号公報 特開2007−331231号公報
本発明の目的は、筆記面の略全面に凹凸がほぼ均一に形成されているため、筆先が滑りにくく筆記が容易であるとともに光の映り込みやまぶしさ等の問題を生じにくい上、前記凹凸が微細で目立ちにくいため筆記や投影した画像が見やすく、また字消しが容易で、しかも生産性や前記凹凸の耐久性にも優れており、なおかつ下地の印刷が見やすいホワイトボードを構成するためのボード用シートと、前記ボード用シートによって筆記面を構成したホワイトボードを提供することにある。
本発明は、繰り返し筆記および字消しが可能な筆記面を備えたホワイトボードの、前記筆記面を構成するためのボード用シートであって、
少なくとも白シートを含む基材、および
前記基材の表面に、互いに物性の異なる2種以上の架橋性の樹脂分を含む塗剤を塗布したのち乾燥させ、架橋反応させることによって形成され、前記2種以上の樹脂分が塗剤の乾燥に伴って相分離することで表面が凹凸状とされた樹脂層
を備え、前記樹脂層の凹凸状とされた表面が筆記面とされていることを特徴とするものである。
本発明によれば、前記基材の表面に形成された樹脂層の表面、すなわち筆記面の略全面を、前記樹脂層のもとになる塗剤中に含まれる、互いに物性の異なる2種以上の樹脂分の、塗剤の乾燥に伴う相分離によって、微細でかつほぼ均一な凹凸状とすることができる。
すなわち乾燥工程において、塗剤の乾燥と、それによる樹脂分の濃度の上昇にともなって、それまで混在していた2種以上の樹脂分が、互いの物性の差にもとづいて互いに相分離し、同種同士が集まろうとする結果、架橋前の樹脂層中に不均一な内部応力が発生して、その表面、すなわち筆記面に微細な凹凸が形成される。
そのため、前記筆記面における筆先の滑りを、前記凹凸によって、その略全面に亘って確実に防止することができ、筆記を容易にすることができる。
また前記均一な凹凸によって、筆記面の略全面で、室内の照明器具の光や窓から差し込んだ外光等を乱反射させて映り込みを防止したり、プロジェクタ等の光が筆記面で反射することによるまぶしさを感じにくくしたりすることができ、当該凹凸を、例えば塗剤の乾燥条件等を調整することにより、エンボス加工等によるものに比べて微細で目立ちにくくできることと相まって、筆記や投影した画像を見やすくすることもできる。
また、局部的にインクの濡れ性、親和性が高くなりすぎて字消しがしにくい部分が生じるのを防止して、前記筆記面の略全面で字消しを容易にすることもできる。
また前記樹脂層とその表面(筆記面)の凹凸は、ともに前記塗剤を塗布して乾燥後、あるいは乾燥と同時に、1回の架橋反応によって形成されるため、本発明のボード用シートは生産性にも優れている。
また前記樹脂層とその表面(筆記面)の凹凸は、前記2種以上の架橋性の樹脂分と、さらに必要に応じてその架橋剤との架橋物のみによって一体に形成されているため耐久性に優れている上、当該樹脂分、および架橋剤として架橋物が透明になるものを選択的に用いることにより、その透明性を高めて、下地の印刷を見やすくすることもできる。
前記2種以上の樹脂分は、溶解性パラメータ(SP値)、ガラス転移温度Tg、表面張力、および数平均分子量からなる群より選ばれた少なくとも1種の物性が互いに異なっているのが好ましい。
このうちSP値の異なる2種以上の樹脂分は、前記塗剤の乾燥と、それによる樹脂分の濃度の上昇にともない、前記SP値の差に基づいて互いに相分離する。
またガラス転移温度Tgが異なる2種以上の樹脂分は、例えば一方の樹脂分のガラス転移温度Tgを、塗剤を塗布する際の環境温度より低く、他方の樹脂分のガラス転移温度Tgを、前記環境温度より高く設定することにより、後者の樹脂分が、乾燥途上の塗剤中で分子運動が抑制されたガラス状態を呈することによって凝集し、それによって前記2種以上の樹脂分が互いに相分離する。
また表面張力の異なる2種以上の樹脂分は、前記塗剤の乾燥と、それによる樹脂分の濃度の上昇にともなって表面張力の高い方の樹脂分が優先的に凝集し、それによって前記2種以上の樹脂分が互いに相分離する。
さらに数平均分子量の異なる2種以上の樹脂分は、前記塗剤の乾燥と、それによる樹脂分の濃度の上昇に伴って数平均分子量の大きい方の樹脂分が先に塗剤中から析出して凝集し、それによって前記2種以上の樹脂分が互いに相分離する。
特に前記物性としてSP値が互いに異なる2種以上の樹脂分を併用するのが好ましい。
具体的には、互いにSP値の異なるシリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体、および(メタ)アクリル共重合体の2種、または互いに溶解性パラメータの異なる、不飽和二重結合含有(メタ)アクリル共重合体、多官能性不飽和二重結合含有成分、およびポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートの3種が好ましい。
特に前者の、シリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体と(メタ)アクリル共重合体の2種の樹脂分の架橋物からなる樹脂層は表面エネルギーが小さいため、当該樹脂層の表面(筆記面)に生成される凹凸によって濡れ性、親和性が過度に上昇するのを抑制して、フェルト等のイレーザによる字消しをさらに容易にすることができる。
前記筆記面、すなわち樹脂層の凹凸状とされた表面は、さらに低屈折率層によって被覆されているのが好ましい。これにより前記筆記面での光の反射、およびそれによる映り込みやまぶしさ等をさらに有効に抑制して、筆記や投影した画像をより一層見やすくすることができる。
また前記筆記面は、さらに防汚性樹脂層によって被覆されているのが好ましい。これにより前記凹凸状とされた筆記面の、インクに対する濡れ性、親和性が上昇するのを抑制し、イレーザによる字消しをさらに容易にすることができる。
前記筆記面は、その平滑度が王研式平滑度で表して1200秒以上、2000秒以下であるのが好ましい。
王研式平滑度が1200秒未満である平滑度の低い、すなわち凹凸の大きい筆記面ではインクの濡れ性、親和性が高くなりすぎたり、あるいはインクが凹部に入り込んだりして字消しが容易でなくなるおそれがある。また前記樹脂層の下の印刷が、前記凹凸によって邪魔されて見にくくなるおそれもある。
一方、王研式平滑度が2000秒を超える平滑度の高い、すなわち凹凸の小さい筆記面では、ペン先が滑って筆記しにくくなるおそれがある。
これに対し、筆記面の王研式平滑度を1200秒以上、2000秒以下の範囲内とすることにより、良好な筆記性を維持しながら、できるだけ字消しをしやすく、かつ樹脂層の下の印刷を見やすくすることができる。
なお王研式平滑度を前記範囲内に調整するためには、例えば基材の表面に、樹脂層のもとになる塗剤を塗布したのち乾燥させる際の乾燥条件(温度、時間等)を違えたり、前記塗剤中に配合する2種以上の樹脂分、架橋剤、および溶媒の種類、組み合わせ、配合割合等を違えたりすればよい。
また前記筆記面は、日本工業規格JIS K6768:1999「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」所載の方法に則って測定される濡れ張力が28mN/m以上、45mN/m以下であるのが好ましい。
濡れ張力が28mN/m未満である筆記面はインクの濡れ性が低すぎて、前記インクのはじき等を生じやすいため、筆記しにくくなるおそれがある。
一方、濡れ張力が45mN/mを超える筆記面はインクの濡れ性が高すぎて、字消しが容易でなくなるおそれがある。
なお濡れ張力を前記範囲内に調整するためには、前記王研式平滑度の調整と同様の処理で筆記面の凹凸の大きさを調整したり、前記筆記面を形成する材料を違えたりすればよい。
ちなみに特許文献1には、平滑な筆記面の濡れ張力を、32〜48mN/mの範囲内とすることが記載されている。
しかし、かかる平滑な筆記面では、たとえ濡れ張力を前記範囲内に調整したとしても、先に説明したようにペン先が滑って筆記しにくくなったり、光が映り込んで筆記が見にくくなったり、プロジェクタ等の光が筆記面で反射することによりまぶしさを感じて筆記や投影した画像が見にくくなったりしやすいといった問題を解消することはできない。
また特許文献3には、先に説明したようにエンボス加工、シルクスクリーン法、エッチング法、あるいは粒子の分散によって凹凸面とした筆記面の濡れ張力を、38〜56mN/mとすることが記載されている。
しかし、たとえ濡れ張力を前記範囲内に調整したとしても、やはり前記各法によって形成される凹凸面が抱える、先に説明した種々の問題を解消することはできない。
前記基材は、片面がインクジェット印刷可能な印刷面とされた前記白シート、および印刷後の前記印刷面を被覆する透明シートを備えており、前記被覆後の透明シート上に、前記樹脂層が形成されているのが好ましい。
かかる構成では、前記白シートの片面に、インクジェット印刷によってオンデマンドで任意の印刷をすることができ、前述した罫線、会社名、表題等の異なるホワイトボードの特注や多品種少量生産に柔軟に対応することができる。
また前記印刷を、樹脂層の形成時には透明シートによって保護することができ、前記樹脂層の形成後は、当該樹脂層と前記透明シートとによって保護することができる。
しかも、前記のように樹脂分等として架橋物が透明であるものを選択的に用いたり、前記樹脂分を用いて形成される樹脂層の王研式平滑度を1200秒以上としたりすることにより、その透明性を高めて下地の印刷を見やすくすることもできる。
本発明は、前記本発明のボード用シートによって筆記面が構成されていることを特徴とするホワイトボードである。
本発明によれば、前記の各効果に優れたホワイトボードを得ることが可能となる。
本発明によれば、筆記面の略全面に凹凸がほぼ均一に形成されているため、筆先が滑りにくく筆記が容易であるとともに光の映り込みやまぶしさ等の問題を生じにくい上、前記凹凸が微細で目立ちにくいため筆記や投影した画像が見やすく、また字消しが容易で、しかも生産性や前記凹凸の耐久性にも優れており、なおかつ下地の印刷が見やすいホワイトボードを構成するためのボード用シートと、前記ボード用シートによって筆記面を構成したホワイトボードを提供することができる。
本発明のボード用シートの、実施の形態の一例の層構成を示す、一部を拡大した断面図である。 本発明のボード用シートの、実施の形態の他の例の層構成を示す、一部を拡大した断面図である。 本発明のボード用シートの、実施の形態の他の例の層構成を示す、一部を拡大した断面図である。 本発明のボード用シートの、実施の形態のさらに他の例の層構成を示す、一部を拡大した断面図である。
図1は、本発明のボード用シートの、実施の形態の一例の層構成を示す、一部を拡大した断面図である。
図1を参照して、この例のボード用シート1は、基材としての白シート2と、当該白シート2の、図において上側の表面に形成された樹脂層3とを備えており、前記樹脂層3の白シート2側と反対側(図において上側)の露出した表面が、ホワイトボードマーカペン等によって繰り返し筆記および字消しが可能な筆記面4とされている。
前記のうち白シート2としては、例えば任意の樹脂製で、かつ白色のシート等が挙げられる。特に寸法安定性や強度等を考慮すると、PET製の白シートや、白く見える不連続アルミ蒸着をしたPETシート等が好ましい。
ホワイトボードは、前記ボード用シート1のみで構成してもよいし、前記白シート2の、図において下側の表面に、裏打ち層、補強層等の任意の層(いずれも図示せず)を積層して構成してもよい。
このうちPET等の比較的薄い柔軟なシートを用いたボード用シート1のみからなる単層構造のホワイトボードや、あるいは前記柔軟なボード用シート1に柔軟な裏打ち層等を積層した積層構造のホワイトボードは、いわゆるスクリーン状として、ロール状に巻き付けて収納したりすることができる。本発明のボード用シート1を用いて構成するホワイトボードには、次に説明する剛直な、いわゆるボード状のものだけでなく、かかるスクリーン状のものも含むこととする。
一方、PET等の比較的厚い剛直なシートを用いたボード用シート1のみからなる単層構造のホワイトボードや、あるいはボード用シート1に剛直な補強層を積層した積層構造のホワイトボードは、本来のホワイトボードとして、金属製の枠体からなる支持架等と組み合わせて使用可能である。
また、前記ボード用シート1を用いて構成するホワイトボードとしては、前記ホワイトボードの筆記面4が、プロジェクタ、オーバーヘッドプロジェクタ、スライド等の投影面を兼ねる反射型スクリーンボード等も挙げられる。
前記裏打ち層、補強層は、任意の材料によって形成することができる。
樹脂層3は、互いに物性の異なる2種以上の架橋性の樹脂分を含む塗剤を塗布したのち乾燥させ、架橋反応させることによって形成され、前記2種以上の樹脂分が塗剤の乾燥に伴って相分離することで表面、すなわち筆記面4が凹凸状とされている。
すなわち乾燥工程において、塗剤の乾燥と、それによる樹脂分の濃度の上昇にともなって、互いに物性の異なる2種以上の樹脂分が互いに相分離し、同種同士が集まろうとする結果、架橋前の樹脂層3中に不均一な内部応力が発生して、前記筆記面4に微細な凹凸が形成される。
凹凸の大きさは、筆記面4の平滑度を規定する王研式平滑度で表して1200秒以上、2000秒以下であるのが好ましい。
王研式平滑度が1200秒未満である平滑度の低い、すなわち凹凸の大きい筆記面4ではインクの濡れ性、親和性が高くなりすぎたり、あるいはインクが凹部に入り込んだりして字消しが容易でなくなるおそれがある。また前記樹脂層3の下に印刷をする場合には、当該印刷が、前記凹凸によって邪魔されて見にくくなるおそれもある。
一方、王研式平滑度が2000秒を超える平滑度の高い、すなわち凹凸の小さい筆記面4では、ペン先が滑って筆記しにくくなるおそれがある。
これに対し、筆記面4の王研式平滑度を1200秒以上、2000秒以下の範囲内とすることにより、良好な筆記性を維持しながら、できるだけ字消しをしやすく、かつ樹脂層3の下の印刷を見やすくすることができる。
なお王研式平滑度を前記範囲内に調整するためには、例えば基材としての白シート2の表面に、樹脂層3のもとになる塗剤を塗布したのち乾燥させる際の乾燥条件(温度、時間等)を違えたり、前記塗剤中に配合する2種以上の樹脂分、架橋剤、および溶媒の種類、組み合わせ、配合割合等を違えたりすればよい。
例えば同じ塗剤を使用して乾燥条件のみを調整する場合は、乾燥の温度が高いほど、また時間が長いほど、その熱で凹凸がなだらかになる、すなわち筆記面4の平滑度が高くなる傾向がある。
なお王研式平滑度とは、紙などの試料の、表面の平滑性を規定するための指標となる単位であって、詳細には、「ベックの平滑度について」〔山本、海田、岩崎、紙パ技協誌第20巻第2号(第179号)、紙パルプ技術協会、昭和41年2月発行〕に記載されている圧力降下式平滑度測定器を用いて測定された平滑度を指す。試料表面の平滑性が高いほど数値は高くなり、平滑性が低いほど数値は低くなる。
前記圧力降下式平滑度測定器としては、例えば旭精工(株)製の王研式透気度 平滑度試験機KY6等を用いることができる。
また前記凹凸を有する筆記面4は、日本工業規格JIS K6768:1999「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」所載の方法に則って測定される濡れ張力が28mN/m以上、45mN/m以下であるのが好ましい。
濡れ張力が28mN/m未満である筆記面4はインクの濡れ性が低すぎて、前記インクのはじき等を生じやすいため、筆記しにくくなるおそれがある。
一方、濡れ張力が45mN/mを超える筆記面4はインクの濡れ性が高すぎて、字消しが容易でなくなるおそれがある。
なお濡れ張力を前記範囲内に調整するためには、前記王研式平滑度の調整と同様の処理で筆記面4の凹凸の大きさを調整したり、前記筆記面4を形成する材料を違えたりすればよい。
具体的には、例えば樹脂層3を形成する樹脂分として、表面エネルギーの小さい材料を用いるほど、筆記面4の濡れ張力を小さくし、逆に表面エネルギーの大きい材料を用いるほど、前記筆記面4の濡れ張力を大きくすることができる。
また、後述するように樹脂層3の上に低屈折率層5や防汚性樹脂層6を被覆する場合は、これらの層を形成する材料として、表面エネルギーの小さい材料を用いるほど、筆記面4の濡れ張力を小さくし、逆に表面エネルギーの大きい材料を用いるほど、前記筆記面4の濡れ張力を大きくすることができる。
また、例えば樹脂層3上に、一般に当該樹脂層3を形成する樹脂分よりも表面エネルギーが小さい防汚性樹脂からなる防汚性樹脂層6を被覆する場合は、それによって筆記面4の濡れ張力を小さくすることができる。また前記防汚性樹脂層6の厚みを大きくするほど、筆記面4の濡れ張力を小さくし、逆に厚みを小さくするほど、前記筆記面4の濡れ張力を大きくすることができる。これは、防汚性樹脂層6の厚みを小さくするほど、樹脂層3の表面を完全に被覆しきれずに下地としての樹脂層3の影響が出やすい傾向があるためである。
なお防汚性樹脂層6の厚みを、樹脂層3の凹凸が埋まるほど大きくすると、筆記面4の濡れ張力は、防汚性樹脂本来の濡れ張力となって、それ以上は変化しなくなるが、その場合には、樹脂層3に凹凸を設けることによる本発明の効果が得られなくなる。低屈折率層5についても同様である。したがってこれらの層の厚みは、言うまでもないが、筆記面4の凹凸が埋まってしまわない範囲に設定しなければならない。
前記凹凸を形成するべく、2種以上の樹脂分を相分離させるために互いに異ならせる樹脂分の物性としては、SP値、ガラス転移温度Tg、表面張力、および数平均分子量からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
このうちSP値が異なる2種以上の樹脂分は、前記塗剤の乾燥と、それによる樹脂分の濃度の上昇にともない、前記SP値の差に基づいて互いに相分離する。
周知のようにSP値は溶解性の尺度となるものであって、前記SP値が大きいほど極性が高く、逆に小さいほど極性が低いことを示す。
樹脂分のSP値δは、SUH, CLARKE [J. Polym. Sci. A-1, Vol.5, 1671-1681 (1967)] の濁点滴定法に基づいて、下記式(1):
Figure 2014028506
によって求めることができる。
すなわち、SP値を求める樹脂分0.5gをビーカ等に秤量し、前記樹脂分の良溶媒として、例えばテトラヒドロフラン(THF)10mlを加えて前記樹脂分を溶解して溶液を調製する。
次いで、前記溶液を液温20℃に保持してかく拌しながら、ビュレット等を用いて、前記樹脂分の貧溶媒として、例えばn−ヘキサンを徐々に滴下した際に、前記溶液に濁りが生じた点(濁点)での前記n−ヘキサンの滴下量vh(ml)を求め、前記滴下量vh(ml)とTHFの量vt(=10ml)とから、前記濁点におけるn−ヘキサン、およびTHFの体積分率φh1、φt1を求める。
そして前記体積分率φh1、φt1と、n−ヘキサン、およびTHFのSP値δh、δt、ならびに分子容Vh、Vt(ml/mol)から、下記式により、前記式(1)中のV
mh、δmhを求める。
Vmh=(Vh・Vt)/(φh1・Vt+φt1・Vh)
δmh=φh1・δh+φt1・δt
また前記n−ヘキサンに代えて、当該n−ヘキサンとはSP値の異なる貧溶媒として、例えばイオン交換水を用いたこと以外は前記と同様にして、濁点での前記イオン交換水の滴下量vd(ml)を求め、前記滴下量vd(ml)と、THFの量vt(=10ml)とから、前記濁点におけるイオン交換水、およびTHFの体積分率φd2、φt2を求める。
そして前記体積分率φd2、φt2と、イオン交換水、およびTHFのSP値δd、δt、ならびに分子容Vd、Vt(ml/mol)から、下記式により、前記式(1)中のV
md、δmdを求める。
Vmd=(Vd・Vt)/(φd2・Vt+φt2・Vd)
δmd=φd2・δd+φt2・δt
そして前記Vmh、δmh、Vmd、およびδmdを前記式(1)に代入すると、樹脂分
のSP値δを求めることができる。
樹脂層3の表面を凹凸状に形成するために併用する2種以上の樹脂分におけるSP値の差は、0.5以上であるのが好ましい。これにより、先のメカニズムによって、前記2種以上の樹脂分を良好に相分離させて、樹脂層3の表面を凹凸状とすることができる。
なおSP値の差は、2種以上の樹脂分をより一層良好に相分離させることを考慮すると、前記範囲内でも0.8以上であるのが好ましい。
ただしSP値の差が大きすぎる場合には、2種以上の樹脂分の親和性が極端に低下して、各樹脂分が完全に分離してしまい、一体的で耐久性に優れた樹脂層3を形成できなくなるおそれがある。そのため、前記SP値の差は15以下、特に3.6以下であるのが好ましい。
なお、前記SP値の差は、いずれか一方の樹脂分が2種以上の樹脂分の混合物である場合、各樹脂分のSP値の加重平均値を当該一方の樹脂分のSP値として求めて、かかるSP値と、組み合わせる他方の樹脂分のSP値との差が前記範囲内となるように設定するのが好ましい。
前記樹脂分としては、組成や分子量等を容易に変更でき、それによってSP値を比較的簡単に調整できる上、特に下地の印刷を見やすくするために透明性に優れた樹脂層3を形成できる(メタ)アクリル系樹脂(モノマ、オリゴマ、ポリマ等)が好ましい。
前記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば(メタ)アクリル共重合体、不飽和二重結合含有(メタ)アクリル共重合体、シリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体、不飽和二重結合含有シリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体、ポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート等の1種または2種以上が挙げられる。
また(メタ)アクリル系樹脂としては、2官能以上の多官能の不飽和二重結合含有モノマや、そのオリゴマ、ポリマ等の多官能性不飽和二重結合含有成分の1種または2種以上も挙げられる。かかる多官能性飽和二重結合含有成分は、先の共重合体などの架橋剤として機能する。
これら(メタ)アクリル系樹脂のうちSP値の異なる(好ましくはSP値の差が前記範囲内である)2種以上の(メタ)アクリル系樹脂を、樹脂分として併用することにより、塗剤の乾燥時に当該2種以上の樹脂分を良好に相分離させて、樹脂層3の表面を凹凸状とすることができる。
SP値の異なる2種以上の樹脂分の好適な組み合わせとしては、
(1) シリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体、および(メタ)アクリル共重合体
の2種、または
(2) 不飽和二重結合含有(メタ)アクリル共重合体、多官能性不飽和二重結合含有成分
、およびポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートの3種
のいずれかが好ましい。
特に前記(1)の、シリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体、および(メタ)アク
リル共重合体の2種の樹脂分の架橋物からなる樹脂層3は、前者のシリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体中に含まれるシリコーンブロックの作用によって表面エネルギーが小さいため、前記表面に生成される凹凸によってインクに対する濡れ性、親和性が過度に上昇するのを抑制して、フェルト等のイレーザによる字消しをさらに容易にできるという利点がある。
前記(1)の2種の樹脂分のうちシリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体としては、例えばアゾ基含有ポリシロキサン化合物の存在下、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマを、例えば過酸化物系重合開始剤の作用によって重合反応させて、前記ポリシロキサン鎖(シリコーンブロック)の一端または両端に(メタ)アクリルブロックを連結した構造を有する種々のブロック共重合体が挙げられる。
かかるブロック共重合体は、主鎖中にシリコーンブロックを導入した前記ブロック構造を有することにより、SP値が10.5以上とされる。
また、前記シリコーン(メタ)アクリル系ブロック共重合体と併用する(メタ)アクリル共重合体としては、例えばイソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸等の(メタ)アクリル系モノマを、例えば過酸化物系重合開始剤の作用によってランダムに共重合反応させて合成されたもの等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル共重合体は、そのもとになる前記(メタ)アクリル系モノマの種類、組み合わせ、および割合を変化させることにより、SP値を10以下とすることができる。
前記2種の樹脂分を、例えばメラミン硬化剤等の熱硬化剤、パラトルエンスルホン酸等の熱硬化触媒、および溶媒と混合して、熱架橋性の塗剤を調製することができる。
そして前記塗剤を、基材としての白シート2の、図1において上側の表面に塗布したのち乾燥させると、前記2種の樹脂分が互いのSP値の差に基づいて相分離して、架橋前の樹脂層3の表面が凹凸状とされ、当該凹凸が、その後の加熱による前記2種の樹脂分の架橋によって固定されて、表面が凹凸状とされた樹脂層3が形成される。
前記溶媒としては、前記各成分を良好に溶解または分散させることができる任意の溶媒がいずれも使用可能であるが、前記2種の樹脂分の、SP値の差による相分離を阻害しないために、SP値が小さい方の樹脂分とSP値が近い、好ましくはその差が±2以下、特に±1以下であるものが好適に使用される。
かかる溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;アニソール、フェネトールプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒等の1種または2種以上が挙げられる。
また前記塗剤に、例えばパーフルオロアルキル基含有オリゴマ等の、樹脂分と共架橋して、前記樹脂分からなる樹脂層3の屈折率を低下させる成分を配合してもよい。
前記各成分の配合割合は、先に説明したように樹脂層3の表面に形成する凹凸の大きさを調整したり、架橋度や屈折率を調整したり、さらには塗剤の粘度や流動性等を調整したりするために、適宜設定することができる。
前記(2)の3種の樹脂分のうち不飽和二重結合含有(メタ)アクリル共重合体としては
、例えばイソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸等の(メタ)アクリル系モノマを、例えば過酸化物系重合開始剤の作用によってランダムに共重合反応させ、次いでテトラブチルアンモニウムブロマイド、ハイドロキノン等で前処理をしたのち、グリシジルメタクリレート等を付加反応させて不飽和二重結合を導入したもの等が挙げられる。
前記不飽和二重結合含有(メタ)アクリル共重合体は、そのもとになる前記(メタ)アクリル系モノマの種類、組み合わせ、および割合を変化させることにより、SP値を10前後とすることができる。
また、多官能性不飽和二重結合含有成分としては、前記不飽和二重結合含有(メタ)アクリル共重合体、およびポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートと共重合可能な官能基を2以上有する多官能のモノマや、そのオリゴマ、ポリマ等が挙げられる。
前記多官能のモノマとしては、例えばペンタエリスリトールのトリあるいはテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのペンタあるいはヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ナノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の1種または2種以上が挙げられる。
これら多官能性不飽和二重結合含有成分のSP値は、通常11以上である。
さらにポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の混合物を、重合禁止剤の存在下、触媒の作用によって反応させて合成された、両末端にアクリレート基を有するポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記ポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリエーテル骨格を含むことにより、SP値が10.5以上とされる。
前記3種の樹脂分を、光重合開始剤、および溶媒と混合して、光架橋性の塗剤を調製することができる。
そして前記塗剤を、基材としての白シート2の、図1において上側の表面に塗布したのち乾燥させると、前記3種の樹脂分が互いのSP値の差に基づいて相分離して、架橋前の樹脂層3の表面が凹凸状とされ、当該凹凸が、その後の紫外線等の光照射による前記3種の樹脂分の架橋によって固定されて、表面が凹凸状とされた樹脂層3が形成される。
前記溶媒としては、前記各成分を良好に溶解または分散させることができる任意の溶媒がいずれも使用可能である。具体例としては、前記例示の各種溶媒が挙げられる。
前記各成分の配合割合は、先に説明したように樹脂層3の表面に形成する凹凸の大きさを調整したり、架橋度を調整したり、さらには塗剤の粘度や流動性等を調整したりするために、適宜設定することができる。
2種以上の樹脂分を相分離させるために互いに異ならせる物性がガラス転移温度Tgである場合は、例えば一方の樹脂分のガラス転移温度Tgを、塗剤を塗布する際の環境温度より低く、他方の樹脂分のガラス転移温度Tgを、前記環境温度より高く設定することにより、後者の樹脂分が、乾燥途上の塗剤中で分子運動が抑制されたガラス状態を呈することによって凝集し、それによって前記2種以上の樹脂分が互いに相分離する。
各樹脂分のガラス転移温度Tgの範囲は特に限定されないが、例えば塗布時の環境温度が20℃以上、特に40℃以上で、かつ150℃以下、特に120℃以下である場合、一方の樹脂分のガラス転移温度Tgを−70℃以上、特に−60℃以上で、かつ120℃以下、特に80℃とするとともに、他方の樹脂分のガラス転移温度Tgを90℃以上、特に100℃以上で、かつ200℃以下、特に150℃以下とし、なおかつ両樹脂分のガラス転移温度Tgの差を30℃以上、特に50℃以上で、かつ100℃以下に設定するのが好ましい。
なお樹脂分のガラス転移温度Tgは、例えば(株)オリエンテック製のレオバイブロン RHEO2000、3000等を用いて、通常の動的粘弾性によるTgの測定方法と同様の方法でもって測定することができる。
前記ガラス転移温度Tgの異なる2種以上の樹脂分としては、前記例示の(メタ)アクリル系樹脂(モノマ、オリゴマ、ポリマ等)の中から、ガラス転移温度Tgが前記範囲内となるものを選択し、組み合わせて使用すればよい。
2種以上の樹脂分を相分離させるために互いに異ならせる物性が表面張力である場合は、塗剤の乾燥と、それによる樹脂分の濃度の上昇にともなって表面張力の高い方の樹脂分が優先的に凝集し、それによって前記2種以上の樹脂分が互いに相分離する。
各樹脂分の表面張力の範囲は特に限定されないが、2種以上の樹脂分の表面張力の差を1mN/m以上、特に5mN/m以上で、かつ70mN/m以下、特に30mN/m以下に設定するのが好ましい。
なお樹脂分の表面張力は、例えばビックケミー・ジャパン(株)製のダイノメータを用いて、輪環法によって測定した静的表面張力でもって表すこととする。
前記表面張力の異なる2種以上の樹脂分としては、前記例示の(メタ)アクリル系樹脂(モノマ、オリゴマ、ポリマ等)の中から、表面張力の差が前記範囲内となるものを選択し、組み合わせて使用すればよい。
2種以上の樹脂分を相分離させるために互いに異ならせる物性が数平均分子量である場合は、塗剤の乾燥と、それによる樹脂分の濃度の上昇に伴って数平均分子量の大きい方の樹脂分が先に塗剤中から析出して凝集し、それによって前記2種以上の樹脂分が互いに相分離する。
各樹脂分の数平均分子量の範囲は特に限定されないが、2種以上の樹脂分の数平均分子量の差を3000以上、特に5000以上で、かつ10万以下、特に5万以下に設定するのが好ましい。
なお樹脂分の数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ:ポリスチレン換算)測定によって得られた結果から求めた値でもって表すこととする。
図2は、本発明のボード用シートの、実施の形態の他の例の層構成を示す、一部を拡大した断面図である。
図2を参照して、この例のボード用シート1は、前記樹脂層3の露出した表面が、前記のメカニズムによって凹凸状とされているとともに、当該表面が、さらに前記樹脂層3よりも屈折率の小さい低屈折率層5によって被覆されて、当該低屈折率層5の、前記樹脂層3側と反対側(図において上側)の露出した表面が筆記面4とされている点が、先の図1の例と相違している。
その他の構成は図1の例と同様であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
前記低屈折率層5を設けることにより、筆記面4での光の反射、およびそれによる映り込みやまぶしさ等をさらに有効に抑制して、筆記や投影した画像をより一層見やすくすることができる。
低屈折率層5の屈折率は樹脂層3より小さければよいが、前記効果をより一層効果的に得ることを考慮すると、前記屈折率は1.35以上、中でも1.36以上、特に1.38以上で、かつ1.39以下であるのが好ましい。
また低屈折率層5は、厚みが0.05μm以上、特に0.1μm以上で、かつ2μm以下、中でも1μm以下、特に0.3μm以下であるのが好ましい。厚みが前記範囲未満では、低屈折率層5を設けることによる前記効果が十分に得られないおそれがある。一方、前記範囲を超える場合には、樹脂層3の表面の凹凸が、低屈折率層5によって埋められて筆記面4がほぼ平滑な面になってしまって、ペン先の滑りや光の映り込み、まぶしさ等の問題を生じやすくなるおそれがある。
また、低屈折率層5のもとになる塗剤を樹脂層3の表面に塗布したのち乾燥させ、さらに硬化または架橋反応させて前記低屈折率層5を形成するのに要するエネルギーが増加して、ボード用シートの生産性が低下するおそれもある。
低屈折率層5は、例えばメチルペンテン樹脂、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂、フッ素含有樹脂等の低屈折率樹脂によって形成することができる。特にフッ素含有樹脂が好ましい。
前記フッ素含有樹脂からなる低屈折率層5は、フッ素原子と、熱や光等によって反応する官能基を有し、加熱や紫外線等の光照射によって硬化または架橋して前記フッ素含有樹脂を生成する前駆体(モノマ、オリゴマ等)を用いて形成することができる。すなわち、前記前駆体を含む液状の塗剤を、例えばスプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、フローコート法等の任意の塗布方法によって前記樹脂層3の表面に塗布したのち加熱または光照射により硬化または架橋反応させてフッ素含有樹脂を生成させるとともに、低屈折率層5を形成することができる。
前記前駆体のうち熱硬化性のものとしては、例えばフッ素含有モノマを含む熱硬化性樹脂、例えば構成モノマとしてポリオール成分の一部または全部をフッ素含有物(特にジオール)としたフッ素含有エポキシ樹脂、ポリオールおよび/またはポリカルボン酸成分の一部または全部をフッ素含有物としたフッ素含有不飽和ポリエステル樹脂、ポリオールおよび/またはポリイソシアネート成分の一部または全部をフッ素含有物としたフッ素含有ウレタン樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
前記熱硬化性の前駆体に、さらに必要に応じて溶媒等を配合して塗剤が調製される。
また前駆体のうち光架橋性のものとしては、例えば(メタ)アクリル酸のフッ化アルキルエステル等のフッ素含有(メタ)アクリル系モノマ、フルオロオレフィン類等のビニル系モノマ、1−フルオロ−2−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチレン等のフッ化アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、あるいはこれらのオリゴマ、ポリマ等の1種または2種以上が挙げられる。
前記前駆体に、さらに光重合開始剤、溶媒等を配合して塗剤が調製される。
低屈折率層5のもとになる前記塗剤の具体例としては、例えばJSR(株)製のTT1006A、DIC(株)製のディフェンサTR−330等が挙げられる。
前記低屈折率層5の表面である筆記面4の平滑度は、王研式平滑度で表して1200秒以上、2000秒以下であるのが好ましい。この理由は先に説明したとおりである。
また前記筆記面4の濡れ張力は、28mN/m以上、45mN/m以下であるのが好ましい。この理由も先に説明したとおりである。
図3は、本発明のボード用シートの、実施の形態の他の例の層構成を示す、一部を拡大した断面図である。
図3を参照して、この例のボード用シート1は、前記樹脂層3の露出した表面が、前記のメカニズムによって凹凸状とされているとともに、当該表面が、さらに防汚性樹脂層6によって被覆されて、当該防汚性樹脂層6の、前記樹脂層3側と反対側(図において上側)の露出した表面が筆記面4とされている点が、先の図1の例と相違している。
その他の構成は図1の例と同様であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
前記防汚性樹脂層6を設けることにより、筆記面4の、インクに対する濡れ性、親和性が上昇するのを抑制し、イレーザによる字消しをさらに容易にすることができる。
防汚性樹脂層6の厚みは0.5μm以上であるのが好ましく、5μm以下であるのが好ましい。厚みが前記範囲未満では、防汚性樹脂層6を設けることによる前記効果が十分に得られないおそれがある。一方、前記範囲を超える場合には、樹脂層3の表面の凹凸が、防汚性樹脂層6によって埋められて筆記面4がほぼ平滑な面になってしまって、ペン先の滑りや光の映り込み、まぶしさ等の問題を生じやすくなるおそれがある。
また、防汚性樹脂層6のもとになる塗剤を樹脂層3の表面に塗布したのち乾燥させ、さらに硬化反応させて前記低屈折率層5を形成するのに要するエネルギーが増加して、ボード用シートの生産性が低下するおそれもある。
防汚性樹脂層6は、例えばフッ素系またはシリコーン系のマクロモノマを共重合させたアクリル樹脂等の、表面エネルギーが小さいため、ホワイトボードマーカーペン用のインク中に含まれる着色剤に対する離型性に優れた種々の樹脂によって形成することができる。
特に防汚性樹脂層6の、樹脂層3に対する密着性を向上することを考慮すると、当該防汚性樹脂層6を形成する防汚性の樹脂としては、前記樹脂層3を形成する相分離する少なくとも1種の樹脂と同一または同系の、あるいは互いに相溶性を有する樹脂が好ましい。
防汚性樹脂層6は、前記防汚性の樹脂、またはその前駆体(モノマ、オリゴマ等)を含む塗剤を、例えばスプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、フローコート法等の任意の塗布方法によって前記樹脂層3の表面に塗布したのち、前記塗剤を固化させて形成することができる。
なお前記「固化」には、単に塗剤を乾燥して固化させるだけのものから、例えば紫外線を照射したり加熱したりして硬化または架橋反応させるものまでをも含む。すなわち防汚性を有し、かつ任意の溶剤に可溶性もしくは分散性を有する樹脂を前記溶剤とともに含む塗剤を調整し、当該塗剤を、前記任意の塗布方法によって樹脂層3の表面に塗布したのち、乾燥させて塗剤中の溶剤を除去することにより、固形分としての前記樹脂からなる防汚性樹脂層6を形成することができる。
また、硬化性もしくは架橋性の樹脂やその前駆体を含む塗剤を樹脂層3の表面に塗布したのち、乾燥により塗剤中の溶剤を除去するとともに、紫外線を照射したり加熱したりして前記樹脂やその前駆体を硬化または架橋反応させることにより、前記防汚性樹脂層6を形成することができる。なお溶剤を含まない塗剤を用いることもでき、その場合は乾燥工程を省略できる。
前記防汚性樹脂層6の表面である筆記面4の平滑度は、王研式平滑度で表して1200秒以上、2000秒以下であるのが好ましい。この理由は先に説明したとおりである。
また前記筆記面4の濡れ張力は、28mN/m以上、45mN/m以下であるのが好ましい。この理由も先に説明したとおりである。
図4は、本発明のボード用シートの、実施の形態のさらに他の例の層構成を示す、一部を拡大した断面図である。
図4を参照して、この例のボード用シート1は、基材が、図において上側の面をインクジェット印刷可能な印刷面7とした白シート8、および印刷後の前記印刷面7を、接着剤層9を介して被覆する透明シート10を備えているとともに、前記被覆後の透明シート10上に樹脂層3が形成されている点が、先の図1の例と相違している。
樹脂層3自体は図1の例と同様に構成され、その露出した表面が、前記のメカニズムによって凹凸状とされて筆記面4とされている。当該筆記面4の平滑度は、王研式平滑度で表して1200秒以上、2000秒以下であるのが好ましい。この理由は先に説明したとおりである。また筆記面4の濡れ張力は、28mN/m以上、45mN/m以下であるのが好ましい。この理由も先に説明したとおりである。
前記のうち白シート8としては、例えばPET等からなる基材の、図において上側の面に、水性のインクジェットインクに対する受容性を有する白色の受容層が形成されて前記印刷面7とされたものや、あるいは少なくとも前記印刷面7が、非水性のインクジェットインクによってインクジェット印刷が可能な白色の塩化ビニル系樹脂によって形成されたもの等が挙げられる。
このうち後者の白シート8は、層構成を簡略化してボード用シート1の生産性を向上し、製造コストを引き下げること等を考慮すると、その全体が白色の塩化ビニル系樹脂によって一体に形成されているのが好ましい。
透明シート10としては、例えば任意の樹脂製で、かつ透明のシート等が挙げられる。特に寸法安定性や強度等を考慮すると、PET製の透明シート等が好ましい。
また接着剤層9を形成する接着剤は、前記白シート8と透明シート10とを良好に接着できるとともに、印刷面7上の印刷11を、筆記面4側から樹脂層3、透明シート10、および接着剤層9を通して良好に視認できるようにするため、できるだけ透明性が高いことが求められる。このことは、樹脂層3、透明シート10についても同様である。
前記ボード用シート1は、例えば透明シート10の片面に樹脂層3を形成したものと、あらかじめ印刷面7にインクジェット印刷をした白シート8とを、接着剤層9を介して互いに接着する等して構成される。
なお本発明は、以上で説明した各図の例には限定されない。
例えば図2の例のボード用シート1の、樹脂層3の表面を被覆する低屈折率層5の表面に、さらに図3の例の防汚性樹脂層6を形成して、その表面を筆記面4としてもよい。
また、例えば図4の例のボード用シート1の、樹脂層3の表面に、図2の例の低屈折率層5、および図3の例の防汚性樹脂層6のうちの少なくとも一方を形成して、その表面を筆記面4としてもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意の変更を施すことができる。
〈合成例1〉
シリコーンアクリルブロック共重合体の合成
アゾ基含有ポリシロキサン化合物〔和光純薬工業(株)製のVPS−1001N、ポリシロキサン鎖の分子量10,000、固形分50%〕243.9質量部に、シクロヘキシルメタクリレート144.0質量部、スチレン43.7質量部、ヒドロキシルエチルメタクリレート52.3質量部、および酢酸ブチル343.3質量部からなる混合物を配合し、混合して原料溶液を調製した。
また撹拌装置、窒素導入管、冷却管、加熱・温度調節装置、および滴下漏斗を備えた反応容器中に酢酸ブチル270.0質量部を仕込み、前記窒素導入管から窒素を連続的に導入し続ける窒素雰囲気下で攪拌装置を用いて連続的に撹拌しながら、液温を120℃に昇温した。
次いで前記窒素雰囲気下、液温を120℃に維持して攪拌を続けながら、先の原料溶液の全量を、前記滴下漏斗を用いて、3時間かけて等速で滴下した後、さらに120℃で30分間攪拌を続けて反応させた。
次いで前記窒素雰囲気下、液温を120℃に維持してさらに攪拌を続けながら、前記反応系に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.60質量部を含む酢酸ブチル溶液15.0質量部の全量を、前記滴下漏斗を用いて、30分間かけて等速で滴下した後、さらに120℃で1時間攪拌を続けて反応させることでシリコーンアクリルブロック共重合体を合成した。
前記シリコーンアクリルブロック共重合体は、数平均分子量:34,000、重量平均分子量:125,000、SP値:10.8、ガラス転移温度Tg:69℃、表面張力:16dyn/cmであった。
〈合成例2〉
アクリル共重合体の合成
イソボロニルメタクリレート280.8質量部、メチルメタクリレート4.2質量部、メタクリル酸15.0質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル340.0質量部を混合して原料溶液を調製した。
また撹拌装置、窒素導入管、冷却管、加熱・温度調節装置、および滴下漏斗を備えた反応容器中にプロピレングリコールモノメチルエーテル200質量部を仕込み、前記窒素導入管から窒素を連続的に導入し続ける窒素雰囲気下で攪拌装置を用いて連続的に撹拌しながら、液温を110℃に昇温した。
次いで前記窒素雰囲気下、液温を110℃に維持して攪拌を続けながら、先の原料溶液の全量を、前記滴下漏斗を用いて、3時間かけて等速で滴下した後、さらに110℃で30分間攪拌を続けて反応させた。
次いで前記窒素雰囲気下、液温を110℃に維持して攪拌を続けながら、前記反応系に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3.0質量部を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液120質量部の全量を、前記滴下漏斗を用いて、30分間かけて等速で滴下した後、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3質量部を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液25.5質量部の全量を、前記滴下漏斗を用いて、30分間滴下して反応させることでアクリル共重合体を合成した。
前記アクリル共重合体は、数平均分子量:6,400、重量平均分子量:14,800、SP値:9.9、ガラス転移温度Tg:113℃、表面張力:29dyn/cmであった。
〈合成例3〉
不飽和二重結合含有アクリル共重合体の合成
撹拌装置、窒素導入管、冷却管、加熱・温度調節装置、および2つの滴下漏斗を備えた反応容器中にプロピレングリコールモノメチルエーテル190質量部を仕込み、前記窒素導入管から窒素を連続的に導入し続ける窒素雰囲気下で攪拌装置を用いて連続的に撹拌しながら、液温を100℃に昇温した。
次いで前記窒素雰囲気下、液温を100℃に維持して攪拌を続けながら、イソボルニルメタクリレート187質量部、メチルメタクリレート3質量部、メタクリル酸10質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル200質量部からなる重合性モノマ混合溶液の全量と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル80質量部からなる重合開始剤溶液の全量を、それぞれ前記2つの滴下漏斗を用いて、同時に、3時間かけて等速で滴下した後、さらに100℃で1時間攪拌を続けて反応させた。
次いで前記窒素雰囲気下、液温を100℃に維持して攪拌を続けながら、前記反応系に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル27質量部からなる後ショット重合開始剤溶液の全量を、先の滴下漏斗を用いて、1時間かけて等速で滴下した。
次いで前記窒素雰囲気下、液温を100℃に維持して攪拌を続けながら、前記反応系に、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.5質量部、ハイドロキノン0.2質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル5質量部の混合溶液の全量を、前記滴下漏斗を用いて加えた。
次いで、窒素雰囲気から空気バブリングに変更し、液温を100℃に維持して攪拌を続けながら、前記反応系に、グリシジルメタクリレート17質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル5質量部からなる溶液の全量を、前記滴下漏斗を用いて1時間かけて滴下し、さらに100℃で5時間攪拌を続けて付加反応させることで不飽和二重結合含有アクリル共重合体を合成した。
前記不飽和二重結合含有アクリル共重合体は、重量平均分子量:17,000、SP値:10.0であった。
〈合成例4〉
ポリエーテル骨格含有ウレタンアクリレートの合成
イソホロンジイソシアネート(IPDI)666質量部、ポリプロピレングリコール(ポリプロピレングリコール1000、キシダ化学(株)製)2000質量部、およびペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(混合重量比60:40)900質量部を反応容器に仕込み、さらに触媒としてジブチルスズジラウレートを1000ppm、重合禁止剤としてハイドロキノンを1000ppm加えるとともに、メチルイソブチルケトン(MIBK)を、固形分濃度が40質量%となるように加えたのち、空気を吹き込みながら液温を80℃に昇温し、前記液温を維持しながら3時間攪拌を続けて反応させることで、両末端にアクリレート基を有するポリエーテル骨格含有ウレタンアクリレートを合成した。
前記ポリエーテル骨格含有ウレタンアクリレートは、重量平均分子量:7,000、SP値:10.8であった。
〈実施例1〉
(樹脂層3用の塗剤Aの調製)
前記合成例1で合成したシリコーンアクリルブロック共重合体(SP値:10.8)32質量部、および合成例2で合成したアクリル共重合体(SP値:9.9)48質量部に、熱硬化剤としてのメラミン硬化剤20質量部、熱硬化触媒としてのパラトルエンスルホン酸6質量部、およびパーフルオロアルキル基含有オリゴマ0.1質量部を加えるとともに、溶媒としてのアニソール(SP値:9.5)を、固形分濃度が23質量%となるように加え、混合して樹脂層3のもとになる塗剤Aを調製した。
(ボード用シート1の製造)
白シート2としての厚み125μmの白PETシートの片面に、前記塗剤Aを、塗布厚みが5μmとなるように塗布し、70℃で1分間加熱して乾燥させたのち、さらに80℃で1分間加熱して架橋反応させて樹脂層3を形成して、図1に示す2層構造のボード用シート1を製造した。
前記樹脂層3の表面である筆記面4の王研式平滑度を、前出の旭精工(株)製の王研式透気度 平滑度試験機KY6を用いて測定したところ1300秒であった。
また前記筆記面4の濡れ張力を、先述した日本工業規格JIS K6768:1999「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」所載の方法に則って測定したところ33mN/mであった。
〈実施例2〉
(樹脂層3用の塗剤Bの調製)
前記合成例3で合成した不飽和二重結合含有アクリル共重合体(SP値:10.0)4質量部、およびメチルイソブチルケトン(SP値:8.3)50質量部を反応容器に仕込み、暗室内で、攪拌しながら下記の各成分を加え、混合して樹脂層3のもとになる塗剤Bを調製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(SP値:12.1):75質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(SP値:12.7):25質量部
合成例4で合成したポリエーテル骨格含有ウレタンアクリレート(SP値:10.8):2質量部
イソプロピルアルコール(SP値:8.5):118質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤):5質量部
α−ヒドロキシ{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル−1−フェニル]}プロパン−1−オン(光重合開始剤):1質量部
(ボード用シート1の製造)
白シート2としての厚み125μmの白PETシートの片面に、前記塗剤Bを、塗布厚みが5μmとなるように塗布し、50℃で1分間加熱して乾燥させたのち、さらに80℃で1分間加熱して架橋反応させて樹脂層3を形成して、図1に示す2層構造のボード用シート1を製造した。
前記樹脂層3の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ1500秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ48mN/mであった。
〈実施例3〉
前記実施例2と同様にして形成した樹脂層3の表面に、さらにJSR(株)製のTT1006Aを、塗布厚みが0.3μmとなるように塗布し、70℃で1分間加熱して乾燥させたのち、さらに80℃で1分間加熱して架橋反応させて低屈折率層5を形成して、図2に示す3層構造のボード用シート1を製造した。
前記低屈折率層5の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ1800秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ43mN/mであった。
〈実施例4〉
前記実施例1と同様にして形成した樹脂層3の表面に、防汚性の樹脂としてのシリコーン含有アクリル系紫外線硬化型樹脂(アクリル樹脂合成時にシリコーン系マクロモノマを配合して合成ポリマ化したもの)を含む塗剤を、塗布厚みが1.0μmとなるように塗布したのち、紫外線を照射して硬化反応させて防汚性樹脂層6を形成して、図3に示す3層構造のボード用シート1を製造した。
前記防汚性樹脂層6の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ1800秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ32mN/mであった。
〈実施例5〉
透明シート10としての厚み125μmの透明PETシートの片面に、前記実施例1で調製したのと同じ塗剤Aを、塗布厚みが5μmとなるように塗布し、70℃で1分間加熱して乾燥させたのち、さらに80℃で1分間加熱して架橋反応させて樹脂層3を形成した。
また白シート8としての白色の塩化ビニル系樹脂シートの印刷面7に、あらかじめ非水性のインクジェットインクによって黒印刷をしたものを用意し、前記白シート8の印刷面7上に、透明な接着剤層9を介して、樹脂層3側を上にして前記透明シート10を貼り合わせて、図4に示す4層構造のボード用シート1を製造した。
前記樹脂層3の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ1300秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ33mN/mであった。
〈実施例6〉
樹脂層3のもとになる塗剤Aの乾燥条件を60℃で1分間としたこと以外は実施例5と同様にして、図4に示す4層構造のボード用シート1を製造した。
前記樹脂層3の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ1200秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ33mN/mであった。
〈実施例7〉
樹脂層3のもとになる塗剤Aの乾燥条件を75℃で1分間としたこと以外は実施例5と同様にして、図4に示す4層構造のボード用シート1を製造した。
前記樹脂層3の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ2000秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ33mN/mであった。
〈実施例8〉
樹脂層3のもとになる塗剤Aの乾燥条件を40℃で1分間としたこと以外は実施例5と同様にして、図4に示す4層構造のボード用シート1を製造した。
前記樹脂層3の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ980秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ33mN/mであった。
〈実施例9〉
樹脂層3のもとになる塗剤Aの乾燥条件を80℃で1分間としたこと以外は実施例5と同様にして、図4に示す4層構造のボード用シート1を製造した。
前記樹脂層3の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ2500秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ33mN/mであった。
〈実施例10〉
前記実施例2と同様にして形成した樹脂層3の表面に、防汚性の樹脂としてのシリコーン含有アクリル系紫外線硬化型樹脂(アクリル樹脂合成時にシリコーン系マクロモノマを配合して合成ポリマ化したもの)を含む塗剤を、塗布厚みが0.3μmとなるように塗布したのち、紫外線を照射して硬化反応させて防汚性樹脂層6を形成して、図3に示す3層構造のボード用シート1を製造した。
前記防汚性樹脂層6の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ1800秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ45mN/mであった。
〈実施例11〉
前記防汚性樹脂層6のもとになる塗剤の塗布厚みを1.2μmとしたこと以外は実施例4と同様にして、図3に示す3層構造のボード用シート1を製造した。
前記防汚性樹脂層6の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ1900秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ28mN/mであった。
〈実施例12〉
前記防汚性樹脂層6のもとになる塗剤の塗布厚みを1.4μmとしたこと以外は実施例4と同様にして、図3に示す3層構造のボード用シート1を製造した。
前記防汚性樹脂層6の表面である筆記面4の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ2000秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ26mN/mであった。
〈比較例1〉
特許文献3に記載の従来のホワイトボードの筆記面を再現することとし、基材として、厚み125μmの白色のPETシートを用意した。
またアクリル系紫外線硬化型樹脂を含み、かつ平均粒径5μmの樹脂粒子を分散させた塗剤Cを用意し、前記塗剤Cを、ロールコート法によって、前記基材の表面の略全面に、塗布厚みが2g/mとなるように塗布し、紫外線を照射して前記樹脂を硬化反応させて、前記樹脂粒子による凸部を有する樹脂層が形成された、従来の筆記面を有するボード用シートを製造した。
前記筆記面の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ750秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ36mN/mであった。
〈比較例2〉
特許文献1に記載の従来のホワイトボードの筆記面を再現することとし、基材として、厚み125μmの白色のPETシートを用意した。
前記基材の表面の略全面に、アクリル系紫外線硬化型樹脂を含む塗剤Dを、スプレーコート法によって、塗布厚みが8g/mとなるように塗布し、紫外線を照射して前記樹脂を半硬化させたのち、エンボスロールを用いて加熱、加圧下でエンボス加工して前記筆記面に微細な凹凸を形成した。
そしてエンボス加工後に、さらに紫外線を照射して樹脂を硬化反応させて、前記エンボス加工による凹凸を有する樹脂層が形成された、従来の筆記面を有するボード用シートを製造した。
前記筆記面の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ600秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ34mN/mであった。
〈比較例3〉
透明シートとしての厚み125μmの透明PETシートの片面に、前記比較例1で調製したのと同じ、樹脂粒子入りの塗剤Cを、塗布厚みが2g/mとなるように塗布し、紫外線を照射して前記樹脂を硬化反応させて、比較例1と同じ、樹脂粒子による凸部を有する樹脂層が設けられた筆記面を形成した。
また実施例4と同様に、白シートとしての白色の塩化ビニル系樹脂シートの印刷面に、あらかじめ非水性のインクジェットインクによって黒印刷をしたものを用意し、前記白シートの印刷面上に、透明な接着剤層を介して、樹脂層側を上にして前記透明シートを貼り合わせて、ボード用シートを製造した。
前記筆記面の王研式平滑度を、実施例1と同様にして測定したところ780秒であった。また前記筆記面4の濡れ張力を、実施例1と同様にして測定したところ36mN/mであった。
〈筆記容易性試験〉
被験者10人に、ホワイトボードマーカペンを用いて、前記各実施例、比較例で製造したボード用シートの筆記面に筆記してもらい、筆記容易性を評価してもらった。そしてその結果から下記の基準で筆記容易性を判定した。
○:10人全員が、いずれも全く問題なく筆記できたと評価した。筆記容易性良好。
△:10人中の1〜2人が、筆記に少々難があり書きづらさを感じるとしたが、他は問題なく筆記できると評価した。筆記容易性通常レベル。
×:10人中少なくとも1人が、筆記に問題があると評価した。筆記容易性不良。
〈字消し容易性試験〉
前記各実施例、比較例で製造したボード用シートの筆記面の略全面に、ホワイトボードマーカペンを用いて筆記して1時間経過後、3時間経過後、および24時間経過後に、それぞれフェルト製のイレーザを用いて字消しした際の字消し容易性を、下記の基準で評価した。
優:全く問題なく消すことができた。
良:優ほどではないがきれいに消すことができた。
可:一部に消しづらい場合があった。
不可:完全には消しづらい場合があった。
そして各実施例、比較例で製造したボード用シートの字消し容易性を、下記表1に示す基準で総合評価した。
Figure 2014028506
〈耐久性試験〉
前記各実施例、比較例で製造したボード用シートの筆記面を、(株)安田精機製作所製のクロックメータに、摩擦子としてフェルトを組み合わせたものを用いて、荷重500g、往復回数10万回の条件でラビングテストした後、前記筆記容易性試験、および字消し容易性試験を再び実施した。
そして筆記容易性、字消し容易性のうちの少なくとも一方の評価が変化したものを耐久性なし(×)、筆記容易性、字消し容易性がいずれも変化しなかったものを耐久性あり(○)として評価した。
〈光の反射試験〉
前記各実施例、比較例で製造したボード用シートの筆記面に、プロジェクタを用いて前面投影した際の、光の反射を観察して、下記の基準で光の反射を評価した。
◎:光の反射は全くなく、まぶしさを感じなかった。
○:光の反射は少々あるが、殆どまぶしさを感じなかった。
△:光の反射があり、まぶしさを感じた。
×:光の反射が目立ち、強いまぶしさを感じた。
(↑↑実施例、比較例に△はありませんが、他の評価とのバランスのため△を設けています。ご確認ください。)
〈印刷視認性試験〉
前記実施例4〜8、および比較例3で製造したボード用シートの筆記面側から、樹脂層、および透明シートを介して、反射濃度計〔グレタグマクベス社製のマクベスRD914〕により、印刷面上の黒印刷の反射濃度を測定し、下記の基準で、印刷の視認性を評価した。
○:反射濃度0.7以上。印刷視認性良好。
△:反射濃度0.5以上、0.7未満。印刷視認性通常レベル。
×:反射濃度0.5未満。印刷視認性不良。
以上の結果を表2〜表4に示す。
Figure 2014028506
Figure 2014028506
Figure 2014028506
表2〜表4の実施例1〜12、比較例1の結果より、従来の、樹脂粒子による凸部を設けたボード用シートは、筆記や字消しの容易性や、あるいは光の反射によるまぶしさを低減する効果が不十分であることが判った。また樹脂粒子が脱落し易く、耐久性も不十分であることが判った。また実施例5〜9、比較例3の結果より、下地の印刷が前記樹脂粒子によって邪魔されて見えにくいことも判った。
また実施例1〜12、比較例2の結果より、従来の、エンボス加工による凹凸を設けたボード用シートは、やはり筆記や字消しの容易性、あるいは光の反射によるまぶしさを低減する効果が不十分であることが判った。
これに対し、実施例1〜12の結果より、樹脂分の層分離による凹凸を設けたボード用シートは、筆記や字消しの容易性に優れ、かつ光の反射によるまぶしさを低減する効果にも優れている上、耐久性にも優れており、しかも下地の印刷を、これまでよりも見え易くできることが判った。
また実施例1〜4の結果より、樹脂層のもとになる塗剤としては、前記ABのいずれを用いても、同様の効果を有する樹脂層が得られること、前記樹脂層上にさらに低屈折率層を形成すると、光の反射によるまぶしさをより一層効果的に低減できること、前記樹脂層上にさらに防汚性樹脂層を形成すると、字消し容易性をより一層向上できることが判った。
また実施例5〜9の結果より、樹脂層の表面である筆記層の王研式平滑度は1200秒以上、2000秒以下であるのが、前記の各特性をさらに向上する上で好ましいことが判った。
また実施例2、10の結果より、樹脂層3を形成する樹脂分よりも表面エネルギーが小さい防汚性樹脂からなる防汚性樹脂層6を被覆することで、筆記面4の濡れ張力を小さくできること、および前記濡れ張力を45mN/m以下とするのが、字消しの容易性を向上する上で好ましいことが判った。
さらに実施例4、11、12の結果より、前記防汚性樹脂層6の厚みを大きくするほど、筆記面4の濡れ張力を小さくできること、および前記濡れ張力を28mN/m以上とするのが、筆記の容易性を向上する上で好ましいことが判った。
1 ボード用シート
2 白シート
3 樹脂層
4 筆記面
5 低屈折率層
6 防汚性樹脂層
7 印刷面
8 白シート
9 接着剤層
10 透明シート
11 印刷

Claims (10)

  1. 繰り返し筆記および字消しが可能な筆記面を備えたホワイトボードの、前記筆記面を構成するためのボード用シートであって、
    少なくとも白シートを含む基材、および
    前記基材の表面に、互いに物性の異なる2種以上の架橋性の樹脂分を含む塗剤を塗布したのち乾燥させ、架橋反応させることによって形成され、前記2種以上の樹脂分が塗剤の乾燥に伴って相分離することで表面が凹凸状とされた樹脂層
    を備え、前記樹脂層の凹凸状とされた表面が筆記面とされていることを特徴とするボード用シート。
  2. 前記2種以上の樹脂分は、溶解性パラメータ、ガラス転移温度、表面張力、および数平均分子量からなる群より選ばれた少なくとも1種の物性が互いに異なっている請求項1に記載のボード用シート。
  3. 前記樹脂分は、互いに溶解性パラメータの異なるシリコーン(メタ)アクリルブロック共重合体、および(メタ)アクリル共重合体の2種である請求項1または2に記載のボード用シート。
  4. 前記樹脂分は、互いに溶解性パラメータの異なる、不飽和二重結合含有(メタ)アクリル共重合体、多官能性不飽和二重結合含有成分、およびポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートの3種である請求項1または2に記載のボード用シート。
  5. 前記筆記面の略全面は、さらに前記樹脂層よりも屈折率の小さい低屈折率層によって被覆されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のボード用シート。
  6. 前記筆記面の略全面は、さらに防汚性樹脂層によって被覆されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のボード用シート。
  7. 前記筆記面は、王研式平滑度が1200秒以上、2000秒以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のボード用シート。
  8. 前記筆記面は、濡れ張力が28mN/m以上、45mN/m以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載のボード用シート。
  9. 前記基材は、片面がインクジェット印刷可能な印刷面とされた前記白シート、および印刷後の前記印刷面を被覆する透明シートを備えており、前記被覆後の透明シート上に、前記樹脂層が形成されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載のボード用シート。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のボード用シートによって筆記面が構成されていることを特徴とするホワイトボード。
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