JP2014024850A - 植物材料から糖成分を製造する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、環境負荷が低い条件で糖類の過分解を防ぎながら、効率的に糖成分を製造することができ、少量の酵素でも十分な糖化が可能な多糖類を得ることができる植物材料から糖成分を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくともリグノセルロースを含む植物材料に、ルイス酸触媒の存在下でマイクロ波を照射することにより、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖類を含む糖成分と、を含む混合物を得る分離工程を含む、植物材料から糖成分を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、環境負荷が低い条件で糖類の過分解を防ぎながら、効率的に糖成分を製造することができ、少量の酵素でも十分な糖化が可能な多糖類を得ることができる植物材料から糖成分を製造する方法に関する。
さらに、本発明は、環境負荷が低い条件で糖類の過分解を防ぎながら、効率的に糖成分を製造することができ、少量の酵素でも十分な糖化が可能な多糖類を得ることができる、植物材料から糖成分を製造する方法、及び、環境負荷が低い条件で糖類の過分解を防ぎながら、効率的に糖成分を製造することができ、分散媒に水を用いることが可能であり、また少量の酵素でも十分な糖化が可能な多糖類を得ることができる、植物材料から糖成分を製造する方法を提供する。
本発明のマイクロ波照射装置は、マイクロ波照射源を含む照射手段と、被照射材料を受容させる容器を備えている。この容器は、被照射材料を容器へ供給する供給手段と被照射材料を容器から排出する排出手段と照射手段から照射されたマイクロ波を誘電性材料を介して容器内へと透過させるマイクロ波受波部とを有している。容器内部と外部雰囲気との間には、非誘電性材料により構成される層が少なくとも1つ配設される。さらに、照射手段と容器とが着脱可能に接続する。
また、本発明のマイクロ波照射装置は、誘電性材料と板状部材とが、容器のマイクロ波受波部の開口方向に積層するものであってもよい。
また、本発明のマイクロ波照射装置は、少なくとも2枚以上の板状部材で前記誘電性材料を挟持するものであってもよい。
また、本発明のマイクロ波照射装置は、誘電性材料は石英ガラス、フッ素樹脂、セラミックス、アルミナ、サファイア及びダイヤモンドからなる群より選ばれた1種若しくは2種以上の物質から構成することができ、並びに/又は非誘電性材料はステンレス、アルミニウム、チタン、ニッケル、金及び銀からなる群より選ばれた1種若しくは2種以上の物質から構成することができる。
また、本発明の連結型マイクロ波照射装置は、本発明のマイクロ波照射装置を2つ以上組み合わせてなるものであって、前記2つ以上のマイクロ波照射装置のうち一のマイクロ波照射装置における排出手段と該マイクロ波照射装置に隣接する他のマイクロ波照射装置における供給手段とが相互に着脱可能な構造を有し、排出手段と供給手段とが連結されたときにそれぞれのマイクロ波照射装置の容器が一体として被照射材料の流路を形成するものである。
さらに、本発明における、植物材料から糖成分を製造する方法は、少なくともリグノセルロースを含む植物材料に、ルイス酸触媒の存在下でマイクロ波を照射することにより、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖類を含む糖成分と、を含む混合物を得る分離工程を含むことにより、糖類の過分解を抑えながら効率的に糖成分を製造することができ、またここで得られた糖成分からは、少量の酵素でも十分な糖化が可能であり、上記の課題を解決することができる。
また、本発明における別の方法では、分離工程において、周波数2000MHz〜6000MHzの波長のマイクロ波を用いる。さらに、別の方法では、1分〜60分の間マイクロ波を照射する。さらに、別の方法では、植物材料が80℃〜240℃となるようにマイクロ波を照射する。これらの条件により、より効率的に糖成分が製造することができる。
また、本発明における別の方法の分離工程においては、植物材料を水に分散させた状態でマイクロ波を照射する。これにより、後処理にかかる手間やコストが削減され、環境負荷も軽減される。
本発明における、植物材料から糖成分を製造する方法は、従来よりも低い反応温度で糖成分の分離が可能であるため、糖類の過分解を抑えながら、効率的に固形状多糖類を含む糖成分を製造することができる。このように糖類の過分解が抑えられることから、発酵を阻害するフルフラール類の生成が低減する。また、本発明による糖成分の製造は、従来法よりも低温で且つ少量の触媒でも進行するため、コスト削減や環境負荷低減を実現することができる。特に、本発明においては、従来法に比べ、針葉樹由来の植物材料からの糖成分の製造を効率的に行うことが可能である。
また、本発明により糖成分を製造する過程で得られるリグニンの分解生成物は芳香族化合物等の有用な化学物質の生産に利用することができる。本発明により得られるリグニンの分解生成物は量、種類ともに従来法よりも多く、化学物質の生産に適している。
また、本発明により製造される糖成分には、固形状多糖類の他に、単糖やオリゴ糖等の低分子の糖類が含まれる場合がある。かかる低分子の糖類も有用な化学物質の生産に利用することができる。以上のように、本発明により、植物材料から多種多様な化学物質を生産することができるため、本発明はバイオリファイナリの実現に寄与することとなる。
さらに、本発明により分離された糖成分のうち、固形状多糖類からは、糖化処理を行うことで、低分子の糖類を得ることができる。特に、セルラーゼを利用した酵素糖化処理では、従来法に比べ、少ない酵素量で十分な糖化が可能である。したがって、製造コストの大幅な削減に繋がり、バイオマス由来の化学物質のより一層の普及が期待される。
実施例1における被照射材料の温度変化を示した図である。 本発明における実施例8及び比較例2の植物材料重量あたりの糖類収率を示した図である。 本発明における実施例9及び比較例3の、ガスクロマトグラフィ質量分析(GCMS)の結果を示した図である。 本発明の実施例1で得られた固形状多糖類に酵素糖化を行った際の糖類収率を示した図である。
近年、地球環境の悪化や化石資源の枯渇の問題が顕在化しており、持続可能な循環型社会のための新たな資源としてバイオマスに注目が集まっている。特に、化学製品やエネルギーを再生可能なバイオマスから得ようとするコンセプトである「バイオリファイナリ」の実現が急務となっている。
現在、バイオマス資源として穀物が用いられているが、コスト高や食糧費高騰等の問題から、大規模な普及には至っていない。そこで、木材や稲藁等、植物材料が含有するリグノセルロースを利用するための研究開発が進められている。リグノセルロースとはセルロース、ヘミセルロース等の多糖類及びリグニンから構成される植物性有機物である。セルロースやヘミセルロース等の多糖類を資源として利用するためには、リグニンによる多糖類への被覆を破壊する等して糖類とリグニンとを分離することが有効である。とりわけ、酵素糖化処理及び発酵等によりリグノセルロースをエタノールなどの有用物質に変換するためには、リグニンによる多糖類への被覆を破壊する前処理が必須である。
リグノセルロース中の糖類とリグニンとの分離による糖成分の製造については、さまざまな方法が開発されている。例えば、銅及び過酸化物を含む水溶液中でリグニンを解重合する方法(特許文献1)、モリブテン酸又は過酸化物を含む水溶液中でリグニンを解重合する方法(特許文献2)、微量のタングステン酸又はモリブデン酸塩触媒を含有する過酸化水素水により木質系バイオマスのリグニンを分解する方法(特許文献3)、古紙等に含まれるリグニンをタングステン酸ソーダ又はモリブデン酸ソーダにより除去し糖化反応を促進させる方法(特許文献4)、有機溶媒とルイス酸との組み合わせにより、脱リグニンを促進させる方法(非特許文献1)等である。
また、外部加熱ではなく、マイクロ波照射を利用した内部加熱を用いて糖成分を製造する方法が開発されている。酢酸水溶液中でマイクロ波照射することで前処理を行う方法(非特許文献2)、酸化剤の存在下でマイクロ波の照射を行うことでリグニンの分離、分解を行う方法(特許文献5)、リグノセルロース物質と蒸解液の混合物にマイクロ波を照射することで、蒸解時の脱リグニン速度を向上させる方法(特許文献6)、マイクロ波処理とアルカリ処理とを組み合わせた方法(非特許文献3)等が開示されている。
先行技術文献
特許文献1:特表2001−515136号公報
特許文献2:特開2001−316994号公報
特許文献3:特開2006−149343号公報
特許文献4:特開2006−88136号公報
特許文献5:特開昭60−88191号公報
特許文献6:特開2004−285531号公報
非特許文献1:青山正和,斉藤直人,関一人,吉田兼之,「含水有機溶媒による木材の脱リグニン」,林産試場報,第5巻第2号,1991年
非特許文献2:真柄謙吾,植木進,東順一,越島哲夫,「リグノセルロースのマイクロ波照射(第9報)」,木材学会誌,第34巻第5号,1988年
非特許文献3:Zhu,S.et al., “Pretreatment by microwave/alkali of rice straw and its enzymic hydrolysis”,Process Biochemistry,40(2005)
次に、発明の概要を述べる。まず、発明が解決しようとする課題について説明する。
しかしながら、マイクロ波の照射や外部加熱を利用した従来法により糖成分を製造すると、糖類とリグニンとの分離が起きる温度領域と、糖類の過分解が起こる温度領域とが近接しているために、前処理に伴い多量の過分解物が生成するという問題があった。また、糖類が過分解すると、糖類から5−ヒドロキシメチルフルフラールやフルフラール等のフルフラール類が生成されるが、これらのフルフラール類は糖類のエタノール発酵を阻害するという問題もあった。したがって、外部加熱を利用した方法では、バイオリファイナリに適していなかった。
さらに、針葉樹のリグニンは難分解性であり、マイクロ波の照射を利用した従来法では、針葉樹のリグニンを十分に分解することができず、得られる糖成分の量が少ないという問題があった(非特許文献4)。一方で、草本や広葉樹材に対しては、従来法では処理温度が200℃を超えることから、エネルギー消費量や糖類の過分解物の生成量が大きいという問題点があった(非特許文献4)。
非特許文献4
真柄謙吾,越島哲夫,「マイクロ波前処理した針葉樹の低酵素感受性」,木材学会誌,第36巻第2号,1990年
以上のように、糖類の過分解を防ぎながら、植物材料から効率的に糖成分を製造する方法の登場が求められていた。
また、バイオエタノール等、バイオマスから得た有用物質は生産コストが高く、これを普及させるためには、コスト削減を図る必要があった。バイオマスからエタノールを得るためには、製造した糖成分に含まれる多糖類に対し、酵素等による糖化処理を施す必要がある。しかし、従来法では、多量の酵素を用いなければ糖類の製造量を確保することができなかった。したがって、糖化処理に使用する酵素の量を抑えることができる方法があれば、大幅なコスト削減が可能となる。
また、リグニン分解工程において、プロパノールやブタノール等の有機物を分散媒に用いた場合には、後処理に多大な労力を要していた。また、リグニン分解工程後に酵素糖化処理を行う場合には、有機物を取り除く必要があった。したがって、分散媒に水を用いる方法が求められていた。
さらに、環境負荷低減のため、低い温度や、硫酸やフェノール等の有害物質を使用しない条件での反応系が求められていた。
すなわち、本発明の目的は、環境負荷が低い条件で糖類の過分解を防ぎながら、効率的に糖成分を製造することができ、少量の酵素でも十分な糖化が可能な多糖類を得ることができる、植物材料から糖成分を製造する方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、環境負荷が低い条件で糖類の過分解を防ぎながら、効率的に糖成分を製造することができ、分散媒に水を用いることが可能であり、また少量の酵素でも十分な糖化が可能な多糖類を得ることができる、植物材料から糖成分を製造する方法を提供することにある。
ここで、発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、少なくともリグノセルロースを含む植物材料に、ルイス酸触媒の存在下でマイクロ波を照射することにより、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖類を含む糖成分と、を含む混合物を得る分離工程を含む、植物材料から糖成分を製造する方法に関する。また、本発明は、少なくともリグノセルロースを含む植物材料に、モリブデン酸イオン、アンモニウムイオン及び過酸化物の存在下でマイクロ波を照射することにより、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖類を含む糖成分と、を含む混合物を得る分離工程を含む、植物材料から糖成分を製造する方法に関する。すなわち、本発明の、植物材料から糖成分を製造する方法は、リグノセルロースにおけるリグニンの低分子化、リグニンと多糖との間の結合の切断、多糖結晶構造の変化、へミセルロースの溶脱、などにより植物材料から糖成分を製造することを特徴とする。
本発明における分離工程においては、リグノセルロースにおけるリグニンの低分子化、リグニンと多糖との間の結合の切断、多糖結晶構造の変化、へミセルロースの溶脱、などにより糖成分とリグニンとが分離される。したがって、本工程によって得られる混合物には、単糖類や、セルロース等の固形状多糖類を含む糖成分と、溶解状態にあるリグニンの分解生成物とが含まれる。そのため、本発明の、植物材料から糖成分を製造する方法は、バイオマスとして利用し得る上記固形状多糖類を上記混合物から抽出する抽出工程をさらに具備していても構わない。
以下、本発明の、植物材料から糖成分を製造する方法の好ましい一実施の形態として、上記のような分離工程及び抽出工程とを含む実施の形態について説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(1)分離工程
本発明の、植物材料から糖成分を製造する方法においては、まず、少なくともリグノセルロースを含む植物材料に、ルイス酸触媒の存在下でマイクロ波を照射することにより、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖を含む糖成分と、を含む混合物を得る。
また、本発明の、植物材料から糖成分を製造する方法においては、まず、少なくともリグノセルロースを含む植物材料に、モリブデン酸イオン、アンモニウムイオン及び過酸化物の存在下でマイクロ波を照射することにより、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖を含む糖成分と、を含む混合物を得る。
本工程において得られる混合物は、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖類を含む糖成分と、を含む。リグニンの分解生成物は、フェノール類等の芳香族化合物が含まれる。また、少なくとも固形状多糖類を含む糖成分には、セルロース、ヘミセルロース等の固形状多糖類の他に、単糖やオリゴ糖等の低分子の糖類が含まれる場合がある。
糖成分に含まれる固形状多糖類は、糖化処理を行うことで低分子の糖類に変換される。さらに発酵等の処理を行うことで、エタノール、メタン、コハク酸、イタコン酸、乳酸等の有用な化学物質を生産することができる。また、糖成分に含まれる低分子の糖類や、リグニンの分解生成物からも、有用な化学物質を生産することも可能である。
本工程におけるマイクロ波の照射は、植物材料を構成する物質内の荷電粒子や電気双極子に振動電磁場の影響を与え、回転または振動させて内部から自己発熱させて加熱するための手段である。外部熱源による加熱と異なり、熱伝導や対流の影響がほとんど無視することができ、迅速かつ均一に植物材料を加熱することができる。
本工程において、マイクロ波とは、電磁波のうち波長の短い部分にあるものをいい、波長約1m以下の電波や遠赤外部に接する1mm以下のサブミリ波も含む。本発明におけるマイクロ波の周波数は、例えば周波数300MHz〜30GHzであればよく、好ましくは周波数2000MHz〜6000MHzである。また、周波数2450MHzのマイクロ波や、周波数5800MHzのマイクロ波がよく用いられる。しかし、本工程において用いられるマイクロ波は、これら周波数帯に限定されるものではなく、それ以外の周波数のものであってもよい。上記のとおり、マイクロ波を物質に照射すると、被照射物質はマイクロ波に応じて振動し、振動により摩擦熱が発生することで物質自体が発熱する。上記範囲であれば本発明の効果を得ることができるが、被照射物質のサイズ等によって最適なマイクロ波の波長及び周波数は変わる場合があるため、植物材料の産地、構造及び種類等並びに前処理方法に応じてマイクロ波の波長及び周波数を最適化すればよい。
本工程において用いる原料である植物材料は、少なくともリグノセルロースを含み、さらにリグニン、セルロース、ヘミセルロース等を含み得る植物由来の材料をいう。植物材料は、例えば木材由来のものや草本由来のもの等が挙げられる。木材由来の植物材料としては、スギ、マツ、ヒノキ、イヌマキ、イヌガヤ、セコイア、アスナロ、イチイなどの針葉樹やイチョウを含む裸子植物、ブナ、ケヤキ、ツバキ、ナラ、サクラ、クスノキ、シイ、カエデ、クリ、ユーカリ、アカシア等の広葉樹を含む被子植物などから得られたものを用いることができる。なお、針葉樹由来の植物材料に含まれるリグインは主にグアイシルリグニンから構成され、一方で、広葉樹由来の植物材料に含まれるリグニンは主にグアイシルリグニンとシリンギルリグニンとから構成される。草本由来の植物材料としては、サトウキビ残渣であるバガスや、稲藁、麦藁、もみ殻等の草本由来のもの等が挙げられる。
本工程において用いる原料である植物材料は、公知の方法を用いて粉末状やチップ状、
フレーク状、繊維状、角材状等に加工したものであってもよい。なかでも、反応の効率化という観点から、粉末状、チップ状、フレーク状、又は繊維状に植物材料を加工したものが好ましい。
植物材料を粒子状に加工した場合、植物材料の粒径は限定されないが、好ましくは、0.1μm〜5mmのものを用いることができる。また、植物材料をチップ状に加工した場合、植物材料の大きさや厚みは限定されないが、好ましくは、大きさは5mm〜50mm、厚みは0.1mm〜5mmのものを用いることができる。
また、糖成分の製造の効率化のため、アルコールとベンゼンとの混合液の還流による脂溶性低分子の除去や、水を混合して加熱することによる水溶性低分子の除去などの前処理による調整を行ったものでもよい。これらの前処理は、糖化処理で高い収率を確保できるのであれば、省略した方が好ましい。前処理後は、植物材料を乾燥させてから本工程に用いてもよく、乾燥させないままで本工程に用いてもよい。
本工程において用いるルイス酸触媒とは、反応する相手から電子対を受容する活性を有する触媒であって、通常の酸性触媒(塩酸、硫酸等の無機酸や酢酸、リン酸等の有機酸)を除くものをいう。ルイス酸触媒としては、金属塩、金属のハロゲン化物や、金属酸化物、カルボン酸塩等を用いることができる。具体的には、フッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硫酸アルミニウム等のアルミニウムの化合物、フッ化銅(I)、フッ化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II),ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、硫酸銅(I)、硫酸銅(II)等の銅の化合物、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)等の鉄の化合物、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛の化合物、フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀等の銀の化合物、フッ化ホウ素、塩化ホウ素等のホウ素の化合物、塩化チタン(IV)等のチタンの化合物、塩化ニッケル等のニッケルの化合物、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム等のスカンジウムの化合物、パラジウムの化合物、バナジウムの化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
なかでも、また廃液処理が容易で環境負荷が低く、また入手にかかるコストが低いという理由から、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、臭化亜鉛及び硫酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種を用いるのが好ましい。
本工程において用いることのできる分散媒としては、例えば水や有機物等を用いることができる。有機物としては、具体的には、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。水や有機物等は単体で用いてもよく、水と有機物とを混合して用いてもよい。水と有機物との混合物を用いる場合には、1体積部の水に対し、0.1体積部〜10体積部の有機物を混合することが好ましい。また、分散媒は酸やアルカリ等を含むものであってもよい。
なかでも、環境に負荷を与えないという観点からは、プロパノールと水との混合物を用いることが好ましい。また、環境負荷低減の観点からは、マイクロ波のエネルギーを、高い効率で熱に変換するものを用いることが好ましい。マイクロ波のエネルギーを熱に変換する効率は、誘電損失を比誘電率で割った値である損失角(タンジェントデルタ)という数値で表される。損失角が大きい有機物としては、エチレングリコール、エタノール、ジメチルスルホキシド、プロパノール、メタノール、ブタノールなどが挙げられ、これらを単体で又は水と混合して用いることで、少ないエネルギーで加熱することができる。
ルイス酸触媒の存在下で植物材料にマイクロ波を照射する際は、例えば、粉末状、チップ状等の植物材料を上記分散媒中に分散させた分散液にマイクロ波を照射することによって、上記植物材料にマイクロ波を照射することができる。ただし、植物材料の一部は分散媒に溶解している場合もある。ルイス酸触媒は、植物材料を分散させる前に予め分散媒に溶解させてもよく、植物材料を分散させた後に分散媒に添加して溶解させてもよい。
上記分散媒中の植物材料の量と分散媒の量との重量比は限定されないが、好ましくは重量比で植物材料:分散媒が1:1〜1:100であり、より好ましくは重量比で植物材料:分散媒が1:5〜1:20である。分散媒の量が少なければ加熱速度が遅く、一方で溶媒の量が多ければ処理が可能な植物材料の量が少なく、製造コストが高くなるためである。
本工程において、ルイス酸触媒の最適な量は植物材料の種類によって異なる。例えば、ブナ由来の植物材料であれば、好ましくは植物材料1gに対し1μmol〜1000μmol、より好ましくは植物材料1gに対し60μmol〜720μmolであり、さらに好ましくは植物材料1gに対し180μmol〜360μmolである。植物材料に対するルイス酸触媒の量が少な過ぎると、糖類とリグニンとの分離の効果を十分に得ることができず、一方、植物材料に対するルイス酸触媒の量が多過ぎると反応後の溶媒の処理が困難になるためである。
本工程により上記分散液中の植物材料にマイクロ波を照射する際には、マイクロ波が分散媒中に分散した植物材料に均一に照射されるように、前記分散液はスターラ等で撹拌されていることが好ましい。
本工程によりマイクロ波の照射を行う際の反応時間は限定されないが、1分〜60分が好ましく。10分〜30分がさらに好ましい。反応が短時間では糖類とリグニンとを十分に分離することができず、一方、長時間の反応では、コストがかかり、また、有用な化学物質をも分解してしまう可能性があるためである。
本工程により糖類とリグニンとの分離を行う際の反応温度は限定されないが、80℃〜240℃に植物材料を加熱することが好ましい。また、150℃〜180℃に植物材料を加熱することがさらに好ましい。反応温度が低いと、糖類とリグニンとを十分に分離することができず、一方で反応温度が高いと、有用な化学物質をも分解してしまうためである。本発明によれば、糖類が過分解しない程度の温度で、糖類とリグニンとを効果的に分離することが可能である。また、本発明による反応においては、急速な加熱により所定の反応温度まで短時間で達することが好ましい。加熱が急速であれば、低い反応温度で生成される副産物が少なくなるためである。
本工程において用いられるモリブデン酸イオンは、モリブデン原子と酸素原子とから構成されるイオンであればよく、具体的には、化学式でMoO 2−、Mo 2−、Mo19 2−、Mo24 6−と表されるものが挙げられる。また、本工程において用いられるアンモニウムイオンは、化学式でNH で表される。
本工程においては、上記モリブデン酸イオン、上記アンモニウムイオン及び過酸化物の存在下でマイクロ波を照射する。上記の両イオンは、モリブデン酸塩及びアンモニウム塩を、後述する分散媒に溶解させることで得ることができる。なかでも、モリブデン酸アンモニウムを溶解させた場合は、上記の両イオンを一度に得ることができるため好ましい。これらの塩は、植物材料を分散させる前に予め分散媒に溶解させてもよく、植物材料を分散させた後に分散媒に添加して溶解させてもよい。
本工程において、過酸化物には、過酸化水素又は過酸化水素の金属塩、ペルオキシド基を持つ有機物等を用いることができる。過酸化水素の金属塩としては、過酸化リチウム、過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム等が挙げられる。過酸化物のなかでも、コストを抑える観点から、過酸化水素を用いることが好ましい。これらの過酸化物は、植物材料を分散させる前に予め分散媒に溶解又は混合させてもよく、植物材料を分散させた後に分散媒に添加して溶解又は混合させてもよい。また、アントラキノン法など公知の方法を用いて、分散媒中で過酸化物を発生させてもよい。
本工程において用いることのできる分散媒としては、例えば水、有機物、又はそれらの混合物を用いることができる。有機物としては、具体的には、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。なかでも、後処理の手間やコストを削減する観点から、分散媒に水を用いることが好ましい。また、分散媒は酸やアルカリ等を含むものであってもよい。
モリブデン酸イオン、アンモニウムイオン及び過酸化物の存在下で植物材料にマイクロ波を照射する際は、例えば、粉末状、チップ状等の植物材料を上記分散媒中に分散させた分散液にマイクロ波を照射することによって、上記植物材料にマイクロ波を照射することができる。ただし、植物材料の一部は分散媒に溶解している場合もある。
本工程において、モリブデン酸イオン、アンモニウムイオン及び過酸化物の最適な濃度は、植物材料の種類によって異なる。モリブデン酸イオン及びアンモニウムイオンの終濃度は、例えばブナ由来の植物材料に対しては、好ましくは0.01mM〜100mMであり、より好ましくは0.1mM〜10mM、さらに好ましくは0.25mM〜5mMである。また、過酸化物の終濃度は、例えばブナ由来の植物材料に対しては、好ましくは0.01M〜10Mであり、より好ましくは0.1M〜1Mである。これらの濃度が低いと、糖類とリグニンとの分離の効果を十分に得ることができず、一方、これらの濃度が高いと反応後の溶媒の処理が困難になるためである。
上記分散媒における植物材料の量と分散媒の量との重量比は限定されないが、好ましくは重量比で植物材料:分散媒が1:1〜1:100であり、より好ましくは重量比で植物材料:分散媒が1:5〜1:20である。分散媒の量が少なければ加熱速度が遅く、一方で分散媒の量が多ければ処理が可能な植物材料の量が少なく、製造コストが高くなるためである。
本工程により上記分散液中の植物材料にマイクロ波を照射する際には、マイクロ波が分散媒中に分散した植物材料に均一に照射されるように、前記分散液はスターラ等で撹拌されていることが好ましい。
本工程によりマイクロ波の照射を行う際の反応時間は限定されないが、1分〜60分が好ましい。また、5分〜30分がより好ましい。反応が短時間では、糖類とリグニンとを十分に分離することができず、一方、長時間の反応では、コストがかかり、また、有用な化学物質をも分解してしまう可能性があるためである。
本工程により糖類とリグニンとの分離を行う際の反応温度は限定されないが、50℃〜240℃に植物材料を加熱することが好ましい。また、80℃〜180℃に植物材料を加熱することがさらに好ましい。反応温度が低いと糖類とリグニンとを十分に分離することができず、一方で反応温度が高いと、有用な化学物質をも分解してしまうためである。本発明によれば、糖類が過分解しない程度の温度で、糖類とリグニンとを効果的に分離することが可能である。また、本発明による反応においては、急速な加熱により所定の反応温度まで短時間で達することが好ましい。加熱が急速であれば、低い反応温度で生成される副産物が少なくなるためである。
(2)抽出工程
また、本発明は、分離工程(1)により得られた混合物から、固形状多糖類を抽出する抽出工程を含みうる。上記のように、分離工程(1)において得られる混合物は、少なくとも、分散媒に溶解したリグニンの分解生成物と、セルロース、ヘミセルロース等からなる固形状多糖類を含む糖成分と、を含む混合物である。本工程により、かかる混合物から、糖化処理に供することのできるセルロース、ヘミセルロース等からなる固形状多糖類を、不溶性画分として抽出することができる。不溶性画分には、固形状多糖類の他に、上記分離工程で分解できなかった残存リグニンが含まれる場合がある。なお、上記混合物に含まれるリグニンの分解生成物や、糖成分に含まれ得る低分子の糖類も、有用な化学物質の生産に用いられる。
本工程では、濾過等の手法を用いて、固形状多糖類を抽出することができる。濾過では、分離工程(1)において得られた混合物を多孔質の濾材に通し、孔を通過できない固形状多糖類を分散媒から抽出する。濾材としては、濾紙、ガラス繊維フィルタ、メンブランフィルタ、濾過板等を用いることができる。
本工程において用いることのできる濾材は、得られる固形状多糖類が確実に捕捉できるような孔径を選択すればよい。例えば1μm〜50μmの粒子を保留するものを用いることができる。また、濾過速度を向上させるため、減圧、加圧、遠心等の圧力をかけて濾過を行ってもよい。
本工程で抽出された固形状多糖類は、糖化処理により低分子の糖に変換することができる。糖化処理には、セルロース等の酵素を用いることができる。ここで得られた低分子の糖は、微生物を利用して発酵等の処理を施すことで、エタノール、メタン、コハク酸、イタコン酸、乳酸等の有用な化合物を得ることができる。また、固形状多糖類を抽出した後の混合物に含まれるリグニンの分解生成物からも、芳香族化合物等の有用な化学物質等を得ることが可能である。
本工程により固形状多糖類を抽出しなくても、固形状多糖類やリグニンの分解生成物等が混合した状態においても固形状多糖類の糖化処理を行うことも可能である。この場合、糖化処理後に得られる糖化混合物は、リグニンの分解生成物と低分子の糖類とを含む状態にある。そのため、そのまま発酵の原料として利用してもよいし、クロマトグラフィ等の方法によりリグニンの分解生成物と低分子の糖類とを分離してそれぞれ利用してもよい。
ここで、本発明のマイクロ波照射装置を用いた被照射材料の処理に基づいて、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図2に示したものと同様の、本発明のマイクロ波照射装置を3台連結した連結型マイクロ波照射装置を用いて被照射材料の処理を行った。周波数2450MHzのマイクロ波を照射し、出力は、マイクロ波照射装置10aは1.2kW、マイクロ波照射装置10bは0.9kW、マイクロ波照射装置10cは0.8kWとした。
被照射材料には、48メッシュの篩を通過したスギ木粉を用いた。また、エチレングリコールとリン酸とを、体積比95:5で混合したものを溶媒として用いた。スギ木粉と、スギ木粉の11倍の重量の溶媒とを原料槽102で均一に混合した。被照射材料は供給ポンプ106内に送られ、さらに供給ポンプ106の加圧により、供給管108を通り、反応管202内部に到達した。反応管202内部の圧力は、供給ポンプ106の加圧により、1.5MPaであった。
反応前室204に送られた被照射材料は、マイクロ波の照射処理を受けながら反応管202内を搬送された。被照射材料が供給ポンプ106内に送られてから、処理物としてコントロール弁204から装置外部へ排出されるまでの時間は23分であった。その間の被照射材料の温度変化を図6に示す。また、被照射材料の処理量は、溶媒の重量を含め、13.4kg/時であった。
装置外部へ排出された処理物を遠心分離することで、溶媒を分離した。さらに、アセトン及び水で洗浄し、処理物中のホロセルロース量の定量を行った。乾燥重量0.5gの処理物を採取し、亜塩素酸ナトリウム法でホロセルロース量を定量した。さらに、処理物の糖化処理を行った。乾燥重量0.2gの処理物を遠沈管に採取した。セルラーゼであるMeicelase(登録商標、明治製菓株式会社製)を8FPU、1M酢酸緩衝液(pH4.5)を終濃度50mMになるように添加し、全量10mL(固形分濃度2%)とした。45℃、140rpmの条件で48時間浸透した。反応終了後、反応液中に生成した糖類の量をSomogyi−Nelson法で測定し糖化率を計算した。その結果、ホロセルロースあたりの糖化率は88.8%であった。
比較例1
比較例のマイクロ波処理には、1Lバッチ式のマイクロ波照射装置を用いた。被照射材料の処理は実施例1と同様の方法で行い、溶媒重量込で1080gのものを処理した。実施例1のマイクロ波照射の最高温度に合わせ、被照射材料を12分で190℃まで昇温し、190℃の状態で15分保持した。比較例における被照射材料の温度変化を図6に示す。周波数2450MHzのマイクロ波を照射し、出力は1.5kWであり、反応容器内の圧力は0.2MPaであった。
比較例1のマイクロ波処理で得られた処理物について、実施例1と同様の方法でホロセルロース量の定量及び糖化処理を行い、ホロセルロースあたりの糖化率を計算したところ、86.8%であり、実施例1の糖化率よりも低い値であった。
以上のように、本発明のマイクロ波照射装置及び連結型マイクロ波照射装置を用いることで高温・高圧のマイクロ波処理が可能となり、高い糖化率の処理物を得ることができた。また、図6に示すように、本発明のマイクロ波照射装置では、比較例に用いたマイクロ波照射装置に比べ、被照射物質を短時間で加熱することができた。
さらに、実施例に基づいて、本発明の植物材料から糖成分を製造する方法をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
《実施例1〜7及び比較例1》
植物材料から糖成分を製造する方法における各種ルイス酸触媒の効果を検討した。
植物材料の調製
植物材料の原材料であるブナの角材を木材破砕機及びウイレーミルを用いて粉砕し、ふるいにかけ、355μmから500μmほどのサイズの粉末(ブナ木粉)を収集した。次に、ブナ木粉と、ブナ木粉の体積比2倍のエタノール/ベンゼン(体積比1/2)とを混合し、還流することにより脂溶性の低分子量物質を除去した。次に、ブナ木粉と、ブナ木粉の体積比2倍の水とを混合し、オートクレーブで121℃・30分で処理し、水溶性の低分子量物質を除去した。さらに、乾燥機でブナ木粉を105℃で一晩乾燥させた。このように調製されたブナ木粉を植物材料として、以下の実施例及び比較例に用いた。
分離工程
調製済みのブナ木粉1g、及び、分散媒である1−プロパノール/水(体積比1/1)20gをマイクロ波照射用バイアルに入れ、実施例1〜7は表1に示す各種ルイス酸触媒を、それぞれ60μmolずつ添加して分散液を得た。比較例1は触媒を添加しなかった。上記バイアルを密栓した状態で、マイクロ波照射装置Initiator60(バイオタージ・ジャパン株式会社製)を用いて、スターラを用いて900rpmで撹拌しながら、180℃、30分の条件で、2450MHzのマイクロ波を上記分散液に照射した。
抽出工程
マイクロ波照射後、濾紙Advantec No.131(登録商標、東洋濾紙株式会社製、保留粒子径3μm)を用いて液体を濾過して固形状多糖類や残存リグニンを含む不溶性画分を得た。不溶性画分の湿重量を測定し、さらに、その一部を乾燥して水分を完全に除去し、含水率を求めた。湿重量から水の重量を差し引いた不溶性画分重量を計算し、用いた木粉の重量との比(不溶性画分収率)を計算した。
酵素糖化処理
乾燥重量0.2gの処理物を遠沈管に採取した。セルラーゼであるMeicelase(登録商標、明治製菓株式会社製)を8FPU、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)を10ml添加し、45℃、140rpmの条件で48時間浸透した。反応終了後、反応液中に生成した糖類の量をSomogyi−Nelson法で測定し、不溶性画分単位重量あたりの糖類収率、及び植物材料単位重量あたりの糖類収率を計算した。
表1に示すように、実施例1〜7は、比較例1に比べ、不溶性画分の収率は低いものの、酵素糖化の結果、不溶性画分単位重量あたりの糖類収率、植物材料単位重量あたりの糖類収率はいずれも高かった。
《実施例8及び比較例2》
植物材料から糖成分を製造する方法について、マイクロ波処理と外部加熱処理との比較を行った。調製済みのブナ木粉1g、及び、分散媒である1−プロパノール/水(体積比1/1)20gをマイクロ波照射用バイアルに得て、ルイス酸触媒として硫酸アルミニウム60μmolを添加し分散媒を得た。上記バイアルを密栓した状態で、マイクロ波照射装置Initiator60(バイオタージ・ジャパン)を用いて、スターラにより900rpmで撹拌しながら、160℃、30分、及び180℃、30分の2条件で、2450MHzのマイクロ波を上記分散液に照射した(実施例8)。
また、比較例では、オートクレーブ用シリンダに上記分散媒を得て、オートクレーブを用いて160℃、30分及び180℃、30分の2条件で外部加熱を行った(比較例2)。酵素糖化処理では、実施例8及び比較例2それぞれについて、1FPU及び8FPUのMeicelase(登録商標)を用いて酵素糖化を行った。
実施例8及び比較例2の植物材料重量あたりの糖類収率を図7に示す。いずれの条件においても、マイクロ波処理を行った実施例8の収率が高かった。特に、酵素量が少ない条件で、差が顕著にみられた。したがって、本発明により、処理物の糖化に用いる酵素量が少なくても、高い収率で糖類を得ることができるため、糖化の大幅なコスト削減が実現される。
《実施例9及び比較例3》
可溶化画分のガスクロマトグラフィ質量分析を行った。植物材料として調製済みのブナ木粉1g、及び、分散媒である1−プロパノール/水(体積比1/1)20gをマイクロ波照射用バイアルに得て、ルイス酸触媒として塩化アルミニウム60μmolを添加し、分散媒を得た。上記バイアルを密栓した状態で、マイクロ波照射装置Initiator60(バイオタージ・ジャパン株式会社製)を用いて、スターラにより900rpmで撹拌しながら、180℃、30分の条件で、2450MHzのマイクロ波を上記分散液に照射した(実施例9)。また、オートクレーブ用シリンダに上記分散媒を得て、オートクレーブで180℃、30分の条件で外部加熱を行った(比較例3)。
マイクロ波処理及び外部加熱処理後、濾紙Advantec No.131(登録商標、東洋濾紙株式会社製、保留粒子径3μm)を用いて濾過した反応液について、ガスクロマトグラフィ質量分析(GCMS)を行った。
GCMSの結果を図8に示す。実施例9及び比較例3には、リグニン由来の芳香族化合物が含まれていた。実施例9には、芳香族化合物に加えて、ペントースやヘキトースといった糖類が多く含まれていた。一方、比較例3には糖類の分解産物である5−ヒドロキシメチルフルフラール(Retention time:6.8分〜7.0分)が多く含まれていた。したがって、比較例3では、外部加熱により、糖類が過分解したことがわかった。本発明によれば、これらの糖類を利用することが可能である。
マイクロ波処理により、5−ヒドロキシメチルフルフラールの生成が抑制されていた。5−ヒドロキシメチルフルフラールは糖類のエタノール発酵を阻害する効果をもたらす。したがって、本発明により5−ヒドロキシメチルフルフラールの生成を抑制することができ、酵素糖化やエタノール発酵を効率的に行うことができる。
《実施例10〜17及び比較例4》
難分解性である針葉樹(スギ)のリグニンに対する本発明の効果を検証した。
植物材料の調製
植物材料の原材料であるスギの角材を木材破砕機及びウイレーミルを用いて粉砕し、ふるいにかけ、500μmから1190μmほどのサイズの粉末(スギ木粉)を収集した。このように調製されたスギ木粉を植物材料として、以下の実施例及び比較例に用いた。このように、本実施例で用いた植物材料は、実施例1〜9と異なり、脂溶性低分子及び水溶性低分子の除去を行わなかったことから、糖類の製造はより困難であるといえる。
分離工程
調製済みのスギ木粉1g、及び、分散媒であるエチレングリコール/水(重量比9/1)20gをマイクロ波照射用バイアルに入れ、実施例10〜17はルイス酸触媒である塩化アルミニウムを、それぞれ植物材料1gに対し表2に記載の量を添加して分散液を得た。比較例4は触媒を添加しなかった。上記バイアルを密栓した状態で、マイクロ波照射装置Initiator60(バイオタージ・ジャパン株式会社製)を用いて、スターラを用いて900rpmで撹拌しながら、表2に記載の条件で、2450MHzのマイクロ波を上記分散液に照射した。
抽出工程
マイクロ波照射後、濾紙Advantec No.131(登録商標、東洋濾紙株式会社製、保留粒子径3μm)を用いて液体を濾過して不溶性画分を得た。不溶性画分の湿重量を測定し、さらに、その一部を乾燥して水分を完全に除去し、含水率を求めた。湿重量から水の重量を差し引いた不溶性画分重量を計算し、用いた植物材料の重量との比(不溶性画分収率)を計算した。
酵素糖化処理
乾燥重量0.2gの処理物を遠沈管に採取した。セルラーゼであるMeicelase(登録商標、明治製菓株式会社製)を8FPU、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)を10ml添加し、45℃、140rpmの条件で48時間浸透した。反応終了後、反応液中に生成した糖類の量をSomogyi−Nelson法で測定し、不溶性画分単位重量あたりの糖類収率、及び植物材料単位重量あたりの糖類収率を計算した。
結果を表2に示す。比較例4は不溶性画分の収率は高かったが、酵素糖化処理により製造される糖類は僅かであった。比較例4においては、スギ木粉に含まれるリグニンがほとんど分解されなかったと考えられる。その一方で、実施例10〜17においては、酵素糖化処理によって、不溶性画分単位重量あたり75%〜100%、植物材料単位重量あたり43%〜60%の糖類が得られた。特に、触媒量が120μmol〜360μmolの条件で、高い収率で糖類を得ることができた。したがって、本発明は、従来法では困難であった、針葉樹からの糖類製造に有効であることが示された。
さらに、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
《アンモニウムイオンと共に用いるイオンの選択》
植物材料から糖成分を製造する方法において、いかなるイオンをアンモニウムイオン及び過酸化物と共に用いればよいかについて検討を行った。各種アンモニウム塩及び過酸化水素の存在下で植物材料を外部加熱処理し、糖類収率を計算した。
植物材料の調製
植物材料の原材料であるブナの角材を木材破砕機及びウイレーミルを用いて粉砕し、ふるいにかけ、355μmから500μmほどのサイズの粉末(ブナ木粉)を収集した。このように調製されたブナ木粉を植物材料として、以下の実施例及び比較例に用いた。
分離工程
調製済みのブナ木粉1g、分散媒である水20gをフラスコに入れ、表1に示すアンモニウム塩をそれぞれ終濃度1mMとなるように添加し(うち、「触媒なし」はアンモニウム塩を添加せずに)、さらに過酸化水素を終濃度0.88Mとなるように添加して(A)〜(J)の分散媒を得た。上記フラスコを密封し、スターラを用いて撹拌しながら80℃、5時間ウォーターバスで外部加熱処理を行った。
抽出工程
分離工程後、濾紙Advantec No.131(登録商標、東洋濾紙株式会社製、保留粒子径3μm)を用いて液体を濾過して固形状多糖類や残存リグニンを含む不溶性画分を得た。不溶性画分の湿重量を測定し、さらに、その一部を乾燥して水分を完全に除去し、含水率を求めた。湿重量から水の重量を差し引いた不溶性画分重量を計算し、用いた木粉の重量との比(不溶性画分収率)を計算した。
酵素糖化処理
乾燥重量0.2gの処理物を遠沈管に採取した。セルラーゼであるMeicelase(登録商標、明治製菓株式会社製)を8FPU、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)を10ml添加し、45℃、140rpmの条件で48時間浸透した。反応終了後、反応液中に生成した糖類の量をSomogyi−Nelson法で測定し、不溶性画分単位重量あたりの糖類収率、及び植物材料単位重量あたりの糖類収率を計算した。
以下の表3に示すように、(A)モリブデン酸アンモニウムは他のアンモニウム塩と比較して、最も糖類収率が高かった。(B)リン酸水素二アンモニウムや(C)炭酸水素アンモニウム、(D)炭酸アンモニウムについても、比較的高い糖類収集率を得られた。これらの結果から、モリブデン酸イオン、アンモニウムイオン及び過酸化物を用いた分離工程により、糖類を効率的に製造できる固形状多糖類が得られると考えられた。
《実施例1及び比較例1》
本発明における、植物材料から糖成分を製造する方法で用いるモリブデン酸アンモニウムと、その他各種モリブデン酸塩との比較を行った。調製済みのブナ木粉1g、及び、分散媒である水20gをマイクロ波照射用バイアルに得て、表2に記載した各モリブデン酸塩を終濃度1mMとなるように(うち、比較例1の「触媒なし」はモリブデン酸塩を添加せずに)、過酸化水素を終濃度0.88Mとなるように添加し、分散媒を得た。上記バイアルを密栓した状態で、マイクロ波照射装置Initiator60(バイオタージ・ジャパン)を用いて、スターラにより900rpmで撹拌しながら、140℃、30分の条件で、2450MHzのマイクロ波を上記分散液に照射した。
さらに、実施例1及び比較例1それぞれについて上記抽出工程を行い、8FPUのMeicelase(登録商標)を用いて上記酵素糖化処理を行った。
以下の表4に示すように、モリブデン酸アンモニウムを用いた実施例は、その他のモリブデン酸塩を用いた比較例よりも、不溶性画分単位重量あたりの糖類収率、及び植物材料単位重量あたりの糖類収率が高かった。したがって、モリブデン酸イオン、アンモニウムイオン及び過酸化物を用いる本発明によれば、酵素糖化処理により糖類が効率的に得られる固形状多糖類を含む糖成分を製造することができる。
《酵素投入量と酵素糖化率との関係》
さらに、分離工程におけるマイクロ波の照射を160℃、9分で行い、その他の条件は実施例1と同様の処理を施して得られた不溶性画分に、2FPU、4FPU、6FPU及び8FPUのMeicelase(登録商標)を用いて酵素糖化を行った。不溶性画分単位重量あたりの糖類収率、及び植物材料単位重量あたりの糖類収率を図9に示す。図9に示すように、2FPU〜4FPUの酵素でも高い糖類収率が得られた。したがって、本発明により得られた不溶性画分に含まれる固形状多糖類は少量の酵素でも糖化が可能であるため、糖化の大幅なコスト削減が実現される。
《実施例2及び比較例2》
本発明によるマイクロ波照射(実施例2)と、外部加熱(比較例2)との糖類収率を比較した。実施例2は、調製済みのブナ木粉1g、及び、分散媒である水20gをマイクロ波照射用バイアルに得て、モリブデン酸アンモニウムを、表3に記載の終濃度となるように、過酸化水素を終濃度0.88Mとなるようにそれぞれ添加して分散媒を得た。上記バイアルを密栓した状態で、マイクロ波照射装置Initiator60(バイオタージ・ジャパン)を用いて、スターラにより900rpmで撹拌しながら、140℃、30分の条件で、2450MHzのマイクロ波を上記分散液に照射し、分離工程を行った。
また、比較例2は、オートクレーブ用シリンダに、調製済みのブナ木粉1g、及び、分散媒である水20gをマイクロ波照射用バイアルに得て、モリブデン酸アンモニウムを、表3に記載の終濃度となるように、過酸化水素を終濃度0.88Mとなるようにそれぞれ添加し分散媒を得た。上記シリンダを、オートクレーブを用いて140℃、30分の条件で外部加熱し、分離工程を行った。
さらに、実施例2及び比較例2で得られた混合物それぞれに対し上記抽出工程を行い、8FPUのMeicelase(登録商標)を用いて上記酵素糖化処理を行った。
以下の表5に示すように、いずれの濃度モリブデン酸アンモニウムにおいても、マイクロ波照射を用いた実施例は、外部加熱を用いた比較例よりも高い糖類収率が得られた。
《実施例3及び比較例3》
難分解性である針葉樹(スギ)のリグニンに対する本発明の効果を検証した。
植物材料の調製
植物材料の原材料であるスギの角材を木材破砕機及びウイレーミルを用いて粉砕し、ふるいにかけ、500μmから1190μmほどのサイズの粉末(スギ木粉)を収集した。このように調製されたスギ木粉を植物材料として、以下の実施例及び比較例に用いた。
実施例3は、植物材料として調整済みスギ木粉1gを用い、モリブデン酸アンモニウムを表4に記載の終濃度となるように添加し、それ以外は実施例2の条件と同様にしてマイクロ波照射による分離工程を行った。また、比較例3は、植物材料として調製済みのスギ木粉1gを用い、モリブデン酸アンモニウムを表4に記載の終濃度となるように添加し、それ以外は比較例2の条件と同様にして外部加熱による分離工程を行った。
さらに、実施例3及び比較例3で得られた混合物それぞれに対し上記抽出工程を行い、8FPUのMeicelase(登録商標)を用いて上記酵素糖化処理を行った。
以下の表6に示すように、マイクロ波照射を用いた実施例は、いずれのモリブデン酸アンモニウム濃度においても、外部加熱を用いた比較例よりも高い糖類収率が得られた。特に、2.5mM〜5.0mMのモリブデン酸アンモニウムの存在下で、高い収率で糖類を得ることができた。したがって、本発明は、従来法では困難であった、針葉樹からの糖類製造に有効であることが示された。
以下、本発明における最適反応条件の検討を行った。
《過酸化水素の最適濃度の検討》
上記分離工程において、モリブデン酸アンモニウムを終濃度1mMとなるように、過酸化水素を表7に記載の濃度となるようにそれぞれ添加して(A)〜(D)の分散媒を得た。上記バイアルを密栓した状態で、マイクロ波照射装置Initiator60(バイオタージ・ジャパン)を用いて、スターラにより900rpmで撹拌しながら、140℃、30分の条件で、2450MHzのマイクロ波を上記分散液に照射した。得られた不溶性画分について抽出工程による抽出、及び8FPUのMeicelase(登録商標)を用いた酵素糖化処理を行った。
結果を以下の表7に示す。この中では、(D)過酸化水素を終濃度0.88Mとした場合に、最も高い糖類収率が得られた。
《最適反応時間の検討》
上記分離工程において、モリブデン酸アンモニウムを終濃度1mMとなるように、過酸化水素を終濃度0.88Mとなるように添加して分散媒を得た。上記バイアルを密栓した状態で、マイクロ波照射装置Initiator60(バイオタージ・ジャパン)を用いて、スターラにより900rpmで撹拌しながら、反応温度140℃、表3に記載の反応時間、の条件で、2450MHzのマイクロ波を上記分散液に照射した。得られた不溶性画分について抽出工程による抽出、及び8FPUのMeicelase(登録商標)を用いた酵素糖化処理を行った。
結果を以下の表8に示す。この中では、(A)反応温度を30分とした場合に、最も高い糖類収率が得られた。
本発明による、植物材料から糖成分を分離する方法は、エタノールや芳香族化合物等、有用な化学物質をバイオマス原料から得ようというバイオリファイナリの実現に寄与する。また、植物材料のパルプ化や、パルプの漂白方法等にも応用することができる。

Claims (11)

  1. 少なくともリグノセルロースを含む植物材料に、ルイス酸触媒の存在下でマイクロ波を照射することにより、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖類を含む糖成分と、を含む混合物を得る分離工程
    を含む、
    植物材料から糖成分を製造する方法。
  2. 前記分離工程において、周波数2000MHz〜6000MHzの波長のマイクロ波を照射する、
    請求項1に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
  3. 前記分離工程において、1分〜60分の間マイクロ波を照射する、
    請求項1又は2に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
  4. 前記分離工程において、植物材料が80℃〜240℃になるようにマイクロ波を照射する、
    請求項1〜3いずれか一項に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
  5. 前記分離工程における前記ルイス酸触媒が、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、臭化亜鉛及び硫酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種からなる、
    請求項1〜4いずれか一項に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
  6. 少なくともリグノセルロースを含む植物材料に、モリブデン酸イオン、アンモニウムイオン及び過酸化物の存在下でマイクロ波を照射することにより、リグニンの分解生成物と、少なくとも固形状多糖類を含む糖成分と、を含む混合物を得る分離工程
    を含む、
    植物材料から糖成分を製造する方法。
  7. 前記分離工程における前記過酸化物が、過酸化水素である、
    請求項6に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
  8. 前記分離工程において、2000MHz〜6000MHzの波長のマイクロ波を照射する、
    請求項6又は7に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
  9. 前記分離工程において、1分〜60分の間マイクロ波を照射する、
    請求項6〜8いずれか一項に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
  10. 前記分離工程において、植物材料が50℃〜240℃になるようにマイクロ波を照射する、
    請求項6〜9いずれか一項に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
  11. 前記分離工程において、前記植物材料を水に分散させた状態でマイクロ波を照射する、
    請求項6〜10いずれか一項に記載の、植物材料から糖成分を製造する方法。
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