JP2014021053A - 波面計測装置、波面計測方法、光学素子の製造方法、光学素子の物理パラメータ計測方法、および、光学システムの組み立て調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易かつ短時間で波面計測が可能な波面計測装置を提供する。
【解決手段】波面計測装置は、光学素子の透過波面または反射波面を計測する波面計測装置であって、レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備え、第1の位置および第2の位置に配置可能なセンサと、センサから得られた強度信号に基づいて波面収差、任意の面での波面形状、複素振幅分布、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出する信号処理部とを有し、信号処理部は、センサを第1の位置に配置して得られた第1の強度信号を用いて第1の波面を推定し、第1の波面を初期値とし、第1の波面とセンサを第2の位置に配置して得られた第2の強度信号とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより第2の波面を推定し、第2の波面を用いて、波面収差、任意の面での波面形状、複素振幅分布、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出する。
【選択図】図1
【解決手段】波面計測装置は、光学素子の透過波面または反射波面を計測する波面計測装置であって、レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備え、第1の位置および第2の位置に配置可能なセンサと、センサから得られた強度信号に基づいて波面収差、任意の面での波面形状、複素振幅分布、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出する信号処理部とを有し、信号処理部は、センサを第1の位置に配置して得られた第1の強度信号を用いて第1の波面を推定し、第1の波面を初期値とし、第1の波面とセンサを第2の位置に配置して得られた第2の強度信号とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより第2の波面を推定し、第2の波面を用いて、波面収差、任意の面での波面形状、複素振幅分布、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子の透過波面または反射波面を計測する波面計測装置に関する。
現在、光学素子の透過波面または反射波面の計測には、干渉光学系やシャックハルトマン波面センサ(SHWFS:Shack−Hartmann wavefront sensors)が広く用いられている。シャックハルトマン波面センサSHWFSは、レンズアレイにより生成されたディテクタアレイ上のスポットアレイのスポット位置変位より、波面を再構成する手法である。一般的にシャックハルトマン波面センサSHWFSは、干渉光学系よりも広い波面計測ダイナミックレンジを有するが、諸要因によりシャックハルトマン波面センサSHWFSの実際の波面計測ダイナミックレンジは制約される。例えば、レンズアレイに入射する波面の変位が一定以上となると、スポットアレイにおけるスポットが重なってスポット位置が特定できなくなる。さらに、レンズアレイの各々のレンズとスポットアレイの各々のスポットとの対応関係がわからなくなる。このような場合には、スポット位置の変位から波面を再構成することができない。
そこで、レンズアレイに入射する波面の変位を予め小さくするようにヌルレンズや補正レンズを用いる方法または波面を推定する方法がある。ヌルレンズや補正レンズを用いる方法では、ヌルレンズや補正レンズに対して高い精度が要求され、複数種類の被検光学素子を計測する場合には、それぞれに対応するヌルレンズや補正レンズが必要となる。その結果、計測コストが増加する課題がある。
波面を推定する方法として、非特許文献1および非特許文献2には、波面変位が大きく、ディテクタアレイ上のスポットアレイで、スポットが重なっているかまたはスポットが崩れている状態のデータを用いて波面を推定する方法が開示されている。具体的には、非特許文献3に開示されているような最尤法(MLE:Maximum Likelihood Estimation)などの手法を用いることができる。
波面推定に用いられる最尤法MLEは、観測されたデータから尤度関数を最大化するパラメータ(最尤推定量)を探索するものであり、最も尤もらしいパラメータを推定する。最尤推定量を探索するには、まず、任意の初期波面パラメータを仮定し、観測されたデータの平均値を計算する。続いて、パラメータを変化させながらそのデータの平均値を計算し、局所的最適値に陥らないように大域的探索を実行する。続いて、局所的最適値を探索し、探索による尤度関数の変化が小さくなった時点で収束したと判断し、そのときのパラメータを最尤推定量と決定する。
Michael C.Roggemann,Timothy J.Schulz,Chee W.Ngai, and Jason T.Kraft,"Joint processing of Hartmann sensor and conventional image measurements to estimate large aberrations:theory and experimental results,"Appl.Opt.38,pp.2249−2255(1999)
Harrison H.Barrett,Christopher Dainty, and David Lara, "Maximum−likelihood methods in wavefront sensing:stochastic models and likelihood functions,"J. Opt.Soc.Am.A.24,391−414(2007)
In Jae Myung,"Tutorial on Maximum Likelihood Estimation",Journal of Mathematical Psychology,Vol.47,90−100(2003)
しかしながら、従来の波面推定手法を用いた波面計測方法において、一つのデータを用いて波面パラメータがある一定の範囲内で最尤推定量の局所的最適値を探索しようとすると、波面計測に多くの計算時間を要する。このため、低コストで高精度な光学素子を製造することが困難である。
そこで本発明は、簡易かつ短時間で波面計測が可能な波面計測装置および波面計測方法を提供する。また、低コストで高精度な光学素子の製造方法を提供する。
本発明の一側面としての波面計測装置は、光学素子の透過波面または反射波面を計測する波面計測装置であって、レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備え、第1の位置および第2の位置に配置可能なセンサと、前記センサから得られた強度信号に基づいて波面収差、任意の面での波面形状、複素振幅分布、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出する信号処理部とを有し、前記信号処理部は、前記センサを前記第1の位置に配置して得られた第1の強度信号を用いて第1の波面を推定し、前記第1の波面を初期値とし、該第1の波面と前記センサを前記第2の位置に配置して得られた第2の強度信号とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより第2の波面を推定し、前記第2の波面を用いて、波面収差、任意の面での波面形状、複素振幅分布、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出する。
本発明の他の側面としての波面計測方法は、光学素子の透過波面または反射波面を計測する波面計測方法であって、レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備えたセンサを第1の位置に配置し、該センサから得られた第1の強度信号を用いて第1の波面を推定するステップと、前記第1の波面を初期値とし、該第1の波面と、前記センサを第2の位置に配置して得られた第2の強度信号とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより第2の波面を推定するステップと、前記第2の波面を用いて前記光学素子を含む光学系の任意の面での透過波面形状、反射波面形状、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出するステップとを有する。
本発明の他の側面としての光学素子の製造方法は、前記波面計測方法を用いて光学素子を製造する。
本発明の他の側面としての光学素子の物理パラメータ計測方法は、レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備えたセンサを、第1の位置および第2の位置に配置するステップと、前記センサを前記第1の位置に配置して得られた第1の強度信号を用いて第1の物理パラメータを推定するステップと、前記第1の波面を初期値とし、該第1の波面と前記センサを前記第2の位置に配置して得られた第2の強度信号とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより第2の物理パラメータを推定するステップとを有し、前記物理パラメータは、光の複素振幅分布、偏光状態、複屈折率分布、光学素子の面形状、屈折率分布、光学素子の位置、配置誤差、光学面の間隔の少なくとも一つである。
本発明の他の側面としての光学システムの組み立て調整装置は、前記光学素子の物理パラメータ計測方法を用いて、光学素子の配置位置または姿勢を算出し、前記配置位置または前記姿勢に基づいて、光学システムの組み立て調整を行う。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
本発明によれば、簡易かつ短時間で波面計測が可能な波面計測装置および波面計測方法を提供することができる。また、低コストで高精度な光学素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照して、本発明の実施例1における波面計測装置について説明する。図1は、波面計測装置の光学系100の構成図である。本実施例の波面計測装置は、被検レンズ(光学素子)の透過波面を計測するように構成されているが、これに限定されるものではなく、本実施例は被検レンズの反射波面を計測する波面計測装置にも適用可能である。
光学系100において、光源LSから射出した光束LBは、照明光学系ILで所望の光束になるように制御される。例えば、図1に示されるように、光束LBは、光量調整のためのNDフィルタNDFを透過し、シャックハルトマン波面センサSHWFS(以下、単に「センサ」という。)の強度信号出力が飽和しない程度に、その光量が調整される。NDフィルタNDFを透過した光束は、その後、集光レンズL1によりピンホールPH上に集光される。ピンホールPHからは、球面波またはそれに近い光が発生する。集光レンズL1およびピンホールPHにより、スペーシャルフィルタSFが構成される。
ピンホールPHから発生した球面波は、レンズL2、アパーチャAP、および、レンズL3により、光束の発散集光角と光束の大きさが調整され、被検レンズTOに照射される。被検レンズTOは、被検レンズTOの光学特性に従って照射光の波面および強度分布を変調し、変調光を透過させる。そして、被検レンズTOからの変調光は、位置P1に位置するシャックハルトマン波面センサ(センサSHWFS1)により受光される。センサSHWFS1は、レンズレットアレイ(マイクロレンズアレイ)およびディテクタアレイを備えて構成される。センサSHWFS1は、受光した変調光に応じて強度信号I1を出力し、強度信号I1は信号処理部DSPに入力される。
同様に、被検レンズTOからの変調光は、位置P2に位置するシャックハルトマン波面センサ(センサSHWFS2)により受光される。センサSHWFS2は、レンズレットアレイ(マイクロレンズアレイ)およびディテクタアレイを備えて構成される。センサSHWFS2は、受光した変調光に応じて強度信号I2を出力し、強度信号I2は信号処理部DSPに入力される。
本実施例では、位置P1に位置するセンサSHWFS1をステージSZ上で位置P2に移動させることにより、位置P2に位置するセンサSHWFS2を同一のセンサで実現している。すなわち、本実施例の波面計測装置は、レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備え、第1の位置(位置P1)および第2の位置(位置P2)に配置可能なセンサSHWFSを有する。
本実施例において、第1の位置は、光源LSの位置を基準として、近軸焦点位置およびマージナルフォーカス位置のいずれよりも遠い位置である。第2の位置は、光源LSの位置を基準として、近軸焦点位置およびマージナルフォーカス位置のいずれよりも近い位置である。また本実施例において、第1の位置は、レンズレットアレイLAを透過した光束がディテクタアレイDAにおいて分離する位置である。第2の位置は、レンズレットアレイLAを透過した光束がディテクタアレイDAにおいてスポットアレイとなる位置である。
次に、図2を参照して、センサSHWFSの位置について説明する。図2は、センサSHWFS1、SHWFS2の位置P1、P2の説明図である。被検レンズTOのうち受光光学系に最も近い位置にある最終レンズTOL(最終面)を透過した光(被検光学系の透過光)は、一度収束した後に発散光となる。そして、この発散光は、レンズレットアレイLAおよびディテクタアレイDAを備えて構成され、かつ位置P1に位置するセンサSHWFS1に入射する。
図3は、センサSHWFSから得られる強度信号を示す図である。図3(a)は位置P1におけるセンサSHWFS1から得られる強度信号I1、図3(b)は位置P2におけるセンサSHWFS2から得られる強度信号I2の例である。図3(a)、(b)に示されるデータは、実際には、位置P1、P2に位置するセンサSHWFS1、SHWFS2で検出されるそれぞれの強度信号I1、I2を、計算機シミュレーションで求めたものである。
本実施例のセンサSHWFS1において、レンズレットアレイLAのピッチは150μm、実効焦点距離は3.7mmである。ディテクタアレイDAのピッチは4.75μmであるが、4×4ピクセルを平均化して19μm相当になっている。また、最終レンズからレンズレットアレイ面までの距離D1は115mmである。センサSHWFS1の位置P1は、予めシミュレーションを用いて、例えばレンズレットアレイLAで形成されるスポット(スポット径)が大きくなるように設定することで決定される。位置P1は、ディテクタアレイDAの面積を有効に利用可能な、例えばディテクタアレイDAの縦横の長さに対して9割程度の光の広がりが得られるように設定されることが好ましい。また、波面計測装置においてセンサSHWFSをZ方向にスキャンさせながら(センサの位置を変化させながら)ディテクタアレイDAの出力をモニタし、スポットが広がりかつディテクタアレイDAの面積を有効に利用可能になる位置を求めてもよい。
本実施例のセンサSHWFS2において、レンズレットアレイLAのピッチは150μm、実効焦点距離は3.7mmである。ディテクタアレイDAのピッチは4.75μmである。センサSHWFS2の位置P2は、予めシミュレーションを用いて、例えばレンズレットアレイLAで形成されるスポット(スポット径)が小さくなるように設定することで決定される。位置P1の場合と同様に、波面計測装置においてセンサSHWFSをZ方向にスキャンさせながら(センサの位置を変化させながら)、スポット径が小さくなる位置を求めてもよい。この場合には、同一のセンサによりセンサSHWFS1、SHWFS2を実現し、強度信号I1、I2を取得することができる。
また、被検レンズTOを光学系100から取り外した状態で、任意の位置にセンサSHWFSを配置して照明光を検出することにより、レンズレットアレイパターンによるスポットアレイ像が取得できる。図4は、スポットアレイ像の一例である。このスポットアレイ像は、照明光の光軸、照明光の波面、レンズレットアレイLAとディテクタアレイDAの位置関係などの情報を含み、光学系100(計測光学系)のキャリブレーション用データとして用いられる。
次に、図5を参照して、本実施例における波面計測方法について説明する。図5は、波面計測方法のフローチャートである。図5に示される各工程は、所定のプログラムに従って、波面計測装置の信号処理部DSPで行われる。本実施例において、強度信号I1、I2は予め計測されている。
まずステップS101において、信号処理部DSPは、光学系の配置誤差や照明光学系のパラメータなどの光学系のキャリブレーションを行う。このとき、例えば図4に示されるような発散球面波をセンサSHWFS1またはセンサSHWFS2に入射させて取得したキャリブレーション用データが用いられる。
続いて信号処理部DSPは、ステップS102において、センサSHWFS1から得られた強度f信号I1(位置P1で取得した強度信号I1:第1の強度信号)を用いて波面W1(第1の波面、第1の物理パラメータ)を算出(推定)する。本実施例において、波面W1は、初期波面パラメータとキャリブレーション後のデータを用いて算出される。
ここで、信号処理部DSPにおける波面算出方法について詳述する。センサSHWFS1のレンズレットアレイLAは、マイクロレンズがアレイ状に形成されて構成されている。レンズレットアレイLAに入射した光は、レンズレットアレイLAで変調され、スポットアレイ像がディテクタアレイDA上に投射される。レンズレットの外形が丸形状(丸形レンズレットLT1)である場合、図6に示されるような強度信号I1(強度データ)が得られる。
図7は、丸形レンズレットLT1を用いた場合の光線追跡位置を示す図である。図7に示されるように、レンズアレイ面LAP(z=z0)における丸形レンズレットLT1の端を透過する光線が、ディテクタ面DP(z=z1)におけるスポット像SI1の端に到達する。このため、強度信号I1のスポット像SI1の端と丸形レンズレットLT1の端とを結ぶ線R1、R2、R3、R4に沿った光線を、ある面まで光線追跡して各々の光線上で光路長差を計算することで、ある面での光の等位相面すなわち波面を算出することができる。また、スポット像SI1の重心位置と丸形レンズレットLT1の中心位置とを結ぶ光線R0を用いて等位相面を算出してもよい。
同様に、本実施例では、丸形レンズレットLT1に代えて、外形が矩形のレンズレット(矩形レンズレットLT2)を備えたレンズレットアレイを用いてもよい。この場合、図8に示されるような強度信号I1(強度データ)が得られる。
図9は、矩形レンズレットLT2を用いた場合の光線追跡位置を示す図である。図9に示されるように、レンズアレイ面LAP(z=z0)における矩形レンズレットLT2の角を透過する光線が、ディテクタ面DP(z=z1)における矩形スポット像SI2の角に到達する。この場合にも、矩形スポット像SI2の角と矩形レンズレットLT2の角とを結ぶ光線R1、R2、R3、R4、および、矩形スポット像SI2の重心位置と矩形レンズレットLT2の中心位置とを結ぶ光線R0の全てまたはいずれか用いて光路長を算出する。これにより、ある面での波面W1を算出することができる。なお、本実施例において、ロンキーテストなどのアルゴリズムを用いてもよい。
波面W1の位置としては、センサSHWFS1のレンズレットアレイLAの位置や、被検レンズTO透過後の位置などの光学系内の任意の位置とすることができる。さらに、被検レンズTOの射出瞳面における波面収差を波面W1として算出することも可能である。
このように本実施例によれば、レンズレットアレイLAを用いて、スポットの分離したパターンを取得することで、グリッドパターン投影で発生する回折の影響を受けない、エッジが明確なパターンを取得することができる。このため、幾何光学的計算での光路長計算の精度が向上する。この結果、信号処理部DSPは、幾何光学的計算を用いて波面回復を行うことにより、波面W1を推定することができる。
さらに、本実施例において、位置P1のセンサSHWFS1で得られる強度信号I1は、幾何光学的手法を用いて高精度に計算することがで。そのため、信号処理部DSPの波面推定プロセスにおいて、光線本数を増やした光線追跡を伝搬計算アルゴリズムとして用いてもよい。すなわち、信号処理部DSPの、波面推定において、光線本数を光線追跡を用いて光伝搬計算を行うことにより波面W1を推定することができる。この場合においては、ある面での波面パラメータθを変化させながら、尤度関数が最大値をとる最尤推定量θhatMLを探索する。この場合では、位置P1が位置P2と略同一の位置であり、位置P1スポットの重なりがあっても、ある程度実際の強度信号I1に近いスポットアレイ像が高速に計算できる。なお略同一とは、厳密な同一だけでなく実質的に同一の場合も含む意味である。
ここで、強度信号I1を用いて波面W1を算出する際の順伝搬計算モデル(Forward model)を説明する。図10は、波面W1算出に用いる順伝搬計算モデル(光学シミュレーションモデル)である。図10の点光源PSから発散された光が被検レンズTO(被検光学系)に入射し、被検レンズTOの最終面から距離D1=115mmだけ離れた位置に、センサSHWFSが配置されている。ここで、レンズレットアレイLAのピッチは150μm、実効焦点距離は3.7mmである。ディテクタアレイDAのピッチは4.75μmであるが、4×4ピクセルを平均化することによって19μm相当となっている。また、光源PSからダミー面DPまでの距離D0は113mmである。
図11は、理想状態(無収差の場合)における順伝搬計算結果の例である。すなわち、被検レンズTOが無収差の場合において、光線追跡により、ディテクタのピクセルに入る本数をカウントしてディテクタアレイDA上の照度分布を計算した結果である。
また、図10に示されるように、被検レンズTO(被検光学系)の最前面にダミー面DPを設け、ダミー面DPにおいて波面パラメータを用いて位相分布を定義する。位相分布は、例えば、図12に示されるようなFringe Zernike多項式(以下、Zernike多項式という。)を用いて定義される。ここで、ダミー面DPにおける位相分布を定義する際に、Zernike多項式の係数が、C2=50λ、C3=50λ、C4=50λ、C5=10λ、C6=10λ、C7=10λ、C8=10λ、C9=10λ、C16=5λである場合を考える。このとき、被検レンズTO(波面収差)は、図13に示されるような設計データを有する。ここで、係数Cnは、n番目のZernike多項式の係数である。このときのディテクタアレイDAからの出力信号を、光線本数カウントの順伝搬計算で得た結果、すなわち収差が含まれる場合の順伝搬計算結果を図14に示す。収差がある場合の出力信号の図14と、無収差の場合の出力信号の図11を比べると、図14では収差に応じて大きく異なる像が得られることがわかる。さらに、信号処理部DSPにおいては、図14のような順伝搬計算結果と、実際のディテクタアレイDAの出力である強度信号I1とを用いて尤度関数を繰り返し計算し、最尤推定量を取りうる波面W1を求める探索計算を行えばよい。この探索計算には、Simulated Aneeling法や、Downhill simplex (Nelder−Mead) method、 Conjugate gradient methodなどの種々の最適化方法を用いることができる。本実施例では、L.R.Furenlid,J.Y.Hesterman,and H.H.Barrett,“Fast maximum−likelihood estimation methods for scintillation cameras and other optical sensors”,Proc.SPIE,6707(2007)に記載のContracting−grid search algorithmを用いている。
図5のステップS102にて波面W1(第1の波面)を算出した後、ステップS103において、信号処理部DSPは、位置P2に位置するセンサSHWFS2により検出された強度信号I2を用いて波面W2(第2の波面、第2の物理パラメータ)を算出する。具体的には、信号処理部DSPは、波面W1を初期値とし、波面W1とセンサSHWFS2を位置P2に配置して得られた強度信号I2(第2の強度信号)とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより波面W2を推定する。
ここで、波面推定計算の順伝搬計算には、図15に示されるような光学シミュレーションモデルが用いられる。図15は、強度信号I2を用いて波面W2を算出する際の順伝搬計算モデル(光学シミュレーションモデル)を示す図である。
この場合、図4のスポットアレイ像からわかるように、多数のレンズレットを透過した光がディテクタアレイDA上で複雑に結像しており、光線追跡的な伝搬計算で表現することは困難である。このため、波動光学的計算を用いて光伝搬計算を行う必要がある。一般的に波動光学的な順伝搬計算方法としては、フレネル回折計算などのFFTベースで計算可能なフーリエ光学的伝搬計算を用いることができる。しかし、本実施例の被検レンズTOのように、波面変位が大きい光学系では、サンプリング定理を満たしつつ空間的に波面変位をサンプリングするには、極めて多くのサンプリング点数が必要となり、一般的な計算機で計算することは困難である。このような場合の伝搬計算としては、光線追跡に波動光学的性質を付加するようなビームレット伝搬法などを用いることで波面変位の大きい場合の光伝播計算を行うことができる。例えば、codeV(c)のBSP(Beam Synthesis Propagation)などを適用することが可能である。
続いて、波面推定結果の計算例について説明する。図16は、信号処理部DSPにおける波面推定フローを示す図である。信号処理部DSP(信号処理部DSP1、DSP2)は、図16に示されるようなフローに基づいて、Zernike多項式の係数を推定することができる。本実施例では、推定する係数として、C2〜C9、および、C16が選択されている。一度に推定する係数の数は、2つまたは3つである。実験データとしての強度信号I1、I2としては、図13で示したレンズ設計データを用いて、BSPでシミュレーションして得られたデータを用いている。シミュレーションで生成したデータには、PSNR(Peak Signal to Noise Ratio)=400のランダムノイズを付加し、出力信号は8bitで離散化することで、計算機上で強度信号I1とI2を生成した。ここでは、簡単のため、強度信号I1と強度信号I2を同一のものを用いた。つまり、強度信号I1を取得する位置P1は強度信号I2を取得する位置P2と同一のものである。
図17は、信号処理部DSPにおける波面推定パラメータである。図17に示されるように、波面推定パラメータには、探索の初期値、探索を行う際の探索範囲、および、探索をどの程度まで詳細に行うかの解像度が含まれる。また、図17の真値(設計値)が、シミュレーションで実験データを生成する際の波面W1の位相分布のZenike係数である。推定結果がこの真値に近付けば、推定が正しく行われていることになる。ここで、推定する波面W1と波面W2の位置は、図15に示すダミー面DPの位置とした。
図18は、設計値を中心とした尤度関数の2次元等高線図である。図18には、信号処理部DSP(信号処理部DSP1)におけるプレ探索が終了した時点における、係数C4、C9の組み合わせでの負の尤度関数の対数を取ったものの分布が示されている。実験データである強度信号I1を生成する際にダミー面DPに与えた真値TP(True Point)は、C4=10λ、C9=5λである。しかし、尤度関数をプロットすると、C4=12λ、C9=6λあたりで負の尤度関数が最小値、すなわち尤度関数が最大値をとるため、C4=12λ、C9=6λが最適値OP(Optimized Point)であることがわかる。これは、信号処理部DSP1で幾何光学的に光線追跡を用いて強度信号I1に相当する信号を順伝搬計算しており、実際の光のコヒーレンス性や回折、干渉などの波動光学的な影響が考慮されていないことから生じるバイアスである。このバイアス量は、光源のコヒーレンス性や光学系配置が一定であれば、ダミー面DPで通常生じる波面分布にほとんど依存しないため、予めシミュレーションで求めることができる。このため、このバイアス量を、n番目のZernike多項式の係数に応じて、Sn(1、…、N)で求めておくことが可能である。信号処理部DSP1による計算が終了した時点の波面W10からSnを補正することで、波面W1が求められる。本実施例では、簡単のため、S4=2λ、S9=1λとし、その他の係数の補正は行われない。
続いて、信号処理部DSP(信号処理部DSP2)は、算出された波面W1および強度信号I2を用いて波面W2を推定する。図19は、波面W1および強度信号ISを用いて得られた波面W2の推定結果である。具体的には、図19は、光線追跡を用いて大域的探索を行った場合における、目標値と推定値の差と、反復サイクルとの関係を示している。ダミー面DPでのFringe Zernike多項式の係数は、それぞれ、C2=10λ、C3=10λ、C4=10λ、C5=5λ、C6=5λ、C7=5λ、C8=5λ、C9=5λ、C16=1λである。このように大きな変位を有する場合でも、非点収差に相当する係数C5、C6、コマ収差に相当する係数C7、C8、球面収差に相当する係数C9、C16のいずれについても、0.05λ以下の誤差で推定できる。
続いて図5のステップS104において、ダミー面DPでの波面W2は、計測結果の使用目的に応じて、射出瞳上波面収差や任意の面での光の透過波面形状や反射波面形状などの波面形状(位相分布)、複素振幅分布、面形状分布に変換することができる。例えば、信号処理部DSPは、波面W2を用いて被検レンズTOの面形状や面間隔、屈折率分布などの物性値を算出することが可能である。
ここで、信号処理部DSP1における、1回の順伝搬計算に要する時間は、光線本数10000本、CPUにIntel(R)、Xeon(r) E5620@2.4GHzを用いた場合、約1.3秒である。一方、図20に示されるように強度信号I1を用いない従来の波面推定方法で、大域的計算にも波動光学的なBSPを用いた場合、1回の計算に平均15秒程度の時間を要する。
図21は、従来方法の計算時間と、本実施例のように強度信号I1の算出に幾何光学的計算を用いた場合に要する計算時間との比較結果である。局所的探索は、図16または図20のループを3回繰り返した場合で見積もっている。従来方法で16時間程度を要する計算時間が、本実施例の方法では9時間程度に短縮されており、計算時間が大幅に短縮されている。さらに、本実施例では1CPU、1プロセスでの計算結果を示しているが、順伝搬計算を16プロセスに並列化することにより、計算時間を約34分に短縮することができる。
以上のとおり、本実施例によれば、大きな波面変位を有する場合における波面推定に要する時間を短縮することができる。その結果、ヌルレンズや結像レンズを必要としない、低コストの計測光学系を用いて高精度の波面計測装置を実現することが可能である。また、カメラレンズやビデオレンズなどの結像レンズを組み立てる前に、ユニットレンズ毎に性能の評価、レンズ調整を行うことが可能となり、高性能かつ低コストな結像レンズを提供することができる。
次に、本発明の実施例2における波面計測装置について説明する。本実施例は、キャリブレーション後に強度信号I1を取得してから信号処理部DSP1で波面W1を算出するなどのシーケンシャルな計測を行う点で、予め計測された強度信号I1、I2を用いている実施例1と異なる。
図22は、本実施例における波面計測方法のフローチャートである。信号処理部DSPは、ステップS201においてキャリブレーション用データを取得し、ステップS202において光学系のキャリブレーションを行う。続いて信号処理部DSPは、ステップS203において、位置P1のセンサSHWFS1から強度信号I1を取得する。そしてステップS204において、強度信号I1から波面W1(第1の波面)を算出する。
続いてステップS205において、信号処理部DSPは、位置P2での強度信号I2を取得する。このとき信号処理部DSPは、波面W1を用いて、ディテクタアレイDAの面積が有効利用可能な強度信号I2が得られるセンサSHWFS2の位置P2(第2の位置)を算出する。すなわち信号処理部DSPは、波面W1から位置P2の位置(最適位置)を決定する。続いて信号処理部DSPは、ステップS206において、強度信号I2から波面W2(第2の波面)を推定する。そして信号処理部DSPは、ステップS207において、波面W2から面形状W3(光学素子の面形状)を算出する。ここで、信号処理部DSPは、面形状W3だけでなく、センサから得られた強度信号に基づいて波面収差、任意の面での波面形状、または、複素振幅分布を算出することもできる。
また本実施例は、互いに異なるセンサSHWFS1、SHWFS2を用いて強度信号I1、I2を取得している点で、位置P1、P2に同一のセンサSHWFSを移動させて強度信号I1、I2を取得している実施例1と異なる。
図23および図24は、それぞれ、本実施例における波面計測装置の光学系の構成図である。例えば、図23に示されるように、最初にセンサSHWFS1を位置P1に配置して強度信号I1を取得し、その後にステージSY上のセンサSHWFS2を光路中の位置P2に移動(挿入)して強度信号I2を取得するように構成することができる。また、図24に示されるように、ビームスプリッタBSを用いて被検レンズTOを透過した光を2方向に分割し、位置P1、P2のそれぞれに相当する位置に2つのセンサSHWFSを配置して強度信号I1、I2を取得するように構成してもよい。このように配置することで、センサSHWFSの移動に伴う位置の不確かを低減することができるため、より高精度な波面計測が可能である。
また、本実施例では強度信号I1、I2の2つのデータを用いて波面計測を行っている。ただし本実施例はこれに限定されるものではなく、信号処理部DSPは3点以上の異なる位置で強度信号(データ)を取得してもよい。この場合、データに含まれる光学系の情報が増加するため、推定可能なパラメータを増加させ、また、計測精度を向上させることが可能となる。
次に、本発明の実施例3における波面計測装置について説明する。本実施例の波面計測装置は、負のパワーを有する被検レンズTO1(被検光学系)を備える点で、正のパワーを有する被検レンズTOを備える実施例1、2の波面計測装置と異なる。
図25は、本実施例における波面計測装置の光学系の構成図である。図25に示されるように、負のパワーを有する被検レンズTO1に照明光としての収束光を入射し、被検レンズTO1を透過した光は球面レンズSLで収束光に変換される。このような構成でも、位置P1、P2のそれぞれに位置するセンサSHWFS1、SHWFS2を用いて、強度信号I1、I2を含む複数のデータを取得することができる。また、球面レンズSLを用いることなく、被検レンズ透過後の光を、位置P1、P2のそれぞれに位置するセンサSHWFS1、SHWFS2を用いて、強度信号I1、I2を含む複数のデータを取得してもよい。光束の大きさが、センサSHWFS1、SHWFS2の大きさより大きい場合には、センサSHWFS1、SHWFS2をシフトさせながら強度信号を取得する、いわゆるスティッチング処理を行うことで、光束全領域に対応する強度信号を取得することができる。
図26は、本実施例における波面計測装置のダブルパス光学系の構成図である。図26に示されるように、本実施例は、ビームスプリッタBSおよび球面ミラーSMを用いて構成されたダブルパス光学系にも適用可能である。
次に、本発明の実施例4における波面計測装置について説明する。本実施例は、レンズレットアレイLAとディテクタアレイDAとの間隔が可変であるように構成されている点で、これらの間隔が固定されている実施例1〜3と異なる。
本実施例において、レンズレットアレイLAの位置は固定されているが、ディテクタアレイDAの位置は可変である。このため、ディテクタアレイDAの複数の位置において、強度信号I1、I2を含む複数のデータの取得が可能である。これに代えて、ディテクタアレイDAの位置を固定し、レンズレットアレイLAの位置を変化させて、強度信号I1、I2を含む複数のデータを取得してもよい。また、ディテクタアレイDAの位置とレンズレットアレイLAの位置の両方を可変にして(相対間隔と絶対位置を変化させて)、強度信号I1、I2を含む複数のデータを取得しても同様な効果が得られる。
上記各実施例によれば、光学素子の透過波面または反射波面の推定時間を短縮することができる。また、大域的最適値から離れた位置にある局所的最適値に陥ることなく波面パラメータの探索が可能であるため、計測の不確かさを低減できるとともに、計測ダイナミックレンジを広げることができる。その結果、ヌルレンズや結像レンズを用いない簡素な光学系を用いて、収差を有する光学素子の波面計測が可能となる。
このため、上記各実施例によれば、簡易かつ短時間で波面計測が可能な波面計測装置および波面計測方法を提供することができる。また、低コストで高精度な光学素子の製造方法を提供することができる。
以上の実施例では、波面計測について説明したが、波面以外の物理パラメータを直接求めることもできる。各実施例の信号処理では、図10や図15で示す被検レンズTOを含む光学系全体を光学シミュレーションモデルとして用いて、光線追跡や波動光学で順伝搬計算を行っている。よって、その光学シミュレーションモデルに含まれる、複数の任意のパラメータを推定パラメータとして設定することができる。例えば、波面形状、光の複素振幅分布、光学素子の面形状、偏光状態、複屈折率分布、屈折率分布、光学素子の位置、配置誤差、光学面の間隔などの任意のパラメータを推定、つまり計測することができる。さらに、波面形状を含む物理パラメータ(第1の物理パラメータ、第2の物理パラメータ)を計測することで、光学ユニットの組み立て調整に用いるパラメータを算出することもできる(光学素子の物理パラメータ計測方法)。例えば、計測した波面形状や面形状、屈折率分布などから、光学系全体の収差が最小となるような、光学素子の最適な配置位置や姿勢を求めることができる。このような光学素子の最適な配置位置や姿勢に基づいて、光学系を組み立て調整することで、光学性能の保証された光学システム(光学システムの組み立て調整装置)の提供が可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
DSP 信号処理部
SHWFS シャックハルトマン波面センサ
TO 被検レンズ
SHWFS シャックハルトマン波面センサ
TO 被検レンズ
Claims (16)
- 光学素子の透過波面または反射波面を計測する波面計測装置であって、
レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備え、第1の位置および第2の位置に配置可能なセンサと、
前記センサから得られた強度信号に基づいて波面収差、任意の面での波面形状、複素振幅分布、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出する信号処理部と、を有し、
前記信号処理部は、
前記センサを前記第1の位置に配置して得られた第1の強度信号を用いて第1の波面を推定し、
前記第1の波面を初期値とし、該第1の波面と前記センサを前記第2の位置に配置して得られた第2の強度信号とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより第2の波面を推定し、
前記第2の波面を用いて、波面収差、任意の面での波面形状、複素振幅分布、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出する、ことを特徴とする波面計測装置。 - 前記第1の位置は、光源の位置を基準として、近軸焦点位置およびマージナルフォーカス位置のいずれよりも遠い位置であり、
前記第2の位置は、前記光源の位置を基準として、前記近軸焦点位置およびマージナルフォーカス位置のいずれよりも近い位置であることを特徴とする請求項1に記載の波面計測装置。 - 前記第1の位置は、前記レンズレットアレイを透過した光束が前記ディテクタアレイにおいて分離する位置であり、
前記第2の位置は、前記レンズレットアレイを透過した光束が前記ディテクタアレイにおいてスポットアレイとなる位置であることを特徴とする請求項1または2に記載の波面計測装置。 - 前記信号処理部は、幾何光学的計算を用いて波面回復を行うことにより前記第1の波面を推定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波面計測装置。
- 前記信号処理部は、光線追跡を用いて光伝搬計算を行うことにより前記第1の波面を推定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波面計測装置。
- 前記信号処理部は、波動光学的計算を用いて光伝搬計算を行うことにより前記第2の波面を推定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の波面計測装置。
- 前記信号処理部は、前記第1の波面から前記第2の位置を決定すること特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の波面計測装置。
- 前記レンズレットアレイは矩形レンズレットを備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の波面計測装置。
- 前記信号処理部は、3点以上の異なる位置で前記強度信号を取得することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の波面計測装置。
- 前記センサは、シャックハルトマン波面センサであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の波面計測装置。
- 前記信号処理部は、前記第1の波面に、あらかじめ求めておいたバイアス量を付加したものを初期値とし、第2の波面を推定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の波面計測装置。
- 光学素子の透過波面または反射波面を計測する波面計測方法であって、
レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備えたセンサを第1の位置に配置し、該センサから得られた第1の強度信号を用いて第1の波面を推定するステップと、
前記第1の波面を初期値とし、該第1の波面と、前記センサを第2の位置に配置して得られた第2の強度信号とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより第2の波面を推定するステップと、
前記第2の波面を用いて前記光学素子を含む光学系の任意の面での透過波面形状、反射波面形状、光学素子の面形状の少なくとも一つを算出するステップと、を有することを特徴とする波面計測方法。 - 請求項12に記載の波面計測方法を用いたことを特徴とする光学素子の製造方法。
- 光学素子の物理パラメータ計測方法であって、
レンズレットアレイおよびディテクタアレイを備えたセンサを、第1の位置および第2の位置に配置するステップと、
前記センサを前記第1の位置に配置して得られた第1の強度信号を用いて第1の物理パラメータを推定するステップと、
前記第1の波面を初期値とし、該第1の波面と前記センサを前記第2の位置に配置して得られた第2の強度信号とを用いて光伝搬計算を繰り返し行うことにより第2の物理パラメータを推定するステップと、を有し、
前記物理パラメータは、光の複素振幅分布、偏光状態、複屈折率分布、光学素子の面形状、屈折率分布、光学素子の位置、配置誤差、光学面の間隔の少なくとも一つである、ことを特徴とする光学素子の物理パラメータ計測方法。 - 前記物理パラメータは、光の複素振幅分布、偏光状態、複屈折率分布、光学素子の面形状、屈折率分布、光学素子の位置、配置誤差、光学面の間隔の少なくとも一つである
ことを特徴とする請求項14に記載の光学素子の物理パラメータ計測方法。 - 請求項14または請求項15に記載の光学素子の物理パラメータ計測方法を用いて、光学素子の配置位置または姿勢を算出し、前記配置位置または前記姿勢に基づいて、光学システムの組み立て調整を行うことを特徴とする光学システムの組み立て調整装置。
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JP2012162704A JP2014021053A (ja) | 2012-07-23 | 2012-07-23 | 波面計測装置、波面計測方法、光学素子の製造方法、光学素子の物理パラメータ計測方法、および、光学システムの組み立て調整装置 |
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2012
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