JP2014019934A - スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 酸素含有量をさらに低減可能であると共に異常放電を抑制可能なCu−Ga焼結体のスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 20at%以上30at%未満のGaを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、X線回折によりCuGaのγ相に帰属する回折ピークとζ相に帰属する回折ピークとが観察される焼結体からなり、前記ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が、前記γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%以上であり、酸素含有量が100ppm以下であり、平均粒径が100μm以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、CIGS薄膜型太陽電池の光吸収層を形成するためのCu−In−Ga−Se化合物膜(以下、CIGS膜と略記することがある。)を形成するときに使用するスパッタリングターゲット及びその製造方法に関するものである。
近年、カルコパイライト系の化合物半導体による薄膜型太陽電池が実用に供せられるようになり、この化合物半導体による薄膜型太陽電池は、ソーダライムガラス基板の上にプラス電極となるMo電極層を形成し、このMo電極層の上にCIGS膜からなる光吸収層が形成され、この光吸収層上にZnS、CdSなどからなるバッファ層が形成され、このバッファ層上にマイナス電極となる透明電極層が形成された基本構造を有している。
上記光吸収層の形成方法として、例えば多元蒸着法により成膜する方法が知られている。この方法により得られた光吸収層は高いエネルギー変換効率が得られるものの、点源からの蒸着のため、大面積の基板に成膜した場合には、膜厚分布の均一性が低下しやすい。そのため、スパッタ法によって光吸収層を形成する方法が提案されている。
スパッタ法により上記光吸収層を形成する方法としては、まず、Inターゲットを使用してスパッタによりIn膜を成膜する。このIn膜上にCu−Ga二元系合金ターゲットを使用してスパッタすることによりCu−Ga二元系合金膜を成膜し、得られたIn膜およびCu−Ga二元系合金膜からなる積層プリカーサ膜をSe雰囲気中で熱処理してCIGS膜を形成する方法(いわゆる、セレン化法)が提案されている。
さらに、以上の技術を背景に、前記Cu−Ga合金膜及びIn膜の積層プリカーサ膜を、金属裏面電極層側からGa含有量の高いCu−Ga合金層、Ga含有量の低いCu−Ga合金層、In層の順序でスパッタリング法により作製し、これをセレン及び/又は硫黄雰囲気中で熱処理することにより、界面層(バッファ層)側から金属裏面電極層側への薄膜光吸収層内部でのGaの濃度勾配を徐々(段階的)に変化させることで、開放電圧の大きい薄膜型太陽電池を実現すると共に、薄膜光吸収層の他の層からの剥離を防止する技術が提案されている。この場合、CuGaターゲット中のGa含有量は1〜40原子%と提案されている(特許文献1参照)。
このようなCuGa合金層を形成するためのCuGaターゲットとしては、例えば特許文献2に、水アトマイズ装置で作製したCu−Ga混合微粉をホットプレスにより焼結させたCu−Ga合金焼結体スパッタリングターゲットが提案されている。このCu−Ga合金焼結体スパッタリングターゲットでは、単一組成からなり、Cu−Ga合金のX線回折による主ピーク(γ相(CuGa相))以外のピーク強度が、主ピークに対して5%以下とされ、その平均結晶粒径が、5〜30μmとなっている。また、このターゲットでは、酸素含有量が350〜400ppmのものが得られている。
特開平10−135495号公報 国際公開第2011/010529号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献2に記載の技術では、ホットプレスにより作製を行うことで、酸素含有量が低減されていると共に異常放電が少なくなるが、太陽電池製造メーカーからは、より酸素含有量の少ないターゲットが要望されているのが現状である。また、溶解法により作製したターゲットでは、特許文献2の表1に記載されているように、酸素含有量が40〜50ppmと大幅に低減できる反面、平均粒径が830〜1100μmと非常に大きくなり、異常放電が増大してしまう不都合がある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、酸素含有量をさらに低減可能であると共に異常放電を抑制可能なCu−Ga焼結体のスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るスパッタリングターゲットは、20at%以上30at%未満のGaを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、X線回折によりCuGaのγ相に帰属する回折ピークとζ相に帰属する回折ピークとが観察される焼結体からなり、前記ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が前記γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%以上であり、酸素含有量が100ppm以下であり、平均粒径が、100μm以下であることを特徴とする。
なお、前記γおよびζ相は「Binary Alloy Phase Diagrams(第2版)」(Copyright 1990 by ASM International(R), ISBN: 0−87170−405−6)の1410頁から記載されているP.R.SubramanianとD.E.LaughlinとによるCu−Ga系の項目で定義されており、それぞれの化学式および空間群は以下の通りである。
(化学式)γ相:CuGa,ζ相:CuGa
(空間群)γ相:P−43m,ζ相:P63/mmcE
このスパッタリングターゲットでは、酸素含有量が100ppm以下であり、平均粒径が100μm以下であるので、低い酸素含有量かつ粒径が小さいため、異常放電を大幅に低減することができる。
また、酸素含有量を大幅に低減したことにより、スパッタで得られるプリカーサ膜中の酸素量の増大を抑制することにより、CIGS薄膜型太陽電池の光吸収層中の光電変換効率の向上に寄与することができる。
なお、Gaの含有量を30at%未満とした理由は、30at%以上になるとζ相に帰属する回折ピークがほとんど消失し、γ相に対するζ相のピーク強度が10%未満になって実質的にγ相の単相になってしまうためである。
第2の発明に係るスパッタリングターゲットの製造方法は、第1の発明に係るスパッタリングターゲットを製造する方法であって、純Cu粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末からなる成形体を、還元性雰囲気中で加熱して常圧焼結する工程を有していることを特徴とする。
すなわち、このスパッタリングターゲットの製造方法では、純Cu粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末からなる成形体を、還元性雰囲気中で加熱して常圧焼結するので、焼成中にそれぞれの原料粉から相互拡散が起こることでγ相とζ相が出現し、X線回折によりCuGaのγ相に帰属する回折ピークとζ相に帰属する回折ピークとが観察される焼結体を非常に少ない酸素含有量で得ることができる。
なお、塑性変形のし易い純Cu粉末を用いることで成形体とする際に形状保持が容易になる。また、純Cu粉末は室温大気中でも酸化されてしまうが、還元性雰囲気中での加熱で容易に還元されるため、酸素含有量を増加させる原因にはならない。さらに、50at%GaのCu−Ga合金粉末を入れることで、液相焼結となり、高密度な焼結体が得られる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るスパッタリングターゲット及びその製造方法によれば、ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が、γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%以上であり、酸素含有量が100ppm以下となり、平均粒径が100μm以下であるので、低い酸素含有量かつ粒径が小さいため、異常放電を大幅に低減することができると共に、スパッタで得られるプリカーサ膜中の酸素量の増大を抑制することができる。
したがって、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法によりCIGS薄膜型太陽電池の光吸収層を成膜することで、光吸収層中の光電変換効率の向上に寄与することができ、発電効率の高い太陽電池を製造することが可能となる。
本発明に係るスパッタリングターゲットおよびその製造方法において、Gaを25at%含有する実施例について、X線回折による回折ピークを示すグラフである。 Gaを28at%含有する本発明の実施例について、X線回折による回折ピークを示すグラフである。 Gaを29at%含有する本発明の実施例について、X線回折による回折ピークを示すグラフである。 Gaを30at%含有する本発明の比較例について、X線回折による回折ピークを示すグラフである。 Gaを25at%含有する本発明の実施例について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)による組成像(COMPO像)である。 Gaを25at%含有する本発明の実施例について、EPMAによる元素分布マッピング像である。
以下、本発明に係るスパッタリングターゲット及びその製造方法の一実施形態を説明する。
本実施形態のスパッタリングターゲットは、20at%以上30at%未満のGaを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、X線回折によりCuGaのγ相(CuGa相)に帰属する回折ピークとζ相(CuGa相)に帰属する回折ピークとが観察される焼結体からなり、ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が、γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%以上であり、酸素含有量が100ppm以下であり、平均粒径が100μm以下である。
また、このスパッタリングターゲットは、相対的にGaが多く含有されている相(Ga−rich領域)が分散した結晶組織を有している。上記Ga−rich領域は、例えば、図5に示すように、EPMAによるCOMPO像において白く観察される領域である。
上記回折ピークの主ピーク強度は、特定の金属相に帰属する複数の回折ピークのうち最も強いものの強度である。
上記平均粒径は、ターゲットから切り出した試料面を鏡面に研磨し、硝酸と純水とからなるエッチング液にてエッチングした後、結晶粒界を判別することができる倍率:50〜1000倍の範囲内の光学顕微鏡にて顕微鏡写真を撮り、得られた写真の1辺を11等分する10本の直線を描き、この10本の直線が通過する結晶粒を計数し、下記計算式を用いて求めている。
平均結晶粒径=(写真上の10本の線分の長さを実際の長さに補正した値)/(10本の線分が通過する結晶粒の数)
また、上記酸素含有量は、JIS Z 2613「金属材料の酸素定量方法通則」に記載された赤外線吸収法で測定している。
上記本実施形態のスパッタリングターゲットを製造する方法は、純Cu粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末からなる成形体を、還元性雰囲気中で加熱して常圧焼結する工程を有している。
この製造方法の一例について詳述すると、まず平均粒径2〜3μmの純Cu粉と、平均粒径20〜30μmのCu−Ga合金アトマイズ粉末とを、目標組成となるように秤量し、ヘンシェルミキサーを用いてAr雰囲気下において回転数2800rpmで1分間混合して混合粉末とする。
次に、得られた混合粉末を、500〜2000kgf/cmの成型圧で圧粉体(成形体)とする。この圧粉体を炉中に配し、10〜100L/minで還元性ガスを流しつつ、700〜1000℃の焼成温度まで10℃/minで加熱し、5時間保持する。この後、炉内を自然冷却し、得られた焼結体の表面部と外周部とを旋盤加工して直径50mm、厚み6mmのスパッタリングターゲットを作製する。なお、このCu−Ga合金アトマイズ粉末は、カーボンるつぼにCu,Ga原料を指定の組成比でそれぞれ充填し、Arガスによるガスアトマイズ法で調製される。
次に、加工後のスパッタリングターゲットを、Inを半田としてCuまたはSUS(ステンレス)またはその他金属(例えば、Mo)からなるバッキングプレートにボンディングし、スパッタに供する。
なお、加工済みのターゲットを保管する際には、酸化、吸湿を防止するため、ターゲット全体を真空パックまたは不活性ガス置換したパックを施すことが好ましい。
このように作製したスパッタリングターゲットは、ArガスをスパッタガスとしてDCマグネトロンスパッタに供する。このときの直流(DC)スパッタは、パルス電圧を付加するパルスDC電源を用いることでもよいし、パルスなしのDC電源でも可能である。
この本実施形態のスパッタリングターゲットでは、ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が、γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%以上であり、酸素含有量が100ppm以下であり、平均粒径が100μm以下であるので、低い酸素含有量かつ粒径が小さいため、異常放電を大幅に低減することができる。
また、酸素含有量を大幅に低減したことにより、スパッタで得られるプリカーサ膜中の酸素量の増大を抑制することにより、CIGS薄膜型太陽電池の光吸収層中の光電変換効率の向上に寄与することができる。
また、本実施形態のスパッタリングターゲットの製造方法では、純Cu粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末からなる成形体を、還元性雰囲気中で加熱して常圧焼結するので、焼成中にそれぞれの原料粉から相互拡散が起こることでγ相とζ相とが出現し、X線回折によりCuGaのγ相に帰属する回折ピークとζ相に帰属する回折ピークとが観察される焼結体を非常に少ない酸素含有量で得ることができる。
γ相とζ相との2相が共存する理由は、焼成の際にCu−Ga合金粉末からGa−richの液相が出現し、いわゆる液相焼結となることで粒子の再配列が容易に起こり、常圧の粉末焼結でありながら高密度焼結体が得られ、その焼結体が冷却される過程において620℃付近でγ相とζ相とに分離するためである。前述の「Binary Alloy Phase Diagrams(第2版)」に記載されたCu−Ga系状態図によると、この相分離はGaの原子比率が30%未満の場合には必ず起こると予想される。2相共存の利点は、ζ相の存在によってγ層の結晶粒の肥大化が抑制され、ターゲット組織の平均粒径が小さくなり、スパッタリング時の異常放電が起こり難くなることである。
次に、本発明に係るスパッタリングターゲット及びその製造方法を、上記実施形態に基づき作製した実施例により、評価した結果を説明する。
まず、表1に示される成分組成および粒径を有するCu−Ga合金粉末(表中のCuGa粉)と、Cu粉末とを、表1に示される量になるように配合し、実施例1〜5の混合粉末とした。次に、得られた混合粉末を、1500kgf/cmの成型圧で圧粉体(成形体)とした。さらに、これらの混合粉末のうち実施例1〜3は水素雰囲気中で常圧焼結させ、また実施例4は一酸化炭素雰囲気中で常圧焼結させ、さらに実施例5はアンモニアクラッキングガス雰囲気中で常圧焼結させた。なお、これらの常圧焼結は、50L/minで還元性ガスを流しつつ、840℃の焼成温度で5時間保持して行った。
一方、比較例として、表1に示される成分組成および粒径を有するCu−Ga合金粉末(表中のCuGa粉)と、Cu粉末とを、表1に示される量になるように配合し、比較例1〜4の混合粉末とした。なお、比較例2,3は、本発明の範囲から外れたGaの含有量に設定した。次に、得られた混合粉末を、上記実施例と同様に圧粉体(成形体)とした。また、比較例5,8は、Cu−Ga合金粉末だけを原料粉末とした。
さらに、これらの粉末のうち比較例1は大気雰囲気中で常圧焼結させ、また比較例2,3,8は水素雰囲気中で実施例と同様に常圧焼結させ、さらに比較例4,5は真空中でホットプレス法により焼結させた。この際のホットプレス条件は、保持温度740℃で保持時間60minである。
また、比較例6,7は、表1に示す組成となるように鋳造法により作製した。
このように作製した本発明の実施例及び比較例について、平均粒径と、X線回折による分析と、酸素含有量と、密度と、異常放電回数とについて調べた結果を表1に示す。但し、比較例8は、円板の形状を保持できずに崩れてしまって圧粉体を作製できず、ターゲットを作製することができなかったため、これらの測定を行っていない。なお、この比較例8については、圧粉体成形時に崩れずに残った一部の塊を焼成してGa組成を測定した。
なお、ターゲットの組成は、ICP法(高周波誘導結合プラズマ法)を用いて測定した。
また、X線回折による分析(XRD)では、γ相に帰属する回折ピークとζ相に帰属する回折ピークとの両方が観察され、ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が、γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%以上である場合を、表1において「γ、ζ」と表記し、ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が、γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%未満である場合を、表1において「γ」と表記した。
また、このXRDでは、ターゲットの試料をSiC−Paper(grit 180)にて湿式研磨、乾燥の後、測定試料とした。この分析に使用した装置及び測定条件を以下に示す。
装置:理学電気社製(RINT−Ultima/PC)
管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
走査範囲(2θ):20°〜120°
スリットサイズ:発散(DS)2/3度、散乱(SS)2/3度、受光(RS)0.8mm
測定ステップ幅:2θで0.02度
スキャンスピード:毎分2度
試料台回転スピード:30rpm
また、異常放電については、下記の成膜条件で12時間スパッタを行い、異常放電の回数を測定した。
・電源:パルスDC500W
・全圧:0.4Pa
・スパッタガス:Ar=47.5sccm、O:2.5sccm
・ターゲット−基板(TS)距離:70mm
・異常放電回数は、MKSインスツルメンツ社製DC電源(型番:RPDG−50A)のアークカウント機能により計測した。
これらの結果からわかるように、本発明の実施例は、いずれも平均粒径が68〜84μmと小さく、X線回折においてはγ相とζ相との2相が観察されている。また、これら実施例では、酸素含有量が55〜75ppmと非常に少なく、異常放電回数も、1回以下と大幅に低減されている。
これらに対して、大気中で常圧焼結した比較例1では、酸素含有量が300ppmと高いと共に、異常放電回数が13回と大幅に増加してしまっている。また、Gaが本発明の組成範囲から外れて少ない比較例2では、酸素含有量が105ppmと増えていると共に異常放電回数も3回に増えてしまっている。さらに、Gaが本発明の組成範囲から外れて多い比較例3では、γ相の単相になってしまい、異常放電回数も3回に増えてしまっている。
また、ホットプレス法により焼成された比較例4,5では、どちらも酸素含有量が300ppm以上に大幅に増大してしまい、異常放電回数も増えてしまっている。さらに、鋳造法で作製した比較例6,7では、平均粒径が500nm以上と大きく、異常放電回数もそれぞれ8回および6回に増えている。
次に、Gaの含有量を25at%、28at%、29at%、30at%とした本発明の実施例及び比較例を、それぞれ50L/minで水素ガスを流しつつ、840℃の焼成温度で5時間保持する常圧焼結で作製し、XRDによる回折ピークを測定した結果を、図1〜図4に示す。
これらの結果からわかるように、Gaの含有量が25at%、28at%、29at%では、CuGaのγ相(CuGa相)に帰属する回折ピークとζ相(CuGa相)に帰属する回折ピークとが両方観察され、ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が、γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%以上であることから、γ相とζ相との2相が明確に組織中に形成されていることがわかる。しかしながら、Gaの含有量が30at%になると、ζ相に帰属する回折ピークがほとんど消失し、組織が実質的にγ相の単相になってしまっていることがわかる。
次に、Gaを25at%含有した本発明の実施例を、50L/minで水素ガスを流しつつ、840℃の焼成温度で5時間保持して行った常圧焼結で作製し、その組織をEPMAによって観察した組成像(COMPO像)と、Cu,Ga,O(酸素),C(炭素)の各元素マッピング像を、図5及び図6に示す。これらEPMAの元素マッピング像は、いずれも元画像がカラー像であるが、グレースケールによる白黒画像に変換して記載しており、Cuマッピング像については、明度が高い部分で含有量が高い傾向にある。また、Gaマッピング像については、明度が暗い部分で含有量が高い傾向にある。さらに、COMPO像においては、最も白い部分がGaの含有量が相対的に高い領域を示している。
これらの画像からわかるように、本発明の実施例では、相対的にGaが多く含有されている相(Ga−rich領域)が分散した結晶組織を有している。
なお、本発明を、スパッタリングターゲットとして利用するためには、面粗さ:1.5μm以下、電気抵抗:1×10−4Ω・cm以下、金属系不純物濃度:0.1原子%以下、抗折強度:150MPa以上であることが好ましい。上記各実施例は、いずれもこれらの条件を満たしたものである。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態及び上記実施例のスパッタリングターゲットは、平板状のものであるが、円筒状のスパッタリングターゲットとしても構わない。

Claims (2)

  1. 20at%以上30at%未満のGaを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、
    X線回折によりCuGaのγ相に帰属する回折ピークとζ相に帰属する回折ピークとが観察される焼結体からなり、
    前記ζ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度が、前記γ相に帰属する回折ピークの主ピーク強度の10%以上であり、
    酸素含有量が100ppm以下であり、
    平均粒径が100μm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 請求項1に記載のスパッタリングターゲットを製造する方法であって、
    純Cu粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末からなる成形体を、還元性雰囲気中で加熱して常圧焼結する工程を有していることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
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