単回投与または複数回投与製剤に使用することができる、フェノールおよびスクロースの組み合わせを含有する、インターフェロン−βの安定に保存される組成物が説明される。
本明細書に使用されるとき、「インターフェロン」もしくは「IFN」という用語は、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し免疫反応を調節する、高度の相同種特異的タンパク質のファミリを意味する。ヒトインターフェロンは、αおよびβ−インターフェロンを含むI型、およびγ−インターフェロンのみによって表されるII型の2つのクラスにグループ分けされる。各グループの組み換え型が開発され、市販されている。各グループのサブタイプは、抗原特性/構造特性に基づく。本明細書に使用されるインターフェロンの一例は、残基80(Asn80)においてグリコシル化され、かつ組み換えDNA技術を介して派生する、グリコシル化ヒトインターフェロン−βである。
このグリコシル化インターフェロン−βはまた、「インターフェロン−β−1a」もしくは「IFN−β−1a」、または「インターフェロンβ 1a」としても知られ、すべては互換的に使用される。「インターフェロン−β−1a」という用語もまた、その変異体を包含することを意味するが、ただし、かかる変異体もまた、残基80(Asn80)においてグリコシル化されることを条件とする。インターフェロンを含むタンパク質を生成するための組み換えDNA方法は既知である。例えば、米国特許第4,399,216号、同第5,149,636号、および同第5,179,017号(Axelら)、ならびに米国特許第4,470,461号(Kaufman)を参照されたい。
インターフェロン−β−1aの変異体が使用されてもよい。変異体は、当業者に既知の定方向突然変異誘発の従来の方法を使用して開発され、機能的に等価のインターフェロン−β−1aポリペプチドに対してコードする、機能的に等価のインターフェロン−β−1aポリヌクレオチドを含むことができる。
ヒト線維芽細胞インターフェロンの少なくとも一部、およびヒト線維芽細胞インターフェロンの免疫学的もしくは生物学的活性を有するポリペプチドの発現をコードする配列を含有する、組み換えDNAプラスミドの構造もまた、企図される。異なるサブタイプ配列の組み合わせを含有する、ハイブリッドβ−インターフェロン遺伝子の構造は、当業者に既知の技術によって達成することができる。
本明細書に説明される組成物に使用し得る、典型的な好適な組み換えインターフェロン−βには、AVONEX(商標)(Biogen Idec MA Inc.)およびREBIF(商標)(EMD Serono)等のインターフェロンβ−1a、ならびにBETASERON(商標)(Berlex)およびEXTAVIA(商標)(Novartis)として米国で販売されるインターフェロン−β−1bが挙げられるが、これらに限定されない。
インターフェロン−βタンパク質は、C1〜C4アルキルポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)のポリアルキレングリコール残基、またはかかるグリコールのポリ(オキシ)アルキレングリコール残基に抱合され得る。したがって、タンパク質が付着されるポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)のホモポリマーであってもよいか、またはポリオキシエチル化ポリオールであるが、ただし、すべての場合において、ポリマーが室温の水中で可溶性であることを条件とする。かかるポリマーの非制限的な例には、PEG、またはポリプロピレングリコール、もしくはポリオキシエチル化グリコール等のポリアルキレンオキシドホモポリマー、そのコポリマーもしくはそのブロックコポリマーが挙げられるが、ただし、ブロックコポリマーの水溶性が維持されることを条件とする。ポリオキシエチル化ポリオールの例には、例えば、ポリオキシエチル化グリセロール、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、または同等物が挙げられる。ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール主鎖は、モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドにおいて、例えば、動物もしくはヒトに天然に存在する、同一の主鎖である。したがって、この分岐は、必然的に、体内では外来薬剤とみなされない。
ポリアルキレンオキシドの代替として、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物ベースのポリマー、または同等物が使用され得る。当業者は、先述のリストが単に例示であり、本明細書に説明される特性を有するすべてのポリマー材料が企図されることを認識するであろう。ポリマーは、任意の特定の分子量を有する必要はないが、分子量が約300〜100,000、より好ましくは、10,000〜40,000であることが好ましい。特に、20,000以上のサイズは、腎臓内の濾過によるタンパク質損失を防止する上で最も優れている。
ポリアルキレングリコール誘導体化は、ポリアルキレングリコール誘導体の以下の特性に関連する場合、ポリマー−インターフェロン−β−1a抱合体の調剤において多くの有益な特性を有する。すなわち、同時に抗原反応もしくは免疫反応を誘発しない水溶解度の改善、高度な生体適合性、ポリアルキレングリコール誘導体のインビボ生分解の非存在、および有機体による***の容易さである。PEGへのインターフェロン−βの抱合は、米国特許第7,446,173号、および米国特許公開第20050107277号にさらに説明されており、それらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に説明される組成物は、水性の薬学的組成物として調剤することができる。代替的には、本明細書に説明されるインターフェロン−βは、凍結乾燥型に調剤することができ、希釈剤を含むことができる。インターフェロン−βの安定した組成物は、長期間にわたり、例えば、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、またはそれより長く、1つ以上の凝集、フラグメンテーション、脱アミド化、酸化、または生物活性における変化のいずれかをわずかに呈するか、または全く呈しない。例えば、一実施形態において、10%未満の組成物が凝集、フラグメント化、または酸化される。凝集、沈殿、および/または変性は、色および/または透明度の目視検査等の既知の方法によって、またはUV光散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィーによって評価することができる。HPLCもしくは逆相HPLC(RP−HPLC)、またはHPLCの変形を使用して、組成物中の共有的に無傷で、かつ可溶性のタンパク質の量を測定し得る。タンパク質の損失は、不安定が原因の分解を示す。使用することができる他の既知の方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Manning et al.,Pharmaceutical Research,Vol.27,No.4,April 2010に説明されており、タンパク質製剤の安定性を測定するためにも使用され得る。
タンパク質のその生物活性を保持する能力は、タンパク質の化学的に変化された形態を検出し、定量化することによって評価することができる。サイズ変更(例えば、クリッピング)は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS−PAGE、および/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型質量分析法(MALDI/TOF MS)、またはエンドプロテイナーゼで処理されたタンパク質のペプチドマッピングを使用して評価することができる。化学的変化の他の種類には、荷電変化(例えば、脱アミド化の結果、生じる)が挙げられ、例えば、イオン交換クロマトグラフィーによって評価することができる。タンパク質は、所与の時間におけるタンパク質の生物活性が、アッセイにおいて決定されるように、薬学的製剤が調製された時点で呈された生物活性の約10%以内である場合、薬学的製剤におけるその生物活性を保持する。
インターフェロン−βもしくはインターフェロン−β−1aは、例えば、約0.1mg/ml〜約0.9mg/ml、約0.1mg/ml〜約0.5mg/ml、約0.1mg/ml〜約0.3mg/ml、または約0.1mg/ml〜約0.2mg/mlの濃度の緩衝溶液中に提供することができる。インターフェロン−β−1aは、0.25mg/mlの濃度の緩衝溶液中に提供することができる。本組成物は、2〜25℃、5℃、10℃、15℃、20℃、または25℃で保管することができる。本組成物は、1日、2日、3日、4日、または5日、またはそれ以上の間室温で安定とすることができる。室温は、約18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、または25℃とすることができる。本組成物は、第1の低温、例えば、18℃未満もしくはほぼ氷点下であるが、15℃以下、10℃以下、もしくは4℃以下で保管することができ、第2のより高い温度、例えば、冷蔵せずに、または室温で約1〜5日間保存することができる。他の実施形態において、下記に説明されるように調剤されるインターフェロン−βは、2〜25℃、5℃、10℃、15℃、20℃、または25℃で保管されたとき、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、またはそれ以上安定とすることができる。
一実施形態において、インターフェロン−β−1aは、フェノール、スクロース、塩、界面活性剤で調剤することができる。別の実施形態において、凍結乾燥されたインターフェロン−β−1aは、フェノール、スクロース、塩、および/または界面活性剤を含む希釈剤で再構築することができる。本組成物は、抗酸化剤を用いずに調製することができる。本組成物は、メチオニンを含まなくてもよい。一実施形態において、製剤は、1mg/ml〜6mg/ml、2mg/ml〜5mg/ml、または2mg/ml〜4mg/mlの濃度のフェノールで調製することができる。本組成物は、2.5mg/ml〜3.5mg/mlの濃度のフェノールで調製することができる。本組成物は、約2.5mg/ml、2.6mg/ml、2.7mg/ml、2.8mg/ml、2.9mg/ml、3.0mg/ml、3.1mg/ml、3.2mg/ml. 3.3mg/ml、3,4mg/ml、3.5mg/mlの濃度のフェノールで調製することができる。本組成物は、約250mM、300mM、350mM、または400mMの濃度のスクロースで調製することができる。スクロースは、等張剤として機能し得るため、等張剤(複数可)は、体液と同一もしくは実質的に同一の浸透圧を溶液に付与する量で使用し得る。デキストロース、マンニトール、またはラクトース等の他の糖を使用することができる。
本組成物は、抗体の所望の生物活性を保持し、いかなる望ましくない毒性効果も付与しない塩を指す、薬学的に許容される塩を含むことができる(例えば、Berge,S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1−19を参照)。かかる塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、または同等物等の非毒性無機酸、ならびに脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換酸アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、遊離アミノ酸、または同等物等の非毒性有機酸に由来するものが挙げられる。塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、または同等物等のアルカリ土類金属、ならびにN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン、または同等物等の非毒性有機アミンに由来するものが挙げられる。
本組成物は、約10mM〜約200mMの濃度の酢酸ナトリウムまたは塩化ナトリウム等の塩を含むことができる。本組成物は、20mM、30mM、40mM、50mM、100mM、125mM、150mM、または175mMの濃度の酢酸ナトリウムを含有することができる。
別の実施形態において、本組成物は、約0.001%〜約2.0%、約0.004%〜約0.4%、約0.008〜約0.2%、または約0.02%〜約0.08%(w/v)(例えば、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約1%、または約1.5%)の量の、ポリソルベート80等の界面活性剤等の薬学的に許容される賦形剤を含有することができる。使用することができる他の賦形剤には、ポリオキシエチレン誘導体、Tween、Pluronic、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸ポリオキシル、ラウロマクロゴール、またはオレイン酸ソルビタンを挙げることができる。本組成物のpHは、約6.0±0.5、約5.0±0.5、約6.0±0.5、または約7.0±0.5とすることができる。本組成物のpHは、4.8とすることができる。本組成物のpHは、約pH4.5〜約6.0とすることができる。
薬学的組成物は、製造および保管条件下では滅菌されており、安定している。薬学的組成物は、それが投与のための規制基準および業界基準を確実に満たすように試験することもできる。
インターフェロンで治療することができる例示的状態には、細胞増殖障害、特に、多発性硬化症、癌(例えば、有毛細胞白血病、カボジ肉腫、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、基底細胞癌、および悪性黒色腫、卵巣癌、皮膚T細胞性リンパ腫)、またはウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない。制限することなく、インターフェロンでの治療を使用して、インターフェロン感受性ウイルスの複製を抑制することで効果がある状態を治療し得る。例えば、インターフェロンは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)/AIDSの治療において、単独、もしくはAZTと組み合わせて、またはHCVの治療において、リバビリンと組み合わせて使用することができる。本発明に従い治療し得るウイルス感染には、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、他の非A/非B型肝炎、ヘルペスウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、サイトメガロ・ウイルス(CMV)、単純ヘルペス、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV−6)、パピローマ、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、ヒトTリンパ向性ウイルス1型および2型(HTLV−1/−2)、ヒトロタウイルス、狂犬病、HIVを含むレトロウイルス、脳炎、または呼吸器ウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない。
IFN−βもしくはペグIFN−βは、上述の状態のうちのいずれかを治療するために、薬理学的に有効な量で投与される。「薬理学的に有効な量」という用語は、研究者もしくは臨床医によって求められている組織、系統、動物もしくはヒトの生物反応または医学的反応を誘発する、薬物もしくは医薬品の量を意味する。肯定的な臨床反応に著しく影響し、一方、低下したレベルの副作用を維持するのに十分な量である。それを必要とする被験者に投与され得るIFN−βの量は、0.01〜100μg/kg、または、より好ましくは、0.01〜10μg/kgの範囲であり、単回投与または分割投与で投与される。説明される投与量の投与は、1日おきであり得るが、好ましくは、1週間に1回、または1週間おきに生じる。投与量は、注射によって、少なくとも24週間の期間にわたって投与される。本明細書に説明される組成物を利用する投与量レジメンは、型、種、年齢、体重、性別、および患者の医学的状態、治療される状態の重度、投与経路、患者の腎機能および肝機能、または採用される特定の化合物もしくはその塩を含む、様々な因子に従い選択される。インターフェロン−βの活性および患者の副作用に対する感度も考慮される。当業者の医師もしくは獣医は、状態の進行を防止、抵抗、または停止するために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
さらに別の実施形態において、本組成物は、皮下投与もしくは筋肉内投与に好適である。さらに別の実施形態において、本組成物は、IV投与に好適である。本明細書に説明される組成物は、非経口様式(例えば、皮下、腹腔内、または筋肉内注射)によって投与することができる。本明細書に使用されるとき、「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、通常注射による、腸内および局所投与以外の投与様式を意味し、皮下もしくは筋肉内投与、ならびに、静脈内、嚢内、眼窩内、心腔内、皮内、腹腔内、経気管、表皮下、嚢下、くも膜下、髄腔内、硬膜外、および胸骨内注射もしくは注入を含む。投与量の投与は、静脈内、皮下、筋肉内、または任意の他の許容される全身性方法であってもよい。主治医の判断に基づき、投与される薬物の量および使用される治療レジメンは、もちろん、局所毒性または全身性副作用によって明らかな場合、治療される患者の年齢、性別、既往歴、好中球数(例えば、好中球減少症の重度)、特定の疾患状態の重度および患者の治療に対する耐性に依る。
非経口注射可能な投与は、一般に、皮下、筋肉内、または静脈内注射もしくは注入に使用される。例えば、皮下注射を使用して、1週間にわたり、0.01〜100μg/kg、またはより好ましくは、0.01〜10μg/kgのペグIFN−βを送達するとき、それぞれ0.005〜50μg/kg以上、またはより好ましくは、0.005〜5μg/kgの2回の注射は、0時間、および72時間に投与され得る。加えて、非経口投与のための1つのアプローチは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,710,795号に従う、一定レベルの用量が維持されるのを保証する、除放もしくは持続放出システムの埋め込みを採用する。
注射用の凍結乾燥された組成物は、例えば、溶解、分散等によって調製することができる。活性化合物は、例えば、水、生理食塩水、水性ブドウ糖、グリセロール、エタノール、または同等物等の薬学的に純粋の溶媒中に溶解されるか、またはそれと混合され、注射可能な溶液もしくは懸濁液を形成する。加えて、注射前に液体中で溶解するのに好適な固体/凍結乾燥形状は、調剤することができる。注射可能な組成物は、好ましくは、水性の等張溶液もしくは懸濁液である。本組成物は、滅菌されてもよく、かつ/または保存剤、安定化剤、湿潤剤、または乳化剤等のアジュバント、溶液プロモーター、浸透圧および/もしくは緩衝液を調整するための塩を含有してもよい。加えて、それらはまた、他の治療的に有益な物質も含有し得る。
薬学的組成物は、医療用デバイスを用いて投与することができる。例えば、薬学的組成物は、米国特許第5,399,163号、同第5,383,851号、同第5,312,335号、同第5,064,413号、同第4,941,880号、同第4,790,824号、または同第4,596,556号に開示されるデバイス等の無針皮下注射デバイスを用いて投与することができる。公知のインプラントおよびモジュールの例には、制御した速度で薬剤を分配するための埋め込み型マイクロ注入ポンプを開示する米国特許第4,487,603号、皮膚を介して薬剤を投与するための治療用デバイスを開示する米国特許第4,486,194号、正確な注入速度で薬剤を送達するための薬剤注入ポンプを開示する米国特許第4,447,233号、連続的薬物送達のための変流量の埋め込み型注入装置を開示する米国特許第4,447,224号、マルチチャンバコンパートメントを有する浸透圧薬物送達システムを開示する米国特許第4,439,196号、および浸透圧薬物送達システムを開示する米国特許第4,475,196号が挙げられる。治療用組成物はまた、皮下もしくは筋肉内投与のための生分解性もしくは非生分解性の持続放出製剤の形状であってもよい。例えば、米国特許第3,773,919号、および同第4,767,628号、ならびにPCT出願第WO94/15587号を参照されたい。連続投与もまた、埋め込み型もしくは外部ポンプを使用して達成することができる。投与もまた、断続的に、例えば、1日1回の注射、または低投与量で連続的に、例えば、持続放出製剤で実施することもできる。送達デバイスは、インターフェロン−βの投与に最適に適するように変更することができる。例えば、シリンジは、インターフェロン−βの保管および送達に最適である範囲までシリコン処理することができる。もちろん、多くの他のかかるインプラント、送達システム、およびモジュールも既知である。
インターフェロンβ−1a(100μg/ml)、スクロース(300mM)、フェノール(2.5mg/mlもしくは3.5mg/mlのいずれか)、ポリソルベート20(0.005w/v%)、酢酸ナトリウム(20mM)、pH4.8を含有する製剤試験サンプルを、20mMの酢酸緩衝液中で、0.3mg/mlインターフェロンβ−1aの原液から調製した。同様に、REBIF(商標)およびAVONEX(商標)製剤組成物に対応する比較組成物もまた、100μg/mlのインターフェロンβ−1a濃度で調製した。REBIF(商標)製剤組成物に対応する比較組成物は、pH4.0で、10mMの酢酸ナトリウム、247mMのマンニトール、0.8mMのL−メチオニン、0.05w/v%のポロキサマー188,46mMのベンジルアルコールをさらに含有する。AVONEX(商標)製剤組成物に対応する比較組成物は、pH4.8で、20mMの酢酸ナトリウム、150mMのL−アルギニンHCl、0.005w/v%のポリソルベート20を含有する。
すべての溶液を、0.22μmの真空ろ過ユニット(Corning P/N431153、431096、431097および431098、ならびにMillipore P/N SGP00525)を使用して滅菌ろ過した。これらの製剤を、適切な量の賦形剤原液を移すことによって、滅菌フード内で調製した。pH値を0.1MのNaOHもしくは1MのHClを使用して標的値に調整した。最終的に調剤された溶液を0.22μmのMilliporeの50mlの使い捨て真空ろ過ユニット(P/N SGP00525)を使用して滅菌ろ過した。アリコートを滅菌フード内で、加圧滅菌された5mlのバイアル(20mmのワイドネック、ガラスタイプ8412−G、West Pharmaceutical Services,P/N68000318)および加圧滅菌されたストッパー(20mmのFlorotec,West P/N 19700022)内に移した(各調剤に対して2ml)。すべてのバイアルにキャップをした後、各製剤に対して色分けを使用し、それらをフードから移し、圧着した。以下の組成物を下記に説明されるすべての実験に使用した:インターフェロンβ−1a(100μg/ml)、スクロース(300mM)、フェノール(2.5mg/mlもしくは3.5mg/mlのいずれか)、ポリソルベート20(0.005w/v%)、酢酸ナトリウム(20mM)、pH4.8。
図1は、凍結融解サイクルおよび5℃で1ヶ月の保管後のモノマー損失%によって測定される、AVONEX(商標)およびREBIF(商標)の市販の製剤に対応する比較製剤に対する試験製剤の安定性への凍結融解ストレスの影響を示す。図1は、防腐剤の不安定効果を示す。AVONEX(商標)は、防腐剤が存在しない、図1に示される唯一の製剤である。データは、フェノールの存在下で、スクロースがソルビトールまたはアルギニンよりも有効な安定剤であることを示す。
各製剤のサンプルを、環境温度で72時間の攪拌研究のために、650rpmの回転シェーカー上に設置した。図2は、72時間の攪拌、および5℃で1ヶ月の保管後のモノマー損失%によって測定される、AVONEX(商標)およびREBIF(商標)の市販の製剤に対応する比較製剤に対する試験製剤の安定性への攪拌ストレスの影響を表す。データは、フェノールの存在下で、スクロースがソルビトールもしくはアルギニンよりも有効な安定剤であることを表す。データは、スクロース−フェノール組成物が、AVONEX(商標)およびREBIF(商標)製剤に対応する比較製剤よりも安定していたことをさらに示す。
各製剤のサンプルを、5℃、25℃、および40℃で保管した。図3は、25℃で1ヶ月後のモノマー損失%によって測定される、AVONEX(商標)およびREBIF(商標)の市販の製剤に対応する比較製剤に対する試験製剤の安定性への室温の影響を表す。データは、フェノールの存在下で、スクロースがソルビトールもしくはアルギニンよりも有効な安定剤であることを表す。
サンプルに1週間の期間にわたる、5回の凍結融解サイクル(凍結のために−70℃、解凍のために環境温度)を受けさせた。時点を、T=0、1週間、2週間、1ヶ月、および3ヶ月で取り、分析した。図4は、凍結融解サイクル、および5℃で1ヶ月の保管後の可溶性凝集体%で測定される、AVONEX(商標)およびREBIF(商標)の市販の製剤に対応する比較製剤に対する試験製剤の安定性への凍結融解ストレスの影響を示す。データは、フェノールの存在下で、スクロースがソルビトールもしくはアルギニンよりも有効な安定剤であることを表す。
各製剤のサンプルを、環境温度で72時間の攪拌研究のために、650rpmの回転シェーカー上に設置した。図5は、72時間の攪拌、および5℃で1ヶ月の保管後の可溶性凝集体%によって測定される、AVONEX(商標)およびREBIF(商標)の市販の製剤に対応する比較製剤に対する試験製剤の安定性への攪拌ストレスの影響を表す。データは、フェノールの存在下で、スクロースがソルビトールもしくはアルギニンよりも有効な安定剤であることを表す。
各製剤のサンプルを、5℃、25℃、および40℃で保管した。図6は、25℃で1ヶ月後の可溶性凝集体%によって測定される、AVONEX(商標)およびREBIF(商標)の市販の製剤に対応する比較製剤に対する試験製剤の安定性への室温ストレスの影響を表す。データは、フェノールの存在下で、スクロースがソルビトールもしくはアルギニンよりも有効な安定剤であることを表す。データはまた、2.5〜3.5mg/mlのフェノールの範囲の下限に向かうレベルにおいて、スクロース−フェノール製剤が、REBIF(商標)の市販の製剤に対応する比較製剤よりも安定し得ることを示唆する。
製剤を、20mMの酢酸緩衝液中で適切な量の賦形剤をインターフェロン−β−1aの原液に追加することによって調製し、表1に記載される組成物を達成した。表1は、フェノールおよびm−クレゾール等の異なる防腐剤の存在下で、スクロース、マンニトール、グリシン、アルギニン、アルギニンHCl、ソルビトール、硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、塩化ナトリウムを含む安定剤のインターフェロン−β−1aへの安定化効果を表す。インターフェロン−β−1aの安定性を、25℃で0日後、4日後、または24日後に、RP−HPLCを使用して、タンパク質濃度に基づき測定した。定量化は、不安定な製剤がタンパク質濃度を損失するという事実に基づいた。この安定化スクリーニングでは、酢酸ナトリウム中の20mMのIFN−β−1a、pH4.8を使用した。以下の安定剤の濃度、50mg/mlのスクロース、50mg/mlのマンニトール、50mg/mlのグリシン、150mMのアルギニン、150mMのアルギニンHCl、25mg/mlのソルビトール、75mMの硫酸ナトリウム、1mg/mlのポリソルベート20(0.1w/v%)、150mMの塩化ナトリウムを使用した。以下の防腐剤の濃度、3mg/mlのm−クレゾール、3mg/mlのフェノールを使用した。
表1の測定値は、マイクログラム/mLのタンパク質濃度である。表1に示されるように、製剤中のスクロースおよびフェノールの存在下で、タンパク質濃度の損失は無かったが、フェノールおよびm−クレゾールの存在もしくは不在下で、9個中の6個の安定剤の存在下で、著しいタンパク質濃度の損失があった。
示されるデータに基づき、スクロースは、攪拌、凍結融解、および上昇温度研究において、2.5mg/mlおよび3.5mg/mlの両方のフェノールの存在下で、最良の安定剤であると思われる。
上述の様々な実施形態は、例示目的のみで提供され、特許請求される本発明を制限すると解釈されてはならない。当業者は、本明細書に例示され、説明される実施例的実施形態および応用に従うことなく、かつ以下の特許請求の範囲に記載される特許請求される本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、特許請求される本発明に行われ得る様々な修正および変更を容易に認識するであろう。