JP2013529488A - 膀胱内腔を保護および洗浄するための器具 - Google Patents

Abstract

本発明は、さまざまな方法で空間的に拡大可能であり、少なくとも部分的に縮小状態から拡大状態に変化可能な少なくとも１つの機能体（２）から成り、特に膀胱内腔を保護および洗浄するための器具（１）に関する。前記器具（１）は、機能体（２）が膀胱内に挿入された際に、膀胱内腔を細菌の侵入から保護するとともに、機械的洗浄およびそれに続く治癒の間に、感染した膀胱を助ける。本発明はまた、器具（１）の医療目的、特に予防および治療目的での使用にも関する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、少なくとも機能体（ｆｕｎｃｔｉｏｎａｌ ｂｏｄｙ）から成る器具、特に膀胱内腔を保護および洗浄するための器具に関する。本発明はさらに、当該器具の医療目的、特に予防および治療目的での使用に関する。

尿の微生物汚染や膀胱および膀胱上皮の微生物汚染は、多様かつ重度の疾患を引き起こすとともに、その疾患に関係する費用がかかることになる。これまで、強い薬剤を使用したとしても、細菌の定着から膀胱を効果的に保護すること、またはすでに細菌が寄生している膀胱の治癒をサポートすることは不可能であった。

本発明の目的は、薬剤の使用に関係なく、膀胱および膀胱内腔を微生物の定着から保護すること、また起こり得る感染症の治癒をサポートすることである。

本発明によれば、この目的は最初に述べた種類の器具によって達成され、その器具は、機能体の空間寸法が可変であり、機能体は少なくとも部分的に縮小状態から拡大状態へと移行することを特徴とする。機能体が膀胱に挿入された状態で、本発明に係る器具は膀胱を細菌の定着から保護し、細菌が寄生した膀胱の機械的洗浄およびそれに続く治癒をサポートする。この手法により、本発明に係る器具は、細菌が膀胱の粘膜に定着するのを防ぐことができる。本発明の器具の利点は、尿道および尿管からの膀胱の空間への入口が機械的に保護されることである。これによって、細菌が尿道を通って膀胱へと移動するのを防止し、またすでに膀胱に存在する細菌が腎臓へと上昇するのを阻止する。入口の機械的保護の原理は、十分に大きな接触領域を特に保護が必要な膀胱の領域に挿入することによって確実となる。そのために、機能体は、機能体を尿道から膀胱にカテーテルのように挿入することが可能な縮小状態から、機能体の空間寸法が膀胱内でより大きくなり保護機能および洗浄機能を呈することが可能となるような拡大状態へと少なくとも部分的に変形可能である。尿道から膀胱へと挿入するために、機能体は直径約５ｍｍにまで縮小される。約５ｍｍの直径は、尿道から挿入されるカテーテルの既定サイズに相当する。機能体を挿入して開いた後に、膀胱内で約５ｍｍから機能体の最大サイズに拡大する幾何学的問題は、本発明に係る器具によって解消される。

本発明の好適な実施形態では、機能体が、少なくとも液体に対して透過性を有する材料から成り、好ましくは穴または孔を有する材料から成ることが提供される。したがって、膀胱の生理学的機能が損なわれることがないように、機能体は尿に対して透過性を有する。

機能体が縮小状態から拡大状態へと変形するのを容易にするため、また機能体の膀胱内での最適な空間的拡大を可能にするために、本発明の好適な実施形態では、機能体の材料が少なくとも部分的に弾性を有することが提供される。

好ましくは、機能体の材料は、細かい編目状薄布（ｔｉｓｓｕｅ）、多孔ホイル、有微細孔発泡体などから成る群から選択される。機能体の材料は、機能体が確かに液体に対して透過性を有するが、それと同時に病原菌を食い止めるように選択されなくてはならない。さらに、材料は人体と親和性があり、アレルギーを引き起こす可能性がないものでなくてはならない。

本発明の特に好適な実施形態では、機能体が膀胱内で外的な介入なしに独力で拡大状態へと変形するように、機能体の材料が自己膨張性材料であることが提供される。

機能体を除去するためのさらなる介入を避けるために、本発明の好適な実施形態では、機能体が生物学的に分解可能であることが提供される。

本発明のさらなる好適な実施形態では、機能体が、少なくとも部分的に抗菌物質で湿らせたものである、および／または抗菌物質でコーティングされていることが提供される。この実施形態では、細菌の膀胱での蓄積を避けて治癒を促進するために、細菌は機能体の表面に接触することで死滅する。

機能体を縮小状態において可能な限り小型に設計するため、また拡大状態への変形を容易にするために、本発明の好適な実施形態では、機能体が、少なくとも２個、好ましくは４〜３２個のセグメントに分割されることが提供される。そのため、機能体の各内層は、前に位置するセグメント間の隙間を閉じるように配置されることが好ましい。セグメント間の距離は機能体の体積が増加するのに伴い増加するため、セグメントは、折り畳まれた縮小状態のときは重なり合っていなければならない。セグメントおよび層を含む構成の提案された原理は、機能体を挿入して開いた後に、膀胱内で約５ｍｍ（ガイドピンによる挿入の好ましい形態において）から機能体の最大サイズに拡大する幾何学的問題を考慮している。

好ましくは、機能体は、縮小状態では、少なくとも部分的に折り畳まれ、巻かれ、および／または押し潰されている。したがって、機能体は、縮小状態では、最大４〜６ｍｍ、好ましくは約５ｍｍの直径を有してもよい。機能体は、拡大状態では、少なくとも部分的に開かれ、広げられ、および／またはほどかれることが好ましい。

本発明の好適な実施形態では、機能体が、少なくとも２つの層、好ましくは内層および外層を有することが提供される。

ここで、内層は、特に好ましくは一時的に防ガスコーティングおよび／または防水コーティングを備えてもよい。機能体の展開が、例えば注射器や他の機器を用いて流体（液体、ガス）によって外部から開始された場合、内層のコーティングによって、機能体を開くのに十分な圧力を機能体内で確実に蓄積させることが可能となる。コーティングは、膀胱内でのガスおよび液体の入替えが阻害されないように、一定期間の後に独力で分解することが好ましい。

外層は、膀胱の内壁に定着した細菌およびバイオフィルムを機械的に剥離して除去できるように構造化表面を有してもよく、および／または好ましくはピンプル、エンボスなどを備えてもよい。そのために、機能体の材料の低弾性操作力を利用して、外層の構造化表面を膀胱の壁にわずかに押し付ける。膀胱の体積が排出および充填の間に定常的に変化することから機械的運動が発生し、その結果、機能体の構造化表面と膀胱の壁との間の密接な接触とごくわずかな摩耗力とによって、細菌およびバイオフィルムが剥離されて除去される。

本発明に係る器具を、特に尿道から導いて膀胱に挿入することを容易にするため、本発明の好適な実施形態では、機能体が、外面にカバー、好ましくは成形カバーを備えることが提供される。

本発明に係る器具の好適な実施形態では、ガイド要素、好ましくはガイドピンをさらに備えることがさらに提供され、それによって機能体が十分な剛性を有することになる。機能体は、例えば尿道から膀胱に挿入するために、折り畳んでガイドピンの周りに巻きつけることによって直径約５ｍｍに縮小される。

本発明は、全体として、さらに器具の医療目的、特に予防および治療目的での使用に関する。そのため、本発明は特に、本発明に係る器具の、膀胱内腔を保護および洗浄するためのカテーテルの一種としての使用を含む。好ましくは、本発明に係る器具は、可変なサイズを有するぴったりと折り畳まれた機能体の形で使用され、公知のカテーテルに従った膀胱内への尿道からの挿入を可能にする。

本発明はさらに、以下に記載された図面により詳細に説明される。

本発明に係る器具の好ましい実施形態を示す概略図であり、Ｆｉｇ．１Ａは該器具の構造の外観図、Ｆｉｇ．１ＢはＦｉｇ．１Ａに係る器具の構造の詳細図、Ｆｉｇ．１Ｃは支持ピンの周囲に折り畳まれた機能体を示す図、Ｆｉｇ．１Ｄは機能体のセグメンテーションの概略図、Ｆｉｇ．１ＥはＦｉｇ．１Ｃに係る器具の断面図、Ｆｉｇ．１ＦはＦｉｇ．１Ｃに係る器具の縦断面図である。 本発明に係る器具の使用を示す概略図であり、Ｆｉｇ．２Ａは膀胱内で完全に開いた機能体の概略図、Ｆｉｇ．２Ｂは機能体を膀胱に挿入する際の概略図、Ｆｉｇ．２ＣはＦｉｇ．２Ａに係る膀胱内で完全に開いた機能体の詳細図、Ｆｉｇ．２Ｄは機能体を開くための例示的な注射器を示す図である。 本発明に係る器具の使用を示す概略図であり、膀胱内ですでに開いた機能体を、第２の機能体を支持ピンを使用して挿入することによって補う際の図である。

図１は、本発明に係る器具の好ましい実施形態の概略図である。器具１は機能体２を備え、機能体２は、例えば、微弾性のユニファイ細目ねじ、多孔性ホイルまたは有開孔発泡体で構成することができ、これらは好ましくは抗菌コーティングを備える。この機能体２は、一時的な挿入物として人間の膀胱３に挿入することができる（図２のＦｉｇ．２Ａ〜Ｆｉｇ．２Ｃ）。完全に機能するように膀胱空間全体を完全に満たすことになる機能体２は、体積が大きいために、カテーテルのように尿道４を通過することができない可能性がある。そのため、挿入は、カテーテルの場合にように折り畳んで巻いた状態で行われることが好ましい（図１のＦｉｇ．１Ｃ）。膀胱３に挿入した後、機能体２を広げ（図１のＦｉｇ．１ＡおよびＦｉｇ．１Ｄ）、膀胱の壁に密接に接触した状態で膀胱内腔を満たすことによって膀胱の吸入／吐出を利用して機械的洗浄を生じさせることができるようにする（図２のＦｉｇ．２ＡおよびＦｉｇ．２Ｃ）。機能体２が弾性を有し、かつ膀胱内腔全体を満たしていることに加えて、膀胱内腔が継続的に収縮することによって、細菌が定着しやすい膀胱の壁が機械的に洗浄される。機能体２の薄布は細かい網目状で微細孔を有するため、尿が自由に通過することが可能となる（図１のＦｉｇ．１Ｂ）。同時に、機能体２は、細菌の尿道４から膀胱３への上昇移動と、膀胱３から尿管５および腎臓６への上昇移動とを妨害かつ防止する（図２のＦｉｇ．２ＡおよびＦｉｇ．２Ｃ）。本発明の好適な実施形態では、機能体の薄布の抗菌コーティングによって、確実に機能体２の表面を滅菌状態に保ち、細菌が機能体２の表面で生育できないようにしてもよい。機能体２の表面と接触した細菌は、その後死滅する。機能体２の薄布の構造によって、機能体２の薄布部位を滅菌状態に保つ抗菌コーティングを有する比較的大きな領域を含む、大きな接触領域を形成することが可能となる。機能体２の薄布は細かい網目状で微細孔を有するため、尿が自由に通過することが可能となる。薄布の細かい網目が複数の微小細胞と接触するため、細菌が定着した膀胱上皮と尿中の細菌との間には非常に短い距離しか存在しない。

機能体２の外層は、極小かつ本質的に比較的安定したピンプル（小突起）７を備えることが好ましく（図１のＦｉｇ．１Ｂ）、ピンプル７は、膀胱の内壁に定着している細菌およびバイオフィルムを機械的に剥離して除去する。そのために、薄布材料の低弾性操作力を利用して、構造化表面（ピンプル７）を膀胱壁にわずかに押し付ける。膀胱の体積が排出および充填の間に定常的に変化することから機械的運動が発生し、その結果、機能体２の構造化表面と膀胱の壁との間の密接な接触とごくわずかな摩耗力とによって、細菌およびバイオフィルムが剥離されて除去される。

本発明の好適な実施形態では、本発明に係る器具１の機能体２は多数のセグメント８に分割され、多数のセグメント８によって縮小状態における機能体２の小型構成が可能となり、また拡大状態への移行が容易になる（図１のＦｉｇ．１Ｃ〜Ｆｉｇ．１Ｆ）。そのため、機能体２の各内層は、内層の前に位置するセグメント８間の隙間を閉じるように配置されることが好ましい。セグメント８間の距離は機能体の体積が増加するのに伴い増加するため、セグメント８は、折り畳まれた縮小状態のときは重なり合っていなければならない。セグメント８のこの特有な構成によって、効果を途切れさせることなく、膀胱の表面全体の可能な限り多くの部分を覆うことができる。そのためには、薄布材料の所定の弾性に基づく低操作力によって、確実に機能体２の表面をほぼ完全に膀胱の内壁と接触させなくてはならない。膀胱の粘膜や、特に尿管５および尿道４への細菌の接近は、いかなる場合にも抗菌コーティングによって回避することができる。機能体２の内部空間では、ほぼ例外なく尿道４を通って膀胱空間に侵入し得る細菌は、病原体と関連性を有さない。

機能体２は、好ましくは薄布にエンボス加工されたバルジ１８を備える材料から成る。この材料の形状安定性は、押圧して縮小状態（カテーテル形状）にする際に構造体がほぼ消失するように決定する必要がある。

本発明に係る器具１は、さらに機能体２を安定させるガイド要素を備えてもよい。尿道４から挿入するのに十分な剛性を機能体２に与えるためには、例えば、機能体２の該当領域を、例えば金属またはプラスチック製の薄いガイドピン９を包み込むように配置することが有益である（図１のＦｉｇ．１Ｃ、Ｆｉｇ．１ＤおよびＦｉｇ．１Ｅ）。膀胱３に挿入した後、注射器１０（図２のＦｉｇ．２Ｄ）または他の器具を使用して流体を挿入することによってできる水路を通して、機能体２を開き始めるために、ガイドピン９を再度引き抜くことができる（図２のＦｉｇ．２Ｂ）。この手法では、導入の際に、一時的なコーティング（例えば、ポリビニルアルコール、アクリル酸塩または他の自己分解材料）によって内側機能層を防水および／または防ガス加工する必要がある。

機能体２は、洗浄および治癒工程を開始して確実に行うために、最大で約３か月間という限られた期間のみ膀胱３内に留まるべきである。細菌が寄生した膀胱３および膀胱内腔を洗浄した後、機能体２は除去されることが好ましい。機能体２は、他の外的な介入によって除去する必要がないように、生物学的に分解可能な材料の一種として実装してもよい。したがって、材料は尿内で徐々に分解して微粒子となり、尿道４から尿とともに排出される。単に抗菌コーティングで覆われただけの支持材の分解は、抗菌コーティングが支持材のポリマーと混ざり合うことがなく、ゆえに妨害作用を呈する可能性がないため、複合材料を用いたかのようにはるかに簡単に行うことが可能である。

図３は、本発明に係る器具のさらなる例示的実施形態およびその使用を示す。連続的に、機能体２の単一要素１１、１２、１３、１４、１５、１６および１７を、それぞれガイドピン９を超えて、先行する機能体要素の内部に押し込む。要素１１、１２、１３、１４、１５、１６および１７を分割して折り畳むことによって、カテーテルを極めて薄く保つことができる。したがって、より広い接触領域が必要となる場合には、ガイドピン９の周囲に折り畳まれている第２のより小さい要素１２を、尿道４を通してより大きい要素１１の空洞内に下から挿入することが可能である。予め形成された材料の記憶効果を利用すること、または溶解性補強物質などによって機能体の全構造が膀胱空間に集まり、例えば機械的プレテンションによって膀胱周囲の膀胱上皮に柔軟に適合する。この手法によれば、別様に機能化された層を同様に設けてもよい。したがって、例えば外膜は、膀胱３と膀胱の内表面とをそれぞれ滅菌するための追加の抗菌成分を備えるブリスターホイルであってもよい。

多層構造および最小間隔を有し、好ましくは抗菌コーティングを含む機能体２の細かい編目状薄布を用いた器具１の構造的実施は、公知の材料および方法を使用して技術的に達成されうる。

１…器具、２…機能体、３…膀胱、４…尿道、５…尿管、６…腎臓、７…ピンプル、８…セグメント、９…ガイドピン、１０…注射器、１１…要素、１２…要素、１３…要素、１４…要素、１５…要素、１６…要素、１７…要素、１８…バルジ。

Claims (13)

1. 少なくとも空間寸法が可変である機能体（２）から成る器具（１）、特に膀胱内腔を保護および洗浄するための器具（１）であって、前記機能体（２）が少なくとも部分的に縮小状態から拡大状態へと移行可能である、器具。
2. 前記機能体（２）が、少なくとも液体に対して透過性を有する材料から成り、好ましくは穴または孔を有する材料から成ることを特徴とする請求項１に記載の器具。
3. 前記機能体（２）の前記材料が、細かい編目状薄布、多孔ホイルおよび有微細孔発泡体などから成る群から選択されることを特徴とする、請求項１または２に記載の器具。
4. 前記機能体（２）の前記材料が自己膨張性材料であることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載の器具。
5. 前記機能体（２）が生物学的に分解可能であることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか一項に記載の器具。
6. 前記機能体（２）が、少なくとも部分的に抗菌物質で湿らせたものである、および／または抗菌物質でコーティングされていることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか一項に記載の器具。
7. 前記機能体（２）が、少なくとも２個、好ましくは４〜３２個のセグメント（８）に分割されることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか一項に記載の器具。
8. 前記機能体（２）が、前記縮小状態では、少なくとも部分的に折り畳まれ、巻かれ、および／または押し潰されていることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか一項に記載の器具。
9. 前記機能体（２）が、前記縮小状態では、最大４〜６ｍｍ、好ましくは約５ｍｍの直径を有することを特徴とする、請求項１〜８のいずれか一項に記載の器具。
10. 前記機能体（２）が、少なくとも２つの層、好ましくは内層および外層を有し、前記内層は、好ましくは一時的に防ガスコーティングおよび／または防水コーティングを備え、および／または、前記外層は、好ましくはピンプル（７）、エンボスなどを備える構造化表面を有することを特徴とする、請求項１〜９のいずれか一項に記載の器具。
11. 前記機能体（２）が、外面にカバー、好ましくは成形カバーを備えることを特徴とする、請求項１〜１０のいずれか一項に記載の器具。
12. ガイド要素、好ましくはガイドピン（９）をさらに備えることを特徴とする、請求項１〜１１のいずれか一項に記載の器具。
13. 請求項１〜１２のいずれか一項に記載の器具の、膀胱内腔を保護および洗浄するためのカテーテルの一種としての使用。

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