JP2013252754A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回性制御が変速制御と重畳して旋回性制御を中止した場合の違和感を防止することのできる駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】駆動力源から駆動輪に到る動力伝達系統に介装された変速機の変速比を変更する変速制御と、前記駆動輪で発生する駆動力を変化させて車両の旋回性を制御する旋回性制御とを行うように構成された車両の駆動力制御装置において、前記変速比を変更する変速制御と前記旋回性を制御するために前記駆動輪で発生する駆動力を変更する旋回性制御とが重畳した場合に、既に実行されていた前記旋回性制御を中止するとともに、その旋回性制御を中止することにより駆動力を変化させる際の変化割合を予め定めた変化割合以下に制限する(ステップS3)ように構成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両の旋回性能が目標とする性能となるように駆動力を制御する装置に関し、特にスタビリティファクタを利用して駆動力を制御する装置に関するものである。
車両の回頭性あるいは旋回特性は、タイヤで発生する横力や前輪あるいは後輪の駆動力に基づくヨーモーメントなどによって変化する。例えば転舵した状態で前輪の駆動力を大きくすれば、車体の重心を中心としたモーメントが小さくなるのでアンダーステア傾向が強くなり、これとは反対に後輪の駆動力を大きくすれば、車体の重心を中心としたモーメントが大きくなるのでオーバーステア傾向が強くなる。このような旋回性能に関係する物理量としてスタビリティファクタが知られている。定常円を旋回している場合のスタビリティファクタは、車体の重心から前輪車軸および後輪車軸までの距離や前輪および後輪におけるコーナリングパワーをパラメータとして含むものであるが、前後加速度が生じている旋回走行にまで拡張されたスタビリティファクタが知られている。
目標スタビリティファクタは車両の旋回特性もしくは旋回性能を規定するものとして、車速や操舵角度毎などに設計上決めておくことができ、また前後加速度は車体質量と駆動力とに基づいて決まるから、スタビリティファクタの目標値から目標とする前後加速度を求め、その前後加速度となるように駆動力(例えばスロットル開度)を制御すれば、車両の旋回性能が良好なものとなる。このような制御では、先ず、現在時点のスタビリティファクタを求めることになり、これは現時点の車速や操舵角度あるいはヨーレートなどに基づいて求めることができる。また一方、目標スタビリティファクタは予め用意されているマップや操舵角度などに基づいて求めることができる。そして、スタビリティファクタの現在値(推定値)と目標値との偏差を求め、その偏差に相当する前後加速度およびその前後加速度を達成する補正駆動力が求められる。そして、その補正駆動力を出力するように車両の駆動力が制御される。
したがって、旋回性能が良好になるようにスタビリティファクタを利用して駆動力を制御する場合、先ずは、現在時点のスタビリティファクタを求めることになるが、その演算には現在時点のヨーレートが使用される。旋回中に生じるヨーレートは、操舵角度(もしくは前輪の転舵角度)に応じて変化するだけでなく、駆動輪と路面との間に生じる駆動力によっても変化する。したがって、旋回性能を良好にするために上記のように駆動力を制御している際に、車両に搭載されている変速機で変速比を変化させる変速が生じると、駆動力が一時的であっても変化するので、ヨーレートが変化し、その結果、変速が旋回性制御に対するいわゆる外乱として作用することがある。
すなわち、変速は、駆動力を増大させるため、あるいはエンジンなどの駆動力源の回転数を変化させるために、車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて自動的に実行され、あるいは運転者が手動操作することにより実行される。いずれの場合であっても、エンジンなどの駆動力源の回転数が変化するが、エンジンなどの駆動力源やこれに連結されている変速機などの動力伝達機構はある程度の慣性モーメントを有しているから、その回転数を増大させるためにはトルクを加える必要があり、また回転数が減少する場合には慣性トルクを出力することになる。また、有段変速機のようにクラッチやブレーキなどの摩擦係合機構の係合および開放の状態を変更することにより変速を実行する場合には、変速中のいわゆるイナーシャ相で出力軸もしくは駆動輪に対するトルクの伝達が一時的に遮断され、あるいは低下する。このように、走行中に変速が生じると、その変速の過程で駆動力が変化し、それに伴ってヨーレートが変化する。現在時点のスタビリティファクタ(推定スタビリティファクタ)は、前述したようにヨーレートによって変化するから、旋回中に変速が生じると、ヨーレートが変化してスタビリティファクタの推定値(実際値)が変化してしまう。そうすると、スタビリティファクタの実際値(推定値)と目標値との偏差に基づいて駆動力を制御する旋回性能向上制御に対して、旋回中の変速やそれに伴う駆動力の変化が外乱として作用し、目標どおりの旋回性能を得られなくなる可能性がある。
変速制御と他の制御とが重畳して生じることによる不都合を解消するように構成された装置が特許文献1に記載されている。その特許文献1に記載された装置では、ダウンシフトの際に急激なエンジンブレーキを避けるために、スロットル開度を一時的に増大させてエンジン回転数を増加させ、その状態でブレーキなどの係合機構を係合させてダウンシフトを完了し、その後、スロットル開度をアクセル開度に応じた開度に減少させる。その場合、スロットル開度の減少をゆっくり行ってタイヤスリップなどの車両の挙動安定性を阻害する事態を避けている。また、特許文献2には、旋回中は変速段を固定して旋回安定化制御と変速制御とが干渉することを回避するように構成された装置が記載されている。
特開平10−59023号公報 特開2003−182410号公報
車両の旋回性能を向上させるための駆動力の制御と変速制御とが重畳した場合、特許文献1に記載されているように、一方の制御による制御量を他方の制御による制御量で補正すれば、各制御をある程度協調させて実行することができ、また変速制御などいずれか一方の制御が終了した際に上記の補正を解除して他方の制御による制御量に戻す場合に、特許文献1に記載されているようにタイヤスリップが生じないように変化率を抑制すれば、車体の挙動が異常に変化することが回避される。しかしながら、駆動力を特許文献1に記載されているように戻したとしても、駆動力の変化やそれに起因する車体の挙動の変化が乗り心地や搭乗者の違和感を悪化させる可能性があり、車両の駆動力制御としては未だ改良の余地がある。
また、スタビリティファクタを利用して駆動力を制御することにより旋回性能を向上させる制御と、変速制御とが重畳した場合に、特許文献2に記載されているように変速段を固定するなど、一方の制御を中止もしくは禁止することが考えられる。その場合、変速比が強制的に固定されることにより変速比と走行状態とが、過渡的に、想定されている関係から外れてしまうから、複数の制御が重畳する状態が解消すると、中止もしくは禁止されていた制御を開始することになる。このようにして制御を再開する際に変速比や駆動力を、制御の再開を要因として、制御目標値に直ちに変化させると、車両の挙動が急激に変化してショックが生じたり、急激な挙動の変化が違和感となったりする可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、駆動力による旋回性制御と変速制御とが重畳した場合にショックや運転者の違和感を回避もしくは抑制することのできる駆動力制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動力源から駆動輪に到る動力伝達系統に介装された変速機の変速比を変更する変速制御と、前記駆動輪で発生する駆動力を変化させて車両の旋回性を制御する旋回性制御とを行うように構成された車両の駆動力制御装置において、前記変速比を変更する変速制御と前記旋回性を制御するために前記駆動輪で発生する駆動力を変更する旋回性制御とが重畳した場合に、既に実行されていた前記旋回性制御を中止するとともに、その旋回性制御を中止することにより駆動力を変化させる際の変化割合を予め定めた変化割合以下に制限するように構成されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記予め定めた変化割合は、前記変速制御の安定性を維持するべく予め定められた駆動力の変化割合と、前記車両の搭乗者に違和感を与えないように予め設定された変化割合とのうち小さい変化割合であることを特徴とする車両の駆動力制御装置である。
この発明によれば、駆動力を変更して旋回性を制御する旋回性制御と、変速制御とが重畳した場合に、旋回性制御が中止される。そのため、旋回性制御が不安定になることを回避もしくは抑制することができる。また、旋回性制御の中止によって駆動力を変更することになり、より具体的には旋回性制御で補正していた駆動力を、補正のない駆動力に戻し、あるいは一旦保持した補正駆動力を変速制御終了後の値に変更することになり、その場合の駆動力の変化割合が、予め定めた変化割合に制限される。こうすることにより駆動力による旋回性制御が中止されても、違和感が生じることを回避もしくは抑制することができる。
この発明に係る駆動力制御装置によって実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。 手動変速機での変速開始と変速終了との判断の仕方を説明するためのタイムチャートである。 有段自動変速機での変速開始と変速終了との判断の仕方を説明するためのタイムチャートである。 無段変速機での変速開始と変速終了との判断の仕方を説明するためのタイムチャートである。 駆動力の変化割合の基準値の例を示す線図である。 この発明を適用できる車両の一例を模式的に示すブロック図である。 スタビリティファクタの偏差と補正駆動力との関係を説明するための図である。
この発明を図に示す具体例に基づいて説明する。この発明の駆動力制御装置は、変速機を搭載した車両の旋回性能を向上させるために、スタビリティファクタを利用して前後加速度あるいは駆動力を制御するように構成された装置であり、その車両は、内燃機関やモータなどを動力源とした前輪駆動車や後輪駆動車あるいは四輪駆動車などであってよい。エンジンによって後輪を駆動する二輪駆動車の駆動系統および制御系統の一例を図6にブロック図で示してある。エンジン1の出力側に変速機2が連結され、その変速機2から出力された動力をデファレンシャル(終減速機)3を介して左後輪Rlおよび右後輪Rrに分配して伝達するように構成されている。すなわち、エンジン1から駆動輪に到る動力伝達系統に変速機2が介装されている。また、左右の前輪Fl,Frは操舵輪であり、これらの四輪Fl,Fr,Rl,Rrのそれぞれの回転速度(回転数)を検出する車輪速センサ4が設けられ、また車体に生じるヨーを検出するヨーレートセンサ5が設けられている。
さらに、車両の全体の総合的な制御を行うマイクロコンピュータを主体とする車両用電子制御装置(車両ECU)6が設けられている。その車両用電子制御装置6は、駆動力および変速比を制御するように構成されており、前述した車輪速センサ4やその車輪速センサ4の検出値から算出される車体速度、ヨーレートセンサ5が出力する検出信号、前後加速度、横加速度、操舵角、アクセル開度、ブレーキ信号、路面摩擦係数などの各種の検出信号が入力されており、また車体重量やホイールベース、車体の重心から前後輪の軸までの距離(前後軸間距離)、前後輪のコーナリングスティッフネス(コーナリングフォース)などのデータおよびその他の予め設定した定数やマップが車両用電子制御装置6に記憶させられている。そして、車両用電子制御装置6は、これらの検出信号やデータ、マップなどに基づいて演算を行って目標スタビリティファクタや目標駆動力、目標前後加速度、変速比などを求め、必要な制御信号を出力するように構成されている。その制御信号が入力されてエンジン1や変速機2を制御するマイクロコンピュータを主体とするエンジン/変速機用電子制御装置(エンジン/TM ECU)7が設けられている。
この発明に係る駆動力制御装置は、前後加速度のある旋回中にスタビリティファクタの目標値を求め、その目標値を達成するように目標駆動力を求めて駆動力を制御する。その場合のスタビリティファクタについての演算は、前述した前後加速度についての二次関数式(すなわち理論式)を使用して行う。その演算は従来知られている演算式を用いたものであってよく、これをより一般的に説明すれば、スタビリティファクタの現在値(もしくは推定値)は、その時点の車速、ヨーレート、操舵角ならびに車両のホイールベースなどに基づいて求め、もしくは現在の前後加速度もしくはそれに相当するアクセル開度などの操作量と前記二次関数式とに基づいて求めることができる。、また前後加速度がある旋回中にまで拡張した理論式を使用して、加速要求に基づく加速度やそれに対応する操作量に基づいて目標値を求める。これらの現在値と目標値とからスタビリティファクタの補正量を演算できるから、その補正量を上記の二次関数式に代入すれば、前後加速度(特にその補正量)を未知数とした二次方程式が得られるので、これを解くことにより前後加速度の補正量が求まり、駆動力をその補正量に相当して増減(補正)する。
ここで、参考として、拡張スタビリティファクタの理論式と、車両の走行状態から実スタビリティファクタ(推定スタビリティファクタ)を求める式とを示す。なお、(1)式が拡張スタビリティファクタの理論式、(2)式が実スタビリティファクタの演算式である。
Figure 2013252754
これらの式において、kh はスタビリティファクタ、kh0,kh1,kh2のそれぞれは車両毎に決まる係数、Gx は前後加速度、γrealは車両の実ヨーレート(センサの検出値)、Vは車速、Lは車両のホイールベース、δは操舵角度、nはステアリングギヤ比である。したがって、例えば図7に示すように、スタビリティファクタkh*は前後加速度Gx の二次式の曲線で表すことができ、車両の実際の走行状態に基づいて求められた実スタビリティファクタ(推定スタビリティファクタ)をその曲線上に採ることができ、またそれに応じた前後加速度Gxrealが求まる。目標スタビリティファクタはアクセル開度や操舵角度などに基づいてマップから求められるから、それらのスタビリティファクタの偏差Δkh に応じた前後加速度ΔGx を加えた前後加速度(Gxreal+ΔGx )が求まる。したがって、その前後加速度の偏差ΔGx に相当する駆動力の補正を行うことにより、スタビリティファクタが目標値に追従するように旋回性能を制御することができる。
スタビリティファクタを目標値に追従させるべく駆動力を上記のようにして補正もしくは制御する場合、その駆動力の補正量は、スタビリティファクタの実際値と目標値との変化に基づいて求まり、またその実スタビリティファクタは実ヨーレートを含む演算式によって求められるから、変速機2での変速などによって実ヨーレートが変動すると、駆動力の補正量が変動してしまい、旋回性制御が不安定になる。言い換えれば、変速などによる駆動力の一時的な変動が、旋回性制御に対する外乱となる。そこで、この発明に係る駆動力制御装置は、駆動力を変更することにより旋回性を制御する旋回性制御の実行中に、変速機2での変速比を変更する変速が実行され、両者の制御が重畳する場合には、旋回性制御を中止し、それまで実行されていた駆動力の補正を解消して駆動力を補正のない値に戻すように構成されている。
その制御の一例を図1に基づいて説明する。図1は、この発明に係る駆動力制御装置で実行される制御の一例を説明するための簡略化したフローチャートであって、ここに示すルーチンは車両が走行している場合、あるいはメインスイッチがオンになっている場合に繰り返し実行されており、したがって駆動力による旋回性能向上のために補正駆動力が演算され、また出力されている(ステップS1)。その状態で変速機2での変速比が変更される変速中か否かが判断される(ステップS2)。この判断は、要は、変速の実行に伴って駆動力(駆動トルク)が変動するか否か、あるいは旋回性制御に影響する程度の駆動トルクの変動が生じるか否かを判断するためのものであり、したがってトルクセンサを備えている場合にはそのトルクセンサの出力信号に基づいて判断することができる。あるいは車両に備えられている既存のセンサの出力信号を利用して変速中もしくは変速開始の判断、あるいは変速の終了の判断を行うことができる。その例を説明する。
前述した変速機2が手動変速機である場合、変速を行う際には、先ずクラッチペダルを踏み込んでクラッチを切る(開放する)ことにより変速機2にエンジン1から入力される動力を遮断し、その状態でシフト操作を行った後、クラッチペダルを戻してクラッチを繋ぐ(係合させる)ことにより一連のシフト操作が完了する。その状態を図2に示してあり、運転者がクラッチペダルを踏み込むと、その踏み込み量に応じてクラッチが次第に開放し、ついには完全開放状態になる。その過程で、クラッチのトルク容量が次第に低下するので、変速機2の出力軸に現れるトルクなど伝達される駆動力が、クラッチペダルの踏み込み開始に対して遅れて低下し、クラッチの完全開放状態では伝達される駆動力がゼロになる。したがって、クラッチペダルの踏み込み量あるいは踏み込み力もしくはクラッチのストロークを角度センサやストロークセンサによって検出することにより、変速中もしくは変速開始(t1 時点)を判断できる。一方、運転者のシフト操作が完了した後にクラッチペダルが戻され、クラッチはいわゆる半クラッチ状態を経て完全係合状態に復帰し、それに伴って伝達される駆動力がゼロから次第に増大し、ついにはトルク伝達率が100%になる。クラッチの伝達トルク容量は、伝達するべきトルクより大きいのが通常であるから、クラッチペダルが完全に戻される直前にトルク伝達率は100%になる。したがって、変速の終了(t2 時点)は、クラッチペダルの踏み込み量あるいは踏み込み力もしくはクラッチのストロークを角度センサやストロークセンサによって検出することにより判断できる。
前述した変速機2が有段式の自動変速機の場合、変速を行うべきことの判断は、車速やアクセル開度などの車両の走行状態と変速マップ(変速線図)とに基づいて行われ、その変速の判断が成立して変速指令信号が出力されてクラッチやブレーキの係合および開放の状態が切り替えられる。その状態を図3に示してあり、車速やアクセル開度などによって決まる走行状態が変速マップにおけるアップシフト線もしくはダウンシフト線を横切るように変化すると変速の判断が成立する(t10時点)。その直後(t11時点)に変速前の変速段で係合していたクラッチもしくはブレーキの油圧が所定圧力低下させられ、同時に変速後に係合させるべきクラッチもしくはブレーキの油圧が、いわゆるファーストフィルのために所定圧力増大させられ、その後、係合側および開放側の各油圧が所定の圧力(棚圧)に所定時間維持される。その後、開放側の油圧をある程度大きい勾配で低下させ、これに対して係合側の油圧を徐々に増大させる。こうすることにより、開放側のクラッチもしくはブレーキで受け持っていたトルクが、係合側のクラッチもしくはブレーキによって受け持たれるように切り替わり、その過程でこれらのクラッチもしくはブレーキの滑りによってエンジン回転数が次第に変化する。なお、図3はアップシフトの例を示しており、したがってエンジン回転数は次第に低下することとしてある。そして、エンジン回転数が変速後の回転数(すなわち変速後の変速比と出力軸回転数との積で表される回転数)に達すると、変速機2の各部分の回転数が変速後の回転数に達したことになるので、係合側の油圧がライン圧などの定常の圧力に増大させられる(t12時点)。自動変速機においては、このように油圧によって変速が制御されるので、その油圧もしくは油圧に関する指令信号の出力の状態に基づいて変速中もしくは変速開始および変速終了を判断することができる。
さらに、無段変速機の場合について図4を参照して説明する。無段変速機は変速比を連続的に変化させることができるので、その機能を利用して、エンジン回転数が最適燃費線などに基づいて求められる目標回転数となるように制御され、その結果として実質的な変速比が変化する。したがって、定常走行状態においても車速を維持するなどのために僅かながら変速比が変化している。これに対して、例えば加速する場合には、アクセルペダルが大きく踏み込まれ、それに伴ってエンジン出力が増大して車速が意図した車速に近づくと、アクセルペダルが次第に戻されてエンジン出力が低下する。図4の実線はこのようなアクセル開度の車速に応じた変化を示している。このように加速時においては、車速とアクセル開度もしくはスロットル開度とで表される運転点は、図4の左側の図に黒丸で示してある点から白丸で示してある点に変化し、その変化量は定常的な走行を行っている場合の変化量を超える。そこで、定常走行状態における運転点の変化量以上のしきい値を予め設定しておき、運転点の変化量がそのしきい値を超えたことによって変速開始もしくは変速中の判断を行うことができる。一方、加速操作を行ってから予め定めた規定の時間を経過して車速が増大すると、アクセルペダルは加速後の走行状態を維持するように戻されるから、運転点は図4の右側の図に示す白丸で示す点から黒丸で示す点に変化し、これは人為的操作に基づくものであるから、この運転点の変化量は定常的な走行を行っている場合の変化量を超える。そこで、定常走行状態における運転点の変化量以上のしきい値を予め設定しておき、運転点の変化量がそのしきい値を超えたことによって変速終了の判断を行うことができる。
ステップS2での判断は、変速機2の形式に応じて上記のようにして実行することができ、その判断の結果が否定的であれば、駆動力による旋回性能の向上制御と変速制御とが重畳しないことになるので、特に新たな制御を行うことなくリターンし、図1に示すルーチンを一旦終了する。これに対して変速中であることによりステップS2で肯定的に判断された場合には、駆動力による旋回性能向上制御を中止(終了)する(ステップS3)。すなわち、ステップS1において、スタビリティファクタの実際値が目標値に一致するように駆動力を補正する制御が実行されているが、その制御中に変速が行われる場合にはステップS2で肯定的に判断されて、ステップS1での駆動力の補正制御が中止もしくは終了させられる。この駆動力の補正制御の終了によって駆動力を補正のない値に変化させることになるので、その変化率(変化割合)を規制するための基準値X1 ,X2 が事前に読み込まれる(ステップS4)。
一方の基準値X1 は、駆動力の変化が搭乗者に違和感を与えない程度の値として実験やシミュレーションなどによって予め定めた値である。他方の基準値X2 は、変速性能の安定性を維持することのできる駆動力の変化率に相当する値であり、実験やシミュレーションなどの結果に基づいて設計上定めることができる。なお、変速性能の安定性とは、変速ショックが悪化しないこと、変速の遅れ感が生じないことなど変速制御において通常要請される特性を満たすことである。
ステップS3で駆動力による旋回性能向上制御を中止もしくは終了することに伴って、駆動力の補正を中止して駆動力を補正のない値に変化させる場合、その変化率もしくは変化率の上限として、前記二つの基準値X1 ,X2 のうちの小さい値が選択され、その選択された基準値X1 ,X2 の範囲内で駆動力が変化させられる。言い換えれば、駆動力の変化割合がこれら予め定めた変化割合に制限される。
この関係を図によって説明すると、図5は旋回性能向上のための補正駆動力が負の駆動力になっている場合の例を示しており、変速の判断が成立すると、駆動力の補正が中止されるので、補正量がゼロに戻され、駆動力は増大させることになる。その時点の車速や操舵角度あるいは変速の内容などによって上記の基準値X1,X2 の値は異なり、そのため例えば図5の(A)に示すように、変速性能安定化のための基準値X2 が搭乗者に違和感を与えないための基準値X1 より大きく(急勾配に)なり、あるいはこれとは反対に搭乗者に違和感を与えないための基準値X1 が図5の(B)に示すように、変速性能安定化のための基準値X2 より大きく(急勾配に)なることがある。前者の場合、この発明に係る駆動力制御装置では、小さい値の基準値X1 が選択されてその基準値X1 の変化率で駆動力が変化させられる。したがってこの場合は、旋回性能向上制御を中止することに伴う駆動力の変化が生じても搭乗者に違和感を与えることを回避もしくは抑制することができる。また、図5の(B)に示す後者の場合、変速性能安定化のための基準値X2 が相対的に小さい値になっているので、この基準値X2 が選択され、その基準値X2 の変化率で駆動力が変化させられる。したがってこの場合は、旋回性能向上制御を中止することに伴う駆動力の変化が生じても変速安定性が損なわれることはなく、またその変化率は、搭乗者に違和感を与えない基準値X1 による変化率より小さいから、搭乗者に違和感を与えることも回避もしくは抑制することができる。
以上説明したようにこの発明に係る駆動力制御装置では、駆動力を変更して旋回性能を向上させる制御を、変速制御と重畳しないように実行するので、旋回性能向上制御が外乱によって不安定になることを抑制し、所期の旋回性能を達成することができる。また、変速制御が実行される場合に旋回性能向上制御を中止し、それに伴って駆動力の補正を中止して駆動力を変化させることになるが、その場合の駆動力の変化率を違和感の生じない変化率と変速性能を安定させる変化率とのうちの小さい値の変化率に設定するので、搭乗者に違和感を与えることを回避もしくは抑制できるとともに変速性能を安定させることができる。
1…エンジン、 2…変速機、 3…デファレンシャル(終減速機)、 Rl…左後輪、 Rr…右後輪、 Fl…左前輪、 Fr…右前輪、 4…車輪速センサ、 5…ヨーレートセンサ、 6…車両用電子制御装置(車両ECU)、 7…エンジン/変速機用電子制御装置(エンジン/TM ECU)。

Claims (2)

  1. 駆動力源から駆動輪に到る動力伝達系統に介装された変速機の変速比を変更する変速制御と、前記駆動輪で発生する駆動力を変化させて車両の旋回性を制御する旋回性制御とを行うように構成された車両の駆動力制御装置において、
    前記変速比を変更する変速制御と前記旋回性を制御するために前記駆動輪で発生する駆動力を変更する旋回性制御とが重畳した場合に、既に実行されていた前記旋回性制御を中止するとともに、その旋回性制御を中止することにより駆動力を変化させる際の変化割合を予め定めた変化割合以下に制限するように構成されていることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 前記予め定めた変化割合は、前記変速制御の安定性を維持するべく予め定められた駆動力の変化割合と、前記車両の搭乗者に違和感を与えないように予め設定された変化割合とのうち小さい変化割合であることを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動力制御装置。
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