JP2013245850A - 空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも消費電力が削減された空気調和機を提供する。
【解決手段】圧縮機2と、室外熱交換器4と、室内熱交換器7と、過冷却用熱交換器10と、を備え、圧縮機2、第1熱交換器4、過冷却用熱交換器10、及び、室内熱交換器7がこの順で配管により接続されて冷媒循環サイクルを備え、室外熱交換器4と過冷却用熱交換器10との間で前記冷媒循環サイクルから分岐し、圧縮機2の吸入側に合流されるバイパス回路を備え、過冷却用熱交換器10において、前記冷媒循環サイクルを通流する冷媒と前記バイパス回路を通流する冷媒との間で熱交換が行われるように、過冷却用熱交換器10に、前記冷媒循環サイクルと前記バイパス回路とが接続され、過冷却用熱交換器10には、蓄熱材12が配設されている。
【選択図】図1
【解決手段】圧縮機2と、室外熱交換器4と、室内熱交換器7と、過冷却用熱交換器10と、を備え、圧縮機2、第1熱交換器4、過冷却用熱交換器10、及び、室内熱交換器7がこの順で配管により接続されて冷媒循環サイクルを備え、室外熱交換器4と過冷却用熱交換器10との間で前記冷媒循環サイクルから分岐し、圧縮機2の吸入側に合流されるバイパス回路を備え、過冷却用熱交換器10において、前記冷媒循環サイクルを通流する冷媒と前記バイパス回路を通流する冷媒との間で熱交換が行われるように、過冷却用熱交換器10に、前記冷媒循環サイクルと前記バイパス回路とが接続され、過冷却用熱交換器10には、蓄熱材12が配設されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気調和機に関する。
エアコン(Air Conditioner)等の空気調和機は年間を通じて広く使用されている。そのため、空気調和機の省エネルギ化と快適性とが望まれている。特に、電力需要の増加に伴う電力使用ピーク時の供給量不足の懸念から、例えば夏期の酷暑日等の使用ピーク時間帯における消費電力の削減が求められている。即ち、電力消費量が最も多くなる高負荷時における、冷凍サイクルの高効率化が望まれている。
このような技術に関連して、例えば特許文献1には、圧縮機、凝縮器、過冷却用熱交換器、第1の膨張機構及び蒸発器の順に冷媒が流れる冷媒回路を備えた空気調和機において、前記冷媒として非共沸混合冷媒を用いる空気調和機が記載されている。
特許文献1に記載の空気調和機では、過冷却用熱交換器において、熱を失って凝縮された主流冷媒が過冷却されている。しかしながら、この過冷却用熱交換器においては、外気の熱が主流冷媒に移動することがある。その結果、過冷却中の冷媒の温度が上昇することがある。これにより、蒸発器に供給される冷媒温度が上昇し、空気調和機の冷凍能力が低下することがある。そして、低下した冷凍能力を回復させるための運転が必要になることがあり、特許文献1に記載の空気調和機においては、その消費電力に依然として削減の余地がある。
本発明は前記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来よりも消費電力が削減された空気調和機を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、過冷却用熱交換器に蓄熱材を設けることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、従来よりも消費電力が削減された空気調和機を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明するが、本実施形態は以下の内容に何ら限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施可能である。
[1.第1実施形態]
図1は、本実施形態の空気調和機1を示す図である。空気調和機1は、圧縮機2と、四方弁3と、室外熱交換器4と、第1膨張弁5と、第2膨張弁6と、室内熱交換器7と、サクションタンク8と、過冷却用膨張弁9と、過冷却用熱交換器10と、制御部14と、操作部15と、を備えている。
図1は、本実施形態の空気調和機1を示す図である。空気調和機1は、圧縮機2と、四方弁3と、室外熱交換器4と、第1膨張弁5と、第2膨張弁6と、室内熱交換器7と、サクションタンク8と、過冷却用膨張弁9と、過冷却用熱交換器10と、制御部14と、操作部15と、を備えている。
図1に示すように、空気調和機1においては、圧縮機2、室外熱交換器4、過冷却用熱交換器10、室内熱交換機7及び圧縮機2が配管により接続されて冷媒循環サイクルが形成されている。そして、冷房運転時には、圧縮機2、室外熱交換器4、過冷却用熱交換器10、及び室内熱交換機7の順で冷媒が通流(主流)するようになっている。一方、暖房運転時には、圧縮機2、室内熱交換器7、過冷却用熱交換器10、室外熱交換器4及び圧縮機2の順で冷媒が通流するようになっている。
即ち、空気調和機1は、圧縮機2、室外熱交換器4(第1熱交換器)、過冷却用熱交換器10、及び、室内熱交換器7(第2熱交換器)がこの順で配管(図示しない)により接続されて冷媒循環サイクルを備えている。
室外熱交換器4から排出された冷媒の一部は、過冷却用膨張弁9を経由し、過冷却用熱交換器12において、主流の冷媒と熱交換するようになっている。即ち、空気調和機1は、室外熱交換器4(第1熱交換器)と過冷却用熱交換器10との間で前記冷媒循環サイクルから分岐し、圧縮機2の吸入側に合流されるバイパス回路を備えている。
四方弁3は、空気調和機1の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替えるものである。即ち、空気調和機1の運転モードが「冷房」である場合、四方弁3は流路3aに切り替わるようになっている。これにより、圧縮機2から排出された冷媒は、四方弁3の流路3aを介して、室外熱交換器4に供給されるようになっている。そして、室外熱交換器4から排出された冷媒は、過冷却用熱交換器10を経由して室内熱交換器7に供給され、室内熱交換器7から排出された冷媒は、四方弁3の流路3aを介して、サクションタンク8及び圧縮機2に戻るようになっている。
また、空気調和機1の運転モードが「暖房」である場合、四方弁3は流路3bに切り替わるようになっている。これにより、圧縮機2から排出された冷媒は、四方弁3の流路3bを介して、室内熱交換器7に供給されるようになっている。そして、室外熱交換器7から排出された冷媒は、過冷却用熱交換器10を経由して室外熱交換器4に供給され、室外熱交換器4から排出された冷媒は、四方弁3の流路3bを介して、サクションタンク8及び圧縮機2に戻るようになっている。
第1膨張弁5(第1通流制御手段)、第2膨張弁6(第2通流制御手段)及び過冷却用膨張弁9(第3通流制御手段)は、通流する冷媒の量を制御するものである。即ち、弁の開度が最大の場合、弁を通流する冷媒の量が最大となる。一方で、弁の開度がゼロの場合、冷媒は弁を通過しない。なお、いずれの弁も通流抵抗は小さく、冷媒が弁を通流する時に圧損等が生じないようになっている。第1膨張弁5(第1通流制御手段)、第2膨張弁6(第2通流制御手段)は前記冷媒循環サイクルに設けられ、過冷却用膨張弁9(第3通流制御手段)は前記バイパス回路に設けられている。
室外熱交換機4、室内熱交換器7及び過冷却用熱交換器10は、いずれも熱交換器である。室外熱交換器4及び室内熱交換器7においては、通流する冷媒と外気との間で熱の授受が行われる。これにより、冷媒の温度や状態が変化するようになっている。過冷却用熱交換器10は、二重管熱交換器である。過冷却用熱交換器10においては、内管10a(図2参照)を通流する冷媒と外管10b(図2参照)を通流する冷媒との間で熱が授受されるようになっている。過冷却用熱交換器10の外側(外管10bの周囲)には蓄熱材12が設けられている。これらのことをまとめると、過冷却用熱交換器10は、内管10a及び外管10bを備える二重管熱交換器であり、内管10aには前記冷媒循環サイクルが接続され、外管10bにはバイパス回路が接続され、外管10bの外側に蓄熱材12が配設されている。蓄熱材12等は、蓄熱槽11(図2参照)に収容されている。
過冷却用熱交換器10の構成の詳細については、図2を参照しながら後記する。
過冷却用熱交換器10の構成の詳細については、図2を参照しながら後記する。
過冷却用熱交換器10においては、前記した冷媒循環サイクル(主流)を通流する冷媒と、前記した冷媒循環サイクルから分岐して通流する冷媒(バイパス流)との間で、熱交換が行われるようになっている。バイパス流は、第1膨張弁5と過冷却用熱交換器10との間で分岐し、過冷却用熱交換器10において熱交換した後、四方弁3とサクションタンク8との間に合流するようになっている。即ち、過冷却用熱交換器10において、前記冷媒循環サイクルを通流する冷媒と前記バイパス回路を通流する冷媒との間で熱交換が行われように、過冷却用熱交換器10に、前記冷媒循環サイクルと前記バイパス回路とが接続されている。
制御部14は、四方弁3、第1膨張弁5、第2膨張弁6及び過冷却用膨張弁9を制御するものである。これらの制御により、蓄熱材12に冷媒の熱(冷熱含む)が蓄えられるようになっている。即ち、制御部14は、圧縮機2を運転中、少なくとも前記冷媒循環サイクルに冷媒を通流させて、圧縮機2から排出される冷媒の有する熱を蓄熱材12に蓄熱し、蓄熱材12への蓄熱後、前記冷媒循環サイクルを通流する冷媒に蓄熱材12に蓄熱された熱を伝達する制御を行うようになっている。
制御部14は、図示しない電気信号線により、四方弁3、第1膨張弁5、第2膨張弁6及び過冷却用膨張弁9に接続されている。制御部14は、CPU(Central Processing Unit)14a、HDD(Hard Disk Drive)14b、ROM(Read Only Memory)14c、RAM(Random Access Memory)14d、I/F(Inter Face)14e等を備えている。そして、制御部14は、ROM14cに格納されている制御プログラムをRAM14dに展開して実行することにより具現化される。
操作部15は、空気調和機1の運転状況が表示されるとともに、空気調和機1の運転モードが入力されるものである。具体的には、七セグメントLEDや液晶等の表示部15aに、空気調和機1の運転状況が表示されるようになっている。また、ボタン15bが押下されること等により、運転モード(暖房、冷房等)等の入力が行われるようになっている。操作部15は、制御部14に、図示しない電気信号線により接続されている。
図2は、本実施形態の空気調和機1に備えられる過冷却用熱交換器10を示す図である。過冷却用熱交換器10は、図2に示すように、内管10aと外管10bとを備えて構成されている。内管10aは、室外熱交換器4及び室内熱交換器7に接続されている。外管10bは、過冷却用膨張弁9及びサクションタンク8に接続されている。
詳細は後記するが、空気調和機1の冷房運転時、内管10aを通流する冷媒は、紙面上方向から紙面下方向に通流するようになっている。一方で、外管10bを通流する冷媒は、紙面下方向から紙面上方向に通流するようになっている。即ち、内管10a内の冷媒と外管10b内の冷媒とは、対向流になっている。これにより、内管10aを通流する冷媒と外管10bを通流する冷媒との間でより大きな温度差を形成することができ、熱交換効率を向上させることができる。
外管10bの外側には、蓄熱材12が設けられている。そして、蓄熱材12は、蓄熱槽11により覆われている。即ち、内管10a、外管10b及び蓄熱材12は、蓄熱槽11に収容されている。蓄熱槽11は蓋によって封止され、この蓋を貫通して、内管10a及び外管10bが各手段と連通している。
内管10a及び外管10bは、伝熱性に優れた材料(例えば銅)により構成されている。これにより、内管10aを通流する冷媒と外管10bを通流する冷媒との間で熱交換され易くすることができる。また、外管10bを通流する冷媒と蓄熱材12との間で熱交換され易くすることができる。
さらには、外管10b内に冷媒が存在することにより、外管10b内の冷媒を介して、内管10a内の冷媒と、蓄熱材12とを熱交換させることができるようになっている。これにより、内管10a、外管10b及び蓄熱材12の間で相互に熱交換可能になっている。
蓄熱材12は任意の潜熱蓄熱材であり、例えば、水、不凍液(エチレングリコール等)、ブチレンゴム等の冷媒の通流温度(通常15℃〜25℃程度)にて相変化しない媒体、パラフィン等の冷媒の通流温度(通常15℃〜25℃程度)にて相変化する媒体が適用可能である。この中でも、より多く蓄熱することができるという観点からはパラフィン(相変化する媒体)が好ましく、安価であるという観点から水、不凍液が好ましい。
このように、過冷却用熱交換器10に蓄熱材12を設けることにより、過冷却用熱交換器10内の冷媒と蓄熱材12との間で熱交換を生じさせることができる。特に、過冷却用熱交換器10に対して保温材ではなく蓄熱材を設けることにより、運転初期段階の高負荷時に冷熱等を蓄熱することができる。即ち、高負荷時は十分に圧縮機2が駆動しているため、冷媒の有する冷熱を蓄熱材12に蓄熱しても消費電力はそれほど増加しない。そして、蓄熱した冷熱を低負荷運転時に利用することにより、低負荷運転時の圧縮機2等の消費電力を削減することができる。
また、保温材を用いる場合とは異なり、ある運転モードにおいて蓄熱材12が冷却された後、別の運転モードにおいて、蓄熱材12が有している冷熱によって、冷媒を冷却することができる。これにより、詳細は後記するが、冷媒の比エンタルピを低下させることができ、蒸発器(冷房時には室内熱交換器7、後記する暖房時には室外熱交換器4)での比エンタルピ差を大きくすることができる。従って、蒸発器での冷却能力を高めることができる。
なお、本明細書において、「冷熱を蓄える」や「冷熱を蓄熱する」とは、冷媒の温度が蓄熱材12の温度よりも低い場合に、蓄熱材12の熱を冷媒に与えることを表す。換言すれば、このことは、冷媒の有している冷熱を蓄熱材12に与えることである。
また、圧縮機や過冷却用熱交換器を備える空気調和機において、本発明者らの検討によれば、熱が特に逃げ易い手段が過冷却用熱交換器である。従って、エネルギの損失を防ぐためには、過冷却用熱交換器から熱が外部に逃げないような手段(本実施形態においては蓄熱材)を設けることが好ましい。中でも、過冷却用熱交換器は、空気調和機を構成する各手段のうち、その構造がシンプルで小型である。そのため、蓄熱材等の手段を設けても、過冷却用熱交換器が大型化や複雑化せず、空気調和機の大型化や複雑化を防止することができる。
さらに、過冷却用熱交換器10においては、室外熱交換器4と室内熱交換器7とを接続する流路(主流路)は内管10aであり、過冷却用膨張弁9とサクションタンク8とを接続する流路(バイパス流路)は外管10bである。このように構成することで、外気との温度差が大きい冷媒が外側を通流し、外気との温度差が小さい冷媒が内側を通流するようになっている。
従来は、外部から熱を吸収したり、外部へ放熱したりすることを防止するため、本実施形態の過冷却用熱交換器10とは逆向きに外管及び内管が接続されていた。即ち、外気温度と冷媒との温度差がなるべく小さくなるように、過冷却用熱交換器の配管が接続されていた。しかしながら、本実施形態の過冷却用熱交換器10においては、過冷却用熱交換器10の外側に蓄熱材12が設けられている。そこで、外部との熱の授受を促進させるため、図2に示すように接続している。
さらには、過冷却用熱交換器10を図2に示すような構造にすることにより、内管10aの流路を、外管10bの流路よりも広くすることができる。これにより、内管10aの冷媒通流量を増加させることができ、圧縮機2、室外熱交換器4、室内熱交換器7等により構成される冷媒循環サイクルを通流する冷媒量を増やすことができる。循環する冷媒量の増加により、室温が安定する等の低負荷運転時においても、冷凍能力向上効果を良好に発揮することができる。
蓄熱材12等を収容する蓄熱槽11は、汎用プラスチック等の熱伝導性の低い材料によって構成されている。また、蓄熱槽11の周囲には、図示はしないが、ウレタンフォーム等の断熱材が設けられている。これらにより、蓄熱材12が吸収した熱の外部への放出を抑制することができるようになっている。
次に、空気調和機1の冷房運転時及び暖房運転時における、冷媒の通流制御について説明する。冷媒の通流は、四方弁3、第1膨張弁5、第2膨張弁6及び過冷却用膨張弁9により制御される。これらの弁の制御は、前記のように、制御部14によって為されるようになっている。
図3は、空気調和機1運転時の四方弁3、第1膨張弁5、第2膨張弁6及び過冷却用膨張弁9の機能を示す表である。冷房運転時、蓄熱材12に冷熱を蓄える冷房蓄冷運転(高負荷運転)と、蓄熱材12に蓄熱された冷熱を利用する冷房蓄冷利用運転(低負荷運転)とが、行われる。具体的には、冷房運転直後の室温が高い時等の高負荷時には冷房蓄冷運転が行われる。また、冷房運転開始後ある程度時間が経過し、室温が安定してきた時等の低負荷時に冷房蓄冷利用運転が行われる。
冷房運転時、前者の冷房蓄冷運転においては、四方弁3は流路3aに切り替えられ、冷房モードで実行される。第1膨張弁5は、膨張作用を行わないように全開になる。第2膨張弁6及び過冷却用膨張弁9は、それぞれ独立して、流量調整のために、空調の負荷に応じて適宜開度が調整される。ただし、過冷却用膨張弁9の開度は、通常は、圧縮機2から排出された冷媒の量の10%〜20%程度が通流する開度に調整される。
各弁がこのように制御されると、圧縮機2から排出された高温の気体冷媒は、四方弁3の流路3a(図中の実線で示される流路)を通じ、室外熱交換器4(凝縮器)に供給される。室外熱交換器4において冷媒は、熱を室外に放出して、凝縮して中温の液体になる。そして、中温の液体冷媒は、全開の第1膨張弁5を通過し、過冷却用熱交換器10の内管10a(図2参照)を通流する。
このとき、全開の第1膨張弁5を通過した中温液体冷媒のうちの一部は分岐し、過冷却用膨張弁9を経由して、過冷却用熱交換器10の外管10b(図2参照)を通流する。過冷却用膨張弁9は、前記のように流量調整が行われているため、過冷却用膨張弁9を通過する冷媒は膨張する。これにより、過冷却用膨張弁9を通過した冷媒は気液混合の二相状態になり、冷媒の温度が低下する。従って、過冷却用熱交換器10において、外管10bを通流する冷媒の温度は、内管10aを通流する冷媒の温度よりも低くなっている。そのため、内管10aを通流する冷媒の有する熱が、外管10bを通流する冷媒に与えられる。さらには、外管10bを通流する冷媒の温度が低いため、外管10bの外部に設けられている蓄熱材12が冷却される(例えば20℃程度まで冷却される)。これらの熱の授受により、外管10bを通流する冷媒の温度が上昇し、外管10bを通流する冷媒がガス化する。そして、外管10bを通流する冷媒は、四方弁3とサクションタンク8との間で合流され、圧縮機2に戻される。
一方で、内管10aを通流する冷媒の温度は低下する。そして、温度が低下した、内管10aを通流する冷媒は、第2膨張弁6により膨張され、室内熱交換器7(蒸発器)でガス化する。その後、ガス化した冷媒は、室内熱交換器7、四方弁3の流路3a、サクションタンク8を経由して、圧縮機2に戻される。
ここで、冷房蓄冷運転における、比エンタルピと圧力との関係を、図4を参照しながら説明する。
図4は、空気調和機1の冷房蓄冷運転時の比エンタルピと圧力との関係を示すグラフである。図4中の一点鎖線は飽和曲線である。圧縮機2から排出された高温の気体冷媒(点A)は、室外熱交換器4において凝縮され(A→B)、液体冷媒になる(点B)。この時の比エンタルピはh2である。そして、室内熱交換器4において凝縮された冷媒のうち、一部は過冷却用膨張弁9によって膨張されて圧力が低下する(B→D)。この時、熱の授受は無いため、比エンタルピはh2のままである。
その後、過冷却用熱交換器10において、前記のように熱を奪い、ガス化して比エンタルピが上昇する(D→F)。具体的には、比エンタルピは、h2からh3に上昇する。そして、ガス化した冷媒は、過冷却用膨張弁9を経由しなかった冷媒と合流して圧縮機2に戻され、圧縮される(F→A)。
一方で、過冷却用膨張弁9を経由せず、過冷却用熱交換器12に直接供給された冷媒は、前記のように冷却される(B→C)。具体的には、比エンタルピが、h2からh1に低下する。そして冷却された冷媒は、第2膨張弁6によって膨張されて圧力が低下する(C→E)。この時、熱の授受は無いため、比エンタルピはh1のままである。そして、圧力が低下した冷媒は、室内熱交換器7において前記のようにガス化して、比エンタルピが上昇する(E→F)。具体的には、比エンタルピは、h1からh3に上昇する。そして、ガス化した冷媒は、過冷却用膨張弁9を経由した冷媒と合流して圧縮機2に戻され、圧縮される(F→A)
従来は、冷媒が分岐せずに通流していた。そのため、従来の冷凍サイクルとしては、A→C’→E’→F’→Aの順になっていた。特に、室内熱交換器7においては、図4中の破線で示されるように、比エンタルピがh’(E’)からh3(F’)まで上昇していた。しかしながら、空気調和機1においては、室内熱交換器7において、比エンタルピがh1(E)からh3(F)まで上昇している。即ち、室内熱交換器7に供給される冷媒の比エンタルピ(h1)が、従来の比エンタルピ(h’)よりも小さくなっている。
このように、室内熱交換器7の入口側の比エンタルピが、従来のh’からh1に減少している。そのため、室内熱交換機7の入口側と出口側との比エンタルピの差(h3−h1)が、従来(h3−h’)よりも大きくなる。従って、室内熱交換器7における単位質量あたりの冷却能力が増加する。即ち、冷却効率を高めることができ、省エネルギ化を図ることができる。
また、冷媒が分岐されることにより、通流する冷媒の圧力損失が低減する。これにより、圧縮機2の吸込み圧力が図4のP1からP2に上昇するため、圧力比が減少する。これにより、従来の冷凍サイクルと比較して圧縮機2の動力を低減させることができ、エネルギ効率が向上する。このことは、特に室内熱交換器7での圧力損失が大きい冷房時に顕著となる。
次に、冷房運転時における、後者の冷房蓄冷利用運転の冷媒の通流について説明する。冷房蓄冷利用運転は、前記の冷房蓄冷運転の後に行われる。なお、冷房蓄冷利用運転では、冷媒は、前記した冷房蓄冷運転と略同様に通流する。従って、前記した冷房蓄冷運転と異なる点を主に説明する。
冷房蓄冷利用運転においては、図3に示すように、四方弁3は流路3aに切り替えられ、冷房モードで実行される。第1膨張弁5は、膨張作用を行わないように全開になる。第2膨張弁6は、流量調整のために、空調の負荷に応じて適宜開度が調整される。過冷却用膨張弁9は、閉止される。
前記のように、過冷却用膨張弁9は閉止されているため、過冷却用熱交換器10の外管10bには冷媒は通流しない。ただし、冷房蓄冷利用運転は、前記の冷房蓄冷運転後に行われるため、外管10bに冷媒が残留(滞留)している状態になっている。さらに、前記のように、冷房蓄冷運転時に、蓄熱材12が冷却されている。従って、蓄熱材12が冷却された状態で、冷房蓄冷利用運転が開始される。
圧縮機2から排出された高温の気体冷媒は、室外熱交換器4及び第1膨張弁5を経由することにより、中温の液体冷媒になる。そして、この冷媒は、過冷却用熱交換器10の内管10a(図2参照)を通流する。この時、外管10b内は、冷房蓄冷運転時に通流していた低温の冷媒で満たされているため、外管10b内の低温の冷媒と、内管10a内の中温の液体冷媒とが熱交換する。さらには、前記のように、蓄熱材12は冷房蓄冷運転時に冷却されるため、外管10b内の冷媒を介して、内管10a内の冷媒と、蓄熱材12とも熱交換する。これらの熱の授受により、内管10aを通流する冷媒の温度が低下する。これらの熱交換は、蓄熱材12の温度が、内管10aを通流する冷媒の温度と同じ温度(例えば35℃程度)になるまで行われる。そして、過冷却用熱交換器10から排出された冷媒は、前記の冷房蓄冷運転と同様にして、圧縮機2に戻される。
このように、冷房蓄冷運転時に蓄熱材12に蓄えられた冷熱(エネルギ)を利用し、室内熱交換器7に供給される比エンタルピを減少させる(即ち温度を低下)ことができる。これにより、前記した冷房蓄冷運転と同様に、冷却効率を高めることができ、省エネルギ化を図ることができる。この効果は蓄熱材12の熱容量分持続する。従って、蓄熱材12による冷媒の冷却効果が持続している間、同じ圧縮動力で冷却能力が増加する。そのため、蓄熱材12の熱容量が大きいほど、エネルギ効率を増加させることができる。即ち、蓄熱材12の量が多く、冷媒と蓄熱材12との伝熱面積が大きいほど、効果は長く持続する。なお、この効果は、冷房能力の小さい領域(即ち低負荷運転時)で特に大きなものとなる。
次に、暖房運転時の各弁の制御について説明する。図3に示すように、暖房運転時、蓄熱材12に熱を蓄える暖房蓄熱運転(高負荷運転)と、暖房蓄熱利用運転(除霜;低負荷運転)とが、行われる。具体的には、暖房運転開始直後の室温が低い時等の高負荷時には暖房蓄熱運転が行われる。また、暖房運転開始後ある程度時間が経過し、室温が安定してきた時等の低負荷時に暖房蓄熱利用運転が行われる。暖房蓄熱利用運転が行われることにより、外気温度が低い場合に、室外熱交換器4(図1参照)の除霜が行われる。
暖房運転時、前者の暖房蓄熱運転においては、四方弁3は流路3bに切り替えられ、暖房モードで実行される。第1膨張弁5は、流量調整のために、空調の負荷に応じて適宜開度が調整される。第2膨張弁6は、膨張作用を行わないように全開になる。過冷却用膨張弁9は閉止される。
各弁がこのように制御されると、圧縮機2から排出された高温の気体冷媒は、四方弁3の流路3b(図中の破線で示される流路)を通じ、室内熱交換器7(凝縮器)に供給される。室内熱交換器7において冷媒は、熱を室内に放出して、凝縮して中温の液体になる。そして、中温の液体冷媒は、全開の第2膨張弁6を通過し、過冷却用熱交換器10の内管10a(図2参照)を通流する。
暖房蓄熱運転(暖房運転)は、通常は、室外の温度が低い冬期に行われる。そのため、暖房蓄熱運転開始時、蓄熱材12の温度は低くなっている。そして、前記したように、過冷却用膨張弁9は閉止されているため、過冷却用熱交換器10の外管10bには冷媒が通流せず、滞留した状態である。この外管10bに滞留している冷媒の温度も、蓄熱材12と同様に低くなっている。従って、暖房蓄熱運転において、中温の液体冷媒が過冷却用熱交換器10の内管10aを通流すると、外管10bに滞留している冷媒及び蓄熱材12と熱交換される。即ち、冷却された外管10b内の冷媒及び蓄熱材12により、内管10aを通流する冷媒の温度が低下する。この熱交換は、蓄熱材12の温度が、内管10aを通流する冷媒の温度(例えば15℃)と同じ温度になるまで行われる。そして、過冷却用熱交換器10から排出された、温度が低下した冷媒は、開度が調整された第1膨張弁5により膨張され、室外熱交換器4(蒸発器)でガス化する。その後、ガス化した冷媒は、四方弁3の流路3b、サクションタンク8を経由して、圧縮機2に戻される。
このように、空気調和機1の暖房蓄熱運転においては、従来、蓄熱材12が設けられなかった場合に室外に放出していた熱が、蓄熱材12に蓄えられる。そして、蓄えられた熱は、後記する暖房蓄熱利用運転において利用される。
次に、暖房運転時における、後者の暖房蓄熱利用運転について説明する。暖房蓄熱利用運転は、前記の暖房蓄熱運転の後であって、室外熱交換器4が着霜した時に行われる。暖房蓄熱利用運転では、冷媒は、前記した暖房蓄熱運転と略同様に通流する。従って、前記した暖房蓄熱運転と異なる点を主に説明する。
暖房蓄熱利用運転においては、暖房蓄熱運転時に流量調整のために開度が調整されていた第1膨張弁5が全開にされる。これにより、室内熱交換器7内の液体冷媒が過冷却用熱交換器10を経由して、室外熱交換機4に供給される。これにより、室外熱交換機4が加熱され、除霜される。冷媒がこのように通流する際、従来外部へ放出されていた熱は蓄熱材12に蓄えられる。具体的には、蓄熱材12の温度が例えば20℃程度になるまで蓄えられる。そして、室内熱交換器7内の冷媒が全て室外熱交換機4に供給され、冷媒温度が蓄熱材12の温度よりも下回ると、蓄熱材12の熱が冷媒に供給される。このようにして、蓄えられていた熱を有する冷媒によっても、室外熱交換機4の除霜が行われる。
従来は、四方弁3の流路を3aとし、室内空気からの吸熱と圧縮機2のモータ(図示しない)とを熱源として除霜を行っていた。しかしながら、このような熱源を用いると、室内空気の温度が過度に低下したり、圧縮機2の消費電力が過度に増大したりすることがあった。しかしながら、本実施形態の空気調和機1においては、除霜のための熱源を必要としないため、従来よりも効率よく除霜を行うことができる。
図5は、空気調和機運転時のフローチャートである。以下、図1及び図5を参照しながら、空気調和機1の運転について説明する。
はじめに、操作部15のボタン15bにより、空気調和機1の運転モードが選択される(ステップS101)。併せて、操作部15のボタン15bにより、室内温度Tsetも入力される。選択された運転モードが冷房である場合(ステップS101の「冷房」方向)、圧縮機2の最大出力で冷房蓄冷運転が開始される(ステップS102)。これにより、蓄熱材12への蓄冷が開始する。また、制御部14は、運転モード選択時に設定された室内温度Tsetと現在の室内温度Tinとの温度差dTに基づき、圧縮機2の回転速度Rを決定する(ステップS102)。具体的には例えば、制御部14は、dT>7℃であれば、R=6000min−1と決定する。温度差dTと回転速度Rとの関係(テーブル等)は予め設定され、ROM14cに記憶されている。
次いで、制御部14は、ステップS102において決定された回転速度Rが、予め定められた回転速度Rcよりも大きいか否かを判定する(ステップS103)。判定の結果、決定された回転速度Rが予め定められた回転速度Rcよりも大きい場合(R>Rc;ステップS103のYes方向)、運転が高負荷になると判断する。従って、このような場合には分岐したサイクルの効率向上が見込めるため、冷房蓄冷運転が引き続き行われる(ステップS104)。なお、回転速度Rcは、例えば3000min−1である。
そして、所定時間経過後、制御部14は、設定された室内温度Tsetと現在の室内温度Tinとの温度差dTが所定範囲内にあるか否かを判定する。即ち、制御部14は、空気調和機1の運転を終了するか否かを、前記の温度差dTに基づいて判定する(ステップS105)。判定の結果、温度差dTが所定の温度範囲にある場合、制御部14は、室内温度Tinが設定温度Tset近傍まで低下したと判断し、運転を終了する(ステップS105のYes方向)。また、判定の結果、温度差dTが所定の温度範囲にない場合、制御部14は、室内温度Tinが設定温度Tset近傍まで低下していないと判断し、運転を継続する(ステップS105のNo方向)。
一方で、ステップS103での判定の結果、決定された回転速度Rが予め定められた回転速度Rc以下の場合(R≦Rc;ステップS103のNo方向、例えば2900min−1等)、運転が低負荷になると判断する。従って、このような場合には分岐したサイクルの効率向上がそれほど見込めないため、冷房蓄冷運転を止め、冷房蓄冷運転時に蓄熱された冷熱を用いて、冷房蓄冷利用運転が行われる(ステップS106)。そして、冷房蓄冷利用運転開始後、所定時間経過後、前記のステップS105が行われる。
ここで、冷房運転時の、室内温度、蓄熱材12の温度、及び、圧縮機2の回転速度の関係を、図6を参照しながら説明する。
図6は、冷房運転時の(a)室内温度、(b)蓄熱材12の温度、及び、(c)圧縮機2の回転速度の関係を示すグラフである。図6(a)に示すように、空気調和機1の冷房運転開始後、室内温度Tinは設定温度Tsetに近づくように徐々に低下する(冷房蓄冷運転)。即ち、室内温度Tinと設定温度Tsetとの温度差dTが徐々に小さくなる。これに伴い、蓄熱材12の温度も低下するが(図6(b)参照)、蓄熱材12の熱容量には限りがあるため、一定温度まで低下した後、当該温度付近で維持される。
運転開始後しばらくは、圧縮機2の回転速度は、前記のように最大速度で駆動される。しかしながら、所定時間経過し、温度差dTが小さくなると、圧縮機2の回転速度Rは低下する(図6(c)参照)。そして、図5を参照しながら説明したように、圧縮機2の回転速度Rが予め定められた回転速度Rc以下(R≦Rc)となると、運転モードが冷房蓄冷利用運転に切り替わる。
冷房蓄冷利用運転においては、前記したように、はじめに蓄熱材12の有する冷熱が利用される。そのため、圧縮機2の回転速度Rの低下に伴い(図6(c))、蓄熱材12の冷熱を利用して、室内温度Tinが設定温度Tset近傍に維持される。そのため、図6(b)に示すように、蓄熱材12の温度が、冷媒の温度と同じ温度まで徐々に上昇する。
蓄熱材12の有する冷熱を利用する際には、図6(c)に示すように、圧縮機2の回転速度が抑えられたものになっている。そのため、蓄熱材12の蓄熱が残存している間は、圧縮機2の回転速度を抑制しても、室内温度Tinを設定温度Tset近傍に維持することができる。具体的は、例えば蓄熱材12として水を用いる場合、300mlの水で10分程度持続される。従って、圧縮機2の総消費電力が同じでも冷房能力が増加するため、設定温度Tsetまでの到達時間を従来と同程度にしつつ、消費電力を削減することができる。
図5に戻って、暖房運転時のフローを説明する。
ステップS101において、選択された運転モードが暖房である場合(ステップS101の「暖房」方向)、圧縮機2の最大出力にて暖房蓄熱運転が開始される(ステップS107)。これにより、蓄熱材12への蓄熱が開始する。また、制御部14は、運転モード選択時に設定された室内温度Tsetと現在の室内温度Tinとの温度差dTに基づき、圧縮機2の回転速度Rを決定する(ステップS107)。具体的には例えば、制御部14は、dT>7℃であれば、R=7000min−1と決定する。温度差dTと回転速度Rとの関係(テーブル等)は予め設定され、ROM14cに記憶されている。
ステップS101において、選択された運転モードが暖房である場合(ステップS101の「暖房」方向)、圧縮機2の最大出力にて暖房蓄熱運転が開始される(ステップS107)。これにより、蓄熱材12への蓄熱が開始する。また、制御部14は、運転モード選択時に設定された室内温度Tsetと現在の室内温度Tinとの温度差dTに基づき、圧縮機2の回転速度Rを決定する(ステップS107)。具体的には例えば、制御部14は、dT>7℃であれば、R=7000min−1と決定する。温度差dTと回転速度Rとの関係(テーブル等)は予め設定され、ROM14cに記憶されている。
次いで、制御部14は、ステップS107において決定された回転速度Rが、予め定められた回転速度Rhよりも大きいか否かを判定する(ステップS108)。判定の結果、決定された回転速度Rが予め定められた回転速度Rcよりも大きい場合(R>Rh;ステップS108のYes方向)、運転が高負荷になると判断する。従って、このような場合にはガスバイパスサイクルの効率向上が見込めるため、暖房蓄熱運転が引き続き行われる(ステップS109)。なお、回転速度Rcは、例えば4000min−1である。
そして、所定時間経過後、制御部14は、室内温度Tsetと現在の室内温度Tinとの温度差dTが所定範囲内になったかどうかを判定する。即ち、制御部14は、室内の温度を引き続き上昇させるために、暖房蓄熱運転を続行するか否かを判定する(ステップS110)。暖房蓄熱運転を続行する場合(ステップS110のYes方向)、ステップS107が再度行われ、回転速度Rが決定される。
ステップS110において、室内温度Tsetと現在の室内温度Tinとの温度差dTが所定範囲内になり、暖房蓄熱運転を行う必要がないと制御部14が判断した場合(ステップS110のNo方向)、図示しない温度センサにより計測される、室外熱交換器4の伝熱管の最低温度が例えば0℃以下である場合には、暖房蓄熱利用運転が行われる(ステップS113)。これにより、室外熱交換器4の除霜が行われる。暖房蓄熱利用運転後、依然として残霜している否かを制御部14が判断し(ステップS114)、残霜している場合には(ステップS114のYes方向)、除霜運転が行われる(ステップS111)。除霜運転は、四方弁3を流路3aにし、第1膨張弁5を全開にし、第2膨張弁を流量に応じて開度を適宜調整し、過冷却用膨張弁9を閉止した状態で、冷媒を冷房時とは逆方向に通流する(逆サイクル)ことにより行われる。
そして、制御部14は、除霜運転後、再び、室内温度Tinと設定温度Tsetとの温度差dTが所定範囲内にあるか否かを判定する。即ち、制御部14は、空気調和機1の運転を終了するか否かを、前記の温度差dTに基づいて判定する(ステップS112)。判定の結果、温度差dTが所定の温度範囲にある場合、制御部14は、室内温度Tinが設定温度Tset近傍まで上昇したと判断し、運転を終了する(ステップS112のYes方向)。また、判定の結果、温度差dTが所定の温度範囲にない場合、制御部14は、室内温度Tinが設定温度Tset近傍まで上昇していないと判断し、暖房蓄熱運転が再開される(ステップS112のNo方向)。
一方で、ステップS108における判定の結果、決定された回転速度Rが予め定められた回転速度Rh以下の場合(R≦Rh;ステップS108のNo方向、例えば3900min−1等)、運転が低負荷になると判断する。従って、このような場合には分岐したサイクルの効率向上がそれほど見込めないため、室外熱交換器5の伝熱管の最低温度が0℃以下である場合には、暖房蓄熱利用運転が行われる(ステップS113)。その後は、前記した場合と同様にして、運転が行われる。
ここで、暖房運転時の、室外熱交換器5の伝熱管温度、蓄熱材12の温度、及び、圧縮機2の回転速度の関係を、図7を参照しながら説明する。
図7は、暖房運転時の(a)室外熱交換器4の伝熱管温度、(b)蓄熱材12の温度、及び、(c)圧縮機2の回転速度の関係を示すグラフである。図7(a)に示すように、空気調和機1の暖房運転(具体的には暖房蓄熱運転)開始後、室外熱交換器4において低温の冷媒が通流するため、室外熱交換器4の伝熱管温度が徐々に低下する。一方で、図7(b)に示すように、蓄熱材12には熱が蓄えられ、蓄熱材12の温度が徐々に上昇する。ただし、蓄熱材12の熱容量には限りがあるため、蓄熱材12の温度はある程度時間が経過すると一定になる。この時、図7(c)に示すように、圧縮機2の回転速度は徐々に速くなり、最大速度で一定になる。
室外熱交換器4の伝熱管温度が0℃になると、暖房蓄熱利用運転が行われる。これにより、図7(a)に示すように、伝熱管温度が上昇し、除霜が行われる。この除霜は、前記したように、蓄熱材12に蓄えられた熱を用いて行われる。従って、暖房蓄熱利用運転が行われると、図7(b)に示すように、蓄熱材12の温度は低下する。この時、冷媒を通流させるため、図7(c)に示すように、圧縮機2の回転速度は最大となっている。
そして、蓄熱材12に蓄えられていた熱が枯渇した後、依然として残霜している場合、除霜運転が行われる。具体的には、除霜運転は、前記した方法により行われる。除霜運転時、圧縮機2の回転速度は適宜変更され(図7(c)参照)、伝熱管温度が徐々に上昇する(図7(a)参照)。これにより、伝熱管が除霜される。
以上説明したように、本実施形態によれば、冷暖房時における運転開始時の高負荷時から室内温度安定時の低負荷時までの消費電力を従来よりも低減することができる。また、冬期等に除霜を行う際には、暖房蓄熱運転によって蓄えられた熱が用いられて除霜されるため、消費電力の削減を図ることができる。
[2.変更例]
以上、本実施形態を説明したが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施可能である。
以上、本実施形態を説明したが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施可能である。
例えば、図1の例では、蓄熱槽11に内管10a、外管10b及び蓄熱材12を収容する構成としているが、例えば外管10b表面にシート状の蓄熱材12を捲回するようにしてもよい。また、蓄熱材12は外管10b表面に固定(固着)されている必要はなく、例えば図示しない撹拌機を設け、熱によって蓄熱材12が流動性を有した時に、蓄熱材12を攪拌するようにしてもよい。さらに、外管10bに第3の熱交換器を固定し、当該第3の熱交換器を通流する別の冷媒によって、外管10bを通流する冷媒の熱を回収及び蓄熱するようにしてもよい。このようにすることにより、外管10bに固定された第3の熱交換器を通流する冷媒の量を任意に変更できるため、蓄熱量を任意に設定することができる。さらに、外管10bと蓄熱材12との伝熱面積を拡げるために、例えば外管10bの表面に溝(螺旋溝等)を設ける等の加工を施してもよい。また、内管10aと外管10bとの伝熱面積を拡げるために、それぞれの部材に適宜溝(螺旋溝等)を設ける等の加工を施してもよい。
また、過冷却用熱交換器10の構成も図1及び図2の例に何ら限定されず、気体と液体とを分離可能なものであればどのようなものであってもよい。過冷却用熱交換器10の外形状は円筒形状であってもよく、角柱形状であってもよい。ただし、冷媒と蓄熱材12との間で効率よく熱交換を行わせる観点から、過冷却用熱交換器10の外形状は図2に示す円筒形状であることが好ましい。
さらに、図3及び図5を参照しながら説明した運転モード及び運転フローは、空気調和機1に適用可能な運転モード及び運転フローの一例であり、適宜変更して実施することができる。従って、例えば除霜運転や暖房蓄熱利用運転(除霜)を行わないことができる。また、前記の例では、制御部14は、蓄熱材12からの熱が伝達された冷媒を室外熱交換器4(第1熱交換器)に通流して除霜を行っているが、必要に応じて、室内熱交換器7(第2熱交換器)に通流して除霜を行うようにしてもよい。また、室外熱交換器4(第1熱交換器)及び室内熱交換器7(第2熱交換器)に冷媒を通流し、除霜を行うようにしてもよい。
また、流路切替弁として図示の例では四方弁を用いているが、四方弁を設ける代わりに、例えば複数の制御弁を組み合わせる等して流路を制御してもよい。
さらに、図3を参照しながら説明した各弁の制御も図示の制御に何ら限定されず、任意に変更して制御すればよい。また、例えば各弁の流量制御の開度も特に制限されず、任意に決定すればよい。
また、冷媒循環サイクルに用いられる冷媒として、従来R22やR410Aが用いられているが、これらの冷媒よりもGWP(GWP(Global Warming Potential):CO2=1とした場合の地球温暖化係数)が小さい冷媒のR32(R32冷媒)を用いてもよい。R32冷媒は、R410AやR22よりも同じ温度での蒸発潜熱が大きいため、同じ冷媒循環流量でより大きな能力を得られる。その際、冷媒循環流量が多い高い能力では吐出温度の高さが問題となるが、バイパス流量を増加させることにより、蒸発能力を維持したまま、吸込冷媒の乾き度を下げ、吐出温度を下げることができる。さらにバイパス流量が増加することで蓄熱槽への熱交換が促進される。
1 空気調和機
2 圧縮機
3 四方弁(流路切替弁)
4 室外熱交換器(第1熱交換器)
5 第1膨張弁(第1通流制御手段)
6 第2膨張弁(第2通流制御手段)
7 室内熱交換器(第2熱交換機)
9 過冷却用膨張弁(第3通流制御手段)
10 過冷却用熱交換器
12 蓄熱材
2 圧縮機
3 四方弁(流路切替弁)
4 室外熱交換器(第1熱交換器)
5 第1膨張弁(第1通流制御手段)
6 第2膨張弁(第2通流制御手段)
7 室内熱交換器(第2熱交換機)
9 過冷却用膨張弁(第3通流制御手段)
10 過冷却用熱交換器
12 蓄熱材
Claims (6)
- 圧縮機と、第1熱交換器と、第2熱交換器と、過冷却用熱交換器と、を備え、前記圧縮機、前記第1熱交換器、前記過冷却用熱交換器、及び、前記第2熱交換器がこの順で配管により接続されてなる冷媒循環サイクルを備え、
前記第1熱交換器と前記過冷却用熱交換器との間で前記冷媒循環サイクルから分岐し、前記圧縮機の吸入側に合流されるバイパス回路を備え、
前記過冷却用熱交換器において、前記冷媒循環サイクルを通流する冷媒と前記バイパス回路を通流する冷媒との間で熱交換が行われるように、前記過冷却用熱交換器に、前記冷媒循環サイクルと前記バイパス回路とが接続され、
前記過冷却用熱交換器には、蓄熱材が配設されていることを特徴とする、空気調和機。 - 前記冷媒循環サイクルには、第1通流制御手段及び第2通流制御手段が設けられ、
前記バイパス回路には、第3通流制御手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の空気調和機。 - 前記過冷却用熱交換器は、内管及び外管を備える二重管熱交換器であり、
前記内管には前記冷媒循環サイクルが接続され、
前記外管には前記バイパス回路が接続され、
前記外管の外側に前記蓄熱材が配設されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気調和機。 - 前記圧縮機を運転中、少なくとも前記冷媒循環サイクルに冷媒を通流させて、前記圧縮機から排出される冷媒の有する熱を前記蓄熱材に蓄熱し、
前記蓄熱材への蓄熱後、前記冷媒循環サイクルを通流する冷媒に前記蓄熱材に蓄熱された熱を伝達する制御を行う制御部を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気調和機。 - 前記制御部は、前記蓄熱材からの熱が伝達された冷媒を前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の少なくとも一方に通流して除霜を行うことを特徴とする、請求項4に記載の空気調和機。
- 前記冷媒循環サイクルを通流させる冷媒としてR32を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気調和機。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018514747A (ja) * | 2015-12-24 | 2018-06-07 | 大連理工大学Dalian University of Technology | 相変化ウェーブロータ自動カスケード冷凍システム及びその動作方法 |
WO2018198275A1 (ja) * | 2017-04-27 | 2018-11-01 | 三菱電機株式会社 | 冷凍サイクル装置 |
-
2012
- 2012-05-24 JP JP2012118290A patent/JP2013245850A/ja active Pending
Cited By (3)
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WO2018198275A1 (ja) * | 2017-04-27 | 2018-11-01 | 三菱電機株式会社 | 冷凍サイクル装置 |
JPWO2018198275A1 (ja) * | 2017-04-27 | 2020-02-20 | 三菱電機株式会社 | 冷凍サイクル装置 |
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