JP2013245565A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮自着火式の内燃機関において、プレ噴霧とメイン噴霧とが重ならないように両者の間隔を調整するとともに、そのプレ噴霧を好適なタイミングで着火、燃焼させて、プレ噴射によるスモークの抑制と燃焼騒音の低減とを高い次元で両立させる。
【解決手段】気筒内に直接、噴射した燃料の空気との混合をスワール流によって促進するようにした内燃機関において、機関トルクを制御するための燃料のメイン噴射と、このメイン噴射の直前のプレ噴射とを少なくとも実行するとともに、そのプレ噴射およびメイン噴射の間隔を、プレ噴射による燃料の噴霧がメイン噴射による燃料の噴霧と重ならないように調整する。プレ噴射の際の筒内温度が所定の目標温度になるように、プレ噴射に先立つ燃料の先行噴射量などを制御する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ディーゼルエンジンに代表される圧縮自着火式の内燃機関の燃料噴射制御装置に係り、特に、排気エミッションの改善や燃焼騒音の低減のための対策に関する。
従来より、ディーゼルエンジンに代表されるように気筒内に直接、燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、気筒の圧縮上死点近傍で行う主噴射(メイン噴射)の他に、より進角側で少量の燃料を副噴射するようにした内燃機関が知られている。この副噴射はパイロット噴射やプレ噴射と呼ばれ、メイン噴射の前に筒内温度を上昇させて、その燃料噴霧の蒸発を促進したり、着火遅れを短縮して燃焼を緩やかに開始させるといった効果がある。
ところが、それらパイロット噴射やプレ噴射のメイン噴射との間隔が短くなると、先に噴射された燃料の火炎や燃焼ガス中にメイン噴射の噴霧が重なってしまい、この重なり部分において酸素不足に起因してスモーク発生量が増大する虞があった。なお、一般にパイロット噴射やプレ噴射のうち、メイン噴射の直前に行われるものはプレ噴射と呼ばれることが多いので、メイン噴射との間隔が短いものは以下、「プレ噴射」と呼ぶことにする。
前記の不具合につき特許文献1、2には、メイン噴射の噴霧がプレ噴射(文献中では「パイロット噴射」と記載)による火炎もしくは燃焼ガスと重ならないように、両者の噴射間隔を設定するという技術が開示されている。すなわち、まず、プレ噴射された燃料の噴霧(以下、プレ噴霧ともいう)が気筒内のスワール流に乗って周方向に流されることを考慮して、このスワール流の流速からプレ噴霧の周方向への移動速度を算出する。
そして、そのプレ噴霧が、メイン噴射による燃料の噴霧(以下、メイン噴霧ともいう)が形成される時点において、気筒の円周方向に隣り合う2つのメイン噴霧の中間に位置するように、プレ噴射とメイン噴射との間隔(インターバル)を設定する。特に特許文献2に記載のものでは、プレ噴射の開始からではなく、その終了からメイン噴射の開始までの間隔をスワール流速に応じて設定するようにしている。
特開平11−82139号公報 特開2010−180761号公報
しかしながら前記従来の技術では、プレ噴霧とメイン噴霧とが重ならないように、相互の位置関係を設定することはできるものの、プレ噴霧の着火タイミングについて十分に考慮されていないため、2つのメイン噴霧の中間において適切なタイミングでプレ噴霧が着火、燃焼するとは限らない。
すなわち、一般的に筒内温度が高いほど噴霧の着火遅れは短くなるので、プレ噴霧の着火時期が早まる傾向があり、この結果としてメイン噴霧の着火遅れが短くなってしまい、スモークの増大を十分に抑制できない虞がある。反対に筒内温度が低くプレ噴霧の着火遅れが長いときには、その着火時期が遅くなる結果としてメイン噴霧の着火遅れが長くなってしまい、燃焼騒音を十分に低減できない虞がある。
かかる点に鑑みて本発明の目的は、プレ噴射した燃料の噴霧(プレ噴霧)と重ならないようにメイン噴射を行うとともに、そのプレ噴霧を好適なタイミングで着火、燃焼させることにより、プレ噴射によるスモークの抑制と燃焼騒音の低減とを高い次元で両立させることにある。
前記の目的を達成するために本発明では、プレ噴射に先立って行う燃料噴射を利用して、プレ噴射の際の気筒内の温度を調整することにより、プレ噴霧を好適なタイミングで着火、燃焼させるようにした。
−解決手段−
具体的に本発明は、気筒内に直接、噴射した燃料の空気との混合をスワール流によって促進するようにした内燃機関の燃料噴射制御装置が対象であって、機関トルクを制御するための燃料のメイン噴射と、このメイン噴射の直前のプレ噴射とを少なくとも実行するとともに、そのプレ噴射およびメイン噴射の間隔を、プレ噴射による燃料の噴霧(プレ噴霧)がメイン噴射による燃料の噴霧(メイン噴霧)と重ならないように調整する制御手段を備えている。そして、この制御手段を、前記プレ噴射に先立つ燃料の先行噴射を実行するとともに、この先行噴射による燃料の燃焼によって前記プレ噴射の際の筒内温度が所定の目標温度になるように、当該先行噴射の噴射制御を行う構成とした。
この特定事項により、内燃機関の運転中には制御手段によって、機関トルクを制御するためのメイン噴射とその直前のプレ噴射とが少なくとも実行されるとともに、それらプレ噴射およびメイン噴射の間隔は、プレ噴霧とメイン噴霧とが互いに重ならないように調整される。
また、前記制御手段によってプレ噴射に先立つ燃料の先行噴射が実行されるとともに、この先行噴射の制御、即ち噴射量、噴射圧力、噴射時期および噴射回数の少なくとも1つの制御が行われて、前記プレ噴射の際の筒内温度が目標温度になるように調整される。これによりプレ噴霧の着火遅れが好適なものとなり、メイン噴霧を効果的に加熱することができる好適なタイミングで着火、燃焼するようになる。
つまり、プレ噴霧とメイン噴霧とが重ならないようにするだけでなく、そのプレ噴霧を好適なタイミングで着火、燃焼させることができ、このプレ噴霧の燃焼によってメイン噴霧の着火遅れを好適に調整し、スモークの抑制と燃焼騒音の低減とを高い次元で両立させることができる。
より具体的に、前記内燃機関が、複数の噴孔からそれぞれ気筒内の外周側に向けて放射状に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えている場合に、スワール流により気筒の周方向に移動されるプレ噴射の燃料噴霧が、前記燃料噴射弁の複数の噴孔からの噴射領域のうち、周方向に隣り合う2つの噴射領域の間で燃焼するように、前記プレ噴射の際の目標温度を決定するのがよい。
特に好ましいのは、前記プレ噴霧の燃焼が、前記2つの噴射領域の略中央においてピークとなるように、前記プレ噴射の際の目標温度を決定することである。燃焼のピークとは例えば熱発生率のピークとすればよく、燃焼の開始からピークまでの時間は気筒内の状態や噴霧の特性によって変化するので、この時間は予め実験やシミュレーション等によって調べて、例えば機関運転状態などに関連づけてマップ化しておき、このマップから読み込むようにすればよい。
そして、スワール流の速度等に基づいて、プレ噴霧が2つの噴射領域の略中央に到達するまでの移動時間を算出し、この移動時間から、前記の燃焼開始からピークまでの時間を減算すれば、プレ噴霧の好適な着火遅れ期間が求められる。そこで、この着火遅れ期間になるように気筒内の状態(例えば筒内圧)やプレ噴霧の特性(例えば噴霧内平均当量比)を考慮して、プレ噴射の際の目標温度を決定すればよい。
そうしてプレ噴射の際の目標温度を決定する一方で、前記先行噴射の噴射条件などからその発熱量を予測して(先行噴射の噴霧特性や筒内温度の履歴も加味することが好ましい)、前記プレ噴射の際の筒内温度を予測する。そして、この予測した温度の前記目標温度からの偏差に応じて、前記先行噴射の噴射条件、即ち噴射量、噴射圧力、噴射時期、噴射回数等を補正することにより、プレ噴射の際の筒内温度を目標温度に近づけることができる。
一例として制御手段は、前記プレ噴射の際の筒内温度の予測温度が目標温度よりも低いときには、前記先行噴射する燃料を増量する一方、目標温度よりも高いときには先行噴射する燃料を減量する構成とすればよい。また、予測温度が目標温度よりも低いときに先行噴射の時期を遅らせたり、その噴射回数を増やしたりしてもよい。
本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置によると、燃料のプレ噴射およびメイン噴射を行う場合に両者の噴射間隔を適切に設定して、プレ噴霧とメイン噴霧とが重ならないようにするとともに、そのプレ噴霧を好適なタイミングで着火、燃焼させることができる。よって、プレ噴霧の燃焼によりメイン噴霧の着火遅れを好適に調整し、スモークの抑制と燃焼騒音の低減とを高い次元で両立できる。
実施形態に係る機関制御システムの全体構成を示す模式図である。 気筒内におけるプレ噴霧等とメイン噴霧との位置関係を模式的に示す図であって、(a)はメイン噴射の開始直後を、(b)はメイン噴射の終了時をそれぞれ示す。 プレ噴射およびメイン噴射の間隔とスモークや燃焼騒音との関係を示すグラフ図である。 パイロット噴射の噴射量補正マップの一例を示す図である。 パイロット噴射の補正制御ルーチンを示すフローチャート図である。 プレ噴射開始前温度が目標温度よりも低い場合のプレ噴霧およびメイン噴霧の燃焼状態を示すグラフ図であって、(a)は燃料噴射率を、(b)は筒内温度を、また(c)は熱発生率を、それぞれ示す。 パイロット噴射量を補正した場合についての図6相当図である。 プレ噴射開始前温度が目標温度よりも高い場合についての図6相当図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
−システムの全体構成−
図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関1の制御システムの全体構成を示す模式図である。この内燃機関1は、一例として4つの気筒2,2,…を備えた筒内噴射式のディーゼルエンジンであり、一列に並んだ気筒2,2,…を取り囲むように冷却水流路(ウォータジャケット)3が形成されている。この冷却水流路3には、冷却水の水温に応じた出力を発する水温センサ21が配設されている。
各気筒2,2,…内にはピストン(図1では図示省略)が配置され、それぞれコネクティングロッド4,4,…を介してクランクシャフト5に連結されている。このクランクシャフト5の近傍には、クランクシャフト5が所定角度だけ回転する度にパルス信号を発信するクランク角センサ22が配設されている。
内燃機関1のシリンダヘッド(図示省略)には、各気筒2,2,…毎にそれぞれ直噴式の燃料噴射弁6,6,…が取り付けられている。これらの燃料噴射弁6,6,…は、気筒2内に直接、燃料を噴射するようにその天井部の中央に配設されており、一例として、ピエゾアクチュエータによってノズルニードルを進退移動させ、噴孔を開閉するピエゾインジェクタにより構成されている。
本実施形態では燃料噴射弁6の先端部分には複数(例えば周方向に亘って等間隔に6個)の噴孔が形成されていて、ノズルニードルが前進位置にある状態では、このノズルニードルの先端部によって各噴孔が閉鎖される一方、ノズルニードルが後退移動(リフト)されると各噴孔が開放されて、気筒2内の外周側に向けて放射状に燃料を噴射する構成となっている。
また、燃料噴射弁6はEDU(Electrical Driving Unit)40を介してECU(Electronic Control Unit)30に接続されている。EDU40は、ECU30からの制御信号に基づいて前記ピエゾアクチュエータのピエゾスタックの充電と放電とを実行する周知の駆動回路で構成されている。この燃料噴射弁6の動作による燃料噴射制御の詳細については後述する。
前記シリンダヘッドには吸気マニホールド7およびスロットルバルブ8を含む吸気系、並びに、図示しない排気マニホールドおよび触媒装置を含む排気系が接続されている。そして、各気筒2,2,…に設けられた図示しない吸気バルブの開弁動作によって吸気系から気筒2内に空気が吸入され、圧縮行程において空気が圧縮されて高温高圧となった気筒2内に向けて、燃料噴射弁6から燃料が噴射される。
そして、詳しくは後述するが、燃料の噴霧が空気と混合し自着火して燃焼することによりピストン50が押し下げられて、コネクティングロッド4を介してクランクシャフト5を回転させる。こうしてピストン50の往復運動がクランクシャフト5の回転運動に変換されて機関トルクが出力される。また、図示しない排気バルブの開弁動作にともなって気筒2内から排出される既燃ガス(排気ガス)は、排気系に備えられた触媒装置によって浄化される。
前記各燃料噴射弁6,6,…は、それぞれ燃料蓄圧容器としてのコモンレール9に接続されている。このコモンレール9には、その内圧(燃料圧力)を検出するコモンレール圧センサ23が取り付けられている。コモンレール9には燃料配管10を介して昇圧ポンプ11が接続され、この昇圧ポンプ11の吸入側には燃料タンク12が接続されている。つまり、燃料タンク12内の燃料が昇圧ポンプ11により昇圧されてコモンレール9に供給される構成となっている。この供給された高圧燃料はコモンレール9から各燃料噴射弁6,6,…に分配される。
前記の水温センサ21、クランク角センサ22、コモンレール圧センサ23からの出力信号はECU30に入力される。また、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ24、吸気系に備えられて吸入空気量を検出するエアフローメータ25、吸気圧を検出する吸気圧センサ26もECU30に電気的に接続されていて、これらのセンサ24〜26からの出力信号もECU30に入力される。一方、ECU30は、例えば、燃料噴射弁6、昇圧ポンプ11等に電気的に接続され(燃料噴射弁6に対しては前記EDU40を介して接続され)、必要に応じて制御信号を出力する。
具体的にECU30は、昇圧ポンプ11に制御信号を発することで、燃料タンク12からコモンレール9に供給される燃料の圧力(燃料噴射圧Pinjに相当)を制御する。また、燃料噴射弁6に向けて制御信号を発することで、燃料噴射弁6の燃料噴射制御を行う。すなわち、一例としてパイロット噴射(先行噴射)、プレ噴射およびメイン噴射等、1回の燃焼サイクル中に複数回の噴射動作を実行するとともに、それらの噴射量Qpre,Qmain,…や噴射時期tpre,tmain,…を制御する。
一般的に燃料噴射圧Pinjはコモンレール9の内圧により決定され、コモンレール内圧は、基本的には機関負荷が高いほど、および、機関回転数が高いほど高いものとされる。つまり、ECU30は、コモンレール内圧が内燃機関1の運転状態に基づいて設定される目標レール圧と等しくなるように、即ち燃料噴射圧が目標噴射圧になるように、昇圧ポンプ11の燃料吐出量を調量する。
また、一般的にパイロット噴射は、メイン噴射から大きく進角したタイミングで行われ、気筒2内に形成した希薄な予混合気の燃焼(低温燃焼)により筒内温度を上昇させる。プレ噴射は、メイン噴射の直前に少量の燃料を噴射して燃焼させることで、メイン噴射される燃料の着火遅れを調整し、初期の燃焼が過度に激しくなることを防止する。
一方、メイン噴射は主として内燃機関1のトルク発生に寄与する、トルク制御のための噴射動作である。このメイン噴射での燃料の噴射量は、基本的には機関回転数、アクセル操作量(アクセル開度)、冷却水温度、吸気温度等の運転状態に応じ、要求トルクが得られるように決定される。例えば、機関回転数(前記クランク角センサ22の検出値に基づいて算出される機関回転数)が高いほど、また、アクセル開度(アクセル開度センサ24により検出されるアクセルペダルの踏み込み量)が大きいほど、内燃機関1のトルク要求値は高くなるので、それに応じてメイン噴射の燃料噴射量も多く設定されることになる。
なお、上述したプレ噴射およびメイン噴射の他に、アフタ噴射やポスト噴射が必要に応じて行われる。アフタ噴射は、排気ガス温度を上昇させるための噴射動作である。具体的には、供給された燃料の燃焼エネルギが内燃機関1のトルクに変換されることなく、その大部分が排気の熱エネルギとして得られるタイミングでアフタ噴射は実行される。また、ポスト噴射は、排気系に燃料を直接的に導入して前記触媒装置の昇温を図るための噴射動作である。
−燃料噴射制御−
前記のように燃料噴射圧Pinjや噴射量Qpre,Qmain,…等の基本的な噴射制御を行う他に、本実施形態の特徴としてECU30は、プレ噴射およびメイン噴射の間隔が好適なものとなるよう、それらの噴射時期tpre,tmain,…を制御し、その上さらにプレ噴霧を好適なタイミングで着火させるために、パイロット噴射の補正制御を行う。
以下に図2を参照して燃料噴射制御の概略を説明する。この図2は、気筒2内における一部の領域(隣り合う2つの噴孔の噴射領域周辺)を気筒2の軸線方向に見て模式的に示すもので、プレ噴射された燃料の噴霧やその火炎、或いは燃焼ガス等(以下、まとめてプレ噴霧等Pともいう)がスワール流によって気筒2の周方向に移動され、その後のメイン噴射による燃料噴霧(以下、メイン噴霧M1,M2ともいう)との相互の位置関係が変化する様子が表れている。
図2(a)はメイン噴射の開始直後であり、その前に噴射されたプレ噴霧Pは、既にスワール流の下流側に向かって移動方向を変えつつある。こうして移動するプレ噴霧Pの内部では微小な燃料液滴が蒸発しながら空気との混合が進行し、いわゆる着火遅れ期間の後に混合気が自着火して(予混合燃焼)火炎を生成し、周囲の空気を巻き込みながら燃焼するようになる(拡散燃焼)。
図2(b)はメイン噴射の終了時点を示し、前記のように燃焼するプレ噴霧等Pが、気筒2の周方向に隣り合う2つのメイン噴霧M1,M2の中間に位置する様子が表れている。この図2(b)における2つのメイン噴霧M1,M2が燃料噴射弁6の噴孔からの燃料噴射領域を表しており、メイン噴射の終了時点でプレ噴霧等Pは隣り合う2つの噴射領域の略中央に位置している。
このようにプレ噴霧等Pをメイン噴霧M1,M2の略中央に位置づけるためには、まず、プレ噴射とメイン噴射との間隔を適切に設定する必要がある。本実施形態では、燃料噴射弁6に6個の噴孔が等間隔に形成されていて、隣り合う噴孔同士の軸線L1,L2の挟み角は60°になるので、メイン噴射の終了時点でプレ噴霧等Pが、噴孔の軸線L1,L2から30°(図2にθtrgで示す角度)だけ周方向に移動した位置にあればよい。つまり、メイン噴射終了時点のプレ噴霧等Pの目標位置を図中L3上に設定する。
なお、図示はしないが、仮に燃料噴射弁6に10個の噴孔が形成されている場合(前記挟み角が36°である場合)、メイン噴射の終了時点でのプレ噴霧等Pの目標位置は、噴孔の軸線L1,L2から18°だけ周方向に移動した位置になる。つまり、目標位置θtrgは、燃料噴射弁6の噴孔数をnとして、 θtrg =360/2n と表される。
そのようにメイン噴射の終了時点でプレ噴霧等Pが目標位置に到達していれば、メイン噴霧M1,M2との重なりが防止されるとともに、プレ噴霧Pの燃焼によってメイン噴霧M1,M2を効果的に加熱し、その着火遅れ期間を好適に調整することが可能になる。そこで本実施形態では、プレ噴霧等Pがスワール流によって前記目標位置に移動されるまでの時間を計算し、この時間からプレ噴射およびメイン噴射の間隔(インターバル)を設定している。
図3には、プレ噴射およびメイン噴射の間隔と、内燃機関1からの燃焼騒音や排気スモークとの関係を示している。この図の例では、噴射間隔が中程度のときにプレ噴霧等が、スワール流の下流側に位置するメイン噴霧(図のM2)と重なるため、スモークが増大することが分かる。これに対し、図にハッチを入れて示すように噴射間隔を短くすれば、プレ噴霧等がメイン噴霧と重ならないようになり、スモークが減少することが分かる。
なお、噴射間隔を長くすることによってもプレ噴霧等とメイン噴霧とが重ならないようにすることはでき、この場合もスモークは減少するが、こうすると、図2(b)に仮想線で示すようにプレ噴霧等Pがスワール下流側のメイン噴霧M2よりもさらに下流側にまで移動してしまい、かつ噴霧が大きく拡散することになるから、その燃焼によってメイン噴霧M2を効果的に加熱することはできなくなる。よって、メイン噴霧の着火遅れが長くなってしまい、燃焼騒音が増大する。
さらに、前記のようにプレ噴射およびメイン噴射の間隔を好適なものとし、図2(b)に示すようにメイン噴射の終了時点でプレ噴霧等Pが2つのメイン噴霧M1,M2の中間に位置するようにしたとしても、このプレ噴霧等Pの着火するタイミングがずれてしまうと、前記のようにメイン噴霧を効果的に加熱して着火遅れ期間を調整することが難しくなり、スモークの減少および燃焼騒音の低減という効果が十分に得られないことが分かった。
例えば気筒2内の温度が高いほど噴霧の着火遅れは短くなるので、前記図2(a)に実線で示すような過早なタイミングでプレ噴霧Pが着火してしまい、これによりメイン噴霧M1が早くから加熱される結果としてその着火遅れが短くなり、スモークの抑制効果が低下する懸念がある。反対に筒内温度が低ければ、図2(b)に示すメイン噴射の終了時点でもプレ噴霧Pが十分に着火、燃焼していないことがあり、この場合にはメイン噴霧の着火遅れが長くなって、燃焼騒音の低減効果が低下する懸念がある。
かかる点に着目して本実施形態では、プレ噴射に先立って行うパイロット噴射を利用し、例えばその噴射量等を補正することによってプレ噴射の際の筒内温度を調整するようにした。こうすることで、プレ噴霧をメイン噴霧の間にある好適なタイミングで着火、燃焼させて、メイン噴霧の着火遅れを好適に調整し、スモークの抑制効果および燃焼騒音の低減効果を十分に確保することができる
このような燃料噴射制御のための構成としてECU30には、図1に模式的に示すようにメモリ31、筒内状態算出手段32、スワール速度算出手段33、噴霧特性算出手段34、目標位置到達時間算出手段35、目標着火遅れ期間算出手段36、プレ噴射開始前目標温度算出手段37、プレ噴射開始前温度算出手段38、および噴射条件補正手段39を備えている。
なお、前記各手段の機能は、ECU30のROMなどに記憶されている所定の制御ルーチンがCPUによって実行されることで、実現する。つまり、各手段はソフトウエアの態様でECU30に備えられている。そして、ECU30の前記噴射条件補正手段39からの制御信号を受けてEDU40が、以下に説明するように燃料噴射弁6によるパイロット噴射の噴射量を補正する。
以下、前記各手段の機能について詳細に説明すると、まず、筒内状態算出手段32は、前記クランク角センサ22からのパルス信号、前記水温センサ21からの冷却水温検知信号、前記アクセル開度センサ24からのアクセル開度信号、前記エアフローメータ25からの吸入空気量検知信号などの内燃機関1の運転状態に関する信号を読み込み、気筒2内の状態(筒内温度、筒内密度、筒内圧力、吸入空気量など)を算出する。
なお、筒内温度の算出に関しては種々の方法が公知であるが、一例として筒内密度は、吸入空気量および空気圧力に燃料噴射量や図示しないEGR(Exhaust Gas Recirculation)装置による排気ガスの還流量、さらには冷却水温などを加味して算出すればよい。また、前記各センサの出力信号と筒内密度との関係を予め実験やシミュレーションによって規定したマップをECU30のROMに記憶させておき、このマップから筒内密度を求めるようにしてもよい。
スワール速度算出手段33は、機関回転数および吸入空気量などから気筒2内におけるスワール速度Vswを算出する。このスワール速度Vswの算出は、ECU30のROMに記憶され前記機関回転数および吸入空気量をパラメータとする演算式により行われる。なお、前記各センサの出力信号とスワール速度Vswとの関係を予め実験やシミュレーションによって規定したマップをECU30のROMに記憶させておき、このマップからスワール速度Vswを求めるようにしてもよい。
噴霧特性算出手段34は、パイロット噴射やプレ噴射も含めた全ての燃料噴射動作について、その噴射条件の初期値(メイン噴射を分割して行う場合はそれぞれの噴射動作の初期値)と、前記筒内状態算出手段32によって算出された気筒2内の状態とから、噴霧の貫徹力、噴霧角、噴射期間、蒸発量、噴霧内平均当量比等の噴霧特性を算出する。噴射条件としては、コモンレール圧センサ23によって検出される燃料圧力(燃料噴射圧力に相当)、燃料噴射量の他、噴射時期や噴射回数等がある。燃料噴射量はECU30からEDU40に出力される制御信号に基づいて認識される。
なお、貫徹力および噴霧角は、燃料噴射圧力が高いほど大きくなる。噴射期間は、燃料噴射量と燃料噴射圧力とから求められ、目標とする燃料噴射量が得られる期間として算出される。蒸発量や噴霧内平均当量比は貫徹力および噴霧角から求められる。噴霧角の算出手法としては、周知の演算式(例えば「廣安の式」)を利用すればよい。また、予め実験やシミュレーション等によって燃料の噴射量や噴射圧力と噴霧角との関係をマップ化してECU30のROMに記憶させておき、このマップから噴霧角を求めるようにしてもよい。貫徹力や蒸発量、噴霧内平均当量比についても同様である。
目標位置到達時間算出手段35は、図2を参照して上述したように、プレ噴射された燃料噴霧がスワール流によって気筒2の周方向に移動されて、2つのメイン噴霧M1,M2の中間の目標位置L3に到達するまでの時間(目標位置到達時間tθtrg)を、スワール流速および噴射条件に基づいて所定の算出式やマップ等により算出する。
すなわち、仮に同じ条件でプレ噴射が実行された場合であっても、スワール流速が異なれば、プレ噴霧が目標位置に達するまでの時間は変化するし、反対にスワール流速が同じであっても噴射圧力や噴射量などが異なれば、プレ噴霧が目標位置に達するまでの時間は異なるからである。
目標着火遅れ期間算出手段36は、プレ噴霧が着火してからその燃焼がピークになるまでの時間tdlyを前記の目標位置到達時間tθtrgから減算して、目標着火遅れ期間τpreを算出する。すなわち、プレ噴霧が目標位置に到達する前に着火し、かつその燃焼が目標位置においてピークになるような着火遅れ期間τpreを算出する。燃焼のピークとは、例えば熱発生率のピークとすればよい。
なお、噴霧の着火から燃焼ピークまでの時間tdlyは、気筒2内の状態や噴霧の特性によって変化するので、予め実験やシミュレーション等によって、前記筒内状態算出手段32によって算出される気筒2内の状態と、前記噴霧特性算出手段34によって算出される噴霧特性などと、燃焼ピークまでの時間tdlyとの関係を調べる。そして、その結果をマップ化してECU30のROMに記憶させておき、このマップから求めるようにしてもよい。また、内燃機関1の運転状態と燃焼ピークまでの時間tdlyとの関係を調べてマップを作成してもよい。
そして、プレ噴射開始前目標温度算出手段37は、前記の目標着火遅れ期間τpreから例えば公知のアレニウスの式などを用いてプレ噴射開始前目標温度Ttgtを算出する。すなわち、プレ噴射の開始直前の筒内圧とプレ噴霧内の平均当量比とから、前記の目標着火遅れ期間tθtrgとなるような筒内の目標温度Ttgtを算出する。なお、この目標温度Ttgtについても気筒2内の状態および噴霧特性との関係をマップ化してECU30のROMに記憶させておき、このマップから求めるようにしてもよい。
一方、プレ噴射開始前温度算出手段38は、プレ噴射の開始直前の気筒2内の温度(プレ噴射開始前温度)Tpreを予測する。これは例えば筒内温度の履歴とパイロット噴射の噴霧特性から求められる燃焼量と、プレ噴射の噴射条件初期値とから算出する。すなわち、予め実験やシミュレーション等によって、筒内温度とパイロット噴射の燃焼量とプレ噴射の噴射量、噴射圧力などとプレ噴射開始前温度Tpreとの関係を調べ、その結果をマップ化してECU30のROMに記憶させておき、このマップから求めるようにすればよい。パイロット噴射の燃焼量も、同様にその噴霧内の平均当量比と筒内温度との関係を調べてマップ化すればよい。
そうして予測したプレ噴射開始前温度Tpreのプレ噴射開始前目標温度Ttgtからの偏差ΔTに応じて、噴射条件補正手段39がパイロット噴射量を補正する。すなわち、予測したプレ噴射開始前温度Tpreがその目標温度(プレ噴射開始前目標温度Ttgt)よりも低いときには、パイロット噴射量を増量することによって筒内温度を上昇させる。反対に目標温度Ttgtよりも高いときにはパイロット噴射量を減量することによって、筒内温度を低下させる。
このパイロット噴射量の補正量は、予め実験やシミュレーション等によって、内燃機関1の運転状態とパイロット噴射量とプレ噴射開始前温度Tpreとの関係を調べてマップ化し、一例を図4に示すような噴射量補正マップとしてECU30のROMに記憶させておき、この噴射量補正マップから求めるようにすればよい。図4に示す噴射量補正マップでは、図示のように温度偏差ΔTの絶対値が大きいほどパイロット噴射の増量または減量補正量が大きくなっている。
−パイロット噴射の補正ルーチン−
以下、パイロット噴射の補正制御の具体的な手順について、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、このフローチャートに示される処理は、内燃機関1の運転開始後、ECU30により所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップST1において現在の内燃機関1の運転状態を読み込む。例えば、水温センサ21による冷却水温度の読み込み、クランク角センサ22の検出値に基づいて算出される機関回転数の読み込み、コモンレール圧センサ23によるコモンレール9の内圧の読み込み、アクセル開度センサ24により検出されるアクセル開度の読み込み、エアフローメータ25による吸入空気量の読み込み、吸気圧センサ26による吸気圧の読み込み等が行われる。
続いてステップST2では、現在の内燃機関1の運転状態がプレ噴射を実行する運転状態か否か判定し、実行しない運転状態であればリターンする一方、プレ噴射を実行する運転状態であればステップST3に進んで、気筒2内の状態量を算出する。つまり、前記した筒内状態算出手段32による筒内温度、筒内密度、筒内圧力、吸入空気量等の算出を行う。
続くステップST4では、前記スワール速度算出手段33によるスワール流速Vswの算出を行い、ステップST5では、パイロット噴射やプレ噴射も含めた全ての燃料噴射動作について、その噴射条件の初期値を読み込む。そして、ステップST6では、その読み込んだ噴射条件の初期値、および、前記ステップST3で算出された気筒2内の状態から、噴霧の特性を算出する。つまり、前記した噴霧特性算出手段34による噴霧特性の算出を行う。
次にステップST7では、前記プレ噴射開始前温度算出手段38によるプレ噴射開始前温度Tpreの算出を行い、ステップST8では、前記目標位置到達時間算出手段35によるプレ噴霧の目標位置L3への到達時間(目標位置到達時間tθtrg)の算出を行う。続いてステップST9では、前記目標着火遅れ期間算出手段36による目標着火遅れ期間τpreの算出を行い、ステップST10では、前記プレ噴射開始前目標温度算出手段37によるプレ噴射開始前目標温度Ttgtの算出を行う。
ステップST11では、そうして算出したプレ噴射開始前目標温度Ttgtを、前記ステップST7で算出したプレ噴射開始前温度Tpreから減算して温度偏差ΔTを算出する。そして、この温度偏差ΔTが零(0)よりも小さいかどうか判定し(ステップST12)、判定がYESで目標温度Ttgtの方が高ければ、ステップST13に進んでパイロット噴射量を増量する。一方、前記ステップST12の判定がNOで、プレ噴射開始前温度Tpreよりも目標温度Ttgtの方が低ければ、ステップST14に進んでパイロット噴射量を減量する。
そのパイロット噴射の増量分または減量分は、図4の噴射量補正マップを参照して温度偏差ΔTの大きさに応じて決定する。温度偏差ΔTの絶対値が大きいほどパイロット噴射の増量分または減量分が多くなるので、プレ噴射の際の気筒2内の温度Tpreを速やかに目標温度Ttgtに近づけることができる。なお、噴射量補正マップにおいて温度偏差ΔT=0のときには、パイロット噴射量の補正量も零(0)になるので、実質、補正は行われない。
図6〜8はそれぞれ、プレ噴霧およびメイン噴霧の燃焼状態を示すグラフ図であって、(a)は燃料噴射率を、(b)は筒内温度を、また(c)は熱発生率を示している。図6は、筒内温度が低くてプレ噴霧の着火タイミングが遅くなる結果、燃焼騒音の低減効果が低下する場合を示し、図7は、温度偏差に応じてパイロット噴射量が増量されることで、プレ噴霧が好適なタイミングで着火、燃焼する場合を示す。また、図8は、筒内温度が高くてプレ噴霧の着火タイミングが早くなる結果、スモークの抑制効果が低下する場合を示す。
具体的に筒内温度が低い場合は、図6(a)において左端に示すようにパイロット噴射された燃料が燃焼しても、同図(b)に示すように筒内温度があまり高くはならないため、同図(c)に示すようにプレ噴霧の着火が遅れてしまい、その燃焼によってメイン噴霧の着火遅れを十分に短縮することができない。この結果、メイン噴霧の初期の予混合燃焼が過度に激しくなってしまい、同図(c)に表れているように熱発生率が急峻に立ち上がり、燃焼騒音が大きくなることが分かる。
また、そうしてプレ噴霧の着火が遅れると、図2(b)に仮想線で示すようにプレ噴霧等Pが大きく拡散することになるから、その燃焼によってメイン噴霧M2を効果的に加熱することが難しくなる。
これに対し、本実施形態のようにプレ噴射の開始直前の筒内温度Tpreを予測し、その目標温度Ttgtからの偏差ΔTに応じてパイロット噴射量を増量(図7(a)の左端における破線の噴射率波形を実線のように増量)すれば、同図(b)に実線で示すように筒内温度が十分に高くなる。このため、図2(b)を参照して上述したようにプレ噴霧が2つのメイン噴霧の間の好適なタイミングで着火、燃焼するようになる。
そのプレ噴霧の燃焼によってメイン噴霧が効果的に加熱されて、その着火遅れ期間が好適に調整されることにより、図7(c)に示すようにプレ噴霧の燃焼とメイン噴霧の燃焼とがスムーズに繋がって、このメイン噴霧の初期の燃焼が緩慢でなく急峻でもない適切な速度で進行するようになる。よって、スモークの発生を抑制しながら燃焼騒音を低減することができる。
なお、前記図6の場合とは反対に筒内温度が高いと、図8(b)に示すように筒内温度が高くなり過ぎて、同図(c)に示すようにプレ噴霧が過早なタイミングで着火してしまい、図2(a)を参照して上述したように、メイン噴霧の着火遅れが短くなって空気との混合が不十分な状態で燃料噴霧が燃焼するため(初期燃焼の悪化)、スモークの抑制効果が低下してしまう。この場合は、図示は省略するがパイロット噴射量を減量することによって、プレ噴霧を好適なタイミングで着火、燃焼させることができ、図7を参照して前述したようにスモークの発生を抑制しながら燃焼騒音を低減することができる。
つまり、本実施形態に係る燃料噴射制御装置によると、圧縮自着火式の内燃機関1においてメイン噴射の直前にプレ噴射を行う場合に、両者の噴射間隔を適切に設定することにより、プレ噴霧とメイン噴霧とが重ならないようにすることができ、その上で、そのプレ噴射に先行するパイロット噴射量の補正によって、プレ噴霧を好適なタイミングで着火、燃焼させることができる。
特に本実施形態では、隣り合う2つのメイン噴霧の中央でプレ噴霧の燃焼がピークを迎えるようにしているので、その燃焼によってメイン噴霧を効果的に加熱して着火遅れ期間を好適に調整することができる。これにより、プレ噴射によるスモークの抑制と燃焼騒音の低減とを極めて高い次元で両立できる。
−他の実施形態−
以上、説明した実施形態は、コモンレール式の筒内直噴型ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、コモンレール以外の例えばユニットインジェクタを装備したディーゼルエンジンにも適用可能であるし、ディーゼルエンジンにも限定されず、軽油以外の燃料を使用する圧縮自着火式の種々の内燃機関に対して本発明を適用することができる。
また、前記の実施形態では、プレ噴射の開始直前の筒内温度(プレ噴射開始前温度Tpre)の目標温度(プレ噴射開始前目標温度Ttgt)からの偏差(温度偏差ΔT)に応じて、パイロット噴射量を補正するようにしているが、これにも限定されず、パイロット噴射量の補正に代えて、或いはこれに加えて噴射時期や噴射回数を補正するようにしてもよい。補正する燃料噴射は、いわゆるパイロット噴射に限定されず、プレ噴射よりも進角側で先行して行われる燃料噴射であればよい。
さらに前記の実施形態では、プレ噴霧の燃焼がピークになる目標位置を、隣り合う2つのメイン噴霧の略中央に設定しているが、必ずしも中央でなくてもよく、プレ噴霧の燃焼が2つのメイン噴霧の間でピークとなるようにしてもよい。
本発明は、圧縮自着火式の内燃機関における排気エミッションの改善や燃焼騒音の低減に有効であり、特に自動車に搭載されるディーゼルエンジンに適用して効果が高い。
1 内燃機関
2 気筒
6 燃料噴射弁
30 ECU(制御手段)
32 筒内状態算出手段
33 スワール速度算出手段
34 噴霧特性算出手段
35 目標位置到達時間算出手段
36 目標着火遅れ期間算出手段
37 プレ噴射開始前目標温度算出手段
38 プレ噴射開始前温度算出手段
39 噴射条件補正手段
P プレ噴霧等(プレ噴射による燃料の噴霧)
M1,M2 メイン噴霧(メイン噴射による燃料の噴霧、燃料の噴射領域)
L3 隣り合う2つの噴射領域の略中央

Claims (5)

  1. 気筒内に直接、噴射した燃料の空気との混合をスワール流によって促進するようにした内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
    機関トルクを制御するための燃料のメイン噴射と、このメイン噴射の直前のプレ噴射とを少なくとも実行するとともに、そのプレ噴射およびメイン噴射の間隔を、プレ噴射による燃料の噴霧がメイン噴射による燃料の噴霧と重ならないように調整する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記プレ噴射に先立つ燃料の先行噴射を実行するとともに、この先行噴射による燃料の燃焼によって前記プレ噴射の際の筒内温度が所定の目標温度になるように、当該先行噴射の制御を行う構成としたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記内燃機関は、複数の噴孔からそれぞれ気筒内の外周側に向けて放射状に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えており、
    前記制御手段は、スワール流により気筒の周方向に移動されるプレ噴射の燃料噴霧が、前記燃料噴射弁の複数の噴孔からの噴射領域のうち、周方向に隣り合う2つの噴射領域の間で燃焼するように、前記プレ噴射の際の目標温度を決定する構成である、内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記制御手段は、前記プレ噴射の燃料噴霧の燃焼が、前記2つの噴射領域の略中央においてピークとなるように、前記プレ噴射の際の目標温度を決定する構成である、内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 請求項2または3のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記制御手段は、少なくとも前記先行噴射の噴射条件に基づいて前記プレ噴射の際の筒内温度を予測し、この予測温度の前記目標温度からの偏差に応じて前記先行噴射の噴射条件を補正する構成である、内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記制御手段は、前記プレ噴射の際の筒内温度の予測温度が目標温度よりも低いときには、前記先行噴射する燃料を増量する一方、目標温度よりも高いときには先行噴射する燃料を減量する構成である、内燃機関の燃料噴射制御装置。
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