JP2013235810A - リチウム二次電池用セパレータ及びその製造方法並びにリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用セパレータ及びその製造方法並びにリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐デンドライト性と耐熱性に優れるリチウム二次電池用セパレータ及びその製造方法並びに該セパレータを用いてなるリチウム二次電池を提供することにある。
【解決手段】不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体が固着してなるリチウム二次電池用セパレータ及び該セパレータを用いてなるリチウム二次電池。不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを接触させ、乾燥、硬化させることを特徴とするリチウム二次電池用セパレータの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池用セパレータ及びその製造方法並びにリチウム二次電池に関する。
近年の携帯電子機器の普及及びその高性能化に伴い、高エネルギー密度を有する二次電池が望まれている。この種の電池として、有機電解液を使用するリチウムイオン電池に代表されるリチウム二次電池が注目されてきた。このリチウム二次電池は、平均電圧として従来の二次電池であるアルカリ二次電池の約3倍である3.7V程度が得られることから高エネルギー密度となるが、アルカリ二次電池のように水系の電解液を用いることができないため、十分な耐酸化還元性を有する非水電解液を用いている。非水電解液は可燃性であるため、発火等の危険性があり、その使用において安全性には細心の注意が払われている。発火等の危険に曝されるケースとしていくつか考えられるが、特に過充電が危険である。
過充電を防止するために、現状の非水系二次電池では定電圧・定電流充電が行われ、電池に精密なIC(保護回路)が装備されている。この保護回路にかかるコストは大きく、非水系二次電池をコスト高にしている要因にもなっている。
保護回路で過充電を防止する場合、当然保護回路がうまく作動しないことも想定され、本質的に安全であるとは言い難い。現状の非水系二次電池には、過充電時に保護回路が壊れ、過充電されたときに安全に電池を破壊する目的で、安全弁・PTC素子を装備する工夫、リチウム二次電池用セパレータに熱ヒューズ機能(シャットダウン機能)を持たせる工夫がなされている。しかし、上記のような手段を装備していても、過充電される条件によっては、確実に過充電時の安全性が保証されているわけではなく、実際には非水系二次電池の発火事故は現在でも起こっている。
リチウム二次電池用セパレータとしては、ポリエチレン等のポリオレフィンからなるフィルム状の多孔質フィルムが多く使用されており、電池内部の温度が130℃近傍になった場合、溶融して微多孔を塞ぐことで、リチウムイオンの移動を防ぎ、電流を遮断させる熱ヒューズ機能(シャットダウン機能)があるが、何らかの状況により、さらに温度が上昇した場合、ポリオレフィン自体が溶融してショートし、熱暴走する可能性が示唆されている。そこで、現在、200℃近くの温度でも溶融及び収縮しない耐熱性セパレータが求められている。
耐熱性セパレータとして、市販の多孔質フィルムや不織布などの多孔質基材に無機フィラーからなる多孔質層を形成させたもの(例えば、特許文献1〜15参照)、繊維と熱硬化性樹脂を混抄してなる蓄電デバイス用セパレータ(例えば、特許文献16及び17参照)が開示されている。
特許文献1〜14のセパレータは、無機フィラーからなる多孔質層の厚みを厚くしすぎると、巻回時や折り曲げ加工時に多孔質層がひび割れやすく、無機フィラーの粉落ちや剥落が生じ、多孔質基材が剥き出しになる問題があった。一方、多孔質層の厚みを薄くすると、多孔質基材がポリプロピレンやポリエチレンからなる場合には、依然として耐熱性が不十分になる問題があった。多孔質基材が多孔質フィルムの場合には、大電流で充放電するときの電池特性、即ちハイレート特性が低いという問題があった。多孔質基材が不織布の場合は、多孔質フィルムに比べて貫通孔が桁違いに大きいため、ピンホールができやすい問題があった。したがって、ピンホールの生成を防ぐために無機フィラーの付着量を多くせざるを得ず、セパレータ全体の厚みを薄くしにくい問題があった。これらのセパレータに用いられるバインダー、例えばスチレン−ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデンなどは、製膜性が高く、皮膜を形成することや、無機フィラーを埋没せしめて、多孔質基材や無機フィラー間の空孔を必要以上に閉塞し、電解液浸透性やイオン移動を妨げ、リチウム二次電池の内部抵抗を高くし、ハイレート特性を低下せしめる問題があった。ポリビニルピロリドンは電解液に溶解し、電解液の粘度を上げてしまうため、電池特性を低下せしめる問題があった。逆に、バインダー量を少なくしすぎると、無機フィラーの粉落ちや剥落が生じる問題があった。特許文献15のセパレータは、多孔質基材が不織布の場合は塗工液が裏抜けし、塗工性に支障を来たす問題があった。
特許文献16、17のセパレータは、繊維と熱硬化性樹脂の混抄で作製されたものであり、熱硬化性樹脂は粒子状か繊維状である。粒子状のものは抄紙用スラリー中で短繊維には担持されにくいため、フィブリル状繊維に絡めて漉き上げる必要がある。特許文献16、17の全ての実施例でフィブリル状繊維が使用されているのはこのためである。したがって、熱硬化性樹脂の粒子はフィブリル状繊維に集中的に担持され、これを融着させるとフィブリル状繊維の上に皮膜を形成してしまい、電解液中のイオン移動を阻害する問題があった。熱硬化性樹脂が繊維状の場合は、フィブリル状繊維が無くても歩留まり良く漉き上げることができるが、繊維が太いためピンホールが生成しやすい問題があった。
特開2007−531234号公報 特開2008−524824号公報 特開2011−505663号公報 特開2012−502426号公報 特開2008−66094号公報 特開2008−123996号公報 特開2009−32677号公報 特開2009−224341号公報 特開2010−123465号公報 特開2010−157521号公報 特開2011−65849号公報 特開2011−65850号公報 特開2011−154936号公報 特開2012−14994号公報 特開2011−505663号公報 特開2010−231899号公報 特開2010−232205号公報
本発明の課題は、耐デンドライト性と耐熱性に優れるリチウム二次電池用セパレータ及びその製造方法、並びに該セパレータを用いてなるリチウム二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体が固着してなることを特徴とするリチウム二次電池用セパレータ及びその製造方法を見出した。さらに該セパレータを用いてなることを特徴とするリチウム二次電池を見出した。
本発明のセパレータは、不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体が固着してなるため、無機フィラーの粉落ちや剥落がなく、耐デンドライト性に優れる。また、不織布基材の空孔と無機フィラー間の空孔が閉塞されないため、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池は、電極間のイオン移動を阻害せず、ハイレート特性に優れる。本発明のセパレータの第一の製造方法は、不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを接触させ、乾燥、硬化させるため、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体が、不織布基材を構成する繊維間と繊維上に強固に固着し、無機フィラーの粉落ちや剥落が生じない。本発明のセパレータの第二の製造方法は、不織布基材に熱硬化性樹脂を固着させた後、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを接触させ、乾燥、硬化させるため、予め固着された熱硬化性樹脂の疎水性基が表面に露出する。そのため、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーが水性の場合は、混合スラリーが不織布基材を裏抜けせず、不織布基材の表面に多孔質体が層状に形成されるため、多孔質体が不織布内部まで充填される第一の製造方法よりも少ない固着量でピンホールの生成を抑制できる。
本発明のリチウム二次電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と表記することもある)は、不織布基材、無機フィラーと熱硬化性樹脂で構成される。
本発明におけるリチウム二次電池とは、リチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池を意味する。リチウム二次電池の負極活物質としては、黒鉛やコークスなどの炭素材料、金属リチウム、アルミニウム、シリカ、スズ、ニッケル、鉛から選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金、SiO、SnO、Fe、WO、Nb、Li4/3Ti5/3等の金属酸化物、Li0.4CoNなどの窒化物が用いられる。正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、チタン酸リチウム、リチウムニッケルマンガン酸化物、リン酸鉄リチウムが用いられる。リン酸鉄リチウムは、さらに、マンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属との複合物でも良い。
リチウム二次電池の電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、これらの混合溶媒などの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムが挙げられる。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
本発明に用いられる不織布基材には、乾式不織布、湿式不織布、静電紡糸不織布(エレクトロスピニング不織布)、これらの複合不織布が挙げられるが、地合の均一性に優れることから、湿式不織布、静電紡糸不織布(エレクトロスピニング不織布)、湿式不織布と静電紡糸不織布からなる複合不織布が好ましい。湿式不織布は、短繊維だけで構成されたものでも良く、短繊維とフィブリル状繊維から構成されたものでも良い。湿式不織布は、単層でも良く、2層以上の漉き合せでも良い。不織布基材がフィブリル状繊維を含有する場合には、フィブリル状繊維よりも太い短繊維の占める平面積が減るため、イオン移動の阻害が緩和されて好ましい。静電紡糸不織布は、ポリマー溶液を紡糸する紡糸口にプラス電極を接続し、紡糸口とアース電極間に高電圧を印加した状態で紡糸口からアース電極基板上へ紡糸することにより、アース電極基板上にナノファイバーからなる不織布が形成される。
本発明に用いられる短繊維とは、いわゆるチョップドファイバーを意味する。本発明に用いられる短繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリエステル、全芳香族ポリエステル、アクリル、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド(アラミドともいう)、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ジエン、ポリウレタン、フェノール、メラミン、フラン、尿素、アニリン、不飽和ポリエステル、フッ素、シリコーン、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレン、これらの誘導体などの樹脂100%からなる短繊維、又は2種類以上の樹脂からなる複合繊維、各種ガラス、アルミナ、シリカ、ジルコニア、炭化珪素、各種セラミックスからなる無機繊維が挙げられる。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が挙げられる。本発明におけるアクリルとは、アクリロニトリル100%の重合体からなるもの、アクリロニトリルに対して、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニルなどを共重合させたものを指す。半芳香族ポリアミドとは、主鎖の一部に脂肪鎖などを有する芳香族ポリアミドを指す。全芳香族ポリアミドには、メタ型とパラ型がある。これらの短繊維以外にも再生繊維の短繊維を用いても良い。再生繊維としては、溶剤紡糸セルロース繊維、レーヨン、キュプラ繊維などが挙げられる。
短繊維の断面形状は、円形、楕円形、扁平、三角形、四角形、多角形のいずれでも良いが、基材の空隙を閉塞しにくいことから円形、楕円形、三角形、四角形、多角形が好ましい。平均繊維径は、0.1〜15.0μmが好ましく、0.5〜10.0μmがより好ましく、1.0〜8.0μmがさらに好ましい。短繊維の平均繊維径が15.0μmを超えた場合、厚さ方向における繊維本数が少なくなるため、塗工液が裏抜けする場合や厚みを薄くしにくくなる場合がある。0.1μm未満だと、短繊維の添加効果が現れにくい場合がある。断面形状が円形以外の場合の平均繊維径は、同面積の円形に換算したときの平均繊維径を意味する。
短繊維の繊維長としては、0.1〜10mmが好ましく、0.3〜6mmがより好ましい。繊維長が10mmを超えた場合、繊維同士がよれて地合不良となることがある。一方、繊維長が0.1mm未満の場合には、基材の機械的強度が低くなって、塗工の際に基材が破損する場合がある。
本発明に用いられる不織布基材中の短繊維の含有率は、90〜30質量%が好ましく、90〜45質量%がより好ましく、85〜60質量%がさらに好ましい。含有率が90質量%超では、不織布基材の貫通孔が大きくなりすぎて、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を固着させた後もピンホールが生成する場合がある。30質量%未満だと、不織布基材の引張強度や突刺強度が弱くなり、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を固着させる作業に支障を来たす場合がある。
本発明に用いられる不織布基材は、フィブリル状繊維を含有することが好ましい。不織布基材がフィブリル状繊維を含有する場合は、フィブリル状繊維よりも太い短繊維の占める平面積がフィブリル状繊維の分だけ減るため、電極間のイオン移動の阻害が緩和され、フィブリル状繊維を含有しない場合よりも大電流での充放電特性が良くなる傾向がある。また、不織布基材がフィブリル状繊維を含有する場合は、塗工液の裏抜けを抑制することができ、フィブリル状繊維の含有率と不織布基材の坪量との兼ね合いで決まる。フィブリル状繊維の含有率が多い場合や不織布基材の坪量が多い場合は、塗工液が裏抜けしにくい。
フィブリル状繊維とは、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。米国特許第5833807号明細書や米国特許第5026456号明細書に明記されているようなフィブリッドとは異なる。フィブリル状繊維は、高圧ホモジナイザー、リファイナー、ビーター、ミル、ビートファイナー、摩砕装置などを用いて製造されるため、分割が不十分な部分も残留しており、部分的に10〜30μmの繊維径を有する場合もある。本発明に用いられるフィブリル状繊維の長さ加重平均繊維長は、0.1〜2.0mmが好ましく、0.3〜1.5mmがより好ましく、0.3〜1.0mmがさらに好ましい。長さ加重平均繊維長が0.1mm未満だと、短繊維との絡みが不十分になり、不織布基材の強度が不十分になる場合がある。2.0mmより長いと、繊維同士がよれて地合不良や厚みのばらつきが大きくなる場合がある。フィブリル状繊維は、カナディアンフリーネスが0〜300mlであることが好ましい。300ml超では、分割が不十分な太い繊維の割合が多くなり、電解液中のイオン移動を阻害する場合がある。長さ加重平均繊維長は、繊維にレーザー光を当てて得られる偏光特性を利用する市販の繊維長測定器を用いて測定することができる。
本発明に用いられるフィブリル状繊維としては、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂からなるフィブリル状繊維、天然セルロース、溶剤紡糸セルロース、レーヨン、キュプラなどのフィブリル状繊維が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れ、皮膜を形成しにくいフィブリル状パラ型全芳香族ポリアミド繊維が好ましい。本発明に用いられる不織布基材中のフィブリル状繊維の含有率は、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。含有率が5質量%未満だと、不織布基材の貫通孔が大きくなりすぎて、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を固着させた後もピンホールが生成する場合がある。70質量%超だと、不織布基材の引張強度や突刺強度が弱くなり、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を固着させる作業に支障を来たす場合がある。
本発明に用いられる不織布基材が湿式不織布の場合には、湿式抄紙法で製造される。具体的には、繊維を水に分散して均一なスラリーとし、このスラリーを抄紙機で漉き上げて湿式不織布を作製する。スラリーには、必要に応じて分散助剤、消泡剤、増粘剤、剥離剤などの薬品を添加しても良い。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、傾斜短網抄紙機、これらを組み合わせた複合抄紙機が挙げられる。不織布基材の坪量は4.0〜25.0g/mが好ましく、6.0〜20.0g/mがより好ましい。坪量が4.0g/m未満だと、不織布基材の引張強度や突刺強度が弱くなり、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を固着させる作業に支障を来たす場合がある。25.0g/m超だと、セパレータの厚みを薄くしにくくなる場合がある。本発明に用いられる不織布基材の厚みは、6〜50μmが好ましく、8〜40μmがより好ましい。厚みが6μm未満だと、不織布基材の引張強度や突刺強度が弱くなり、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を固着させる作業に支障を来たす場合がある。厚みが50μm超だと、セパレータの厚みが厚くなりすぎる場合がある。
本発明に用いられる無機フィラーとしては、アルミナ、ギブサイト、ベーマイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウムなどの無機酸化物や無機水酸化物、窒化アルミニウムや窒化珪素などの無機窒化物、アルミニウム化合物、ゼオライト、マイカなどが挙げられる。
本発明に用いられる熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、オキセタン系樹脂、ノボラック系樹脂、レゾール系樹脂、ウレア系樹脂、メラミン系樹脂などが挙げられ、これらを単独で使用することもでき、2種以上を併用することもできる。これらの中でも環境ホルモン物質であるホルマリンの残留が少ないか、無い樹脂、メチロール基を有さず、硬化反応の際にホルマリンの発生が無い樹脂が好ましく、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、アクリル系樹脂、オキセタン系樹脂が好ましい。これらの熱硬化性樹脂は、取り扱いやすさと安全性の点で水分散体が好ましい。水分散体には必要に応じて分散剤、乳化剤、有機溶剤などを含有しても良い。エポキシ系樹脂としては、例えばアクリル酸グリシジル、アクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸ブチル、スチレンなどの共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アクリル系樹脂としては、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明における無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体は、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを不織布基材に接触させ、乾燥させることによって作製され、不織布基材に固着する。混合スラリーは、熱硬化性樹脂の分散液に所定量の無機フィラーを混入し、アルミナボールやジルコニアボールを入れてペイントシェーカーやペイントコンディショナーなどを用いて1時間〜数時間程度攪拌する方法、ディスパー、ミキサー、ホモジナイザー、アジテーターなどを用いて、所定量の固形分濃度になるように熱硬化性樹脂の分散液と無機フィラーを混合して攪拌する方法で調製すれば良い。混合スラリーには、必要に応じて分散剤、増粘剤、消泡剤、有機溶剤を添加しても良い。
無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体の固着量は、1.00〜20.00g/mが好ましく、2.00〜16.00g/mがより好ましく、3.00〜15.00g/mがさらに好ましい。固着量が1.00g/m未満だと、ピンホールが生成する場合がある。20.00g/mより多いと、多孔質体の厚みが厚くなりすぎて巻回時や折り曲げ加工時に無機フィラーの粉落ちや剥落が生じる場合がある。セパレータ中の無機フィラーの含有率は、10.0〜70.0質量%が好ましく、15.0〜60.0質量%がより好ましく、20.0〜55.0質量%がさらに好ましい。セパレータ中の熱硬化性樹脂の固形分含有率は、1.0〜20.0質量%が好ましく、1.5〜15.0質量%がより好ましく、2.0〜15.0質量%がさらに好ましい。無機フィラーの含有率が10.0質量%未満で、熱硬化性樹脂の固形分含有率が20.0質量%超だと、ピンホールが生成する場合がある。無機フィラーの含有率が70.0質量%超で、熱硬化性樹脂の固形分含有率が1.0質量%未満だと、無機フィラーの粉落ちや剥落が生じる場合がある。
本発明におけるセパレータの第一の製造方法は、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを不織布基材に接触させ、乾燥後、硬化させる。混合スラリーを不織布基材に接触させる方法としては、含浸、塗工、噴霧、転写が挙げられる。転写とは、混合スラリーを一旦フィルムやロールなどに付着させ、そのフィルムやロールから不織布基材に転写させる方法を指す。本発明においては、生産効率が良く、均一性の高いセパレータを作製しやすいことから塗工が好ましい。塗工は、エアナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、カーテンコーターなどのコーターを用いて行い、不織布基材の片面でも良く、両面でも良い。片面の場合は、1回塗工でも良く、2回以上でも良い。乾燥温度は不織布基材の耐熱性、熱硬化性樹脂の融点、乾燥効率の兼ね合いで決めれば良く、70〜180℃が好ましい。熱硬化性樹脂の硬化を兼ねて乾燥させても良く、一旦水分を除去する程度に短時間で乾燥させてから、乾燥温度より高温あるいは同じ温度で加熱時間を長くして熱硬化性樹脂を硬化させても良い。熱硬化性樹脂を硬化させるための加熱温度は150〜180℃が好ましく、加熱時間は10〜30分が好ましい。
熱硬化性樹脂は無機フィラー粒子だけでなく不織布基材との結着力も強いため、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体が、不織布基材を構成する繊維間と繊維上に強固に固着し、無機フィラーの粉落ちや剥落が生じない。熱硬化性樹脂は、混合スラリーの調製の際の強攪拌によって非常に細い糸状になって無機フィラーと結着するため、無機フィラー粒子を埋没させることなく、無機フィラー間の空孔を閉塞しない多孔質体を形成することができる。
本発明におけるセパレータの第二の製造方法は、不織布基材に熱硬化性樹脂を固着させた後、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを不織布基材に接触させ、乾燥、硬化させる。予め不織布基材に熱硬化性樹脂だけを固着させるには、不織布基材に熱硬化性樹脂の分散液を接触させて乾燥すれば良い。分散液を接触させる方法は、含浸、塗工、噴霧、転写を指す。乾燥温度は70〜180℃が好ましい。このとき、熱硬化性樹脂の硬化を兼ねても良い。熱硬化性樹脂は、繊維1本1本の表面を部分的に覆う形や沿う形で固着し、繊維同士の交点に小さな水掻き状に固着し、不織布基材の空孔を閉塞しない。不織布基材に固着した熱硬化性樹脂の疎水性基が表面に露出するため、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーが水性の場合は、不織布基材表面が混合スラリーを適度にはじき、第一の製造方法では塗工液が裏抜けする基材であっても、混合スラリーが不織布基材を裏抜けしない効果が得られる。そのため、不織布基材表面に均一性の高い多孔質体の層が形成される。また、予め不織布基材に熱硬化性樹脂だけを固着させることによって、不織布基材の強度が強くなり、塗工性が向上する効果と、塗工後のセパレータの強度が強くなる効果も得られる。
本発明のセパレータは、カレンダー処理して厚みを薄く仕上げた不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を固着させて作製しても良く、カレンダー処理していない不織布基材に該多孔質体を固着させた後にカレンダー処理して作製しても良く、カレンダー処理した不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を固着させた後、カレンダー処理して作製しても良い。カレンダー処理は、必要に応じて加熱して行っても良い。
本発明のセパレータが、片面塗工されてなる場合は、塗工面を正極、負極どちらの電極に接触させて巻回や積層してリチウム二次電池を作製しても良い。
本発明に用いられる不織布基材は、ASTM−F316−86で規定される最大孔径が1〜30μmであることが好ましく、1〜25μmであることがより好ましく、1〜20μmであることがさらに好ましい。1μm未満だと、電解液浸透性が悪くなる場合がある。30μmより大きいと、セパレータにピンホールができる場合や無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーが裏抜けする場合がある。
本発明のセパレータは、坪量が5.0〜35.0g/mであることが好ましく、7.0〜30.0g/mであることがより好ましく、8.0〜26.0g/mであることがさらに好ましい。坪量が5.0g/m未満だと、セパレータの引張強度や突刺強度が不十分になる場合がある。35.0g/m超だと、セパレータの厚みを薄くしにくくなる場合がある。
本発明のセパレータは、厚みが8〜40μmであることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。厚みが8μm未満では、セパレータの引張強度や突刺強度が不十分になる場合がある。40μmより厚いと、リチウム二次電池の中に収納できる電極面積が小さくなり、容量などの電池特性が不十分になる場合がある。
本発明のセパレータは、ASTM−F316−86で規定される最大孔径が0.1〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましく、0.1〜2μmであることがさらに好ましい。0.1μm未満だと、電解液浸透性が悪くなる場合がある。10μmより大きいと、耐デンドライト性が不十分になる場合がある
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
<基材1>
ポリエステル繊維(繊度0.1dtex、繊維長3mm、帝人ファイバー製、商品名:TM04PN)60質量%、未延伸ポリエステル繊維(繊度0.2dtex、繊維長3mm、帝人ファイバー製、商品名:TK08PN)40質量%からなる坪量10g/m、厚み15μm、最大孔径19μmの湿式不織布を作製し、基材1とした。
<基材2>
ポリエステル繊維(繊度0.1dtex、繊維長3mm、帝人ファイバー製、商品名:TM04PN)40質量%、未延伸ポリエステル繊維(繊度0.2dtex、繊維長3mm、帝人ファイバー製、商品名:TK08PN)30質量%、フィブリル状パラ型全芳香族ポリアミド繊維(カナディアンフリーネス160ml、長さ加重平均繊維長0.56mm)30質量%からなる坪量10g/m、厚み35μm、最大孔径17μmの湿式不織布を作製し、基材2とした。
<基材3>
ポリエステル繊維(繊度0.1dtex、繊維長3mm、帝人ファイバー製、商品名:TM04PN)20質量%、未延伸ポリエステル繊維(繊度0.2dtex、繊維長3mm、帝人ファイバー製、商品名:TK08PN)30質量%、フィブリル状パラ型全芳香族ポリアミド繊維(カナディアンフリーネス160ml、長さ加重平均繊維長0.56mm)50質量%からなる坪量14g/m、厚み35μm、最大孔径13μmの湿式不織布を作製し、基材3とした。
<基材4>
市販のポリエチレン製多孔質フィルム(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm)を基材4とした。
<基材5>
市販のポリエチレン製多孔質フィルム(厚み16μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm)を基材5とした。
<樹脂溶液1>
エポキシ系熱硬化性樹脂の水分散体(大日本インキ製、商品名:ディックファイン(登録商標)EN−0274、固形分濃度20質量%)をイオン交換水で希釈し、固形分濃度5質量%に調製し、これを樹脂溶液1とした。
<塗工液1>
アルミナ粉末(平均粒径0.9μm)270g、エポキシ系熱硬化性樹脂の水分散体(大日本インキ製、商品名:ディックファイン(登録商標)EN−0274、固形分濃度20質量%)67.5g、イオン交換水796.5gを容器に入れ、ディスパーを用いて攪拌し、均一に分散させた塗工液1(全固形分中の無機フィラーの固形分含有率95.2%、熱硬化性樹脂の固形分含有率4.8質量%)を調製した。
<塗工液2>
ポリフッ化ビニリデンを固形分濃度15質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた。これを600gとN−メチル−2−ピロリドン1000gを容器に入れ、均一に溶解させた。この溶液にアルミナ粉末(平均粒径0.4μm)3000gを4回に分けて加え、ディスパーを用いて2800rpmで1時間攪拌し、均一に分散させた塗工液2(全固形分中の無機フィラーの固形分含有率97.1質量%、バインダーの固形分含有率2.9質量%)を調製した。
<塗工液3>
スチレン−ブタジエンゴムのエマルジョン(固形分濃度40質量%)100gとイオン交換水4000gを容器に入れ、均一に分散させた。この分散液にベーマイト粉末(平均粒径1μm、板状、アスペクト比10)4000gを4回に分けて加え、ディスパーを用いて2800rpmで5時間攪拌し、均一に分散させた塗工液3(全固形分中の無機フィラーの固形分含有率99.0質量%、バインダーの固形分含有率1.0質量%)を調製した。
<塗工液4>
鱗片状シリカの水スラリー(固形分濃度15質量%、アスペクト比50、平均粒径0.5μm)200g、シリカ(平均粒径3μm)1000g、スチレン−ブタジエンゴムのエマルジョン(固形分濃度3質量%)108g、イオン交換水1000gを容器に入れ、撹拌機(商品名:スリーワンモーター、新東科学(株)製)で1時間攪拌し、均一に分散させた塗工液4(全固形分中の無機フィラーの固形分含有率99.7質量%、バインダーの固形分含有率0.3質量%)を調製した。
表1に実施例及び比較例で用いた基材、樹脂溶液、塗工液を示した。表1中の製造方法の「1」、「2」は、それぞれ本発明の第一の製造方法、第二の製造方法を意味する。表1中の「−」は該当なしを意味する。
実施例1
基材1に塗工液1をワイヤーバーで両面に塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥させた。乾燥後、160℃に設定した恒温乾燥機内で10分間加熱し、熱硬化性樹脂を硬化させ、実施例1のセパレータを作製した。
実施例2
基材1に樹脂溶液1を含浸させ、90℃の恒温乾燥機で乾燥させた。次いで、塗工液1をワイヤーバーで両面に塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥させた。乾燥後、160℃に設定した恒温乾燥機内で10分間加熱し、熱硬化性樹脂を硬化させ、実施例2のセパレータを作製した。
実施例3
表1に示した基材と塗工液の組み合わせで、実施例1と同様にして基材に多孔質体を固着させた後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例3のセパレータを作製した。
実施例4
表1に示した基材、樹脂溶液、塗工液の組み合わせで、実施例2と同様にして実施例4のセパレータを作製した。
実施例5
基材3に塗工液1をワイヤーバーで片面のみに塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥させた。乾燥後、160℃に設定した恒温乾燥機内で10分間加熱し、熱硬化性樹脂を硬化させた後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例5のセパレータを作製した。
実施例6
基材3に樹脂溶液1を含浸させ、90℃の恒温乾燥機で乾燥させた。次いで、塗工液1をワイヤーバーで片面のみに塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥させた。乾燥後、160℃に設定した恒温乾燥機内で10分間加熱し、熱硬化性樹脂を硬化させた後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例6のセパレータを作製した。
(比較例1)
基材4上に塗工液2をエアナイフコーターで塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥して、比較例1のセパレータを作製した。
(比較例2)
基材5上に塗工液3をマイクログラビアコーターで塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥して、比較例2のセパレータを作製した。
(比較例3)
塗工液4中に基材1を通して含浸させ、引き上げて、90℃の恒温乾燥機で乾燥して、比較例3のセパレータを作製した。
(比較例4)
基材1に塗工液4をワイヤーバーで両面に塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥して、比較例4のセパレータを作製した。
(比較例5)
基材1に塗工液2をワイヤーバーで両面に塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥して、比較例5のセパレータを作製した。
(比較例6)
基材2に塗工液2をワイヤーバーで両面に塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥した後、カレンダー処理して厚みを調整し、比較例6のセパレータを作製した。
(比較例7)
基材1に樹脂溶液1を含浸させ、90℃の恒温乾燥機で乾燥させ、比較例7のセパレータとした。
(比較例8)
基材3に樹脂溶液1を含浸させ、90℃の恒温乾燥機で乾燥させた後、カレンダー処理して厚みを調整し、比較例8のセパレータとした。
(比較例9)
基材1に樹脂溶液1を含浸させ、90℃の恒温乾燥機で乾燥させた。次いで、塗工液4をワイヤーバーで両面に塗工し、90℃の恒温乾燥機で乾燥させ、比較例9のセパレータを作製した。
(比較例10)
ポリエステル繊維(繊維径2.5μm、繊維長6mm)、フィブリル状パラ型全芳香族ポリアミド繊維(繊維径0.2μm、長さ加重平均繊維長0.6mm)、フィブリル状溶剤紡糸セルロース繊維(繊維径0.5μm、長さ加重平均繊維長1.0mm)を25:60:15の質量比率でイオン交換水中に投入し、パルパーで分散させた。この混合スラリーの固形分に対して、p−t−ブチルフェノール樹脂粒子を20質量%添加して、全固形分濃度を0.05質量%にしてパルパーで30分間分散させた後、JIS P8222に規定される標準手漉き装置を用いて混抄した。混抄後、150℃のヤンキードライヤーに通して乾燥させ、比較例10のセパレータ(厚み36μm、密度0.43g/cm)を作製した。
実施例及び比較例で用いたアルミナ、ベーマイト、鱗片状シリカ、シリカの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したときの、質量比で積算50%のときの粒子径、即ちD50を意味する。
[評価]
実施例及び比較例の不織布基材、セパレータについて、下記の評価を行い、結果を表2に示した。表2中の「−」は該当なしを意味する。
<裏抜け>
基材に塗工液を塗工してセパレータを作製する際に、塗工液が基材を全く裏抜けしなかった場合を「なし」、わずかでも裏抜けした場合を「あり」とした。
<粉落ち>
セパレータ表面を指で擦り、無機フィラーが粉落ちするか否かを確認した。粉落ちした場合を「あり」、しなかった場合を「なし」とした。
<ピンホール>
セパレータの裏側から光を当て、セパレータにピンホールがあるかどうかを目視で判定した。ピンホールがある場合を「あり」、ない場合を「なし」とした。
<固着量1>
実施例2、4、6、比較例7〜9のセパレータについては、熱硬化性樹脂のみ固着させた後の基材の坪量W1から元の基材の坪量W0を差し引いて得られる値を固着量1とした。
<固着量2>
実施例1、3、5、比較例1〜6のセパレータについては、セパレータの坪量W2から元の基材の坪量W0を差し引いて得られる値を固着量2とした。実施例2、4、6、比較例7〜9のセパレータについては、W2からW1を差し引いた値を固着量2とした。坪量W0、W1、W2は、JIS P8124に準拠して測定した。
<含有率1>
セパレータ中の熱硬化性樹脂又はバインダーの固形分含有率(質量%)を含有率1として算出した。実施例1、3、5のセパレータについては、<固着量2>で算出した値に熱硬化性樹脂の固形分含有率を乗じて得られる値W4をセパレータの坪量W2で除して100倍して得られる値を示した。実施例2、4、6のセパレータについては、<固着量2>で算出した値に熱硬化性樹脂の固形分含有率を乗じて得られる値W4と<固着量1>で算出した値を足して得られる値W5をセパレータの坪量W2で除して100倍して得られる値を示した。比較例1〜6のセパレータについては、<固着量2>で算出した値にバインダーの固形分含有率を乗じて得られる値W6をセパレータの坪量W2で除して100倍して得られる値を示した。比較例7、8のセパレータについては、<固着量1>で算出した値をセパレータの坪量W2で除して100倍して得られる値を示した。比較例9のセパレータについては、<固着量2>で算出した値にバインダーの固形分含有率を乗じて得られる値W6と<固着量1>で算出した値を足して得られる値W7をセパレータの坪量W2で除して100倍して得られる値を示した。固着量2に乗じる熱硬化性樹脂又はバインダーの固形分含有率とは、塗工液の全固形分質量に対する熱硬化性樹脂又はバインダーの固形分含有率を意味する。
<含有率2>
セパレータ中の無機フィラーの含有率(質量%)を含有率2として算出した。具体的には、<固着量2>で算出した値に無機フィラーの含有率を乗じて得られる値W8をセパレータの坪量W2で除して100倍して得られる値を示した。固着量2に乗じる無機フィラーの含有率とは、塗工液の全固形分質量に対する無機フィラー含有率を意味する。
<厚み>
JIS P8118に準拠して厚みを測定し、その平均値を算出した。
<耐熱性>
セパレータの上下2辺をガラス板にセロハンテープで固定した。このとき、セパレータの40mm×50mmの領域が露出するようにした。これを180℃の乾燥機中に10分間静置した後のセパレータの状態を観察した。セパレータが全く収縮しなかった場合、又は若干の収縮はあるが、形状を保持した場合を「○」、セパレータが大幅に収縮し、元の形状を保持できなかった場合を「×」とした。
<耐デンドライト性>
セパレータの片面に金属リチウム箔を、セパレータの反対側に正極を配置して積層し、電解液を注入してラミネートセルを作製した。0.5mA/cmで4.3Vまで定電流充電し、さらに4.3Vを24時間印加し、過充電した。この過充電中に異常電流が流れた場合を内部短絡したと見なし、過充電を中止し、ラミネートセルを開封してリチウムデンドライトの発生状態を確認した。過充電により発生したリチウムデンドライトがセパレータを貫通しなかった場合を「○」、貫通した場合を「×」とした。正極には、活物質のコバルト酸リチウム、導電助剤のアセチレンブラック、結着剤のポリフッ化ビニリデンを質量比率で90:5:5に混合したスラリーをアルミニウム集電体の両面に塗布したものを用いた。電解液は、LiPFを1mol/l溶解させた混合溶液を使用した。混合溶液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを容量比率で3:7としたものである。
<ハイレート特性>
負極、セパレータ、正極、セパレータの順に積層し、電解液を注入してラミネートセルを3個ずつ作製し、25℃、1mA/cmで4.2Vまで定電流充電し、さらに4.2Vで定電圧充電し、電流値が0.2mA以下に減衰するまで充電した。充電完了後、20分間休止し、1mA/cmで3.0Vまで放電した。このとき得られた容量を初期放電容量とした。次いで、0.5A/cmで定電圧充電した後、60℃、1A/cmで3.0Vまで放電して放電容量を測定し、初期放電容量に対する割合を算出し、ハイレート特性とした。実施例5、6、比較例1、2のセパレータについては、塗工面が正極に接触するように配置した。電解液には、<耐デンドライト性>の評価に記載したものと同様の電解液を用いた。
実施例1〜6のリチウム二次電池用セパレータは、不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体が固着してなるため、無機フィラーの粉落ちや剥落がなく、耐デンドライト性と耐熱性に優れていた。不織布基材の空孔と無機フィラー間の空孔が閉塞されないため、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池は、ハイレート特性に優れていた。
実施例1と3、実施例2と4、実施例1と5、実施例2と6の比較から、実施例3〜6のリチウム二次電池用セパレータは、フィブリル状繊維を含有してなるため、電極間のイオン移動の阻害が緩和され、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池は、フィブリル状繊維を含有しない実施例1、2のリチウム二次電池用セパレータを用いてなるリチウム二次電池よりもハイレート特性に優れていた。
実施例1、3、5のリチウム二次電池用セパレータは、不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを接触させ、乾燥、硬化させて作製されたため、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体が、不織布基材を構成する繊維間と繊維上に強固に固着し、無機フィラーの粉落ちや剥落が生じなかった。
実施例2、4、6のリチウム二次電池用セパレータは、不織布基材に熱硬化性樹脂を固着させた後、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを接触させ、乾燥、硬化させて作製されたため、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーが不織布基材を裏抜けせず、不織布基材の表面に多孔質体が層状に形成された結果、実施例2は実施例1より、実施例4は実施例3より、実施例6は実施例5よりも少ない固着量でピンホールの生成を抑制できた。
比較例1及び2のリチウム二次電池用セパレータは、ポリエチレンからなる多孔質フィルム上に無機フィラー層が形成されてなるため、ピンホールがなく、耐デンドライト性に優れていたが、粉落ちが生じ、耐熱性が悪く、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池はハイレート特性が劣っていた。
比較例3のリチウム二次電池用セパレータは、耐熱性と耐デンドライト性は良好であったが、粉落ちが生じ、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池はハイレート特性が劣っていた。
比較例4のリチウム二次電池用セパレータは、耐熱性は良好であったが、塗工液の裏抜けが生じ、粉落ちとピンホールが発生したため、耐デンドライト性が悪く、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池はハイレート特性が劣っていた。
比較例5のリチウム二次電池用セパレータは、耐熱性は良好であったが、塗工液の裏抜けが生じ、粉落ちとピンホールが発生したため、耐デンドライト性が悪く、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池はハイレート特性が劣っていた。
比較例6のリチウム二次電池用セパレータは、ピンホールがなく、耐熱性と耐デンドライト性は良好であったが、塗工液の裏抜けと粉落ちが生じ、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池はハイレート特性が劣っていた。
比較例7、8のリチウム二次電池用セパレータは、耐熱性とハイレート特性は良好であったが、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を含有していないため、ピンホールが多数あり、耐デンドライト性が悪かった。
比較例9のリチウム二次電池用セパレータは、耐熱性は良好であったが、粉落ちが生じ、ピンホールが発生したため、耐デンドライト性が悪く、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池はハイレート特性がやや劣っていた。
比較例10のリチウム二次電池用セパレータは、耐熱性は良好であったが、無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体を含有していないため、ピンホールが多数あり、耐デンドライト性が悪く、該セパレータを用いてなるリチウム二次電池はハイレート特性がやや劣っていた。
本発明のリチウム二次電池用基材は、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池等のリチウム二次電池に好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂からなる多孔質体が固着してなることを特徴とするリチウム二次電池用セパレータ。
  2. 不織布基材がフィブリル状繊維を含有する請求項1記載のリチウム二次電池用セパレータ。
  3. フィブリル状繊維がフィブリル状パラ型全芳香族ポリアミド繊維である請求項2記載のリチウム二次電池用セパレータ。
  4. 不織布基材に無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを接触させ、乾燥、硬化させることを特徴とするリチウム二次電池用セパレータの製造方法。
  5. 不織布基材に熱硬化性樹脂を固着させた後、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合スラリーを接触させ、乾燥、硬化させることを特徴とするリチウム二次電池用セパレータの製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか記載のリチウム二次電池用セパレータを用いてなることを特徴とするリチウム二次電池。
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