JP2013235239A - マクロレンズおよび撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】合焦用レンズ群の高速化、軽量化を図りかつ無限遠から最至近までの収差変動を抑えたマクロレンズおよび撮像装置を提供する。
【解決手段】マクロレンズ1は、正正負の3群構成であって、第1群11は、同符号の曲率半径を持ち下記式1〜式3により定義されるS1面、S2面を有し、合焦時に、第1および第3群11、13を固定し、第2群12を移動して合焦を行う。ここで、無限遠から最至近での第2群12の移動量をM2、第2群12の焦点距離をf2、S1面とS2面との光軸上の空気換算間隔をe0、無限遠と最至近の各結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る光軸からの各高さをYinf、Ynearとした場合に、光軸方向のS1面とS2面との各合成光学的パワーをφinf、φnearとする場合に、式1;0.6<M2/f2<1、式2;(φinf−φnear)f2<−0.0002、式3;e0/f2<0.15
【選択図】図1
【解決手段】マクロレンズ1は、正正負の3群構成であって、第1群11は、同符号の曲率半径を持ち下記式1〜式3により定義されるS1面、S2面を有し、合焦時に、第1および第3群11、13を固定し、第2群12を移動して合焦を行う。ここで、無限遠から最至近での第2群12の移動量をM2、第2群12の焦点距離をf2、S1面とS2面との光軸上の空気換算間隔をe0、無限遠と最至近の各結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る光軸からの各高さをYinf、Ynearとした場合に、光軸方向のS1面とS2面との各合成光学的パワーをφinf、φnearとする場合に、式1;0.6<M2/f2<1、式2;(φinf−φnear)f2<−0.0002、式3;e0/f2<0.15
【選択図】図1
Description
本発明は、マクロレンズに関し、特に、インナーフォーカス型のマクロレンズに関する。そして、本発明は、このマクロレンズを備える撮像装置に関する。
マクロレンズは、等倍などの高い撮影倍率で接写撮影を可能とするレンズであるが、通常、無限遠物体から近距離物体まで広い範囲に亘って使用されている。したがって、その合焦(フォーカシング)には、前記広い範囲に亘って良好な収差補正を実現することが要請される。このため、近年では、合焦に、例えば、特許文献1に開示されているように、合焦のために複数のレンズ群を移動させるいわゆるフローティング方式が用いられており、それが主流となっている。その一方で、合焦に前記フローティング方式を採用せず、例えば、特許文献2に開示されているように、合焦のために1つのレンズ群しか移動させない方式も提案されている。
また、近年、カメラ(撮像装置)は、いわゆる銀塩カメラではなく、デジタルカメラが一般的となってきており、さらにオートフォーカスによる静止画撮影だけではなく、動画撮影等も可能となってきている。この動画撮影では、物体の移動に対して常に合焦状態を保つため、合焦用のレンズ群を高速に振動させ(ウォブリング)、常にコントラストの最大値を捉えるように合焦用のレンズ群を移動させる制御が行われる。このような制御に適したマクロレンズとして、例えば、特許文献3に開示されたマクロレンズがある。
ところで、特許文献1および特許文献3のように、フローティング方式を採用した場合、無限遠距離から最至近距離までの収差変動を比較的小さく抑えることが可能である。しかしながら、フローティング方式では複数のレンズ群を移動させる必要があるため、機構が複雑になるとともに、可動のレンズ群におけるガタ等の製造誤差要素も増えるため、安定性において懸念がある。
この点、特許文献2では合焦の際に移動するレンズ群は、1つであるため、上記安定性の懸念は、軽減される。しかしながら、無限遠距離から最至近距離までに亘って安定した結像性能(良好な収差補正)を実現するためには、合焦の際に移動するレンズ群自身で発生する諸収差を充分に小さく抑える必要がある。このため、合焦の際に移動するレンズ群を構成するレンズ枚数が比較的多くなり、特許文献3で開示されている高速な合焦に対応することが困難である。
また、前記動画撮影では、画像だけではなく音声等の音も同時に記録されることが通常である。このため、カメラやマクロレンズで生じる作動音等の音を極力抑えることが要請されている。マクロレンズで生じる音は、一般に、合焦動作(ウォブリング動作)の際に用いられるアクチュエーターの作動音であり、このアクチュエーターの作動音の静穏化を図る必要がある。アクチュエーターの作動音を低減することによって静穏化を図るためには、アクチュエーターの負荷を小さくすることが重要であり、これに対応するためにも、やはり、合焦の際に移動するレンズ群の軽量化が求められている。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、合焦の際に移動するレンズ群のより高速化およびより軽量化を図ることができると共に、無限遠距離から最至近距離までの収差変動をより抑えたマクロレンズを提供することである。そして、本発明の他の目的は、この撮影光学系を備える撮像装置およびこの撮像装置を搭載したデジタル機器を提供することである。
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下のような構成を有する撮像光学系、撮像装置およびデジタル機器を提供するものである。なお、以下の説明において使用されている用語は、本明細書においては、次の通り定義されているものとする。
(a)屈折率は、d線の波長(587.56nm)に対する屈折率である。
(b)アッベ数は、d線、F線(波長486.13nm)、C線(波長656.28nm)に対する屈折率を各々nd、nF、nCとし、アッベ数をνdとした場合に、
νd=(nd−1)/(nF−nC)
の定義式で求められるアッベ数νdをいうものとする。
(c)レンズについて、「凹」、「凸」または「メニスカス」という表記を用いた場合、これらは光軸近傍(レンズの中心付近)でのレンズ形状を表しているものとする。
(d)接合レンズを構成している各単レンズにおける屈折力(光学的パワー、焦点距離の逆数)の表記は、単レンズのレンズ面の両側が空気である場合におけるパワーである。
(e)複合型非球面レンズに用いる樹脂材料は、基板ガラス材料の付加的機能しかないため、単独の光学部材として扱わず、基板ガラス材料が非球面を有する場合と同等の扱いとし、レンズ枚数も1枚として取り扱うものとする。そして、レンズ屈折率も基板となっているガラス材料の屈折率とする。複合型非球面レンズは、基板となるガラス材料の上に薄い樹脂材料を塗布して非球面形状としたレンズである。
(a)屈折率は、d線の波長(587.56nm)に対する屈折率である。
(b)アッベ数は、d線、F線(波長486.13nm)、C線(波長656.28nm)に対する屈折率を各々nd、nF、nCとし、アッベ数をνdとした場合に、
νd=(nd−1)/(nF−nC)
の定義式で求められるアッベ数νdをいうものとする。
(c)レンズについて、「凹」、「凸」または「メニスカス」という表記を用いた場合、これらは光軸近傍(レンズの中心付近)でのレンズ形状を表しているものとする。
(d)接合レンズを構成している各単レンズにおける屈折力(光学的パワー、焦点距離の逆数)の表記は、単レンズのレンズ面の両側が空気である場合におけるパワーである。
(e)複合型非球面レンズに用いる樹脂材料は、基板ガラス材料の付加的機能しかないため、単独の光学部材として扱わず、基板ガラス材料が非球面を有する場合と同等の扱いとし、レンズ枚数も1枚として取り扱うものとする。そして、レンズ屈折率も基板となっているガラス材料の屈折率とする。複合型非球面レンズは、基板となるガラス材料の上に薄い樹脂材料を塗布して非球面形状としたレンズである。
本発明の一態様にかかるマクロレンズは、物体側から像側へ順に、第1レンズ群と、全体として正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群とから成り、前記第1レンズ群は、同じ符号の曲率半径を持ち下記式(1)ないし式(3)によって定義されるS1面およびS2面を有し、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、前記第1および第3レンズ群を固定するとともに、前記第2レンズ群を光軸上で移動することによって合焦を行うことを特徴とする。
0.6<M2/f2<1 ・・・(1)
(φinf−φnear)f2<−0.0002 ・・・(2)
e0/f2<0.15 ・・・(3)
ただし、M2は、無限遠から最至近における第2レンズ群の移動量であり、f2は、第2レンズ群の焦点距離であり、e0は、S1面とS2面との光軸上の空気換算間隔である。そして、φinfは、無限遠物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る、光軸からの高さをYinfとした場合に、光軸に平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4A)で定義される光学的パワーである。
φinf=(φ1(Yinf)+φ2(Yinf)−φ1(Yinf)φ2(Yinf)e(Yinf))/n3 ・・・(4A)
ここで、S1面の物体側媒質のd線の屈折率をn1とし、S1面とS2面との間の媒質のd線の屈折率をn2とし、S2面の像側媒質のd線の屈折率をn3とし、S1面の高さYにおける曲率をC1(Y)とし、S2面の高さYにおける曲率をC2(Y)とし、高さYに対するS1面とS2面との光軸AXに平行な方向の空気換算距離(空気換算面間隔)をe(Y)とした場合において、φ1(Y)は、光軸からの高さYにおけるS1面の光学的パワーであって下記式(5)で定義される光学的パワーで、φ2(Y)は、光軸からの高さYにおけるS2面の光学的パワーであって下記式(6)で定義される光学的パワーである。
φ1(Y)=(n2−n1)C1(Y) ・・・(5)
φ2(Y)=(n3−n2)C2(Y) ・・・(6)
さらに、φnearは、最至近物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る、光軸からの高さをYnearとした場合に、光軸に平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4B)で定義される光学的パワーである。
φnear=(φ1(Ynear)+φ2(Ynear)−φ1(Ynear)φ2(Ynear)e(Ynear))/n3 ・・・(4B)
0.6<M2/f2<1 ・・・(1)
(φinf−φnear)f2<−0.0002 ・・・(2)
e0/f2<0.15 ・・・(3)
ただし、M2は、無限遠から最至近における第2レンズ群の移動量であり、f2は、第2レンズ群の焦点距離であり、e0は、S1面とS2面との光軸上の空気換算間隔である。そして、φinfは、無限遠物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る、光軸からの高さをYinfとした場合に、光軸に平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4A)で定義される光学的パワーである。
φinf=(φ1(Yinf)+φ2(Yinf)−φ1(Yinf)φ2(Yinf)e(Yinf))/n3 ・・・(4A)
ここで、S1面の物体側媒質のd線の屈折率をn1とし、S1面とS2面との間の媒質のd線の屈折率をn2とし、S2面の像側媒質のd線の屈折率をn3とし、S1面の高さYにおける曲率をC1(Y)とし、S2面の高さYにおける曲率をC2(Y)とし、高さYに対するS1面とS2面との光軸AXに平行な方向の空気換算距離(空気換算面間隔)をe(Y)とした場合において、φ1(Y)は、光軸からの高さYにおけるS1面の光学的パワーであって下記式(5)で定義される光学的パワーで、φ2(Y)は、光軸からの高さYにおけるS2面の光学的パワーであって下記式(6)で定義される光学的パワーである。
φ1(Y)=(n2−n1)C1(Y) ・・・(5)
φ2(Y)=(n3−n2)C2(Y) ・・・(6)
さらに、φnearは、最至近物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る、光軸からの高さをYnearとした場合に、光軸に平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4B)で定義される光学的パワーである。
φnear=(φ1(Ynear)+φ2(Ynear)−φ1(Ynear)φ2(Ynear)e(Ynear))/n3 ・・・(4B)
このような構成のマクロレンズでは、上記各条件式が満たされるとともに、合焦(フォーカシング)の際に、第1および第3レンズ群が像面に対して固定され、第2レンズ群が物体側に大きく繰り出される。このような構成とすることによって、このマクロレンズは、第1レンズ群における軸外光線高さを無限遠から最至近において大きく変化させることが可能となる。第2レンズ群は、合焦の際に大きく物体側に繰り出されるため、第2レンズ群で発生する非点収差が大きく変動してしまう。しかしながら、前述のように合焦の際に、第1レンズ群における軸外光線高さが大きく変化するので、第2レンズ群において変化する非点収差を第1レンズ群において打ち消すようにバランスさせることが可能となる。したがって、このような構成のマクロレンズは、合焦の際に移動するレンズ群を1つのみとすることによって、より高速化およびより軽量化を図ることができると共に、無限遠距離から最至近距離までの収差変動をより抑えることができる。
また、他の一態様では、上述のマクロレンズにおいて、下記条件式(7)を満たすことを特徴とする。
−0.1<f2/f1<0.2 ・・・(7)
ただし、f1は、第1レンズ群の焦点距離である。
−0.1<f2/f1<0.2 ・・・(7)
ただし、f1は、第1レンズ群の焦点距離である。
このような構成のマクロレンズでは、条件式(7)の上限を上回ると、第2レンズ群の位置によって第2レンズ群に入射する軸外光線の入射角度の変動が大きくなる。その結果、第2レンズ群における非点収差やコマ収差は、合焦(フォーカシング)に伴って変動が大きくなってしまい、好ましくない。一方、条件式(7)の下限を下回ると、合焦に伴う第2レンズ群への軸外光線の入射角度の変動は、小さくなるが、第2レンズ群に入射する軸上光線高さが高くなり、第2レンズ群で発生する球面収差やコマ収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記第1レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含むことを特徴とする。
このような構成のマクロレンズは、第1レンズ群に正レンズと負レンズとを少なくともそれぞれ1枚ずつ含むので、条件式(7)を満たすように第1レンズ群自身の光学的パワーを抑えつつ条件式(2)および条件式(3)を満たすS1面とS2面とを配置する自由度を得ることができる。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記S1面は、前記正レンズと前記負レンズとによって挟まれた空間における物体側の面であり、前記S2面は、該空間における像側の面であり、下記条件式(8)を満たすことを特徴とする。
3<|(r1+r2)/(r1−r2)| ・・・(8)
ただし、r1は、前記S1面の曲率半径であり、r2は、前記S2面の曲率半径である。
3<|(r1+r2)/(r1−r2)| ・・・(8)
ただし、r1は、前記S1面の曲率半径であり、r2は、前記S2面の曲率半径である。
このような構成のマクロレンズでは、前記正レンズと前記負レンズとによって挟まれた空間における物体側の面のS1面と、前記空間における像側面のS2面とで、所謂空気レンズが構成され、さらに、条件式(8)を満たすことによって、条件式(2)を満たしつつ球面収差やコマ収差の発生を抑えることが可能となる。すなわち、条件式(8)の下限を下回ると、S1面とS2面との曲率差が大きくなり過ぎて、S1面およびS2面において発生する球面収差やコマ収差が増大してしまい、好ましくない。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記第1レンズ群は、非球面を少なくとも1面を含み、該非球面は、前記S1面および前記S2面のいずれか一方であることを特徴とする。
このような構成のマクロレンズは、第1レンズ群に非球面を少なくとも1面配置するとともに該非球面をS1面またはS2面とすることによって、球面収差やコマ収差の発生を抑えつつ条件式(2)を満たすことができる。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、下記条件式(9)を満たすことを特徴とする。
−0.6<f2/f3<0.1 ・・・(9)
ただし、f3は、第3レンズ群の焦点距離である。
−0.6<f2/f3<0.1 ・・・(9)
ただし、f3は、第3レンズ群の焦点距離である。
このような構成のマクロレンズでは、条件式(9)の上限を上回ると、第3レンズ群の正の光学的パワーが強くなり過ぎ、充分なバックフォーカスを得ることが困難となってしまい、好ましくない。一方、条件式(9)の下限を下回ると、第3レンズ群の負の光学的パワーが強くなり過ぎ、第2レンズ群における軸上光線高さが増大してしまう。その結果、第2レンズ群で発生する球面収差とコマ収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記第3レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含むことを特徴とする。
このような構成のマクロレンズは、軸外光線高さが比較的高くなる第3レンズ群に、正レンズと負レンズを少なくとも1枚ずつ配置することによって、非点収差とコマ収差を効果的に補正することが可能となる。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記第2レンズ群は、非球面を少なくとも1面を含むことを特徴とする。
これら上述のマクロレンズは、全系で必要な収束パワーを、大部分、第2レンズ群が担っており、このため、第2レンズ群における収差の抑制が重要となっている。したがって、第2レンズ群には、収差を補正するための自由度を大きくしたい。このため、前記自由度を大きくするためにレンズ枚数を増やすと、その重量が増加してしまうため、合焦の際に移動する第2レンズ群にとって好ましくない。したがって、このような構成のマクロレンズは、第2レンズ群に、非球面を少なくとも1面を与えることによって、レンズ枚数の増加を抑制しつつ、必要な収差の補正を達成することができる。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記第3レンズ群の一部のレンズを光軸に垂直な方向に移動させることによって防振を行うことを特徴とする。
第3レンズ群は、像面に対して位置が固定であるので、合焦に際して倍率は、変化しない。したがって、このような構成のマクロレンズでは、第3レンズ群に配置された防振を行うためのレンズ群における防振敏感度は、無限遠距離から最至近距離に至る合焦全域において一定値をとることになり、防振の際における制御が簡単になる。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記防振を行う場合に移動させる防振レンズ群は、前記第3レンズ群の最も像側に配置された正レンズよりも物体側に配置されたレンズ群であり、下記条件式(10)を満たすことを特徴とする。
2<βv<9 ・・・(10)
ただし、βvは、無限遠物体に合焦する場合における防振レンズ群の近軸横倍率である。
2<βv<9 ・・・(10)
ただし、βvは、無限遠物体に合焦する場合における防振レンズ群の近軸横倍率である。
このような構成のマクロレンズでは、最も像側の正レンズは、防振の際に固定とされ、それよりも物体側のレンズ群を防振レンズ群とされる。このため、このような構成のマクロレンズは、レンズ鏡胴内を該正レンズで密閉することができ、ゴミや湿気の侵入を防ぐことができる。また、このような構成のマクロレンズは、条件式(10)を満たすことによって、適正な防振感度を得ることができる。すなわち、条件式(10)の下限を下回ると、防振感度が弱くなり過ぎ、防振レンズ群の必要移動量が大きくなり、防振レンズ群を駆動するため、出力の大きな駆動手段が必要となってしまい、好ましくない。一方、条件式(10)の上限を上回ると、防振感度が強くなり過ぎ、防振レンズ群の位置を検出するために、測定精度の高い位置検出手段が必要となってしまい、好ましくない。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記第1レンズ群は、全体として正の屈折力を有し、前記第3レンズ群は、全体として負の屈折力を有することを特徴とする。
この構成によれば、正正負の3群構成のマクロレンズが提供される。
また、他の一態様では、これら上述のマクロレンズにおいて、前記第1レンズ群は、全体として負の屈折力を有し、前記第3レンズ群は、全体として正の屈折力を有することを特徴とする。
この構成によれば、負正正の3群構成のマクロレンズが提供される。
また、本発明の他の一態様にかかる撮像装置は、これら上述のいずれかのマクロレンズと、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子とを備え、前記マクロレンズが前記撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成可能とされていることを特徴とする。
この構成によれば、合焦の際に移動するレンズ群のより高速化およびより軽量化を図ることができると共に、無限遠距離から最至近距離までの収差変動をより抑えることができるマクロレンズを用いた撮像装置を提供することができる。したがって、このような撮像装置は、合焦動作の高速化および静音化を実現することができ、無限遠距離から最至近距離までに亘って諸収差をより良好に補正された光学像を撮像素子の受光面上に形成することができる。
本発明にかかるマクロレンズは、合焦の際に移動するレンズ群のより高速化およびより軽量化を図ることができると共に、無限遠距離から最至近距離までの収差変動をより抑えることができる。そして、本発明によれば、このようなマクロレンズを用いた撮像装置の提供が可能となる。したがって、このような撮像装置は、合焦動作の高速化および静音化を実現することができ、無限遠距離から最至近距離までに亘って諸収差をより良好に補正された光学像を撮像素子の受光面上に形成することができる。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、接合レンズにおけるレンズ枚数は、接合レンズ全体で1枚ではなく、接合レンズを構成する単レンズの枚数で表すこととする。
<実施の一形態のマクロレンズの説明>
図1は、実施形態におけるマクロレンズの説明のための、その構成を模式的に示したレンズ断面図である。図2は、主光線の像面入射角の定義を示す模式図である。なお、以下において、主光線の像面入射角は、図2に示すように、撮像面への入射光線のうち最大画角の主光線の、像面に立てた垂線に対する角度(deg、度)αであり、像面入射角αは、射出瞳位置が像面より物体側にある場合の主光線角度を正方向とする。図3は、各種パラメータn1、n2、n3、Yinf、e(Yinf)、Ynear、e(Ynear)を説明するための図である。図3(A)は、無限遠物体に合焦する場合を示し、図3(B)は、最至近物体に合焦する場合を示す。
図1は、実施形態におけるマクロレンズの説明のための、その構成を模式的に示したレンズ断面図である。図2は、主光線の像面入射角の定義を示す模式図である。なお、以下において、主光線の像面入射角は、図2に示すように、撮像面への入射光線のうち最大画角の主光線の、像面に立てた垂線に対する角度(deg、度)αであり、像面入射角αは、射出瞳位置が像面より物体側にある場合の主光線角度を正方向とする。図3は、各種パラメータn1、n2、n3、Yinf、e(Yinf)、Ynear、e(Ynear)を説明するための図である。図3(A)は、無限遠物体に合焦する場合を示し、図3(B)は、最至近物体に合焦する場合を示す。
図1において、このマクロレンズ1は、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子16の受光面上に、物体(被写体)の光学像を結像させて形成するものであって、物体側より像側へ順に、1または複数のレンズを備える第1ないし第3レンズ群11〜13から構成されて成る光学系である。撮像素子16は、その受光面がマクロレンズ1の像面と略一致するように配置される(像面=撮像面)。なお、図1で例示したマクロレンズ1は、後述する実施例1のマクロレンズ1A(図8)と同じ構成である。
そして、このマクロレンズ1では、合焦(フォーカシング)の際に、第1および第3レンズ群11、13は、固定され、第2レンズ群12が移動する。このように第2レンズ群12のみが光軸AX方向に移動することによって合焦が行われ、マクロレンズ1は、いわゆるインナーフォーカス型である。また、外界と接する第1レンズ群11と第3レンズ群13が固定であるので、外部からのゴミや湿気の進入を防ぎ易く、好ましい。
さらに、第1レンズ群11は、全体として正の屈折力を有し、第2レンズ群12は、全体として正の屈折力を有し、第3レンズ群13は、全体として負の屈折力を有している。そして、第1レンズ群11は、同じ符号の曲率半径を持ち下記式(1)ないし式(3)によって定義されるS1面およびS2面を有する。
0.6<M2/f2<1 ・・・(1)
(φinf−φnear)f2<−0.0002 ・・・(2)
e0/f2<0.15 ・・・(3)
ただし、M2は、無限遠から最至近における第2レンズ群12の移動量であり、f2は、第2レンズ群12の焦点距離であり、e0は、S1面とS2面との光軸上の空気換算間隔である。そして、φinfは、図3(A)において、無限遠物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る、光軸AXからの高さをYinfとした場合に、光軸AXに平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4A)で定義される光学的パワーである。
φinf=(φ1(Yinf)+φ2(Yinf)−φ1(Yinf)φ2(Yinf)e(Yinf))/n3 ・・・(4A)
ここで、S1面の物体側媒質のd線の屈折率をn1とし、S1面とS2面との間の媒質のd線の屈折率をn2とし、S2面の像側媒質のd線の屈折率をn3とし、S1面の高さYにおける曲率をC1(Y)とし、S2面の高さYにおける曲率をC2(Y)とし、高さYに対するS1面とS2面との光軸AXに平行な方向の空気換算距離(空気換算面間隔)をe(Y)(図3参照)とした場合において、φ1(Y)は、光軸AXからの高さYにおけるS1面の光学的パワーであって下記式(5)で定義される光学的パワーで、φ2(Y)は、光軸AXからの高さYにおけるS2面の光学的パワーであって下記式(6)で定義される光学的パワーである。
φ1(Y)=(n2−n1)C1(Y) ・・・(5)
φ2(Y)=(n3−n2)C2(Y) ・・・(6)
さらに、φnearは、図3(B)において、最至近物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る、光軸AXからの高さをYnearとした場合に、光軸AXに平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4B)で定義される光学的パワーである。
φnear=(φ1(Ynear)+φ2(Ynear)−φ1(Ynear)φ2(Ynear)e(Ynear))/n3 ・・・(4B)
0.6<M2/f2<1 ・・・(1)
(φinf−φnear)f2<−0.0002 ・・・(2)
e0/f2<0.15 ・・・(3)
ただし、M2は、無限遠から最至近における第2レンズ群12の移動量であり、f2は、第2レンズ群12の焦点距離であり、e0は、S1面とS2面との光軸上の空気換算間隔である。そして、φinfは、図3(A)において、無限遠物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る、光軸AXからの高さをYinfとした場合に、光軸AXに平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4A)で定義される光学的パワーである。
φinf=(φ1(Yinf)+φ2(Yinf)−φ1(Yinf)φ2(Yinf)e(Yinf))/n3 ・・・(4A)
ここで、S1面の物体側媒質のd線の屈折率をn1とし、S1面とS2面との間の媒質のd線の屈折率をn2とし、S2面の像側媒質のd線の屈折率をn3とし、S1面の高さYにおける曲率をC1(Y)とし、S2面の高さYにおける曲率をC2(Y)とし、高さYに対するS1面とS2面との光軸AXに平行な方向の空気換算距離(空気換算面間隔)をe(Y)(図3参照)とした場合において、φ1(Y)は、光軸AXからの高さYにおけるS1面の光学的パワーであって下記式(5)で定義される光学的パワーで、φ2(Y)は、光軸AXからの高さYにおけるS2面の光学的パワーであって下記式(6)で定義される光学的パワーである。
φ1(Y)=(n2−n1)C1(Y) ・・・(5)
φ2(Y)=(n3−n2)C2(Y) ・・・(6)
さらに、φnearは、図3(B)において、最至近物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る、光軸AXからの高さをYnearとした場合に、光軸AXに平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4B)で定義される光学的パワーである。
φnear=(φ1(Ynear)+φ2(Ynear)−φ1(Ynear)φ2(Ynear)e(Ynear))/n3 ・・・(4B)
より具体的には、図1に示す例では、第1レンズ群11は、負メニスカスレンズ111と、正メニスカスレンズ112とを備える。第2レンズ群12は、両凸の正レンズ121と、両凹の負レンズ122と、正メニスカスレンズ123とを備える。光学絞り14は、第2レンズ群12の物体側、すなわち、第2レンズ群12の中で最物体側の正レンズ121における物体側に配置され、第2レンズ群12と一体で移動する。この光学絞り14は、好ましくは、開口絞りである。第3レンズ群13は、正メニスカスレンズ131と、両凹の負レンズ132と、正メニスカスレンズ133を備える。第2レンズ群12の正メニスカスレンズ123は、両面が非球面である。
これら第1ないし第3レンズ群11〜13の各レンズ111、112、121〜123、131〜133は、例えば、ガラスモールドレンズであってよく、また、例えば、プラスチック等の樹脂材料製レンズであってもよい。この樹脂材料製レンズは、軽量化、大量生産性および安価な点で好ましい。
なお、非球面を有するガラスレンズが用いられる場合、この非球面ガラスレンズは、ガラスモールド非球面レンズや、研削非球面ガラスレンズや、複合型非球面レンズ(球面ガラスレンズ上に非球面形状の樹脂を形成したもの)であってもよい。ガラスモールド非球面レンズは、大量生産に向き、好ましく、複合型非球面レンズは、基板となり得るガラス材料の種類が多いため、設計の自由度が高くなる。特に、高屈折率材料を用いた非球面レンズでは、モールド形成が容易ではないため、複合型非球面レンズが好ましい。また、片面非球面の場合には、複合型非球面レンズの利点を最大限に活用することが可能となる。
そして、このマクロレンズ1の像側、すなわち、第3レンズ群13における像側には、フィルタ15および撮像素子16が配置される。このフィルタ15は、平行平板状の光学素子であり、各種光学フィルタや、撮像素子16のカバーガラス(シールガラス)等を模式的に表したものである。使用用途、撮像素子、カメラの構成等に応じて、光学的ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ等の光学フィルタを適宜に配置することが可能である。撮像素子16は、このマクロレンズ1によって結像された被写体の光学像における光量に応じてR(赤)、G(緑)、B(青)の各成分の画像信号に光電変換して所定の画像処理回路(不図示)へ出力する素子である。これらによって物体側の被写体の光学像が、マクロレンズ1によりその光軸AXに沿って所定の倍率で撮像素子16の受光面まで導かれ、撮像素子16によって前記被写体の光学像が撮像される。
このような構成のマクロレンズ1は、上記各条件式(1)ないし条件式(3)の各条件式が満たされるとともに、合焦(フォーカシング)の際に、第1および第3レンズ群11、13が像面に対して固定され、第2レンズ群12が物体側に大きく繰り出される。このような構成とすることによって、このマクロレンズ1は、第1レンズ群11における軸外光線高さを無限遠から最至近において大きく変化させることが可能となる。第2レンズ群12は、合焦の際に大きく物体側に繰り出されるため、第2レンズ群12で発生する非点収差が大きく変動してしまう。しかしながら、前述のように合焦の際に、第1レンズ群11における軸外光線高さが大きく変化するので、第2レンズ群12において変化する非点収差を第1レンズ群11において打ち消すようにバランスさせることが可能となる。したがって、このような構成のマクロレンズ1は、合焦の際に移動するレンズ群を1つのみとすることによって、より高速化およびより軽量化を図ることができると共に、無限遠距離から最至近距離までの収差変動をより抑えることができる。
図4は、無限遠物体から最至近物体への合焦の場合における第2レンズ群で発生する非点収差の様子を説明するための図である。図4(A)は、無限遠物体に合焦する場合を示し、図4(B)は、最至近物体に合焦する場合を示す。図5は、無限遠物体から最至近物体への合焦の場合における第2レンズ群で発生する非点収差を示す図である。図5(A)は、無限遠距離の場合を示し、図5(B)は、最至近距離の場合を示す。図5において、その横軸は、焦点位置のずれをmm単位で表しており、その縦軸は、像高Yをmm単位で表している。そして、破線は、タンジェンシャル(メリディオナル)面、実線は、サジタル(ラディアル)面における結果をそれぞれ表している。
より詳しくは、図4および図5に示すように、無限遠から最至近への合焦において第2レンズ群12が物体側へ大きく繰り出すことにより、第2レンズ群12自身で発生する非点収差がアンダーからオーバー側へ大きく変化する。その際、最大像高に結像する光束の絞り中心を通過する光線が第1レンズ群11を通過する高さが高さYinfから高さYnearに変化する。ここで、条件式(2)を満足するS1面とS2面は、光軸から離れるに従って局所的な光学的パワーが減少するように(すなわち、負の光学的パワーは増大するように)構成されているため、高さYnearの方が高さYinfに比較してアンダー側の非点収差が強く発生する。したがって、S1面とS2面との局所的な光学的パワー変化と第1レンズ群11を通過する光線高さの変動とによって、第2レンズ群12の移動による非点収差変化をキャンセルすることができる。
ここで、条件式(2)を満足するS1面とS2面とは、同じ符号の曲率半径を持ち条件式(3)をさらに満足している。このため、このような構成では、条件式(2)の効果を得つつ他の収差、例えば球面収差やコマ収差の発生を抑えることが可能となる。すなわち、条件式(3)の上限を超えると、S1面とS2面の間隔が離れ過ぎてしまうため、S1面およびS2面において発生する収差が増大してしまい、好ましくない。
また、このマクロレンズ1は、第1レンズ群の焦点距離をf1とする場合に、下記条件式(7)を満たしている。
−0.1<f2/f1<0.2 ・・・(7)
−0.1<f2/f1<0.2 ・・・(7)
図6は、マクロレンズにおける軸外主光線および軸上光線を説明するための図である。図6(A)は、第1レンズ群の光学的パワーが比較的強い場合における軸外主光線を示し、図6(B)は、第1レンズ群の光学的パワーが比較的弱い場合における軸外主光線を示し、図6(C)は、第1レンズ群の光学的パワーが比較的強い場合における軸上光線を示し、そして、図6(D)は、第1レンズ群の光学的パワーが比較的弱い場合における軸上光線を示す。なお、図6では、光学的パワーが比較的強い場合とは、正の屈折力の場合であり、光学的パワーが比較的弱い場合とは、負の屈折力の場合であり、光学的パワーの絶対値の大きさではない。したがって、光学的パワーの絶対値で表現すると、図6で言う光学的パワーが比較的弱い場合とは、負の屈折力が強い場合である。
条件式(7)は、第1レンズ群11と第2レンズ群12との光学的パワーの関係を規定する式であり、軸外光線の入射角度の変動を適正化し、球面収差やコマ収差を適切に補正するための条件式である。このような構成のマクロレンズ1では、条件式(7)の上限を上回ると、図6(A)および(B)を相互に比較すると分かるように、図6(B)に示す無限遠物体の場合の軸外光線の入射角度と最至近物体の場合の軸外光線の入射角度との差に比較して、図6(A)に示す無限遠物体の場合の軸外光線の入射角度と最至近物体の場合の軸外光線の入射角度との差が大きくなり、第2レンズ群12の位置によって第2レンズ群12に入射する軸外光線の入射角度の変動が大きくなる。その結果、第2レンズ群12における非点収差やコマ収差は、合焦に伴って変動が大きくなってしまい、好ましくない。一方、条件式(7)の下限を下回ると、合焦に伴う第2レンズ群12への軸外光線の入射角度の変動は、小さくなるが、図6(C)および(D)を相互に比較すると分かるように、図6(C)に示す第2レンズ群に入射する軸上光線高さに比較して、図6(D)に示す第2レンズ群に入射する軸上光線高さが高くなっており、第2レンズ群12に入射する軸上光線高さが高くなり、第2レンズ群12で発生する球面収差やコマ収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。
このような観点から、マクロレンズ1は、下記条件式(7A)を満たすことが好ましい。
−0.05≦f2/f1≦0.015 ・・・(7A)
−0.05≦f2/f1≦0.015 ・・・(7A)
また、このマクロレンズ1では、第1レンズ群11は、少なくとも1枚の正レンズ(図1に示す例では正メニスカスレンズ112)と少なくとも1枚の負レンズ(図1に示す例では負メニスカスレンズ111)を含んでいる。
このような構成のマクロレンズ1は、第1レンズ群11に正レンズと負レンズとを少なくともそれぞれ1枚ずつ含むので、条件式(7)を満たすように第1レンズ群11自身の光学的パワーを抑えつつ条件式(2)および条件式(3)を満たすS1面とS2面とを配置する自由度を得ることができる。
また、このマクロレンズ1において、S1面は、前記正レンズ(図1に示す例では正メニスカスレンズ112)と前記負レンズ(図1に示す例では負メニスカスレンズ111)とによって挟まれた空間における物体側の面であり、S2面は、該空間における像側の面であり、マクロレンズ1は、S1面の曲率半径をr1とし、S2面の曲率半径をr2とする場合に、下記条件式(8)を満たしている。
3<|(r1+r2)/(r1−r2)| ・・・(8)
3<|(r1+r2)/(r1−r2)| ・・・(8)
条件式(8)は、S1面とS2面とによって形成される空気レンズの形状を規定するための式であり、球面収差やコマ収差を適切に補正するための条件式である。このような構成のマクロレンズ1では、S1面とS2面とによって空気レンズが構成され、さらに、条件式(8)を満たすことによって、条件式(2)を満たしつつ球面収差やコマ収差の発生を抑えることが可能となる。すなわち、条件式(8)の下限を下回ると、S1面とS2面との曲率差が大きくなり過ぎて、S1面およびS2面において発生する球面収差やコマ収差が増大してしまい、好ましくない。
また、このマクロレンズ1は、第3レンズ群13の焦点距離をf3とする場合に、下記条件式(9)を満たしている。
−0.6<f2/f3<0.1 ・・・(9)
−0.6<f2/f3<0.1 ・・・(9)
条件式(9)は、第2レンズ群12と第3レンズ群13との光学的パワーの関係を規定する式であり、球面収差やコマ収差を適切に補正するための条件式である。このような構成のマクロレンズ1では、条件式(9)の上限を上回ると、第3レンズ群13の正の光学的パワーが強くなり過ぎ、充分なバックフォーカスを得ることが困難となってしまい、好ましくない。一方、条件式(9)の下限を下回ると、第3レンズ群13の負の光学的パワーが強くなり過ぎ、第2レンズ群12における軸上光線高さが増大してしまう。その結果、第2レンズ群で発生する球面収差とコマ収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。
このような観点から、マクロレンズ1は、下記条件式(9A)を満たすことが好ましい。
−0.5≦f3/f1≦0 ・・・(9A)
−0.5≦f3/f1≦0 ・・・(9A)
また、このマクロレンズ1において、第3レンズ群13は、少なくとも1枚の正レンズ(図1に示す例では正メニスカスレンズ131、正メニスカスレンズ133)と少なくとも1枚の負レンズ(図1に示す例では負レンズ132)を含む。
このような構成のマクロレンズ1は、軸外光線高さが比較的高くなる第3レンズ群13に、正レンズと負レンズを少なくとも1枚ずつ配置することによって、非点収差とコマ収差を効果的に補正することが可能となる。
また、このマクロレンズにおいて、第2レンズ群12は、非球面を少なくとも1面(図1に示す例では正レンズ121の両面)を含んでいる。
このマクロレンズ1は、全系で必要な収束パワーを、大部分、第2レンズ群12が担っており、このため、第2レンズ群12における収差の抑制が重要となっている。したがって、第2レンズ群12には、収差を補正するための自由度を大きくしたい。このため、前記自由度を大きくするためにレンズ枚数を増やすと、その重量が増加してしまうため、合焦の際に移動する第2レンズ群12にとって好ましくない。したがって、このような構成のマクロレンズ1は、第2レンズ群12に、非球面を少なくとも1面を与えることによって、レンズ枚数の増加を抑制しつつ、必要な収差の補正を達成することができる。図1に示す例では、非球面は、正レンズ121の両2面であるので、より効果的に、レンズ枚数の増加を抑制しつつ、必要な収差の補正を達成することができる。
なお、上述のマクロレンズ1において、好ましくは、第1レンズ群11は、非球面を少なくとも1面を含み、該非球面は、前記S1面および前記S2面のいずれか一方である。
このような構成のマクロレンズ1は、第1レンズ群11に非球面を少なくとも1面配置するとともに該非球面をS1面またはS2面とすることによって、球面収差やコマ収差の発生を抑えつつ条件式(2)を満たすことができる。
また、上述のマクロレンズ1において、第3レンズ群13の一部のレンズを光軸に垂直な方向に移動させることによって防振を行ってもよい。防振される振れとして、例えば、いわゆる手振れ、一眼レフカメラにおけるミラーのアップ動作やダウン動作に伴う振動、強風等によりカメラに外力がかかる場合の揺れ、および、車両等の移動体に固定されたカメラにかかる移動体からの振動等が挙げられる。
第3レンズ群13は、像面に対して位置が固定であるので、合焦に際して倍率は、変化しない。したがって、このような構成のマクロレンズ1では、第3レンズ群13に配置された防振を行うためのレンズ群(防振レンズ群)における防振敏感度は、無限遠距離から最至近距離に至る合焦全域において一定値をとることになり、防振の際における制御が簡単になる。
ここで、防振は、例えば、振動ジャイロと呼ばれるセンサによって例えば手振れ等の振れ(振動)を検出し、所定の移動機構によって防振レンズ群を、前記検出した振れを打ち消すように前記検出した振れの振れ量に応じて光軸に直交する方向にシフトすることによって行われる。このような光学系シフト式の防振は、例えば、手振れ補正として、特開2007−150996号公報および特開2010−136269号公報等に開示されている。
また、上述のマクロレンズにおいて、好ましくは、前記防振を行う場合に移動させる防振レンズ群は、第3レンズ群13の最も像側に配置された正レンズ(図1に示す例では正メニスカスレンズ133)よりも物体側に配置されたレンズ群(図1に示す例では正メニスカスレンズ131および負レンズ132、または正メニスカスレンズ131、または負レンズ132)であり、無限遠物体に合焦する場合における防振レンズ群の近軸横倍率をβvとする場合に、下記条件式(10)を満たす。
2<βv<9 ・・・(10)
2<βv<9 ・・・(10)
このような構成のマクロレンズ1では、最も像側の正レンズは、防振の際に固定とされ、それよりも物体側のレンズ群を防振レンズ群とされる。このため、このような構成のマクロレンズ1は、レンズ鏡胴内を該正レンズで密閉することができ、ゴミや湿気の侵入を防ぐことができる。また、このような構成のマクロレンズ1は、条件式(10)を満たすことによって、適正な防振感度を得ることができる。すなわち、条件式(10)の下限を下回ると、防振感度が弱くなり過ぎ、防振レンズ群の必要移動量が大きくなり、防振レンズ群を駆動するため、出力の大きな駆動手段が必要となってしまい、好ましくない。一方、条件式(10)の上限を上回ると、防振感度が強くなり過ぎ、防振レンズ群の位置を検出するために、測定精度の高い位置検出手段が必要となってしまい、好ましくない。
また、上述の撮像光学系1において、樹脂材料製レンズを用いる場合では、プラスチック(樹脂材料)中に最大長が30ナノメートル以下の粒子を分散させた素材を用いて成形したレンズであることが好ましい。
一般に透明な樹脂材料に微粒子を混合させると、光が散乱し透過率が低下するので、光学材料として使用することが困難であったが、微粒子の大きさを透過光束の波長よりも小さくすることによって、光は、実質的に散乱しない。そして、樹脂材料は、温度上昇に伴って屈折率が低下してしまうが、無機粒子は、逆に、温度上昇に伴って屈折率が上昇する。このため、このような温度依存性を利用して互いに打ち消し合うように作用させることで、温度変化に対して屈折率変化がほとんど生じないようにすることができる。より具体的には、母材となる樹脂材料に最大長で30ナノメートル以下の無機微粒子を分散させることによって、屈折率の温度依存性を低減した樹脂材料となる。例えば、アクリルに酸化ニオブ(Nb2O5)の微粒子を分散させる。これら上述の撮像光学系1において、比較的屈折力の大きなレンズ、またはすべてのレンズに、このような無機粒子を分散させた樹脂材料を用いることにより、マクロレンズ1全系の温度変化時の像点位置変動を小さく抑えることが可能となる。
このような無機微粒子を分散させた樹脂材料製レンズは、以下のように成形されることが好ましい。
屈折率の温度変化について説明すると、屈折率の温度変化n(T)は、ローレンツ・ローレンツの式に基づいて、屈折率nを温度Tで微分することによって式Faで表される。
n(T)=((n2+2)×(n2−1))/6n×(−3α+(1/[R])×(∂[R]/∂T)) ・・・(Fa)
ただし、αは、線膨張係数であり、[R]は、分子屈折である。
n(T)=((n2+2)×(n2−1))/6n×(−3α+(1/[R])×(∂[R]/∂T)) ・・・(Fa)
ただし、αは、線膨張係数であり、[R]は、分子屈折である。
樹脂材料の場合では、一般に、屈折率の温度依存性に対する寄与は、式Fa中の第1項に較べて第2項が小さく、ほぼ無視することができる。例えば、PMMA樹脂の場合では、線膨張係数αは、7×10−5であって、式Faに代入すると、n(T)=−12×10−5(/℃)となり、実測値と略一致する。
具体的には、従来は、−12×10−5[/℃]程度であった屈折率の温度変化n(T)を、絶対値で8×10−5[/℃]未満に抑えることが好ましい。さらに好ましくは、絶対値で6×10−5[/℃]未満にすることである。
よって、このような樹脂材料としては、ポリオレフィン系の樹脂材料やポリカーボネイト系の樹脂材料やポリエステル系の樹脂材料が好ましい。ポリオレフィン系の樹脂材料では、屈折率の温度変化n(T)は、約−11×10−5(/℃)となり、ポリカーボネイト系の樹脂材料では、屈折率の温度変化n(T)は、約−14×10−5(/℃)となり、そして、ポリエステル系の樹脂材料では、屈折率の温度変化n(T)は、約−13×10−5(/℃)となる。
<マクロレンズと組み合わせ可能な撮像装置の説明>
次に、上述のマクロレンズ1と組み合わせられる、レフレックスミラーの無いミラーレスタイプの撮像装置について説明する。ここでは、マクロレンズ1がミラーレスタイプの撮像装置と組み合わされる場合について説明するが、レフレックスミラーがあるタイプの撮像装置と組み合わされてもよい。図7は、実施形態における撮像装置の構成を示すブロック図である。図7において、撮像装置3は、交換レンズ装置4と、撮像装置本体5とを備えている。
次に、上述のマクロレンズ1と組み合わせられる、レフレックスミラーの無いミラーレスタイプの撮像装置について説明する。ここでは、マクロレンズ1がミラーレスタイプの撮像装置と組み合わされる場合について説明するが、レフレックスミラーがあるタイプの撮像装置と組み合わされてもよい。図7は、実施形態における撮像装置の構成を示すブロック図である。図7において、撮像装置3は、交換レンズ装置4と、撮像装置本体5とを備えている。
交換レンズ装置4は、撮像装置本体5に対し着脱可能な光学系である。交換レンズ装置4は、撮像レンズとして機能する図1に示したようなマクロレンズ1と、光軸方向にフォーカスレンズを駆動してフォーカシングを行うための図略のレンズ駆動装置や防振用のレンズ群を駆動して例えば手ぶれ補正等の防振を行うための図略の移動機構(防振機構)等とを備える。
撮像装置本体5は、撮像素子51と、第1表示装置52と、ファインダ用の第2表示装置53と、処理制御部54と、接眼レンズ55とを備えている。被写体からの光線は、交換レンズ装置4のマクロレンズ1によって撮像素子51の受光面上に結像され、被写体の光学像となる。
撮像素子51は、交換レンズ装置4のマクロレンズ1により結像された被写体の光学像をR,G,Bの色成分の電気信号(画像信号)に変換し、R,G,B各色の画像信号として処理制御部54に出力するものである。撮像素子51は、例えばCCD(Charge-Coupled Devices)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の2次元イメージセンサ等である。処理制御部54によって撮像素子51における各画素の出力信号の読出し(水平同期、垂直同期、転送)等の撮像動作が制御され、撮像素子51は、処理制御部54によって静止画あるいは動画のいずれか一方の撮像を行う。
処理制御部54は、撮像素子51から出力されたR,G,B各色の画像信号に基づいて被写体の画像における画像データを生成するものである。より具体的には、処理制御部54は、撮像素子51からのアナログ出力信号に対し、増幅処理、デジタル変換処理等を行うと共に、画像全体に対して適正な黒レベルの決定、γ補正、ホワイトバランス調整(WB調整)、輪郭補正および色ムラ補正等の周知の画像処理を行って、画像信号から画像データを生成する。そして、処理制御部54は、この画像データに対し、解像度変換等の所定の画像処理を行う。処理制御部54は、この画像データを第1表示装置52および第2表示装置53へそれぞれ出力する。また、処理制御部54は、撮像装置本体5全体を制御する。この制御によって、撮像装置本体5は、被写体の静止画撮影および動画撮影の少なくとも一方の撮影を実行するよう制御される。処理制御部54は、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子および周辺回路等を備えて構成される。
また、必要に応じて処理制御部54は、撮像素子51の受光面上に形成される被写体の光学像における歪みを補正する公知の歪み補正処理等の、マクロレンズ1では補正しきれなかった収差を補正するように構成されてもよい。歪み補正は、収差によって歪んだ画像を肉眼で見える光景と同様な相似形の略歪みのない自然な画像に補正するものである。このように構成することによって、マクロレンズ1によって撮像素子51へ導かれた被写体の光学像に歪みが生じていたとしても、略歪みのない自然な画像を生成することが可能となる。また、このような歪みを情報処理による画像処理で補正する構成では、特に、歪曲収差を除く他の諸収差だけを考慮すればよいので、マクロレンズ1の設計の自由度が増し、設計がより容易となる。
また、必要に応じて処理制御部54は、撮像素子51の受光面上に形成される被写体の光学像における周辺照度落ちを補正する公知の周辺照度落ち補正処理を含んでもよい。周辺照度落ち補正(シェーディング補正)は、周辺照度落ち補正を行うための補正データを予め記憶しておき、撮影後の画像(画素)に対して補正データを乗算することによって実行される。周辺照度落ちが主に撮像素子51における感度の入射角依存性、レンズの口径食およびコサイン4乗則等によって生じるため、前記補正データは、これら要因によって生じる照度落ちを補正するような所定値に設定される。このように構成することによって、マクロレンズ1によって撮像素子51へ導かれた被写体の光学像に周辺照度落ちが生じていたとしても、周辺まで充分な照度を持った画像を生成することが可能となる。
なお、本実施形態では、撮像素子51の撮像面における画素ピッチに対し、色フィルタやオンチップマイクロレンズアレイの配置のピッチを、シェーディングを軽減するように僅かに変化させることによって、シェーディング補正が行われてもよい。このような構成では、前記ピッチを僅かに変化させることによって、撮像素子51における撮像面の周辺部に行くほど各画素に対し色フィルタやオンチップマイクロレンズアレイがシフトするため、斜入射の光束を効率的に各画素の受光部に導くことができる。これにより撮像素子51で発生するシェーディングが小さく抑えられる。
第1表示装置52は、撮像装置本体5の背面に配置され、処理制御部54からの画像データによって被写体の画像を表示するものである。第1表示装置52は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)および有機ELディスプレイ等である。第1表示装置52によっていわゆるライブビューが表示される。
第2表示装置53は、撮像装置本体5内に配置され、電子ビューファインダーとして、処理制御部54からの画像データによって被写体の画像を表示するものである。第2表示装置53は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)および有機ELディスプレイ等である。第2表示装置53に表示された画像は、接眼レンズ55を介して観察される。
なお、上述では、撮像装置3は、交換レンズタイプであるが、撮像装置本体とマクロレンズ1の撮像光学系とを一体に組み合わせた一体型であってもよい。また、第2表示装置53および接眼レンズ55は、省略されてもよい。また、振れを検出する振動ジャイロや、前記検出結果に基づいて、前記防振用のレンズ群を駆動して防振を行うための前記図略の移動機構の制御を行う防振制御装置は、交換レンズ装置4に組み込まれてもよく、また、撮像装置本体5に組み込まれてもよい。あるいは、前記振動ジャイロおよび防振制御装置は、別々に、交換レンズ装置4および撮像装置本体5に組み込まれてもよい。
このような構成の撮像装置3において、まず、静止画を撮影する場合は、処理制御部54は、撮像装置3および撮像装置本体4に静止画の撮影を行わせるように制御すると共に、図略の前記レンズ駆動装置を動作させ、フォーカスレンズを移動させることによってフォーカシングを行う。また、交換レンズ装置4のマクロレンズ1における前記レンズ群によって例えば手ぶれ補正等の防振も行われる。これにより、ピントの合った光学像が撮像素子51の受光面に周期的に繰り返し結像され、R、G、Bの色成分の画像信号に変換された後、処理制御部54に出力される。その画像信号は、処理制御部54により画像処理が行われた後、その画像信号に基づく画像が第1および第2表示装置52、53のそれぞれに表示される。そして、撮影者は、第1表示装置52または接眼レンズ55を介して第2表示装置53を参照することで、主被写体をその画面中の所望の位置に収まるように調整することが可能となる。この状態でいわゆるシャッターボタン(不図示)が押されることによって、処理制御部54における、静止画用のメモリとしての記憶素子に画像データが格納され、静止画像が得られる。
また、動画撮影を行う場合は、処理制御部54は、撮像装置3および撮像装置本体4に動画の撮影を行わせるように制御する。後は、静止画撮影の場合と同様にして、撮影者は、第1表示装置52または接眼レンズ55を介して第2表示装置53を参照することで、被写体の像が、その画面中の所望の位置に収まるように調整することができる。前記シャッターボタン(不図示)が押されることによって、動画撮影が開始される。そして、動画撮影時、処理制御部54は、撮像装置3および撮像装置本体4に動画の撮影を行わせるように制御すると共に、図略の前記レンズ駆動装置を動作させ、フォーカシングを行う。また、交換レンズ装置4のマクロレンズ1における前記レンズ群によって防振も行われる。これによって、ピントの合った光学像が撮像素子51の受光面に周期的に繰り返し結像され、R、G、Bの色成分の画像信号に変換された後、処理制御部54に出力される。その画像信号は、処理制御部54により画像処理が行われた後、その画像信号に基づく画像が第1および第2表示装置52、53のそれぞれに表示される。そして、もう一度前記シャッターボタン(不図示)を押すことで、動画撮影が終了する。撮影された動画像は、処理制御部54における、動画用のメモリとしての記憶素子に格納され、動画像が得られる。なお、変倍動作は、前記撮影者によって適宜に行われる。
このような構成の撮像装置3は、合焦の際に移動するレンズ群のより高速化およびより軽量化を図ることができると共に、無限遠距離から最至近距離までの収差変動をより抑えることができるマクロレンズ1を備えるので、このような撮像装置3は、合焦が静音で軽快に行われ、無限遠距離から最至近距離までに亘って諸収差をより良好に補正された光学像を撮像素子の受光面上に形成することができる。
<マクロレンズのより具体的な実施形態の説明>
以下、図1に示したようなマクロレンズ1、すなわち、図7に示したような撮像装置3に備えられるマクロレンズ1の具体的な構成を、図面を参照しつつ説明する。
以下、図1に示したようなマクロレンズ1、すなわち、図7に示したような撮像装置3に備えられるマクロレンズ1の具体的な構成を、図面を参照しつつ説明する。
図8ないし図12は、実施例1ないし実施例5のマクロレンズにおけるレンズの配列を示す断面図である。図8ないし図12において、その(A)は、無限遠物体に合焦する場合を示し、その(C)は、最至近物体に合焦する場合を示し、その(B)は、これらの中間の場合を示す。図13ないし図33は、実施例1ないし実施例5のマクロレンズにおける収差図である。
実施例1〜4のマクロレンズ1A〜1Dは、図8ないし図11のそれぞれに示すように、大略、全体として正の屈折力を有する第1レンズ群Gr1と、全体として正の屈折力を有する第2レンズGr2と、全体として負の屈折力を有する第3レンズ群とを備える。一方、実施例5のマクロレンズ1Eは、図12に示すように、大略、全体として負の屈折力を有する第1レンズ群Gr1と、全体として正の屈折力を有する第2レンズGr2と、全体として正の屈折力を有する第3レンズ群とを備える。そして、これら実施例1〜5のマクロレンズ1A〜1Eにおいて、これら第1ないし第3レンズ群Gr1〜Gr3がこの順序で物体側から像側へ配置され、フォーカシング(合焦、ピント合わせ)の際には、第1および第3レンズ群Gr1、Gr3は、固定され、第2レンズ群Gr2は、光軸AX方向に移動する。そして、第2レンズ群Grには、最物体側に、光学絞りSTが配置されている。すなわち、第1レンズ群Gr1と第2レンズ群Gr2との間に、第2レンズ群Gr2と共に移動する光学絞りSTが配置されている。
より詳しくは、各実施例1〜5のマクロレンズ1A〜1Eは、第1ないし第3レンズ群Gr1〜Gr3が物体側から像側へ順に、次のように構成されている。
まず、実施例1のマクロレンズ1Aの場合について説明する。図8に示すように、第1レンズ群Gr1は、像側に凹の負の屈折力を有する負メニスカスレンズである第1レンズL1と、物体側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第2レンズL2と備える。第2レンズ群Gr2は、光学絞りSTと、正の屈折力を有する両凸の正レンズである第3レンズL3と、負の屈折力を有する両凹の負レンズである第4レンズL4と、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第5レンズL5とを備える。第5レンズL5は、両面非球面である。そして、第3レンズ群Gr3は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第6レンズL6と、負の屈折力を有する両凹の負レンズである第7レンズL7と、物体側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第8レンズL8とを備える。また、本実施例1では、第3レンズ群Gr3は、例えば手振れ補正等の防振(振れ補正)を行うためのレンズ群を含んでいる。より具体的には、この第3レンズ群Gr3において、第6および第7レンズL6、L7を光軸AXに対し垂直な方向に移動することによって振れ補正が行われる。
また、実施例2のマクロレンズ1Bの場合について説明する。図9に示すように、第1レンズ群Gr1は、負の屈折力を有する両凹の負レンズである第1レンズL1と、正の屈折力を有する両凸の正レンズである第2レンズL2と備える。第2レンズ群Gr2は、光学絞りSTと、正の屈折力を有する両凸の正レンズである第3レンズL3と、像側に凹の負の屈折力を有する負メニスカスレンズである第4レンズL4と、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第5レンズL5とを備える。第3レンズL3は、両面非球面である。そして、第3レンズ群Gr3は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第6レンズL6と、負の屈折力を有する両凹の負レンズである第7レンズL7と、正の屈折力を有する両凸の正レンズである第8レンズL8とを備える。また、本実施例2では、第3レンズ群Gr3は、防振を行うためのレンズ群を含んでおり、この第3レンズ群Gr3において、実施例1と同様に、第6および第7レンズL6、L7を光軸AXに対し垂直な方向に移動することによって振れ補正が行われる。
また、この実施例2のマクロレンズ1Bに対し、実施例3のマクロレンズ1Cは、手振れ補正機能を持たず、第8レンズL8を備えていない。すなわち、実施例3のマクロレンズ1Cの場合について説明すると、図10に示すように、第1レンズ群Gr1は、両凹の負レンズである第1レンズL1と、両凸の正レンズである第2レンズL2と備え、第2レンズ群Gr2は、光学絞りSTと、両凸の正レンズであって両面非球面である第3レンズL3と、負メニスカスレンズである第4レンズL4と、正メニスカスレンズである第5レンズL5とを備え、そして、第3レンズ群Gr3は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第6レンズL6と、負の屈折力を有する両凹の負レンズである第7レンズL7とを備える。なお、この実施例3のマクロレンズ1Cは、防振を行うためのレンズ群を含んでいない。
また、実施例1のマクロレンズ1Aに対し、実施例4のマクロレンズ1Dでは、第1レンズ群Gr1は、1枚のレンズを備えて構成され、そして、第3レンズ群Gr3の最像側のレンズが異なっている。すなわち、実施例4のマクロレンズ1Dの場合について説明すると、図11に示すように、第1レンズ群Gr1は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第1レンズL1から構成される。この第1レンズL1は、両面非球面である。実施例1〜3のマクロレンズ1A〜1Cのように、第2レンズL2は、無い。第2レンズ群Gr2は、光学絞りSTと、両凸の正レンズである第3レンズL3と、両凹の負レンズである第4レンズL4と、像側に凸の正メニスカスレンズであって両面非球面である第5レンズL5とを備える。そして、第3レンズ群Gr3は、正メニスカスレンズである第6レンズL6と、両凹の負レンズである第7レンズL7と、正の屈折力を有する両凸の正レンズである第8レンズL8とを備える。また、本実施例4では、第3レンズ群Gr3は、防振を行うためのレンズ群を含んでおり、この第3レンズ群Gr3において、実施例1と同様に、第6および第7レンズL6、L7を光軸AXに対し垂直な方向に移動することによって振れ補正が行われる。
そして、実施例5のマクロレンズ1Eの場合について説明する。図12に示すように、第1レンズ群Gr1は、1枚のレンズを備えて構成され、物体側に凹の負の屈折力を有する負メニスカスレンズである第1レンズL1から構成される。第1レンズL1は、両面非球面である。第2レンズ群Gr2は、光学絞りSTと、正の屈折力を有する両凸の正レンズである第2レンズL2と、負の屈折力を有する両凹の負レンズである第3レンズL3と、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第4レンズL4とを備える。第4レンズL4は、両面非球面である。そして、第3レンズ群Gr3は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズである第5レンズL5と、負の屈折力を有する両凹の負レンズである第6レンズL6と、正の屈折力を有する両凸の正レンズである第7レンズL7とを備える。また、本実施例5では、第3レンズ群Gr3は、例えば手振れ補正等の防振(振れ補正)を行うためのレンズ群を含んでいる。より具体的には、この第3レンズ群Gr3において、第5および第6レンズL5、L6を光軸AXに対し垂直な方向に移動することによって振れ補正が行われる。
前記光学絞りSTは、各実施例1〜5の場合において、開口絞りやメカニカルシャッタや可変絞りであってよい。
そして、これら各実施例1〜5の場合において、第3レンズ群Gr3の像側には、フィルタとしての平行平板FTを介して撮像素子SRの受光面が配置されている。平行平板FTは、各種光学フィルタや撮像素子SRのカバーガラス等である。
図8ないし図12において、各レンズ面に付されている番号ri(i=1,2,3,・・・)は、物体側から数えた場合のi番目のレンズ面(ただし、レンズの接合面は1つの面として数えるものとする。)である。なお、光学絞りST、平行平板FTの両面および撮像素子SRの受光面も1つの面として扱っている。このような取り扱いおよび符号の意義は、各実施例1〜5について同様であるが、全く同一のものであるという意味ではなく、例えば、各実施例1〜5の各図8〜図12を通じて、最も物体側に配置されるレンズ面には、同じ符号(r1)が付されているが、これらの曲率などが各実施例1〜5を通じて同一であるという意味ではない。
このような構成の下で、物体側から入射した光線は、光軸AXに沿って、順に第1レンズ群Gr1、第2レンズ群Gr2(光学絞りSTを含む)、第3レンズ群Gr3および平行平板FTを通過し、撮像素子SRの受光面に物体の光学像を形成する。そして、撮像素子SRでは、光学像が電気的な信号に変換される。この電気信号は、必要に応じて所定のデジタル画像処理などが施され、デジタル映像信号として例えばデジタルカメラ等のデジタル機器のメモリに記録されたり、有線あるいは無線の通信によって他のデジタル機器に伝送されたりする。
そして、これら各実施例1〜5の場合において、合焦は、第2レンズ群Gr2を光軸方向に沿って移動させることによって行われる。より具体的には、第2レンズ群Gr2が、無限遠物体から近距離物体への合焦時に像側から物体側へ移動し、これによって合焦が行われる。
各実施例1〜5のマクロレンズ1A〜1Eにおける、各レンズのコンストラクションデータは、次の通りである。
まず、実施例1のマクロレンズ1Aにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
数値実施例1
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 172.304 1.352 1.63854 55.43
2 29.030 1.033
3 32.351 2.610 1.69680 55.48
4 223.680 d4(可変)
5(絞り) ∞ 0.600
6 18.046 5.435 1.72916 54.66
7 -62.749 0.937
8 -49.238 0.800 1.71736 29.50
9 25.997 3.246
10* -28.486 4.615 1.58313 59.38
11* -16.523 d11(可変)
12 -62.204 3.750 1.84666 23.78
13 -30.376 5.296
14 -21.234 0.800 1.68893 31.16
15 23.649 1.245
16 24.125 3.826 1.91082 35.25
17 192.790 12.339
18 ∞ 4.056 1.51680 64.20
19 ∞ 0.000
像面 ∞
非球面データ
第10面
K=0.0,A4=-1.30461E-04,A6=6.40508E-07,A8=-1.87185E-08,A10=2.18764E-10
第11面
K=0.0,A4=-4.35469E-05,A6=3.17186E-07,A8=-5.11035E-09,A10=6.14698E-11
各種データ
焦点距離(f) 42.960(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 14.130(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -94.122 -65.544(mm)
d4 34.595 19.408 4.446(mm)
d11 2.447 17.634 32.596(mm)
レンズ全長(TL) 89.982 89.982 89.982(mm)
バックフォーカス(Bf) 1.000 1.000 1.000(mm)
実効Fナンバー − 3.988 5.065
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 1966.643
2 5 36.574
3 12 -97.449
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 172.304 1.352 1.63854 55.43
2 29.030 1.033
3 32.351 2.610 1.69680 55.48
4 223.680 d4(可変)
5(絞り) ∞ 0.600
6 18.046 5.435 1.72916 54.66
7 -62.749 0.937
8 -49.238 0.800 1.71736 29.50
9 25.997 3.246
10* -28.486 4.615 1.58313 59.38
11* -16.523 d11(可変)
12 -62.204 3.750 1.84666 23.78
13 -30.376 5.296
14 -21.234 0.800 1.68893 31.16
15 23.649 1.245
16 24.125 3.826 1.91082 35.25
17 192.790 12.339
18 ∞ 4.056 1.51680 64.20
19 ∞ 0.000
像面 ∞
非球面データ
第10面
K=0.0,A4=-1.30461E-04,A6=6.40508E-07,A8=-1.87185E-08,A10=2.18764E-10
第11面
K=0.0,A4=-4.35469E-05,A6=3.17186E-07,A8=-5.11035E-09,A10=6.14698E-11
各種データ
焦点距離(f) 42.960(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 14.130(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -94.122 -65.544(mm)
d4 34.595 19.408 4.446(mm)
d11 2.447 17.634 32.596(mm)
レンズ全長(TL) 89.982 89.982 89.982(mm)
バックフォーカス(Bf) 1.000 1.000 1.000(mm)
実効Fナンバー − 3.988 5.065
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 1966.643
2 5 36.574
3 12 -97.449
次に、実施例2のマクロレンズ1Bにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
数値実施例2
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 -39.937 1.500 1.53172 48.87
2 52.240 1.972
3 71.671 3.480 1.72916 54.66
4 -51.749 d4(可変)
5(絞り) ∞ 0.600
6* 16.436 4.125 1.58313 59.38
7* -54.102 0.800
8 116.144 3.681 1.71736 29.50
9 15.906 3.548
10 -27.926 3.844 1.62041 60.35
11 -18.587 d11(可変)
12 -62.351 1.698 1.84666 23.78
13 -31.256 5.290
14 -22.626 0.800 1.72342 37.99
15 23.106 1.273
16 23.763 3.438 1.80420 46.49
17 -574.352 12.000
18 ∞ 4.056 1.51680 64.20
19 ∞ 0.000
像面 ∞
非球面データ
第6面
K=0.0,A4=-7.88094E-06,A6=-2.65617E-08,A8=-1.38043E-09,A10=4.09698E-12
第7面
K=0.0,A4=4.30004E-05,A6=-1.75927E-07
各種データ
焦点距離(f) 45.000(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 13.514(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -99.414 -65.500(mm)
d4 34.494 19.010 4.474(mm)
d11 2.400 17.884 32.420(mm)
レンズ全長(TL) 90.000 90.000 90.000(mm)
バックフォーカス(Bf) 1.000 1.000 1.000(mm)
実効Fナンバー − 4.059 5.152
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 408.103
2 5 41.550
3 12 -96.428
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 -39.937 1.500 1.53172 48.87
2 52.240 1.972
3 71.671 3.480 1.72916 54.66
4 -51.749 d4(可変)
5(絞り) ∞ 0.600
6* 16.436 4.125 1.58313 59.38
7* -54.102 0.800
8 116.144 3.681 1.71736 29.50
9 15.906 3.548
10 -27.926 3.844 1.62041 60.35
11 -18.587 d11(可変)
12 -62.351 1.698 1.84666 23.78
13 -31.256 5.290
14 -22.626 0.800 1.72342 37.99
15 23.106 1.273
16 23.763 3.438 1.80420 46.49
17 -574.352 12.000
18 ∞ 4.056 1.51680 64.20
19 ∞ 0.000
像面 ∞
非球面データ
第6面
K=0.0,A4=-7.88094E-06,A6=-2.65617E-08,A8=-1.38043E-09,A10=4.09698E-12
第7面
K=0.0,A4=4.30004E-05,A6=-1.75927E-07
各種データ
焦点距離(f) 45.000(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 13.514(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -99.414 -65.500(mm)
d4 34.494 19.010 4.474(mm)
d11 2.400 17.884 32.420(mm)
レンズ全長(TL) 90.000 90.000 90.000(mm)
バックフォーカス(Bf) 1.000 1.000 1.000(mm)
実効Fナンバー − 4.059 5.152
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 408.103
2 5 41.550
3 12 -96.428
次に、実施例3のマクロレンズ1Cにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
数値実施例3
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 -27.398 2.000 1.65844 50.84
2 44.901 1.379
3 54.106 4.593 1.72916 54.66
4 -31.269 d4(可変)
5(絞り) ∞ 0.600
6* 13.541 4.835 1.58313 59.38
7* -50.747 0.800
8 392.684 0.800 1.69895 30.05
9 14.075 4.328
10 -23.207 3.846 1.72916 54.66
11 -16.077 d11(可変)
12 -69.245 1.734 2.00100 29.14
13 -32.788 4.407
14 -23.682 3.000 1.62004 36.30
15 640.221 14.213
16 ∞ 4.000 1.51680 64.20
17 ∞ 0.000
像面 ∞
非球面データ
第6面
K=0.0,A4=-1.82272E-05,A6=3.81565E-08,A8=-4.29832E-10,A10=2.22980E-13
第7面
K=0.0,A4=6.92694E-05,A6=-6.61970E-08
各種データ
焦点距離(f) 37.430(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 16.116(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -80.795 -53.090(mm)
d4 31.465 16.805 2.900(mm)
d11 2.000 16.661 30.565(mm)
レンズ全長(TL) 89.982 89.982 89.982(mm)
バックフォーカス(Bf) 0.999 0.996 0.995(mm)
実効Fナンバー − 3.966 4.970
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 445.504
2 5 38.649
3 12 -110.136
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 -27.398 2.000 1.65844 50.84
2 44.901 1.379
3 54.106 4.593 1.72916 54.66
4 -31.269 d4(可変)
5(絞り) ∞ 0.600
6* 13.541 4.835 1.58313 59.38
7* -50.747 0.800
8 392.684 0.800 1.69895 30.05
9 14.075 4.328
10 -23.207 3.846 1.72916 54.66
11 -16.077 d11(可変)
12 -69.245 1.734 2.00100 29.14
13 -32.788 4.407
14 -23.682 3.000 1.62004 36.30
15 640.221 14.213
16 ∞ 4.000 1.51680 64.20
17 ∞ 0.000
像面 ∞
非球面データ
第6面
K=0.0,A4=-1.82272E-05,A6=3.81565E-08,A8=-4.29832E-10,A10=2.22980E-13
第7面
K=0.0,A4=6.92694E-05,A6=-6.61970E-08
各種データ
焦点距離(f) 37.430(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 16.116(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -80.795 -53.090(mm)
d4 31.465 16.805 2.900(mm)
d11 2.000 16.661 30.565(mm)
レンズ全長(TL) 89.982 89.982 89.982(mm)
バックフォーカス(Bf) 0.999 0.996 0.995(mm)
実効Fナンバー − 3.966 4.970
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 445.504
2 5 38.649
3 12 -110.136
次に、実施例4のマクロレンズ1Dにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
数値実施例4
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* -26.216 2.000 1.49700 81.61
2* -26.742 d2(可変)
3 ∞ 0.600
4 12.679 4.501 1.72916 54.66
5 -104.766 1.019
6 -57.168 0.800 1.68893 31.16
7 16.626 2.298
8* -61.949 1.306 1.58313 59.38
9* -32.364 d9(可変)
10 -31.472 1.950 1.90366 31.31
11 -17.916 1.707
12 -16.501 0.800 1.68893 31.16
13 27.828 2.739
14 33.012 3.502 1.90366 31.31
15 -84.494 12.231
16 ∞ 4.000 1.51680 64.20
17 ∞ 0.000
像面 ∞
非球面データ
第1面
K=0.0,A4=-2.45079E-05,A6=9.43548E-08,A8=3.17550E-10,A10=-1.34820E-12
第2面
K=0.0,A4=-2.28821E-05,A6=1.00645E-07,A8=1.66808E-10,A10=-8.57696E-13
第8面
K=0.0,A4=-5.59147E-05,A6=4.42255E-06,A8=6.14128E-08,A10=-6.33674E-10
第9面
K=0.0,A4=6.32831E-05,A6=4.92341E-06,A8=5.06627E-08,A10=3.73122E-11
各種データ
焦点距離(f) 39.241(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 15.409(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -95.592 -70.572(mm)
d2 34.398 19.327 4.300(mm)
d9 5.150 20.221 35.248(mm)
レンズ全長(TL) 80.000 80.002 80.006(mm)
バックフォーカス(Bf) 1.000 1.002 1.006(mm)
実効Fナンバー − 4.289 5.679
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 10229.472
2 3 35.304
3 10 -8580.279
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* -26.216 2.000 1.49700 81.61
2* -26.742 d2(可変)
3 ∞ 0.600
4 12.679 4.501 1.72916 54.66
5 -104.766 1.019
6 -57.168 0.800 1.68893 31.16
7 16.626 2.298
8* -61.949 1.306 1.58313 59.38
9* -32.364 d9(可変)
10 -31.472 1.950 1.90366 31.31
11 -17.916 1.707
12 -16.501 0.800 1.68893 31.16
13 27.828 2.739
14 33.012 3.502 1.90366 31.31
15 -84.494 12.231
16 ∞ 4.000 1.51680 64.20
17 ∞ 0.000
像面 ∞
非球面データ
第1面
K=0.0,A4=-2.45079E-05,A6=9.43548E-08,A8=3.17550E-10,A10=-1.34820E-12
第2面
K=0.0,A4=-2.28821E-05,A6=1.00645E-07,A8=1.66808E-10,A10=-8.57696E-13
第8面
K=0.0,A4=-5.59147E-05,A6=4.42255E-06,A8=6.14128E-08,A10=-6.33674E-10
第9面
K=0.0,A4=6.32831E-05,A6=4.92341E-06,A8=5.06627E-08,A10=3.73122E-11
各種データ
焦点距離(f) 39.241(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 15.409(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -95.592 -70.572(mm)
d2 34.398 19.327 4.300(mm)
d9 5.150 20.221 35.248(mm)
レンズ全長(TL) 80.000 80.002 80.006(mm)
バックフォーカス(Bf) 1.000 1.002 1.006(mm)
実効Fナンバー − 4.289 5.679
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 10229.472
2 3 35.304
3 10 -8580.279
次に、実施例5のマクロレンズ1Eにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
数値実施例5
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* -32.689 2.399 1.49700 81.61
2* -34.084 d2(可変)
3(絞り) ∞ 1.016
4 13.316 4.238 1.72916 54.66
5 -130.931 1.426
6 -52.326 0.800 1.68893 31.16
7 17.574 2.167
8* -74.587 1.489 1.58313 59.38
9* -29.942 d9(可変)
10 -32.134 2.078 1.90366 31.31
11 -18.056 1.799
12 -16.280 0.800 1.68893 31.16
13 28.914 2.016
14 34.139 3.567 1.90366 31.31
15 -72.078 12.000
16 ∞ 4.000 1.51680 64.20
17 ∞ 0.000
非球面データ
第1面
K=0.00000,A4=-2.63568E-05,A6=2.55286E-07,A8=-1.09447E-09,A10=2.00712E-12
第2面
K=0.00000,A4=-2.45760E-05,A6=2.44278E-07,A8=-1.08316E-09,A10=2.06200E-12
第8面
K=0.00000,A4=-4.41017E-05,A6=2.69185E-06,A8=6.55923E-08,A10=-4.05098E-10
第9面
K=0.00000,A4=5.27515E-05,A6=3.05078E-06,A8=5.19776E-08,A10=1.35049E-10
各種データ
焦点距離(f) 38.838(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 15.561(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -92.565 -69.393(mm)
d2 38.073 21.989 5.768(mm)
d9 6.131 22.215 38.437(mm)
レンズ全長(TL) 84.999 84.999 84.999(mm)
バックフォーカス(Bf) 1.000 1.000 1.000(mm)
実効Fナンバー − 4.290 5.700
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 -3743.052
2 3 36.122
3 10 2507.591
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* -32.689 2.399 1.49700 81.61
2* -34.084 d2(可変)
3(絞り) ∞ 1.016
4 13.316 4.238 1.72916 54.66
5 -130.931 1.426
6 -52.326 0.800 1.68893 31.16
7 17.574 2.167
8* -74.587 1.489 1.58313 59.38
9* -29.942 d9(可変)
10 -32.134 2.078 1.90366 31.31
11 -18.056 1.799
12 -16.280 0.800 1.68893 31.16
13 28.914 2.016
14 34.139 3.567 1.90366 31.31
15 -72.078 12.000
16 ∞ 4.000 1.51680 64.20
17 ∞ 0.000
非球面データ
第1面
K=0.00000,A4=-2.63568E-05,A6=2.55286E-07,A8=-1.09447E-09,A10=2.00712E-12
第2面
K=0.00000,A4=-2.45760E-05,A6=2.44278E-07,A8=-1.08316E-09,A10=2.06200E-12
第8面
K=0.00000,A4=-4.41017E-05,A6=2.69185E-06,A8=6.55923E-08,A10=-4.05098E-10
第9面
K=0.00000,A4=5.27515E-05,A6=3.05078E-06,A8=5.19776E-08,A10=1.35049E-10
各種データ
焦点距離(f) 38.838(mm)
Fナンバ(Fno) 2.920
半画角(w/2) 15.561(mm)
像高(最大)(y max) 10.815(mm)
β 無限遠 −0.5倍 −1.0倍
d0 ∞ -92.565 -69.393(mm)
d2 38.073 21.989 5.768(mm)
d9 6.131 22.215 38.437(mm)
レンズ全長(TL) 84.999 84.999 84.999(mm)
バックフォーカス(Bf) 1.000 1.000 1.000(mm)
実効Fナンバー − 4.290 5.700
各レンズ群のデータ
群番号 始面 焦点距離(mm)
1 1 -3743.052
2 3 36.122
3 10 2507.591
ここで、上記各種データのレンズ全長(TL)は、物体距離無限時でのレンズ全長(第1レンズ物体側面から撮像面までの距離)である。βは、結像倍率であり、本実施例のマクロレンズは、等倍まで撮影することができるので、β=−1.0は、最至近物体に合焦した状態であり、β=−0.5は、無限遠物体に合焦した状態と最至近物体に合焦した状態との中間の状態である。
上記の面データにおいて、面番号は、図8ないし図12に示した各レンズ面に付した符号ri(i=1,2,3,…)の番号iが対応する。番号iに*が付された面は、非球面(非球面形状の屈折光学面または非球面と等価な屈折作用を有する面)であることを示す。
また、“r”は、各面の曲率半径(単位はmm)を、“d”は、無限遠合焦状態(無限距離での合焦状態)での光軸上の各レンズ面の間隔(軸上面間隔)を、“nd”は、各レンズのd線(波長587.56nm)に対する屈折率を、そして、“νd”は、アッベ数をそれぞれ示している。なお、d0は、第1面から物面までの光軸上の間隔(軸上面間隔)を示している。光学絞りST、平行平面板FTおよび撮像素子SRの受光面の各面は、平面であるために、それらの曲率半径は、∞(無限大)である。
上記の非球面データは、非球面とされている面(面データにおいて番号iに*が付された面)の2次曲面パラメータ(円錐係数K)と非球面係数Ai(i=4,6,8,10,12,14,16)の値とを示すものである。
各実施例において、非球面の形状は、面頂点を原点とし、光軸方向にX軸をとり、光軸と垂直方向の高さをhとする場合に、次式により定義している。
X=(h2/R)/[1+(1−(1+K)h2/R2)1/2]+ΣAi・hi
ただし、Aiは、i次の非球面係数であり、Rは、基準曲率半径であり、そして、Kは、円錐定数である。
X=(h2/R)/[1+(1−(1+K)h2/R2)1/2]+ΣAi・hi
ただし、Aiは、i次の非球面係数であり、Rは、基準曲率半径であり、そして、Kは、円錐定数である。
なお、請求項、実施形態および各実施例に記載の近軸曲率半径(r)について、実際のレンズ測定の場面において、レンズ中央近傍(より具体的には、レンズ外径に対して10%以内の中央領域)での形状測定値を最小自乗法でフィッティングした際の近似曲率半径を近軸曲率半径であるとみなすことができる。また、例えば2次の非球面係数を使用した場合には、非球面定義式の基準曲率半径に2次の非球面係数も勘案した曲率半径を近軸曲率半径とみなすことができる(例えば参考文献として、松居吉哉著「レンズ設計法」(共立出版株式会社)のP41〜P42を参照)。
そして、上記非球面データにおいて、「En」は、「10のn乗」を意味する。例えば、「E+001」は、「10の+1乗」を意味し、「E-003」は、「10の−3乗」を意味する。
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、各実施例1〜4のマクロレンズ1A〜1Dにおける各収差を図13ないし図33のそれぞれに示す。
図13ないし図17は、実施例1のマクロレンズにおける収差図であり、図18ないし図22は、実施例2のマクロレンズにおける収差図であり、図23は、実施例3のマクロレンズにおける収差図であり、図24ないし図28は、実施例4のマクロレンズにおける収差図であり、そして、図29ないし図33は、実施例5のマクロレンズにおける収差図である。図13、図18、図23、図24および図29の各図は、縦収差図であり、残余の各図は、横収差図である。図13、図18、図23、図24および図29の各縦収差図のそれぞれにおいて、(A)ないし(C)は、無限遠の場合を示し、(D)ないし(F)は、β=−0.5倍の場合を示し、そして、(G)ないし(I)は、β=−1.0倍の場合を示している。また、(A)、(D)および(G)は、球面収差(正弦条件)(LONGITUDINAL SPHERICAL ABERRATION)を示し、(B)、(E)および(H)は、非点収差(ASTIGMATISM FIELD CURVES)を示し、(C)、(F)および(I)は、歪曲収差(DISTORTION)を示す。球面収差の横軸は、焦点位置のずれをmm単位で表しており、その縦軸は、最大入射高で規格化した値で表している。非点収差の横軸は、焦点位置のずれをmm単位で表しており、その縦軸は、像高をmm単位で表している。歪曲収差の横軸は、実際の像高を理想像高に対する割合(%)で表しており、縦軸は、その像高をmm単位で表している。また、球面収差の図中、実線は、d線(波長587.56nm)、一点鎖線は、g線(波長435.84nm)、二点差線は、c線(波長656.28nm)、そして、破線は、d線での正弦条件不満足量(mm)における結果をそれぞれ表している。そして、非点収差の図中、破線は、タンジェンシャル(メリディオナル)面(DM)、実線は、サジタル(ラディアル)面(DS)における結果をそれぞれ表している。非点収差および歪曲収差の図は、上記d線(波長587.56nm)を用いた場合の結果である。
図14、図19、図25および図30は、無限遠の場合の横収差図である。図15、図20、図26および図31は、無限遠の場合であって手振れを0.3度補正した場合の横収差図である。図16、図21、図27および図32は、β=−1.0倍の場合の横収差図である。図17、図22、図28および図33は、β=−1.0倍の場合であって手振れを0.3度補正した場合の横収差図である。図14、図16、図19、図21、図225、図27、図30および図32の各図において、(A)は、像高y’=7.6の場合を示し、(B)は、像高y’=0の場合を示す。図15、図17、図20、図22、図26、図28、図31および図33の各図において、(A)は、像高y’=7.6の場合を示し、(B)は、像高y’=0の場合を示し、(C)は、像高y’=−7.6の場合を示す。
上記に列挙した各実施例1〜5のマクロレンズ1A〜1Eのそれぞれにおける各種パラメータの数値を、それぞれ、表1に示し、これら各種パラメータの数値に対し上述した条件式(1)〜(3)、(7)〜(10)を当てはめた場合の数値を、それぞれ、表2に示す。
以上、説明したように、上記実施例1〜5におけるマクロレンズ1A〜1Eは、合焦の際に移動するレンズ群のより高速化およびより軽量化を図ることができると共に、無限遠距離から最至近距離までの収差変動をより抑えることができる。そして、上記実施例1〜5におけるマクロレンズ1A〜1Eを用いた撮像装置は、合焦動作の高速化および静音化を実現することができ、無限遠距離から最至近距離までに亘って諸収差をより良好に補正された光学像を撮像素子の受光面上に形成することができる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
AX 光軸
1、1A〜1E マクロレンズ
3 撮像装置
4 交換レンズ装置
5 撮像装置本体
11、Gr1 第1レンズ群
12、Gr2 第2レンズ群
13、Gr3 第3レンズ群
1、1A〜1E マクロレンズ
3 撮像装置
4 交換レンズ装置
5 撮像装置本体
11、Gr1 第1レンズ群
12、Gr2 第2レンズ群
13、Gr3 第3レンズ群
Claims (13)
- 物体側から像側へ順に、
第1レンズ群と、
全体として正の屈折力を有する第2レンズ群と、
第3レンズ群とから成り、
前記第1レンズ群は、同じ符号の曲率半径を持ち下記式(1)ないし式(3)によって定義されるS1面およびS2面を有し、
無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、前記第1および第3レンズ群を固定するとともに、前記第2レンズ群を光軸上で移動することによって合焦を行うこと
を特徴とするマクロレンズ。
0.6<M2/f2<1 ・・・(1)
(φinf−φnear)f2<−0.0002 ・・・(2)
e0/f2<0.15 ・・・(3)
ただし、
M2;無限遠から最至近における第2レンズ群の移動量
f2;第2レンズ群の焦点距離
e0;S1面とS2面との光軸上の空気換算間隔
φinf;無限遠物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る光軸からの高さをYinfとした場合に、光軸に平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4A)で定義される光学的パワー
φinf=(φ1(Yinf)+φ2(Yinf)−φ1(Yinf)φ2(Yinf)e(Yinf))/n3 ・・・(4A)
ここで、S1面の物体側媒質のd線の屈折率をn1とし、S1面とS2面との間の媒質のd線の屈折率をn2とし、S2面の像側媒質のd線の屈折率をn3とし、S1面の高さYにおける曲率をC1(Y)とし、S2面の高さYにおける曲率をC2(Y)とし、高さYに対するS1面とS2面との光軸AXに平行な方向の空気換算距離(空気換算面間隔)をe(Y)とした場合において、φ1(Y)は、光軸からの高さYにおけるS1面の光学的パワーであって下記式(5)で定義される光学的パワーで、φ2(Y)は、光軸からの高さYにおけるS2面の光学的パワーであって下記式(6)で定義される光学的パワー
φ1(Y)=(n2−n1)C1(Y) ・・・(5)
φ2(Y)=(n3−n2)C2(Y) ・・・(6)
φnear;最至近物体の結像時に最大像高に結像する光束の絞り中心を通る光線がS1面を横切る光軸からの高さをYnearとした場合に、光軸に平行な方向のS1面とS2面との合成光学的パワーであって下記式(4B)で定義される光学的パワー
φnear=(φ1(Ynear)+φ2(Ynear)−φ1(Ynear)φ2(Ynear)e(Ynear))/n3 ・・・(4B) - 下記条件式(7)を満たすこと
を特徴とする請求項1に記載のマクロレンズ。
−0.1<f2/f1<0.2 ・・・(7)
ただし、
f1;第1レンズ群の焦点距離 - 前記第1レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含むこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のマクロレンズ。 - 前記S1面は、前記正レンズと前記負レンズとによって挟まれた空間における物体側の面であり、
前記S2面は、該空間における像側の面であり、
下記条件式(8)を満たすこと
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマクロレンズ。
3<|(r1+r2)/(r1−r2)| ・・・(8)
ただし、
r1;前記S1面の曲率半径
r2;前記S2面の曲率半径 - 前記第1レンズ群は、非球面を少なくとも1面を含み、
該非球面は、前記S1面および前記S2面のいずれか一方であること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のマクロレンズ。 - 下記条件式(9)を満たすこと
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のマクロレンズ。
−0.6<f2/f3<0.1 ・・・(9)
ただし、
f3;第3レンズ群の焦点距離 - 前記第3レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含むこと
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のマクロレンズ。 - 前記第2レンズ群は、非球面を少なくとも1面を含むこと
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のマクロレンズ。 - 前記第3レンズ群の一部のレンズを光軸に垂直な方向に移動させることによって防振を行うこと
を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のマクロレンズ。 - 前記防振を行う場合に移動させる防振レンズ群は、前記第3レンズ群の最も像側に配置された正レンズよりも物体側に配置されたレンズ群であり、下記条件式(10)を満たすこと
を特徴とする請求項9に記載のマクロレンズ。
2<βv<9 ・・・(10)
ただし、
βv;無限遠物体に合焦する場合における防振レンズ群の近軸横倍率 - 前記第1レンズ群は、全体として正の屈折力を有し、
前記第3レンズ群は、全体として負の屈折力を有すること
を特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のマクロレンズ。 - 前記第1レンズ群は、全体として負の屈折力を有し、
前記第3レンズ群は、全体として正の屈折力を有すること
を特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のマクロレンズ。 - 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のマクロレンズと、
光学像を電気的な信号に変換する撮像素子とを備え、
前記マクロレンズが前記撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成可能とされていること
を特徴とする撮像装置。
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