JP2013226680A - 木質系積層成型物 - Google Patents

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秀文 山内
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Abstract

【課題】軽量で力学的性能に優れる木質材料の特性を有する木質系積層成型物を提供する。
【解決手段】本発明は、構成要素の厚さが1.0mm以下の単板を複数枚重ね合わせて接着させた単板積層体である木質系積層成型物である。また、各接着層における接着剤の使用量が1接着層あたり30g/m2以下であり、材料の密度が0.75g/cm3以下であることを特徴とする。さらに、構成要素である単板を化学処理した後に木質系積層成型物を作製するか、および/または木質系積層成型物を作製後に化学処理を行なうことを特徴とする。本発明の木材からスライスした薄い単板は厚さが1mm以下であるから、その変形能が大きく種々の曲面を形成でき、積層する単板の配向自由度が高く、また種々の厚みの単板積層体を作ることができるなど、従来の木質材料にはない特徴を持つ材料の成型が可能となる。
【選択図】図6

Description

本発明は薄い単板を積層した単板積層体から構成される木質系材料に関するもので、特に薄物・軽量な木質系材料に関する。
調度、家電の外装、自動車の内装などの薄い材料を使用する分野では成型性が良く強度があるプラスチック材料が広範に使用されている。一方、薄くなると強度維持が困難などのため木質系材料は余り利用されていないが、軽量で触感が良く環境にもやさしい木質系材料も見直されてきており、これらの分野においてもプラスチックに代わる薄く軽量な木質系材料が求められている。
しかし、現状の木質系材料の製造において用いられている板状構成要素は、化粧用を除くとその厚さが1.0mm以上であり、建築・家具用材料として使用される木質系材料は少なくとも2.5mm以上の厚さで使用されている。また、特殊なものを除くとこれらの材料は基本的に平板として製品化されているだけである。
木質系の薄片を構成要素として用いた集成板では、厚さが薄い材料も使用されている。たとえば、特許文献1において、長さ20〜100mm、幅3〜50mm、厚さ0.4〜0.8mmの範囲内のサイズを有する木材薄片の周囲をバインダーで結合させて集成板を作製することが提案されている。しかし、厚さ1.0mm以下の構成要素が用いられる材料は、現状ではチップ状の薄片をマット状に散布してプレス成形したものや、厚い芯材(コア)に対して表面を化粧するような化粧材としてのものであり、厚さ1mm以下の薄い単板のみを構成要素として接着形成されて成立する材料はない。
特開平7−40314 特開2005−335204
Delmonte;The Technology of Adhesive(1949) 渡辺治夫;合板の製造(1964) 喜多山繁、木下ら;木材の加工(1991) (株)オーシカ・テクニカルノート 作野友康ほか;木材接着の科学(2010)
上述したように、調度、家電の外装、自動車の内装などの薄い材料を使用する分野において、1mm以下の厚さの薄い単板を構成要素のみで接着・形成されて成立する材料は現状では殆ど報告されていない。たとえば、特許文献2では、少なくとも4枚の単板を積層した単板積層体およびその表面に繊維板を配して積層一体化した複合板が提案されているが、単板の厚みは1.0mm以上(好適には2mm)であり、1mm以下の厚みの単板は用いられていない。これは既存の木質系材料に用いられる接着剤量が少なくとも100g/m2以上と高く、そのまま構成要素を薄くして用いると、軽量な木質系要素の重量に比べ、それらを接着する接着剤の重量が相対的に大きくなり、材料密度を押し上げることによって、軽量で力学的性能に優れるという木質材料の特徴が失われるためである。これに加えて、材料や製造コストが上昇し、製品として成立できなくなるという問題もある。さらに、接着剤量を薄く均一に形成することができないため、100g/m2以下の接着材料を実現できないという問題もある。
一方、ポリエチレンやポリプロピレン等の汎用プラスチックは成型性が高いことから、調度・家電の移送や自動車内装に多く使われているが、これらの樹脂は少なくとも密度が0.9g/cm3以上と重く、またその弾性率は木材の繊維方向弾性率に比べて低く、それらを補うためにリブなどの補助的部材を付加する必要がある。また、プラスチックは温度による膨張・収縮が大きいことから、比較的大きな面を構成する際には、リブによる裏打ちや分割構造の取り込みなどが必要となり、必要な機能性を得るための樹脂使用量が増加し、重量・資源・コストの全てが大きくなるという問題がある。
以上の問題点を解決するために、本発明では構成要素が厚さ1mm以下の薄い単板様材料からなる単板積層体である木質系積層成型物を提案する。本発明は、具体的に以下の特徴を有する。
(1)本発明は、構成要素の厚さが1.0mm以下の単板を複数枚重ね合わせて接着させた単板積層体である木質系積層成型物である。また、各接着層における接着剤の使用量が1接着層あたり30g/m2以下であり、材料の密度が0.75g/cm3以下であることを特徴とする。さらに、構成要素である単板を化学処理した後に木質系積層成型物を作製するか、および/または木質系積層成型物を作製後に化学処理を行なうことを特徴とする。
(2)本発明は、構成要素の厚さが1.0mm以下である複数の単板の接着面上に接着剤塗布膜パターンを形成する工程、および前記複数の単板を重ね合わせ熱圧着し木質系積層成型物を作製する工程を含むことを特徴とする木質系積層成型物の作製方法であり、あるいは、構成要素の厚さが1.0mm以下である複数の単板の接着面上に接着剤塗布膜パターンを形成する工程、前記複数の単板の一部または全部を化学処理する工程、および前記複数の単板の重ね合わせ熱圧着し木質系積層成型物を作製する工程、を含むことを特徴とする木質系積層成型物の作製方法である。さらに、これらに加えて、前記木質系積層成型物を化学処理する工程を含むことを特徴とする。
(3)本発明は、(2)において、接着剤塗布膜パターンの線幅をm、パターンスペース(間隔)をp、およびパターン厚みをtとして、m、p、およびtの値を決定することによって各接着層における接着剤の使用量を決定することを特徴とする。(ここで、p≧0とする。)
(4)本発明は、(2)および(3)に加えて、各接着層における接着剤の使用量が1接着層あたり30g/m2以下であり、さらに、木質系積層成型物の材料の密度が0.75g/cm3以下であることを特徴とする。また、前記接着剤塗布膜パターンを形成する工程において、前記接着剤塗布膜パターンは、インクジェット方式、ディスペンサー方式、スクリーン印刷方式、転写方式、露光方式、スプレー方式などから選択される方式で作製されたことを特徴とする。
本発明は、厚さ1mm以下の薄い単板を積層した単板積層体であるから、種々の厚みの木質系積層成型物を作製できるので、種々の用途に適用できる。基本的に木材と同等かそれ以上の特性を有するので、たとえばポリエチレン等の汎用プラスチックに比べて密度が低く、力学的性能(たとえば、弾性率)も優れた薄板材料を得ることが可能となる。構成要素である単板の厚みが薄くなっているので、単板積層体の成形時大きな変形が可能となり、材料全体や部分的に曲面を形成することも容易となり、従来の木質材料にはない特徴を持つ成型が可能となる。
本発明では、構成要素である単板を接着する接着剤量は30g/m2以下であるから、木質構成要素の持つ軽量・高力学性能という特徴を失うことなく、薄物で多層の材料を得ることができる。また、接着剤の低減化は揮発性化学物質の生成量も低減し、安全な製品作りに寄与する。さらに、接着剤の選択幅も増え、コストや環境負荷の低減効果も大きい。
本発明の材料は、厚さの薄い構成要素を積層して得られることから、材料厚さが同じであれば既存の材料に比べて積層数を増やすことが可能となる。この結果、木質系構成要素の持つ品質等のバラツキの顕在化を防止することができる。また、構成要素の配置について、木理方向を全て平行に積層することも可能であり、あるいは、合板のように一層毎に直交交錯させることもできる。このように、配向自由度が高く、構成要素である単板が元来有する異方性を制御・利用して様々な物性を持つ材料を得ることもできる。
さらに、構成要素の厚さが薄くなることで、従来均一処理が困難であるために敬遠されてきた化学修飾等の化学的改質処理が適用できる。本発明の材料は積層材料であるから、必要な部位の要素のみに処理を行なうことなど、機能的で無駄のない処理が可能となる。また、端部を非親水化処理するなどして汎用樹脂との相溶性を持たせることによって、新しい形態での木質と樹脂の複合利用などに展開することもできる。
単板への接着剤塗布は、インクジェット方式、ディスペンサー方式、スクリーン印刷方式、あるいは露光法等を用いて接着剤塗布膜パターンを形成するので、接着剤塗布膜パターン線幅、パターンスペース(間隔)、およびパターン厚みを正確に制御することができ、単板同士の接着面における接着剤使用量を極めて微量に管理することができる。この結果、各接着層における接着剤使用量を30g/m2以下、さらには10g/m2以下にもコントロールすることができる。また、パターンスペース(間隔)が0でも非常に薄く塗布できる方法(たとえば、スプレー方式)を適用することによって上記接着剤使用量を実現できる。
図1は、本発明の接着剤塗布膜パターンを有する単板の接着方法を示す図である。 図2は、接着剤塗布膜パターンを有する単板の接着方法を示す別の実施形態を示す図である。 図3は、多数枚の単板を積層して単板積層体を作製する方法を示す図である。 図4は、接着剤塗布装置を示す図である。 図5は、単板に接着剤塗布膜パターンを形成する別の実施形態を示す図である。 図6は、接着剤塗膜パターンを形成した多数の薄い単板を積層して単板積層体を作製する自動装置を示す図である。 図7は、インクジェットプリンターを用いた塗布量とせん断強度および木破率との関係を示すグラフである。 図8は、スプレー(噴霧)塗布装置を示す図である。 図9は、インクジェットプリンターおよびスプレー塗布装置を用いた塗布量とせん断強度および木破率との関係を示すグラフである。 図10は、単板積層体の密度と曲げ弾性率(MOE)の関係を示すグラフである。 図11は、単板積層体の密度と曲げ強さ(MOR)の関係を示すグラフである。 図12は、インクジェット方式を用いた塗布量とせん断強度および木破率との関係を示すグラフである。 図13は、72時間連続煮沸後の接着剤塗布量と接着強度の関係を示すグラフである。
本発明は厚さ1mm以下の薄い複数枚の単板を接着剤により接着した単板積層体(合板とも言う)である木質系積層成型物であり、その単板積層体を作製する方法に関するものである。厚い木材は変形能が小さいため平板として使用することはできても、曲面を形成する製品への適用は制限される。これに対して木材を薄く切りだした厚さ1mm以下の単板は成型時に大きな変形が可能となり、材料全体や部分的に曲面を形成するなど、従来の木質系材料にない特徴を持つ材料の成型が可能となる。厚さが1mm以下(好適には0.5mm以下)の薄い単板になると、スライスしてロール状にまるめて保管することもでき、また、複数枚重ねて種々の厚みを有する単板積層体を形成することもできるので、建築・建具用に限らず自動車・家電部品用など広範囲な用途に展開することができる。単板は、たとえば、ベニヤレース、ロータリーレース、ハーフラウンドあるいはスライサーによって木材から作製され、0.1〜1.0mmの厚みでも精度良くスライスできる。
木材からスライスした単板のうちで、厚さが1mm以下のものを構成要素とすると以下のような利点がある。
(1)単板積層体を形成したときに、汎用プラスチックよりも密度が低くしかも力学性能が優れた薄板材料を実現できる。(汎用プラスチックの0.9g/cm3以上の密度に対して、0.75g/cm3以下の密度を有する単板積層体を作製できる。)
(2)単板の大きな変形が可能となり、大小の曲率を有する様々な曲面を作製できるので、複雑な形状を有する製品など、従来の木質材料にはない特徴を持つ単板積層体を作製できる。
(3)既存の材料と同じ厚みであっても単板の厚みが薄くなった分だけ単板の積層枚数を増やすことができる。この結果、
(i)木質系構成要素である単板の持つ特性バラツキを分散することができるので、形成する材料の特性バラツキを最小化できる。
(ii)構成要素である単板の配置について配向自由度が高い(たとえば、木理方向を全て平行にできるし、または一層毎に木理を直交交錯させることも可能)ので、単板が元来持つ異方性を制御し、またはこれを利用した様々な物性を持つ材料を作製できる。
(iii)種々の性質を持つ構成要素を組み合わせて使用できるため、従来の材料では実現できなかった特性を持つ積層材料を作製できる。
(4)構成要素が薄くなるため、従来は適用されなかった種々の化学修飾等の化学的改質処理を施すことができる。この結果、
(i)単板積層体の一部の単板のみに化学処理を行なうことができるので、機能的で無駄のない処理を実現できる。
(iii) 単板積層体の端部を非親水化するなどして汎用樹脂との相溶性を持たせることで、新しい形での木質と樹脂の複合利用(たとえば、樹脂と積層材との複合材料)を実現できる。
以上のように、厚さが1mm以下の単板になると、単板自体および単板を積層した単板積層体の利点が飛躍的に大きくなる。
(5)単板積層体の厚みを1mm以下の単位で制御できるので、強度等の特性を(準)連続的に変化させることができる。この結果、精度の良い製品設計を可能とし、所望の特性を有する製品を作製できる。
次に薄い単板同士を接着する接着剤について説明する。単板を積層する場合単位体積当たりの接着力を確保できれば良いが、従来のディップ法やロールスプレッド法は単板表面の凸凹の影響を受けたり、接着剤の厚みムラが生じるので、接着剤塗布膜の厚みを薄くすることには限界があった。
たとえば、木質材料における接着剤の塗布量に関しては、JASやJIS規格においても規定はなく、性能を担保できる範囲で製造者と接着剤メーカーが独自に決めているケースが多い。接着剤の塗布量を取り扱った文献としては、Delmonteによるもの(非特許文献1)が著名であり、ここで検討された最低塗布量の90g/m2で、性能が極端に落ちることが報告されている。合板については、たとえば渡辺は、石炭酸樹脂(フェノール樹脂)の塗布量を片面で100−150g/m2(1接着層あたり200−300g/m2)と示している。(非特許文献2)また、木下は、単板厚さが薄い場合に220−300 g/m2、厚い場合は330−380 g/m2と記されている。(非特許文献3)接着剤メーカーの仕様書でも、接着剤や単板厚さにより多少の違いはあるものの、合板で340−420 g/m2、化粧用突き板で111g/m2などの塗布量を推奨している。(非特許文献4)合板の製造技術および使用されている接着剤には大きな技術革新はなく、最新の文献においても、接着剤塗布量は220−380g/m2、表面の化粧板接着の際で70−140g/m2とされている。(非特許文献5)
以上からも分かるように、接着剤の塗布量を100g/m2以下にすることは困難であった。そこで本発明では、インクジェット法で単板全体に微量塗布を行なったり、スプレーを用いることで、十分な接着性能を持つ接着層を得ることができ、これらを薄い単板に適用し、積層して単板積層体を作製する。あるいは本発明では、接着剤塗布膜パターンを薄い単板表面に形成した後で、単板同士を重ね合わせて熱圧着して単板同士を強固に接着させて単板積層体を作製する。これらの方法によって、10−20g/m2以下という現状の合板製造に用いられている塗布量の1/5〜1/10程度、或いはそれ以下の微量な接着剤でも十分な接着性能を得ることができることを確認した。
図1は本発明の一実施形態である接着剤塗布膜パターンを有する単板の接着方法を示す図である。図1(a)に示すように、単板11の接着しようとする面(接着面)に接着剤塗布膜13を形成する。この接着剤塗布膜13は単板11の接着面にパターン状に形成される。たとえば、接着剤塗布膜パターン13−1の厚みはt1で幅がm1で形成される。(尚、紙面の奥側にもある長さを有して線状に形成される。)また、接着剤塗布膜パターン13−1と隣接する接着剤塗布膜パターン13−2はスペースp1を有して形成される。一般的に記載すれば、接着剤塗布膜パターン13−nの厚みはt1で幅がmnで形成される。(尚、紙面の奥側にもある長さを有して線状に形成される。)また、接着剤塗布膜パターン13−nと隣接する接着剤塗布膜パターン13−(n+1)はスペースpnを有して形成される。
このような接着剤塗布膜パターン13が形成された単板11上に積層しようとする他の単板12の接着面を重ね合わせて、図1(b)に示すように、適度な圧力Pをかける。このとき、圧力P以外に接着剤13が適度に固化し接着するための条件下で行なう。たとえば、適度な温度や雰囲気(窒素ガス中や空気中など)を選定する。適度な条件にすることによって、図1(a)で形成された接着剤塗布膜パターン13はつぶれて単板11および12の接着面全体にほぼ均一な厚みt2で広がり、単板11および12の接着面同士が強固に接着し結合する。
図1において、接着剤塗布膜パターン13−1〜n・・・の線幅がすべて等しく(m1=・・・=mn=・・・=m)、接着剤塗布膜パターン13同士のスペースがすべて等しい(p1=・・・=pn=・・・=p)とし、長さk内にj個のパターンが存在するとすれば、長さk内の接着剤塗布膜13の量はmjt1となる。一方、固化後の接着剤の量はkt2となる。接着剤の固化による体積変化率をαとすれば、kt2=αmjt1がほぼ成立する。(0<α<1)体積変化率αは熱および圧力をかけたことによって接着剤中の溶媒が蒸発したり接着剤が化学変化して体積変化を起こしたりする度合によって変化する。もし、圧力Pだけをかけて接着剤塗布膜13の厚みがt3に変化したとすれば、kt3=mjt1がほぼ成立する。(圧力をかけることによって接着剤パターンはつぶれて広がる。)
この場合は、α=t2/t3となる。従って、t2、t3の最適値を選択すれば、αを決定でき、さらに接着剤塗布膜パターン幅m、パターン同士のスペースpを決定することができる。従って、接着剤の量を少なくすることが可能となる。また、硬化前の接着剤の密度をβ1とすれば、接着剤の量(重量)は、奥行の長さをsとすれば、面積sk当たりsk(t3)(β1)となる。尚、ここで奥行き側のパターンはライン状であるとする。以上から、パターン幅m、パターンスペースp、パターン厚みt1を適宜選択すれば、所望の接着剤量(重量)を決定できる。あるいは逆に、決められた接着剤量(重量)から、パターン幅m、パターンスペースp、パターン厚みt1を適宜決定することができる。すなわち、接着剤量(重量)が30g/m2以下、さらに10g/m2以下と非常に少なくなっても自由に制御可能となる。(尚、接着剤、すなわち接着剤密度(比重)、熱圧時の温度、圧力、その他の雰囲気圧力の選定も必要である。)
たとえば、1mm以下の薄い単板同士の接着であれば、接着剤の量は10g/m2あれば十分な接着力を得ることができる。s=k=1m=100cmとすれば、10(t3)(β1)=10となる。接着剤をレゾールタイプのフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂接着剤とすると、密度は1.0〜1.2 g/cmであるが、簡略のためにβ1=1g/cmとすれば、t3=10−3cm=10μmとなる。接着剤塗布膜パターンの幅mを10−2cm=100μmとすると、mjt1=kt3=10−1cmであるから、jt1=10cmとなる。接着剤塗布膜パターンの厚みt1を50μmとすればj=2000となる。すなわち、単板100cm幅の中に幅が100μmで厚みが50μmで、スペース400μmの線状パターンを2000個並べれば良い。また、接着剤塗布膜パターンの幅mを500μmの場合には、jt1=2となる。T1=100μmであれば、j=200となる。すなわち、単板100cn幅の中に幅が500μmで厚みが100μmで、スペース4500μmの線状パターンを200個並べれば良い。尚、1mm以下の薄い単板を接着した単板積層体においては、接着剤量は30g/m2を超えると接着剤による物性値(たとえば、密度、剛性値、弾性率、強度)が単板積層体の物性値に影響を与えるので好ましくない。
接着剤量は30g/m2以下と少ないので、厚さ1mm以下の薄い単板を接着した単板積層体においては、単板積層体の密度は熱圧された主に単板の重量によって支配される。木材の比重は空気層の比率によって概ね決定される。杉、桧、松、ヒバ等の針葉樹は空隙率が大きく、その比重(全乾比重)は0.3〜0.5であり、ナラ、タモ、カバ、ブナ等の広葉樹は比較的空隙率が小さく、その比重は0.5〜0.7である。単板積層体の比重は熱圧しているので単板の比重より大きいが、単板積層体は本来の材木の性質(たとえば、軽い、触感が良い、木目がきれい)を維持することが重要であるから、圧縮の程度は単板の比重の約1.5倍以下に留めることが望ましい。従って、針葉樹であれば0.75(密度では0.75g/cm3)以下、広葉樹であれば1.05(密度では1.05g/cm3)以下が良い。また、針葉樹の場合にはプラスチックに比べて大きな軽量化を実現できるので、プラスチックとの優位性を確保するために、単板積層体の比重は0.75以下であることが望ましい。尚、接着剤としては種々製品化および開発されており、たとえば、尿素系接着剤、フェノール系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリアミド系接着剤、EVA系接着剤、メラミン系接着剤、ユリアメラミン系接着剤、イソシアネート系接着剤、合成ゴム系接着剤が挙げられる。これらの接着剤と単板との好適条件(圧力、温度、熱圧時間、雰囲気等)を選定すれば良い。
図2は、接着剤塗布膜パターンを有する単板の接着方法を示す別の実施形態を示す図である。図2においては、単板11の接着面に接着剤塗布膜パターン14を形成するとともに、単板12の接着面12にも接着剤塗布膜パターン15を形成している。このように、1つの接着層について、積層する2枚の接合面の両方に接着剤塗布膜パターンを形成しても、図2(b)に示すように、2枚の単板11および12を重ね合わせて熱圧着すれば、単板11および12同士の間に均一な厚みを有する接着剤塗布膜を形成でき、単板同士を強固に接着し結合することができる。2枚の単板11および12の接合面に形成する接着剤塗布膜パターンの幅およびスペースおよび厚みに関しても、図1で説明したことが適用できる。さらに、1つの接着層について、2つの単板の接着面に接着剤塗布膜パターンを交差させて形成することも接着層を均一な薄さにして上下の2枚の単板を接着させる良い方法である。この場合、必ず交差する交差点が存在するが、この交差点における接着層も熱圧によって押し広げられて最終的に均一で薄い接着層が形成される。特に互いに90度で交差し、同一幅、同一スペース、同数の接着層パターンを形成すると、圧力が均等にかかるので望ましい。
図3は、多数枚の単板を積層して単板積層体を作製する方法を示す図である。n枚の薄い単板21−1〜21−nの接着面に接着剤塗布膜パターン23−1〜23−nを形成した後、n枚の薄い単板21−1〜21−nを重ね合わせて、図3(b)に示すように、圧力Pおよび熱をかけ(他の条件も適宜選択して)、n枚の単板を積層した単板積層体を作製できる。接着剤塗布膜パターン23−1〜23−nはつぶれて薄い接着剤塗布膜24−1〜24−nとなって固化する。図3ではそれぞれの単板の接着面の片面だけに接着剤塗布膜パターンを形成したが、図2に示すように単板の接着面の両面に接着剤塗布膜パターンを形成しても良い。
図4は接着剤塗布装置を示す模式図である。接着剤塗布装置31は装置本体部32とノズル33から構成される。装置本体部32には接着剤溶液を貯蔵するタンクや接着剤の吐出量を制御する機構が備わっている。ノズル33には開口部が形成され、その開口部から接着剤が吐出する。図4に示す接着剤塗布装置31は、たとえばインクジェット方式やディスペンサー方式の装置である。インクジェット方式であればノズル33から接着剤を噴出して単板34上に接着剤塗布膜パターン35を形成する。ディスペンサー方式であればノズル33から接着剤を押し出すようにして単板34上に接着剤塗布膜パターン35を形成する。連続して多数枚の単板に接着剤を塗布できるように、装置本体部32に内蔵するタンクへ接着剤溶液を補給できる補給ラインを外部から接続しても良い。
図4(a)に示す接着剤塗布装置31の一台が一度で吐出できる領域は、単板34の接着面全体の一部だけであるので、図4(a)に示すように、単板34の接着面全体をカバーできる台数並べて接着剤を吐出しても良いし、ステップアンドリピートで接着剤塗布装置31を動かして単板34の接着面全体をカバーしても良い。あるいは、図4(b)に示すように、単板34の接着面全体をカバーする面積を有する接着剤塗布装置36を用いても良い。このような大型の接着剤塗布装置36は、図4(a)に示す小型の接着剤塗布装置31と同様に、装置本体部37と多数のノズル38から構成される。装置本体部37には接着剤溶液を貯蔵するタンクや接着剤の吐出量を制御する機構が備わっている。ノズル38には開口部が形成され、その開口部から接着剤が吐出する。
尚、図4の紙面に垂直方向にも単板34は広く存在するので、紙面に垂直方向にも図4に示す装置が存在する。紙面に垂直方向において小型の装置であれば、多数台を紙面に垂直方向にも並べても良いし。ステップアンドリピート方式で紙面に垂直方向に動かしても良い。あるいは単板全体をカバーできる大型の接着剤塗布装置にしても良い。
図5は、単板に接着剤塗布膜パターンを形成する別の実施形態を示す図である。単板41上にマスク42を載せた{図5(a)}後、接着剤45をマスク42上に塗布する。マスク42には、接着剤塗布膜パターンに合わせた孔44が開いていて、この孔44に接着剤45が入り込み、この孔44は接着剤45で埋められる。{図5(b)}次に、図5(c)に示すように、スキージ46でマスク45上にある接着剤45をスキージングし、孔44に接着剤45を押し込む。このスキージングによって孔44は接着剤45で完全に埋められる。{図5(c)}次に、マスク42を取り外すと単板41上に接着剤塗膜パターン47が形成される。{図5(d)}この方法は、スクリーン印刷法による接着剤塗膜パターン形成方法である。尚、図5では、片面だけに接着剤塗膜パターンを印刷したが、両面に接着剤塗膜パターンを印刷することもできる。図5では平面状のマスクを用いたスクリーン印刷法を示したが、ロール状にしたマスクを用いてスクリーン印刷をすることもできる。あるいは、ロールコーターに接着剤塗布膜パターンを形成しておき、このロールコーター上の塗布膜パターンを単板上に転写する方式もある。(この場合、ロールコーターによる転写方式、あるいは単に転写方式と呼ぶ方が良い。)
接着剤塗布膜パターンは感光性接着剤を用いて露光法(露光方式)によって形成することもできる。たとえば、単板の接着面に感光性接着剤を所定厚み塗布して、プリベーク後フォトマスクを用いて感光性接着剤塗布膜を露光する。次に感光性接着剤塗布膜を現像液と接触させる。フォトマスクには接着剤塗布膜パターンに対応したパターンが食刻されている。感光性接着剤塗布膜がネガタイプであれば、光が当たらなかった所が現像液で溶解し、光が当たった感光性接着剤塗布膜が硬化しパターンとして残る。感光性接着剤塗布膜がポジタイプであれば、光が当たった感光性接着剤塗布膜が現像液で溶解され、光が当たらなかった所がパターンとして残る。このように、感光性接着剤および光露光を用いた露光法によって接着剤塗布膜パターンを形成できる。尚、感光性接着剤として種々製品化されているが、たとえばエポキシ系感光性接着剤がある。
図6は、接着剤塗膜パターンを形成した多数の薄い単板を積層して単板積層体を作製する自動装置51を示す図である。ロール状に巻かれた薄い単板ロール53から薄い単板52がテンションをかけた状態で圧延ローラー55に供給される。薄い単板52は所定の数量分の単板ロール53(53−1、2、・・・、n)から供給される。単板ロール53と圧延ロール55の間には接着剤塗布装置54が配置され、単板52の接着面に接着剤塗布膜パターンが形成される。この接着剤塗布装置54は上述した接着剤塗布装置(インクジェット方式、ディスペンサー方式、スクリーン印刷方式、転写方式および露光方式、その他にクエン酸ディップ方式やスプレー方式でも良い)を使用できる。また、必要な場合は単板52の両面に接着剤塗布装置54(54a、54b)を配置して、単板52の両面に接着剤塗布膜パターンを形成できる。n枚の薄い単板52は圧延ロール55に入る前に重ね合わされて、重ね合わされた単板の両側から圧延ロール55で適度な圧力および熱をかけて積層され単板積層体59が作製される。必要に応じて圧延ロール56、57等を配置し、複数回熱圧され所望の厚みの単板積層体59を得ることができる。
圧延ロール55では圧力や熱以外の条件(たとえば、雰囲気)も適宜設定できるようにすると良い。図6に示すように、厚さ1mm以下の薄い単板を供給する装置を多数並べて配置すれば、任意の厚みを有する単板積層体である木質系積層成型物を作製できる。たとえば、0.5mm厚さの単板を供給する装置を10台配置すれば、5mm以下の厚みを有する薄い単板積層体を作製できる。また、0.1mm厚さの単板を供給する装置を100台配置すれば、0.1mm以上で10mm以下の厚みの範囲内で0.1mm単位で厚みを変化させた薄い単板積層体を作製できる。さらに、単板の厚みを種々変えたもの、様々な樹種の単板なども作製できる。尚、ロール状に巻かれた薄い単板ロールはロータリー単板装置で作製することができる。薄い単板の供給元をロール状に巻かれた薄い単板ロールとしたが、平板状の薄い単板を供給しても良い。1mm以下の薄い単板はロータリー単板、ハーフロータリー単板、スライスド単板などで作製することができる。図6では、圧延ロールを用いて熱圧したが、プレス装置等で熱圧しても良い。
図1〜図6においては、接着剤パターンを形成し、その接着剤パターンを熱圧して接着剤塗布膜を単板接着面の全体へ薄く引き延ばす方式について説明してきたが、非常に薄く塗布できる方法を用いれば、接着剤パターンを形成しなくても確実に単板を接着させた単板積層体を形成できる。たとえば、実施例で述べるスプレー方式やクエン酸ディップ方式が挙げられるが、他の全面塗布方式で薄く接着剤を塗布できるものは本発明に適用可能である。尚この場合、p=0とすれば上述の関係式が成立するので、上述の関係式は接着剤パターンの有り無しに拘わらず適用できることが分かる。
木材を化学修飾(化学処理)することによって、木材の性能を向上させることができるが、木材が厚いと木材の内部まで均一の処理することが困難であることから、化学処理は余り実施されていないか、木材の表面処理だけ済ませていた。しかし、本発明の単板は厚さが1mm以下と非常に薄い木材となっているので、比較的容易に単板内部まで化学修飾等を行ない木材の化学的改質処理が可能となる。たとえば、木材の欠点の一つである湿度変化に伴って寸法が変化することを化学修飾することによって改善することができる。たとえばアセチル化処理を行ない単板、あるいは単板積層体の耐質性を向上させることができる。さらに、このアセチル化処理は高温(100℃以上)において木材を柔軟にさせるので、プラスチックと同様の性質を有するようになり、プラスチックの代替品としても適用可能となる。他の化学修飾として、たとえば樹脂含浸、ホルマール化、マーセル化などがあり、これらも本発明の厚さ1mm以下の薄い単板、およびこれらを積層した単板積層体に適用できる。
また本発明の単板積層体は積層材料であることから、必要な部位の要素のみに化学処理を施すなど、無駄のない化学処理を可能とするほかに、単板または単板積層体の端部を非親水化するなどして汎用樹脂(プラスチック)との相溶性を持たせることによって、新しい形態での木質と樹脂の複合利用などに繋げることができる。
接着剤用カートリッジを備えた、市販品を改造したインクジェットプリンターを用いて、厚さ2.2mmのプレーナー仕上げしたカバ・ソード単板に接着剤を塗布した。接着剤射出にピエゾ・アクチュエータを用いており、射出時に被射出液体に対して熱を加えないという特徴を持つ。用いた接着剤はレゾールタイプのフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂接着剤(群栄化学工業(株)製レヂトップPL-3630)であり、この接着剤原液(不揮発分量43.6%)を2倍量(重量換算)の水で希釈し、接着剤用カートリッジに充填した。カバ・ソード単板2枚の接着面それぞれに所定回数の接着剤塗布(両面塗布)を行なった後、カバ・ソード単板2枚の接着面を合わせて、圧締圧力1.5MPa、プレス温度140℃で10分間熱圧着した。本改造インクジェットプリンターによる塗布は、フルドット印字・ベタ塗りの条件で行ない、フルドット印字・ベタ塗りの条件では、1回の塗布操作当たり原液換算で5g/m2の接着剤を均一塗布することができる。ドット印字はこれよりも少ない量を塗布できる。比較として同じカバ・ソード単板2枚を、ローラー塗布{接着剤使用量(両面)180g/m2}を用いて接着させた試験体も作製した。試験体は各条件で8体作製した。作製した単板積層体(合板)について、試験片(20mm×60mm)を切り出し、合板の日本農林規格(JAS規格)における「構造用合板の規格(特類)」に準拠し、万能試験(テンシロン・RTC-1350)を用いて引張せん断試験(試験速度3mm/min)により得られたせん断強度および木破率(木部破断率)で評価した。また、接着剤の促進劣化試験として72時間の連続煮沸を行なった。
図7はその評価結果であり、上記のインクジェットプリンターを用いた塗布量とせん断強度および木破率との関係を示すグラフである。一番右側のデータがローラー塗布の場合を示す。原液換算で塗布量を10g/m2(不揮発成分換算で4.3g/m2)まで減らしても接着強度や木破率に低下は見られない。また、接着強度のバラツキは、塗布量の低下に伴い小さくなる傾向がある。図7に示す最小の塗布量10g/m2は不揮発成分換算ではわずか4.3g/m2である。図7に示す実施例1では接着強度および木破率が低下する限界塗布量を評価することができなかったが、最小の塗布量10g/m2よりさらに塗布量を低減できる可能性が示唆される。
図13は、72時間連続煮沸後の接着剤塗布量と接着強度の関係を示すグラフである。横軸は不揮発成分換算で示した接着剤塗布量を示す。塗布量が7.7g/m2(原液換算18g/m2)程度塗布すれば、ロールスプレッダーで充分な量の接着剤を与えた条件と比較しても、接着強度・木破率のいずれもそん色ない性能が得られる。一方で、接着剤塗布量が6.1g/m2になると、せん断強度は同程度を維持するものの木破率が低下する傾向が見られ、4.6g/m2では強度も低下し、木破は殆ど発生しなくなった。このことからも最小の塗布量が存在することが示唆される。
実施例1によって、合板や集成材等の木材接着が、従来から一般的に言われてきた塗布量を大幅に低減しても十分な接着強度と歩留まり(木破率)を得られることが明らかとなった。そこで、さらに塗布量を低減するとどのような結果になるか、また他の塗布方法を用いた場合どのような結果になるかを試験した。他の塗布方法として、図8に示すスプレーヘッドを適用した塗布装置(スプレー法または噴霧法)を用いた。試料、接着剤、合板作製方法および評価方法は実施例1と同じである。
図9はその評価結果を示す図であり、インクジェットプリンターおよびスプレー装置を用いた塗布量とせん断強度および木破率との関係を示すグラフである。横軸の塗布量は不揮発成分換算した値である。図13から分かるように、点状にランダムに塗布するスプレー法(噴霧法)でも塗布位置および塗布量を制御可能なインクジェットプリンターと同等の接着性能を得られることが分かる。
接着剤用カートリッジを備えた、市販品を改造したインクジェットプリンターを用いて、厚さ2.2mmのプレーナー仕上げしたカバ・ソード単板に接着剤を塗布した。用いた接着剤はレゾールタイプのフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂接着剤(群栄化学工業(株)製レヂトップPL-3630)である。カバ・ソード単板2枚の接着面それぞれに45度斜線により線状塗布し、塗布幅を変えて(W=0.68mm、0.55mm、0.38mm)塗布した。その後、カバ・ソード単板2枚の接着面を合わせて、圧締圧力1.5MPa、プレス温度140℃で10分間熱圧着した。作製した単板積層体(合板)について、合板の日本農林規格(JAS規格)における「構造用合板の規格(特類)」に準拠し、万能試験(テンシロン・RTC-1350)を用いて引張せん断試験(試験速度3mm/min)により得られたせん断強度および木破率(木部破断率)で評価した。
図12はその評価結果であり、図12は、上記のインクジェットプリンターを用いた塗布量とせん断強度および木破率との関係を示すグラフである。横軸に接着剤塗布量を不揮発成分換算で示し、縦軸(右側)は木破率で、縦軸(左側)がせん断強度を示す。太線(線幅0.68mm)で塗布したもの(塗布量約4g/m2)では試験片すべて木破により破断しせん断強度も高く(約4MPa)、十分な接着性能が得られた。45度斜線の両面塗布ではある程度の密度で接着点が存在することにより、十分な接着性能が得られることを示唆している。しかし、線幅が細くなるとせん断強度が低下するとともに、せん断強度のバラツキが大きくなることから線幅とスペース(間隔)の適正化が必要であることを示唆している。この適正化を行なえばさらに接着剤量を減らすことができる。
スギ・ロータリー単板(厚さ0.3mm)を10枚重ねて単板積層体(合板)を作製した。実施例1と同じ接着剤を用いて、実施例1と同じインクジェット法で接着剤を1接着層あたり約10g/m2を各単板の両面に塗布した。接着剤を塗布した各単板の木理方向を2層ごとに直交交錯させて積層し、140℃の熱板プレスを用いて圧力8kgf/cm2で3分の条件でプレスして単板積層体を得た。この単板積層体を20℃、湿度65%(RH)の下で重量が恒量になるまで養生した後、幅10mmの試験体を10体取り出し、スパン60mm(厚さの約30倍)で曲げ試験を行なった。
作製した単板積層体の曲げ試験片10体から測定された平均気乾密度は0.4g/cm3であった。この値は各種プラスチックの密度(たとえば、ABS樹脂1.03 g/cm3、ポリエチレン0.96g/cm3、ポリプロピレン0.90 g/cm3、塩化ビニル1.30−1.58g/cm3、ポリカーボネート1.20 g/cm3)の半分以下であり、かなり軽い材料であることが分かる。平均曲げ弾性係数は4.93±0.33GPaで、各種プラスチックの弾性係数(たとえば、ABS樹脂2.3GPa、ポリエチレン1.2MPa、ポリプロピレン1.7GPa、塩化ビニル3.1GPa、ポリカーボネート2.3GPa)の2倍以上の弾性率を持つ材料であることが分かる。平均曲げ強度は(MOR)は42.5±4.6MPaで、各種プラスチックの曲げ強度(たとえば、ABS樹脂37−76MPa、ポリプロピレン41−55MPa、塩化ビニル69−110MPa、ポリカーボネート93MPa)と同程度であるが、各種プラスチックよりかなり軽いことを考慮すれば、単位重量あたりの曲げ強度は高いことが分かる。このように、厚さ1mm以下の薄い単板を積層した単板積層体は汎用プラスチックと比較しても極めて高い性能を有する材料であることが明らかとなった。
厚さ0.3mmのスギ・ロータリー単板を用い、レゾールタイプのフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂接着剤(群栄化学工業(株)製レヂトップPL-3630)を1接着層あたり約10g/m2となるように、スプレーにより塗布した。このとき単板の木理が略直交するように7枚重ね合わせた。尚、真中の芯層の1層のみ木理が直交するように配置した。この単板積層体を140℃に加熱した雄雌一対からなる成形型に投入し、型の投影面積平均で0.05MPaの圧力を加え、3分間圧縮して、曲面を有する木質系積層成形物を得た。このようにして得られた曲面を有する木質系積層成形物の密度は、平面で成形したものと同様の密度であった。また、木理に直交する方向であれば、曲率半径約5mm程度の成形が可能であった。
厚さ0.3mmのスギ・ロータリー単板を用い、レゾールタイプのフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂接着剤(群栄化学工業(株)製レヂトップPL-3630)を1接着層あたり約10g/mとなるように、スプレーにより塗布した。このとき単板の木理が略直交するように10枚重ね合わせた。この積層材料を140℃、0.8MPaで3分間熱圧して、単板積層体を得た。この単板積層体の密度は0.40g/cm3で曲げ弾性率は約5.0GPaであった。汎用プラスチックより密度は半分以下であるにも関わらず、曲げ弾性率は2倍以上であった。
厚さ1mmおよび0.3mmのスギ・ロータリー単板(150mm角)を作製し105℃の恒温装置で乾燥した後全乾重量を測定した後、図8に示すスプレー装置で50wt%のクエン酸水溶液をスプレー(噴霧)塗布した。塗布回数は1ないし2回である。塗布量は1回塗布で1接着層あたり11.2g/m(両面塗布)である。ノズル径は0.2mmで噴霧エアー圧は0.1MPa、ベルト走行速度は500mmである。0.3mm単板は1回塗布し、直交交錯させて3、5または7枚積層し単板積層体を作製した。1.0mm単板は、1ないし2回塗布し、直交交錯させて3枚積層し単板積層体を作製した。次にクエン酸水溶液を塗布した単板の接着面を重ね合わせて複数枚の単板を熱圧成形し、単板積層体を作製した。圧締温度は200℃、圧力は1MPaで連続負荷した。圧締め時間は0.3mm単板では4、6または8分、1mm単板では10分である。これらのいずれの条件でも十分な成形が行なわれた。これらの単板を沸騰水中で4時間煮沸した後剥離状況観察および接着層の顕微鏡観察を行なったが、どの条件でも問題はなく良好な接着性能であった。
図10および図11はこれらの単板の曲げ試験結果を示す図である。試験条件は中央集中3点曲げで、スパンは厚さの約30倍とし、クロスヘッドスピードは5mm/分である。図10は単板積層体の密度と曲げ弾性率(MOE)の関係を示すグラフである。曲げ弾性率は密度が高くなると若干大きくなる傾向にあるが、4GPa〜8GPaの範囲内にありスギを構成要素とする合板として比較的良好な値である。図11は単板積層体の密度と曲げ強さ(MOR)の関係を示すグラフであるが。曲げ強さも密度が高くなると大きくなる傾向にあるが、30MPa〜80MPaの範囲内にあり、スギを構成要素とする合板として比較的良好な値である。また、汎用樹脂と比較しても曲げ弾性率は2倍以上、曲げ強さは同程度であり、密度が半分以下であることを考慮すると非常に優れた材料であることが分かる。
以上詳細に説明したように、木材からスライスした薄い単板は厚さが1mm以下になると変形能が大きく種々の曲面を形成でき、積層する単板の配向自由度が高く、また種々の厚みの単板積層体を作ることができるなど、従来の木質材料にはない特徴を持つ材料の成型が可能となる。本発明は、汎用プラスチックに比べて圧倒的に密度が低く、数倍の力学的性能を持つ薄板材料であるから、汎用プラスチックが使用される家電や自動車等で大幅な軽量化を実現でき、この結果エネルギー消費の大幅な軽減化も実現できる。
本発明は、従来から木材として利用している建具・建築用だけでなく、工芸品や家電や自動車等で使用されている汎用プラスチックの代替品に適用できる。
11・・・単板、12・・・単板、13・・・接着剤塗布膜、
14・・・接着剤塗布膜パターン、15・・・接着剤塗布膜パターン、
16・・・接着剤塗布膜、

Claims (12)

  1. 構成要素の厚さが1.0mm以下の単板を複数枚重ね合わせて接着させたことを特徴とする木質系積層成型物。
  2. 各接着層における接着剤の使用量が1接着層あたり30g/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の木質系積層成型物。
  3. 材料の密度が0.75g/cm3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の木質系積層成型物。
  4. 構成要素である単板を化学処理した後に作製したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の木質系積層成型物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の木質系積層成型物を作製後に化学処理を行なったことを特徴とする木質系積層成型物。
  6. 構成要素の厚さが1.0mm以下である複数の単板の接着面上に接着剤塗布膜パターンを形成する工程、および
    前記複数の単板を重ね合わせ熱圧着し木質系積層成型物を作製する工程、
    を含むことを特徴とする木質系積層成型物の作製方法。
  7. 構成要素の厚さが1.0mm以下である複数の単板の接着面上に接着剤塗布膜パターンを形成する工程、
    前記複数の単板の1部または全部を化学処理する工程、および
    前記複数の単板の重ね合わせ熱圧着し木質系積層成型物を作製する工程、
    を含むことを特徴とする木質系積層成型物の作製方法。
  8. さらに、前記木質系積層成型物を化学処理する工程を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の木質系積層成型物の作製方法。
  9. 前記接着剤塗布膜パターンの線幅をm、パターンスペース(間隔)をp、およびパターン厚みをtとして、m、p、およびtの値を決定することによって各接着層における接着剤の使用量を決定することを特徴とする、(ここで、p≧0)請求項6〜8のいずれか1項に記載の木質系積層成型物の作製方法。
  10. 各接着層における接着剤の使用量が1接着層あたり30g/m以下であることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の木質系積層成型物の作製方法。
  11. 木質系積層成型物の材料の密度が0.75g/cm3以下であることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の木質系積層成型物の作製方法。
  12. 前記接着剤塗布膜パターンを形成する工程において、前記接着剤塗布膜パターンは、インクジェット方式、ディスペンサー方式、スクリーン印刷方式、転写方式、露光方式、スプレー方式から選択した少なくとも1つの方式で作製されたことを特徴とする、請求項6〜11のいずれか1項に記載の木質系積層成型物の作製方法。
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