JP2013222556A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】負極にリチウムを含有させた場合でも、電池の充放電性能を低下させず、かつ、リチウムの針状析出を抑制して長期使用時や異常時でも安全性を向上させた電池を提供する。
【解決手段】リチウムの針状析出抑制効果を高めるためにゲル化能を有する低分子ゲル化剤(パーフルオルアルキル基を有する低分子ゲル化剤、クマリン型のゲル化剤、アゾ基を有するゲル化剤等)を含むイオン伝導体と、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極と、正極と、を含む電池。リチウムー空気電池にも適用できる。
【選択図】なし
【解決手段】リチウムの針状析出抑制効果を高めるためにゲル化能を有する低分子ゲル化剤(パーフルオルアルキル基を有する低分子ゲル化剤、クマリン型のゲル化剤、アゾ基を有するゲル化剤等)を含むイオン伝導体と、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極と、正極と、を含む電池。リチウムー空気電池にも適用できる。
【選択図】なし
Description
本発明は電池に関する。
近年の環境問題への意識の高まりや、安全性重視の点から、化石燃料を用いたエネルギーや原子力エネルギーの使用の低減が求められている。そのような事情のもと、発電に代表される創エネルギーのみではなく、省エネルギー、蓄エネルギーを含む様々な観点からのエネルギー技術の革新が求められている。
蓄エネルギー部材として代表的なリチウムイオン電池は、汎用に使用されている蓄電池の中では容量密度やエネルギー密度が高いため、現在、携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器に広く使用されているのみならず、電動工具類や各種機器のバックアップ電源としても使用されている。さらに最近では、ハイブリッド自動車や電気自動車などの車載用やスマートハウスへの採用が検討されており、リチウムイオン電池のさらなる拡大が期待及び予測されている。
しかしながら、自動車用途や住宅用途などでは従来の携帯機器と比較して、大容量、高出力などの高性能電池が必要であるため、改良された次世代型電池への要求が高まっている。
しかしながら、自動車用途や住宅用途などでは従来の携帯機器と比較して、大容量、高出力などの高性能電池が必要であるため、改良された次世代型電池への要求が高まっている。
そのような次世代型電池の例として、リチウム電池やリチウム−空気電池、リチウム−硫黄電池などの負極活物質としてリチウムを含む電池が次世代の大容量電池として注目されている。
リチウムイオン電池の正極活物質にはコバルト酸リチウムをはじめとするリチウム金属酸化物が使用されているが、負極活物質には炭素材料を用いることが一般的である。そこで負極にもリチウムを含む材料を負極活物質として用いれば、より高容量の電池が達成されると期待できる。
ここで、リチウム−空気電池としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極と、酸素を正極活物質とし酸素の酸化還元触媒を含む正極と、負極と正極との間に介在するイオン伝導体(電解液)とを備えたものが知られている。正極に用いる酸素は空気から得られ、固体の活物質を電池内に封入する必要がないことから、理論的には正極の容量が無限となり、リチウムイオン電池と比較して大幅に高い容量を達成することができる。しかしながら、リチウム−空気電池では正極から空気を取り込む際に混入する水分が電池を劣化させたり、二酸化炭素が電解液の性能を低下させたりするため、長期にわたって電池を使用できないという課題があり、様々な改良が検討されている。
特許文献1には、リチウムイオンを放出する負極と、多孔質材料からなる空気極集電体と、導電性材料を含む多孔質正極と、前記空気極集電体と前記多孔質正極との間に配置された、導電性材料からなる拡散層と、前記負極と前記多孔質正極との間に配置された非水電解質とを有する、リチウム空気電池が開示されている。
特許文献2には、導電性材料を含有する空気極層および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を含有する負極層および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、前記空気極層および前記負極層の間に設置されたセパレータと、前記空気極層および前記負極層の間でリチウムイオンの伝導を担う、リチウム塩および有機溶媒を含む有機溶媒電解液と、を有するリチウム空気電池であって、前記有機溶媒が、高誘電率、かつ、放電生成物に対する耐反応性を有する耐反応性有機溶媒を含むことを特徴とするリチウム空気電池が開示されている。
リチウムイオン電池の正極活物質にはコバルト酸リチウムをはじめとするリチウム金属酸化物が使用されているが、負極活物質には炭素材料を用いることが一般的である。そこで負極にもリチウムを含む材料を負極活物質として用いれば、より高容量の電池が達成されると期待できる。
ここで、リチウム−空気電池としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極と、酸素を正極活物質とし酸素の酸化還元触媒を含む正極と、負極と正極との間に介在するイオン伝導体(電解液)とを備えたものが知られている。正極に用いる酸素は空気から得られ、固体の活物質を電池内に封入する必要がないことから、理論的には正極の容量が無限となり、リチウムイオン電池と比較して大幅に高い容量を達成することができる。しかしながら、リチウム−空気電池では正極から空気を取り込む際に混入する水分が電池を劣化させたり、二酸化炭素が電解液の性能を低下させたりするため、長期にわたって電池を使用できないという課題があり、様々な改良が検討されている。
特許文献1には、リチウムイオンを放出する負極と、多孔質材料からなる空気極集電体と、導電性材料を含む多孔質正極と、前記空気極集電体と前記多孔質正極との間に配置された、導電性材料からなる拡散層と、前記負極と前記多孔質正極との間に配置された非水電解質とを有する、リチウム空気電池が開示されている。
特許文献2には、導電性材料を含有する空気極層および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を含有する負極層および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、前記空気極層および前記負極層の間に設置されたセパレータと、前記空気極層および前記負極層の間でリチウムイオンの伝導を担う、リチウム塩および有機溶媒を含む有機溶媒電解液と、を有するリチウム空気電池であって、前記有機溶媒が、高誘電率、かつ、放電生成物に対する耐反応性を有する耐反応性有機溶媒を含むことを特徴とするリチウム空気電池が開示されている。
しかしながら、上記特許文献に記載されているような負極にリチウムを含む電池では、充放電に伴って負極上に針状に金属リチウムが徐々に堆積し、それが電池短絡を引き起こすことから、長期使用時の充放電特性と安全性に課題がある。また、このような針状リチウムは、過充電などの異常時には短時間で析出するため、異常充電が全く起こらないような電池制御が必要となる。このような針状に体積したリチウムは反応性が高く、異常時には発火したり暴走したりする要因になる。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、負極にリチウムを含有させた場合でも、電池の充放電性能を低下させず、かつ、リチウムの針状析出を抑制して長期使用時や異常時でも安全性を向上させた電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく、様々なイオン伝導体を用いて電池の性能を検討した結果、低分子ゲル化剤を含むイオン伝導体を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
低分子ゲル化剤を含むイオン伝導体と、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極と、正極と、を含む電池。
[2]
前記リチウム化合物がリチウム金属である、上記[1]記載の電池。
[3]
前記低分子ゲル化剤が、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を含む、上記[1]又は[2]記載の電池。
Rf1−R1−X1−L1−R2 (1)
Rf1−R1−X1−L1−R3―L2―X2―R4―Rf2 (2)
R5−O−Cy−X3−Cm (3)
(式(1)及び(2)中、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に、炭素数2〜20のパーフルオロアルキル基を示し、R1及びR4はそれぞれ独立に、単結合若しくは炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示し、X1及びX2はそれぞれ独立に、下記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)及び(1g)で表される基からなる群より選ばれる2価の基を示し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいオキシアルキレン基、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいオキシシクロアルキレン基、又は、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい2価のオキシ芳香族基を示し、R2は、アルキル基若しくはハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルキル基若しくはハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよいフルオロアルキル基、アリール基若しくはフルオロアリール基、又は、これらの基のうちの1種以上とこれらの基に対応する2価の基のうちの1種以上とが結合した1価の基を示し、R3は主鎖に酸素及び/又は硫黄原子を1つ以上有してもよく、かつ、アルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜18の2価の飽和炭化水素基を示す。
[1]
低分子ゲル化剤を含むイオン伝導体と、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極と、正極と、を含む電池。
[2]
前記リチウム化合物がリチウム金属である、上記[1]記載の電池。
[3]
前記低分子ゲル化剤が、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を含む、上記[1]又は[2]記載の電池。
Rf1−R1−X1−L1−R2 (1)
Rf1−R1−X1−L1−R3―L2―X2―R4―Rf2 (2)
R5−O−Cy−X3−Cm (3)
(式(1)及び(2)中、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に、炭素数2〜20のパーフルオロアルキル基を示し、R1及びR4はそれぞれ独立に、単結合若しくは炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示し、X1及びX2はそれぞれ独立に、下記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)及び(1g)で表される基からなる群より選ばれる2価の基を示し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいオキシアルキレン基、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいオキシシクロアルキレン基、又は、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい2価のオキシ芳香族基を示し、R2は、アルキル基若しくはハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルキル基若しくはハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよいフルオロアルキル基、アリール基若しくはフルオロアリール基、又は、これらの基のうちの1種以上とこれらの基に対応する2価の基のうちの1種以上とが結合した1価の基を示し、R3は主鎖に酸素及び/又は硫黄原子を1つ以上有してもよく、かつ、アルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜18の2価の飽和炭化水素基を示す。
前記X1及びX2が、それぞれ独立に、前記式(1a)又は前記式(1d)で表される2価の官能基である、上記[3]記載の電池。
[5]
前記X1及びX2がいずれも、前記式(1d)で表される2価の官能基である、上記[3]又は[4]記載の電池。
[6]
前記イオン伝導体の1相以上がゲル状である、上記[1]〜[5]のいずれか記載の電池。
[7]
前記電池は、前記正極の正極活物質として酸素を用いたリチウム−空気電池である、上記[1]〜[6]のいずれか記載の電池。
本発明によると、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極を用いた電池であって、電池の充放電性能を低下させることなく、長期使用時および異常時のリチウム針状析出を抑制することにより安全性を向上させた電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
本実施形態における電池は、低分子ゲル化剤を含むイオン伝導体と、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極と、正極と、を含む。
本実施形態における電池は、低分子ゲル化剤を含むイオン伝導体と、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極と、正極と、を含む。
<イオン伝導体>
本実施形態におけるイオン伝導体は低分子ゲル化剤を含む。イオン伝導体としては電解質を含む公知の電解液を用いることができ、イオンを運ぶことができる媒体であれば固体状、ゲル状、液体状、スラリー状などの様々な形態のものを選択できる。イオン伝導体は2相以上存在してもよく、その場合、イオン伝導体の少なくとも1相以上に低分子ゲル化剤を含む。特に、針状リチウムの析出の抑制効果がより向上する傾向にあるため、負極に近接するイオン伝導体相に低分子ゲル化剤を含むことが好ましく、負極に最も近いイオン伝導体相に低分子ゲル化剤を含むことが更に好ましい。なお、複数の相に低分子ゲル化剤を含むと安全性の向上効果がより高まる傾向にあるため好ましい。
本実施形態におけるイオン伝導体は低分子ゲル化剤を含む。イオン伝導体としては電解質を含む公知の電解液を用いることができ、イオンを運ぶことができる媒体であれば固体状、ゲル状、液体状、スラリー状などの様々な形態のものを選択できる。イオン伝導体は2相以上存在してもよく、その場合、イオン伝導体の少なくとも1相以上に低分子ゲル化剤を含む。特に、針状リチウムの析出の抑制効果がより向上する傾向にあるため、負極に近接するイオン伝導体相に低分子ゲル化剤を含むことが好ましく、負極に最も近いイオン伝導体相に低分子ゲル化剤を含むことが更に好ましい。なお、複数の相に低分子ゲル化剤を含むと安全性の向上効果がより高まる傾向にあるため好ましい。
イオン伝導体である電解液に含まれる溶媒としては特に限定されず、水でも非水溶媒でも使用することができるが、イオン伝導体の1相以上が非水溶媒相であることが好ましい。
非水溶媒としては、特に限定されず様々なものを用いることができるが、室温で液体である非水溶媒を用いるのが一般的である。そのような非水溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及びγ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ε―カプロラクトンなどの酸エステル類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン及び3−ペンタノンなどのケトン類;ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン及びヘキサフルオロベンゼンなどの炭化水素類;ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、クラウンエーテル類、グライム類、テトラヒドロフラン及びフルオロアルキルエーテルなどのエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;エチレンジアミン及びピリジンなどのアミン類;イミダゾール類;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート類;アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリルなどのニトリル類;スルホランなどのスルホン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;シリコンオイル及び石油などの工業オイル類;食用油などが挙げられる。
また、非水溶媒としてはイオン液体を用いることもできる。イオン液体とは、有機カチオンとアニオンとを組み合わせたイオンからなる常温溶融塩である。イオン液体は、難燃性であり、爆発性が低く、蒸気圧がほとんどないこと、熱やイオンの伝導性が高いこと、及び、イオン種の選択によって物性制御デザインが可能であることなどの利点を有している。
有機カチオンとしては、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、ジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、例えば、PF6アニオン、PF3(C2F5)3アニオン、PF3(CF3)3アニオン、BF4アニオン、BF2(CF3)2アニオン、BF3(CF3)アニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、Tf(トリフルオロメタンスルフォニル)アニオン、Nf(ノナフルオロブタンスルホニル)アニオン、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォニル)イミドアニオン、ジシアノアミンアニオン、ハロゲン化物アニオンが挙げられる。
これらの非水溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
充放電に寄与する電解質の電離度を高めるために、非水溶媒は、高誘電率の溶媒を1種以上含むことが好ましい。同様の観点から、非水溶媒は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートに代表される環状カーボネート、アセトニトリルに代表されるニトリル、ジメトキシエタン、グライムなどのエーテル類を1種以上含むことがより好ましい。高誘電率溶媒は電解質の電離を助けると共にゲル化能を高めるという利点を有する。
本実施形態における電解質は、電解液において、通常の非水電解質として用いられているものであれば特に限定されず、いずれのものを用いてもよいが、中でも、電池特性の観点から、リチウム塩を使用することが好ましい。リチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2CkF2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2CkF2k+1)2〔kは1〜8の整数〕、LiPFn(CkF2k+1)6-n〔nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiBFn((CkF2k+1)4-n〔nは1〜3の整数、kは1〜8の整数〕、LiB(C2O4)2で表されるリチウムビス(オキサレート)ボレート、LiBF2(C2O2)で表されるリチウムジフルオロオキサリルボレート、LiPF3(C2O2)で表されるリチウムトリフルオロオキサリルフォスフェートが挙げられる。
また、下記一般式(3a)、(3b)又は(3c)で表されるリチウム塩を電解質として用いることもできる。
LiC(SO2R11)(SO2R12)(SO2R13) (3a)
LiN(SO2OR14)(SO2OR15) (3b)
LiN(SO2R16)(SO2OR17) (3c)
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
LiC(SO2R11)(SO2R12)(SO2R13) (3a)
LiN(SO2OR14)(SO2OR15) (3b)
LiN(SO2R16)(SO2OR17) (3c)
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
これらの電解質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの電解質のうち、電池特性や安定性に加え、ゲル化能を高める観点から、LiPF6、LiBF4及びLiN(SO2CkF2k+1)2〔kは1〜8の整数〕が好ましい。
電解質の濃度は、本発明の目的達成を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、電解液中において、好ましくは0.1〜3モル/リットル、より好ましくは0.5〜2モル/リットルの濃度で含有される。
本実施形態におけるイオン伝導体が2相以上である場合、各相に含まれる電解質は共通であっても、異なるものであってもよい。
低分子ゲル化剤とは、単量体を重合することで得られる重合体(高分子)以外でゲル化能を有する化合物の総称である。超分子のゲル化剤も低分子ゲル化剤に含まれる。高分子のゲル化剤は架橋によって三次元的な網目構造を形成し、その内部に溶媒を吸収して膨潤させたゲルを形成する。それに対して低分子ゲル化剤は、溶液中において一次元に自己集合して擬似的な高分子(超分子ファイバー)を形成し、さらにそれらが絡まり合うことで溶媒を保持してゲルを形成する。低分子ゲル化剤の分子量は、ゲル化能とゲルのハンドリングの観点から、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した重合平均分子量が50〜10000であることが好ましく、100〜5000であることがより好ましい。
本実施形態における低分子ゲル化剤としては、特に限定されず、例えば、アミド基、ウレア基及びウレタン基のうち1つ以上の基を有する化合物、アミノ酸誘導体、「Chem.Rev.第97巻、p3133〜p3159、1997年発行」に記載されている化合物、特開平10−175901号公報に記載されている化合物、国際公開2006/82768号に記載されている化合物、特開2007−506833号公報に記載されている化合物、特開2009−155592号公報に記載されている化合物、「Chem.Mater.11巻、p649−655、1999年発行」に記載されている化合物、並びに「J.Phys.Chem.B 105巻、p12809〜12815、2001年発行」に記載されている化合物が挙げられる。
低分子ゲル化剤は、充放電性能や安全性等の目的の性能を発現させるために、複数のゲル化剤の混合物であってもよい。
低分子ゲル化剤はより少ない添加量で電解液をゲル化でき、また、高温時は電解液をより低粘度化させることができる。低分子ゲル化剤としては、化学的安定性及び酸化還元に対する安定性を有する化合物が好適に使用され、そのような化合物としては、以下に説明する化合物が例示される。
本実施形態における低分子ゲル化剤としては、電気化学的安定性と電解液に対するゲル化能との観点から、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。
Rf1−R1−X1−L1−R2 (1)
Rf1−R1−X1−L1−R3―L2―X2―R4―Rf2 (2)
R5−O−Cy−X3−Cm (3)
Rf1−R1−X1−L1−R2 (1)
Rf1−R1−X1−L1−R3―L2―X2―R4―Rf2 (2)
R5−O−Cy−X3−Cm (3)
上記一般式(1)及び(2)において、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に、炭素数2〜20のパーフルオロアルキル基を示す。当該炭素数が2〜20であることにより、原料の入手とその化合物の合成とが容易となる。上記一般式(1)及び(2)で表される化合物(以下、「パーフルオロ化合物」とも言う。)の電解液への混合性、電解液の電気化学的特性、及びゲル化能の観点から、上記炭素数は2〜12であることが好ましい。パーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロエチル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、パーフルオロn−ヘキシル基、パーフルオロn−オクチル基、パーフルオロn−デシル基及びパーフルオロn−ドデシル基が挙げられる。
上記一般式(1)及び(2)において、R1及びR4はそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示し、当該炭素数は2〜5であることが好ましい。上記2価の飽和炭化水素基の炭素数が3以上である場合、分岐があってもなくてもよい。このような2価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチリデン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基及びn−ブテン基が挙げられる。
また、X1及びX2はそれぞれ独立に、下記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)及び(1g)で表される基からなる群より選ばれる2価の基を示す。これらの中では、電気化学的な観点から、下記式(1a)、(1b)及び(1d)で表される基からなる群より選ばれる2価の基が好ましく、下記式(1a)又は下記式(1d)で表される2価の基であることがより好ましく、下記式(1d)で表される2価の基であることが更に好ましい。
L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいオキシアルキレン基、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいオキシシクロアルキレン基、又は、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい2価のオキシ芳香族基(−OAr−;Arは2価の芳香族基を示す。)を示す。オキシアルキレン基としては、例えば、炭素数2〜10のオキシアルキレン基、より具体的には、オキシエチレン基(−C2H4O−)及びオキシプロピレン基(−C3H6O−)が挙げられる。オキシシクロアルキレン基としては、例えば、炭素数5〜12のオキシシクロアルキレン基、より具体的には、オキシシクロペンチレン基、オキシシクロヘキシレン基、オキシジシクロヘキシレン基が挙げられる。
これらの中でも、ゲル化能及び電解液の安全性向上の観点から、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい2価のオキシ芳香族基が好ましい。アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい2価のオキシ芳香族基における2価の芳香族基は、いわゆる「芳香族性」を示す環式の2価の基である。この2価の芳香族基は、単素環式の基であっても複素環式の基であってもよい。
単素環式の基は、その核原子数が6〜30であり、アルキル基若しくはハロゲン原子により置換されていてもよい。その具体例としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基に代表される核を有する2価の基が挙げられる。複素環式の基は、その核原子数が5〜30であり、アルキル基若しくはハロゲン原子により置換されていてもよい。その具体例としては、例えば、ピローレン基、フラニレン基、チオフェニレン基、トリアゾーレン基、オキサジアゾーレン基、ピリジレン基及びピリミジレン基に代表される核を有する2価の基が挙げられる。上記の中でも、2価の芳香族基としては、フェニレン基、ビフェニレン基又はナフチレン基が好ましい。
また、置換基であるアルキル基としては、例えば、メチル基及びエチル基等のアルキル基が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
オキシシクロアルキレン基及びオキシ芳香族基には複数の環が接続されたものも含まれ、このような基としては、例えば、オキシビフェニレン基、オキシターフェニレン基及びオキシシクロアルキルフェニレン基が挙げられる。
上記一般式(1)中のR2は、アルキル基若しくはハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルキル基若しくはハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよいフルオロアルキル基、アリール基若しくはフルオロアリール基、又は、これらの基のうちの1種以上とこれらの基に対応する2価の基(例えば、アルキル基に対応するアルキレン基、アリール基に対応するアリーレン基)のうちの1種以上とが結合した1価の基(例えば、アルキレン基とアリール基とが結合したアラルキル基)を示す。R2としては、より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基及びn−デシル基に代表される炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は、更にアルキル基又はハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよい。
フルオロアルキル基としては、炭素数1〜12のフルオロアルキル基(ただし、パーフルオロアルキル基を除く。)若しくは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基が好ましい。炭素数1〜12のフルオロアルキル基(ただし、パーフルオロアルキル基を除く。)及び炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基としては、具体的には、トリフルオロメチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロn−ブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロn―ヘキシル基及び1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロn−デシル基が挙げられる。炭素数1〜12のフルオロアルキル基は、更にアルキル基又はハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基に代表される核原子数が6〜12のアリール基、フルオロアリール基としては、例えば、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基に代表される核原子数が6〜12のフルオロアリール基が挙げられる。
また、R2は、上述のアルキル基、フルオロアルキル基、アリール基及びフルオロアリール基のうちの1種以上と、それらの基に対応する2価の基、すなわち、アルキレン基、フルオロアルキレン基、アリーレン基及びフルオロアリーレン基、のうちの1種以上とが結合した1価の基であってもよい。そのような基としては、例えば、アルキレン基とパーフルオロアルキル基とが結合した基(ただし、この基はフルオロアルキル基の1種でもある。)、アルキレン基とアリール基とが結合した基(アラルキル基)、フルオロアルキル基とフルオロアリーレン基とが結合した基が挙げられる。
R2は、本発明の効果をより有効且つ確実に奏する観点から、アルキル基又はフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のフルオロアルキル基(ただし、パーフルオロアルキル基を除く。)又は炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜10のフルオロアルキル基(ただし、パーフルオロアルキル基を除く。)であることが更に好ましい。
上記一般式(2)中のR3は、主鎖に酸素及び/又は硫黄原子を1つ以上有していてもよく、かつ、アルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜18の2価の飽和炭化水素基を示す。当該炭素数は、1〜16であることが好ましく、2〜14であることがより好ましい。R3の炭素数によってもゲル化能を制御することができる。また、合成及び原料入手の観点から、上記範囲の炭素数であることが好ましい。
上記一般式(1)又は(2)で表される、パーフルオロアルキル基を有するゲル化剤としては、例えば、Rf1−R1−O−R2、Rf1−R1−S−R2、Rf1−R1−SO2−R2、Rf1−R1−OCO−R2、Rf1−R1−O−Ar−O−R2(ここで、Arは2価の芳香族基を示す。以下同様。)、Rf1−R1−SO2−Ar−O−R2、Rf1−R1−SO2−Ar−O−Rf4、Rf1−R1−SO2−Ar−O−Rf3−Rf4(ここで、Rf3はフルオロアルキレン基、Rf4はフルオロアルキル基を示す。)、Rf1−R1−SO−Ar−O−R2、Rf1−R1−S−Ar−O−R2、Rf1−R1−O−R5−O−R2(ここで、R5は、アルキレン基を示す。)、Rf1−R1−CONH−R2、Rf1−R1―SO2―Ar1−O−R3−O−Ar2−SO2−R4−Rf2(ここで、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、2価の芳香族基を示す。以下同様。)、Rf1−R1−O−Ar1−O−R3−O−Ar2―O―R4―Rf2、Rf1−R1−SO2−Ar1−O−R6−O−R7−O−Ar2−O−R4−Rf2(ここで、R6及びR7はそれぞれ独立に、アルキレン基を示す。以下同様。)の一般式で表される化合物が挙げられる。より具体的には、Rf1及びRf2がそれぞれ独立に、炭素数2〜10のパーフルオロアルキル基、R1が炭素数2〜4のアルキレン基、Arが(又はAr1及びAr2がそれぞれ独立に)p−フェニレン基又はp−ビフェニレン基、R2が炭素数4〜8のアルキル基である上記各一般式で表される化合物、並びに、その二量体構造、例えば、Rf1−R1−O−Ar−O−R2、Rf1−R1−SO2−Ar−O−R2、Rf1−R1−O−Ar1−O−R3−O−Ar2―O―R4―Rf2、Rf1−R1−SO2−Ar1−O−R6−O−R7−O−Ar2−O−R4−Rf2の一般式で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(3)において、Cyは置換又は無置換の核原子数5〜30の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を示す。2価の芳香族炭化水素基は、いわゆる「芳香族性」を示す環式の2価の基である。この2価の芳香族炭化水素基は、単素環式の基であっても複素環式の基であってもよい。これらの2価の芳香族炭化水素基は、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。2価の芳香族炭化水素基の置換基は、合成や原料入手の容易性という観点から選ぶこともできる。あるいは、2価の芳香族炭化水素基の置換基は、ゲル化剤の溶解温度及びゲル化能の観点から選ぶこともできる。単素環式の基としては、その核原子数が6〜30であり、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。その具体例としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、クリセニレン基及びフルオランテニレン基に代表される核を有する2価の基が挙げられる。複素環式の基としては、その核原子数が5〜30であり、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。その具体例としては、例えば、ピローレン基、フラニレン基、チオフェニレン基、トリアゾーレン基、オキサジアゾーレン基、ピリジレン基及びピリミジレン基に代表される核を有する2価の基が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、原料入手容易性及び合成容易性の観点並びに電解液におけるゲル化能の観点から、置換又は無置換の核原子数6〜20の2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ターフェニレン基及びアントラニレン基からなる群より選ばれる基であることがより好ましい。
脂環式炭化水素基は、その核原子数が5〜30であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基は、その核原子数が上記範囲内であれば複数の基が連結したり、単素環と複素環との両者を有したり、芳香族基と脂環式基との両者を有したりしてもよい。また、芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素の置換基としては、メチル基及びエチル基に代表されるアルキル基、並びにハロゲン原子が挙げられる。
上記一般式(3)において、R5は主鎖の炭素数1〜20の置換若しくは無置換の1価の炭化水素基を示し、飽和であっても不飽和であってもよい。R5は脂肪族炭化水素基であってもよく、更に芳香族炭化水素基を有していてもよい。その脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基における炭化水素基の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよい。1価の炭化水素基が1価の脂肪族炭化水素基である場合、分岐していても分岐していなくてもよく、分岐鎖の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよい。また、この炭化水素基は、その鎖中に酸素原子及び/又は硫黄原子を有していてもよい。さらに、1価の炭化水素基が芳香族炭化水素基を有する場合、この芳香族炭化水素基が更に置換基を有していてもよい。ただし、この1価の炭化水素基は、上記一般式(3)で表される化合物(以下「化合物(3)」とも表記する。)が溶媒に溶解して、その溶媒を含む電解液をゲル化させるために、ベンジル基に代表されるアラルキル基等の、化合物(3)を溶媒に容易に溶解可能にする炭化水素基であることが好ましい。また、その1価の炭化水素基の炭素数が21以上であると、原料の入手が困難となる傾向にある。R5で示される1価の炭化水素基は、本発明の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、炭素数4〜18のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜14のアルキル基であることがより好ましい。また、R5は、ゲル化能とハンドリング性との観点から、直鎖のアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(3)において、X3は下記式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)、(3e)、(3f)及び(3g)(以下、(3a)〜(3g)と表記する。)で表される基からなる群より選ばれる2価の基、又は、下記式(3a)〜(3g)で表される基のうち2種以上が結合した2価の基を示す。これらの中でも、ゲル化能と電池の充放電特性及び長期安定性の観点から、下記式(3a)、(3e)及び(3g)で表される基からなる群より選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
上記一般式(3)において、X3は、化合物(3)を電池に含まれるゲル化剤として用いた際の長期にわたる安定性とゲル化能の観点から選択することが好ましい。X3が上記式(3a)で表される基である場合、そのゲル化剤を含む組成物は、非常に安定性の高いゲルとなる傾向にある。また、X3が上記式(3e)で表される基である場合、そのゲル化剤を含む組成物は、ゲル−ゾルの転移を温度調整だけではなく、光照射によっても誘起できる点で用途拡大に繋がる。
上記一般式(3)において、Cmは下記一般式(3z)で表される1価の基(クマリン部位)を示し、下記式(3z)中、複数のRaは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。Raがアルキル基である場合、その炭素数は1〜6であることが好ましく、アルコキシ基である場合、その炭素数は1〜8であることが好ましい。
上述した低分子ゲル化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態における低分子ゲル化剤は、常法により合成されてもよく、市販品を入手してもよい。パーフルオロアルキル基を有する低分子ゲル化剤は、例えば、国際公開第2007/083843号、特開2007−191626号公報、特開2007−191627号公報、特開2007−191661号公報及び国際公開第2009/78268号に記載の方法を参照して製造することができる。
また、パーフルオロアルキル基を有する低分子ゲル化剤は、例えば、次のスキームによって合成することができる。まず、下記一般式(11a)で表されるチオール化合物を、乾燥THFなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、下記一般式(11b)で表される化合物でスルフィド化して、下記一般式(11c)で表される化合物を得る。
HS−Ar−OH (11a)
CmF2m+1CpH2pX1 (11b)
CmF2m+1CpH2p−S−Ar−OH (11c)
HS−Ar−OH (11a)
CmF2m+1CpH2pX1 (11b)
CmF2m+1CpH2p−S−Ar−OH (11c)
次いで、上記一般式(11c)で表される化合物を3−ペンタノンなどの溶媒中、K2CO3などのアルカリ金属化合物の存在下、下記一般式(11d)で表される化合物でエーテル化して、下記一般式(11e)で表される化合物を得る。
R1X2 (11d)
CmF2m+1CpH2p−S−Ar−O−R1 (11e)
R1X2 (11d)
CmF2m+1CpH2p−S−Ar−O−R1 (11e)
そして、上記一般式(11e)で表される化合物を、酢酸などの触媒の存在下で、過酸化水素などの酸化剤により酸化することで、下記一般式(11j)で表されるパーフルオロ化合物が得られる。
CmF2m+1CpH2p−SO2−Ar−O−R1 (11j)
ここで、上記一般式(11j)で表されるパーフルオロ化合物の製造スキームにおける限り、Arは置換又は無置換の核原子数8〜30の2価の芳香族基を示し、R1は飽和又は不飽和の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、mは2〜16の自然数を示し、pは0〜6の整数を示し、X1は、例えばヨウ素原子などのハロゲン原子を示し、X2は、例えば臭素原子などのハロゲン原子を示す。
CmF2m+1CpH2p−SO2−Ar−O−R1 (11j)
ここで、上記一般式(11j)で表されるパーフルオロ化合物の製造スキームにおける限り、Arは置換又は無置換の核原子数8〜30の2価の芳香族基を示し、R1は飽和又は不飽和の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、mは2〜16の自然数を示し、pは0〜6の整数を示し、X1は、例えばヨウ素原子などのハロゲン原子を示し、X2は、例えば臭素原子などのハロゲン原子を示す。
かかる合成法としては、例えば、国際公開第2009/78268号パンフレットに記載の合成法を参照することができる。
また、Arがビフェニレン基やターフェニレン基などの複数の芳香環を単結合により結合した基である場合は、例えば下記合成法により、上記一般式(11j)で表されるパーフルオロ化合物を得ることができる。まず、下記一般式(11f)で表されるチオール化合物を、乾燥THFなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、上記一般式(11b)で表される化合物でスルフィド化して、下記一般式(11g)で表される化合物を得る。ここで、式(11f)及び(11g)中、m及びpは式(11j)におけるものと同義であり、X3は、例えば臭素原子などのハロゲン原子を示し、Ar2は、上記式(11j)におけるArを構成する2価の芳香族炭化水素基の一部を示す。
HS−Ar2−X3 (11f)
CmF2m+1CpH2p−S−Ar2−X3 (11g)
HS−Ar2−X3 (11f)
CmF2m+1CpH2p−S−Ar2−X3 (11g)
次いで、上記一般式(11g)で表される化合物を、酢酸などの触媒の存在下で、過酸化水素などの酸化剤により酸化することで、下記化合物(11h)が得られる。ここで、式(11h)中、Ar2、X3、m及びpは、式(11g)におけるものと同義である。
CmF2m+1CpH2p−SO2−Ar2−X3 (11h)
CmF2m+1CpH2p−SO2−Ar2−X3 (11h)
そして、上記一般式(11h)で表される化合物と下記一般式(11i)で表される化合物とから、K2CO3などの塩基水溶液中、パラジウム触媒の存在下で、鈴木・宮浦カップリングにより、上記一般式(11j)で表されるパーフルオロ化合物を得る。ここで、式(11i)中、R1は、上記式(11j)におけるものと同義であり、Ar3は、上記式(11j)におけるArを構成する2価の芳香族炭化水素基のAr2とは別の一部を示し、Ar2とAr3が単結合により結合したものがArとなる。
R1−O−Ar3−B(OH)2 (11i)
R1−O−Ar3−B(OH)2 (11i)
また、本実施形態におけるパーフルオロアルキル基を有するゲル化剤は、例えば、次のスキームによって合成することができる。すなわち、下記一般式(Ia)で表される化合物と下記一般式(IIa)で表される化合物とから、光延反応などの脱水縮合により、パーフルオロアルキル基を有するゲル化剤の一種である下記一般式(IIIa)で表される化合物を合成することができる。ここで、式中、Y1及びY2はそれぞれ独立に、硫黄原子又は酸素原子を示す。
Rf1−R1−Y1−Z−Y2H (Ia)
Rf2R2OH (IIa)
Rf1−R1−Y1−Z−Y2−R2−Rf2 (IIIa)
Rf1−R1−Y1−Z−Y2H (Ia)
Rf2R2OH (IIa)
Rf1−R1−Y1−Z−Y2−R2−Rf2 (IIIa)
また、上記一般式(IIIa)で表される化合物において、Y1及び/又はY2が硫黄原子である場合に、その硫黄原子を更にスルホニル化又はスルホキシド化することにより、パーフルオロアルキル基を有するゲル化剤の別の一種である下記一般式(IVa)で表される化合物を合成することができる。ここで、Y3及びY4の少なくとも一方は、SO基又はSO2基であり、Y3及びY4の一方がSO基又はSO2基である場合の他方は硫黄原子又は酸素原子である。
Rf1−R1−Y3−Z−Y4−R2−Rf2 (IVa)
Rf1−R1−Y3−Z−Y4−R2−Rf2 (IVa)
上記一般式(Ia)で表される化合物は、例えば、下記式(Va)で表される化合物の活性水素(チオール基又は水酸基の水素原子)を、アルカリ条件下で、パーフルオロアルカンハロゲン化物(例えばヨウ化物)のパーフルオロアルキル基で置換することにより合成することができる。
HY1−Z−Y2H (Va)
HY1−Z−Y2H (Va)
また、上記式(IIa)で表される化合物は、パーフルオロアルカンハロゲン化物(例えばヨウ化物)のアルケノールへの付加反応により得られるアルカノールのハロゲン化物を、更に還元することにより合成することができる。
ここで、上記一般式(IIIa)又は(IVa)で表されるパーフルオロ化合物(ゲル化剤)の製造スキームにおける限り、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に、主鎖の炭素数2〜18の置換又は無置換のパーフルオロアルキル基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、単結合又は主鎖の炭素数1〜8の置換若しくは無置換の2価の炭化水素基を示し、Zは置換又は無置換の核原子数5〜30の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を示す。
ただし、本実施形態におけるパーフルオロアルキル基を有するゲル化剤の合成方法は上記の方法に限定されない。
また、本実施形態における化合物(3)はクマリン型のゲル化剤であり、化合物(3)として、例えば、液晶討論会講演予稿集p44(2007)に記載の化合物を用いることができる。
また、アゾ基を有する化合物(3)、すなわち、X3が上記式(3e)で表される化合物(3)は、例えば、下記のような反応経路で合成することができる。
このように合成されるアゾ基を有する化合物(3)としては、例えば、下記式(3I)で表される化合物(以下、「化合物(3I)」とも表記する。)及び下記式(3II)で表される化合物(以下、「化合物(3II)」とも表記する。)が挙げられる。
以下、化合物(3I)及び(3II)の合成方法について詳細に説明する。
〔化合物(3I)の合成方法〕
(工程1:化合物(a)の合成)
〔化合物(3I)の合成方法〕
(工程1:化合物(a)の合成)
ナスフラスコに濃硝酸及び濃硫酸の混合溶液を加える。当該ナスフラスコを氷浴で冷却しながら、クマリンを、混合溶液の温度が20℃を超えないように徐々に加える。クマリンを全量加え終えたら氷浴を外し、室温で1時間攪拌して反応させる。当該反応液を水中に注ぎ、析出した固体を濾取する。濾取した固体を、トルエンで再結晶を行い、淡黄色の固体の化合物(a)を得る。
(工程2:化合物(b)の合成)
ナスフラスコ中で、化合物(a)をエタノール及びトルエンの混合溶液に溶かして、Pd/Cの存在下、水素添加反応を行う。水素添加反応後、Pd/Cを濾取し、濾液をエバポレーターで濃縮する。析出した固体をトルエンで再結晶することにより、黄色固体の化合物(b)を得る。
(工程3:化合物(c)の合成)
ナスフラスコ中で、5℃の氷冷下、12Nの塩酸水溶液を調製する。当該水溶液中に、化合物(b)及び亜硝酸ナトリウム(NaNO2)を加えて、20分間攪拌する。さらに、フェノール、水酸化ナトリウム及び水の混合溶液を加えて攪拌する。析出した固体をトルエンで再結晶を行い、化合物(c)を得る。
(工程4:化合物(3I)の合成)
ナスフラスコ中で、化合物(c)を3−ペンタノンに溶解する。得られた溶液中に、1−ブロモオクタン及び炭酸カリウムを加えて15時間還流を行う。得られた固体をトルエンで再結晶させ、カラムクロマトグラフィーで精製して化合物(4I)を得る。なお、上記カラムクロマトグラフィーにおいて、充填剤としてシリカゲルを用い、展開溶媒としてクロロホルムを用いる。
〔化合物(3II)の合成方法〕
ナスフラスコ中で、化合物(c)を3−ペンタノンに溶解する。得られた溶液中に、1−ブロモヘキサン及び炭酸カリウムを加えて15時間還流を行う。得られた固体をトルエンで再結晶を行い、カラムクロマトグラフィーで精製して化合物(3II)を得る。なお、上記カラムクロマトグラフィーにおいて、充填剤としてシリカゲルを用い、展開溶媒としてクロロホルムを用いる。
ただし、化合物(3)の製造方法は、上記方法に限定されるものではない。
本実施形態における低分子ゲル化剤のイオン伝導体中の含有量は、溶媒と電解質との総量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。低分子ゲル化剤の含有量は、溶媒と電解質との総量100質量部に対して、0.0005〜18質量部であることが好ましく、0.005〜8質量部であることがより好ましい。
本実施形態におけるイオン伝導体が2相以上存在する場合には、低分子ゲル化剤を含む相が少なくとも1相以上あればよい。特に負極に近接したイオン伝導体相が低分子ゲル化剤を含むと安全性向上の効果がより顕著となる傾向にあるため好ましい。
本実施形態におけるイオン伝導体には、必要に応じて更に添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、熱安定剤、難燃剤、熱暴走抑制剤、過充電抑制添加剤、増粘剤、乳化剤、強化剤、電極保護皮膜形成用の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、固体(塊状)、粉末状、液体状のいずれでもよく、また、電解液に溶解するものであっても、溶解しないものであってもよい。
添加剤の含有量は、本発明の目的の達成を阻害せず、かつ、添加剤の使用目的を達成できる範囲において選択されるものであるが、良好な電池特性と添加剤による効果との両立の観点から、添加剤の含有量は、溶媒と電解質との総量100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部であることが好ましく、1質量部〜10質量部であることがより好ましい。
溶媒と電解質と低分子ゲル化剤との混合比は目的に応じて選択できるが、電解質の濃度及びゲル化剤の含有量のいずれもが、上述の好ましい範囲、さらにはより好ましい範囲にあると望ましい。このような組成で電解液を作製することで、電池特性、取扱い性及び安全性の全てを更に良好なものとすることができる。
電池に注入するイオン伝導体は、溶媒に電解質と低分子ゲル化剤とが溶解した液体状であっても、溶媒と電解質と低分子ゲル化剤とを含むゲル状のものであっても、さらに、溶媒に電解質が溶解し、かつ、低分子ゲル化剤が分散したスラリー状のものであっても、固体状であってもよい。イオン伝導体が液体状又はスラリー状である場合は、電池への注入、及び電池構造体への含浸が容易となる傾向にあるため好ましい。一方、ゲル状又は固体状である場合は、安全性がより向上する傾向にあるため好ましい。なお、「スラリー状」とは、液体(電解液)の中に固体(低分子ゲル化剤)が分散して存在する泥状の態様を示し、つまり、液体に溶解しない固体が存在する固−液の2相系にある状態(ただし固体が沈殿していない状態)であって、固体がある程度多く存在するために泥状になっている流動体を指す。また、イオン伝導体が2相以上の場合は、その1相以上がゲル状であることが好ましい。
本実施形態におけるイオン伝導体の調製方法は、そこに含まれる各成分を混合する方法であれば特に限定されず、それぞれの成分を混合する順は問わない。具体的には、所定量の電解質と溶媒とを混合して予備的な電解液含有液を調製した後、低分子ゲル化剤をその予備的な電解液含有液に混合することによりイオン伝導体を得ることができる。あるいは、全ての成分を所定量で同時に混合することによりイオン伝導体を得ることも可能である。なお、イオン伝導体の調製方法において、低分子ゲル化剤を含む混合物を一度加熱して、混合物中の各成分が均一になった状態で室温に冷却することもできる。
また、予め調製されたイオン伝導体を電池構造体に注液することもできるし、電池構造体内でイオン伝導体成分を混合して調製することもできる。
また、予め調製されたイオン伝導体を電池構造体に注液することもできるし、電池構造体内でイオン伝導体成分を混合して調製することもできる。
<負極>
本発明における負極は、負極活物質としてリチウム化合物を含む。リチウム化合物としては、具体的には、リチウム金属、リチウム元素を有する合金、又はリチウム元素を有する金属酸化物若しくは金属窒化物等が挙げられる。リチウム化合物としては、電池特性の観点からリチウム金属を用いることが好ましい。
本発明における負極は、負極活物質としてリチウム化合物を含む。リチウム化合物としては、具体的には、リチウム金属、リチウム元素を有する合金、又はリチウム元素を有する金属酸化物若しくは金属窒化物等が挙げられる。リチウム化合物としては、電池特性の観点からリチウム金属を用いることが好ましい。
リチウム元素を有する合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウム錫合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。また、リチウム元素を有する金属酸化物としては、例えば、リチウムチタン酸化物等を挙げることができる。また、リチウム元素を有する金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態における負極は負極活物質のみを有するものであってもよく、負極活物質のほかに、導電性材料、結着剤及び触媒の少なくとも一種を含有するものであってもよい。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含む負極とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質と結着剤を含む負極とすることができる。このとき用いられる結着剤としては、活物質粒子及び導電性粒子を繋ぎ止める働きをするものを用いることができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;合成ゴム;ラテックス;セルロース等を使用することができる。触媒としては、例えば、無機セラミックスや有機錯体などを使用することができる。
負極活物質、導電性材料、結着剤、及び触媒を分散させる溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ブタノール、シクロヘキサノン、炭酸エステル、アクリル酸エステルなどの有機溶媒を用いることができる。また、スチレンブタジエンゴム、セルロースなどの結着剤は水に分散させたスラリーで使用することができる。その際にはセルロース系の増粘剤(例えばカルボキシメチルセルロースなど)や分散剤を用いることが好ましい。
負極集電体としては導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、銅、ステンレス、ニッケル、カーボンなどを挙げることができる。上記集電体の形状としては箔状、板状、グリッド等を挙げることができる。あるいは電池外装体が負極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
<正極>
正極は、電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。正極に含まれる正極活物質としては、例えば、下記一般式(6a)及び(6b)で表される複合酸化物、トンネル構造及び層状構造の金属カルコゲン化物及び金属酸化物、オリビン型リン酸化合物が挙げられる。
LixMO2 (6a)
LiyM2O4 (6b)
ここで、式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。
正極は、電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。正極に含まれる正極活物質としては、例えば、下記一般式(6a)及び(6b)で表される複合酸化物、トンネル構造及び層状構造の金属カルコゲン化物及び金属酸化物、オリビン型リン酸化合物が挙げられる。
LixMO2 (6a)
LiyM2O4 (6b)
ここで、式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。
正極活物質としては、より具体的には、例えば、LiCoO2に代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO2、LiMn2O4、Li2Mn2O4に代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiO2に代表されるリチウムニッケル酸化物;LizMO2(MはNi、Mn、Co、Al及びMgからなる群より選ばれる2種以上の元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す。)で表されるリチウム含有複合金属酸化物;LiFePO4で表されるリン酸鉄オリビンが挙げられる。また、正極活物質として、例えば、S、MnO2、FeO2、FeS2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2、MoS2及びNbSe2に代表されるリチウム以外の金属の酸化物も挙げられる。さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリピロールに代表される導電性高分子も正極活物質として挙げられる。
また、正極活物質としてリチウム含有化合物を用いると、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであればよく、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物(例えばLitMuSiO4、Mは上記式(6a)と同義であり、tは0〜1の数、uは0〜2の数を示す。)が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、特に、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属元素とを含む複合酸化物並びにリン酸化合物が好ましい。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態における電池は、正極活物質として酸素を用いたリチウム−空気電池であってもよい。リチウム−空気電池は、正極として空気極を備える。空気極は少なくとも導電性材料を含有するものであり、必要に応じて、触媒及び結着剤の少なくとも一方を含有していてもよい。
空気極に用いられる導電性材料としては導電性を示すものであれば特に限定されるものではなく、例えば、負極で例示した材料を用いることができる。
空気極に用いられる触媒としては、例えば、二酸化マンガン及び二酸化セリウム等の無機セラミックスや金属フタロシアニンなどの有機錯体、並びにこれらの複合材料を挙げることができる。導電性材料に触媒が担持されている場合、より速やかに電極反応を進行させることができる傾向にある。空気極における触媒の含有量としては、空気極全体の質量に対して1質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることがより好ましい。触媒の含有量が上記範囲であると、触媒機能と電池容量を効率的に両立できる傾向にある。
空気極には導電性材料を固定化する結着剤を用いることができる。結着剤としては負極で例示したものと同じものを使用することもできるし、異なるものを使用することもできる。
空気極集電体は導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン、銅等を挙げることができる。また、集電体の表面は、酸化や腐食の抑制のために、耐酸化性や耐腐食性を有する金属又は合金により被覆されていてもよい。上記集電体の形状としては箔状、板状、グリッド、スポンジ状、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等を挙げることができ、集電効率の観点から好ましくは多孔性を有するものであり、特に好ましくはグリッドである。さらに、グリッドで集電された電荷を集電する別の集電体を有していてもよい。あるいは電池外装体が空気極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
正極は、例えば、導電性材料と結着剤と必要に応じて触媒を混合し、この混合物をフィルム状に圧延して製膜し、乾燥することで形成することができる。あるいは、導電性材料と結着剤と必要に応じて触媒を溶媒中で混合し、これを集電体に塗布、乾燥して形成することができる。
<セパレータ>
本実施形態におけるセパレータは、正負極の短絡防止等の安全性付与ために、正極と負極との間に備えることができる。セパレータとしては、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
本実施形態におけるセパレータは、正負極の短絡防止等の安全性付与ために、正極と負極との間に備えることができる。セパレータとしては、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
本実施形態におけるセパレータの材質は、例えば、セラミック、ガラス、樹脂及びセルロースが挙げられる。樹脂としては、合成樹脂であっても天然樹脂(天然高分子)であってもよく、また、有機樹脂であっても無機樹脂であってもよいが、セパレータとしての性能に優れるという観点から、有機樹脂であることが好ましい。有機樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、並びに、液晶ポリエステル及びアラミドなどの耐熱樹脂が挙げられる。セパレータの低分子ゲル化剤以外の材質は、耐熱性の観点から、セラミック及びガラスが好ましく、ハンドリング性及び耐熱性の観点から、ポリエステル、ポリアミド、液晶ポリエステル、アラミド、及びセルロースが好ましい。また、セパレータの低分子ゲル化剤以外の材質は、コスト及び加工性の観点から、ポリオレフィンが好ましい。これらの材質のうち、樹脂を採用する場合、単独重合体でも共重合体でもよく、また、複数種の樹脂の混合体及びアロイを用いてもよい。
また、セパレータは、複数の材質の膜を積層した積層体であってもよい。セパレータが積層体の場合、各層の材質が互いに同じものであっても異なるものであってもよい。積層体のセパレータを作製する場合、ある層を別の層上に形成することを繰り返すことで順に積層して、すなわち逐次多層化して作製してもよく、それぞれ別に作製した複数の膜を張り合わせることで積層体を作製してもよい。
本実施形態におけるセパレータの形態としては、例えば、合成樹脂を製膜して製造した合成樹脂性微多孔膜、合成樹脂又は天然高分子を紡糸した繊維、ガラス繊維又はセラミック繊維を加工した織布、不織布、編布、抄紙、並びに、合成樹脂、セラミック粒子及びガラスの微粒子を配列して作製した膜が挙げられる。
セパレータは、複数の製法で作製した複数の膜を重ねることにより作製してもよく、複数の製法で作製した膜を逐次多層化することにより作製してもよい。
本実施形態におけるセパレータは、膜の補強、充放電の補助、耐熱性向上などの観点から、上記以外の成分、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機粒子、無機粒子をセパレータの表面及び/又は内部に含んでもよい。
本実施形態におけるセパレータは、水蒸気バリア性と酸素透過性に優れるものを使用することが好ましい。
<電池>
本実施形態における電池の作製方法としては、一般的な方法を用いればよく特に限定されないが、例えば下記の方法を選択することができる。
まず、電池ケース(外装)に、正極、負極及びセパレータを用いて作製された電池構造体を収容する。そして、その中に、その他の部材とイオン伝導体を注入することで作製することができる。
まず、電池ケース(外装)に、正極、負極及びセパレータを用いて作製された電池構造体を収容する。そして、その中に、その他の部材とイオン伝導体を注入することで作製することができる。
電池構造体は、例えば、まず、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、それらを折り曲げや複数層の積層などによって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形したりすることで作製できる。
本実施形態における電池の製造方法においては、電池ケース内部にイオン伝導体を注入する際、溶媒に電解質と低分子ゲル化剤とが溶解した液体状態で注入することができる。また、溶媒と電解質と低分子ゲル化剤とを含むゲル状態で注入することもできる。
また、正極、負極及びセパレータからなる群から選ばれる1種以上の部材に予めイオン伝導体又はイオン伝導体含有液を塗布し、その後、それらを用いて電池構造体を作製し、電池ケースに収容することで製造することもできる。
低分子ゲル化剤を含むイオン伝導体と他の部材との親和性を向上させるために、電池作製後に加熱する工程を含むことが好ましい。加熱する工程において、加熱する手段は特に限定されず、例えば、乾燥機(オーブン)、真空乾燥機、不活性ガスフロー乾燥機、乾燥ガスフロー乾燥機、電熱板及びブロックヒーターを用いることができる。加熱温度は、好ましくは40℃以上200℃以下であり、より好ましくは50℃以上150℃以下、更に好ましくは50℃以上120℃以下である。また、加熱時間は15秒以上25時間以下であることが好ましく、当該範囲で加熱することで電池構造体への含浸性が向上する傾向にある。なお、加熱する工程中に、必要に応じて、温度を上下させることも可能である。加熱する工程を経た電池は、常温まで冷却すればよく、その冷却速度は任意に選択できる。
本実施形態における電池の製造時においては、電池内部を加圧したり、減圧したりする工程を含むこともできる。加圧や減圧の方法は特に限定されず、また、上記加熱と、減圧や加圧を同時に行っても別に行ってもよい。これらの工程を経ることにより、電池構造体の電極及びセパレータへの電解液の含浸性が向上し得る。
上述の各工程を経た後、必要に応じて、電池構造体に残りの部材を組み込んだり、電池ケース(外装)が完全に密閉(シール)されていない場合には密閉したりして、電池を得ることができる。なお、必要に応じて、上述の各工程を経た後に、電池の余剰部を除去するなど形状を整えたり、電池の再締め付けや再シールを行ったりしてもよい。
本実施形態における電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形及びラミネート形が好適に採用される。その中でも、コイン型、円筒型、角筒型、扁平型及びラミネート型が更に好適に採用され、コイン型及びラミネート型がより好適に採用される。このような形状の電池は、イオン伝導体と電池構造体との親和性をより高めることができ、本実施形態におけるイオン伝導体が有する様々な性能を一層高く発現し、また、電池の製造も比較的容易である。また、電池の大きさについても特に限定されず、複数個の電池を重ねたり並べたりする構造も、多数種の電池を併用することも可能である。また、ラミネート型の電池の中でも、軽量性、耐久性、取扱い性及びコストなどの観点から、電池ケース(外装)が、アルミニウムラミネート材のようにアルミニウムフィルムと樹脂とを積層して構成されるものであることが更に好ましい。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、電池の各種特性は下記のようにして測定及び評価した。
(i)電池の性能試験
測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。まず、25℃の恒温下で0.2Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、0.2Cの定電流で2.75Vまで放電を行った。続いて50℃の恒温化で1Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、1Cの定電流で2.75Vまで放電を行った。この50℃での充放電を1サイクルと数え、引き続き50℃で10サイクルまで充放電を行った。10サイクル充放電できたものを合格電池、途中で不良が起こった電池を不合格電池と判断した。
測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。まず、25℃の恒温下で0.2Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、0.2Cの定電流で2.75Vまで放電を行った。続いて50℃の恒温化で1Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、1Cの定電流で2.75Vまで放電を行った。この50℃での充放電を1サイクルと数え、引き続き50℃で10サイクルまで充放電を行った。10サイクル充放電できたものを合格電池、途中で不良が起こった電池を不合格電池と判断した。
(ii)リチウム電池の過充電試験
測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。0.2Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後所定の電流で所定の充電率まで過充電を行った。過充電を行った電池を解体して、負極の断面及び表面をマイクロスコープで観察し、リチウムデンドライト析出形態を評価し、以下のとおりに判断した。
○:リチウムが平滑に析出する。
×:リチウムが樹状に析出する。または、充電不良が起こる。
測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。0.2Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後所定の電流で所定の充電率まで過充電を行った。過充電を行った電池を解体して、負極の断面及び表面をマイクロスコープで観察し、リチウムデンドライト析出形態を評価し、以下のとおりに判断した。
○:リチウムが平滑に析出する。
×:リチウムが樹状に析出する。または、充電不良が起こる。
(調製例1)
エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを体積比で1:2になるように混合し、その混合液に、LiPF6を1モル/Lになるよう添加してゲル化されていない母電解液(i)を調製した。ゲル化剤として下記式(A)で表される化合物を母電解液100質量部に対して3質量部添加し、110℃に加熱して均一に混合した。得られた混合液を25℃に降温してゲル状の電解液(a)を得た。
式(A)で表される化合物は、特開2011−184436号公報記載の製法に従って製造した。
エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを体積比で1:2になるように混合し、その混合液に、LiPF6を1モル/Lになるよう添加してゲル化されていない母電解液(i)を調製した。ゲル化剤として下記式(A)で表される化合物を母電解液100質量部に対して3質量部添加し、110℃に加熱して均一に混合した。得られた混合液を25℃に降温してゲル状の電解液(a)を得た。
式(A)で表される化合物は、特開2011−184436号公報記載の製法に従って製造した。
(調製例2)
プロピレンカーボネートに対してLiN(CF3SO2)2を1モル/Lになるよう添加してゲル化されていない母電解液(ii)を調製した。ゲル化剤として上記式(A)で表される化合物を母電解液100質量部に対して3質量部添加し、110℃に加熱して均一に混合した。得られた混合液を25℃に降温してゲル状の電解液(b)を得た。
プロピレンカーボネートに対してLiN(CF3SO2)2を1モル/Lになるよう添加してゲル化されていない母電解液(ii)を調製した。ゲル化剤として上記式(A)で表される化合物を母電解液100質量部に対して3質量部添加し、110℃に加熱して均一に混合した。得られた混合液を25℃に降温してゲル状の電解液(b)を得た。
(調製例3)
アセトニトリルに対してLiBF4を1.5モル/Lになるよう添加してゲル化されていない母電解液(iii)を調製した。ゲル化剤として上記式(A)で表される化合物を母電解液100質量部に対して3質量部添加し、110℃に加熱して均一に混合した。得られた混合液を25℃に降温してゲル状の電解液(c)を得た。
アセトニトリルに対してLiBF4を1.5モル/Lになるよう添加してゲル化されていない母電解液(iii)を調製した。ゲル化剤として上記式(A)で表される化合物を母電解液100質量部に対して3質量部添加し、110℃に加熱して均一に混合した。得られた混合液を25℃に降温してゲル状の電解液(c)を得た。
(調製例4)
調製例1で調製した母電解液(i)に対して、ゲル化剤として下記式(B)で表される化合物を母電解液100質量部に対して3質量部添加し、95℃に加熱して均一に混合した。得られた混合液を25℃に降温してゲル状の電解液(d)を得た。
式(B)で表される化合物は、特開2011−184436号公報記載の製法に従って製造した。
調製例1で調製した母電解液(i)に対して、ゲル化剤として下記式(B)で表される化合物を母電解液100質量部に対して3質量部添加し、95℃に加熱して均一に混合した。得られた混合液を25℃に降温してゲル状の電解液(d)を得た。
式(B)で表される化合物は、特開2011−184436号公報記載の製法に従って製造した。
(実施例1)
二酸化マンガンとケッチェンブラックとポリテトラフルオロエチレン粉末とを重量比25:100:5で混合し、その混合物を、めのう乳鉢で混練することで合剤を調製した。調製した合剤をニッケル製のメッシュに圧着することにより正極(空気極)を得た。
負極としてはリチウム金属箔(厚み200μmのシート)を用い、また、セパレータとしてはポリエチレン製微多孔膜(膜厚25μm)(旭化成イーマテリアルズ株式会社製ハイポア)を用いた。
このとき、電池が1C=45.0mAhとなるように調製した。
上記正極、負極、及びセパレータを用いて、正極、セパレータ、負極の順に積層し、セパレータで電極全体を覆うことにより電池構造体を作製した。
続いて、三方シールしたアルミニウムと樹脂を積層した電池外装体に、正極、セパレータ、及び負極からなる電池構造体を設置し、更に、電池外装体内に調製例1で調製したゲル状の電解液(a)を0.5g導入して電池外装体全方向をシールした。
その後、電解液を含む電池構造体を110℃に加熱した2枚のステンレス板に10分間挟むことで、電池構造体内全体に電解液を十分に含浸させた。次いで、電池外装体の余計な箇所を切断し、再シールすることで単層ラミネート型電池(a)を得た。
二酸化マンガンとケッチェンブラックとポリテトラフルオロエチレン粉末とを重量比25:100:5で混合し、その混合物を、めのう乳鉢で混練することで合剤を調製した。調製した合剤をニッケル製のメッシュに圧着することにより正極(空気極)を得た。
負極としてはリチウム金属箔(厚み200μmのシート)を用い、また、セパレータとしてはポリエチレン製微多孔膜(膜厚25μm)(旭化成イーマテリアルズ株式会社製ハイポア)を用いた。
このとき、電池が1C=45.0mAhとなるように調製した。
上記正極、負極、及びセパレータを用いて、正極、セパレータ、負極の順に積層し、セパレータで電極全体を覆うことにより電池構造体を作製した。
続いて、三方シールしたアルミニウムと樹脂を積層した電池外装体に、正極、セパレータ、及び負極からなる電池構造体を設置し、更に、電池外装体内に調製例1で調製したゲル状の電解液(a)を0.5g導入して電池外装体全方向をシールした。
その後、電解液を含む電池構造体を110℃に加熱した2枚のステンレス板に10分間挟むことで、電池構造体内全体に電解液を十分に含浸させた。次いで、電池外装体の余計な箇所を切断し、再シールすることで単層ラミネート型電池(a)を得た。
得られた電池に対して、「(i)電池の性能試験」と「(ii)リチウム電池の過充電試験」を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例3)
電解液として表1に示すものを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により1C=45.0mAhとなる単層ラミネート型電池を作製し、上記(i)及び(ii)の試験を実
施した。結果を表1に示す。
電解液として表1に示すものを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により1C=45.0mAhとなる単層ラミネート型電池を作製し、上記(i)及び(ii)の試験を実
施した。結果を表1に示す。
上記試験結果から、本実施形態における電池(実施例1〜4)は、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極を用いた電池であるにも関わらず、電池の充放電性能を低下させることなく、異常時のリチウム針状析出を顕著に抑制することが可能であった。
本発明の電池は、例えば、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車などの自動車用充電池、定置型電源あるいは家庭用電源の電池としての産業上利用可能性を有する。
Claims (7)
- 低分子ゲル化剤を含むイオン伝導体と、負極活物質としてリチウム化合物を含む負極と、正極と、を含む電池。
- 前記リチウム化合物がリチウム金属である、請求項1記載の電池。
- 前記低分子ゲル化剤が、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を含む、請求項1又は2記載の電池。
Rf1−R1−X1−L1−R2 (1)
Rf1−R1−X1−L1−R3―L2―X2―R4―Rf2 (2)
R5−O−Cy−X3−Cm (3)
(式(1)及び(2)中、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に、炭素数2〜20のパーフルオロアルキル基を示し、R1及びR4はそれぞれ独立に、単結合若しくは炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示し、X1及びX2はそれぞれ独立に、下記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)及び(1g)で表される基からなる群より選ばれる2価の基を示し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいオキシアルキレン基、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいオキシシクロアルキレン基、又は、アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい2価のオキシ芳香族基を示し、R2は、アルキル基若しくはハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルキル基若しくはハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)で置換されていてもよいフルオロアルキル基、アリール基若しくはフルオロアリール基、又は、これらの基のうちの1種以上とこれらの基に対応する2価の基のうちの1種以上とが結合した1価の基を示し、R3は主鎖に酸素及び/又は硫黄原子を1つ以上有してもよく、かつ、アルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜18の2価の飽和炭化水素基を示す。
- 前記X1及びX2が、それぞれ独立に、前記式(1a)又は前記式(1d)で表される2価の官能基である、請求項3記載の電池。
- 前記X1及びX2がいずれも、前記式(1d)で表される2価の官能基である、請求項3又は4記載の電池。
- 前記イオン伝導体の1相以上がゲル状である、請求項1〜5のいずれか1項記載の電池。
- 前記電池は、前記正極の正極活物質として酸素を用いたリチウム−空気電池である、請求項1〜6のいずれか1項記載の電池。
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