JP2013221211A - 連続焼鈍炉の炉温制御にかかるpid制御器の設計方法ならびにpid制御器、および連続焼鈍炉の炉温制御方法 - Google Patents

連続焼鈍炉の炉温制御にかかるpid制御器の設計方法ならびにpid制御器、および連続焼鈍炉の炉温制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】必要以上に炉温制御の応答性を犠牲にすることなく、連続焼鈍炉の安定な炉温制御を可能にすること。
【解決手段】本発明の連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法は、連続焼鈍炉における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、連続焼鈍炉の炉温モデルを複数の実績データ毎に同定する同定ステップ(ステップS1)と、同定ステップにて複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉の炉温モデルのうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルを選定する選定ステップ(ステップS2)と、選定ステップにて選定された連続焼鈍炉の炉温モデルを用いてPID制御器の制御パラメータを調整する調整ステップ(ステップS3)とを含むことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法ならびにPID制御器、および連続焼鈍炉の炉温制御方法に関する。
鋼板の連続焼鈍処理は、予熱帯、加熱帯、均熱帯、および冷却帯などで構成される連続焼鈍炉に鋼板を連続的に送り込み、一定速度で連続焼鈍炉内を搬送させながら、鋼板の熱処理を行う工程である。連続焼鈍炉における加熱帯及び均熱帯における加熱方式としては、ラジアントチューブの輻射熱により炉内を加熱する間接加熱方式が一般的に採用されている。なお、ラジアントチューブとは、燃焼ガスを吹き込んだチューブからの放射熱によって、鋼板を間接的に加熱する加熱装置である。
ところで、ラジアントチューブによる間接加熱型の連続焼鈍炉は、炉温の応答が遅いという性質がある。連続焼鈍炉内の鋼板の温度は炉温の変化に追従して変化するので、連続焼鈍炉の炉温の応答が遅いことは、鋼板への入熱の過不足となり、歩留まり低下の要因となる。特に、鋼板のサイズや操業状況により炉内搬送速度を変更した時は、炉温制御の目標値を変更するので、連続焼鈍炉の炉温の素早い応答が必要となる。
したがって、従来より、連続焼鈍炉の炉温制御のための様々な技術が知られている。例えば、特許文献1には、連続焼鈍ラインにおける入側ルーパよりも手前に配置された測定器により鋼板表面の反射率を測定し、測定された反射率から鋼板表面の熱吸収特性を算出して、連続焼鈍炉の炉温制御を行う方法が記載されている。また、特許文献2には、連続焼鈍炉の炉温制御の応答性を向上させるため、連続焼鈍炉における複数のゾーンに対する燃焼負荷配分を動的に変更する方法が記載されている。
特開2011−84753号公報 特開2007−254871号公報
連続焼鈍炉の炉温の応答性の問題を解決するためには、上述の先行技術のような炉温制御の方法の工夫のみならず、炉温制御装置の最適化を行う必要がある。ところが、連続焼鈍炉の炉温の応答が遅いため、炉温制御装置(具体的には炉温制御にかかるPID制御器)の調整は多大な時間を要する。また、鋼板の炉内搬送速度や鋼板のサイズなどの負荷条件により連続焼鈍炉の炉温の動特性が変化するので、ある負荷条件に対しては良好な制御性能が得られても、負荷条件が変われば炉温のオーバーシュートが大きくなり、鋼板の温度が管理範囲から外れてしまうことがある。一方、オーバーシュートを抑制するように炉温制御のPID制御器を設計しようとすると、連続焼鈍炉の炉温の動特性の変動範囲が不確かであるが故に、安定性を十分に確保して保守的な設計にならざるを得ない。その結果、炉温制御の応答性が犠牲となることとなる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、必要以上に炉温制御の応答性を犠牲にすることなく連続焼鈍炉の安定な炉温制御を可能にする、連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法ならびにPID制御器、および連続焼鈍炉の炉温制御方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法は、連続焼鈍炉における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、前記連続焼鈍炉の炉温モデルを前記複数の実績データ毎に同定する同定ステップと、前記同定ステップにて複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉の炉温モデルのうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルを選定する選定ステップと、前記選定ステップにて選定された前記連続焼鈍炉の炉温モデルを用いてPID制御器の制御パラメータを調整する調整ステップとを含むことを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器は、連続焼鈍炉における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、前記連続焼鈍炉の炉温モデルを前記複数の実績データ毎に同定する同定ステップと、前記同定ステップにて複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉の炉温モデルのうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルを選定する選定ステップと、前記選定ステップにて選定された前記連続焼鈍炉の炉温モデルを用いてPID制御器の制御パラメータを調整する調整ステップとを含む設計方法によって設計されたことを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の連続焼鈍炉の炉温制御方法は、連続焼鈍炉における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、前記連続焼鈍炉の炉温モデルを前記複数の実績データ毎に同定する同定ステップと、前記同定ステップにて複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉の炉温モデルのうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルを選定する選定ステップと、前記選定ステップにて選定された前記連続焼鈍炉の炉温モデルを用いてPID制御器の制御パラメータを調整する調整ステップとを含む設計方法によって設計されたPID制御器を用いて連続焼鈍炉の炉温を制御することを特徴とする。
本発明の連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法ならびにPID制御器、および連続焼鈍炉の炉温制御方法は、必要以上に炉温制御の応答性を犠牲にすることなく安定に連続焼鈍炉の炉温制御を可能にするという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態にかかるPID制御器により炉温制御を行う連続焼鈍ラインの構成例を示す模式図である。 図2は、連続焼鈍炉の炉温制御にかかる炉温制御装置の概略構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器の設計方法を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器の設計方法に用いる炉温制御のシステムモデルである。 図5は、炉温モデルの伝達関数が1次遅れ無駄時間系である場合のステップ応答を示すグラフである。 図6は、連続焼鈍炉の操業実績のデータの一区間の実プロセスおよび炉温モデルの炉温を示すグラフである。 図7は、各区間毎に算出したゲイン余有の例を示すグラフである。 図8は、影響係数が大きい場合と影響係数が小さい場合とにおけるステップ応答の差を概略的に示したグラフである。 図9は、本発明の実施形態にかかるPID制御器の設計方法により設計された炉温PID制御器のステップ応答を従来例のステップ応答と比較して示したグラフである。 図10は、本発明の実施形態にかかる設計方法により設計された炉温PID制御器の応答性を従来例の応答性とRMSEで評価したグラフである。
以下に、本発明の実施形態にかかる連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法ならびにPID制御器、および連続焼鈍炉の炉温制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかるPID制御器により炉温制御を行う連続焼鈍ラインの構成例を示す模式図である。図1に示すように、本発明の実施形態にかかるPID制御器により炉温制御を行う連続焼鈍ライン1は、ペイオフリール2a,2b、溶接機3、クリーニングセクション4、テンションレベラ5a〜5d、入側ルーパ6、連続焼鈍炉7、出側ルーパ8、スキンパスミル9、および後処理部10を主な構成要素として備えている。
ペイオフリール2a,2bは、コイル状に巻き取られている鋼板Sを払い出して溶接機3に供給する設備である。溶接機3は、ペイオフリール2a(又はペイオフリール2b)から払い出された鋼板(先行材)の尾端部とペイオフリール2b(又はペイオフリール2a)から払い出された後行の鋼板(後行材)の先端部とを溶接する設備である。クリーニングセクション4は、溶接機3によって溶接された鋼板を洗浄液中に通板することによって鋼板に付着した油脂などを除去する設備である。
テンションレベラ5a,5bは、クリーニングセクション4を通過した鋼板の歪みを矯正して入側ルーパ6に供給する設備である。入側ルーパ6は、後段の焼鈍処理のために、鋼板の張力を保ちながら鋼板を一時待機させるための設備である。入側ルーパ6によってタイミング調整された鋼板は、テンションコントロールユニット11aを経由して連続焼鈍炉7に通板される。
連続焼鈍炉7は、予熱帯7a、加熱帯7b、均熱帯7c、および冷却帯7dを有し、溶接によって接続された複数の鋼板を予熱帯7a、加熱帯7b、均熱帯7c、および冷却炉7dに順次通板することによって複数の鋼板を連続的に焼鈍する。焼鈍後の鋼板は、ウォータークエンチ設備12およびテンションコントロールユニット11bを経由して出側ルーパ8に搬入される。出側ルーパ8は、後段の後処理のために、鋼板の張力を保ちながら鋼板を一時待機させるための設備である。
スキンパスミル9は、テンションレベラ5c,5dと協働して、出側ルーパ8から送出された鋼板を調質圧延するための設備である。後処理部10は、鋼板から不要部分を切断するトリマ、鋼板にオイルを塗るオイラー、および検査プロセスで検出された不良部を切断するシャーなどを備える設備である。後処理部10を通過した鋼板は、テンションリール13a,13bに巻き取られる。
次に、以上説明した連続焼鈍ライン1の連続焼鈍炉7の炉温制御にかかる炉温制御装置の概略構成を説明する。
図2は、連続焼鈍炉7の炉温制御にかかる炉温制御装置の概略構成を示すブロック図である。図2に示されるように、本発明の実施形態にかかる炉温制御装置14は、炉温PID制御器15と流量PID制御器16とを備える。図2に示されるように、本発明の実施形態にかかる炉温制御装置14は、連続焼鈍炉7の炉温を制御対象とするフィードバック制御を行う。
炉温PID制御器15は、炉温実績値yと炉温目標値rとから操作量[ガス流量]uを算出する制御器である。炉温実績値yは、連続焼鈍炉7に設けられた熱電対により測定される値であり、炉温目標値rは、不図示の入力手段によりオペレータが入力する連続焼鈍炉7の目標となる炉温である。
流量PID制御器16は、炉温PID制御器15が算出した操作量[ガス流量]uに従って、ラジアントチューブ17に吹き込む燃焼ガスおよび空気の流量を制御する。具体的には、流量PID制御器16は、燃焼ガス用のバルブ18aと空気用のバルブ18bとの開度を調節し、燃焼ガス用のオリフィス流量計19aと空気用のオリフィス流量計19bとにより燃焼ガスと空気との流量を監視する。すなわち、流量PID制御器16は、フィードバック制御により、炉温PID制御器15が算出した操作量[ガス流量]uを実現する制御器である。なお、ラジアントチューブ17に吹き込む燃焼ガスは、コークス炉から発生する副生ガス(COG:Coke Oven Gas)であることが想定されるが、本発明の実施はこれに限定されるものではない。
次に、上記説明した炉温PID制御器15の設計方法について説明する。最初に、図3を参照しながら、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法の全体の手順について説明する。その後、本発明の実施形態にかかるPID制御器の設計方法の各ステップについて詳細に説明していく。なお、以下では、設計者またはオペレータなど(以下、設計者等という)が本発明の実施形態にかかるPID制御器の設計方法を行うものとして説明を行うが、本発明の実施はこれに限らず、機械による自動化によっても実施可能である。
図3は、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法を示すフローチャートである。図3に示されるように、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法は、設計者等が連続焼鈍炉における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、連続焼鈍炉の炉温モデルを複数の実績データ毎に同定することから始まる(ステップS1)。この複数の実績データは、板サイズ、鋼種、炉内搬送速度その他の負荷条件が異なる6日6時間(9000分)相当分の連続焼鈍炉7の操業実績のデータを300分ずつの区間に30分割することにより作成される。このように区間毎に炉温モデル20のパラメータを同定することで、設計者等は対象プロセスの動特性の変動範囲を見積もることができる。
次に、設計者等は、複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉の炉温モデルのうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルを選定する(ステップS2)。すなわち、この選定されたゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルが、最も炉温制御が不安定となる区間を制御系が最も不安定となる連続焼鈍炉の負荷条件である。
そして、設計者等は、上述の選定された連続焼鈍炉の炉温モデルを用いてPID制御器の制御パラメータを調整する(ステップS3)。この制御パラメータの調整方法としては、例えばZiegler−Nicholsのステップ応答法が用いられる。
次に、上記本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法のステップS1についてより詳細に説明する。
一般に、制御系の設計を行うにあたり、応答性や安定性を評価するためには、対象プロセスの動特性を表すモデルが必要となる。しかし、制御系の対象プロセスにおける物理現象が簡単かつ明らかな場合には、微分方程式や運動方程式などの物理法則に基づいて対象プロセスの動特性を表現できるが、制御系の対象プロセスが複雑な場合または物理現象が明らかでない場合には、制御系の対象プロセスの動特性を物理法則に基づくモデルのみで表現することは非常に困難である。
連続焼鈍炉7の炉温制御における対象プロセスとなる連続焼鈍炉7の炉温の動特性は、鋼板の大きさ、炉内搬送速度、および目標鋼板温度などの負荷条件の他に、炉壁からの抜熱量および炉内における熱の対流の仕方などの伝熱条件によっても大きく変動する。その結果、連続焼鈍炉7の炉温の動特性を物理モデルで表現することは事実上不可能である。
そこで、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法では、設計者等が炉温制御のシステムモデルにおける対象プロセスにかかる炉温モデルの構造を決定し、その炉温モデルにおけるパラメータを対象プロセスの入出力データから推定する。図4は、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法に用いる炉温制御のシステムモデルである。
図4に示されるように、本発明の実施形態にかかる炉温制御のシステムモデルは、目標値を炉温目標値rとし、制御量を炉温実績値yとするフィードバック制御によるモデルである。炉温PID制御器15は、対象プロセスの炉温モデル20に対して前置され、炉温PID制御器15の操作量はガス流量uである。つまり、ガス流量uおよび炉温実績値yは、炉温モデル20のパラメータを推定するための入力変数および出力変数となっている。したがって、設計者等は、ガス流量uおよび炉温実績値yの入出力データから炉温モデル20を推定することになる。
本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法では、対象プロセスの炉温モデル20が1次遅れ無駄時間系の伝達関数を有すると仮定する。すなわち、炉温モデル20の伝達関数は下式で表現される。図5は、炉温モデル20の伝達関数が1次遅れ無駄時間系である場合のステップ応答を示すグラフである。
Figure 2013221211
次に、ガス流量uおよび炉温実績値yの入出力データから炉温モデル20のゲインおよび時定数を同定する方法の説明を行う。本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法では、まず、設計者等が板サイズ・鋼種・炉速など負荷条件の異なる6日6時間(9000分)相当分の連続焼鈍炉7の操業実績のデータを用意する。そして、設計者等は、この6日6時間(9000分)相当分の連続焼鈍炉7の操業実績のデータを300分ずつの区間に30分割し、各区間毎においてシステム同定法により炉温モデル20のゲインおよび時定数を同定する。なお、このシステム同定法としては、最小二乗法により炉温モデルのゲインおよび時定数を決定する方法を用いることができる。図6は、上記のように炉温モデル20のゲインおよび時定数を同定した場合における、連続焼鈍炉7の操業実績のデータの一区間の実プロセスおよび炉温モデルの炉温を示すグラフである。
次に、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法のステップS2では、設計者等が、上記のように各区間毎にゲインおよび時定数が同定された炉温モデル20の伝達関数に基づいて、各区間毎に炉温モデル20のゲイン余有を算出する。なお、このゲインおよび時定数が同定された炉温モデル20の伝達関数からゲイン余有を算出する方法は、伝達関数からゲイン余有を算出する一般的な方法が用いられる。
図7は、上述のように各区間毎に算出したゲイン余有の例を示すグラフである。図7に示されるゲイン余有の例では、区間Noが21の場合にハンチングまでの余有が最小となる。従って、図7に示されるゲイン余有の例では、区間Noが21の場合に影響係数が最大となる。なお、図8は、影響係数が大きい場合と影響係数が小さい場合とにおけるステップ応答の差を概略的に示したグラフである。なお、ここでの影響係数とは、ガス流量が炉温に与えるの影響の程度を表す係数である。
そして、本発明の実施形態にかかる炉温PID制御器15の設計方法のステップS3では、設計者等が、ゲイン余有が最小になるものとして選定された連続焼鈍炉7の炉温モデル20を用いて炉温PID制御器15の制御パラメータを調整する。すなわち、ゲイン余有が最小になる連続焼鈍炉の炉温モデルが連続焼鈍炉の温度制御において最も不安定となる条件として、設計者等は炉温PID制御器15の制御パラメータを調整することになる。
上記炉温PID制御器15の制御パラメータ調整方法として、例えばZiegler−Nicholsのステップ応答法が用いられる。すなわち、設計者等は、Ziegler−Nicholsのステップ応答法により定まる比例(P)・積分(I)・微分(D)の制御パラメータを用いて、炉温PID制御器15の制御パラメータを調整する。
最後に、図9および図10を参照して、本発明の実施形態にかかるPID制御器の設計方法により設計された炉温PID制御器15の効果について説明する。
図9は、本発明の実施形態にかかるPID制御器の設計方法により設計された炉温PID制御器15のステップ応答を従来例のステップ応答と比較して示したグラフである。図9には、時間が50分の位置において炉温を730℃から750℃へステップ状に変化させた場合の、従来法にかかる炉温PID制御器の炉温およびガス流量のステップ応答と本発明の実施例にかかる炉温PID制御器の炉温およびガス流量のステップ応答とが表示されている。図9に示されるように、本発明の実施例にかかる炉温PID制御器によれば、従来法にかかる炉温PID制御器では18.4分であった収束時間が14.8分に短縮し、3.6分の応答性が向上する。つまり、本発明の実施例にかかる炉温PID制御器によれば、従来法にかかる炉温PID制御器よりも素早く目標値へと追従することができることが示された。なお、本発明の実施例にかかる炉温PID制御器による炉温制御では、オーバーシュートが4℃程度発生しているが、目標板温の±10℃の範囲であるので鋼板の品質に影響が発生しない範囲である。
図10は、本発明の実施形態にかかる設計方法により設計された炉温PID制御器15の応答性を従来例の応答性とRMSEで評価したグラフである。図10は、上述のように6日6時間(9000分)相当分の実績データを300分ずつ30分割することにより作成された区間の全てをサンプルデータとして用いて、従来法にかかる炉温PID制御器と本発明の実施例にかかる炉温PID制御器と平均二乗和(RMSE)により評価したグラフである。図10に示されるように、本発明の実施例にかかる炉温PID制御器によれば、従来法にかかる炉温PID制御器では18.5℃であった炉温目標値と炉温実績値の平均二乗和(RMSE)が15.5℃に低下し、3℃の精度向上を確認できる。
以上より、本発明の実施形態にかかる連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法は、連続焼鈍炉7における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、連続焼鈍炉7の炉温モデル20を複数の実績データ毎に同定する同定ステップと、同定ステップにて複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉7の炉温モデル20のうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉7の炉温モデル20を選定する選定ステップと、選定ステップにて選定された連続焼鈍炉7の炉温モデル20を用いて炉温PID制御器15の制御パラメータを調整する調整ステップとを含むので、必要以上に炉温制御の応答性を犠牲にすることなく、連続焼鈍炉の安定な炉温制御を可能にすることができる。
また、本発明の実施形態にかかる連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法は、連続焼鈍炉の炉温モデルが、一次遅れ無駄時間系であることが好ましく、Ziegler−Nicholsのステップ応答法により炉温PID制御器15の制御パラメータを調整することが好ましい。さらに、本発明の実施形態にかかる連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法は、本発明の実施形態にかかる連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法では、連続焼鈍炉7の連続した操業実績を複数区間に分割して複数の実績データを作成することができる。
1 連続焼鈍ライン
2a,2b ペイオフリール
3 溶接機
4 クリーニングセクション
5a〜5d テンションレベラ
6 入側ルーパ
7 連続焼鈍炉
7a 予熱帯
7b 加熱帯
7c 均熱帯
7d 冷却帯
8 出側ルーパ
9 スキンパスミル
10 後処理部
11a,11b テンションコントロールユニット
12 ウォータークエンチ設備
13a,13b テンションリール
14 炉温制御装置
15 炉温PID制御器
16 流量PID制御器
17 ラジアントチューブ
18a,18b バルブ
19a,19b オリフィス流量計
20 炉温モデル

Claims (6)

  1. 連続焼鈍炉における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、前記連続焼鈍炉の炉温モデルを前記複数の実績データ毎に同定する同定ステップと、
    前記同定ステップにて複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉の炉温モデルのうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルを選定する選定ステップと、
    前記選定ステップにて選定された前記連続焼鈍炉の炉温モデルを用いてPID制御器の制御パラメータを調整する調整ステップと、
    を含むことを特徴とする連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法。
  2. 前記連続焼鈍炉の炉温モデルは、一次遅れ無駄時間系であることを特徴とする請求項1に記載の連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法。
  3. 前記調整ステップは、Ziegler−Nicholsのステップ応答法により前記PID制御器の制御パラメータを調整することを特徴とする請求項1または2に記載の連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法。
  4. 前記同定ステップは、前記連続焼鈍炉の連続した操業実績を複数区間に分割して前記複数の実績データを作成することを特徴とする請求項1〜3のうち1項に記載の連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器の設計方法。
  5. 連続焼鈍炉における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、前記連続焼鈍炉の炉温モデルを前記複数の実績データ毎に同定する同定ステップと、
    前記同定ステップにて複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉の炉温モデルのうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルを選定する選定ステップと、
    前記選定ステップにて選定された前記連続焼鈍炉の炉温モデルを用いてPID制御器の制御パラメータを調整する調整ステップと、
    を含む設計方法によって設計されたことを特徴とする連続焼鈍炉の炉温制御にかかるPID制御器。
  6. 連続焼鈍炉における負荷条件の異なる操業実績から複数の実績データを作成し、前記連続焼鈍炉の炉温モデルを前記複数の実績データ毎に同定する同定ステップと、
    前記同定ステップにて複数の実績データ毎に同定された連続焼鈍炉の炉温モデルのうち、ゲイン余有が最小となる連続焼鈍炉の炉温モデルを選定する選定ステップと、
    前記選定ステップにて選定された前記連続焼鈍炉の炉温モデルを用いてPID制御器の制御パラメータを調整する調整ステップと、
    を含む設計方法によって設計されたPID制御器を用いて連続焼鈍炉の炉温を制御することを特徴とする連続焼鈍炉の炉温制御方法。
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