JP2013219177A - 誘電体薄膜の製造方法および薄膜電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 誘電体薄膜の製造方法および薄膜電子部品を提供する。
【解決手段】
誘電体薄膜の製造方法において、誘電体ナノ粒子及びアルコキシド状のホウ素を溶媒中にて混合して誘電体ナノ粒子スラリーを作製する第1段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを下部電極基板上に塗布し、下部電極基板上の誘電体ナノ粒子スラリーを乾燥させる第2段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを塗布した下部電極基板を、熱処理によって下部電極基板上においてエピタキシャル成長を促して、結晶配向させた誘電体薄膜を形成する第3段階と、を具備することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】
誘電体薄膜の製造方法において、誘電体ナノ粒子及びアルコキシド状のホウ素を溶媒中にて混合して誘電体ナノ粒子スラリーを作製する第1段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを下部電極基板上に塗布し、下部電極基板上の誘電体ナノ粒子スラリーを乾燥させる第2段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを塗布した下部電極基板を、熱処理によって下部電極基板上においてエピタキシャル成長を促して、結晶配向させた誘電体薄膜を形成する第3段階と、を具備することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、誘電体薄膜の製造方法および薄膜電子部品に関し、具体的には、ナノ粒子堆積法による誘電体薄膜を形成するための誘電体薄膜の製造方法および薄膜電子部品に関するものである。
電子機器の小型化に伴い、薄膜コンデンサに代表される薄膜電子部品の需要が高まっている。また、小型化と共に、高容量化も重要なファクターであり、高誘電率を有する誘電体薄膜に関する研究が数多く行われている。
薄膜電子部品は、絶縁基板上に何らかの方法により下部電極層を形成し、スパッタリング法などの各種成膜プロセスにより誘電体層を形成した後に、上部電極を形成するという製造方法によって作製される。
薄膜電子部品は、絶縁基板上に何らかの方法により下部電極層を形成し、スパッタリング法などの各種成膜プロセスにより誘電体層を形成した後に、上部電極を形成するという製造方法によって作製される。
高誘電率を有する誘電体薄膜を形成するには、下部電極基板界面からのエピタキシャル成長による配向制御と、それに伴う高結晶化が有効である。
しかしながら、エピタキシャル成長膜が得られる従来の薄膜形成法として挙げられるスパッタリング法やMOCVD法(特許文献1)は、成膜コストが高いという欠点を有する。
また、これらの方法を用いる際には、ペロブスカイト型酸化物誘電体の酸素欠損に伴う絶縁性の低下を抑制するため、外部から酸素導入が必要となり、下部電極基板の使用に制限が生じる。具体的には、安価なCuやNiなどの易酸化性金属は、還元雰囲気での熱処理が必要となるため、上述のスパッタリング法やMOCVD法を用いるのは困難となる。
しかしながら、エピタキシャル成長膜が得られる従来の薄膜形成法として挙げられるスパッタリング法やMOCVD法(特許文献1)は、成膜コストが高いという欠点を有する。
また、これらの方法を用いる際には、ペロブスカイト型酸化物誘電体の酸素欠損に伴う絶縁性の低下を抑制するため、外部から酸素導入が必要となり、下部電極基板の使用に制限が生じる。具体的には、安価なCuやNiなどの易酸化性金属は、還元雰囲気での熱処理が必要となるため、上述のスパッタリング法やMOCVD法を用いるのは困難となる。
また、低コストなエピタキシャル誘電体薄膜形成プロセスとして化学溶液法(CSD)が挙げられる(特許文献2)。本形成プロセスでは、ペロブスカイト型誘電体の前駆体溶液(Ba、Tiアルコキシド溶液)を下部電極基板上に塗布し、熱処理により結晶化を行うことで薄膜を形成するようにしている。かかる形成プロセス自体は安価であるが、下部電極基板界面からのエピタキシャル成長を達成するためには、800℃以上での熱処理を必要とする。800℃以上での熱処理では、下部電極に薄膜Cuを用いた場合に、Cuの球状化などの変形をもたらし、薄膜形態を保持できないという問題点を有する。
また、前駆体溶液中に有機成分を有するため、熱処理による有機除去を行う必要があり、酸素雰囲気での熱処理を必要とする。CuやNiなどの易酸化性金属の使用には還元雰囲気での熱処理が必須であるため、下部電極の制限を受け、汎用性に乏しい。
そこで、最近では、ナノ粒子堆積法が用いられた試みが提案されている(特許文献3)。
また、前駆体溶液中に有機成分を有するため、熱処理による有機除去を行う必要があり、酸素雰囲気での熱処理を必要とする。CuやNiなどの易酸化性金属の使用には還元雰囲気での熱処理が必須であるため、下部電極の制限を受け、汎用性に乏しい。
そこで、最近では、ナノ粒子堆積法が用いられた試みが提案されている(特許文献3)。
さらに、特許文献4、5には、焼結助剤として、ホウ素を添加した誘電体薄膜の形成について開示されている。ここでは、ホウ素を添加することで、低温での焼結が可能となるとしている。
これまでは、誘電体層のエピタキシャル成長が容易に起こる下部電極として、Pt(白金)が用いられることが多かったが、Ptは高額であるため実用化に向かず、CuやNiなどの安価な易酸化性金属の使用が望まれている。これらを下部電極として用いることで、低コストだけでなく、直列抵抗低減にもつながる。ただし、上述したように、誘電体層の形成方法としてスパッタリング法やMOCVD法、CSD法などを用いた場合、800℃以上での酸化熱処理雰囲気・熱処理温度が必要とされるため、CuやNiを下部電極に用いることは困難である。
また、特許文献4、5のように、誘電体薄膜の形成の際、ホウ素を添加することで、低温での焼結が可能となるとしても、いずれも誘電体層の結晶配向については言及されてはおらず、誘電体層の結晶性の向上については詳細には開示されていない。
また、特許文献4、5のように、誘電体薄膜の形成の際、ホウ素を添加することで、低温での焼結が可能となるとしても、いずれも誘電体層の結晶配向については言及されてはおらず、誘電体層の結晶性の向上については詳細には開示されていない。
そこで、熱処理雰囲気の制御を克服する安価な成膜方法として、ナノ粒子堆積法が提案されている。これは、あらかじめ結晶性の誘電体ナノ粒子を合成し、これを下部電極板上に塗布し、粒成長のための熱処理(熱処理雰囲気は任意)を行うことで、任意の下部電極板上でエピタキシャル成長した高結晶誘電体薄膜を得ることができるとしている。しかしながら、エピタキシャル成長が達成されたとしても、結果的には、誘電体薄膜の誘電率は700程度にとどまっているのが現状である。
そこで、本出願人は、ナノ粒子堆積法によって、十分な誘電体層の高結晶化を可能とするべく、製法に改良を加え、容易にエピタキシャル成長膜が形成されるようにすることを目指した。
そこで、本出願人は、ナノ粒子堆積法によって、十分な誘電体層の高結晶化を可能とするべく、製法に改良を加え、容易にエピタキシャル成長膜が形成されるようにすることを目指した。
本発明は、以上のような課題を達成するべく提案されたものであって、ナノ粒子堆積法による誘電体薄膜を形成するための誘電体薄膜の製造方法および薄膜電子部品を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、誘電体ナノ粒子及びアルコキシド状のホウ素を溶媒中にて混合して誘電体ナノ粒子スラリーを作製する第1段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを下部電極基板上に塗布し、下部電極基板上の誘電体ナノ粒子スラリーを乾燥させる第2段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを塗布した下部電極基板を、熱処理によって下部電極基板上においてエピタキシャル成長を促して、結晶配向させた誘電体薄膜を形成する第3段階と、を具備することを要旨とする。
また本発明の第2の特徴は、第2段階における塗布工程および乾燥工程と、第3段階における熱処理工程とを、繰り返し実行することで、所望の厚さの誘電体薄膜を得ることを要旨とする。
また本発明の第3の特徴は、誘電体ナノ粒子は、ゾルゲル法にて合成することを要旨とする。
また本発明の第4の特徴は、第2段階において、誘電体ナノ粒子スラリーを、下部電極基板上に、スピンコート法により塗布することを要旨とする。
さらに本発明の第5の特徴は、下部電極と、下部電極上に形成された誘電体薄膜と、誘電体薄膜上に形成された上部電極と、を有する薄膜電子部品であって、誘電体ナノ粒子及びアルコキシド状のホウ素を溶媒中にて混合して誘電体ナノ粒子スラリーを作製する第1段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを下部電極基板上に塗布し、下部電極基板上の誘電体ナノ粒子スラリーを乾燥させる第2段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを塗布した下部電極基板を、熱処理によって下部電極基板上においてエピタキシャル成長を促して、結晶配向させた誘電体薄膜を形成する第3段階と、を具備する製造方法により作製されることを要旨とする。
ホウ素アルコキシドを誘電体ナノ粒子スラリーに添加することで、ホウ素が焼結助剤として作用し、誘電体ナノ粒子の粒成長が促進される。そのため、ホウ素を添加することで、700℃程度でも十分に誘電体ナノ粒子が粒成長し、緻密な薄膜を得ることができる。このように熱処理温度の低温化が可能になることから、比較的低融点であるCuなどの易酸化性金属を下部電極として使用することが可能となる。
以上のような手順で、エピタキシャル成長が促進され形成された誘電体薄膜は、基板に対して垂直方向の配向だけでなく、面内配向も有し、高結晶化に寄与することができる。また、グレイン径(結晶粒径)の増加も高結晶化に寄与することができる。
ホウ素添加誘電体薄膜の誘電率εは無添加時と比較して、400程度上昇して1100となり、その主な要因は高結晶化に起因するものと考えられる。
また、ホウ素を添加した誘電体層を熱処理・粒成長させることで、比較的低融点のホウ素が焼結助剤として作用するために、これまでより熱処理温度が低温の状態にあっても、誘電体層に流動性が付与され、ナノ粒子の焼結に伴う緻密化や低熱膨張率基板との熱膨張係数差等に由来する面内引張応力が緩和されることも高誘電率化につながると考えられる。
また、ホウ素を添加した誘電体層を熱処理・粒成長させることで、比較的低融点のホウ素が焼結助剤として作用するために、これまでより熱処理温度が低温の状態にあっても、誘電体層に流動性が付与され、ナノ粒子の焼結に伴う緻密化や低熱膨張率基板との熱膨張係数差等に由来する面内引張応力が緩和されることも高誘電率化につながると考えられる。
本発明によれば、これまでより低温下の状態で結晶配向が可能になり、本発明により作成された誘電体薄膜は結晶化度が高く、また誘電率も従来の技術に比較して増加する。
また、従来方法に比較してより低温での熱処理が可能となることから、下部電極の材料をCuのような比較的低融点で廉価な易酸化性金属を用いることができ、成膜コスト、すなわち製造コストの抑制につながる。
また、従来方法に比較してより低温での熱処理が可能となることから、下部電極の材料をCuのような比較的低融点で廉価な易酸化性金属を用いることができ、成膜コスト、すなわち製造コストの抑制につながる。
以下、本発明にかかる誘電体薄膜の製造方法を実施するための実施形態を、添付図を参照しながら詳細に説明する。
ここでは、誘電体としてBaTiO3を用いて薄膜を成膜する手順を説明する。
ここでは、Ptの薄膜上でのエピタキシャル誘電体薄膜の作製方法によって作成された薄膜電子部品の構成の一例を図1に示し、説明する。
本製造方法により製造された薄膜電子部品10は、基板11上に、Cu下部電極12、誘電体薄膜13、上部電極14が順に積層された構造となっている。
Pt下部電極12は、[111]の一軸配向性を有している。
また、誘電体薄膜13としては、一軸配向性を有するペロブスカイト型誘電体が用いられる。基板11及び上部電極14としては、公知の各種の材料が利用可能である。なお、Pt下部電極12は、基板11と白金薄膜とで、Pt下部電極12の積層体を形成する。
ここでは、誘電体としてBaTiO3を用いて薄膜を成膜する手順を説明する。
ここでは、Ptの薄膜上でのエピタキシャル誘電体薄膜の作製方法によって作成された薄膜電子部品の構成の一例を図1に示し、説明する。
本製造方法により製造された薄膜電子部品10は、基板11上に、Cu下部電極12、誘電体薄膜13、上部電極14が順に積層された構造となっている。
Pt下部電極12は、[111]の一軸配向性を有している。
また、誘電体薄膜13としては、一軸配向性を有するペロブスカイト型誘電体が用いられる。基板11及び上部電極14としては、公知の各種の材料が利用可能である。なお、Pt下部電極12は、基板11と白金薄膜とで、Pt下部電極12の積層体を形成する。
ナノ粒子堆積法は、あらかじめペロブスカイト型誘電体の高結晶性ナノ粒子を電極基板上に堆積させた後、熱処理により粒成長させて、目的とする誘電体薄膜を作製する方法である(図2参照)。
ナノ粒子堆積法を進めるために、第1段階として、ペロブスカイト型誘電体(BaTiO3)のナノ粒子を合成する。ナノ粒子は10nm以下であることが望ましい。小粒径であるほど、熱処理による粒成長が起こりやすくなるからである。例えば、5nmの小粒径粒子を高結晶体として得る合成法としては、ゾルゲル法が挙げられる。次に、ゾルゲル法で得られた5nmのBaTiO3粒子を溶媒に加え、超音波照射を行うことで、単分散性のBaTiO3スラリーを得ることができる。ただし、溶媒には、あらかじめBaTiO3のTiに対して0.25at%のホウ素アルコシキド(ボロンエトキシド)を加えておき、ホウ素添加BaTiO3スラリーを作製する。
ナノ粒子堆積法を進めるために、第1段階として、ペロブスカイト型誘電体(BaTiO3)のナノ粒子を合成する。ナノ粒子は10nm以下であることが望ましい。小粒径であるほど、熱処理による粒成長が起こりやすくなるからである。例えば、5nmの小粒径粒子を高結晶体として得る合成法としては、ゾルゲル法が挙げられる。次に、ゾルゲル法で得られた5nmのBaTiO3粒子を溶媒に加え、超音波照射を行うことで、単分散性のBaTiO3スラリーを得ることができる。ただし、溶媒には、あらかじめBaTiO3のTiに対して0.25at%のホウ素アルコシキド(ボロンエトキシド)を加えておき、ホウ素添加BaTiO3スラリーを作製する。
次に、第2段階として、ホウ素添加BaTiO3スラリーを下部電極基板上に塗布する。
下部電極基板としては、PtやCu、Niなどを用いることができる。
例えば、[001]一軸配向α−Al2O3上に、スパッタリング法によりPtを200nm成膜することで形成された[111]エピタキシャル膜を例に成膜工程を示す。
Pt下部電極上に、例えばスピンコート法によりホウ素添加BaTiO3スラリーを任意の回転数により塗布し、その後溶媒を除去するために乾燥させる。
下部電極基板としては、PtやCu、Niなどを用いることができる。
例えば、[001]一軸配向α−Al2O3上に、スパッタリング法によりPtを200nm成膜することで形成された[111]エピタキシャル膜を例に成膜工程を示す。
Pt下部電極上に、例えばスピンコート法によりホウ素添加BaTiO3スラリーを任意の回転数により塗布し、その後溶媒を除去するために乾燥させる。
次いで、第3段階として、スラリーを塗布した基板を700℃〜800℃で熱処理を行う。熱処理は大気中、還元雰囲気中いずれの雰囲気下で行うことができる。熱処理を行うことで、下部電極基板の結晶方位に沿って、BaTiO3粒子がエピタキシャル成長して緻密化する。スラリー中にホウ素が添加されていたことで、ホウ素が焼結助剤として機能し、BaTiO3ナノ粒子の粒成長が促進される。具体的には、基板に対して誘電体層表面の粒子径はホウ素無添加で200nm程度であるが、ホウ素を添加することで400−500nmにまで成長する(図3(a)、図3(b)参照)。
下部電極基板に対して垂直方向には、ホウ素添加無添加によらず、BaTiO3は[111]方向に優先的に配向する(図3(c)参照)。これは下部電極基板の結晶配向の影響を受け、格子のミスマッチが最小限に抑えられる結晶方位である。ただし、ホウ素を添加することで、面内方向の配向もそろい(図3(d)参照)、非常に結晶性の高いエピタキシャル膜を形成することができる。
なお、薄膜内におけるホウ素の存在はSTEM(走査透過型電子顕微鏡)−EELS(電子エネルギー損失分光法)により確認されており(図4(a)、図4(b)参照)、薄膜形成の後も誘電体層に均一に分布することが確認されている(図4(c)、図4(d)参照)。
スラリーの塗布・乾燥・熱処理を複数回繰り返すことで、所望の厚さを有する誘電体層を得ることができる。
ホウ素を添加することで、熱処理の降温時に、比較的低温まで誘電体層に流動性が付与され、ナノ粒子の焼結に伴う緻密化や低熱膨張率基板との熱膨張係数差等に由来する面内引張応力が緩和されるため、誘電体層にかかる応力を無添加時に比較して0.2GPaほど緩和することができる。さらに、応力緩和により、熱処理後の誘電体層表面にはクラックが生じることはない。
なお、薄膜内におけるホウ素の存在はSTEM(走査透過型電子顕微鏡)−EELS(電子エネルギー損失分光法)により確認されており(図4(a)、図4(b)参照)、薄膜形成の後も誘電体層に均一に分布することが確認されている(図4(c)、図4(d)参照)。
スラリーの塗布・乾燥・熱処理を複数回繰り返すことで、所望の厚さを有する誘電体層を得ることができる。
ホウ素を添加することで、熱処理の降温時に、比較的低温まで誘電体層に流動性が付与され、ナノ粒子の焼結に伴う緻密化や低熱膨張率基板との熱膨張係数差等に由来する面内引張応力が緩和されるため、誘電体層にかかる応力を無添加時に比較して0.2GPaほど緩和することができる。さらに、応力緩和により、熱処理後の誘電体層表面にはクラックが生じることはない。
そして、最終段階として、ホウ素を添加することで得られた誘電体層の上部に、上部電極を形成する。上部電極としては、Pt、Cu、Niなど任意の金属が使用可能である。なお、上部電極については、配向性を付与する必要はないので、形成方法には特に制限はない。例えば、ホウ素添加BaTiO3誘電体層上に、スパッタリング法によりPtを200nm成膜し、これを上部電極とする。
得られたMIMは、10kHzにおいてε1100,tanδ2.7%と、非常に高い誘電率を示す(図5(a)、図5(b)参照)。その要因としては、ホウ素添加による粒成長促進に伴うBaTiO3グレインの高結晶化と、BaTiO3粒子の流動性の上昇による応力緩和が考えられる。
得られたMIMは、10kHzにおいてε1100,tanδ2.7%と、非常に高い誘電率を示す(図5(a)、図5(b)参照)。その要因としては、ホウ素添加による粒成長促進に伴うBaTiO3グレインの高結晶化と、BaTiO3粒子の流動性の上昇による応力緩和が考えられる。
以上のように本発明によれば、基板上に、誘電体ナノ粒子及びアルコキシド状のホウ素を溶媒中にて混合して誘電体ナノ粒子スラリーを作製する第1段階と、誘電体ナノ粒子スラリーを下部電極基板上に塗布し、乾燥させる第2段階と、その後熱処理によってエピタキシャル成長を促進させ、結晶配向させた第3段階とを経て、これまでより低温下の状態で結晶配向が可能になり、本発明により作成された誘電体薄膜は結晶化度が高く、また誘電率も従来の技術に比較して増加する。
また、従来方法に比較してより低温での熱処理が可能となることから、下部電極の材料をCuのような比較的低融点で廉価な易酸化性金属を用いることができ、成膜コスト、すなわち製造コストの抑制に寄与することができる。
また、従来方法に比較してより低温での熱処理が可能となることから、下部電極の材料をCuのような比較的低融点で廉価な易酸化性金属を用いることができ、成膜コスト、すなわち製造コストの抑制に寄与することができる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。本製造方法により製造される薄膜電子部品10の形状、寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
10 薄膜電子部品
11 基板
12 下部電極
13 誘電体薄膜
14 上部電極
11 基板
12 下部電極
13 誘電体薄膜
14 上部電極
Claims (5)
- 誘電体ナノ粒子及びアルコキシド状のホウ素を溶媒中にて混合して誘電体ナノ粒子スラリーを作製する第1段階と、
前記誘電体ナノ粒子スラリーを下部電極基板上に塗布し、該下部電極基板上の前記誘電体ナノ粒子スラリーを乾燥させる第2段階と、
前記誘電体ナノ粒子スラリーを塗布した前記下部電極基板を、熱処理によって前記下部電極基板上においてエピタキシャル成長を促して、結晶配向させた誘電体薄膜を形成する第3段階と、
を具備することを特徴とする誘電体薄膜の製造方法。 - 前記第2段階における塗布工程および乾燥工程と、前記第3段階における熱処理工程とを、繰り返し実行することで、所望の厚さの前記誘電体薄膜を得ることを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜の製造方法。
- 前記誘電体ナノ粒子は、ゾルゲル法にて合成することを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体薄膜の製造方法。
- 前記第2段階において、前記誘電体ナノ粒子スラリーを、前記下部電極基板上に、スピンコート法により塗布することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘電体薄膜の製造方法。
- 下部電極と、
該下部電極上に形成された誘電体薄膜と、
該誘電体薄膜上に形成された上部電極と、
を有する薄膜電子部品であって、
前記誘電体薄膜を請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって作製されることを特徴とする薄型電子部品。
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