JP2011249604A - 誘電体薄膜の製造方法及び薄膜電子部品 - Google Patents

誘電体薄膜の製造方法及び薄膜電子部品 Download PDF

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洋子 織茂
Keisuke Kobayashi
圭介 小林
Toshimasa Suzuki
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Abstract

【課題】銅の薄膜上に成膜した誘電体薄膜の膜質を維持できる簡易な誘電体薄膜の製造方法を提供する。
【解決手段】基板12上には、(111)の一軸配向性を有するCu下部電極14が形成される。該Cu下部電極14上に、ペロブスカイト型誘電体のナノ粒子の単分散スラリーをスピンコート法により塗布し、窒素雰囲気で乾燥させる。その後、還元性雰囲気で熱処理を行うことにより、ナノ粒子をCu下部電極14上でエピタキシャル成長させて一軸配向性を有する誘電体薄膜16を形成する。該誘電体薄膜16に上部電極18を形成すると薄膜キャパシタ10が得られる。この製造方法によれば、Cu下部電極14に与えるダメージが少なく変質・変形を抑制できるため、該Cu下部電極14上に形成される誘電体薄膜16の膜質の維持が可能になるとともに、少ない工程で高結晶性の誘電体薄膜16の作製が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体薄膜の製造方法及び薄膜電子部品に関し、更に具体的には、誘電体薄膜を銅の薄膜上に形成するための誘電体薄膜の製造方法と、この方法により形成された誘電体薄膜を利用した薄膜電子部品に関するものである。
高い誘電率を示すペロブスカイト構造を有する複合酸化物系の高結晶性誘電体層から構成される薄膜キャパシタを作製する方法としては、電極基板に対して誘電体層をエピタキシャル成長させる方法がある。従来の技術では、ペロブスカイト型誘電体層と格子整合性があり、かつ耐蝕性の優れるPt電極基板上で各種ペロブスカイト型誘電体層をエピタキシャル成長させる方法に関して詳細な説明がなされてきた。しかしながら、Ptに比べ圧倒的に原料コストが低く、かつ低抵抗で高周波特性に優れるCu電極基板上でのペロブスカイト型誘電体層のエピタキシャル成長に関しては、詳細な方法は述べられていない。これは、一般的な薄膜作製方法としてスパッタリング法が挙げられ、該スパッタリングでは、真空中での結晶成長で不可避のペロブスカイト型酸化物誘電体の酸素欠損に伴う絶縁性の低下を抑制するため外部から酸素導入や原料となる複合酸化物ターゲットのスパッタに伴う構成物質の分解による酸素放出により酸化雰囲気となり、かつ高結晶化のためには500度以上の高温での成膜が必要なため、このような成膜環境下ではCuが容易に酸化して配向制御が困難になるためである。自明であるが、Cuが酸化すると表面構造がペロブスカイト型誘電体と格子整合性の低いものに変化するとともに、CuはPtの融点1768℃に比べ、1084℃と低く物質移動が活性なため、酸化に伴う体積膨張、熱応力やスパッタによる内部応力により変形及びヒロック形成などが起こりやすい。
更に、スパッタリング法に代わる安価な薄膜作製法として、化学溶液堆積法(CSD法)が挙げられるが、CSD法で誘電体薄膜を形成する場合、熱処理により前駆体溶液中に存在する有機分を熱分解或いは燃焼除去する必要がある。しかしながら、Cuの酸化を抑制するためには還元雰囲気での熱処理となるため、有機分が残留しやすく、構成元素としてアルカリ土類系のBa、Srをもつペロブスカイト型誘電体では熱的に安定な炭酸塩、オキシ炭酸塩を経由した結晶化となるため、電極基板界面からの核生成、粒成長によるエピタキシャル誘電体膜を得ることが困難である。また、従来技術である易酸化性のNiやCu金属を内部電極層として用いた積層セラミックスコンデンサ(MLCC)の製造で用いられているペロブスカイト型誘電体スラリーのテープキャスティング法と内部電極印刷による一体焼成による手法では、そもそも電極上での配向制御は達成されていない。
下記特許文献1〜4には、Cu電極上での誘電体薄膜の成膜について開示されている。特許文献1には、Cu,Niなどのベース金属箔上に誘電体薄膜を形成する場合の低酸素分圧による誘電体材料の還元に起因する漏れ電流や、再酸化によるベース金属箔の酸化に対し、ドーパントの添加により改善を図ることが開示されている。また、特許文献2は、誘電体層を挟む電極層の金属原子のマイグレーションの発生を抑制するために、誘電体層をエピタキシャル成長させることで、マイグレーションが発生する厚さまで薄膜化することなく、コンデンサの静電容量の増大を図るものである。
特許文献3には、高誘電率の誘電体薄膜を得る方法として、ペロブスカイト型誘電体のナノ粒子を単分散スラリー化して基板に塗布し、熱処理することで、エピタキシャル成長による誘電体薄膜の成膜を低コストかつ簡易な方法で行うことが開示されている。更に、特許文献4には、金属膜上に形成された膜を加熱してセラミックス誘電体材料から構成された誘電体膜を形成し、この誘電体膜の前記金属膜とは反対側の面上に、Cu等から構成された第1の電極膜を形成した後、前記金属膜を除去して第2の電極膜を形成することにより、誘電体膜の誘電率の向上を図ることが開示されている。
特開2007−5804号公報 特開2005−286233号公報 特開2009−280416号公報 特開2009−260301号公報
上述したように、Cu電極基板を用いた場合、Pt電極基板と異なり、800℃程度での熱処理によるCu層の変質、変形が起こりやすく、熱処理後に平滑な電極層を保持することが困難である。それに伴い、電極層(電極基板)に対して誘電体層をエピタキシャル成長させることが極めて難しくなる。これに対し、上述した特許文献1〜4には、Cu電極基板上に誘電体薄膜を形成することが開示ないし示唆されているものの、特許文献1においては、形成されたBT誘電体薄膜の微細構造については詳細に述べられていない。また、特許文献2の技術では、Cu電極でのペロブスカイト型誘電体のエピタキシャル成長について言及されているものの、実現性に乏しく、高度な制御が必要な温度、還元雰囲気条件などについては全く記述がなく、Cu電極とペロブスカイト型誘電体の具体的な結晶学的な方位関係、微細構造についてもデータの提示がない。また、実施検証されている成膜方法が蒸着に限定されているため、製造コストが高いという問題がある。更に、特許文献3に記載の技術では、Cu電極基板を用いた場合には、実施例と同様の工程を経ても、エピタキシャル誘電体膜は得られない。また、特許文献4に記載の技術では、後の工程で除去される金属箔上に誘電体膜をスパッタリング法で形成した後に金属箔を除去して電極膜を設けるため、工数が多くなり、プロセスコスト増大と歩留まり低下という不都合がある。
本発明は、以上のような点に着目したもので、銅の薄膜上に成膜した誘電体薄膜の膜質を維持できる簡易な誘電体薄膜の製造方法を提供することを、その目的とする。他の目的は、前記製造方法によって得られた誘電体薄膜を利用した薄膜電子部品を提供することである。
本発明の誘電体薄膜の製造方法は、基板上に、(111)の一軸配向性を有する銅の薄膜を形成し、前記銅の薄膜上に、粒成長の臨界粒径以下の粒子径を有するとともに、添加物により耐還元性を付与されたペロブスカイト型誘電体のナノ粒子を溶媒中に分散させたスラリーを塗布し、窒素雰囲気で乾燥させ、その後、還元性雰囲気で熱処理を行うことにより、前記ナノ粒子を前記銅の薄膜上でエピタキシャル成長させて一軸配向性を有する誘電体薄膜を形成することを特徴とする。
主要な形態の一つは、前記ペロブスカイト型誘電体が、チタン酸バリウム系誘電体であることを特徴とする。他の形態は、前記ナノ粒子のスラリーは、前記還元性雰囲気での熱処理前において膜厚が20〜70nmとなるように、前記銅の薄膜上へ塗布及び窒素雰囲気での乾燥が行われることを特徴とする。他の形態は、前記還元性雰囲気が、Nに対して0.5〜1.5vol%のHを含むH/N混合ガスであることを特徴とする。更に他の形態は、前記ペロブスカイト型誘電体のナノ粒子は、粒子径が10nm以下であり、かつ動的光散乱法で測定した場合の粒度分布D50が15nm以下であることを特徴とする。
本発明の薄膜電子部品は、基板上に形成された一軸配向性を有する銅の薄膜からなる下部電極と、該下部電極上に形成された一軸配向性を有する誘電体薄膜と、該誘電体薄膜上に形成された上部電極と、を有する薄膜電子部品であって、前記銅の薄膜からなる下部電極及び誘電体薄膜を、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法によって形成したことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
本発明によれば、基板上に、(111)の一軸配向性を有する銅の薄膜を形成し、前記銅の薄膜上に、粒成長の臨界粒径以下の粒子径を有するとともに耐還元性が付与されたペロブスカイト型誘電体のナノ粒子を溶媒中に分散させたスラリーをスピンコート法により塗布し、前記ナノ粒子を窒素雰囲気で乾燥させ、その後、還元性雰囲気で熱処理を行うことにより、前記ナノ粒子を前記銅の薄膜上でエピタキシャル成長させて一軸配向性を有する誘電体薄膜を形成することとした。これにより、熱的に不安定な前記銅薄膜の熱処理による変質・変形を抑制することができ、該銅の薄膜上に形成される誘電体膜の膜質の維持が可能になるとともに、少ない工程で誘電体薄膜の作製が可能となる。
本発明の実施例1の薄膜キャパシタの積層構造を示す断面図である。 (A)は実施例1の誘電体薄膜表面のSEM観察像を示す図であり、(B)は誘電体薄膜/Cu下部電極界面の断面を示すTEM観察像である。 (A)は前記実施例1の配向性を示す誘電体薄膜/Cu下部電極界面のTEM観察像であり、(B)は前記(A)の誘電体薄膜部分における電子回折パターン,(C)は前記(A)のCu下部電極部分における電子回折パターンを示す図である。 前記実施例1の配向状態を示す図であり、基板上のCu下部電極の極点測定の結果を示す。 (A)は10nm以下の粒径のナノ粒子を用いた場合の熱処理後の誘電体薄膜表面のSEM観察像を示す図であり、(B)は10nm以上の粒径のナノ粒子を用いた場合の熱処理後の誘電体薄膜表面のSEM観察像を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
最初に、図1〜図5を参照しながら本発明の実施例1を説明する。本発明は、Cuの薄膜上でのエピタキシャル誘電体薄膜の作製方法及び成膜条件に着目したものであって、本実施例によって、その詳細な作製方法について述べる。図1は、本発明の方法により作製された誘電体薄膜を有する薄膜キャパシタの積層構造を示す断面図である。図1に示すように、薄膜キャパシタ10は、基板12上に、Cu下部電極14,誘電体薄膜16,上部電極18が順に積層された構造となっている。前記Cu下部電極14は、(111)の一軸配向性を有している。また、前記誘電体薄膜16としては、一軸配向性を有するペロブスカイト型誘電体が用いられる。基板12及び上部電極18としては、公知の各種の材料が利用可能である。
本発明では、前記誘電体薄膜16を電極基板上でエピタキシャル成長させるための成膜方法として、ナノ粒子堆積法を採用している。なお、ここでいう電極基板又はCu電極基板とは、前記基板12と銅薄膜からなるCu下部電極14の積層体のことをいう(以下の説明でも同様とする)。前記ナノ粒子堆積法によって、あらかじめペロブスカイト型誘電体の高結晶性ナノ粒子を電極基板上に堆積させた後、熱処理により粒成長させて目的とする誘電体薄膜16を作製するため、CSD法のように有機物が薄膜内に残留したり、それら残留した有機物が熱的に安定なオキシ炭酸塩や炭酸塩を形成することもなく、エピタキシャル誘電体薄膜を得るために適している。
前記ペロブスカイト型誘電体のナノ粒子の合成法としては、ゾルゲル法、水熱法、ソルボサーマル法などが挙げられる。これらの方法は、10nm以下のナノ粒子の合成方法として適している。緻密化のための焼結、粒成長などが生じるためには、十分な物質移動が必要であり、一般的には融点の三分の二の温度に加熱する必要があるといわれている。ところが、10nm以下のナノ粒子を用いることで表面や界面エネルギーを増大させることにより、比較的低温での熱処理によりこれら過剰の表面や界面エネルギーを低減するための焼結や粒成長が容易に起こり、電極基板に対してエピタキシャル成長しやすくなる。例えば、図5(A)には10nm以下の例として粒径5nmのナノ粒子を用いて粒成長させた場合、図5(B)には10nm以上の例として粒径20nmのナノ粒子を用いて粒成長させた場合の熱処理後の誘電体薄膜の表面のSEM像が示されている。同図から明確なように、10nm以下のナノ粒子を用いることで容易に粒成長が進み緻密化することがわかる。このことから、本発明の実施にあたっては、粒成長の臨界粒径以下のナノ粒子を用いる必要があることがわかる。また、熱処理温度が低くなるほど、誘電体層(誘電体薄膜16)よりも低い融点をもつCu下部電極14の活発な物質移動による変形が抑制される。例えば、チタン酸バリウムの融点は1625℃であり、銅の融点は1084℃である。
前記Cu下部電極14上で誘電体のナノ粒子を熱処理するためには還元性雰囲気が必要なため、誘電体粒子の合成に際し、熱処理中の酸素脱離に伴う絶縁性低下を抑制するための耐還元性を付与する必要がある。耐還元性付与のための添加物としては、例えば、ペロブスカイト型チタン酸化物のTiサイトを占有し、Tiの安定価数である4価よりも低い価数状態をもつMg,Mn,Cr,Vなどが挙げられる。チタン酸バリウム系の誘電体粒子を得る場合を例に挙げると、仕込みのTiに対して0.1at%〜1.0at%の範囲内で添加物を加える。0.1at%よりも低いと、十分な耐還元性付与の効果がみられず、リーク特性が悪くなり、1.0at%よりも高いと、ペロブスカイト構造内に置換固溶できず粒成長が阻害されてしまう。従って、上述の範囲内とすることで、ペロブスカイト結晶格子内に均一に分布でき、熱処理に伴う粒成長阻害が抑制でき、かつ良好な誘電率を確保することができる。好ましくは0.5at%とするとよい。
得られたペロブスカイト型誘電体ナノ粒子を、各種有機溶媒中に分散させて単分散スラリーを形成する。このスラリーを、スピンコート法によりCu電極基板上に成膜する。その際には、Cu下部電極14上での誘電体スラリー膜厚を20〜70nmに定める。この膜厚は、後の熱処理の工程により粒成長するペロブスカイト型誘電体ナノ粒子が、Cu電極基板を均一に覆い、Cu電極基板界面からの粒成長を引き起こすために最適な膜厚である。スラリーを塗布する方法としては、スプレー法、EPD(電気泳動)法等、上記膜厚範囲を制御できるものであれば制限はないが、nmオーダーの均一な膜を形成するためには、スピンコート法を用いることが特に好ましい。更に、Cu電極基板を均一に覆うことで、Cu層の変形が抑制される。膜厚が20nmよりも薄いと、Cu層の表面を均一に平坦に覆えず島状となってしまい、また、膜厚が70nmを超えると、Cu電極と高い格子整合性を有する基板面に平行な結晶面が(100)面であるペロブスカイト型誘電体ナノ粒子を基点とするCu電極基板との界面からの異方的成長(Cuの配向を受けての成長)がおきず、膜内での均一な粒成長となり、エピタキシャル膜が得られない。そして、ナノ粒子のスラリーが前記膜厚の範囲内で塗布されたCu電極基板を、還元ガス雰囲気の炉において800℃〜900℃で熱処理する。このときの還元ガスとしては、Nガスに対してHが0.5〜1.5vol%程度混合されたH/N混合ガスを用いる。純粋なNガス雰囲気下又はHが0.5%より低い混合ガスでは、Cu下部電極14のCuが酸化されてしまい、逆にHが1.5%よりも多いとペロブスカイト型誘電体中の酸素が抜けて絶縁性が低下してしまうためである。
<具体例>・・・次に、本実施例の薄膜キャパシタ10の製造方法の具体例を示す。まず、耐還元性を付与したBaTiOナノ粒子を、ゾルゲル法により合成する。耐還元性付与のための添加剤としてはMnを用いた。Baエトキシド,Tiイソプロポキシド,Mnエトキシドをそれぞれ、エタノールと2メトキシエタノールの混合溶媒に溶解させる。その際のMn添加量は、仕込みのTiに対して0.5at%〜1at%とする。次に、得られた溶液に水/エタノール混合溶媒を加えることで加水分解を行い、50℃でエージングすることで離液収縮(あるいは「重縮合」ないし「脱水収縮」)によるゲル状のBaTiOを得る。このゲルは、約5nmのナノ粒子で構成されており、各種溶媒に加えて超音波処理することで、容易に単分散化する。また、MnはBaTiO格子内に2価で均一に分布することが確認されている。このゲルを2メトキシエタノールに加えて超音波処理することで、粒子径5nmで粒度分布D50が15nm以下であるMn添加BaTiOナノ粒子の単分散スラリーを形成した。また、比較のため、加水分解条件を変えることで粒子径15nmで粒度分布D50が20nmのMnを0.5at%添加したBaTiOナノ粒子の単分散スラリーを形成した。
次に、電極基板上に誘電体ナノ粒子のスラリーを塗布する。ここでは、前記基板12として、Alを用い、スパッタリング法により室温でCuを成膜することで、(111)エピタキシャル膜が得られる。すなわち、一軸配向性を有するCu下部電極14が得られる。面心立方構造を有するCuは下地となる基板の結晶構造に関わらず、表面エネルギーを低下させるため最密充填面である(111)面を表面とする一軸配向性を示す。また、Cuと基板の間にはCuと基板間の反応抑制、密着性の改善、或いはCuの基板への拡散を抑制するため、必要に応じ、TiN,Ta,TaNなどの層を挿入する。このCu/Al電極基板上に、前記手順に従って作成したBaTiOナノ粒子の単分散スラリーを、スピンコート法により成膜する。スピンコート条件は、回転数1000−1500rpm,回転時間20−30秒とする。塗布の後、Cuの酸化を防ぐため、窒素雰囲気下において500℃で5分間乾燥させ、プリベイクを行う。このようなスピンコート及び中性雰囲気における乾燥を繰り返すことで、合計70nm程度の厚さを有するBaTiO粒子堆積層を形成する。繰り返し回数は、単分散スラリーの濃度にもよるが、本例では、5回の塗布及び乾燥で70nm程度の厚さとなるようにする。
以上のようにしてBaTiO単分散スラリーが塗布されたCu/Al基板(Cu電極基板)を熱処理することにより、粒径5nmのBaTiOナノ粒子をCu電極基板界面からエピタキシャル的に粒成長させて(100)一軸配向のBaTiO誘電体膜を得る。熱処理には、雰囲気制御可能な管状炉を用いる。該管状炉には、1.5%のHを含むH/N混合ガスを流して還元性雰囲気とし、850℃まで3時間程度で昇温し、850℃で2時間保持することで熱処理を行う。熱処理後は、Cuの酸化を防ぐために、100℃以下に炉内温度が下がるまで還元ガスを流し続け、100℃以下になったら誘電体薄膜16が形成された基板を炉内から取り出す。その後、スパッタリングなどにより前記誘電体薄膜16上に、Ptにより上部電極18を形成し、薄膜キャパシタ10を得た。
図2(A)には、以上のようにして得られた誘電体薄膜16の表面のSEM観察像が示されており、図2(B)には、誘電体薄膜16/Cu下部電極14界面のTEM観察像が示されている。これらの観察像から、Cu下部電極14の変形が起こらず、該Cu下部電極14上の誘電体薄膜16が緻密かつ柱状に大きく粒成長していることが分かる。図3(A)には、前記誘電体薄膜16/Cu下部電極14界面のTEM観察像,図3(B)は前記(A)の誘電体薄膜16の部分における電子回折パターン,図3(C)は前記(A)のCu下部電極14の部分における電子回折パターンが示されている。なお、前記図3(A)は前記図2(B)を異なる縮尺度で表したものである。また、図4には、X線回折による極点測定の結果が示されており、基板12上のCu下部電極14の配向状態が示されている。これら図3及び図4に示す結果から、スパッタリングにより形成されたCu下部電極14は、(111)エピタキシャル配向し、該(111)配向しているCu下部電極14上でのBaTiO膜からなる誘電体薄膜16は、(100)に一軸配向していることが確認された。
このように、実施例1によれば、基板12上に、エピタキシャル成長により(111)の一軸配向性を有するCu下部電極14を形成し、該Cu下部電極14上に、粒成長の臨界粒径以下の粒子径を有するとともに耐還元性が付与されたペロブスカイト型誘電体のナノ粒子の単分散スラリーをスピンコート法により塗布する。そして、前記ナノ粒子を窒素雰囲気で乾燥させ、その後、還元性雰囲気で熱処理を行うことにより、前記ナノ粒子を前記Cu下部電極14上でエピタキシャル成長させて一軸配向性を有する誘電体薄膜16を形成することとした。これにより、Cu下部電極14に与えるダメージが少なく変質・変形を抑制できるため、該Cu下部電極14上に形成される誘電体薄膜16の膜質の維持が可能になるという効果がある。また、少ない工程で高結晶性の誘電体薄膜16の作製が可能となる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した薄膜キャパシタ10の形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例で示した基板12及び上部電極18の材料も一例であり、必要に応じて公知の各種の材料を使用してもよい。例えば、前記実施例では、上部電極18としてPtを例に挙げたが、これに限定されるものではなく、他の公知の各種の金属(例えば、Ir,Ruやその合金等)や、ペロブスカイト構造を有する導電性セラミックス,高温超伝導材料などを用いてよい。また、前記実施例では、ペロブスカイト型誘電体としてBaTiOを例に挙げて説明したが、これも一例であり、他のペロブスカイト型誘電体のナノ粒子を利用しても、前記Cu下部電極14上で一軸配向性を有する誘電体薄膜16を得ることが可能である。
(3)前記実施例で示した手順による誘電体薄膜16の成膜後、更にその上に続けて誘電体薄膜を形成する場合には、その成膜条件や方法については、上記方法に限定されず、公知の各種の手法を利用してよい。
(4)前記実施例では、本発明を薄膜キャパシタ10に適用することとしたが、これも一例であり、本発明は、銅の薄膜上に誘電体薄膜を有する構造の薄膜電子部品全般に適用可能である。
本発明によれば、基板上に、(111)の一軸配向性を有する銅の薄膜を形成し、前記銅の薄膜上に、粒成長の臨界粒径以下の粒子径を有するとともに耐還元性が付与されたペロブスカイト型誘電体のナノ粒子を溶媒中に分散させたスラリーをスピンコート法により塗布し、前記ナノ粒子を窒素雰囲気で乾燥させる。その後、還元性雰囲気で熱処理を行うことにより、前記ナノ粒子を前記銅の薄膜上でエピタキシャル成長させて一軸配向性を有する誘電体薄膜を形成することとしたので、銅薄膜上に誘電体薄膜が形成された構造を有する薄膜電子部品の用途に適用できる。特に、ディスクリート薄膜キャパシタや、IPD(Integrated Passive Device)などの用途に好適である。
10:薄膜キャパシタ
12:基板
14:Cu下部電極
16:誘電体薄膜
18:上部電極

Claims (6)

  1. 基板上に、(111)の一軸配向性を有する銅の薄膜を形成し、前記銅の薄膜上に、粒成長の臨界粒径以下の粒子径を有するとともに、添加物により耐還元性を付与されたペロブスカイト型誘電体のナノ粒子を溶媒中に分散させたスラリーを塗布し、窒素雰囲気で乾燥させ、その後、還元性雰囲気で熱処理を行うことにより、前記ナノ粒子を前記銅の薄膜上でエピタキシャル成長させて一軸配向性を有する誘電体薄膜を形成することを特徴とする誘電体薄膜の製造方法。
  2. 前記ペロブスカイト型誘電体が、チタン酸バリウム系誘電体であることを特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜の製造方法。
  3. 前記ナノ粒子のスラリーは、前記還元性雰囲気での熱処理前において膜厚が20〜70nmとなるように、前記銅の薄膜上へ塗布及び窒素雰囲気での乾燥が行われることを特徴とする請求項1又は2記載の誘電体薄膜の製造方法。
  4. 前記還元性雰囲気が、Nに対して0.5〜1.5vol%のHを含むH/N混合ガスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の誘電体薄膜の製造方法。
  5. 前記ペロブスカイト型誘電体のナノ粒子は、粒子径が10nm以下であり、かつ動的光散乱法で測定した場合の粒度分布D50が15nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の誘電体薄膜の製造方法。
  6. 基板上に形成された一軸配向性を有する銅の薄膜からなる下部電極と、
    該下部電極上に形成された一軸配向性を有する誘電体薄膜と、
    該誘電体薄膜上に形成された上部電極と、
    を有する薄膜電子部品であって、
    前記銅の薄膜からなる下部電極及び誘電体薄膜を、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法によって形成したことを特徴とする薄膜電子部品。
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