JP2013210926A - 溝形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工具の回転軸を変更する2軸の制御と、工具を相対移動させる3軸の制御とを同時に行えない5軸のNC工作機械により、ワークの湾曲面に溝を精度よく形成する。
【解決手段】湾曲面30を所定の分割位置32で複数の分割面31に分割する。分割面31を、それぞれ回転軸12の方向と角度を調節した工具10により切削する。工具10により、分割面31に溝22を形成する。分割位置32では、工具10をワーク20から離して、溝22の形成を中断する。ワーク20から離した工具10の回転軸12の方向と角度を、次に切削する分割面31に対応して変更する。工具10を分割位置32に戻して、溝22の形成を再開する。
【選択図】 図4
【解決手段】湾曲面30を所定の分割位置32で複数の分割面31に分割する。分割面31を、それぞれ回転軸12の方向と角度を調節した工具10により切削する。工具10により、分割面31に溝22を形成する。分割位置32では、工具10をワーク20から離して、溝22の形成を中断する。ワーク20から離した工具10の回転軸12の方向と角度を、次に切削する分割面31に対応して変更する。工具10を分割位置32に戻して、溝22の形成を再開する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、工作機械によりワークの湾曲面に溝を形成する溝形成方法に関する。
ワークに各種の加工を行うため、数値制御工作機械(NC(Numerically Controlled)工作機械という)が使用されている。NC工作機械は、数値制御により、工具をワークに対して相対移動させる。このNC工作機械として、従来、直交する3軸方向に工具を移動させる3軸NC工作機械が知られている(特許文献1参照)。
図7は、3軸NC工作機械100によりワーク110を加工する例を示す図である。図7では、ワーク110の断面と3軸NC工作機械100の工具101を示す。
3軸NC工作機械100は、移動する工具101により、ワーク110を目標形状に加工する。ところが、3軸NC工作機械100では、工具101の向きが固定されており、工具101の方向と角度を変更できない。そのため、ワーク110に溝111を形成する際には、ワーク110の加工面112を水平にする必要がある(図7A参照)。これに対し、加工面112が湾曲面や傾斜面であるときには(図7B参照)、加工面112に垂直な溝111を形成することはできない。
3軸NC工作機械100は、移動する工具101により、ワーク110を目標形状に加工する。ところが、3軸NC工作機械100では、工具101の向きが固定されており、工具101の方向と角度を変更できない。そのため、ワーク110に溝111を形成する際には、ワーク110の加工面112を水平にする必要がある(図7A参照)。これに対し、加工面112が湾曲面や傾斜面であるときには(図7B参照)、加工面112に垂直な溝111を形成することはできない。
このように、従来の3軸NC工作機械100では、溝111の形状が制限されることがある。特に、湾曲面や湾曲した傾斜面に溝111を形成するときには、溝111を目標形状に形成できず、溝111同士が繋がらないこともある。従って、3軸NC工作機械100では、ワーク110の湾曲面に溝111を精度よく形成するのは難しい。
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、工具の回転軸を変更する2軸の制御と、工具を相対移動させる3軸の制御とを同時に行えない5軸のNC工作機械により、ワークの湾曲面に溝を精度よく形成することである。
本発明は、工具の回転軸の方向と角度を変更する2軸の制御と、工具をワークに対して直交する3軸方向に相対移動させる3軸の制御とを同時に行えない5軸のNC工作機械により、ワークの湾曲面に溝を形成する溝形成方法であって、湾曲面を所定の分割位置で分割した複数の分割面を、それぞれ回転軸の方向と角度を調節した工具により切削して分割面に溝を形成する形成工程と、分割位置で工具をワークから離して、溝の形成を中断する中断工程と、ワークから離した工具の回転軸の方向と角度を、次に切削する分割面に対応して変更する変更工程と、工具を分割位置に戻して、溝の形成を再開する再開工程と、を有する溝形成方法である。
本発明によれば、工具の回転軸を変更する2軸の制御と、工具を相対移動させる3軸の制御とを同時に行えない5軸のNC工作機械により、ワークの湾曲面に溝を精度よく形成することができる。
本発明の溝形成方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の溝形成方法では、NC工作機械によりワークに溝を形成する。以下、ワークが、発泡樹脂を成形するための金型である場合を例に採り説明する。
本実施形態の溝形成方法では、NC工作機械によりワークに溝を形成する。以下、ワークが、発泡樹脂を成形するための金型である場合を例に採り説明する。
なお、ワークは、NC工作機械により加工する対象物(加工対象物)である。また、発泡樹脂は、発泡性の樹脂であり、金型内に注入される。発泡樹脂は、金型内で発泡して所定形状に成形される。発泡樹脂により、例えば、車両用シートパッドが成形される。車両用シートパッドは、自動車等の車両の座席内に設けられるパッドである。シートパッド用の金型により、シートパッドが成形される。
図1は、本実施形態のNC工作機械1を示す斜視図である。図1では、NC工作機械1の概略構成を示している。
本実施形態のNC工作機械1は、5軸のNC工作機械である。NC工作機械1は、図示のように、一対のコラム2、クロスレール3、テーブル4、サドル5、ラム6、主軸ヘッド7、及び、主軸8を備えている。クロスレール3の両端部は、一対のコラム2に取り付けられている。テーブル4は、一対のコラム2の間に移動可能に設置されている。サドル5は、クロスレール3に移動可能に取り付けられている。ラム6は、サドル5に移動可能に支持されている。主軸ヘッド7は、ラム6の先端部に旋回可能に取り付けられている。主軸8は、駆動軸8Aを介して主軸ヘッド7に連結されている。
本実施形態のNC工作機械1は、5軸のNC工作機械である。NC工作機械1は、図示のように、一対のコラム2、クロスレール3、テーブル4、サドル5、ラム6、主軸ヘッド7、及び、主軸8を備えている。クロスレール3の両端部は、一対のコラム2に取り付けられている。テーブル4は、一対のコラム2の間に移動可能に設置されている。サドル5は、クロスレール3に移動可能に取り付けられている。ラム6は、サドル5に移動可能に支持されている。主軸ヘッド7は、ラム6の先端部に旋回可能に取り付けられている。主軸8は、駆動軸8Aを介して主軸ヘッド7に連結されている。
NC工作機械1は、制御装置9、工具10、及び、駆動装置(図示せず)を備えている。制御装置9は、NC工作機械1の全体を制御する。工具10は、主軸8に取り付けられて、主軸8とともに回転する。駆動装置は、例えば、モータと、モータの動力により可動部を作動させる作動機構(送り機構等)を有する。NC工作機械1は、駆動装置により複数の可動部を駆動する。テーブル4は、水平面内でX軸方向(前後方向)に移動する。サドル5は、クロスレール3により案内されてY軸方向(左右方向)に移動する。ラム6は、サドル5に支持された状態で、Z軸方向(垂直方向)に移動する。主軸ヘッド7は、ラム6の先端部でC軸方向に旋回する。主軸8は、駆動軸8Aを中心にA軸方向に回動する。主軸8は、回転軸を中心に回転する。
工具10は、ワーク20を切削して、ワーク20に溝を形成するための回転加工工具(例えば、エンドミル)である。工具10は、主軸8の回転により、回転軸を中心に回転する。ワーク20は、テーブル4の上面に固定される。NC工作機械1は、回転する工具10により、ワーク20を切削する。その際、テーブル4、サドル5、及び、ラム6の移動により、工具10をワーク20に対して互いに直交する3軸方向(X、Y、Z軸方向)に相対移動させる。回転及び相対移動する工具10により、ワーク20に溝を形成する。また、主軸ヘッド7の旋回と主軸8の回動により、工具10を2軸方向(A、C軸方向)に回動させる。2軸方向の回動により、工具10の回転軸の方向と角度が変更される。
本実施形態の5軸のNC工作機械1は、上記した2軸方向の回動と、3軸方向の相対移動とを同時に制御できないようになっている。即ち、NC工作機械1は、2軸(2軸方向)の制御と3軸(3軸方向)の制御とを同時に行えず、各制御を別個に行う。2軸の制御は、工具10の回転軸の方向と角度を変更するための2つの軸(A軸、C軸)の制御である。3軸の制御は、工具10をワーク20に対して直交する3軸方向に相対移動させるための3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)の制御である。NC工作機械1は、2軸の制御を停止して3軸の制御を行い、3軸の制御を停止して2軸の制御を行う。以下、NC工作機械1により、ワーク20の湾曲面に連続した溝を形成する溝形成方法について説明する。NC工作機械1は、工具10によりワーク20を切削することで、ワーク20に溝を形成する。
図2は、ワーク20を上方からみた平面図である。
ワーク20は、図示のように、帯状の傾斜面21を有する。傾斜面21は、水平面(X−Y面)に対して傾斜した面である。傾斜面21は、所定幅で矩形状に形成されている。傾斜面21は、ワーク20の上面に無端状に形成される。傾斜面21の一部は、湾曲面30になっている。傾斜面21の4つの角部が湾曲して形成されている。NC工作機械1の工具10により、無端状の溝22(図2では点線で示す)を傾斜面21及び湾曲面30に形成する。ここでは、ワーク20の傾斜面21及び湾曲面30に、金型のシール部材が配置される溝22を形成する。
ワーク20は、図示のように、帯状の傾斜面21を有する。傾斜面21は、水平面(X−Y面)に対して傾斜した面である。傾斜面21は、所定幅で矩形状に形成されている。傾斜面21は、ワーク20の上面に無端状に形成される。傾斜面21の一部は、湾曲面30になっている。傾斜面21の4つの角部が湾曲して形成されている。NC工作機械1の工具10により、無端状の溝22(図2では点線で示す)を傾斜面21及び湾曲面30に形成する。ここでは、ワーク20の傾斜面21及び湾曲面30に、金型のシール部材が配置される溝22を形成する。
図3は、ワーク20の傾斜面21に溝22を形成する工具10を示す図である。図3では、図2のF−F線で切断したワーク20を示す。
本実施形態の工具10は、図示のように、先端部11が球形状に形成されたボールエンドミルである。ワーク20は、工具10(先端部11を含む)に設けられた刃(図示せず)により切削される。
本実施形態の工具10は、図示のように、先端部11が球形状に形成されたボールエンドミルである。ワーク20は、工具10(先端部11を含む)に設けられた刃(図示せず)により切削される。
湾曲面30以外の傾斜面21を切削するときには、工具10の回転軸12を、傾斜面21に合わせて傾斜させる。回転軸12の方向と角度を、傾斜面21に対応して変更する。その際、回転軸12が傾斜面21に垂直になるように、回転軸12の方向と角度を調節する。回転軸12を調節した工具10により、傾斜面21を切削して、傾斜面21に溝22を形成する。NC工作機械1により、工具10を、傾斜面21の延びる方向に相対移動させることで、傾斜面21に溝22を連続して形成する。溝22は、傾斜面21に垂直に形成される。
図4は、ワーク20の湾曲面30に溝22を形成する工具10を示す図である。図4では、図2のG方向から見た湾曲面30を模式的に示す。溝22は、ワーク20を透視して点線で示す。なお、図4には、仮想的に、形成済みの溝22を示す。実際には、溝22は、工具10の移動により次第に形成される。
湾曲面30は、図示のように、ワーク20の湾曲した加工対象面である。ここでは、湾曲面30は、ワーク20の傾斜面21に形成された湾曲した傾斜面21である。湾曲面30は、湾曲及び傾斜する。
湾曲面30は、図示のように、ワーク20の湾曲した加工対象面である。ここでは、湾曲面30は、ワーク20の傾斜面21に形成された湾曲した傾斜面21である。湾曲面30は、湾曲及び傾斜する。
湾曲面30を加工するときには、湾曲面30を複数の分割面31に分割する。分割面31は、ワーク20の湾曲面30を所定の分割位置(分割部位)32で分割した分割湾曲面である。分割位置32は、湾曲面30の溝形成経路の所定位置に設定される。従って、分割位置32は、溝22の分割位置でもある。少なくとも1つの分割位置32が、湾曲面30に設定される。複数の分割面31を、それぞれ回転軸12の方向と角度を調節した工具10により切削する。工具10により、複数の分割面31に溝22(分割溝)を順に形成する。
ここでは、1つの分割位置32により、湾曲面30を2つの分割面31A、31Bに分割する。また、工具10の相対移動を分割位置32で停止して、工具10の回転軸12の方向と角度を調節する。回転軸12の方向と角度は、各分割面31A、31Bに対応して調節される。分割面31A、31Bを、それぞれ回転軸12の方向と角度を固定した工具10A、10Bにより切削する。複数の分割面31A、31Bに順に溝22を形成することで、湾曲面30に連続した溝22を形成する。
図5は、回転軸12を調節する工具10を示す図である。
工具10Aは、図示のように、分割面31Aを切削しつつ分割位置32に向かって移動する。分割面31Aには、溝22が形成される。工具10Aが分割位置32に達したときに、工具10Aをワーク20から引き上げる。これにより、分割位置32で、工具10Aをワーク20から一旦離す。工具10による湾曲面30の切削と溝22の形成を中断する。続いて、ワーク20から離した工具10Aの回転軸12の方向と角度を、次に切削する分割面31Bに対応して変更する。回転軸12の方向と角度は、例えば、分割面31Bの方向と角度に合わせて変更する。これにより、工具10Bの回転軸12の方向と角度を調節する。
工具10Aは、図示のように、分割面31Aを切削しつつ分割位置32に向かって移動する。分割面31Aには、溝22が形成される。工具10Aが分割位置32に達したときに、工具10Aをワーク20から引き上げる。これにより、分割位置32で、工具10Aをワーク20から一旦離す。工具10による湾曲面30の切削と溝22の形成を中断する。続いて、ワーク20から離した工具10Aの回転軸12の方向と角度を、次に切削する分割面31Bに対応して変更する。回転軸12の方向と角度は、例えば、分割面31Bの方向と角度に合わせて変更する。これにより、工具10Bの回転軸12の方向と角度を調節する。
次に、回転軸12の方向と角度を変更した工具10Bを分割位置32に再度進入させる。工具10Bを分割位置32のワーク20に戻して、次の分割面31Bの切削を開始する。工具10による湾曲面30の切削と溝22の形成を再開する。分割面31A、31Bの溝22は、分割位置32で繋がる。工具10Bは、次の分割面31Bを切削しつつ分割位置32から離れる。複数の分割面31A、31Bの溝22を繋げることで、ワーク20の湾曲面30に、シール部材が配置される溝22を形成する。
分割位置32で回転軸12の方向と角度を変更するときには、変更後の工具10Bを、変更前の工具10Aよりも、分割位置32の湾曲面30に対して垂直に近づける。即ち、変更後の回転軸12(工具10B)と法線Lとの間の角度を、変更前の回転軸12(工具10A)と法線Lとの間の角度よりも小さくする。法線Lは、分割位置32の湾曲面30の法線である。これにより、工具10Bを、分割位置32の湾曲面30に対し垂直に近い状態にする。分割位置32に戻した工具10により、次の分割面31Bに溝22を精度よく形成する。
分割位置32で溝22の形成を再開するときには、分割位置32に戻す工具10Bの移動方向Dを、分割位置32でワーク20から離す工具10Aの移動方向Uに合わせる。その際、工具10Bの移動方向Dと工具10Aの移動方向Uの間の角度を所定角度(ここでは、0〜5°)に調節する。即ち、工具10Bの移動方向Dを工具10Aの移動方向Uに一致させる。又は、工具10Bの移動方向Dと工具10Aの移動方向Uの間の角度を5°以下にする。その状態で、工具10Bを、移動方向Dに移動させて、分割位置32に戻す。工具10Bは、工具10Aの移動経路に沿って移動しつつ湾曲面30を切削する。このように切削することで、隣り合う分割面31A、31Bの溝22同士を確実に繋げる。また、分割位置32の溝22を精度よく形成する。
図6は、溝22を形成中の工具10を示す図である。
工具10は、図示のように、傾斜面21を切削しつつ湾曲面30の開始位置Sに向かって移動する。湾曲面30の切削を開始するときには、湾曲面30の開始位置Sで、工具10をワーク20から離す。工具10の回転軸12を、分割位置32と同様に、最初の分割面31Aに対応して調節する。工具10Aにより、分割面31Aを切削して、分割面31Aに溝22を形成する。湾曲面30の切削を終了するときには、湾曲面30の終了位置Eで、工具10Bをワーク20から離す。工具10Bの回転軸12を、分割位置32と同様に、次に切削する傾斜面21に対応して調節する。工具10により傾斜面21を切削して、傾斜面21に溝22を形成する。傾斜面21と分割面31の溝22を繋げて、連続した溝22を傾斜面21及び湾曲面30に形成する。
工具10は、図示のように、傾斜面21を切削しつつ湾曲面30の開始位置Sに向かって移動する。湾曲面30の切削を開始するときには、湾曲面30の開始位置Sで、工具10をワーク20から離す。工具10の回転軸12を、分割位置32と同様に、最初の分割面31Aに対応して調節する。工具10Aにより、分割面31Aを切削して、分割面31Aに溝22を形成する。湾曲面30の切削を終了するときには、湾曲面30の終了位置Eで、工具10Bをワーク20から離す。工具10Bの回転軸12を、分割位置32と同様に、次に切削する傾斜面21に対応して調節する。工具10により傾斜面21を切削して、傾斜面21に溝22を形成する。傾斜面21と分割面31の溝22を繋げて、連続した溝22を傾斜面21及び湾曲面30に形成する。
ワーク20を切削するときには、工具10の球形状の先端部11を基準に、工具10の相対移動を制御する。その際、先端部11の中心を通る線を、ワーク20の加工線Kとして使用する。先端部11の中心を、ワーク20に設定された加工線Kに沿って移動させる。これにより、溝22を精度よく形成する。また、溝22の深さを一定に維持する。
湾曲面30は、所定の分割条件に対応して分割される。分割条件は、例えば、湾曲面30の形状、溝22の形状、工具10の形状である。分割位置32は、分割条件に対応して、湾曲面30の溝形成経路の所定位置に設定される。各分割面31が平坦面に近くなるように、湾曲面30が分割位置32で分割される。1つ、又は、複数の分割位置32が、湾曲面30に設定される。湾曲面30は、それぞれ2つ以上に分割される。
工具10の回転軸12の方向と角度は、所定の溝22の形成条件に対応して設定される。形成条件は、例えば、溝22の形状、溝22の方向、溝22の角度、分割面31の形状、分割面31の方向、分割面31の角度、工具10の形状である。回転軸12の方向と角度は、溝22の形成条件に対応して、変更及び調節される。溝22の目標形状と実際の溝22の形成形状が近似するように、回転軸12の方向と角度が設定される。
湾曲面30の分割位置32、工具10の移動経路、回転軸12の方向、及び、回転軸12の角度は、制御装置9に予め設定される。NC工作機械1に対するNCデータ(NCプログラム)が作成されて、制御装置9に予め入力される。制御装置9は、NCデータに基づいてNC工作機械1を制御する。NC工作機械1は、NCデータに基づいてワーク20に溝22を形成する。
以上説明したように、本実施形態の溝形成方法では、湾曲面30を分割した複数の分割面31を、それぞれ回転軸12の方向と角度を調節した工具10により切削する。そのため、ワーク20の湾曲面30に溝22を精度よく形成できる。また、溝22の形状と寸法の精度を向上させることができる。湾曲面30が湾曲した傾斜面21であるときでも、溝22を精度よく形成できる。
なお、5軸を同時に制御可能なNC工作機械(同時制御機という)であれば、溝22を連続して形成できる。しかしながら、そのような同時制御機は高価である。また、同時制御機では、大型(例えば、1m×1m以上)のワーク20を精度よく加工するのは困難である。これに対し、本実施形態では、簡便かつ安価なNC工作機械1により、大型のワーク20に溝22を精度よく形成できる。より小型のワーク20に対しても、溝22を同時制御機に近い高い精度で形成できる。
分割位置32は、湾曲面30に2つ以上設定してもよい。この場合には、湾曲面30は、3つ以上の分割面31に分割される。溝22は、直線状に形成してもよく、カーブさせて曲線状に形成してもよい。カーブする溝22を、加工対象面(湾曲面30や湾曲した傾斜面21)に形成するときには、溝22のカーブに対応して、加工対象面に分割位置32を設定する。溝22を分割位置32で複数に分割する。分割面31の溝22を順に形成して、カーブした溝22を形成する。
分割面31の溝22は、工具10により1回切削して形成する。ただし、溝22は、幅方向又は深さ方向に複数回切削して形成するようにしてもよい。工具10は、エンドミル以外の溝22を形成可能な工具であってもよい。工具10がエンドミルであるときには、各種のエンドミルを使用することができる。
1・・・NC工作機械、2・・・コラム、3・・・クロスレール、4・・・テーブル、5・・・サドル、6・・・ラム、7・・・主軸ヘッド、8・・・主軸、8A・・・駆動軸、9・・・制御装置、10・・・工具、11・・・先端部、12・・・回転軸、20・・・ワーク、21・・・傾斜面、22・・・溝、30・・・湾曲面、31・・・分割面、32・・・分割位置、L・・・法線。
Claims (6)
- 工具の回転軸の方向と角度を変更する2軸の制御と、工具をワークに対して直交する3軸方向に相対移動させる3軸の制御とを同時に行えない5軸のNC工作機械により、ワークの湾曲面に溝を形成する溝形成方法であって、
湾曲面を所定の分割位置で分割した複数の分割面を、それぞれ回転軸の方向と角度を調節した工具により切削して分割面に溝を形成する形成工程と、
分割位置で工具をワークから離して、溝の形成を中断する中断工程と、
ワークから離した工具の回転軸の方向と角度を、次に切削する分割面に対応して変更する変更工程と、
工具を分割位置に戻して、溝の形成を再開する再開工程と、
を有する溝形成方法。 - 請求項1に記載された溝形成方法において、
前記変更工程が、変更後の回転軸と分割位置の湾曲面の法線との間の角度を、変更前の回転軸と分割位置の湾曲面の法線との間の角度よりも小さくする工程を有する溝形成方法。 - 請求項1又は2に記載された溝形成方法において、
前記再開工程が、工具の移動方向を前記中断工程の工具の移動方向に一致させて、又は、工具の移動方向と前記中断工程の工具の移動方向の間の角度を5°以下にして、工具を分割位置に戻す工程を有する溝形成方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載された溝形成方法において、
ワークの湾曲面が、ワークの傾斜面に形成された湾曲した傾斜面である溝形成方法。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載された溝形成方法において、
ワークが、発泡樹脂を成形する金型である溝形成方法。 - 請求項5に記載された溝形成方法において、
ワークに形成する溝が、金型のシール部材が配置される溝である溝形成方法。
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