JP2013207979A - 回転機および電動機の駆動方法並びに電動機駆動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 永久磁石から出た磁束を有効に利用することができ、効率良くトルクを発生することができる回転機を提供する。
【解決手段】回転機1は複数の磁極部4を有する固定子2と回転子3を備え、各磁極部4は永久磁石5と一対の磁性部材6,7を有するティース8と巻線9を含み、各永久磁石5は固定子2の半径方向両側で開放され、回転子3は第1突極部13と第2突極部14を含み、第2突極部14は、永久磁石5の反回転方向側に位置する磁性部材6に対して第1突極部13が回転方向に沿って重ならない状態の少なくとも一部で磁性部材6に対して回転方向に沿って重なり、磁性部材6に対して第1突極部13が回転方向に沿って重なる状態では反回転方向側に位置する磁性部材6に対して回転方向に沿って重ならないように設けられ、第2突極部14と磁性部材6の間隔は第1突極部13と磁性部材6の間隔よりも大きい。
【選択図】図2

Description

本発明は、永久磁石を用いた回転機および永久磁石を用いた電動機を駆動させる電動機の駆動方法並びに永久磁石を用いた電動機を含む電動機駆動システムに関する。
回転機の一つとして、コンプレッサ、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等に用いられる電動機がある。
電動機201の例として、図21に示すように、円環状の固定子202と、固定子202の中心を回転中心軸として回転する回転子203とを備えるものがある(特許文献1参照)。
固定子202は、固定子コア204と永久磁石205と巻線206とからなる。
固定子コア204は、複数(図21では6個)のティース207と、ティース207の外側(回転子203と反対側)を囲む円環状のヨーク208とを有する。ティース207には、回転子203側(中心軸側である。)が開口して固定子202の半径方向に延伸する溝209が周方向の略中央に形成されている。永久磁石205は、ティース207の溝209に収容され、この状態で、永久磁石205およびティース207が巻線206により集中巻きされている。ここでは、永久磁石205は周方向に着磁されている。
回転子203は、周方向に等間隔をおいて固定子202側へと突出する突極部210を複数有する(図21では5個である。)。
特開2002−199679号公報
しかしながら、図21に示すような構造の電動機201では、効率良くトルクを発生することができないという問題がある。
つまり、上記電動機201では、各ティース207の周方向の中央に、周方向に着磁された永久磁石205を配置する構成を採用している。このため、永久磁石205のN極から出てS極に戻る磁路が、空気よりも透磁率の高い材料で形成されたヨーク208により短絡されることになる。
従って、永久磁石205のN極から出た磁束の多くは、透磁率の高い材料で形成されたヨーク208を通ってS極へと戻ってしまい、回転子203側へ流れる磁束が減少してしまう。
このように、永久磁石205から出た磁束は有効に利用されず、効率良くトルクを発生しているとは言えない。
本発明は、効率良くトルクを発生することができる回転機および電動機の駆動方法並びに電動機駆動システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る回転機は、複数の磁極部を円周上に配置してなる固定子と、前記固定子の中心と同軸に配された回転子とを備える回転機において、前記各磁極部は、ティースと当該ティースに対して集中巻された巻線とを含み、前記ティースは、永久磁石と、前記固定子の周方向であって前記永久磁石の両側に配された一対の磁性部材とを有し、前記各永久磁石は、前記固定子の中心に垂直な断面において、前記固定子の半径方向両側で開放されており、前記回転子は、環状のヨーク部と、当該ヨーク部から前記固定子側に突出する第1突極部と、前記ヨーク部における前記第1突極部よりも回転方向側に位置する部位から前記固定子側に突出する第2突極部とを含み、前記第2突極部は、前記永久磁石の反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重ならない状態の少なくとも一部で前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重なり、前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重なる状態では前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重ならないように設けられ、前記第2突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔は、前記第1突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔よりも大きい。
本発明の一態様に係る電動機駆動方法は、電動機を駆動する電動機駆動方法であって、前記電動機は、複数の磁極部を円周上に配置してなる固定子と、前記固定子の中心と同軸に配された回転子とを備え、前記各磁極部は、ティースと当該ティースに対して集中巻された巻線とを含み、前記ティースは、永久磁石と、前記固定子の周方向であって前記永久磁石の両側に配された一対の磁性部材とを有し、前記各永久磁石は、前記固定子の中心に垂直な断面において、前記固定子の半径方向両側で開放されており、前記回転子は、環状のヨーク部と、当該ヨーク部から前記固定子側に突出する第1突極部と、前記ヨーク部における前記第1突極部よりも回転方向側に位置する部位から前記固定子側に突出する第2突極部とを含み、前記第2突極部は、前記永久磁石の反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重ならない状態の少なくとも一部で前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重なり、前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重なる状態では前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重ならないように設けられ、前記第2突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔は、前記第1突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔よりも大きく、前記固定子の各巻線に電流を流さない状態で前記回転子を回転させた場合に各巻線に誘起される電圧の位相を基準としたとき、前記基準の位相よりも遅れた位相を有する電流を、前記固定子の各巻線に流す。
本発明の一態様に係る電動機駆動システムは、電動機と前記電動機を駆動する駆動装置とを備える電動機駆動システムであって、前記電動機は、複数の磁極部を円周上に配置してなる固定子と、前記固定子の中心と同軸に配された回転子とを備え、前記各磁極部は、ティースと当該ティースに対して集中巻された巻線とを含み、前記ティースは、永久磁石と、前記固定子の周方向であって前記永久磁石の両側に配された一対の磁性部材とを有し、前記各永久磁石は、前記固定子の中心に垂直な断面において、前記固定子の半径方向両側で開放されており、前記回転子は、環状のヨーク部と、当該ヨーク部から前記固定子側に突出する第1突極部と、前記ヨーク部における前記第1突極部よりも回転方向側に位置する部位から前記固定子側に突出する第2突極部とを含み、前記第2突極部は、前記永久磁石の反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重ならない状態の少なくとも一部で前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重なり、前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重なる状態では前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重ならないように設けられ、前記第2突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔は、前記第1突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔よりも大きく、前記駆動装置は、前記固定子の各巻線に電流を流さない状態で前記回転子を回転させた場合に各巻線に誘起される電圧の位相を基準としたとき、前記基準の位相よりも遅れた位相を有する電流を、前記固定子の各巻線に流す。
上記構成によれば、磁極部の永久磁石は、固定子の半径方向の両端が開放しているため、永久磁石から出た磁束を有効に利用することができ、効率良くトルクを発生することができる。
第1の実施形態に係る電動機の分解斜視図 第1の実施形態に係る電動機の断面図 回転子の詳細図 第1の実施形態の電動機について通電における同等トルク時の永久磁石の磁束密度の変化を示した図 磁路確保と最大トルクの発生のタイミングを説明する図 図19に示す電動機において巻線に通電してトルクを発生させた場合の電動機の内部の磁束の様子を示した図 第2の実施形態に係る電動機の断面図 回転子の詳細図 第2の実施形態の電動機について通電における同等トルク時の永久磁石の磁束密度の変化を示した図 第3の実施形態に係る電動機駆動システムの構成図 電動機の無通電回転時における誘起電圧を示す波形図 駆動装置から電動機に供給する電流を示す波形図 駆動装置の動作、特にPWM制御部の動作を示すフローチャート 電動機のトルクと電流位相の関係を示した図 駆動装置から電動機に供給する電流を示す波形図 駆動装置の動作、特にPWM制御部の動作を示すフローチャート 電動機のトルクと電流位相の関係を示した図 第2突極部の形状の変形例を示す図 発明者が検討した電動機の断面図 図19に示す電動機において最大トルクを発生する直前の様子を示す図 従来の電動機の断面図
<本発明に係る一態様を得るに至った経緯>
発明者は、図21に示した電動機201における課題に鑑み、永久磁石から出た磁束の有効利用について鋭意研究を重ねた。
図19は、検討した電動機の断面図である。
電動機251は、固定子252の内側にインナーロータ型の回転子253を備え、永久磁石254における回転子253側(内側)と回転子253の反対側(外側)とが固定子コア255に覆われずに開放された構成のものである。
この構成において、固定子252は、固定子コア255、永久磁石254および巻線256を備える。
固定子コア255は、半径方向に延伸する1対の延伸部257と、一対の延伸部257の回転子253と反対側の端部を連結する連結部258とを有する「U」字状をし、周方向に等間隔をおいて配されている。
永久磁石254は、横断面形状が矩形状をし、その長手方向が半径方向と一致するように、周方向に隣接する2つの固定子コア255間に配されている。
巻線256は、永久磁石254と、当該永久磁石254の両側に配された固定子コア255の延伸部257とに対して巻回されている。なお、固定子コア255の連結部258は、巻線256よりも外側で、一対の延伸部257を連結している。
回転子253は、軟磁性体からなり、横断面形状が円環状をしたヨーク部260と、ヨーク部260から固定子252側に突出する複数の突極部261とを備える。複数の突極部261は、周方向に等間隔をおいて形成されている。
この電動機251は、図21に示す電動機201と異なり、固定子252の横断面において、永久磁石254を周方向から挟む2つの延伸部257同士が、永久磁石254の半径方向の両側で連結されていない。
このため、永久磁石254から、隣接する延伸部257の一方に進行した磁束は、他方の延伸部257に進行することができなくなる。つまり、固定子コア255が永久磁石254の磁路を短絡していない分、電動機201よりも、永久磁石254から回転子253へと流れる磁束を増加させることができる。
これにより、図21に示す電動機201に比べて、永久磁石254の磁束を有効に利用することができ、回転子253で発生するトルクを高くすることができる。
しかしながら、発明者はさらに研究を進めた結果、上記した電動機251では、高トルクを発生させるために大電流を流すと、永久磁石が減磁しやすいという問題が生じることが判明した。
この様子を図20に示す磁界の模式図を用いて説明する。
図20は、図19に示す電動機251において、回転子253の突極部261が回転して、固定子252の永久磁石254側に近接し、固定子コア255aの延伸部257aに対して最大トルクを発生する直前の様子である。
図20に示すように、永久磁石254のN極に隣接した固定子コア255aの延伸部257aが、回転子253の突極部261と離れていて、永久磁石254の磁束が流れる磁路の磁気抵抗が大きいときに、巻線256に大電流が流れて永久磁石254の磁束を打ち消す成分の磁界(所謂、逆磁界である。)が作用すると、永久磁石254は減磁する可能性がある。
本明細書において開示される回転機もしくは電動機の駆動方法または電動機駆動システムによると、さらに耐減磁力の向上を図ることができる。
本発明に係る一形態を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る電動機について、図1〜図3を参照して以下に説明する。
図1は第1の実施形態に係る電動機の分解斜視図であり、図2は第1の実施形態に係る電動機の断面図であり、図3は回転子の詳細図である。
1.全体構成
電動機1は、図1および図2に示すように、複数の磁極部4を円周上に配置してなる環状の固定子2と、固定子2の中心と同軸に配された回転子3とを備える。なお、固定子2の中心は回転子3の回転中心軸であり、以下、「回転中心軸」とし符号Oを用いる。
本実施形態における電動機1は、回転子3が固定子2の外側で回転するアウターロータ型であり、複数の磁極部4が発生する磁界により回転子3が所定の方向に回転する。
磁極部4は、ティース8とティース8に対して集中巻された巻線9とを有する。
本実施形態での電動機1は、例えば、3相巻線を備える3相電動機である。巻線9は、3相巻線を構成し、U層9a,9d、W層9b,9e、V層9c,9fの6個である。各層の巻線9a〜9fが巻回されているティースの符号を、その巻線の符号に含まれるアルファベットを「8」に付加して、例えば「8a」と表し、各層の巻線9a〜9fを含む磁極部の符号を、ティースと同様に、その巻線の符号に含まれるアルファベットを「4」に付加して、例えば「4a」と表す。
ティース8a〜8fは、永久磁石5a〜5fと、固定子2の周方向であって永久磁石5a〜5fの両側に配された一対の磁性部材6,7とを有する。永久磁石5a〜5fは、回転中心軸Oと直交する断面(横断面)において、固定子2の半径方向の両側が開放されている。つまり、横断面において、一対の磁性部材6,7は、固定子2の半径方向の両側(永久磁石5a〜5fの半径方向の延伸上)で連結されていない。なお、永久磁石の符号に含まれるアルファベットは、当該永久磁石が含まれている磁極部4a〜4fの符号に付されたアルファベットに対応している。
ここで、磁極部4a〜4fを構成する2つの磁性部材6,7について、磁性部材6,7が含まれる磁極部4a〜4f内の永久磁石5a〜5fを基準にして、回転子3の回転方向(反時計回りの方向)に存する磁性部材の符号を「7」とし、回転子3の反回転方向(時計回りの方向)に存する磁性部材の符号を「6」とする。
また、固定子2の周方向に隣接する2つの構成(例えば、上記の2つの磁性部材である。)を説明する場合、周方向に沿って回転方向に移動したときに出会う構成(例えば、磁性部材6である。)がある側を「回転方向側」や「前方側」といい、反回転方向に移動したときに出会う構成(例えば、磁性部材7である。)がある側を「反回転方向側」や「後方側」という。
また、ある構成において半径方向を説明する場合において、回転中心軸Oに近い側を内側と、回転中心軸Oから離れる側を外側として説明することもある。
回転子3は、環状のヨーク部12と、ヨーク部12から固定子2側に突出する第1突極部13と、ヨーク部12における第1突極部13よりも回転方向前方側に位置する部位から固定子2側に突出する第2突極部14とを有する。
ここで、第2突極部14は、永久磁石5a〜5fの反回転方向側に位置する磁性部材6に対して第1突極部13が回転方向に沿って重ならない状態では前記反回転方向側に位置する磁性部材6に対して回転方向に沿って重なり、前記反回転方向側に位置する磁性部材6に対して第1突極部13が回転方向に沿って重なる状態では前記反回転方向側に位置する磁性部材6に対して回転方向に沿って重ならないように設けられている。
なお、第1突極部13と第2突極部14との両方が磁性部材6に重ならい状態があることを考慮すると、第2突極部14は、永久磁石5a〜5fの反回転方向側に位置する磁性部材6に対して第1突極部13が回転方向に沿って重ならない状態の少なくとも一部で前記反回転方向側に位置する磁性部材6に対して回転方向に沿って重なる状態があれば良い。
また、第2突極部14と永久磁石5a〜5fの反回転方向側に位置する磁性部材6との半径方向の間隔は、第1突極部13と前記反回転方向側に位置する磁性部材6との半径方向の間隔よりも大きくなっている。
なお、図1に示すように、固定子2の各磁極部4a〜4fは、回転中心軸Oの延伸する方向(以下、「中心軸方向」ともいう。)の一方の端部において円環部材15に取り付けられている。回転子3のヨーク部12には、中心軸方向の他方の端部(ここでは円環部材15が取り付けられている側と反対側の端部である。)において円環部材16が取り付けられている。
2.各部構成
各部の構成について具体的に説明する。
本実施形態では、回転子3は回転中心軸Oの回りを反時計方向(図2の矢印Aの方向である。)に回転する(反時計回りに回転するともいう。)。
(1)固定子
固定子2について、図2を参照して説明する。
固定子2は、固定子2の周方向に間隔をおいて配された偶数個の永久磁石5a〜5fと、周方向に隣接する永久磁石5a〜5f間に配された偶数個の固定子コア10と、偶数本(偶数個)の巻線9とを有する。
永久磁石5a〜5fと固定子コア10の個数および巻線9a〜9fの個数(本数)は同じであり、ここでは、6個(6本)である。
(a)永久磁石
永久磁石5a〜5fは、希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石等を利用することができる。永久磁石5a〜5fの着磁の向きは固定子2の周方向である。永久磁石5a〜5fの形状は特に限定するものではないが、着磁の向きを考慮すると、固定子2の半径方向に長い長尺状が好ましい。ここでは、永久磁石5a〜5fの横断面形状は矩形状をしている。永久磁石5a〜5fは、その長手方向が固定子2の半径方向と一致するように配される。つまり、永久磁石5a〜5fは、固定子2の半径方向に延伸するように配されている。
永久磁石5a〜5fの配置(向き)は、固定子2の周方向に隣接する2つの永久磁石5a〜5fが互いに同じ極を向い合わせように行われる。つまり、2つの永久磁石において対向する面の極性が同じになるように配される。
(b)固定子コア
固定子コア10は、固定子2の半径方向に延伸する2つの延伸部(6,7)を固定子2の周方向に間隔をおいて有する。具体的には、固定子2の周方向に隣接する2つの永久磁石5a〜5fにおいて、回転方向側に位置する永久磁石5a〜5fに沿って延伸する延伸部(6)と、反回転方向側に位置する永久磁石5a〜5fに沿って延伸する延伸部(7)とを有する。なお、延伸部は、ティース8a〜8fを構成する一対の磁性部材6,7を構成するため、延伸部の符号として「6」、「7」を用いる。
固定子コア10は、さらに、2つの延伸部6,7における回転中心軸O側の端部を連結する連結部11を有する。ここでは、固定子コア10は、2つの延伸部6,7と連結部11とを一体として備える1つの部材として構成されている。
本実施形態における固定子コア10の断面形状は、回転子3側が開口する「U」字状をしている。
各延伸部6,7における回転子3側の端部は、永久磁石5a〜5fにおける回転子3側の端部よりも回転子3側(外側)に張り出している。換言すると、永久磁石5a〜5fの回転子3側の端面は、固定子2の外周縁よりも中心軸O側に位置している。
ここで、ティース8a〜8fは、永久磁石5a〜5fと、永久磁石5a〜5fの回転方向側に配された固定子コア10の延伸部(磁性部材)6と、同じ永久磁石5a〜5fの反回転方向側に配された固定子コア10の延伸部(磁性部材)7とから構成される。本実施形態では、ティース8a〜8fは、永久磁石5a〜5fの個数と同じ6個あり、延伸部(磁性部材)6,7は合計で12個ある。
(c)巻線
巻線9a〜9fは、各ティース8a〜8fに対して、磁性部材6,7および永久磁石5a〜5fを覆うように巻回されている。ここでの巻回方法は集中巻きである。巻線9は、固定子2の周方向に、U相、V相、W相の順で配されている。
(2)回転子
回転子3は、図2に示すように、円環状の断面形状を有し、固定子2の外側に配されている。回転子3は、軟磁性材料で構成されている。
回転子3は、断面形状が円環状をしたヨーク部12と、ヨーク部12から回転子2側に突出する第1突極部13と第2突極部14とを有する。なお、第1突極部13と第2突極部14とは、ヨーク部12の周方向に間隔をおいて設けられている。
第1突極部13は、固定子2との磁気相互作用により、トルクを発生させるためのものである。第1突極部13は、図2に示すように、ヨーク部12の周方向に間隔をおいて複数個形成されている。ここでは、間隔は等間隔であり、合計で7個ある。第1突極部13の個数は、永久磁石5a〜5fの個数や、磁性部材6,7等のピッチなどから決定される。
第2突極部14は、第1突極部13が磁性部材6に近づき(この第1突極部13が近付いている磁性部材6を、以下、「対象の磁性部材」とする。)、第1突極部13が対象の磁性部材6に回転方向に重なる直前に、対象の磁性部材6との間で磁路を確保するためのものである。
なお、上記の対象の磁性部材6は、特定の1つの磁性部材6を指すのではなく、すべての磁性部材6に対するものであり、複数個ある第1突極部13の1つに注目して、この第1突極部13が複数個ある磁性部材6のどれかに近づいた状態を指している。
第2突極部14は、図2に示すように、ヨーク部12の周方向に間隔をおいて複数個形成されている。ここでは、間隔は等間隔であり、第1突極部13の個数と同じ個数であり、合計で7個ある。
第2突極部14の個数は、特に限定するものではないが、第1突極部13と同じ個数が好ましく、ヨーク部12の周方向に隣接するすべての第1突極部13間に存することが好ましい。
第1突極部13と第2突極部14とは上述のように機能が異なるため、ヨーク部12からの固定子2側への突出量やヨーク部12上での形成位置が異なる。
第1突極部13および第2突極部14の突出量および形成位置について、図3を参照して説明する。
(a)突出量
図3では、磁性部材6,7の外側端を最大外径とする円で示し、この円は固定子2の最外周と一致する。
第1突極部13の突出先端(固定子2側の端である。)の内径と、固定子2の最外周(磁性部材6,7)の外径との差をエアギャップ寸法G1とし、第2突極部14の突出先端(固定子2側の端である。)の内径と、固定子2の最外周(磁性部材6,7)の外径との差をエアギャップ寸法G2とし、第1突極部13および第2突極部14が存しないヨーク部12の内径と、固定子2の最外周(磁性部材6,7)の外径との差をエアギャップ寸法G3とすると、G1 < G2 < G3 の関係がある。
なお、エアギャップ寸法G1は第1突極部13と対象の磁性部材6との半径方向の間隔に相当し、エアギャップ寸法G2は第2突極部14と磁性部材6との半径方向の間隔に相当する。
各エアギャップ寸法の関係について説明する。
まず、第1突極部13は、トルク発生用であるため固定子2とのエアギャップ寸法G1は小さい。
第2突極部14は磁路確保用であるため、固定子2とのエアギャップ寸法G2がエアギャップ寸法G1と同等である場合、第1突極部13と磁極部4a〜4fとの間で生じるトルクを低下させるおそれがある。このため、エアギャップ寸法G2はエアギャップ寸法G1よりも大きい。逆に、エアギャップ寸法G2が、エアギャップ寸法G3と同等である場合、磁極部4a〜4fとの間で磁路を確保することができないため、エアギャップ寸法G2はエアギャップ寸法G3よりも小さい。
(b)形成位置
第1突極部13は、各磁極部4a〜4fに電流が流れ、最大電流又は最大電流値に近い電流値が流れた際に、磁極部4a〜4fに発生した磁気力により回転力が最大に促進される位置に存するように設けられている。
第1突極部13が対象の磁性部材6と対向する領域を有しない状態では、第2突極部14は対象の磁性部材6と対向する領域を有し、第1突極部13が対象の磁性部材6と対向する領域を有する状態では、第2突極部14が対象の磁性部材6と対向する領域を有しない。
実施形態では、第1突極部13と、当該第1突極部13の回転方向前方に位置する第2突極部14との周方向の間隔は、磁性部材6における固定子2の周方向の長さよりも大きい。ここでの第1突極部13と第2突極部14との周方向の間隔は、第1突極部13の回転方向側の端と、第2突極部14の反回転方向側の端との間隔であって第1突極部13の最内周上の周方向の長さである。磁性部材6の長さは、磁性部材6における反回転方向側の端と、回転方向側の端との間隔であって固定子2の最外周上の周方向の長さである。なお、第2突極部14については、突出量が第1突極部13よりも少ないが、第2突極部14をそのまま固定子側に延伸させた最内周との交点が第2突極部14の反回転方向の端に相当する。
角度の観点からは、第1突極部13の回転方向側の端と回転中心軸Oとを結ぶ線分と第2突極部14の反回転方向側の端と回転中心軸Oとを結ぶ線分との間の角度が、磁性部材6における反回転方向側の端と回転中心軸Oと回転方向側の端と回転中心軸Oとを結ぶ線分との間の角度よりも大きい。
本実施形態における第2突極部14は、ヨーク部12の周方向に隣接する2つの第1突極部13間の中間に設けられている。つまり、ヨーク部12の周方向に隣接する2つの第1突極部13に対して、第2突極部14と回転方向側の第1突極部13との間の角度Xが、第2突極部14と反回転方向側の第1突極部13との間の角度Yと同じになっている。
なお、角度Xは、回転方向側の第1突極部13の周方向の中央と回転中心軸Oとを結ぶ仮想線K1と、第2突極部14の周方向の中央と回転中心軸Oとを結ぶ仮想線K2との間の角度である。角度Yは、反回転方向の第1突極部13の周方向の中央と回転中心軸Oとを結ぶ仮想線K3と仮想線K2との間の角度である。
3.実施例
本実施形態に係る一例である実施例について説明する。
永久磁石5a〜5fは、フェライト磁石であり、エネルギー積が約42[kJ/m3]である。固定子2の固定子コア10には、電磁鋼板35A300が用いられている。回転子3には、電磁鋼板35A300が用いられている。
固定子2の最外周、つまり、磁性部材6,7の最大半径R1は、55[mm]である。エアギャップ寸法G1は、0.5[mm]であり、エアギャップ寸法G2は1.7[mm]であり、エアギャップ寸法G3は5.5[mm]である。
第1突極部13と第2突極部14はそれぞれ7個ある。隣接する第1突極部13間の角度および隣接する第2突極部14の角度は約51.4[deg](360/7)である。第2突極部14と第1突極部13との配置位置は、角度X、角度Yとも約25.7[deg]である。
4.回転動作について
(1)トルク発生
磁性部材6,7の先端部の反回転側に第1突極部13が位置しており、巻線9a〜9fに通電することで当該第1突極部13が磁極部4a〜4fに引きつけら、回転子3に回転方向のトルクが発生する。
永久磁石5a〜5fにおいて固定子2の半径方向の端面(永久磁石5a〜5fの外側および内側の端面)が開放された状態となっている。ここでの「開放された」とは、永久磁石5a〜5fの端面が、空気の透磁率よりも高い透磁率を有する材料と接触していないことを指す。
換言すると、固定子2の磁極部4a〜4fは、永久磁石5a〜5fをその長軸を固定子2の半径方向に延伸する状態で備え、横断面において、永久磁石5a〜5fの両側に配された2つの磁性部材6,7同士が別の固定子コア10で構成されている。このため、磁性部材6,7同士は、半径方向の両側で連結されていない構造となる。
つまり、磁極部4a〜4fを構成する一対の磁性部材6,7同士が磁気的に結合していない構造をしている。ここでの「磁気的に結合していない」とは、磁性部材6,7が、固定子コア10の透磁率と同等以上の透磁率を有する材料により結合されていないことを指す。
これにより、永久磁石5a〜5fの内側の端部側では、永久磁石5a〜5fから磁性部材6,7に出た磁束が当該永久磁石5a〜5fを挟んだ反対側の磁性部材6,7へと短絡する磁路がない。
従って、永久磁石5a〜5fの磁束がトルク発生に寄与しない方向ではなく、磁性部材6,7の先端側に流れ、永久磁石5a〜5fから出た磁束を有効に利用することができる。
(2)減磁
回転子3は、磁界形成用の磁性部材6の反回転側に第1突極部13が近付いたときに、当該磁性部材6と回転方向に沿って重なる位置に、エアギャップ寸法G2がエアギャップ寸法G1より大きな第2突極部14を有している。
これにより、磁極部4a〜4fに最大電流又は最大電流値に近い電流値の電流が流れる際に、磁性部材6の先端部と、第2突極部14との間隔が近くなり、永久磁石5a〜5fの磁路の磁気抵抗が小さくなる(第2突極部14が存しないものに比べて、磁路が形成されていると言える。)。このため、磁極部4a〜4fに最大電流又は最大電流値に近い電流が流れ、永久磁石5a〜5fに対して逆磁界が作用しても、永久磁石5a〜5fの減磁を抑制する(耐減磁特性を向上させる)ことができる。
なお、エアギャップ寸法G2は、磁性部材6から第2突極部14へと磁束が流れるおそれもあるが、トルク発生に必要な磁束を確保するのに悪影響を及ぼさないように設定されている。
図4は、通電における同等トルク時の永久磁石の磁束密度の最小値の変化を示した図であり、(a)は本実施形態に係る電動機、(b)は従来例における電動機を示す。
なお、(a)で示す拡大部分は実施形態の磁極部4aであり、(b)で示す拡大部分は実施形態の磁極部4aに相当する部分である。
図4は、電流を電気角1周期通電したときの永久磁石の配向(N極S極の向き)中心の半径方向線上での磁束密度の最小値を磁界解析で計算したものである。なお、本実施形態に係る電動機では、定格電流で最大トルクとなる電流位相は誘起電圧の位相から30deg遅れた−30degとし、従来例における電動機では、同定格電流で最大トルクとなる電流位相は誘起電圧の位相から20deg遅れた−20degとした。
図4の縦軸は磁束密度、横軸は電気角とし、実線で磁束密度の最小値の変化を、破線で磁束密度の最小値の平均値を示す。なお、従来例は、本実施形態で説明した回転子3において第2突極部14を有していない電動機である。
本実施形態では、図4の(a)に示すとおり、磁束密度の最小値が0.31[T]、磁束密度の最小値の平均値が0.41[T]である。これに対し、従来例では、図4の(b)に示すとおり、磁束密度の最小値が0.28T、磁束密度の最小値の平均値が0.38Tである。
このように、永久磁石5a〜5fの磁束密度の最小値、最小値の平均値とも、本実施形態の方が高く、減磁に対して余裕(耐減磁性)があることがわかる。
従って、第2突極部14は主に磁路を確保(磁気抵抗を小さく)し、永久磁石5a〜5fの逆磁界に対する耐減磁性の確保に寄与していると言える。
また、回転子3と対向した永久磁石5a〜5fの端面が、磁性部材6,7の外側端よりも回転子3から離れている(回転中心軸Oに近い)。このため、回転子3の第1突極部13からの磁束が永久磁石5a〜5fに直接作用することがなく、磁性部材6,7側に流れるため、永久磁石5a〜5fの耐減磁性がさらに向上する。なお、ここでの永久磁石5a〜5fの端面と磁性部材6,7の外側端との間隔(固定子2の半径方向の距離である。)は、磁性部材6,7との間で磁路が形成されない距離である。
(3)磁路確保と最大トルクの発生について
図5は、磁路確保と最大トルクの発生のタイミングを説明する図である。
同図の(a−1)、(a−2)、(a−3)は本実施形態で説明した電動機1(実施形態例ともいう)であり、(b−1)、(b−2)、(b−3)は本実施形態で説明した回転子3において第2突極部14を有していない回転子271を備える電動機(従来例ともいう。)である。
(a−1)と(a−2)とは、回転子2,271の第1突極部13,273が磁性部材6に対して最大トルクを発生する前の状態を示しており、第1突極部13,273とも磁性部材6に対して同じ位置に存する。
(b−1)と(b−2)とは、巻線9に流れる電流値が最大値に近い状態(最大トルクを発する直前の状態)を示しており、回転子2,271の第1突極部13,273は磁性部材6に対して、(a−1)、(a−2)よりも近づいている。なお、第1突極部13,273とも磁性部材6に対して同じ位置に存する。
(c−1)と(c−2)とは、回転子2,271の第1突極部13,273が磁性部材6に対して最大トルクを発生した状態を示しており、第1突極部13,273とも磁性部材6に対して同じ位置に存する。
なお、図5では、特定箇所の磁極部を指しているのでないため、アルファベット「a」〜「f」は付していない。
(a)実施形態例
まず、(a−1)に示すように、巻線9に通電されると共に第1突極部13が磁性部材6に近づく。第1突極部13は、(b−1)に示すように、さらに磁性部材6に近づくと共に巻線9に流れる電流が大きくなる。
このとき、磁性部材6の先端部分と第2突極部14との間隔が近くなり、永久磁石5a〜5fの磁路の磁気抵抗が小さくなる。このため、磁性部材6の先端部分から回転子3の第2突極部14を通り、磁性部材6、永久磁石5へと磁束が流れる磁路が形成されるため、電流が増加し永久磁石5に逆磁界が作用しても永久磁石5a〜5fの減磁を抑制することができる。
そして、(c−1)に示すように、磁性部材6の先端部分の第1突極部13の引きつける力が最大となり、最大トルクを発生する。
なお、上述のように、永久磁石5a〜5fの耐減磁特性が向上すると、巻線9にさらに大きな電流を流すことができるようになる。このように、同じトルクを出力する場合は減磁特性を向上でき、同じ減磁特性とする場合は、通電できる電流を大きくできるので高いトルクを発生することができる。
(b)従来例
まず、(a−2)に示すように、巻線9に通電されると共に第1突極部273が磁性部材6に近づく。第1突極部273は、(b−2)に示すように、さらに磁性部材6に近づくと共に巻線9に流れる電流が大きくなる。
このとき、磁性部材6の先端部分と回転子271との間隔が広く、永久磁石5a〜5fの磁路の磁気抵抗が大きくなる。このため、磁性部材6の先端部分から回転子271側を通り、磁性部材6、永久磁石5へと磁束が流れる磁路が形成されない(空気への磁束の漏れは除く。)ため、電流が増加し永久磁石5に逆磁界が作用すると永久磁石5の減磁を抑制することができない。
5.その他
(1)永久磁石について
永久磁石は、エネルギー積が低い材質の磁石を使用した場合、高トルクを発生させるために巻線に大電流を流すと減磁しやすい特性を有する。この様子を図6に示す磁界解析の結果を用いて説明する。
図6の(a)は、図19に示す電動機251において、永久磁石254として希土類磁石254A(エネルギー積:350[kJ/m3])を用いて巻線256に通電してトルクを発生させた場合の電動機251Aの内部の磁束の様子を示し、図6の(b)は、永久磁石254として、フェライト磁石254B(エネルギー積:42[kJ/m3])を用いて巻線256に通電してトルクを発生させた場合の電動機251B内部の磁束の様子を示す。なお、電動機251Aと電動機251Bとは、永久磁石254の種類が異なり、永久磁石の符号に付されたアルファベットをそのまま電動機の符号の末尾に付している。
図6に示す状態において、例えば、永久磁石254A2,254B2には、巻線256の通電で発生した磁界(図中の「A1」である。)が加わっている。この巻線256の磁界は永久磁石254A2,254B2の磁界と逆向きになる。
一方、例えば、永久磁石254A4,254B4には、巻線256の通電で発生した磁界(図中の「A2」である。)が加わっている。この巻線256の磁界は永久磁石254A4,254B4の磁界と同じ向きになる。
永久磁石254A2,254B2と、永久磁石254A4、254B4を比べると、図6の(a)に示す希土類磁石254Aを用いた電動機251Aでは、逆向き磁界が加わった永久磁石の磁束線密度に大きな変化はない。これに対して、図6の(b)に示すフェライト磁石を用いた電動機251Bでは、逆向き磁界が加わった永久磁石の磁束線密度が粗くなっていることがわかる。
つまり、図19に示す構造の電動機251では、希土類磁石を用いた場合は希土類磁石の磁束に大きな変化がないが、フェライト磁石を用いた場合にはフェライト磁石に作用する逆磁界により減磁が発生してしまう。
従って、図19に示す構造の電動機251では、希土類磁石に比べてエネルギー積の小さなフェライト磁石を用いて高トルクを出力するのは困難である。
しかしながら、本実施形態に係る電動機1では、エネルギー積が低い(42[kJ/m3])フェライト磁石を用いても、巻線9の通電による不可逆な減磁を防ぐことができ、小型で高トルクな電動機1を提供することができる。
換言すると、本実施形態に係る電動機は、エネルギー積が低い永久磁石を用いた場合に、減磁特性の抑制効果が高いと言える。
(2)その他
第1の実施形態では、ティース8a〜8fに集中巻の巻線9a〜9fを採用している。そのため固定子2の端面の巻線いわゆるコイルエンドの小型化を図ることができ、結果的に電動機1の小型化も図ることができる。巻線9a〜9fのコイルエンドは、電流を流してもトルクに寄与しない部分であり、通電時の巻線抵抗によるジュール損である銅損を低下することができ、高効率となる。
巻線9a〜9fのそれぞれは、固定子2の周方向において隣り合う巻線9a〜9fと巻回方向が同じであり、永久磁石5a〜5fは、固定子2の周方向で隣り合う永久磁石5a〜5fと着磁方向が逆としている。
これにより、巻線9a〜9fの巻回が容易となり、巻線9a〜9fをしっかりと巻回することができ、ティース8a〜8f間での巻線9a〜9fの重なりが少ない高占積巻線や巻線工数低減等により信頼性を向上させることができる。
また、第1の実施形態では、いわゆるアウターロータ型を採用している。そのため同じ体積で比較した場合、回転子3が固定子2の内周側に配置されたインナーロータ型に比べて、回転子3の径を大きくすることができる。したがって、第1の実施形態のような極数が7となるような奇数の電動機1でも、回転子3の第1突極部13、第2突極部14およびこれらの突極部13,14が存在しないヨーク部12の差を磁気的に明確にでき、有効磁束の低下を防ぐことができる。
<第2の実施形態>
1.構成
第2の実施形態に係る電動機21について、図7、図8を参照して以下に説明する。
図7は第2の実施形態に係る電動機21の断面図であり、図8は回転子22の詳細図である
電動機21は、固定子2は第1の実施形態と同じであり、回転子22のみが異なる。このため、固定子2については、第1の実施形態に係る固定子2と同じ符号を用い、固定子2を構成する各部についても、第1の実施形態と同じ符号を用い、これら各部の説明は省略する。
回転子22は、第1の実施形態と同様に、固定子2の外側に回転自在に配置されている。なお、第2の実施形態に係る電動機21も、第1の実施形態と同様なアウターロータ型である。
回転子22は、環状のヨーク部23と、ヨーク部23から固定子2側に突出する第1突極部24と、ヨーク部12における第1突極部24よりも回転方向前方側に位置する部位から固定子2側に突出する第2突極部25とを有する。
ここでも、第2突極部25は、第1突極部24が対象の磁性部材6に対して回転方向に沿って重ならない状態では対象の磁性部材6に対して回転方向に沿って重なり、第1突極部24が対象の磁性部材6に対して回転方向に沿って重なる状態では対象の磁性部材6に対して回転方向に沿って重ならないように設けられている。
また、第2突極部25と対象の磁性部材6との半径方向の間隔は、第1突極部24と対象の磁性部材6との半径方向の間隔よりも大きくなっている。
回転子22の材料は、第1の実施形態での回転子3と同じである。
第1突極部24は、固定子2との磁気相互作用により、トルクを発生させるためのものである。第1突極部24は、図7に示すように、ヨーク部23の周方向に間隔をおいて複数個形成されている。ここでは、間隔は等間隔であり、合計で7個ある。第1突極部24の個数は、永久磁石5a〜5fの個数や、磁性部材6,7等のピッチなどから決定される。
第2突極部25は、第1突極部24が固定子2(正確には、磁性部材6,7である。)に対して最大トルクを発する前に、対象の磁性部材6との間で磁路を確保するためのものである。
第2突極部25は、図7に示すように、ヨーク部23の周方向に間隔をおいて複数個形成されている。ここでは、間隔は等間隔であり、第1突極部24の個数と同じ個数であり、合計で7個ある。
第2突極部25の個数は、特に限定するものではないが、第1突極部24と同じ個数が好ましく、周方向に隣接するすべての第1突極部24間に存することが好ましい。
2.突出量および形成位置
第1突極部24および第2突極部25の突出量ならびに形成位置について、図8を参照して説明する。
(a)突出量
図8では、磁性部材6,7の外側端を最大外径とする円で示し、この円は固定子2の最外周と一致する。
第1突極部24の突出先端(固定子2側の端である。)の内径と、固定子2の最外周(磁性部材6,7)の外径との差をエアギャップ寸法2G1とし、第2突極部25の突出先端(固定子2側の端である。)の内径と、固定子2の最外周(磁性部材6,7)の外径との差をエアギャップ寸法2G2とし、第1突極部24および第2突極部25が存しないヨーク部23の内径と、固定子2の最外周(磁性部材6,7)の外径との差をエアギャップ寸法2G3とすると、第1の実施形態と同様に、2G1 < 2G2 < 2G3 の関係がある。
なお、エアギャップ寸法2G1は第1突極部24と対象の磁性部材6との半径方向の間隔に相当し、エアギャップ寸法2G2は第2突極部25と対象の磁性部材6との半径方向の間隔に相当する。
各エアギャップ寸法の大小関係については、第1の実施形態と同じであるため、ここでの説明は省略する。
(b)形成位置
第1突極部24と第2突極部25との形成位置は、第1突極部24が対象の磁性部材6と対向する領域を有しない状態では、第2突極部25は対象の磁性部材6と対向する領域を有し、第1突極部24が対象の磁性部材6と対向する領域を有する状態では、第2突極部25が対象の磁性部材6と対向する領域を有しないように設定されている。
第2突極部25は、ヨーク部23の周方向に隣接する2つの第1突極部24間の中間よりも回転方向前方側に設けられている。つまり、周方向に隣接する2つの第1突極部24に対して、第2突極部25と反回転方向側の第1突極部24との間の角度2Xが、第2突極部25と回転方向側の第1突極部24との間の角度2Yよりも大きくなっている。
なお、角度2Xは、回転方向側の第1突極部24の周方向の中央と回転中心軸Oとを結ぶ仮想線2K1と、第2突極部25の周方向の中央と回転中心軸Oとを結ぶ仮想線2K2との間の角度である。角度2Yは、反回転方向の第1突極部24の周方向の中央と回転中心軸Oとを結ぶ仮想線2K3と仮想線2K2との間の角度である。
3.実施例
本第2の実施形態に係る一例である実施例について説明する。
固定子22は、第1の実施形態で説明した固定子2と同じ構成あり、実施例においても第1の実施形態で説明した固定子2の実施例と同じである。このため、第2の実施形態における固定子22の実施例の説明は省略する。
回転子22と固定子2との間のエアギャップ寸法については、エアギャップ2G1は0.5[mm]であり、エアギャップ2G2は1.7[mm]であり、エアギャップ2G3は5.5[mm]である。
第1突極部24と第2突極部25はそれぞれ7個ある。隣接する第1突極部24間の角度および隣接する第2突極部25の角度は約51.4[deg](360/7)である。
第1突極部24に対して回転方向側に存する第2突極部25との配置については、第2突極部25と反回転方向側の第1突極部24との間の角度2Xが約31[deg]であり、第2突極部25と回転方向側の第1突極部24との間の角度2Yが約20.4[deg]である。
4.減磁特性
図9は、第2の実施形態の電動機について通電における同等トルク時の永久磁石の磁束密度の変化を示した図である。
同図において、縦軸は磁束密度、横軸は電気角とし、実線で磁束密度の最小値の変化を、破線で磁束密度の最小値の平均値を示す。
第2の実施形態では、図9に示す通り、磁束密度の最小値が0.30[T]であり、最小値の平均値が0.42[T]である。これに対し、第2突極部(25)を有しない従来例では、図4の(b)に示す通り、磁束密度の最小値が0.28[T]、最小値の平均値が0.38[T]である。
第2の実施形態においても、永久磁石(5)の磁束密度の平均値、最小値とも、比較例よりも高く、また、第1の実施形態に対しても若干高く、減磁に対して余裕(耐減磁性)があることがわかる。従って、第2突極部14は主に磁路を確保し永久磁石5a〜5fの逆磁界に対する耐減磁性の確保に寄与していると言える。
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、第1の実施形態に係る電動機1を利用した電動機駆動システムについて説明する。
第1の実施形態および第2の実施形態に係る電動機1,21では、永久磁石5a〜5fのN極から出た磁束をできるだけ多く回転子3,22側に向かわせることができる構成とした。発明者は、駆動方法の観点から更なるトルクの向上について検討を進めることとした。その結果、通常、マグネットトルクを用いた電動機では、巻線に発生する誘起電圧の位相と電流の位相を一致させるとトルクが最大となるのに対して、本電動機のトルク特性は誘起電圧の位相よりも電流位相を遅らせたほうが、トルクが最大となることがわかった。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図10は、第3の実施形態に係る電動機駆動システムの構成図である。
1.構成
電動機駆動システム30は、電動機32と駆動装置33とで構成される。
電動機32は、第1の実施形態で説明した電動機1に位置センサSを設けたものである。位置センサSは、例えば、レゾルバ、エンコーダ、ホール素子などである。なお、センサレス制御を行う場合は、位置センサSは不要である。
駆動装置33は、3相インバータであり、直流電源31の直流電流を3相電流に変換して電動機32に供給する。具体的には、駆動装置33は、スイッチ素子T1〜T6、電流検出部34、位置検出部35、速度検出部36、PWM制御部37、ドライバ38を含む。スイッチ素子T1〜T6は3相ブリッジを構成している。
電流検出部34は、U相配線とW相配線にそれぞれ設けられたカレントトランスCTを用いてU相、V相およびW相の電流を検出する。位置検出部35は位置センサSを用いて、電動機32の回転子の固定子に対する位置関係(回転角)を検出する。速度検出部36は、位置センサSを用いて電動機32の回転子の固定子に対する回転速度を検出する。PWM制御部37は、外部からの速度指令、電流検出値、位置検出値および速度検出値に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する。ドライバ38は、PWM信号に基づいてスイッチ素子T1〜T6を動作させるためのゲート信号を生成する。電流検出部34、位置検出部35、速度検出部36およびPWM制御部37の機能は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。ソフトウェアの場合は、マイコン(マイクロコンピュータ)がソフトウェアを実行することで上記機能を実現する。
2.駆動方法
図11は、電動機32の無通電回転時における誘起電圧を示す波形図である。縦軸に相電圧、横軸に電気角を示す。U相電圧を実線、V相電圧を一点鎖線、W相電圧を二点鎖線で示す。
図12は、駆動装置33から電動機32に供給する電流を示す波形図である。縦軸に相電流、横軸に電気角を示す。U相電流を実線、V相電流を一点鎖線、W相電流を二点鎖線で示す。
第3の実施形態では、図12に示すように、無通電回転時の誘起電圧の位相を基準としたとき、電動機32に供給する電流の位相を基準の位相に対して40[deg]遅らせた(−40deg)電流を供給する。
図13は、駆動装置33の動作、特にPWM制御部37の動作を示すフローチャートである。
PWM制御部37は、図12の波形図に相当するテーブルを予め記憶しているものとする。PWM制御部37は、外部から速度指令値を取得し(ステップS101)、速度検出部36から速度検出値を取得し(ステップS102)、これらを用いて電動機32に供給すべき電流の実効値を算出する(ステップS103)。
次に、PWM制御部37は、位置検出部35から位置検出値を取得し(ステップS104)、予め記憶しているテーブル(40[deg]遅れ)を参照して、電動機32に供給すべき電流の指令値を特定する(ステップS105)。この指令値は、実効値ではなく瞬時値である。
次に、PWM制御部37は、電流検出部34から電流検出値を取得し(ステップS106)、電流の指令値と電流検出値を用いて電圧指令値を求め、電圧指令値とキャリア信号を用いてPWM信号を生成する(ステップS107)。生成されたPWM信号は、ドライバ38に供給される。
PWM制御部37は、電源がオフされなければ(ステップS108:No)、一定期間が経過するのを待ってステップS101からS107までの処理を繰り返す(ステップS109:Yes)。PWM制御部37は、電源がオフされれば(ステップS108:Yes)、処理を終了する。
このような動作により、駆動装置33は、図12の波形図に相当する電流を電動機32に供給することができる。
3.トルク特性
図14は、電動機32のトルクと電流位相の関係を示した図であり、(a)は永久磁石にフェライト磁石を用いた場合、(b)は永久磁石に希土類磁石を用いた場合である。(a)、(b)共に縦軸にトルク、横軸に電流位相を示す。
ここで、電流位相は、電動機の無通電回転時における誘起電圧の位相を基準としている。つまり電流位相が0[deg]というのは、無通電回転時における誘起電圧の位相と電流位相を一致させた場合を示す。そして、電流位相がマイナスに大きくなるほど、電流位相の遅延量が大きくなることを示す。
(1)フェライト磁石
図14の(a)に示すように、フェライト磁石を用いた電動機において電流振幅を変えずに電流位相を変えた場合、電流位相を誘起電圧の位相よりも遅らせるとトルクが向上する。具体的には、電流位相を−0(0は含まない)[deg]〜−50(−50は含む)[deg]とすればよい。そして、例えば、電流位相を−40[deg]とすれば、最大トルクが得られ、電流位相0[deg]の場合に比べてトルクが170[%]に増加する。
マグネットトルクは、電流(q軸電流)と磁束の積に比例する。そのため、マグネットトルクを高めるには、電流と磁束を高めることが有効である。第3の本実施形態の電動機32には、希土類磁石に比べて残留磁束密度の小さいフェライト磁石を用いている。したがって、フェライト磁石の磁束による界磁を強めるために、電流位相を誘起電圧の位相よりも遅らせることにより、トルクに作用する電流(q軸電流)に対して位相が90[deg]遅れた強め界磁電流(d軸電流)を流すことが有効である。
第3の実施形態の電動機32は、エネルギー積が小さく(概ね、150[kJ/m3]以下)、残留磁束密度の小さいフェライト磁石を用いることで永久磁石界磁に巻線界磁を合成できる構造としている。そのため、電動機32に流す電流位相を遅らせ強め界磁を行うことでトルクを向上させることができる。
具体的には、第3の実施形態では、図12に示すように、電流位相を−40[deg]としている。したがって、このときは、永久磁石としてフェライト磁石を用いた場合の最大トルクを得ることができる。なお、上記の通り、電流位相を−0(0は含まない)[deg]〜−50[deg]とすれば、電流位相0[deg]トルクを向上させることができる(図14参照)ので、この範囲内の特定の電流位相で駆動することとしてもよい。
(2)希土類磁石
図14の(b)に示すように、希土類磁石を用いた電動機において電流振幅を変えずに電流位相を変えた場合、電流位相を誘起電圧の位相よりも遅らせるとトルクが向上する。具体的には、電流位相を−0(0は含まない)[deg]〜−20(−20は含まない)[deg]とすればよい。そして、例えば、電流位相を−10[deg]とすれば、最大トルクが得られ、電流位相0[deg]の場合に比べてトルクが102[%]に増加する。
4.減磁特性
上記のように巻線に供給する電流の位相を遅らせることでトルクが向上する。従って、従来例と同等のトルクを発生させる場合には、供給する電流を小さくすることができ、結果的に耐減磁性を向上させることができる。
<第4の実施形態>
第3の実施形態では、電流位相の遅延量が固定的(例えば、−40[deg]である。)である。これに対し、第4の実施形態では、電動機に供給する電流の大きさに応じて電流位相の遅延量を変化させる。これ以外の構成については第3の実施形態と同様なので説明を省略する。
1.駆動方法
図15は、駆動装置33から電動機32に供給する電流を示す波形図であり、(a)は電流位相が−15[deg]、(b)は電流位相が−20[deg]、(c)は電流位相が−40[deg]である。縦軸に相電流、横軸に電気角を示す。U相電流を実線、V相電流を一点鎖線、W相電流を二点鎖線で示す。
図16は、駆動装置33の動作、特にPWM制御部37の動作を示すフローチャートである。PWM制御部37は、図15(a),(b),(c)の波形図に相当する3種類のテーブルを予め記憶しているものとする。
PWM制御部37は、外部から速度指令値を取得し(ステップS301)、速度検出部36から速度検出値を取得し(ステップS302)、これらを用いて電動機32に供給すべき電流の実効値を算出する(ステップS303)。次に、PWM制御部37は、算出された電流の実効値に応じて予め記憶している3種類のテーブルのうちの一つを選択する(ステップS304)。
選択方法としては、例えば、電流の実効値が第1の範囲であれば、図15(a)に相当するテーブルを選択し、電流の実効値が第1の範囲よりも大きな第2の範囲であれば、図15(b)に相当するテーブルを選択し、電流の実効値が第2の範囲よりも大きな第3の範囲であれば、図15(c)に相当するテーブルを選択する。即ち、電流の実効値が大きいほど電流位相の遅延量が大きなテーブルが選択される。
次に、PWM制御部37は、位置検出部35から位置検出値を取得し(ステップS305)、選択されたテーブルを参照して、電動機32に供給すべき電流の指令値を特定する(ステップS306)。この指令値は、実効値ではなく瞬時値である。次に、PWM制御部37は、電流検出部34から電流検出値を取得し(ステップS307)、電流の指令値と電流検出値を用いて電圧指令値を求め、電圧指令値とキャリア信号を用いてPWM信号を生成する(ステップS308)。生成されたPWM信号は、ドライバ38に供給される。PWM制御部37は、電源がオフされなければ(ステップS309:No)、一定期間が経過するのを待ってステップS301からS308までの処理を繰り返す(ステップS310:Yes)。PWM制御部37は、電源がオフされれば(ステップS309:Yes)、処理を終了する。
このような動作により、駆動装置33は、供給する電流に対応させて、図15(a),(b),(c)の波形図に相当する、位相の遅れた電流を選択的に電動機32に供給することができる。
2.トルク特性
図17は、電動機のトルクと電流位相の関係を示した図である。ここでは、永久磁石にフェライト磁石を用いた場合を示す。実線は電流が大きい場合のトルク特性を示し、破線は電流が小さい場合のトルク特性を示す。なお、実線は破線に比べて電流の大きさが3倍に相当する。
図17から電流振幅を変えずに電流位相を変えた場合、電流位相を誘起電圧の位相よりも遅らせるとトルクが向上することが分かる。
さらに、実線では電流位相が−40[deg]で最大トルクが得られ、破線では電流位相が−20[deg]で最大トルクが得られることが分かる。即ち、電流が大きくなるほど、最大トルクが得られる電流位相の遅延量が大きくなる。
第4の実施形態では供給する電流が大きいほど電流位相の遅延量を大きくするので、電流の大きさが変化しても効率良くトルクを発生させることができる。第4の実施形態は、例えば、回転速度や負荷が時間的に変動しやすいシステムに適用するのが有効である。このようなシステムとしては、電気自動車等が挙げられる。
<変形例>
1.第2突極部
(1)形状
第1の実施形態、第2の実施形態において、回転子の第1突極部、第2の突極極ともに矩形の形状の例で説明した。回転子の第1突極部は主にトルク発生に寄与し、第2突極部は主に磁路を確保し永久磁石の逆磁界に対する耐減磁性の確保に寄与するので、第2突極部は矩形でなくても磁路を確保する形状であればよい。
図18は第2突極部の形状の変形例を示す図である。
同図においては、各回転子41,51,61,71の第1突極部43,53,63,73は、ヨーク部42,52,62,72から第1の実施形態と同様に、矩形状の横断面を有するように突出している。また、回転子41,51,61,71の回転方向を反時計方向とし、同図では、回転子を回転軸方向から見た様子を示している。
図18の(a)の例では、回転子41の第2突極部44の反回転方向側の部分は、矩形形状の1つの角と同様な形状(つまり、直角形状)をしているが、第2突極部44の回転方向側に相当する部分が傾斜状(Cタイプの面取りされた形状)となっており、全体として台形形状で突出している。
図18の(b)の例では、回転子51の第2突極部54の回転方向側の部分は、矩形形状の1つの角と同様な形状(つまり、直角形状)を有しているが、第2突極部54の反回転方向側に相当する部分が傾斜状(Cタイプの面取りされた形状)となっており、全体として台形形状で突出している。
図18の(c)の例では、回転子61の第2突極部64は、矩形形状に対して、ヨーク部62側が広くなっており、全体して左右対称の台形形状で突出している。つまり、突出先端に向かって幅が狭くなるような台形形状で突出している。
図18の(d)の例では、回転子71の第2突極部74は、左右対称の台形形状の輪郭を曲線としたような、横断面形状が曲線状に突出している。つまり、上記(c)の台形状の角をRタイプの面取りをしたような形状で突出している。
このように、回転子の第2突極部は磁路を確保する形状であれば良いが、例えば、第2突極部を台形形状や曲線形状とすることで磁束の変化を滑らかとすることができ、低振動に効果がある。なお、この第2突極部は、第1の突極部の形状にも同様のことが言える。
また、一つの回転子に複数の第2突極部存する場合、上記の図18で示すような形状を複数組合せてもよい。
さらに、1つの第2突極部を複数の小突極部分で構成しても良く、この場合、それぞれの突出量、角度が異なるようにしても良いし、すべての突出量を同じにしても良い。
(2)個数
第1の実施形態、第2の実施形態では、回転子3,22の第1突極部13,24および第2突極部14,25の個数が7個、磁性部材6,7の合計の個数が12個、巻線9a〜9fの数が6個の電動機1,21である。
しかしながら、本構成を回転対称とした、第1及び第2突極部数のそれぞれが14個、磁性部材の合計の個数が24個、巻線数が12個の組み合わせ、すなわち、各突極部数が7n個、磁性部材の合計数が12n個、巻線数が6n個、(nは1以上の整数)であれば、電気角で上記の関係が成立する配置関係とすることで、同様の効果が得られる。
(3)エアギャップ
(a)エアギャップ寸法
第2突極部の回転子の周方向の幅と、固定子の最大外径と第2突極部との半径方向の距離であるエアギャップ寸法G2は、磁極部に最大電流又は最大電流値に近い電流値の電流が流れる際に、磁性部材の先端部に集中する磁束の一部が磁性部材から第2突極部へと流れれば良く、第2突極部の幅やエアギャップ寸法G2を適宜変えて良い。
固定子の最大外径と回転子の第2突極部とのエアギャップ寸法G2は、回転子の第1突極部とのエアギャップ寸法G1の2倍以上が好ましい。
なお、回転子の第2突極部とのエアギャップ寸法G2を、回転子の第1突極部とのエアギャップ寸法G1の2倍以下では、第2突極部への漏れ磁束が多くなり、第2突極部がない従来例に比べてトルクが低下する場合がある。
(b)その他
上記実施形態では、エアギャップが半径方向にあるラジアルギャップ型の電動機について説明した。しかしながら、本発明の思想は、軸方向にエアギャップのあるアキシャルギャップ型の電動機でも同様の適用できる。
2.固定子及び回転子
上記実施形態では、固定子の磁極部は回転軸方向に沿って配置されているが、回転軸方向に進むにつれて周方向にずれるスキュー配置を採用してもよい。
また、上記実施形態では、回転子の突極部は回転方向に沿って配置されているが、回転軸方向に進むにつれて周方向にずれるスキュー配置を採用してもよい。この場合、スキューは一定の滑らかなスキューでも、段階状のスキューでもよい。
3.回転機
実施形態では、電流を供給することによりトルクを発生させる電動機に本発明に係る回転機を適用した形態について説明したが、本発明に係る回転機は、回転子を回転駆動させることで、電磁誘導を利用して電力を得る発電機にも適用できる。さらには、電動機と発電機との両機能を有する回転機にも適用できる。ただし、発電機として利用する場合、トルクを吸収して発電するためトルクの向きと回転方向が逆になる。発電機では電動機で使用する場合の回転方向と逆回転方向の回転機と等価になる。
4.巻線への通電
実施形態では、巻線に通電する電流波形として正弦波を利用したが、他の電流波形でも良い。他の波形としては、例えば、三角波、矩形波やPWMによる高調波を含んだ波形等でもよい。
5.その他
(1)本発明は、直動駆動されるリニア電動機、リニア発電機にも適用できる。
(2)本発明は、小型、高出力、低振動、低騒音、高効率な電動機を提供することができ、低振動、低騒音性が要求される自動車用途や風力、水力等の自然エネルギーを利用した環境に優しい発電用途等で特に有用である。
本発明は、コンプレッサ用、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の電動機、発電機に利用可能である。
1 電動機
2 固定子
3 回転子
4 磁極部
5 永久磁石
6 磁性部材
7 磁性部材
8 ティース
9 巻線
12 ヨーク部
13 第1突極部
14 第2突極部

Claims (14)

  1. 複数の磁極部を円周上に配置してなる固定子と、前記固定子の中心と同軸に配された回転子とを備える回転機において、
    前記各磁極部は、ティースと当該ティースに対して集中巻された巻線とを含み、前記ティースは、永久磁石と、前記固定子の周方向であって前記永久磁石の両側に配された一対の磁性部材とを有し、
    前記各永久磁石は、前記固定子の中心に垂直な断面において、前記固定子の半径方向両側で開放されており、
    前記回転子は、環状のヨーク部と、当該ヨーク部から前記固定子側に突出する第1突極部と、前記ヨーク部における前記第1突極部よりも回転方向側に位置する部位から前記固定子側に突出する第2突極部とを含み、
    前記第2突極部は、前記永久磁石の反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重ならない状態の少なくとも一部で前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重なり、前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重なる状態では前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重ならないように設けられ、
    前記第2突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔は、前記第1突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔よりも大きい回転機。
  2. 前記第1突極部は、周方向に等間隔をおいて複数存在し、
    前記第2突極部は、第1突極部間における周方向の中央位置に存在する
    請求項1に記載の回転機。
  3. 前記第1突極部は、周方向に等間隔をおいて複数存在し、
    前記第2突極部は、第1突極部間の中央位置よりも回転方向前方側に存在する
    請求項1に記載の回転機。
  4. 前記第2突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔は、前記第1突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔の2倍以上であり、前記ヨーク部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との間隔未満である
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転機。
  5. 前記第2突極部は、前記複数の第1突極部のすべての第1突極部間に存在する
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転機。
  6. 前記第1突極部および前記第2突極部の横断面形状が矩形状をしている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機。
  7. 前記第1突極部の横断面形状は矩形状をし、前記第2突極部の横断面形状は台形状をしている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機。
  8. 前記第1突極部の横断面形状は矩形状をし、前記第2突極部の横断面形状は曲線状に突出する形状をしている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機。
  9. 少なくとも回転子側と対向した永久磁石の端面が前記磁性部材よりも前記回転子から離れている
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転機。
  10. 前記巻線それぞれは、前記固定子の周方向において隣り合う巻線と巻回方向が同じであり、
    前記永久磁石は、前記固定子の周方向で隣り合う永久磁石と着磁方向が逆である
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の回転機。
  11. 前記永久磁石のエネルギー積は、150[kJ/m3]以下である
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の回転機。
  12. 前記永久磁石は、フェライト磁石である
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の回転機。
  13. 電動機を駆動する電動機駆動方法であって、
    前記電動機は、複数の磁極部を円周上に配置してなる固定子と、前記固定子の中心と同軸に配された回転子とを備え、
    前記各磁極部は、ティースと当該ティースに対して集中巻された巻線とを含み、前記ティースは、永久磁石と、前記固定子の周方向であって前記永久磁石の両側に配された一対の磁性部材とを有し、
    前記各永久磁石は、前記固定子の中心に垂直な断面において、前記固定子の半径方向両側で開放されており、
    前記回転子は、環状のヨーク部と、当該ヨーク部から前記固定子側に突出する第1突極部と、前記ヨーク部における前記第1突極部よりも回転方向側に位置する部位から前記固定子側に突出する第2突極部とを含み、
    前記第2突極部は、前記永久磁石の反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重ならない状態の少なくとも一部で前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重なり、前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重なる状態では前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重ならないように設けられ、
    前記第2突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔は、前記第1突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔よりも大きく、
    前記固定子の各巻線に電流を流さない状態で前記回転子を回転させた場合に各巻線に誘起される電圧の位相を基準としたとき、前記基準の位相よりも遅れた位相を有する電流を、前記固定子の各巻線に流す
    電動機駆動方法。
  14. 電動機と前記電動機を駆動する駆動装置とを備える電動機駆動システムであって、
    前記電動機は、複数の磁極部を円周上に配置してなる固定子と、前記固定子の中心と同軸に配された回転子とを備え、
    前記各磁極部は、ティースと当該ティースに対して集中巻された巻線とを含み、前記ティースは、永久磁石と、前記固定子の周方向であって前記永久磁石の両側に配された一対の磁性部材とを有し、
    前記各永久磁石は、前記固定子の中心に垂直な断面において、前記固定子の半径方向両側で開放されており、
    前記回転子は、環状のヨーク部と、当該ヨーク部から前記固定子側に突出する第1突極部と、前記ヨーク部における前記第1突極部よりも回転方向側に位置する部位から前記固定子側に突出する第2突極部とを含み、
    前記第2突極部は、前記永久磁石の反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重ならない状態の少なくとも一部で前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重なり、前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して前記第1突極部が回転方向に沿って重なる状態では前記反回転方向側に位置する磁性部材に対して回転方向に沿って重ならないように設けられ、
    前記第2突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔は、前記第1突極部と前記反回転方向側に位置する磁性部材との半径方向の間隔よりも大きく、
    前記駆動装置は、
    前記固定子の各巻線に電流を流さない状態で前記回転子を回転させた場合に各巻線に誘起される電圧の位相を基準としたとき、前記基準の位相よりも遅れた位相を有する電流を、前記固定子の各巻線に流す
    電動機駆動システム。
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CN113113982A (zh) * 2021-04-02 2021-07-13 南京师范大学 一种抑制永磁体退磁的磁通切换永磁电机结构

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