JP2013203216A - 定位置停車支援装置と定位置停車支援方法 - Google Patents

定位置停車支援装置と定位置停車支援方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車両側の大規模な改修を伴うことなく、地上側への少ない設備追加で、運転士による列車の定位置停車を支援する。
【解決手段】プラットホーム52に入線する列車50の状態として、速度のみを速度検出器12により計測し、この列車50の速度データと、データベースに蓄積されているデータとを用いて、ブレーキ力表示器14及び残距離表示器16に表示させる情報の算出を、制御装置18が備えている各算出手段により行う。そして、列車50の運転士に対して、ブレーキ力表示器14にブレーキ力の指標を表示し、残距離表示器16に列車50の先頭から定停止位置54までの残距離を表示する。これにより、大規模な改修を伴うことなく、少ない設備追加のみで、列車50の運転士に対して、ブレーキ力の調整に必要な情報を提供することができ、運転士による列車50の定位置停車を支援することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、列車を定停止位置に停車させるための定位置停車支援装置、及び、定位置停車支援方法に関するものである。
従来から、列車の運行において、乗客のスムーズな乗降や安全性の確保のため、列車を定められた位置に停車させる必要性があったが、近年では、プラットホームに設置されたホームドア等に対応するため、その必要性は更に高まっている。
列車を定められた位置に停車させるための方法として、列車の運転士に対してブレーキ操作の注意喚起をする方法や、制御システムにより列車を制御する方法等が挙げられる。列車の運転士へ注意喚起をする方法では、列車が走行する線路周辺やプラットホームに設けられる、速度標識、停止位置標識、信号機等を用いた方法が存在する(特許文献1参照)。又、制御システムによる方法では、図13に示すような定位置停止装置(TASC)等が用いられている(特許文献2参照)。
図13に示す例では、制動駆動制御装置102、速度発電機104、車上子106を備える列車110に、定位置停止制御装置100が搭載されている。この定位置停止制御装置100は、速度・位置算出手段112、制御指令決定手段114、制御指令出力手段116を含んでいる。そして、定位置停止制御装置100は、速度発電機104から入力される速度パルスSG1と、地上子108から車上子106経由で入力される位置情報SG2とに基づき、速度・位置算出手段112で速度・位置情報SG3を算出する。この速度・位置情報SG3は制御指令決定手段114に入力され、制御指令決定手段114は、入力された速度・位置情報SG3に基づき、ブレーキ指令SG4を決定し、制御指令出力手段116へ出力する。そして、制御指令出力手段116は、ブレーキ指令SG5を制動駆動制御装置102へ出力し、列車110を目標とする定停止位置に停車させるものである。
特開2008−290569号公報 特開2011−61975号公報
ところで、制御システムにより列車を定停止位置に停車させる方法では、図13からも確認できるように、車両側と地上側の双方に機器を設置する必要があり、設備投資額が大きくなる。特に、多種多量の列車が走行する路線では、車両側の設備投資額が非常に大きくなってしまう。又、列車の運転士へ注意喚起をすることにより、列車を定位置に停車させる方法では、設備投資は地上側のみで抑えられるが、天候条件や車両形式ごとの、ブレーキ性能差による制動距離の伸縮には対応できない。このため、定停止位置の適正範囲内への列車の停車は、運転士の経験や勘に委ねる部分が大きくなってしまう。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両側の大規模な改修を伴うことなく、地上側への少ない設備追加で、運転士による列車の定位置停車を支援することにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)列車の定停止位置での停車を支援する定位置停車支援装置であって、地上側から列車の速度を計測する速度検出器と、列車の運転士に対してブレーキ力の指標を表示するブレーキ力表示器と、前記ブレーキ力の指標を算出するためのデータが蓄積されているデータベースと、装置全体の制御を行う制御装置とを含み、該制御装置は、列車の減速度を算出する減速度算出手段と、列車の先頭から前記定停止位置までの残距離を算出する残距離算出手段と、前記データ、前記列車の減速度、及び前記残距離をもとに前記ブレーキ力の指標を算出するブレーキ力算出手段とを備える定位置停車支援装置(請求項1)。
本項に記載の定位置停車支援装置は、速度検出器、ブレーキ力表示器、データベース、及び、装置全体の制御を行う制御装置を含んでいる。速度検出器は、プラットホームに入線する列車の状態を取得する手段として用いられ、地上側から列車の速度を計測する。このため、列車の速度を、プラットホーム入線直後に計測できるような位置、或いは、プラットホーム入線手前で計測できるような位置に設置される。又、速度検出器は、計測対象の列車を検知してから、列車が停止するまでの間は、常時、列車の速度を計測する。そして、速度検出器が計測した列車の速度データは、制御装置に送信される。又、データベースには、ブレーキ力の指標を算出する際に必要となるデータが蓄積されており、制御装置がそのデータへアクセスできるようになっている。
制御装置は、列車の減速度を算出する減速度算出手段、ブレーキ力の指標を算出するブレーキ力算出手段、及び、列車の先頭から定停止位置までの残距離を算出する残距離算出手段を備えている。減速度算出手段は、速度検出器が計測した列車の速度データから、単位時間あたりの速度変化を計算し、列車の減速度を算出する。又、残距離算出手段は、予め取得している速度検出器と定停止位置間の距離、減速度算出手段で算出した列車の減速度、速度検出器が列車速度の計測を開始してからの経過時間等から、列車の先頭から定停止位置までの残距離を算出する。又、ブレーキ力算出手段は、減速度算出手段で算出した列車の減速度、データベースに蓄積されているデータ等から、ブレーキ力の指標を算出する。ブレーキ力の指標として、例えば、ブレーキ力の過不足状態や、その時点で適切なブレ−キ段数を算出する。そして、制御装置は、ブレーキ力算出手段で算出したブレーキ力の指標を、ブレーキ力表示器へ表示させる。上述したような機能を有する制御装置として、例えば、定位置停車支援装置の他の構成要素と通信が確立された状態の、演算処理装置を有する各種コンピュータを使用することが挙げられる。
従って、本項に記載の定位置停車支援装置は、プラットホームに入線する列車の状態として、速度のみを速度検出器により計測し、この列車の速度データと、データベースに蓄積されているデータとを用いて、ブレーキ力表示器に表示させる情報の算出を、制御装置が備えている各算出手段により行う。そして、列車の運転士に対して、ブレーキ力表示器にブレーキ力の指標を表示する。このため、大規模な改修を伴うことなく、少ない設備追加のみで、列車の運転士に対して、ブレーキ力の調整に必要な情報を提供するものとなる。
(2)上記(1)項において、前記データベースと前記制御装置とは地上側に設置され、前記ブレーキ力の指標は、運転士が列車を前記定停止位置に停車させるブレーキ力調整が可能なタイミングで、かつ、運転士が瞬間的に認識可能な表示内容で、リアルタイムに更新されて表示されるブレーキ力の過不足情報である定位置停車支援装置(請求項2)。
本項に記載の定位置停車支援装置は、ブレーキ力の指標を算出するためのデータが蓄積されているデータベースと、装置全体の制御を行う制御装置とが、地上側に設置されるものである。このため、車両側に設置される場合と比較して、改修が少なく容易に、又、設置スペースを気にすることなく設置されるものとなる。
更に、本項に記載の定位置停車支援装置は、列車の運転士に対して表示するブレーキ力の指標として、ブレーキ力の過不足情報を、運転士が列車を定停止位置に停車させるブレーキ力調整が可能なタイミングで、かつ、運転士が瞬間的に認識可能な表示内容で表示するものである。これにより、列車の運転士が、ブレーキ力表示器に表示されるブレーキ力の過不足情報を瞬間的に把握し、ブレーキ力の過不足を是正するようなブレーキ力の調整を、列車を定停止位置に停車させることが可能なタイミングで行うものとなる。更に、ブレーキ力の指標は、リアルタイムに更新されて表示される。このため、列車の運転士がブレーキ力の調整を行い、列車の減速度に変化があるような場合にも、ブレーキ力調整後の減速度から算出した、適切なブレーキ力の指標が表示されることになる。従って、列車の運転士に対して、ブレーキ力の調整に必要な情報を、列車の現在の状況に応じて正確に提供するものとなる。
(3)上記(1)(2)項において、前記残距離を表示する残距離表示器を備える定位置停車支援装置(請求項3)。
本項に記載の定位置停車支援装置は、制御装置の残距離算出手段で算出する、列車の先頭から定停止位置までの残距離を表示する残距離表示器を備えることにより、ブレーキ力表示器に表示するブレーキ力の指標に基づいて列車の運転士が行う、ブレーキ力の調整よりも微細な、残距離に応じたブレーキ力の微調整を、列車の運転士に対して促すものである。
(4)上記(3)項において、前記データベースに蓄積されているデータは、経過時間毎の速度と移動距離とを含む列車の制動パターンを、所定の減速度毎にデータ化した減速度パターンデータであり、前記ブレーキ力の指標は、前記減速度算出手段が算出した減速度を保持したまま列車が進行した場合の制動パターンと、前記減速度パターンデータとを比較した結果から、ブレーキ力適正状態と、ブレーキ力不足状態と、ブレーキ力過剰状態とのうち、いずれか1つの状態を示して、前記速度検出器が列車の速度計測を開始してから、前記残距離が所定の長さになるまで繰返し表示され、前記残距離が前記所定の長さになると、前記ブレーキ力表示器への前記ブレーキ力の指標の表示から、前記残距離表示器への前記残距離の表示に切り替わる定位置停車支援装置。
本項に記載の定位置停車支援装置は、データベースに蓄積されている、ブレーキ力の指標を算出するためのデータが、経過時間毎の速度と移動距離とを含む列車の制動パターンを、所定の減速度毎にデータ化した減速度パターンデータとなっている。例えば、減速度パターンデータには、ある一定の減速度である場合の、列車の移動距離と速度とを1秒毎にデータ化し、更に、それらのデータを、所定の複数の減速度毎に蓄積したものが利用される。そして、制御装置のブレーキ力算出手段は、この減速度パターンデータと、制御装置の減速度算出手段が算出した減速度を保持したまま列車が進行した場合の制動パターンとを比較することにより、現在のブレーキ力の状態が、適正状態、不足状態、過剰状態のうち、どの状態であるのかを判別し、その結果をブレーキ力の指標として表示させる。例えば、制御装置の減速度算出手段が算出した列車の減速度が、3.2km/h/sであったとすると、制御装置のブレーキ力算出手段は、列車が3.2km/h/sの減速度のまま進行した場合の予測停車位置を、減速度パターンデータの中で減速度が3.2km/h/sに近いパータンデータと比較することにより算出する。そして、予測停車位置が、定停止位置から適正範囲内であると算出された場合には、ブレーキ力が適正状態であることを示す表示を、ブレーキ力表示器に表示させる。又、予測停車位置が、定停止位置よりも手前になると算出された場合には、ブレーキ力が過剰状態であることを示す表示を、定停止位置を越えると算出された場合には、ブレーキ力が不足状態であることを示す表示を、夫々ブレーキ力表示器に表示させる。このため、リアルタイムで列車の減速度が変化する場合であっても、データベースに蓄積されている減速度パターンデータと比較することにより、ブレーキ力の指標を算出するため、正確な表示内容で迅速に、ブレーキ力の指標を表示するものとなる。
更に、本項に記載の定位置停車支援装置は、制御装置のブレーキ力算出手段が算出するブレーキ力の指標を、速度検出器が列車の速度計測を開始してから、列車の先頭から定停止位置までの残距離が所定の長さになるまで繰返し表示するものである。すなわち、列車の運転士が、列車を定停止位置に停車させるためのブレーキ力調整を行える期間に、ブレーキ力の指標を、制御装置のブレーキ力算出手段が算出する、最新のブレーキ力の過不足状態を示す内容に更新しながら、ブレーキ力表示器に繰返し表示する。そして、本項に記載の定位置停車支援装置は、列車の先頭から定停止位置までの残距離が、上述した所定の長さになると、ブレーキ力表示器へのブレーキ力の指標の表示を止め、残距離表示器へ列車の先頭から定停止位置までの残距離を表示する。従って、列車が所定の位置に達するまでは、ブレーキ力の指標を表示することで、運転士にブレーキ力の調整を促し、列車が所定の位置に達した後は、定停止位置までの残距離を表示することで、運転士にブレーキ力の微調整を促すこととなる。このため、列車の減速度や、列車と定停止位置との位置関係に応じた適切な表示内容で、ブレーキ力の調整を促すものとなる。
(5)上記(1)から(4)項において、前記速度検出器は、プラットホームの列車進入側端部に設置される定位置停車支援装置(請求項4)。
本項に記載の定位置停車支援装置は、列車の速度を計測する速度検出器が、プラットホームの列車進入側端部に設置されることで、列車がプラットホームに入線した直後から、列車の速度を計測するものとなり、更に、容易かつ安全に、速度検出器が設置されるものとなる。
(6)上記(1)から(4)項において、前記速度検出器は、列車進行方向手前側のプラットホーム間際の線路端に設置される定位置停車支援装置。
本項に記載の定位置停車支援装置は、列車の速度を計測する速度検出器が、列車進行方向手前側のプラットホーム間際の線路端に設置されることで、他の線路端と比較して、線路に近づく方向への装置の設置可能範囲が緩和されている場所に設置されることになる。このため、線路を通る列車により近い位置に設置されるものとなり、列車の速度計測を、プラットホーム手前の位置から正確に行うものとなる。
(7)上記(1)から(6)項において、前記ブレーキ力表示器は、地上側に設置される定位置停車支援装置(請求項5)。
本項に記載の定位置停車支援装置は、列車の運転士に対してブレーキ力の指標を表示するブレーキ力表示器が、地上側に設置されるものである。例えば、ブレーキ力表示器が、プラットホーム上に設置される場合には、従来からプラットホーム上に設置されている、乗務員向けの情報表示装置に類似した表示装置を、ブレーキ力表示器としてプラットホームの屋根から吊り下げることとしてもよい。又、ブレーキ力表示器が、線路を挟んでプラットホームの反対側の線路端に設置される場合には、線路端に立設される電光表示板等であってもよい。このため、車両側に改修を施して設置される場合と比較して、容易かつ安価に設置されるものとなる。
更に、プラットホームがカーブしている場合や、プラットホーム長が長い場合等で、ブレーキ力表示器が1箇所に設置されているだけでは、列車の運転士がブレーキ力の指標を視認し難い場合には、同じ表示内容を表示する複数のブレーキ力表示器を、地上側に設置することとしてもよい。これにより、列車の運転士が、より確実に、ブレーキ力の指標を視認するものとなる。
(8)上記(3)から(7)項において、前記残距離表示器は、地上側の前記定停止位置近傍に設置される定位置停車支援装置(請求項6)。
本項に記載の定位置停車支援装置は、列車の先頭から定停止位置までの残距離を表示する残距離表示器が、地上側に設置されるものである。そして、この場合の残距離表示器も、上述したブレーキ力表示器の例と同様に、プラットホームの屋根から吊り下げられた乗務員向けの情報表示装置に類似した表示装置や、線路端に立設される電光表示板等であってもよい。この場合にも、車両側に改修を施して設置される場合と比較して、容易かつ安価に設置されるものとなる。
更に、本項に記載の定位置停車支援装置は、残距離表示器が、地上側の定停止位置近傍に設置されることにより、列車の運転士に対して、列車が定停止位置の間際に到達するまで、残距離表示器から残距離の表示を行う。このため、より細かいブレーキ力の調整が必要となる定停止位置の間際でも、ブレーキ力の微調整を促すものとなる。
(9)上記(3)から(6)項において、前記ブレーキ力表示器と前記残距離表示器との一方又は双方は、列車に持ち込み可能な通信端末である定位置停車支援装置(請求項7)。
本項に記載の定位置停車支援装置は、ブレーキ力の指標を表示するブレーキ力表示器と、残距離を表示する残距離表示器との一方又は双方が、列車に持ち込み可能な通信端末であるものである。この通信端末として、例えば、タブレット型情報端末を利用することが挙げられる。そして、通信端末と制御装置との間で、駅構内の無線LANや携帯電話回線網を利用した無線通信を確立させることで、地上側に設置されている制御装置からも、各表示情報を受信するものとなる。これにより、運転士が列車内でブレーキ力の指標や残距離を確認するものでありながら、各表示器を地上側に設置する場合よりも、安価かつ容易に設置されるものとなる。
(10)上記(1)から(9)項において、前記速度検出器より列車進行方向手前側に設置され、列車の速度を計測する補助速度検出器を含む定位置停車支援装置(請求項8)。
本項に記載の定位置停車支援装置は、速度検出器より列車進行方向手前側に設置される補助速度検出器を備えることで、速度検出器で計測するよりも早いタイミングで、列車の速度を計測するものである。これにより、プラットホームへ向かう列車の速度が速いために、速度検出器が速度を計測するよりも早いタイミングで、ブレーキ力の指標を表示する必要がある場合や、プラットホームの長手方向の長さが短いために、プラットホーム上に設置されている速度検出器が速度を計測するタイミングでは、ブレーキ力の指標を表示するのが遅過ぎる場合等にも、補助速度検出器で測定する列車の速度を、制御装置が補完的に使用することで、定停止位置に停車させるブレーキ力の調整が可能なタイミングで、列車の運転士に対してブレーキ力の調整を促すものとなる。
(11)上記(1)から(10)項において、前記データベースは、前記制御装置に含まれる定位置停車支援装置。
本項に記載の定位置停車支援装置は、ブレーキ力の指標を算出するためのデータが蓄積されているデータベースが、制御装置に含まれるものである。例えば、制御装置が演算処理装置を有する各種コンピュータである場合には、そのコンピュータに含まれる記憶装置内に、データベースを構築するものである。これにより、コストを抑えてデータベースが設置されると共に、制御装置がデータベースにアクセスする際に、迅速にアクセスするものとなる。
(12)上記(1)から(11)項において、前記データベースに、前記制御装置が算出したデータを蓄積していく定位置停車支援装置。
本項に記載の定位置停車支援装置は、データベースに、予め蓄積されているデータに加えて、制御装置が算出した減速度等の各データのうち、ブレーキ力の指標を算出する際に利用可能なデータを蓄積していくものである。これにより、例えば、データベースに減速度パターンデータが蓄積されている場合には、実際に列車がプラットホームに停車した際の制動パターンデータが、データベースに蓄積される。更に、実際に列車がプラットホームに停車した際のデータには、天候等の外部要素が関わってくるため、これらの外部要素を含めた深度化したデータを蓄積することにもなる。このようなデータベースを使用することで、実際のデータに則って、より正確にブレーキ力の指標を算出するものとなる。
(13)上記(1)から(12)項において、前記データベースに、列車の形式及び編成毎に異なるデータが蓄積されている定位置停車支援装置。
本項に記載の定位置停車支援装置は、データベースに蓄積されているデータを、列車の形式及び編成毎に分けて、別々のデータとして蓄積することで、制御装置のブレーキ力算出手段がブレーキ力の指標を算出する際に、現在計測している列車に応じて、データベースから適切なデータを選んで使用するものとなる。このため、列車の形式や編成に合わせて、適切にブレーキ力の指標を算出するものとなる。
(14)上記(1)から(13)項において、前記速度検出器は、レーザドップラ速度計である定位置停車支援装置。
本項に記載の定位置停車支援装置は、列車の速度を計測する速度検出器として、レーザドップラ速度計を用いるものである。例えば、カーブしているプラットホーム上に速度検出器を設置し、プラットホームに入線する列車の車体と速度検出器との距離が、カーブしているプラットホームに沿って列車が入線してくるために、車体の長手方向の位置によって変動するような場合がある。この場合であっても、速度検出器として、焦点距離や焦点深度の性能が優れたレーザドップラ速度計を用いることにより、計測焦点の変動に対応して、正確に速度を計測するものとなる。
(15)上記(1)から(13)項において、前記速度検出器は、超音波ドップラ速度計である定位置停車支援装置。
本項に記載の定位置停車支援装置は、列車の速度を計測する速度検出器として、超音波ドップラ速度計を用いることで、上記(14)項と同様の作用を奏するものである。
(16)地上側から列車の速度を計測する速度検出器と、列車の運転士に対してブレーキ力の指標を表示するブレーキ力表示器と、前記ブレーキ力の指標を算出するためのデータが蓄積されているデータベースと、装置全体の制御を行う制御装置とを用いる列車の定位置停車支援方法であって、前記速度検出器により算出される列車の減速度及び列車の先頭から定停止位置までの残距離と、前記データベースに蓄積されているデータとを利用して、前記ブレーキ力の指標を算出し、ブレーキ力の調整操作を促すための前記ブレーキ力の指標を前記ブレーキ力表示器に表示させる(請求項9)。
(17)上記(16)項において、前記データベースと前記制御装置とを地上側に設置し、前記ブレーキ力の指標として、運転士が瞬間的に認識できるブレーキ力の過不足情報を、運転士が列車を前記定停止位置に停車させるブレーキ力調整が可能なタイミングで、リアルタイムに更新して表示する定位置停車支援方法(請求項10)。
(18)上記(16)(17)項において、残距離表示器を用いて、列車の運転士に対して前記残距離を表示する定位置停車支援方法(請求項11)。
(19)上記(18)項において、前記データベースには、経過時間と移動距離とを含む列車の制動パターンを、所定の減速度毎にデータ化した減速度パターンデータを蓄積し、前記ブレーキ力の指標を、前記減速度算出手段が算出した減速度を保持したまま列車が進行した場合の制動パターンと、前記減速度パターンデータとを比較した結果から、ブレーキ力適正状態と、ブレーキ力不足状態と、ブレーキ力過剰状態とのうち、いずれか1つの状態を示すように、前記速度検出器で列車の速度計測を開始してから、前記残距離が所定の長さになるまで繰返し表示させ、前記残距離が前記所定の長さになると、前記ブレーキ力表示器への前記ブレーキ力の指標の表示から、前記残距離表示器への前記残距離の表示に切り替える定位置停車支援装置。
(20)上記(16)から(19)項において、前記速度検出器より列車進行方向手前側に設置され、列車の速度を計測する補助速度検出器を用い、列車の減速度と、前記ブレーキ力の指標と、前記残距離との算出に、前記補助速度検出器が計測したデータを利用する定位置停車支援方法(請求項12)。
そして、上記(16)から(20)項に記載の定位置停車支援方法は、上記の内容を実行することにより、各々、上記(1)から(4)項、及び(10)項の定位置停車支援装置に対応する作用を奏するものとなる。
本発明はこのように構成したので、車両側の大規模な改修を伴うことなく、地上側への少ない設備追加で、運転士による列車の定位置停車を支援することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置を模式的に示す模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置の構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置で用いられる各表示器の例を示すイメージ図であり、(a)はブレーキ力表示器の例を、(b)は(a)とは別のブレーキ力表示器の例を、(c)は残距離表示器の例を示している。 本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置の処理動作手順を模式的に示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置の処理動作手順を説明するための、プラットホーム周辺の模式図であり、(a)は速度検出器で速度計測を開始した状態を、(b)はブレーキ力表示器に表示を開始した状態を、(c)は運転士がブレーキ力の調整中である状態を示している。 図5に続き、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置の処理動作手順を説明するための模式図であり、(d)は残距離表示器に表示を開始した状態を、(e)は定停止位置に列車が停車した状態を示している。 本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置において、ブレーキ力表示器に表示するブレーキ力の指標の表示例を示すイメージ図であり、(a)はブレーキ力が適正である場合の表示例、(b)はブレーキ力が不足している場合の表示例、(c)はブレーキ力が過剰である場合の表示例である。 本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置を使用した場合の、列車の動作のシミュレーション結果を示すグラフであり、ブレーキ力の調整を促す1回目のガイドを行った状態を示している。 図8に続き、シミュレーション結果を示すグラフであり、ブレーキ力の調整を促す2回目のガイドを行った状態を示している。 図9に続き、シミュレーション結果を示すグラフであり、ブレーキ力の調整を促す3回目のガイドを行った状態を示している。 本発明の第2の実施の形態に係る定位置停車支援装置の構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る定位置停車支援装置を使用した場合の、列車の動作のシミュレーション結果を模式的に示すグラフである。 従来の定位置停止装置(TASC)の例を模式的に示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10を概略的に示している。図示のように、定位置停車支援装置10は、速度検出器12、ブレーキ力表示器14、残距離表示器16を有しており、各々プラットホーム52上に設置されている。速度検出器12は、プラットホーム52に入線する列車50の速度を計測するために、プラットホーム52上の列車50入線側(図中右側)端部に設置されている。又、ブレーキ力表示器14は、列車50の運転士がブレーキ操作中に視認できるように、プラットホーム52上の長手方向中間位置よりも、定停止位置54側に設置されている。そして、残距離表示器16は、列車50の運転士が列車50を停車させる間際まで視認できるように、プラットホーム52上の定停止位置54近傍に設置されている。更に、定位置停車支援装置10は、装置全体の制御を行う制御装置18を有している。なお、図1において、制御装置18と、定位置停車支援装置10の他の構成要素とを結んでいる線は、制御装置18と他の構成要素との間で、有線又は無線による通信が確立されていることをイメージしたものである。
又、図1で示す例では、上述した速度検出器12、ブレーキ力表示器14、及び、残距離表示器16は、全てプラットホーム52上に設置されているが、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、これに限定されるものではない。例えば、速度検出器12は、図1での速度検出器12の位置から、線路56を挟んで反対側(図中上側)の、線路56端に設置してもよく、又、プラットホーム52よりも、図中右側の線路56端に設置してもよい。又、ブレーキ力表示器14及び残距離表示器16は、図1での夫々の位置から、線路56を挟んで反対側(図中上側)の、線路56端に設置してもよく、更に、制御装置18との無線による通信が確立されているのであれば、例えば、タブレット型情報端末を、各表示器14、16として利用し、車両50の運転室に設置するようにしてもよい。
次に、図2に示すブロック図を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10の構成について詳細に説明する。図示のように、定位置停車支援装置10は、上述した速度検出器12、ブレーキ力表示器14、残距離表示器16、制御装置18の他に、データベース20を有している。又、制御装置18は、列車50(図1参照)の減速度を算出する減速度算出手段22、ブレーキ力表示器14へ表示させるブレーキ力の指標を算出するブレーキ力算出手段24、残距離表示器16へ表示させる、列車50の先頭部から定停止位置54(図1参照)までの残距離を算出する残距離算出手段26を備えている。
データベース20には、制御装置18のブレーキ力算出手段24が、ブレーキ力の指標を算出する際に利用するためのデータが蓄積されている。データベース20に蓄積するデータとして、例えば、後述する図8〜図10のシミュレーションで使用するような、経過時間毎の速度と移動距離とを含む列車の制動パターンを、所定の減速度毎にデータ化した減速度パターンデータが挙げられる。更に、このデータを、列車50の形式や車両編成毎に細分化したデータ、或いは、定位置停車支援装置10が設置されている路線の曲線及び勾配等の路線形状、天候、プラットホーム52の長さ及び形状等の、各種情報を付加して深度化したデータとしてもよい。又、速度検出器12で計測し、制御装置18で算出した実際のデータを、データベース20のデータに追加して蓄積していくこととしてもよい。
ここで、定位置停車支援装置10の各構成要素として利用される装置を、具体例を挙げて説明していく。まず、速度検出器12は、プラットホーム52上や線路56(図1参照)端から、走行中の列車50の速度を計測する必要があるため、計測対象までの距離が変動しても計測が可能な、例えば、レーザドップラ速度計や超音波ドップラ速度計等を用いることが望ましい。又、ブレーキ力表示器14は、プラットホーム52上に設置される場合には、図3(a)及び(b)に示すような、従来の乗務員向けの情報表示装置に類似した表示装置を、プラットホーム52の屋根に吊り下げて利用してもよく、線路56端に設置される場合には、線路56端に立設される電光表示板等であってもよい。そして、残距離表示器16についても、ブレーキ力表示器14と同様に、図3(c)に示すような、プラットホーム52の屋根に吊り下げる表示装置や、線路56端に立設される電光表示板等を用いてもよい。なお、図3(a)及び(b)では、ブレーキ力表示器14にブレーキ力の指標として「○」を表示した例を、図3(c)では、残距離表示器16に残距離として「3m」と表示した例を、夫々示している。
又、制御装置18は、上述したように、定位置停車支援装置10全体の制御や、各種計算を行う必要があるため、例えば、定位置停車支援装置10の他の構成要素と通信が確立されている、演算処理装置を有するコンピュータ等を利用する。
データベース20は、例えば、上述したようなデータを蓄積可能な記憶容量を有する記憶装置等に構築される。或いは、制御装置18が十分な記憶容量を有している場合には、制御装置18内に構築することとしてもよい。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10の処理動作手順を、図4に示すフローチャートの流れに沿って、図5及び図6に示す模式図を参照しながら概略的に説明する。なお、図4では、データベース20に減速度パターンデータが蓄積され、ブレーキ力の指標として、ブレーキ力の過不足状態を示す表示を行う例を示している。又、図5及び図6では、列車50が3両編成である場合を表示し、データベース20及び制御装置18の図示は省略している。
S10:処理動作開始。速度検出器12が列車50を検知するまで待機状態となる。
S15:速度検出器12が、プラットホーム52に入線した列車50を検知し、列車50の速度計測を開始する(図5(a)の状態)。なお、速度検出器12を、プラットホーム52より列車50進行方向手前側の線路56端に設置し、列車50がプラットホーム52に入線する前に速度計測を開始してもよい。
S20:上記S15で開始した速度検出器12による列車50の速度計測は、列車50が停止するまでリアルタイムで継続的に行う。そして、計測した列車50の速度及び経過時間を利用して、制御装置18の減速度算出手段22(図2参照)が、列車50の減速度を算出する。又、算出した列車50の減速度、経過時間、及び、予め取得している速度検出器12と定停止位置54間の距離を利用して、制御装置18の残距離算出手段26(図2参照)が、列車50の先頭部から定停止位置54までの残距離を算出する。
S25:制御装置18のブレーキ力算出手段24(図2参照)が、上記20で減速度算出手段22が算出した列車50の減速度と、データベース20の減速度パターンデータとを比較し、データベース20に蓄積されている減速度パターンデータから、列車50の減速度に近い減速度のパターンデータを探し出す。そして、その減速度パターンデータを利用して、上記20で算出した減速度を維持した状態で、列車50が進行した場合の予測停車位置を算出する。
S30:ブレーキ力算出手段24が、上記S20で残距離算出手段26が算出した残距離に対して、上記20で減速度算出手段22が算出した列車50の減速度が、適正範囲内であるか否かの判定を行う。すなわち、上記S25で算出した列車50の予測停車位置が、定停止位置54の適正範囲内であるか否かの判定を行う。そして、適正範囲内であると判定された場合(Yes)は、S40へ移行し、適正範囲内ではないと判定された場合(No)は、S35へ移行する。
S35:ブレーキ力算出手段24が、上記S20で残距離算出手段26が算出した残距離に対して、上記20で減速度算出手段22が算出した列車50の減速度が、適正範囲より小さいか否かの判定を行う。すなわち、上記S25で算出した列車50の予測停車位置が、定停止位置54の適正範囲を、列車50進行方向(図5(a)左側方向)に過ぎているか否かの判定を行う。そして、適正範囲を過ぎていると判定された場合(Yes)は、S45へ移行し、適正範囲を過ぎていない、すなわち、適正範囲よりも列車50進行方向手前側(図5(a)右側)であると判定された場合(No)は、S50へ移行する。
S40:上記S30で、列車50の予測停車位置が、定停止位置54の適正範囲内であると判定された場合、制御装置18は、ブレーキ力表示器14に、ブレーキ力の指標として、現在のブレーキ力が適正である旨の表示をさせる。例えば、図7(a)に示すように、ブレーキ力表示器14に「○」を表示させる。このブレーキ力の指標は、列車50の運転士がブレーキ力表示器14を視認できる位置、かつ、運転士が列車50を定停止位置54の適正範囲内に停車させるようなブレーキ力の調整をすることが可能な位置に、列車50が進行しているタイミングで表示される(図5(b)の状態)。
S45:上記S35で、列車50の予測停車位置が、定停止位置54の適正範囲を過ぎていると判定された場合、制御装置18は、ブレーキ力表示器14に、ブレーキ力の指標として、現在のブレーキ力が不足している旨の表示をさせる。例えば、図7(b)に示すように、ブレーキ力表示器14に「×」を表示させる。このブレーキ力の指標は、上記S40で記述したタイミングと同様のタイミングで表示される。
S50:上記S35で、列車50の予測停車位置が、定停止位置54の適正範囲よりも手前側であると判定された場合、制御装置18は、ブレーキ力表示器14に、ブレーキ力の指標として、現在のブレーキ力が過剰である旨の表示をさせる。例えば、図7(c)に示すように、ブレーキ力表示器14に「◎」を表示させる。このブレーキ力の指標は、上記S40で記述したタイミングと同様のタイミングで表示される。
S55:上記S45で、ブレーキ力表示器14に現在のブレーキ力が不足している旨が表示された場合、或いは、上記S50で、ブレーキ力表示器14に現在のブレーキ力が過剰である旨が表示された場合に、列車50の運転士は、表示されたブレーキ力の指標に従い、ブレーキ力の調整を行う(図5(c)の状態)。
S60:制御装置18は、残距離算出手段26が算出した定停止位置54までの残距離が、所定値T(図6(d)参照)よりも短いか否かの判定を行う。この所定値Tの値は任意に設定できるが、例えば、列車50の1両分の長さを目安に設定してもよい。そして、残距離が所定値Tよりも短いと判定された場合(Yes)は、S65へ移行し、残距離が所定値Tよりも長いと判定された場合(No)は、S20へ復帰する。すなわち、残距離が所定値Tになるまで、上記S20から本処理動作までの処理動作を繰返し行い、ブレーキ力表示器14に表示するブレーキ力の指標の表示内容を、上記S20でリアルタイムに計測する列車50の速度を反映した最新の表示内容に更新しながら、繰返し表示する。
S65:上記S60で、残距離が所定値Tよりも短いと判定された場合、制御装置18は、ブレーキ力表示器14の表示内容の更新を停止するのと同時に、残距離表示器16を起動し、残距離算出手段26が算出する列車50の先頭部から定停止位置54までの残距離の表示を開始する(図6(d)の状態)。列車50の運転士は、この残距離表示器16に表示される残距離を確認しながら、列車50を定停止位置54の適正範囲内に停車させるための、ブレーキ力の微調整を行う。
S70:制御装置18は、残距離算出手段26が算出する残距離がゼロであるか否かの判定を行う。そして、残距離がゼロであると判定された場合(Yes)は、S75へ移行し、残距離がゼロではないと判定された場合(No)は、再度この判定を繰り返す。すなわち、残距離がゼロになるまで、表示内容を更新しながら、残距離表示器16へ残距離を表示させる。
S75:上記S70で、残距離がゼロであると判定された場合、列車50が定停止位置54に停車したと判断し、一連の処理動作を終了する(図6(e)の状態)。
続いて、図8〜図10に示すグラフを参照しながら、本発明者らが行った、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10を使用して、ブレーキ力調整のガイドを行った場合の、列車50の動作シミュレーションについて説明する。なお、定位置停車支援装置10の構成や概要については図1及び図2を、処理動作については図4を、適宜、参照されたい。
図8〜図10のグラフは、列車50の先頭部から定停止位置54までの残距離D(m)を横軸に、列車50の速度V(km/h)を縦軸に示している。残距離Dの値は、定停止位置54の位置を0mとして、マイナスの値が定停止位置54よりも列車進行方向手前側(図1で右側)である場合を示し、プラスの値が定停止位置54を列車進行方向(図1で左側方向)に超えた場合を示している。そして、各グラフには、列車50の動作シミュレーションデータをsim、データベース20に蓄積されている1つ目の比較データをdt1、2つ目の比較データをdt2として、夫々をプロットしている。又、列車50の動作シミュレーションは、列車50が8両編成で1両の長さが20m、速度検出器12から定停止位置54までの距離が180m、速度検出器12が列車50の速度計測を開始した時点での、列車50の速度が約65km/h、減速度が約3.0km/h/s、という前提条件でシミュレーションを行っている。なお、図8〜図10に示す例では、定位置停車支援装置10は、残距離表示器16の表示を開始する位置を、残距離Dが列車50の1両分の長さとなる位置、すなわち、残距離Dが−20mの位置とする。
まず、図8のグラフでは、上述した前提条件から減速度の変化がない状態で、列車50が進行した場合の列車50の動作シミュレーションを示している。すなわち、速度検出器12が設置されている、残距離Dが−180mの位置Sでの、列車50の速度が約65km/hであり、かつ、その時点の減速度約3.0km/h/sから変化がない状態で、列車50が進行した場合を示している。この場合では、グラフのsimのデータが示すように、列車50の速度Vが0km/hになる時点での残距離Dが約10m、すなわち、列車50の停車位置が定停止位置54から約10m過ぎた位置となる。又、制御装置18のブレーキ力算出手段24は、ブレーキ力の指標を算出する際に、列車50の減速度約3.0km/h/sに近い減速度のパターンデータを、データベース20に蓄積されているパターンデータから選択して比較を行うため、比較データdt1として減速度3.5km/h/sのパターンデータを、比較データdt2として減速度3.0km/h/sのパターンデータを、グラフに夫々プロットしており、これは図9及び図10についても同様である。
図8に示すように進行する列車50(sim)に対して、定位置停車支援装置10は、速度検出器12により列車50の速度を計測し(図4のS15)、減速度算出手段22で列車50の減速度を、残距離算出手段26で残距離Dを夫々算出する(図4のS20)。そして、制御装置18のブレーキ力算出手段24は、データベース20から選択した減速度3.5km/h/sのパターンデータ(dt1)と、減速度3.0km/h/sのパターンデータ(dt2)とを利用して、列車50の予測停車位置を、定停止位置54から約10m過ぎた位置になると算出する(図4のS25)。このため、列車50の予測停車位置が、定停止位置54の適正範囲内ではなく(図4のS30)、定停止位置54の適正範囲を過ぎていると判定し(図4のS35)、ブレーキ力表示器14にブレーキ力不足の旨を表示する(図4のS45)ことで、運転士にブレーキ力調整のガイドを行う。この1回目のガイドを行った位置をG1として、図8〜図10に表示している。そして、制御装置18は、この時点で残距離Dが−20mではないため、ブレーキ力表示器14への表示と表示内容の更新を続ける(図4のS60)。
次に、図9のグラフは、G1で定位置停車支援装置10が行った1回目のブレーキ力調整ガイドに従い、列車50の運転士が、B1の位置でブレーキ力を強める調整を行った場合の、列車50の動作シミュレーションを示している。この場合では、グラフのsimのデータが示すように、運転士がブレーキ力を強める調整をしたことにより(図4のS55)、列車50の速度Vが0km/hになる時点での残距離Dが約−10m、すなわち、列車50の停車位置が定停止位置54より約10m手前になっている。
図9に示すように進行する列車50(sim)に対して、制御装置18のブレーキ力算出手段24は、データベース20から選択した減速度3.5km/h/sのパターンデータ(dt1)と、減速度3.0km/h/sのパターンデータ(dt2)とを利用して、列車50の予測停車位置を、定停止位置54の約10m手前の位置になると算出する(図4のS25)。このため、列車50の予測停車位置が、定停止位置54の適正範囲内ではなく(図4のS30)、定停止位置54の適正範囲よりも手前であると判定し(図4のS35)、ブレーキ力表示器14にブレーキ力過剰の旨を表示する(図4のS50)ことで、運転士にブレーキ力調整のガイドを行う。この2回目のガイドを行った位置をG2として、図9及び図10に表示している。そして、制御装置18は、この時点で残距離Dが−20mではないため、ブレーキ力表示器14への表示と表示内容の更新を続ける(図4のS60)。
続いて、図10のグラフは、G2で定位置停車支援装置10が行った2回目のブレーキ力調整ガイドに従い、列車50の運転士が、B2の位置でブレーキ力を弱める調整を行った場合の、列車50の動作シミュレーションを示している。この場合では、グラフのsimのデータが示すように、運転士がブレーキ力を弱める調整をしたことにより(図4のS55)、列車50の速度Vが0km/hになる時点での残距離Dが約0m、すなわち、列車50の停車位置が定停止位置54と略同じ位置になっている。
図10に示すように進行する列車50(sim)に対して、制御装置18のブレーキ力算出手段24は、データベース20から選択した減速度3.5km/h/sのパターンデータ(dt1)と、減速度3.0km/h/sのパターンデータ(dt2)とを利用して、列車50の予測停車位置を、定停止位置54と略同じ位置になると算出する(図4のS25)。このため、列車50の予測停車位置が、定停止位置54の適正範囲内であると判定し(図4のS30)、ブレーキ力表示器14にブレーキ力適正の旨を表示する(図4のS40)ことで、運転士に現在のブレーキ力が適正であるとガイドする。この3回目のガイドを行った位置をG3として、図10に表示している。そして、制御装置18は、残距離Dが−20mになると、残距離表示器16への残距離Dの表示を開始し(図4のS65)、列車50が定停止位置54近傍に停車するまで、残距離Dの表示と表示内容の更新を行うことで、列車50の運転士にガイドを続ける(図4のS70、S75)。
さて、上記構成をなす本発明の第1の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、定位置停車支援装置10は、図1及び図2に示すように、速度検出器12、ブレーキ力表示器14、残距離表示器16、データベース20、及び、装置全体の制御を行う制御装置18を含んでいる。速度検出器12は、プラットホーム52に入線する列車50の状態を取得する手段として用いられ、地上側から列車50の速度を計測する。このため、列車50の速度を、プラットホーム52入線直後に計測できるような位置、或いは、プラットホーム52入線手前で計測できるような位置に設置される。又、速度検出器12は、計測対象の列車50を検知してから、列車50が停止するまでの間は、常時、列車50の速度を計測する(図4のS15)。そして、速度検出器12が計測した列車50の速度データは、制御装置18に送信される。又、データベース20には、ブレーキ力の指標を算出する際に必要となるデータが蓄積されており、制御装置18がそのデータへアクセスできるようになっている。
又、制御装置18は、列車50の減速度を算出する減速度算出手段22、ブレーキ力の指標を算出するブレーキ力算出手段24、及び、列車50の先頭から定停止位置54までの残距離を算出する残距離算出手段26を備えている。減速度算出手段22は、速度検出器12が計測した列車50の速度データから、単位時間あたりの速度変化を計算し、列車50の減速度を算出する(図4のS20)。又、残距離算出手段26は、予め取得している速度検出器12と定停止位置54間の距離、減速度算出手段22で算出した列車50の減速度、速度検出器12が列車50の速度計測を開始してからの経過時間等から、列車50の先頭から定停止位置54までの残距離を算出する(図4のS20)。又、ブレーキ力算出手段24は、減速度算出手段22で算出した列車50の減速度、データベース20に蓄積されているデータ等から、ブレーキ力の指標を算出する。ブレーキ力の指標として、例えば、ブレーキ力の過不足状態や、その時点で適切なブレ−キ段数を算出する。そして、制御装置18は、残距離算出手段26で算出した残距離を、残距離表示器16へ表示させ、ブレーキ力算出手段24で算出したブレーキ力の指標を、ブレーキ力表示器14へ表示させる。上述したような機能を有する制御装置18として、例えば、定位置停車支援装置10の他の構成要素と通信が確立された状態の、演算処理装置を有する各種コンピュータを使用することが挙げられる。
従って、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、プラットホーム52に入線する列車50の状態として、速度のみを速度検出器12により計測し、この列車50の速度データと、データベース20に蓄積されているデータとを用いて、各表示器14、16に表示させる情報の算出を、制御装置18が備えている各算出手段22、24、26により行う。そして、列車50の運転士に対して、ブレーキ力表示器14にブレーキ力の指標を表示することで、ブレーキ力の調整を促し、残距離表示器16に列車50の先頭から定停止位置54までの残距離を表示することで、より細かいブレーキ力の調整を促す。これにより、大規模な改修を伴うことなく、少ない設備追加のみで、列車50の運転士に対して、ブレーキ力の調整に必要な情報を提供することができ、運転士による列車50の定位置停車を支援することが可能となる。
又、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、ブレーキ力の指標を算出するためのデータが蓄積されているデータベース20と、装置全体の制御を行う制御装置18とが、地上側に設置されるものである。このため、車両側に設置される場合と比較して、改修が少なく容易に、又、設置スペースを気にすることなく、設置することが可能となる。
更に、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、列車50の運転士に対して表示するブレーキ力の指標として、ブレーキ力の過不足情報を、運転士が列車50を定停止位置54に停車させるブレーキ力調整が可能なタイミングで、かつ、運転士が瞬間的に認識可能な表示内容で表示するものである。これにより、列車50の運転士が、ブレーキ力表示器14に表示されるブレーキ力の過不足情報を瞬間的に把握し、ブレーキ力の過不足を是正するようなブレーキ力の調整を、列車50を定停止位置54に停車させることが可能なタイミングで行うことができる。更に、ブレーキ力の指標は、リアルタイムに更新されて表示される。このため、列車50の運転士がブレーキ力の調整を行い、列車50の減速度に変化があるような場合にも、ブレーキ力調整後の減速度から算出した、適切なブレーキ力の指標が表示されることになる。従って、列車50の運転士に対して、ブレーキ力の調整に必要な情報を、列車50の現在の状況に応じて正確に提供することができるため、運転士による列車50の定位置停車を支援すること可能となる。
又、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、データベース20に蓄積されている、ブレーキ力の指標を算出するためのデータを、経過時間毎の速度と移動距離とを含む列車50の制動パターンを、所定の減速度毎にデータ化した減速度パターンデータとしてもよい。例えば、減速度パターンデータには、ある一定の減速度である場合の、列車50の移動距離と速度とを1秒毎にデータ化し、更に、それらのデータを、所定の複数の減速度毎に蓄積したものが利用される。この場合には、制御装置18のブレーキ力算出手段24は、データベース20に蓄積されている減速度パターンデータと、制御装置18の減速度算出手段22が算出した減速度を保持したまま列車50が進行した場合の制動パターンとを比較することにより、現在のブレーキ力の状態が、適正状態、不足状態、過剰状態のうち、どの状態であるのかを判別し、その結果をブレーキ力の指標として表示させる。例えば、制御装置18の減速度算出手段22が算出した列車50の減速度が、図8〜図10のsimで示すような約3.0km/h/sであったとすると、制御装置18のブレーキ力算出手段24は、列車50が約3.0km/h/sの減速度のまま進行した場合の予測停車位置を、減速度パターンデータの中で列車50の減速度に近い、図8〜図10のdt1及びdt2で示す、減速度が3.5km/h/s及び3.0km/h/sのパータンデータと比較することにより算出する(図4のS25)。そして、予測停車位置が、定停止位置54から適正範囲内であると算出された場合には(図4のS30)、図7(a)に示すようなブレーキ力が適正状態であることを示す表示を、ブレーキ力表示器14に表示させる(図4のS40)。又、予測停車位置が、定停止位置54を越えると算出された場合には(図4のS35)、図7(b)に示すようなブレーキ力が不足状態であることを示す表示を、定停止位置54よりも手前になると算出された場合には(図4のS35)、図7(c)に示すようなブレーキ力が過剰状態であることを示す表示を、夫々ブレーキ力表示器14に表示させる(図4のS45、S50)。このため、リアルタイムで列車50の減速度が変化する場合であっても、データベース20に蓄積されている減速度パターンデータと比較することにより、ブレーキ力の指標を算出するため、正確な表示内容で迅速に、ブレーキ力の指標を表示することができる。
更に、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、制御装置18のブレーキ力算出手段24が算出するブレーキ力の指標を、速度検出器12が列車50の速度計測を開始してから、列車50の先頭から定停止位置54までの残距離が所定の長さT(図6(d)参照)になるまで繰返し表示するものである(図4のS60)。すなわち、列車50の運転士が、列車50を定停止位置54に停車させるためのブレーキ力調整を行える期間に、ブレーキ力の指標を、制御装置18のブレーキ力算出手段24が算出する、最新のブレーキ力の過不足状態を示す内容に更新しながら、ブレーキ力表示器14に繰返し表示する。そして、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、列車50の先頭から定停止位置54までの残距離が、所定の長さTになると、ブレーキ力表示器14へのブレーキ力の指標の表示を止め、残距離表示器16へ列車50の先頭から定停止位置54までの残距離を表示する(図4のS65)。従って、列車50が所定の位置に達するまでは、ブレーキ力の指標を表示することで、運転士にブレーキ力の調整を促し、列車50が所定の位置に達した後は、定停止位置54までの残距離を表示することで、運転士にブレーキ力の微調整を促すこととなる。このため、列車50の減速度や、列車50と定停止位置54との位置関係に応じた適切な表示内容で、ブレーキ力の調整を促すことにより、運転士による列車50の定位置停車を支援することできる。
又、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、列車50の速度を計測する速度検出器12を、図1で示すようにプラットホーム52の列車進入側端部に設置することで、列車50がプラットホーム52に入線した直後から、列車50の速度を計測することができ、更に、容易かつ安全に、速度検出器12を設置することができる。
又、列車50の速度を計測する速度検出器12を、列車50進行方向手前側のプラットホーム52間際の線路56端に設置することとすれば、他の線路56端と比較して、線路56に近づく方向への装置の設置可能範囲が緩和されている場所に設置することになる。このため、線路56を通る列車50により近い位置に設置することができ、列車50の速度計測を、プラットホーム52手前の位置から正確に行うことが可能となる。
更に、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、列車50の運転士に対してブレーキ力の指標を表示するブレーキ力表示器14を、地上側に設置してもよい。例えば、ブレーキ力表示器14を、図1に示すようにプラットホーム52上に設置する場合には、図3の(a)及び(b)で示すように、従来からプラットホーム52上に設置されている、乗務員向けの情報表示装置に類似した表示装置を、ブレーキ力表示器14としてプラットホーム52の屋根から吊り下げることとしてもよい。又、ブレーキ力表示器14を、線路56を挟んでプラットホーム52の反対側の線路56端に設置する場合には、線路56端に立設する電光表示板等であってもよい。これにより、車両側に改修を施して設置する場合と比較して、容易かつ安価に設置することができる。
又、プラットホーム52がカーブしている場合や、プラットホーム52の長手方向の長さが長い場合等で、ブレーキ力表示器14が1箇所に設置されているだけでは、列車50の運転士がブレーキ力の指標を視認し難い場合には、同じ表示内容を表示する複数のブレーキ力表示器14を、地上側に設置することとしてもよい。こうすることにより、列車50の運転士は、より確実に、ブレーキ力の指標を視認することができる。
又、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、列車50の先頭から定停止位置54までの残距離を表示する残距離表示器16を、地上側に設置してもよい。そして、この場合の残距離表示器16も、上述したブレーキ力表示器14の例と同様に、図3(c)で示すような、プラットホーム52の屋根から吊り下げられた乗務員向けの情報表示装置に類似した表示装置や、線路56端に立設される電光表示板等であってもよい。この場合にも、車両側に改修を施して設置する場合と比較して、容易かつ安価に設置することができる。
更に、残距離表示器16を、地上側の定停止位置54近傍に設置することとすれば、列車50の運転士に対して、列車50が定停止位置54の間際に到達するまで、残距離表示器16から残距離の表示を行うものとなる。これにより、より細かいブレーキ力の調整が必要となる定停止位置54の間際でも、ブレーキ力の微調整を促すこととなるため、運転士による列車50の定停止位置54への停車を、より正確に支援することができる。
又、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、ブレーキ力の指標を表示するブレーキ力表示器14と、残距離を表示する残距離表示器16との一方又は双方を、列車50に持ち込み可能な通信端末とすることができる。この場合の通信端末として、例えば、タブレット型情報端末が利用できる。そして、通信端末と制御装置18との間で、駅構内の無線LANや携帯電話回線網を利用した無線通信を確立させることにより、地上側に設置されている制御装置18からも、各表示情報を受信することができる。これにより、運転士が列車50内でブレーキ力の指標や残距離を確認するものでありながら、各表示器14、16を地上側に設置する場合よりも、安価かつ容易に設置することが可能となる。
又、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、ブレーキ力の指標を算出するためのデータが蓄積されているデータベース20を、制御装置18に含めてもよい。例えば、制御装置18が演算処理装置を有する各種コンピュータである場合には、そのコンピュータに含まれる記憶装置内に、データベース20を構築すればよい。これにより、コストを抑えてデータベース20を設置できると共に、制御装置18がデータベース20にアクセスする際に、迅速にアクセスすることができる。
更に、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、データベース20に、予め蓄積されているデータに加えて、制御装置18が算出した減速度等の各データのうち、ブレーキ力の指標を算出する際に利用可能なデータを蓄積させてもよい。これにより、例えば、データベース20に減速度パターンデータが蓄積されている場合には、実際に列車50がプラットホーム52に停車した際の制動パターンデータを、データベース20に蓄積できる。更に、実際に列車50がプラットホーム52に停車した際のデータには、天候等の外部要素が関わってくるため、これらの外部要素を含めた深度化したデータを蓄積することにもなる。このようなデータベース20を使用することで、実際のデータに則って、より正確にブレーキ力の指標を算出することができる。
又、データベース20に蓄積されているデータを、列車50の形式及び編成毎に分けて、別々のデータとして蓄積させてもよい。こうすることで、制御装置18のブレーキ力算出手段24がブレーキ力の指標を算出する際に、現在計測している列車50に応じて、データベース20から適切なデータを選んで使用することができる。このため、列車50の形式や編成に合わせて、適切にブレーキ力の指標を算出することが可能となる。
又、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10は、列車50の速度を計測する速度検出器12として、レーザドップラ速度計や超音波ドップラ速度計を用いるものである。例えば、カーブしているプラットホーム52上に速度検出器12を設置し、プラットホーム52に入線する列車50の車体と速度検出器12との距離が、カーブしているプラットホーム52に沿って列車が入線してくるために、車体の長手方向の位置によって変動するような場合がある。この場合であっても、速度検出器12として、焦点距離や焦点深度の性能が優れたレーザドップラ速度計や超音波ドップラ速度計を用いることにより、計測焦点の変動に対応して、正確に速度を計測することができる。
続いて、図11及び図12を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る定位置停車支援装置10’について説明する。図11及び図12において、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付している。なお、本発明の第2の実施の形態に係る定位置停車支援装置10’について、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10との、相違部分のみ説明をすることとし、本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10と、同様の部分の構成や作用効果については、説明を省略する。
まず、図11に示すブロック図を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る定位置停車支援装置10’の構成について説明する。図示のように、定位置停車支援装置10’は、図2で示した本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10の各構成要素に加えて、補助速度検出器28を備えている。この補助速度検出器28は、速度検出器12よりも列車50進行方向手前側に設置され、速度検出器12よりも早いタイミングで、列車50の速度計測を開始する。そして、補助速度検出器28も、速度検出器12と同様に、計測対象までの距離が変動しても計測が可能な、レーザドップラ速度計や超音波ドップラ速度計等を用いることが望ましい。
次に、図12のグラフは、本発明者らが行った、本発明の第2の実施の形態に係る定位置停車支援装置10’を使用した場合の、列車50の動作シミュレーションを示している。なお、グラフの横軸と縦軸の構成、プロットされているデータの種類、及び、simが示す列車50の動作の前提条件は、図8〜図10で示したグラフと同様である。また、補助速度検出器28が設置されている位置は、速度検出器12が設置されている位置Sよりも100m手前側、すなわち、残距離Dが−280mの位置S’に設置されているものとする。
図12に示すように進行する列車50(sim)に対して、定位置停車支援装置10’は、列車50がS’の位置に達すると、補助速度検出器28により列車50の速度計測を開始する。そして、図4で示した本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10の処理動作で、定位置停車支援装置10が速度検出器12により計測した列車50の速度を利用したように、定位置停車支援装置10’は、補助速度検出器28により計測した列車50の速度を利用し、制御装置18の各算出手段で、列車50の減速度やブレーキ力の指標等を算出する。こうすることで、定位置停車支援装置10’は、速度検出器12のみで列車50の速度を計測するよりも早いタイミングで、列車50の運転士にブレーキ力調整のガイドを行う。そして、列車50がSの位置に達するまでは、補助速度検出器28により計測した列車50の速度を利用し、ブレーキ力調整のガイドを続ける。なお、列車50がSの位置に達した後は、図8〜図10で示した本発明の第1の実施の形態に係る定位置停車支援装置10を使用した場合と同様になるため、説明を省略する。
上述したように、本発明の第2の実施の形態に係る定位置停車支援装置10’は、速度検出器12より列車50の進行方向手前側に設置される補助速度検出器28を備えることで、速度検出器12で計測するよりも早いタイミングで、列車50の速度を計測するものである。これにより、プラットホーム52へ向かう列車50の速度が速いために、速度検出器12が速度を計測するよりも早いタイミングで、ブレーキ力の指標を表示する必要がある場合や、プラットホーム52の長手方向の長さが短いために、プラットホーム52上に設置されている速度検出器12が速度を計測するタイミングでは、ブレーキ力の指標を表示するのが遅過ぎる場合等にも、補助速度検出器28で測定する列車50の速度を、制御装置18が補完的に使用することで、定停止位置54に停車させるブレーキ力の調整が可能なタイミングで、列車50の運転士に対してブレーキ力の調整を促すことができる。このため、列車50の速度が速い場合や、プラットホーム52がカーブしている場合にも、運転士による列車50の定位置停車を支援することが可能となる。
10、10’:定位置停車支援装置、12:速度検出器、14:ブレーキ力表示器、16:残距離表示器、18:制御装置、20:データベース、22:減速度算出手段、24:ブレーキ力算出手段、26:残距離算出手段、28:補助速度検出器、50:列車、52:プラットホーム、54:定停止位置

Claims (12)

  1. 列車の定停止位置での停車を支援する定位置停車支援装置であって、
    地上側から列車の速度を計測する速度検出器と、列車の運転士に対してブレーキ力の指標を表示するブレーキ力表示器と、前記ブレーキ力の指標を算出するためのデータが蓄積されているデータベースと、装置全体の制御を行う制御装置とを含み、
    該制御装置は、列車の減速度を算出する減速度算出手段と、列車の先頭から前記定停止位置までの残距離を算出する残距離算出手段と、前記データ、前記列車の減速度、及び前記残距離をもとに前記ブレーキ力の指標を算出するブレーキ力算出手段とを備えることを特徴とする定位置停車支援装置。
  2. 前記データベースと前記制御装置とは地上側に設置され、
    前記ブレーキ力の指標は、運転士が列車を前記定停止位置に停車させるブレーキ力調整が可能なタイミングで、かつ、運転士が瞬間的に認識可能な表示内容で、リアルタイムに更新されて表示されるブレーキ力の過不足情報であることを特徴とする請求項1記載の定位置停車支援装置。
  3. 前記残距離を表示する残距離表示器を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の定位置停車支援装置。
  4. 前記速度検出器は、プラットホームの列車進入側端部に設置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の定位置停車支援装置。
  5. 前記ブレーキ力表示器は、地上側に設置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の定位置停車支援装置。
  6. 前記残距離表示器は、地上側の前記定停止位置近傍に設置されることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項記載の定位置停車支援装置。
  7. 前記ブレーキ力表示器と前記残距離表示器との一方又は双方は、列車に持ち込み可能な通信端末であることを特徴とする請求項3又は4記載の定位置停車支援装置。
  8. 前記速度検出器より列車進行方向手前側に設置され、列車の速度を計測する補助速度検出器を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の定位置停車支援装置。
  9. 地上側から列車の速度を計測する速度検出器と、列車の運転士に対してブレーキ力の指標を表示するブレーキ力表示器と、前記ブレーキ力の指標を算出するためのデータが蓄積されているデータベースと、装置全体の制御を行う制御装置とを用いる列車の定位置停車支援方法であって、
    前記速度検出器により算出される列車の減速度及び列車の先頭から定停止位置までの残距離と、前記データベースに蓄積されているデータとを利用して、前記ブレーキ力の指標を算出し、ブレーキ力の調整操作を促すための前記ブレーキ力の指標を前記ブレーキ力表示器に表示させることを特徴とする定位置停車支援方法。
  10. 前記データベースと前記制御装置とを地上側に設置し、
    前記ブレーキ力の指標として、運転士が瞬間的に認識できるブレーキ力の過不足情報を、運転士が列車を前記定停止位置に停車させるブレーキ力調整が可能なタイミングで、リアルタイムに更新して表示することを特徴とする請求項9記載の定位置停車支援方法。
  11. 残距離表示器を用いて、列車の運転士に対して前記残距離を表示することを特徴とする請求項9又は10記載の定位置停車支援方法。
  12. 前記速度検出器より列車進行方向手前側に設置され、列車の速度を計測する補助速度検出器を用い、
    列車の減速度と、前記ブレーキ力の指標と、前記残距離との算出に、前記補助速度検出器が計測したデータを利用することを特徴とする請求項9から11のいずれか1項記載の定位置停車支援方法。
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