JP2013202180A - 歯科切削加工用レジン材料の製造方法 - Google Patents

歯科切削加工用レジン材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的とするところは、大きいサイズの歯科用補綴材料を作製するために利用することができ、しかもクラックの発生が抑制されている歯科切削加工用レジン材料を、効率良く製造することができる方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る歯科切削加工用レジン材料の製造方法は、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、及び無機充填材を含有する成形用組成物を調製するステップ、前記成形用組成物を、内部に容積40cm3以上700cm3以下のキャビティが形成されている成形型における前記キャビティに充填するステップ、及び前記空間内に充填されている前記成形用組成物を誘電加熱するステップを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、切削加工が施されることで歯科用補綴物に形成される歯科切削加工用レジン材料を製造する方法に関する。
歯科治療のために用いられるインレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、プロビジョナル・レストレーション、歯科インプラント治療用の上部構造などを総称して、歯科用補綴物という。歯科用補綴物を作製する方法の一つとして、歯科切削加工用レジン材料を切削加工することにより歯科用補綴物を得る方法がある。歯科切削加工用レジン材料としては、シリカ(二酸化ケイ素)などの無機充填材、(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体、重合開始剤等を含有する組成物を硬化させることで得られる硬化物が、広く使用されている。
天然歯に代替する歯科用補綴物を得るために、歯科切削加工用レジン材料には、審美性、強度、耐久性などの特性が要求されている。そのため、従来、種々の材料が提案されている。
例えば特許文献1には、平均粒径0.01〜0.04μmの無機質充填剤20〜70重量%と少なくとも1個の不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレートのモノマーと加熱重合開始剤との組み合わせから成る混合物を、圧力50〜300MPa、温度100〜200℃の条件で加圧・加熱して重合・硬化させることで、歯科用レジン材料を製造し、この歯科用レジン材料を切削加工することでインレー、クラウンなどの歯科用補綴物を得ることが、開示されている。
特開平10−323353号公報
しかし、(メタ)アクリレート系のモノマーは熱硬化反応速度が速く、且つ硬化収縮が大きいため、成形品には、クラック等の破損が生じやすい。このため特許文献1に開示されている方法では、特に体積の大きい歯科切削加工用レジン材料をクラック等が生じることなく得ることは難しかった。また、このようなクラック等を抑制するために、(メタ)アクリレート系のモノマーを低温で長時間加熱することで熱硬化させることも考えられるが、その場合は、歯科切削加工用レジン材料の生産性が著しく悪化してしまう。
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大きいサイズの歯科用補綴材料を作製するために利用することができ、しかもクラックの発生が抑制されている歯科切削加工用レジン材料を、効率良く製造することができる歯科切削加工用レジン材料の製造方法を提供することにある。
本発明に係る歯科切削加工用レジン材料の製造方法は、
ラジカル重合性単量体、重合開始剤、及び無機充填材を含有する成形用組成物を調製するステップ、
前記成形用組成物を、内部に容積40cm3以上700cm3以下のキャビティが形成されている成形型における前記キャビティに充填するステップ、及び
前記空間内に充填されている前記成形用組成物を誘電加熱するステップ
を含む。
前記製造方法は、前記成形型を加熱することで前記空間内に充填されている前記成形用組成物を加熱するステップと、前記空間内に充填されている前記成形用組成物に紫外線を照射するステップとのうち、少なくとも一方を更に含むことが好ましい。
本発明において、前記成形用組成物に周波数1MHz以上300GHz以下の電磁波を照射することで、前記空間内に充填されている前記成形用組成物を誘電加熱することが好ましい。
また、本発明において、前記空間内に充填されている前記成形用組成物に常圧以上40MPa以下の圧力をかけながら、前記空間内に充填されている前記成形用組成物を誘電加熱することが好ましい。
本発明によれば、寸法の大きいキャビティ内の成形用組成物を誘電加熱により効率良く、且つ均一性高く、加熱することができる。このため、大型の歯科切削加工用レジン材料を、効率良く製造することができ、しかもこの歯科切削加工用レジン材料にクラック等の破損が生じにくくなる。
本実施形態による歯科切削加工用レジン材料の製造方法では、まず成形用組成物が調製される。この成形用組成物は、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、及び無機充填材を含有する。
ラジカル重合性単量体としては、一般に歯科用途に用いられている(メタ)アクリレート系モノマー、ウレタン(メタ)アクリレート系モノマー、ビスフェノールA骨格を含む(メタ)アクリレート系モノマーなどの、公知のラジカル重合性単量体が挙げられる。これらのラジカル重合性単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(フェニルグリシジルエーテルアクリレート)−ヘキサメチレンジウレタン、ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の化合物が挙げられる。これらのうちから選択される一種以上の化合物を、ラジカル重合性単量体が含有することが好ましい。
ラジカル重合性単量体として、一般に電子材料用として用いられるビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂モノマーなどの化合物が用いられてもよい。
また、ラジカル重合性単量体は、分子量300以上780以下のポリエチレングリコールジメタクリレートを6質量%以上30質量%以下の割合で含有することが好ましい。この場合、ラジカル重合性単量体が、分子量300以上780以下のポリエチレングリコールジメタクリレートを6質量%以上の割合で含有することで、成形用組成物の熱硬化反応速度時の硬化収縮が抑制される。またラジカル重合性単量体が、分子量300以上780以下のポリエチレングリコールジメタクリレートを30質量%以下の割合で含有することで、歯科切削加工用レジン材料の高い強度が維持される。この分子量300以上780以下のポリエチレングリコールジメタクリレートの割合は、更に10質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
分子量300以上780以下のポリエチレングリコールジメタクリレートとしては、テトラエチレングリコールジメタクリレート(分子量330)、ノナエチレングリコールジメタクリレート(分子量550)、テトラデカエチレングリコールジメタクリレート(分子量770)などが挙げられる。これらのモノマーのうち、一種のみが用いられても、複数種が併用されてもよい。
成形用組成物中のラジカル重合性単量体は、トリエチレングリコールジメタクリレート(分子量286)を含有することも好ましい。特に、ラジカル重合性単量体が分子量300以上780以下のポリエチレングリコールジメタクリレートを含有する場合において、更にラジカル重合性単量体がトリエチレングリコールジメタクリレートを含有することが好ましい。この場合、歯科切削加工用レジン材料の高い強度が維持され得る。ラジカル重合性単量体中のトリエチレングリコールジメタクリレートの割合は、1質量%以上60質量%以下であることが好ましい。このトリエチレングリコールジメタクリレートの割合が1質量%以上であると、歯科切削加工用レジン材料の強度が更に向上し得る。また、トリエチレングリコールジメタクリレートの割合が60質量%以下であるとエチレングリコール鎖含有モノマー総量が抑制され、このためエチレングリコール鎖による吸水性が抑制され、これにより吸水による歯科切削加工用レジン材料の強度の低下が抑制される。このトリエチレングリコールジメタクリレートの割合は、更に20質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
成形用組成物中のラジカル重合性単量体の割合は、成形用組成物全体に対して、2〜49質量%の範囲であることが好ましい。
重合開始剤としては、一般に歯科用として用いられている熱重合開始剤が挙げられる。この熱重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドなどが挙げられる。これらのうちから選択される一種以上の化合物を、重合開始剤が含有することが好ましい。
無機充填材としては、歯科用材料として使用され得る適宜の無機材料からなる粒子が使用され得る。無機充填材の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、並びにアルミナとジルコニアのうち少なくとも一方がシリカと複合してなる複合セラミックからなる粒子が挙げられる。これらのうちから選択される一種以上を、無機充填材が含有することが好ましい。
成形用組成物中の無機充填材の割合は、例えば20質量%以上95質量%以下の範囲で適宜調整され得る。
この成形用組成物中の無機充填材の割合は、特に70質量%以上95質量%以下の範囲であることが好ましい。この場合、無機充填材の割合が70質量%以上であることで、歯科切削加工用レジン材料の高い強度が維持され得る。また、無機充填材の割合が95質量%以下であることで、歯科切削加工用レジン材料中に無機充填材が分散性良く含有され得るようになる。この無機充填材の割合は、70質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
無機充填材の平均粒径は特に制限されないが、例えば0.001〜50μmの範囲である。
無機充填材には、平均粒径が0.2〜50μmの範囲にある第一の無機充填材が含まれていることが好ましい。無機充填材に第一の無機充填材が含まれていると、歯科切削加工用レジン材料の曲げ強度等の機械的強度が特に高くなる。第一の無機充填材の平均粒径が0.2μm以上であることで歯科切削加工用レジン材料の機械的強度が特に高くなり、この平均粒径が50μm以下であることで歯科切削加工用レジン材料の高い加工性が確保される。歯科切削加工用レジン材料の機械的強度の向上のためには第一の無機充填材の平均粒径がさらに0.3μm以上であることが好ましく、特に0.4μm以上であることが好ましい。歯科切削加工用レジン材料の加工性向上のためには第一の無機充填材の平均粒径がさらに30μm以下であることが好ましく、20μm以下が特に好ましい。特に第一の無機充填材の平均粒径は30〜0.3μmの範囲であることが好ましく、更に20〜0.4μmの範囲であることが好ましい。
無機充填材には、平均粒径が0.001〜0.1μmの範囲にある第二の無機充填材が含まれていることも好ましい。第二の無機充填材の平均粒径が0.001μm以上であることで、第二の無機充填材によっても歯科切削加工用レジン材料の機械的強度は高くなる。また、第二の無機充填材の平均粒径が0.001μm以上であると、第二の無機充填材の凝集が抑制されることで、第二の無機充填材が歯科切削加工用レジン材料中で分散しやすくなるという利点もある。更に第二の無機充填材の平均粒径が0.1μm以下であると.第二の無機充填材の粒径が光の波長に比して小さくなるため、第二の無機充填材が歯科切削加工用レジン材料の透明性に与える影響が小さくなる。このため、歯科切削加工用レジン材料に第二の無機充填材が含まれていると、歯科切削加工用レジン材料の透明性が損なわれることなく歯科切削加工用レジン材料の機械的強度が高くなる。歯科切削加工用レジン材料の機械的強度向上のためには第二の無機充填材の平均粒径はさらに0.005μm以上であることが好ましく、特に0.01μm以上であることが好ましい。歯科切削加工用レジン材料の透明性の向上のためには第二の無機充填材の平均粒径は0.08μm以下であることがさらに好ましく、0.07μm以下が特に好ましい。特に第二の無機充填材の平均粒径は0.08〜0.005μmの範囲であることが好ましく、更に0.07〜0.01μmの範囲であることが好ましい。
尚、上記の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により測定されるD50(体積の累積が全累積体積の50%となる中位粒径)である。
無機充填材には、第一の無機充填材と第二の無機充填材とが共に含まれていることも、好ましい。この場合、第一の無機充填材によって歯科切削加工用レジン材料の機械的強度が向上すると共に、第二の無機充填材によって歯科切削加工用レジン材料の機械的強度が更に高くなる。しかも、第二の無機充填材によって歯科切削加工用レジン材料の透明性が高くなる。これは、母相中に第一の無機充填材と第二の無機充填材とが分散していると、第二の無機充填材の影響によって母相の屈折率が見かけ上小さくなり、それにより母相と第一の無機充填材との屈折率差が小さくなるためであると、考えられる。このことが、歯科切削加工用レジン材料の透明性の更なる向上に寄与すると考えられる。これにより、歯科切削加工用レジン材料の機械的強度と透明性とが、非常に高くなる。
更に、無機充填材全体中に特に第一の無機充填材と第二の無機充填材とが共に含まれていると、歯科切削加工用レジン材料の表面のツヤが失われにくくなり、また、歯科切削加工用レジン材料に着色が生じにくくなる。これは、歯科切削加工用レジン材料から粒径の大きい無機充填材が脱落する頻度が少なくなり、このため歯科切削加工用レジン材料の表面に凹凸が生じにくくなって歯科切削加工用レジン材料の表面が荒れにくくなるためであると、考えられる。すなわち、歯科切削加工用レジン材料の表面が荒れていると歯科切削加工用レジン材料の表面に汚れが溜まり易くなって着色が生じやすくなるが、歯科切削加工用レジン材料の表面が荒れにくいと汚れが溜まりにくくなり、更にツヤが失われにくくなる。更に、歯科切削加工用レジン材料の表面が荒れているとその表面積が大きくなってしまい、実際の表面積あたりの汚れの付着量に対して見かけ上の表面積あたりの汚れの付着量が多くなってしまって着色が生じやすくなってしまうが、歯科切削加工用レジン材料の表面が荒れにくいと、そのような着色は生じにくくなるものである。
無機充填材全体中における第一の無機充填材と第二の無機充填材の割合は特に制限されないが、歯科切削加工用レジン材料全体に対して、第一の無機充填材は20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、さらに40質量%以上85質量%以下であることが好ましい。第二の無機充填材は歯科切削加工用レジン材料全体に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、2質量%以上25質量%以下が更に好ましい。
無機充填材の形状は球状であることが好ましい。この場合、歯科切削加工用レジン材料の表面の平滑性が高くなり、歯科切削加工用レジン材料が口腔内に固定される場合に歯科切削加工用レジン材料によって口腔が傷つけられにくくなると共に、歯科切削加工用レジン材料と噛み合う対合歯が摩耗しにくくなる。更に、歯科切削加工用レジン材料の表面の平滑性が高くなることで歯科切削加工用レジン材料が着色されにくくなる。更に、歯科切削加工用レジン材料にドリルビットなどの切削用工具による切削加工が施される場合には、切削用工具の摩耗が抑制される。更に、後述するように成形用組成物から歯科切削加工用レジン材料が形成される場合には、成形用組成物の流動性が高くなり、これにより成形用組成物の成形性が高くなる。
球状の無機充填材の形状は、表面がほぼ曲面から形成されていれば、厳密な球体でなくてもよいが、無機充填材の真球度は0.95以上であることが好ましい。この真球度は0.96以上であればより好ましく、0.97以上であれば更に好ましい。無機充填材の真球度の測定にあたっては、まず無機充填材全体中から任意に選択される50個の粒子の顕微鏡画像が撮影される。この顕微鏡画像に現れる各粒子の投影断面の面積及びこの断面の周囲長から、〔粒子投影断面の面積と同じ面積の真円の円周長〕/〔粒子投影断面の周囲長の測定値〕の値が導出される。50個の粒子についてそれぞれ導出される値の平均値が無機充填材の真球度である。
無機充填材にはカップリング剤による表面処理が施されていていることが好ましい。この場合、一般に歯科医療用として用いられているカップリング剤が使用されることが好ましい。カップリング剤としては、例えばγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどの公知のカップリング剤が挙げられる。
成形用組成物は、必要に応じて、更に重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、フッ素徐放剤、着色顔料、その他の従来公知の添加剤などを含有してもよい。特に歯科用材料を得るための成形用組成物に含有される添加剤としては、一般に歯科用として用いられている適宜の化合物が用いられる。
上記のような原料が配合されることで、成形用組成物が調製される。
次に、内部に容積40cm3以上700cm3以下のキャビティが形成されている成形型が準備される。これにより、大型の歯科切削加工用レジン材料が得られる。尚、キャビティとは、成形型における、成形品の形状に合致する空間である。この成形型の容積は、70cm3以上350cm3以下の範囲であることが好ましい。
キャビティの形状は、角柱状、円柱状、角板状、円板状などであってよく、特に制限されない。キャビティが円柱状である場合には、キャビティの内径が61mm以上149mm以下の範囲であり、キャビティの高さが14mm以上40mm以下の範囲であることが、好ましい。
成形型の材質としては、例えば金属、セラミックス、耐熱性樹脂などが、採用される。成形用組成物が光硬化性を有する場合には、成形型における、キャビティと成形型の外部とを仕切る隔壁の少なくとも一部が、光透過性の高い材料から形成されていてもよい。光透過性の材料としては、例えばガラス、PET等が挙げられる。
また、成形型における、キャビティと成形型の外部とを仕切る隔壁の少なくとも一部は、誘電加熱のために使用される電磁波の透過性が高い材料から形成されることが好ましい。電磁波の透過性が高い材料の好ましい例としては、石膏、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
また、成形型は、成形用組成物が常圧で硬化する場合でも、酸素による重合阻止を防ぐために、蓋などで密閉できる構造を有することが好ましい。また、成形型におけるキャビティの内面には、成形用組成物が充填される前に予め離型剤が塗布されてもよい。
続いて、成形型のキャビティに成形用組成物が充填される。続いて、必要に応じ、キャビティ内が減圧されることで、成形用組成物から気泡が除去される。続いて、成形型に蓋が取着されることで、キャビティが閉塞される。
次に、電磁波を利用して、成形用組成物が誘電加熱される。このため、成形用組成物が加熱される際に、キャビティの容積が大きいにもかかわらず、キャビティ内の成形用組成物の温度の均一性が高くなる。このため、成形用組成物から形成される歯科切削加工用レジン材料に、クラック等の破損が生じにくくなる。
成形用組成物が誘電加熱されるために適用される電磁波の周波数は、1MHz以上300GHz以下の範囲であることが好ましい。この場合、成形用組成物が効率良く加熱される。この電磁波は、周波数1MHz以上300MHz以下の範囲の高周波と、周波数300MHz以上300GHz以下のマイクロ波とに分けられる。特に、電磁波が、周波数1MHz以上300MHz以下の範囲の高周波であると、キャビティ内の成形用組成物の奥深くまで電磁波が到達しやすくなり、このため成形用組成物が特に効率良く加熱される。
成形用組成物が誘電加熱される際には、成形用組成物に常圧(大気圧)以上40MPa以下の範囲の圧力がかけられていることが、好ましい。この場合、歯科切削加工用レジン材料にクラックが更に生じにくくなる。
成形用組成物を硬化させる際には、成形用組成物が誘電加熱されるだけでなく、成形型が加熱されることにより成形用組成物が加熱されてもよい。この場合、成形用組成物が更に効率良く加熱される。成形型を加熱する方法としては、ヒータにより成形型を加熱する方法、成形型を成形用組成物と共に加熱炉へ入れる方法などの、適宜の手法が採用される。成形型が加熱されることにより成形用組成物が加熱される際も、成形用組成物に常圧(大気圧)以上40MPa以下の範囲の圧力がかけられていることが、好ましい。
成形型が加熱されるタイミングは、適宜設定される。例えば、成形型が加熱されることで成形用組成物が加熱されてから、成形用組成物が誘電加熱されてもよい。また、成形型が加熱されることで成形用組成物が加熱されながら、成形用組成物が誘電加熱されてもよい。また、成形用組成物が誘電加熱されてから、成形型が加熱されることで成形用組成物が加熱されてもよい。特に、成形用組成物が誘電加熱されてから、成形型が加熱されることで成形用組成物が加熱されることが、好ましい。この場合、まず成形用組成物が誘電加熱されることで成形用組成物が均一性よく加熱され、続いて成形型が加熱されることで成形用組成物の温度が容易に調整される。このため、成形用組成物の加熱条件を制御することが容易となる。
成形用組成物を硬化させるための処理の好ましい一態様においては、まず、キャビティ内の成形用組成物に電磁波が照射されることで、成形用組成物が誘電加熱される。電磁波の出力は300W以上2000W以下の範囲であることが好ましい。また、成形用組成物が誘電加熱される時間は10秒以上600秒以下の範囲であることが好ましい。この場合、成形用組成物が、効率良く、且つ均一性高く、加熱される。続いて、本態様では、成形型が加熱されることで、成形用組成物が加熱される。この加熱条件は、成形用組成物の組成に応じて適宜設定されるが、特に成形用組成物が、まず40℃以上60℃以下の温度で20分間以上60分間以下加熱され、続いて60℃以上100℃以下の温度で20分間以上60分間以下加熱されるという、二段階の加熱がおこなわれることが好ましい。
尚、誘電加熱のみによって成形用組成物が硬化されてもよい。この場合、例えば、成形用組成物に間欠的に電磁波が照射されるなどして、成形用組成物が一定時間、一定の温度範囲で加熱されることで、成形用組成物を硬化させることができる。この場合の加熱条件も、成形用組成物の組成に応じて適宜設定されるが、例えば成形用組成物が40℃以上100℃以下の温度で20分間以上120分間以下加熱されることが、好ましい。
成形用組成物を硬化させた後、アフターキュアが施されることが好ましい。アフターキュアの条件は、加熱温度100℃以上150℃以下の範囲、加熱時間30分以上120分以下の範囲であることが、好ましい。
また、成形用組成物が紫外線硬化性を有する場合、成形用組成物を硬化させる際には、成形用組成物が誘電加熱されるだけでなく、成形用組成物に紫外線が照射されてもよい。この場合、成形用組成物が更に効率良く加熱される。成形用組成物に紫外線が照射される際も、成形用組成物に常圧(大気圧)以上40MPa以下の範囲の圧力がかけられていることが、好ましい。
成形用組成物に紫外線が照射されるタイミングは、適宜設定される。例えば、成形用組成物に紫外線が照射されてから、成形用組成物が誘電加熱されてもよい。また、成形用組成物に紫外線が照射されながら、成形用組成物が誘電加熱されてもよい。また、成形用組成物が誘電加熱されてから、成形用組成物に紫外線が照射されてもよい。
また、成形用組成物が誘電加熱されること、成形型が加熱されることで成形用組成物が加熱されること、及び成形用組成物に紫外線が照射されることが、全て採用されてもよい。この場合のこれらの処理の順番も、適宜設定される。
以上説明した方法によって、大型の歯科切削加工用レジン材料が効率良く製造される。しかも、この歯科切削加工用レジン材料には、クラック等の破損が生じにくくなる。
この歯科切削加工用レジン材料に切削加工が施されることで、歯科用補綴物が作製される。切削加工は、例えばCAD/CAM装置を用いておこなわれる。特に歯科切削加工用レジン材料が歯科用CAD/CAMシステムによって切削加工されると、手作業の場合と比べて、均一な歯科用補綴物が得られる。また、口腔内に固定されている歯科用補綴物に部分的に欠けなどの不具合が発生した場合には、CADデータに基づいて歯科用補綴物を修復・再生することが容易となる。更に、口腔内に固定されている歯科用補綴物に欠けが生じても、それが微小な場合には、その欠けが歯科治療に常用されているペースト状のレジンなどの歯科用レジン材料で埋められることで、容易に修復される。この場合、歯科用補綴物と歯科用レジン材料が共にレジン材料であるから、両者の接着性は良好となる。
(樹脂組成物の調製)
後掲の表1に示す原料を配合し、これらを攪拌混合することで、組成の異なる四種類の成形用組成物(組成物A〜D)を得た。
尚、表1中のシランカップリング剤は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを、3EDMはトリエチレングリコールジメタクリレートを、9EDMはノナエチレングリコールジメタクリレートを、PGA−HMUはジ(フェニルグリシジルエーテルアクリレート)−ヘキサメチレンジウレタンを、NPGDMはネオペンチルグリコールジメタクリレートを、TMPTMはトリメチロールプロパントリメタクリレートを、HEMAは2−ヒドロキシエチルメタクリレートを、BPOはベンゾイルパーオキサイドを、それぞれ示す。
Figure 2013202180
(歯科切削加工用レジン材料の作製)
円柱状のキャビティが形成されている成形型を用意し、後掲の表に示す各実施例及び比較例において、成形用組成物を成形型のキャビティ内に充填した。使用した成形用組成物の種類、成形型の材質、並びにキャビティの寸法は、表に示す通りである。
続いて、キャビティ内の成形用組成物を減圧脱泡した後、この成形型にステンレス製の蓋を取り付けることで、キャビティを閉塞した。
続いて、成形用組成物に、次に示す硬化処理を施した。
実施例1〜3、5〜9では、成形型内の成形用組成物を誘電加熱してから、成形型を加熱することで、成形用組成物を硬化させた。これにより得られた硬化物に、更にアフターキュアを施した。
実施例4では、成形型内の成形用組成物に電磁波を間欠的に照射することで誘電加熱することで、成形用組成物を硬化させた。これにより得られた硬化物に、更にアフターキュアを施した。
比較例1〜5では、成形型を加熱することで、成形用組成物を硬化させた。これにより得られた硬化物に、更にアフターキュアを施した。
各実施例及び比較例での硬化処理の条件は、後掲の表に示す通りである。
(評価)
各実施例及び比較例において、成形用組成物の硬化処理に要した時間の合計を、後掲の表の「成形時間」の欄に示す。
また、各実施例及び比較例において、10個の歯科切削加工用レジン材料を作製した。これらの歯科切削加工用レジン材料を目視で観察し、10個の歯科切削加工用レジン材料にクラックが認められない場合を「○」、1個でもクラックが認められる場合を「×」と、評価した。その結果を後掲の表に示す。
Figure 2013202180
Figure 2013202180
Figure 2013202180

Claims (4)

  1. ラジカル重合性単量体、重合開始剤、及び無機充填材を含有する成形用組成物を調製するステップ、
    前記成形用組成物を、内部に容積40cm3以上700cm3以下のキャビティが形成されている成形型における前記キャビティに充填するステップ、及び
    前記空間内に充填されている前記成形用組成物を誘電加熱するステップ
    を含む歯科切削加工用レジン材料の製造方法。
  2. 前記成形型を加熱することで前記空間内に充填されている前記成形用組成物を加熱するステップと、前記空間内に充填されている前記成形用組成物に紫外線を照射するステップとのうち、少なくとも一方を更に含む請求項1に記載の歯科切削加工用レジン材料の製造方法。
  3. 前記成形用組成物に周波数1MHz以上300GHz以下の電磁波を照射することで、前記空間内に充填されている前記成形用組成物を誘電加熱する請求項1又は2に記載の歯科切削加工用レジン材料の製造方法。
  4. 前記空間内に充填されている前記成形用組成物に常圧以上40MPa以下の圧力をかけながら、前記空間内に充填されている前記成形用組成物を誘電加熱する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の歯科切削加工用レジン材料の製造方法。
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