JP2013184948A - 粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法 - Google Patents

粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
粗製芳香族ジカルボン酸の水素化精製による精製芳香族ジカルボン酸の製造において、晶析工程で発生する蒸気を熱エネルギーと凝縮水として回収し製造プロセス内で循環させて有効利用することを目的とする。
【解決手段】
粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを、晶析工程(IV)の晶析槽から段階的放圧によって発生する水蒸気を用いて、複数の熱交換器で加熱し溶解する加熱溶解工程(II)において、それぞれの熱交換器に凝縮水を回収するフラッシュドラムを付設し、加熱蒸気導入ライン12、熱交換器H-N、フラッシュドラムB-N、水蒸気循環ライン13、余剰水蒸気放出ライン14、凝縮水移送ライン15の水蒸気の流れを伴った加熱機構を加熱単位(加熱ユニットと変形加熱ユニット)とする効率的熱回収システムを構築した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、粗製芳香族ジカルボン酸を水素化精製して、精製芳香族ジカルボン酸を製造する方法に関する。
粗製芳香族ジカルボン酸(粗製テレフタル酸、粗製イソフタル酸など)は、ジアルキルベンゼン(パラキシレン、メタキシレンなど)を出発原料として酢酸溶媒中、酸化触媒の存在下、酸素含有ガスにより液相酸化する方法で主に製造されている。
製造された粗製の該芳香族ジカルボン酸結晶は、溶媒水と混合し、スラリーとし、加熱して高温高圧の水溶液とした後、水素含有ガスの存在下、水素化精製触媒層を通して精製水溶液となる。さらに段階的に圧力を低下させて、放圧冷却を行う晶析工程を経て、精製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーが生成される。前記精製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを固液分離して結晶分を回収し、乾燥工程を経て、精製芳香族ジカルボン酸(精製テレフタル酸結晶粉体、精製イソフタル酸結晶粉体など)が製造されるに至る。このようにして得られた該精製芳香族ジカルボン酸(高純度芳香族ジカルボン酸)は、繊維用、フィルム用、ボトル用などのポリエステル製造原料として広く大量に使用されている。
上記精製芳香族ジカルボン酸の製造法では、粗製芳香族ジカルボン酸結晶をスラリーにするために大量の溶媒水(約1.5〜10重量倍)を必要とし、さらに粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを溶解して水溶液にするためには高圧下で約180℃(蒸気圧約1MPa)〜約300℃(蒸気圧約9MPa)の高温に加熱する熱エネルギーが必要である。
その一方で、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの溶解水溶液は水素の存在下、触媒層で精製したのち、精製ジカルボン酸の結晶を析出させる晶析工程では、段階的に圧力を低下させて、100〜170℃(水蒸気圧0.1〜0.8MPa)まで冷却するため、多量の蒸気が発生する。
そのため、精製芳香族ジカルボン酸の晶析工程での放圧に伴って発生した蒸気を、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの加熱溶解工程に要する熱エネルギーの熱源として利用する方法がいくつか提案されている。
特許文献1は、粗製テレフタル酸結晶スラリーの供給流れの中に晶析工程で発生した高温水蒸気を直接導入して加熱する方法である。しかし、晶析工程の放圧により発生する高温水蒸気の圧力は、供給スラリー流れの圧力よりも低く、直接導入するには課題のある方法である。
また、特許文献2では、晶析工程から生成される精製テレフタル酸結晶粒径の調整を行うこと、そしてその晶析工程の第1晶析槽での放圧によって発生する高温の水蒸気を、粗製テレフタル酸結晶スラリーと熱交換することにより、加熱及び溶解の熱エネルギーとして使用することを提案している。その際、それぞれ晶析槽からの発生水蒸気をそれぞれの熱交換器の加熱に利用し、それぞれの温度で得た水蒸気あるいは凝縮液をまとめて供給スラリーの加熱に利用する方法がフローとして例示されている(図4)。
特許文献3では、それぞれの晶析槽から発生する異なる圧力の水蒸気を、熱交換器の加熱用にそれぞれの温度で熱交換器に導入し、それぞれ高温側の熱交換器の加熱によって生成した高温の凝縮水を、導入水蒸気と一緒にそれぞれの熱交換器に供給して、供給スラリーを加熱する加熱溶解工程を提案している。しかし、この加熱方式では、熱交換器に導入される加熱用の高圧水蒸気と高温高圧の凝縮液とが混合されて同時に導入するため、加熱媒体の流動性や伝熱効率の面で実用上課題のある方法である。
特許文献4では、粗製テレフタル酸の水素化精製方法において、晶析工程からの放圧によって発生した水蒸気を熱源として利用した後に生成する加熱溶解工程の凝縮水は、粗製芳香族ジカルボン酸結晶と混合してスラリーを調製する水の一部として使用できること、および該スラリーを調製する溶媒水として使用するときの調整方法を提案している。しかし、晶析工程から発生する蒸気には、不純物とされるパラトルイル酸が約500〜1500ppm程度同伴し混入されている。そのため生成凝縮水を直接溶媒水として使用するには量的制限(凝縮水:純水=100:300〜500)があること、パラトルイル酸含有量を低減するため、蒸留や膜分離などの処理工程を必要とする提案をしている。
特表平7−507292号 特開平8−225489号 特開2007−261957号 特開2004−231644号
本発明は、上記従来技術の問題を解決しようとするものであって、粗製芳香族ジカルボン酸の水素化精製による精製芳香族ジカルボン酸の製造において、晶析工程でそれぞれの晶析槽から発生するそれぞれの圧力の水蒸気を、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの加熱溶解工程のそれぞれの熱交換器の加熱媒体として使用し、安定した操作性と効率良く熱回収する実用的加熱溶解システムを構築することを第一の課題とした。
そして、該加熱溶解システムから生成、流出される凝縮水を、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを調製する水媒体の一部として使用することを第二の課題とした。
上記2課題を合わせて精製芳香族ジカルボン酸の製造における熱と水媒体の回収、循環によって製造費の低減を図ることを目的とした。
一般に精製芳香族ジカルボン酸の連続製造は、粗製芳香族ジカルボン酸結晶を約1.5〜10倍、好ましくは2〜5倍の溶媒水を用いて粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーとし、加圧下で該スラリーを複数の直列に連結された熱交換器(多管式熱交換器)に供給し、約180〜300℃(水素化精製反応の温度)となるまで順次加熱し、溶解槽を通して粗製芳香族ジカルボン酸水溶液を得ている。その際、熱交換器において、加熱される粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーはチューブ側を、加熱する水蒸気はシェル側を通すことが通常行われている。
熱交換器(多管式熱交換器)では、供給する粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーが加圧下で速い速度(約1.5m/sec以上)の液状流れで通過するチューブ側に対して、シェル側は圧力下に導入された高温の水蒸気が凝縮潜熱を放出して凝縮水となる。そして高温高圧の該凝縮水を熱交換器から排出している。
また、晶析工程では、約180〜300℃(約1.0〜9MPa)の精製芳香族ジカルボン酸水溶液を大気圧から約0.8MPa(約100〜170℃)の最終晶析槽の設定圧力まで、必要によっては大気圧以下(約50℃)となるまで、段階的(4〜6段)に順次圧力を低下させた晶析槽に放圧して冷却する。そのため各晶析槽からそれぞれの圧力相当の温度の水蒸気が発生し、排出している。
そこで、本発明者らは、それぞれの晶析槽から発生する水蒸気を、加熱する粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの温度に対応して各々の熱交換器の加熱側(シェル側)に導入し、水蒸気の凝縮潜熱のみによる熱伝達を安定して引き出す熱交換システムを考案した。
また、同時に、発生水蒸気の熱エネルギー(凝縮潜熱)を、ほぼ大気圧近くの比較的低い温度の凝縮水として回収する方法について検討した。
その結果、本発明者らは、晶析槽からの発生蒸気を熱交換器に供給し、付設フラッシュドラムと一体にした蒸気加熱機構(図1細点線範囲)を単位(加熱ユニット32)とした粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの蒸気加熱システムを構築した。そして、晶析工程のそれぞれの晶析槽からの水蒸気を順次導入した該加熱ユニットをシステム構成した該結晶スラリーの加熱溶解工程を用いることを第一の課題解決の手段とした。
まず、図1を用いて本発明の粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法の概略を説明する。尚、以下に各名称へ付記した符号は図面を参照して発明理解に供するものであり、図面符号によって本発明を限定解釈するなど解釈を拘束するものではない。また、図1では、複数直列に連結された晶析槽、熱交換器およびフラッシュドラムの配列されたそれぞれの連続3段を図示したものである。図1では連続3段を1例として示しているが、本発明は連続3段に限定されるものではない。
本願発明の精製方法は、粗製芳香族ジカルボン酸を原料として、(I)粗製芳香族ジカルボン酸結晶1と溶媒の水2とを混合して粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3を生成するスラリー調整工程、(II)この粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3をスラリー供給ライン5に供給しながら、このスラリー供給ライン5に沿って複数の直列に配置した熱交換器H(H-(N-1)、H-N、H-(N+1))によって順次加熱し、熱交換器H-Xで溶解温度まで加熱したのち、溶解槽Dを経て結晶成分を溶解させる加熱溶解工程、(III)加熱溶解工程(II)を経て、結晶成分が溶解した高温高圧の粗製芳香族ジカルボン酸水溶液6を水素存在下で触媒と接触させて、粗製芳香族ジカルボン酸水溶液6を精製ジカルボン酸水溶液7にする水素化精製工程、(IV)精製ジカルボン酸水溶液7を複数の直列に配置した段階的に圧力を低下した晶析槽C(C-(n-1)、C-n、C-(n+1))に放圧及び冷却して芳香族ジカルボン酸結晶を析出させて精製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー8を生成する晶析工程、(V)精製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー8を固液分離して精製芳香族ジカルボン酸結晶9を回収する固液分離工程、の以上の各工程を経るものである。
その内図1では、加熱溶解工程(II)における連続3段に配列される熱交換器H(H-(N-1)、H-N、H-(N+1))と付設フラッシュドラムB(B-(N-1)、B-N、B-(N+1))および晶析工程(IV)における連続3段に配置された晶析槽C(C-(n-1)、C-n、C-(n+1))を取り出し、水蒸気の流れによる加熱システムを示したもので、本発明の水蒸気の流れによる加熱単位を図1の細点線で囲んだ加熱ユニット32として示した。その加熱ユニット32では水蒸気の導入と排出の流れ、凝縮水の導入と排出の流れ、および内部循環の流れの下記(流れ1)〜(流れ6)の流れで熱供給が構成される。なお、熱交換器H(H-(N-1)、H-N、H-(N+1))には、フラッシュドラムB(B-(N-1)、B-N、B-(N+1))が付設されるもので、凝縮水導入による蒸気発生および導入水蒸気のドレン分離を促し、安定した蒸気(潜熱)加熱を行う容器となる。
(流れ1)〜(流れ6)について説明する。
(流れ1)晶析工程(IV)の任意のn段目C-nからの放圧によって発生する水蒸気(ライン10)を、加熱溶解工程(II)の任意のN段目熱交換器H-Nの加熱側に加熱蒸気導入ライン12を経て導入する。蒸気加熱したのち凝縮した水は付設フラッシュドラムB-Nに流入して蓄積する。
(流れ2)前記任意の熱交換器H-Nから粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を超えた下流側を示す)に付設のフラッシュドラムB-(N+x) (x:1以上の整数で隣接および隣接を超えた下流側を示す)の圧力制御(PC圧力調節計)によって放出された水蒸気は余剰水蒸気放出ライン14を経て、熱交換器H-Nの加熱蒸気導入ライン12に供給し、加熱に利用する。
(流れ3)前記スラリー供給ライン5下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)に付設のフラッシュドラムB-(N+x)の液面制御(LC液面調節計)により、移送ライン15を経て流入した凝縮水の放圧による水蒸気及び上記(流れ1)の凝縮水に同伴して流入した水蒸気は、水蒸気循環ライン13を経て、晶析槽C-nから熱交換器H-Nに至る加熱蒸気導入ライン12に戻して再利用する。
(流れ4)粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)に付設のフラッシュドラムB-(N+x)に回収し、蓄積された凝縮水11−1は、液面制御(LC液面調節計)によって凝縮水移送ライン15を通じて前記付設フラッシュドラムB-Nに導入され、放圧して蒸気を発生する。該発生水蒸気は(流れ3)の水蒸気循環ライン13を経て前記熱交換器H-Nの加熱に利用され、残部の凝縮水11−1は付設フラッシュドラムB-Nに蓄積される。
(流れ5)熱交換器H-Nの加熱に余剰となった水蒸気は、付設フラッシュドラムB-Nの圧力上昇をもたらすため圧力制御(PC圧力調節計)によって余剰水蒸気放出ライン14を経て、前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の上流側(低温側)に設置した熱交換器H-(N-x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を超えた上流側を示す)の加熱用水蒸気ライン12に放出、供給される。
(流れ6)前記付設フラッシュドラムB-Nに蓄積された凝縮水11−1は、液面制御(LC液面調節計)によって、制御弁4および凝縮水移送ライン15を通して前記粗製芳香族芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の上流側(低温側)に設置した付設フラッシュドラムB-(N-x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を超えた上流側を示す)に放出し供給される。放圧によって発生した水蒸気は、該上流側(低温側)に設置した熱交換器H-(N-x)および付設フラッシュドラムB-(N-x)の上記の(流れ2)および(流れ3)の流れで加熱に利用される。
上記(流れ1)〜(流れ6)の流れを伴った熱交換器H-Nと付設フラッシュドラムB-Nの加熱機構は、晶析槽C-nの圧力とほぼ同等の圧力に制御(PC)され、付設フラッシュドラムB-Nに凝縮水が集積し、熱交換器H-Nにおいて安定した効率的蒸気加熱を行う加熱ユニット32となる。
そのため本発明者らは、精製芳香族ジカルボン酸水溶液7を放圧、冷却する晶析槽C- nからの水蒸気を用いて、上記(流れ1)〜(流れ6)の流れを備えた熱交換器H-Nと付設フラッシュドラムB-Nによる加熱ユニットを備えた加熱溶解工程(II)において、安定した効率的加熱システムを発明した。
次いで、前記精製芳香族ジカルボン酸水溶液7を放圧、冷却する晶析槽C-(n+1)からの発生水蒸気を加え、上記(流れ1)〜(流れ6)を前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーのスラリー供給ライン5の上流側(低温側)に設置した熱交換器H-(N-1)と付設フラッシュドラムB-(N-1)に備えた加熱ユニットを連続に構成すれば、さらに安定した効率的加熱システムを構成とすることができる。
そのため粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法において、晶析工程(IV)のそれぞれの晶析槽C(C-(n+1)、C-n、・・・、C-1)から発生した水蒸気を用い、直列に連結された熱交換器からなる加熱溶解工程(II)において、それぞれの熱交換器にフラッシュドラムを付設し、上記(流れ1)〜(流れ6)の流れを備えた加熱ユニットを少なくとも一つ備えることで、安定した効率的加熱システムとすることができる。
そこで本発明となる粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法においては、晶析工程(IV)の晶析槽Cは(n+1)基存在し、そのn段目をC-n(nは1以上の整数であり、最も高温高圧側の晶析槽をC-1とし、順次低温低圧側にC-2、C-3、・・・、C-n、C-(n+1)とする)となる。一方、加熱溶解工程(II)の熱交換器Hが(N+1)基とすれば、そのN段目の熱交換器H-N(Nは1以上の整数であり、最も低温側の熱交換器をH-1とし、順次高温側にH-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)とする)とすると、最終段晶析槽C-(n+1)の放圧によって発生する水蒸気10を、加熱溶解工程(II)の最も低温側に配置された熱交換器H-1に加熱蒸気導入ライン12を介して導入することができる。
次いで各晶析槽の段階的放圧によって発生するそれぞれの水蒸気10は、低温低圧側から高温高圧側の順(C-(n+1)、C-n、・・・、C-1)に、加熱溶解工程(II)の粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の流れ方向(低温側から高温側へ)の順に配置されたそれぞれの各熱交換器(H-1、H-N、・・・、H-(N+1))に対応させて個別に加熱蒸気導入ライン12を介して導入する。このN段目の熱交換器H-Nのシェル側(加熱蒸気側)とほぼ同等の圧力の凝縮水受け槽となる付設フラッシュドラムBはN段目付設フラッシュドラムB-N(Nは1以上の整数であり、最も低温側の付設フラッシュドラムをB-1とし、順次高温側に、B-2、B-3、・・・、B-N、B-(N+1)とする)となる。
このときの(流れ1)〜(流れ6)について説明する。
(流れ1)前記晶析工程(IV)の最も低温低圧側の最終段晶析槽C-(n+1)の放圧によって発生する水蒸気10を、加熱蒸気導入ライン12を介して前記加熱溶解工程(II)の最も低温側に配置された熱交換器H-1の加熱側に導入する。続いて、順次高温高圧側の各晶析槽C-n、C-(n-1)、・・・、C-2、C-1からの発生水蒸気10を、前記加熱溶解工程(II)の粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の流れ方向(低温側から高温側へ)の順に配置されたそれぞれの熱交換器H-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)に対応させて個別に加熱蒸気導入ライン12を介して導入する。それぞれの水蒸気は、それぞれの熱交換器H-1、H-2、・・・、H-N、H-(N+1)を蒸気加熱したのち、凝縮水11−1としてそれぞれの熱交換器付設のフラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)に排出して蓄積される。
(流れ2)それぞれの熱交換器H-1、H-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)よりも粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の下流側(高温側)に隣接した熱交換器付設のラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)の圧力制御(PC圧力調節計)により、放出された水蒸気を、それぞれの上流側(低温側)に隣接した熱交換器H-0、H-1、H-2、・・・、H-Nの加熱蒸気導入ライン12に供給し、加熱に供する。なお、後述するが、熱交換器H-0は上記供給スラリー予熱用などの熱交換器として排熱回収器が設置される。
(流れ3)前記スラリー供給ライン5の下流側(高温側)に隣接した熱交換器付設のフラッシュドラムB-2、・・・、B-N、B-(N+1)の液面制御(LC液面調節計)により、それぞれの付設フラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)内に凝縮水移送ライン15を経て流入した凝縮水の放圧により発生した水蒸気および上記(流れ1)に同伴したそれぞれの水蒸気は、水蒸気循環ライン13を経て前記それぞれの熱交換器H-1、H-2、・・・、H-N、H-(N+1)の加熱に再利用される。
(流れ4)それぞれの熱交換器H-0、H-1、H-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)よりも前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の下流側(高温側)に隣接するそれぞれの熱交換器H-1、H-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)に付設するフラッシュドラムB-1、B-2、B-3、・・・、B-N、B-(N+1)に回収、蓄積された凝縮水11−1は、液面制御(LC液面調節計)により、それぞれの上流側(低温側)に隣接した付設フラッシュドラムB-0、B-1、B-2、・・・、B-Nに凝縮水移送ライン15を経て導入され、放圧して水蒸気を発生する。それぞれの発生水蒸気は水蒸気循環ライン13を経て前記それぞれの熱交換器H-0、H-1、H-2、・・・、H-Nの加熱に利用され、残部の凝縮水はそれぞれの付設フラッシュドラムB-0、B-1、B-2、・・・、B-Nに蓄積される。なお、後述するが、フラッシュドラムB-0は熱交換器H-0に付設のフラッシュドラム、または上記縮合水の回収槽として設置される。
(流れ5)前記それぞれ熱交換器H-1、H-2、・・・、H-N、H-(N+1)の加熱に余剰となった水蒸気は、それぞれの付設フラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)の圧力制御(PC圧力調節計)により、スラリー供給ライン5の上流側(低温側)に隣接した熱交換器H-0、H-1、H-2、・・・、H-Nのそれぞれの加熱蒸気導入ライン12に排出される。
(流れ6)前記それぞれ付設フラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)に蓄積された凝縮水11−1は、液面制御(LC液面調節計)で、スラリー供給ライン5の上流側(低温側)に隣接の付設フラッシュドラムB-0、B-1、B-2、・・・、B-Nのそれぞれに供給される。
前記晶析工程(IV)の各晶析槽C-(n+1)、C-n、・・・、C-2、C-1からの発生水蒸気により、上記(流れ1)〜(流れ6)のそれぞれの加熱流れを備えた熱交換器H-1、H-2、・・・、H-N、H-(N+1)と付設フラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)によるそれぞれの加熱ユニットにより、前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の上流側(低温低圧側)から順次加熱し、最も下流側(高温側)の熱交換器H-(N+1)と付設フラッシュドラムB-(N+1)に(流れ2)および(流れ4)の存在しない変形加熱ユニット33をシステム構成した加熱溶解工程(II)を用いた加熱システムを構築することができる。
この蒸気加熱流れのシステム構成では、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の最も上流側(低温側)に設置した付設フラッシュドラムB-1からの放出凝縮水および水蒸気は、最も低温低圧の凝縮水11−1および水蒸気であるが、該凝縮水および水蒸気の温度(熱)を、さらにスラリー供給ライン5の予熱用熱交換器H-0および付設フラッシュドラムB-0を設置するなどして熱回収することができる。そしてフラッシュドラムB-0は本発明の加熱溶解工程(II)における凝縮水全量の回収槽として設置される。
また、本加熱システムでは粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3のスラリー供給ライン5の流れの最も下流側(高温側)の熱交換器H-(N+1)の加熱ユニットでは、該熱交換器H-(N+1)より下流側(高温側)に設置した付設フラッシュドラムは存在せず、凝縮水の導入がなく、または余剰蒸気の導入もない、即ち、上記した(流れ2)および(流れ4)の流れが存在しない変形された加熱ユニット(図1の1点鎖線範囲、変形加熱ユニット33)で構成されることになる。
以上のように晶析工程(IV)において発生の水蒸気の潜熱を、連続して順次加熱する加熱溶解工程(II)でより安定して効率良く熱回収、再使用する加熱システムでは、本発明となる加熱ユニットの連結に少なくとも変形加熱ユニットを備えたシステム構成をする必要がある。
さらに、加熱溶解工程(II)では、晶析工程(IV)のそれぞれの晶析槽C-1、C-2、・・・、C-n、C-(n+1)からの発生水蒸気を、順次熱交換器H-(N+1)、H-N、・・・、H-2、H-1の加熱用とし供給し、加熱ユニット32をスラリー供給ライン5の最も下流側(高温側)から順次連結した前記の代表的加熱システムとは異なり、スラリー供給ライン5の下流側(高温側)に連結の加熱ユニットの付設フラッシュドラムBから排出される水蒸気(流れ2)および/または凝縮水(流れ4)が、1つ置きに、または2つ置きに、或いはそれらを混成した流れを構成した加熱システムでは、下流側(高温側)の加熱ユニット32に水蒸気および/または凝縮水の導入の伴わない変形加熱ユニット33が2ユニットおよび3ユニットと組み込まれる構成となる。(最も下流側(高温側)の熱交換器Hと付設フラッシュドラムBに1つの変形加熱ユニット33が存在する。)
例えば、粗製テレフタル酸の精製方法として図3のフロー図に示すような加熱ユニットのシステム構成では2つの変形加熱ユニット(H-4(B-4)、H-5(B-5))を備えた加熱溶解工程(II)になる。
従って、より安定した粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法とするには、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの加熱溶解工程(II)に、スラリー供給ライン5の下流側(高温側)加熱ユニット32の付設フラッシュドラムからの水蒸気(流れ2)および/または凝縮水(流れ4)の導入のない変形加熱ユニット33を、少なくとも1つ備えたシステムを構成することが好ましいことになる。
そのため粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを晶析工程(IV)の段階的に圧力の異なる晶析槽から発生した水蒸気を用いて、直列に複数連結した熱交換器および付設フラッシュドラムからなる加熱ユニット32による加熱溶解工程(II)において、少なくとも一つの変形加熱ユニット33を備えた芳香族ジカルボン酸の精製装置は最も安定した最も効率的熱回収の可能な精製装置である。
更に、晶析工程(IV)の晶析槽から発生した全ての水蒸気は、スラリー供給ライン5の最も上流側(低温側)に設置された付設フラッシュドラムB-1と最終晶析槽C-(n+1)の圧力(約0.1〜0.9MPa)とほぼ等圧となる蒸気圧となった凝縮水(約100〜170℃)として集積され、回収される。その凝縮水をそのまま、或いは熱回収したのちに粗製芳香族ジカルボン酸結晶を溶解する水の一部として、そのまま、或いは処理したのち、循環使用されることになる。
しかし、スラリー供給ライン5の最も上流側(低温側)の付設フラッシュドラムB-1から排出、回収される最も低温の凝縮水11−1には、晶析槽の放圧冷却の際に蒸発し、精製芳香族ジカルボン酸の不純物とされるメチル安息香酸が微量含有されている。そのため加熱溶解工程(II)から排出、回収した凝縮水を処理する方法について検討し、回収凝縮水11−2に芳香族ジカルボン酸結晶を存在させることによって、凝縮水中のメチル安息香酸含有量が低減することを見出した。この知見を元に、回収凝縮水11−2を粗製芳香族ジカルボン酸結晶を溶解する水の一部としてより多くの量を使用するプロセスを構築(図1)した。
その方法は付設フラッシュドラムB-1から流出、回収した凝縮水11−2に芳香族ジカルボン酸結晶16を添加すること、そして固液分離して分離結晶18および分離水17を得るものである。固液分離した分離水17はスラリー調整工程(I)に送り、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー3を調製する水溶媒2の一部として使用する。固液分離して回収した芳香族ジカルボン酸の分離結晶18は、粗製芳香族ジカルボン酸結晶製造プロセス19の原料の一部として酸化反応に循環する態様となる。
従って、本発明は粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法において、晶析工程(IV)の各晶析槽から発生した全水蒸気を、加熱ユニット32および変形加熱ユニット33を組み合せた加熱システムを構成した加熱溶解工程(II)に導入し、ほぼ大気圧に近い蒸気圧(約0.1MPa)の凝縮水となるまで、全蒸気潜熱のエンタルピーを安定的、効率的熱回収システムとし、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの加熱エネルギーの低減を可能にする。
そして、晶析工程(IV)の各晶析槽からの発生水蒸気の潜熱のほぼ全量を放出した凝縮水を回収し、その凝縮水を浄化(不純物含有量を低減)する方法を見出し、その凝縮水を粗製芳香族ジカルボン酸結晶を溶解する水の一部としての使用を可能にし、芳香族ジカルボン酸結晶溶解工程における新しい溶解水の低減を可能にした。
本発明は、以上説明してきた粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法に限らず、原料として結晶性有機合成化合物を高温高圧下で溶媒に溶解して溶液とし、吸着精製などの精製を行うかあるいはそのまま溶解するだけで有機化合物を再結晶する方法に対しても適用することができる。
一例としては、ポリエステル原料となる粗製ジメチルテレフタレートをメタノールで精製する再結晶精製方法などに適用できる。即ち、結晶性有機合成化合物と溶媒とを混合して混合スラリーとしたのち、晶析工程の複数の晶析槽から段階的圧力低減下に発生する溶媒蒸気を用いて、該混合スラリーを複数直列の熱交換器と付設フラッシュドラムとからなる加熱溶解工程で加熱する精製方法では、本発明による加熱ユニットおよび変形加熱ユニットをシステム構成した加熱溶解工程を適用した精製装置を用いた精製方法とすることができる。
粗製芳香族ジカルボン酸の加熱と冷却を伴う精製方法において、本発明の加熱ユニットからなる蒸気加熱システムの導入は、晶析槽から発生する水蒸気のほとんどの潜熱エンタルピーを回収でき、熱交換の安定性と効率向上によって設備(熱交換器)の小型化が達成することができる。
さらに加熱ユニットと変形加熱システムとを組み合わせてシステム構成された加熱溶解工程を備えることによって、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを粗製芳香族ジカルボン酸結晶水溶液とする精製温度までの大幅な加熱熱エネルギーの消費量低減が達成できた。
また、加熱蒸気のほとんどの潜熱エネルギーを放出した凝縮水を、本発明による浄化処理をすることによって、該精製用溶媒水として循環使用することができ、新しく導入される精製用溶媒水の使用量を低減できる方法を提供する。さらに、該精製用溶媒水を製造プロセス内で循環させて有効利用することで、製造プロセス系外への排出水量が低減され、該排出水を産業廃水として廃水処理する際の処理負荷低減にも繋がる。
粗製芳香族ジカルボン酸の精製プロセスの概略フロー図と晶析槽からの発生蒸気を熱交換器に導入し、付設フラッシュドラムと一体にしたシステム構成による本発明の加熱ユニットおよび変形加熱ユニットの加熱方式の一例を示したフロー図である。 本発明の加熱ユニットを粗製テレフタル酸結晶スラリーの加熱流れに沿って適用した代表的システム構成(最も下流側(高温側)を変形加熱ユニットとする)を示したプロセス図であり、実施例1のフロー図である。 本発明の加熱ユニットのシステム構成において、加熱ユニット排出の余剰水蒸気および凝縮水を一つ置きの上流側(低温側)の加熱ユニットに供給する加熱システムとした粗製テレフタル酸の精製プロセスの一例であり、実施例2のフロー図である。 粗製テレフタル酸精製方法において、原料供給スラリーを蒸気加熱する従来法の加熱システムを示したプロセスの一例であり、特許文献2の例示および比較例のフロー図である。 本発明の加熱ユニットの図2のシステム構成において、原料供給スラリーの最も上流側(低温側)を変形加熱ユニットとした加熱システムを適用した粗製テレフタル酸の精製プロセスの一例であり、実施例3のフロー図である。 実施例1と実施例2と比較例の熱交換器H-0からH-5までの粗製テレフタル酸結晶スラリー供給ラインの温度上昇のシミュレーション結果を示す表である。 粗製テレフタル酸結晶スラリーを285℃まで加熱するに必要な実施例1と実施例2の超高圧蒸気量と比較例を基準にした超高圧蒸気低減量のシミュレーション結果を示す表である。 実施例3における各熱交換器に対応した発生水蒸気の晶析槽圧力および各熱交換器の伝熱面積と出口温度を示す表である。 実施例4の回収凝縮水に精製テレフタル酸結晶添加実施例において、その添加量と分離水中のパラトルイル酸含有量を示す表である。
先ず、本発明の前提となる従来の粗製テレフタル酸から精製テレフタル酸を製造する方法を図4のフローで説明する。
粗製テレフタル酸を原料として、精製テレフタル酸を製造する工程は次の通りである。
スラリー調整工程(I):粗製テレフタル酸結晶23と水2とを混合して、約20〜40重量%の粗製テレフタル酸結晶スラリーを生成する。
加熱溶解工程(II):粗製テレフタル酸結晶スラリーを加圧下(約6〜10MPa)に直列に複数(全7基H-0〜H-6)連結した熱交換器(6基H-0〜H-5)に供給し、順次加熱し、最終熱交換(H-6)では超高圧水蒸気(約300℃以上、約9.0MPa以上)により約260〜300℃の温度となるまで加熱する。さらに高温高圧下に約1〜20分保持、結晶成分を溶解槽(図4、図示せず)で溶解し粗製テレフタル酸水溶液にする。
水素化精製工程(III):高温高圧の粗製テレフタル酸結晶水溶液を、高圧水素ガス25の存在下において触媒と接触させて精製テレフタル酸水溶液27にする。触媒には、一般に0.1〜1重量%のPdを坦持した活性炭触媒が用いられる。
晶析工程(IV):前記精製テレフタル酸水溶液27を、直列に配置した複数(5基5段)の圧力を段階的に低下させた晶析槽(C-1〜C-5)を使用し、最終段晶析槽の圧力が0.2〜0.8MPa(120〜170℃)となるまで放圧、蒸発及び冷却し、テレフタル酸結晶を順次析出させて精製テレフタル酸結晶スラリー28を生成する。各晶析槽から段階的放圧によって発生した蒸気は、加熱溶解工程(II)の加熱媒体として、それぞれの熱交換器に個別に導入される。
固液分離工程(V):前記精製テレフタル酸結晶スラリー28を最終晶析槽C-5の圧力を保持して固液分離装置Sに導入し、固液分離したのち、結晶の洗浄を行って精製テレフタル酸結晶30を回収する。
上記精製テレフタル酸製造工程(I)〜(V)において、本発明は晶析工程(IV)で発生した水蒸気を粗製テレフタル酸結晶スラリーの加熱溶解工程(II)に活用する加熱システムに関するものである。
なお、高温高圧(約260〜300℃、約4.8〜9MPa)下の精製テレフタル酸水溶液を段階的に圧力低下させた5段の晶析槽C-1、C-2、C-3、C-4、C-5からなる晶析工程(IV)のそれぞれの晶析槽から発生する水蒸気10は、晶析結晶の性状の最適化などから決定される圧力と温度によるもので、その最適条件で発生した水蒸気を用いて本発明は加熱する方法である。
例えば、特開平8-208561号では、第1晶析槽では240〜260℃(約3.4〜4.8MPa)、第2晶析槽では180〜230℃(約1〜2.9MPa)そして第5晶析槽では150℃(約0.5MPa)の条件から発生する蒸気で加熱するとされている。
次に前記粗製テレフタル酸の精製方法において、本発明の加熱ユニットと変形加熱ユニットを備えた加熱システムの実施形態を図2のフローを用いて説明する。
加熱溶解工程(II)では、晶析工程(IV)の各晶析槽(C-1、C-2、C-3、C-4、C-5)から発生する水蒸気10が高圧側(高温側)の熱交換器H-5から順に低圧側(低温側)の熱交換器H-1に導入される。なお、最終熱交換器H-6は、熱交換器H-5出口の粗製テレフタル酸結晶スラリーが水溶液(水素化反応の温度260〜300℃)となるまで300℃(約9MPa)を超える超高圧水蒸気26または加熱媒体を用いて調節加熱(TC温度調節計)される。最終熱交換器H-6に導入された超高圧水蒸気26の場合には、約9MPa以上の圧力を保持した凝縮水として付設フラッシュドラムB-6に回収される。
熱交換器付設フラッシュドラムB-6に回収された余剰の水蒸気を超高圧水蒸気の導入ラインへの水蒸気放出循環ライン13により、水蒸気の潜熱を充分回収して凝縮水となる。熱交換器H-6の排出の凝縮水は高圧(約9MPa以上)を保持しているため、付設フラッシュドラムB-6に蓄積したのち、高圧廃水24として系外に排出し、発電タービンなど他の高温高圧を有効に活用する用途に使用することができる。
また、熱交換器付設フラッシュドラムB-6に同伴された水蒸気は、水蒸気循環ライン13から超高圧水蒸気26の導入ラインへ送り、水蒸気の潜熱を充分回収した凝縮水として付設フラッシュドラムB-6に回収される。図には示していないが、その回収された高温凝縮水を付設フラッシュドラムB-5に移送し、放圧し、蒸気を発生して熱交換器H-5の加熱蒸気として加熱システムに導入することもできる。
一方、ダウサム(ダウケミカル社製品:Dowtherm)などの加熱媒体を用いる場合には、加熱媒体を燃焼炉で加熱し、液状で熱交換器H-6に供給し、加熱後の熱媒体を循環する再使用システムとなり、加熱後の熱媒体および残留熱の処理については単純な処理となる。
水素化精製工程(III)の水素化精製装置Rで精製された精製テレフタル酸水溶液27は、晶析工程(IV)の約3.5〜6MPaに保持された第1晶析槽C-1に送入され、放圧して冷却(約240〜270℃)され、晶析槽C-2、C-3、C-4、C-5を順次放圧、冷却して析出、精製テレフタル酸結晶スラリー28が生成する。放圧によって発生した水蒸気10は加熱蒸気導入ライン12を通して熱交換器H-5から順にH-4、H-3、H-2、H-1に導入され、粗製テレフタル酸結晶スラリーの加熱に供される。
加熱溶解工程(II)の熱交換器H-5の加熱に供給された加熱蒸気導入ライン12の水蒸気は、水蒸気循環ライン13からの水蒸気とともに、熱交換器H-5の加熱に供し、凝縮水11−1として付設フラッシュドラムB-5に回収、蓄積される。熱交換器H-5において凝縮(潜熱回収)しきれなかった水蒸気、即ち、余剰となる水蒸気は、付設フラッシュドラムB-5の上昇圧力となるため圧力制御弁4(PC圧力調節計)により、水蒸気放出ライン14を通して、粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ライン5の上流側(低温低圧側)にある熱交換器H-4の加熱蒸気導入ライン12(第2晶析槽C-2に連結)に放出し、粗製テレフタル酸結晶スラリーの加熱に供される。また、付設フラッシュドラムB-5に蓄積された凝縮水11−1は液面制御弁4(LC液面調節計)により上流側(低温低圧側)の付設フラッシュドラムB-4に放出される。なお、上記熱交換器H-5の水蒸気潜熱交換による水蒸気流れの加熱ユニットは変形加熱ユニット(図1変形加熱ユニット33参照、下流側からの凝縮水および余剰水蒸気の導入がない)となる。
一方、晶析工程(IV)の第1晶析槽C-1で生成された精製テレフタル酸結晶スラリーは、約1.5〜4MPaに保持された第2晶析槽C-2に移送され、放圧し冷却される。ここで精製テレフタル酸結晶スラリーのテレフタル酸結晶濃度はさらに増加(結晶の析出)する。放圧によって発生した水蒸気は第2晶析槽C-2の加熱蒸気導入ライン12を通って熱交換器H-4に導入される。
加熱溶解工程(II)の熱交換器H-4に導入された水蒸気10は熱交換器H-4を加熱し、凝縮水11−1として付設フラッシュドラムB-4に回収、蓄積される。凝縮水に同伴された水蒸気は付設フラッシュドラムB-4から水蒸気循環ライン13を経て熱交換器H-4の加熱に供される。同時に、付設フラッシュドラムB-5からの液面制御(LC調節計)によって移送された凝縮水は、付設フラッシュドラムB-4に移送、放圧され、蒸気の発生を伴って温度の降下(約190〜250℃)した凝縮水11−1として回収され、発生した蒸気は水蒸気循環ライン13から熱交換器H-4の加熱に供給される。
付設フラッシュドラムB-4に導入された水蒸気および付設フラッシュドラムB-5からの凝縮水の導入、放圧によって、余剰となった付設フラッシュドラムB-4内圧力の上昇となる蒸気は、圧力制御弁(PC圧力調節計)により、水蒸気放出ライン14を通して、粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ライン5の上流側(低温低圧側)の熱交換器H-3の加熱蒸気導入ライン12(第3晶析槽C-3からの加熱蒸気導入ライン)に放出し、熱交換器H-3の加熱に供給される。なお、上記熱交換器H-4の水蒸気潜熱交換の水蒸気流れの構成を加熱ユニット(図1加熱ユニット32参照)とする。
引き続き、熱交換器H-3、熱交換器H-2、熱交換器H-1を、それぞれ第3晶析槽C-3(約1〜2.5MPa)、第2晶析槽C-4(約0.6〜1.2MPa)、第1晶析槽C-5(約0.1〜0.8MPa)からの発生蒸気を用いて、本発明方法による加熱ユニットを組み込んだ図2の蒸気加熱システムにより順次加熱し、凝縮水は順次フラッシュドラムに移送、放圧、回収される。そして付設フラッシュドラムB-1(約0.1〜8MPa)には、加熱に供給した全ての水蒸気が約100〜170℃の凝縮水として集積し、回収されることになる。
図2では、予熱用熱交換器H-0は、付設フラッシュドラムB-1からの余剰蒸気および液面制御LCにより移送(輸送ポンプP-3)された凝縮水の放圧による発生蒸気(晶析槽からの導入蒸気なし)を用いて、粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ラインの予熱部(粗製テレフタル酸結晶スラリー温度 約90℃)としての最終の潜熱を活用できる流れの加熱ユニットを付加したフローである。また、該凝縮水(約100〜170℃)は熱交換器H-0以外の他の機器および工程の加熱媒体としても使用できる。
以上、精製テレフタル酸を製造するプロセスにおいて、本発明の方法は、図2に示したように、晶析工程(IV)のそれぞれの晶析槽から発生する段階的に異なる圧力の水蒸気を用い、粗製テレフタル酸結晶スラリーを加熱する熱交換器7基および付設フラッシュドラムからなる6つの加熱ユニット(最終熱交換器H-6は加熱ユニットとしては除く)と1つの変形加熱ユニットをシステム構成した蒸気加熱方式の加熱溶解工程(II)により、発生水蒸気を低温(約100℃以下)の凝縮水として回収する実施形態を述べたが、熱交換器の基数ならびに晶析槽の基数および加熱ユニットの数は図2に限定されるものでない。
そのため図2の粗製テレフタル酸の精製方法において、その変形例として、粗製テレフタル酸結晶スラリーの加熱溶解工程(II)の加熱ユニットと変形加熱ユニットのシステムの構成を図3のフロー図のように、4つの加熱ユニットと2つの変形加熱ユニットからなるシステム構成として実施することができる。
また、熱交換器の設置基数は、精製テレフタル酸水溶液27から晶析槽の圧力段階に応じて発生する水蒸気10のそれぞれに、少なくとも1基ずつの熱交換器と付設フラッシュドラムで対応する加熱ユニットとすることが必要である。また、導入される発生蒸気に対応して2基の熱交換器を用いてフラッシュドラム1基で対応する加熱ユニットとすることもできるし、これ以外に熱交換器に対応して少なくとも付設フラッシュドラム1基の組合せで加熱ユニットとすることが必要である。
本発明の図1に示した加熱ユニット32(変形加熱ユニット33を含む)をテレフタル酸の精製方法に適用するときの主軸となる熱交換器の設計は、先ず供給する粗製テレフタル酸結晶スラリーの量を設定することから始まる。つまり、供給する粗製テレフタル酸結晶スラリー量に相当する高温の精製テレフタル酸水溶液が晶析工程(IV)に導入されることから始まる。そして、晶析工程(IV)の各晶析槽において、圧力を段階的に低下させて放圧により発生する蒸気の温度および蒸気量は、各晶析槽の設定圧力で決まることになる。
精製テレフタル酸の製造で実施されている晶析槽の各設定圧力は前述した各晶析槽圧力範囲となっている(第1晶析槽C-1=約3.5〜6MPa、第2晶析槽C-2=約1.5〜4MPa、第3晶析槽C-3=約1〜2.5MPa、第2晶析槽C-4=約0.6〜1.2MPa、第1晶析槽C-5=約0.1〜0.8MPa)。
晶析工程(IV)に導入された高温(260〜300℃)の精製テレフタル酸水溶液が、これら各晶析槽の圧力で放圧され、各晶析槽から放出された蒸気の温度および蒸気量が算出される。それらの発生蒸気はそれぞれの加熱ユニット32(変形加熱ユニット33を含む)に供給されることになる。
それぞれの加熱ユニット32(変形加熱ユニット33を含む)では、供給される晶析槽からの水蒸気量と供給粗製テレフタル酸結晶スラリーの加熱温度とをバランスして熱交換器は設計される。しかし実際は熱交換器の加熱用蒸気量は、供給された蒸気に粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ライン5の下流側(高温側)の加熱ユニットからの余剰蒸気および移送凝縮水からの発生蒸気が加わることになる。そして、粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ライン5の上流側(低温側)の加熱ユニットの方向に導入蒸気と順次熱収支を繰り返し行い、各熱交換器での供給粗製テレフタル酸結晶スラリーの温度上昇を算出することになる。それらに基づいて各熱交換器の条件設定がなされ、熱交換器の設置基数を設定する。なお、晶析工程(IV)の各晶析槽からの発生蒸気量は上記設定圧力から算出されるが、精製テレフタル酸水溶液の晶析各段階温度で発生する蒸気の全蒸気量は、スラリー調整槽Aで調整される粗製テレフタル酸結晶スラリーの全溶媒水の約20〜40重量%に相当する量となる。
次いで、各熱交換器での粗製テレフタル酸結晶スラリー供給量と、その上昇温度とから各熱交換器の伝熱面積、サイズなどを算出し、各熱交換器を設計する。熱交換器は、テレフタル酸製造装置の大型化に伴い、粗製テレフタル酸結晶スラリーはチューブ側を通し、加熱用水蒸気はシェル側に供給される多管式熱交換器となるのが通常である。その際、本発明方法となる蒸気凝縮加熱型の多管式熱交換器での熱伝達係数は、約1,000kcal/m2hr℃として算出した。
熱交換器に付設されるフラッシュドラムは、凝縮水を回収し、蓄積する凝縮水の液面調節計付き制御バルブを備えた耐圧容器である必要がある。そして晶析槽からの発生蒸気の凝縮水流入口および粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ライン5の下流側(高温側)の加熱ユニットからの凝縮水の放出口を、該フラッシュドラムに蓄積している凝縮水中(液面下)に設置するようにし、余剰蒸気および放圧蒸気は凝縮水水面下を通過して放出されることが好ましい。
このようにして、ほぼ常圧下(約100℃以下)で該フラッシュドラムに回収した凝縮水には、精製テレフタル酸の不純物とされるパラトルイル酸が少なからず含まれている。そこで、回収した凝縮水に精製テレフタル酸結晶を約0.01重量%以上の割合で添加して、該結晶を沈降、或いは濾過などの方法により分離して分離結晶18と分離水17を回収する。ここで添加する精製テレフタル酸結晶29は、プロセス系内のものを利用しても良い。
その結果、分離水17の精製テレフタル酸の不純物とされるパラトルイル酸含有量が結晶未添加の状態と比較して約半分以下となり、粗製テレフタル酸結晶スラリーの調製用の溶媒水の一部として使用できる量が拡大される。これは、従来の分離水の使用量とされている約25重量%(特許文献4 実施例1、分離水直接使用)をさらに増量できることになる。本発明による方法では、晶析工程(IV)からの発生蒸気の凝縮水のほぼ全量を上記溶媒水の一部として使用可能となる。
また、分離回収した結晶はパラトルイル酸の付着した主成分がテレフタル酸結晶であるため、該結晶を粗製テレフタル酸製造プロセスの原料として使用できる。そのため、添加テレフタル酸結晶を損失することなく、反応中間体であるパラトルイル酸を含めてテレフタル酸として回収できる。
以上、本発明方法の実施形態を粗製テレフタル酸の精製方法として例示したが、芳香族ジカルボン酸には代表的なものとして、テレフタル酸とイソフタル酸がある。テレフタル酸とイソフタル酸は何れも水に対して難溶解性であるが、イソフタル酸の溶解度はテレフタル酸より約10倍大きい。そのため水素化精製を行うにあたっての水溶液とする温度と圧力は、テレフタル酸は約260〜300℃、約5〜9MPaであり、イソフタル酸は約180〜230℃、約1〜3MPaである。そして晶析工程ではそれらの温度から段階的に放圧して晶析することにより、それぞれの精製ジカルボン酸を製造している。よって本発明方法となる加熱ユニットと変形加熱ユニットとによる加熱システムを備えた加熱溶解工程(II)は、粗製イソフタル酸の精製方法にも実施することができる。
また、前記したように芳香族ジカルボン酸の精製方法以外にも本発明方法を結晶性有機化合物の溶剤精製(溶液による物理的、化学的精製、溶媒による再結晶精製など)による方法に適用することができる。
次に、本発明方法を実施例で説明する。但し、本発明方法は次の実施例に限定されるものではない。
粗製テレフタル酸を原料として精製テレフタル酸を製造するスラリー調整工程(I)、加熱溶解工程(II)、水素化精製工程(III)、晶析工程(IV)、固液分離工程(V)において、加熱溶解工程(II)のスラリー供給ライン5を通して粗製テレフタル酸結晶スラリーを加熱する熱交換器に、晶析工程(IV)の放圧冷却によって発生したそれぞれの水蒸気を供給する図2のフローに従って、熱交換器の温度上昇を設定し、超高圧水蒸気の低減を検討した。
加熱溶解工程(II)のスラリー供給ライン5に、加熱する原料となる粗製テレフタル酸結晶スラリーを100重量部/時間の割合で供給し、晶析工程(IV)の精製テレフタル酸水溶液を5基5段の各晶析槽からの段階的放圧により発生した水蒸気を用い、加熱溶解工程(II)の熱交換器および付設フラッシュドラムによる加熱ユニット32(図1参照)で逐次加熱を行ったのち、超高圧水蒸気(約300℃)を用いて285℃まで加熱して粗製テレフタル酸水溶液とした。このとき、晶析工程(IV)の5基5段の晶析槽から発生する蒸気の温度とその量(蒸気量)は図6に示す通り想定した。
加熱溶解工程(II)の加熱ユニット32による逐次の加熱ステップの流れを図2を用いて説明する。
ステップ1:予熱用熱交換器H-0は、隣接する付設フラッシュドラムB-1の余剰水蒸気制御ライン14から送られる水蒸気、及び該付設フラッシュドラムB-1内に蓄積された凝縮水11−1を付設フラッシュドラムB-0に移送し、放圧(常圧、100℃)により発生した水蒸気を水蒸気循環ライン13から循環して加熱した。なお、粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ライン5の加熱は、予熱用熱交換器H-0では90℃を上限と設定した。
ステップ2:熱交換器H-1では、晶析槽C-5で発生した水蒸気(143℃、2.4重量部)と付設フラッシュドラムB-2の余剰水蒸気放出ライン14から送られる水蒸気、及び該付設フラッシュドラムB-2内に蓄積された凝縮水11を付設フラッシュドラムB-1に移送し、放圧(約3Kg/cm2G)により発生した水蒸気を水蒸気循環ライン13から循環して加熱した(図1の加熱ユニットに相当)。なお、該熱交換器H-1での加熱は133℃を上限とし、余剰蒸気は余剰水蒸気放出ライン14を通して、熱交換器H-0の加熱に供した。
ステップ3:熱交換器H-2では、晶析槽C-4での発生水蒸気(166℃、4.0重量部)を上記ステップ2と同様に高温高圧側に隣接する付設フラッシュドラムB-3の余剰水蒸気放出ライン14から送られる水蒸気、及び蓄積凝縮水11−1の放圧に伴う水蒸気とで加熱した(図1の加熱ユニットに相当)。なお、該熱交換器H-2での加熱は156℃を上限とし、余剰蒸気は余剰水蒸気放出ライン14を通して、熱交換器H-1の加熱に供した。
ステップ4:上記同様、熱交換器H-3およびH-4では、それぞれ晶析槽C-3およびC-2からの発生水蒸気(H-3(198℃、6.3重量部)、H-4(233℃、9.6重量部))、それぞれ高温高圧側の付設フラッシュドラムB-4及びB-5からの余剰水蒸気放出ライン14から送られる蒸気、及び蓄積凝縮水11−1の放圧に伴う水蒸気とで加熱した(図1の加熱ユニット32に相当)。なお、熱交換器H-3での加熱は188℃を上限、熱交換器H-4での加熱は223℃を上限とし、それぞれの余剰水蒸気を熱交換器H-2およびH-3の加熱に供した。
ステップ5:熱交換器H-5では、晶析槽C-1からの発生水蒸気(264℃、9.1重量部)のみで加熱した(図1の変形加熱ユニット33に相当)。
ステップ6:熱交換器H-6では、超高圧蒸気(約85Kg/cm2G)を用い、熱交換器H-1〜H-5によって加熱された粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ライン5を285℃になるまで加熱した。
上記設計値をもとに粗製テレフタル酸結晶スラリーの温度上昇を余熱用熱交換器H-0、熱交換器H-1からH-5を、加熱蒸気の熱量を熱交換器H-5からH-1へ、そして余熱要熱交換器H-0へと下流側(高温側)から余剰蒸気および凝縮水として移送するシミュレーション行った。
その結果、粗製テレフタル酸結晶スラリーの温度上昇を記載したのが図6および実施例1である。なお、図6は蒸気した加熱蒸気温度ならびに加熱蒸気量(対供給スラリー100重量部/時間)、そして各熱交換器設定上限温度も記載した。
それらの結果、予熱用熱交換器H-0、熱交換器H-1からH-4まで、ほぼ上限設定温度まで十分加熱することができたが、熱交換器H-5の上昇温度は246℃までであった。これは熱交換器H-5の加熱は晶析槽C-1発生の水蒸気加熱のみによるものである。また、熱交換器H-5の粗製テレフタル酸結晶スラリーを最終285℃まで加熱するのに要する熱交換器H-6での蒸気量は20.4重量部/時間(図7)であった。この蒸気量は、従来法(比較例)と比較すると42%の低減となった。
粗製テレフタル酸結晶スラリーを、実施例1と同様に精製テレフタル酸水溶液の放圧及び冷却により発生する晶析槽からの水蒸気を用いて加熱し、付設フラッシュドラムの余剰水蒸気制御ライン14から送られる蒸気および蓄積凝縮水11−1を、図3に示す一つ置きの低温低圧側に循環移送する加熱ユニットを導入したシステムで加熱を行った。その際、熱交換器H-5、H-4は変形加熱ユニットとなる。なお、熱交換器付設フラッシュドラムB-2、B-1の2系統の異なる圧力の余剰蒸気および蓄積凝縮水は、熱交換器H-0および付設フラッシュドラムB-0に移送し、付設フラッシュドラムB-0に全凝縮水を回収した。また、熱交換器H-0、H-1、H-2、H-3、H-4、H-5それぞれでの加熱上限温度を実施例1の設定温度と同じとした。
上記、実施例2による熱交換器H-0からH-5までの粗製テレフタル酸結晶スラリー供給ライン5の上昇温度のシミュレーション結果を実施例1と同様、図6に示す。
また、熱交換器H-5の粗製テレフタル酸結晶スラリーを最終285℃まで加熱するのに要する熱交換器H-6での蒸気量は21.0重量部/時間(図7)であった。この蒸気量は従来法(比較例)の結果を基準にすれば40%の低減になった。
<比較例>
粗製テレフタル酸結晶スラリーを、実施例1と同様に精製テレフタル酸水溶液の放圧・冷却により発生する晶析槽からの水蒸気を用い加熱し、図4に示すように熱交換器H-1からH-5に付設フラッシュドラムを設けることなく、凝縮水をすべて熱交換器H-0に集積、加熱するシステムで検討した。これは各熱交換器で余剰となった熱エネルギーは熱交換器H-0に集積加熱するシステムとなる。
上記設定値による熱交換器H-0からH-5までの粗製テレフタル酸結晶スラリーのスラリー供給ラインの上昇温度を上記実施例1と同様、図6に示す。また、熱交換器H-5の粗製テレフタル酸結晶スラリーを最終285℃まで加熱するのに要する熱交換器H-6での蒸気量は35.2重量部/時間(図7)であった。
図5のフローを用いて、粗製テレフタル酸から精製テレフタル酸を製造した。本フローでは、約27重量%粗製テレフタル酸結晶スラリーを100重量部/時間の割合でスラリー供給ライン5を通して供給し、晶析工程(IV)の各晶析槽(C-1、C-2、C-3、C-4、C-5)の圧力設定(図8)による発生蒸気を加熱溶解工程(II)の各熱交換器(H-1、H-2、H-3、H-4、H-5)に供給して供給粗製テレフタル酸結晶スラリーを加熱した。その加熱システムは、本発明となる加熱ユニットが3ユニット(H-2、H-3、H-4)と変形加熱ユニットが2ユニット(H-1、H-5)とからなる。
熱交換器H-5出口温度まで加熱された供給粗製テレフタル酸結晶スラリーは、熱交換器H-6において285℃まで加熱され、粗製テレフタル酸水溶液とした後、水素化精製装置で精製される。なお、本システムでの熱交換器は、凝縮の熱伝達係数を800〜1,000kcal/m2hr℃の間で各々の伝熱面積を設計(図8)した多管式熱交換器を設置した。
その結果、本システムによる精製テレフタル酸製造装置の加熱溶解工程(II)の各熱交換器出口温度は図8に示す通りであり、熱交換器H-5の出口温度は245℃であった。
実施例3のフラッシュドラムB-0から回収した凝縮水を遠心分離器用コニカルチューブ4本に各々50mlを採取し、精製テレフタル酸結晶粉末を添加なし(0.0重量%)および添加量0.05g(0.1重量%)、0.25g(0.5重量%)、0.5g(1.0重量%)を変えてよく振った後、遠心分離器にセットした。回転数7,500rpm、5分間の条件で遠心分離した後、コニカルチューブ中の上澄み液を採取し、それぞれのパラトルイル酸含有量を測定した。
その結果を図9に示す。採取した上澄み液の温度は55℃だった。精製テレフタル酸無添加(0.0重量%)の凝縮水に対して、添加量0.1重量%ではパラトルイル酸含有量が約半分量以下に低減することが分かった。
1 粗製芳香族ジカルボン酸結晶
2 溶媒水
3 粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリー
4 制御弁
5 スラリー供給ライン
6 粗製芳香族ジカルボン酸水溶液
7 精製芳香族ジカルボン酸水溶液
8 精製芳香族ジカルボン酸スラリー
9 精製芳香族ジカルボン酸結晶
10 水蒸気
11−1 凝縮水
11−2 回収凝縮水
12 加熱蒸気導入ライン(流れ1)
13 水蒸気循環ライン(流れ3)
14 余剰水蒸気放出ライン(流れ2)、(流れ5)
15 凝縮水移送ライン(流れ4)、(流れ6)
16 添加芳香族ジカルボン酸結晶
17 分離水
18 分離結晶
19 粗製芳香族ジカルボン酸製造プロセス
20 分離母液
21 排蒸気
22 粗製テレフタル酸製造プロセス
23 粗製テレフタル酸結晶
24 高圧廃水
25 高圧水素
26 超高圧水蒸気
27 精製テレフタル酸水溶液
28 精製テレフタル酸結晶スラリー
29 添加テレフタル酸結晶
30 精製テレフタル酸結晶
31 高圧排水
32 加熱ユニット
33 変形加熱ユニット
I スラリー調整工程
II 加熱溶解工程
III 水素化精製工程
IV 晶析工程
V 固液分離工程
A スラリー調整槽
B フラッシュドラム(B-0、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-(N-1)、B-N、B-(N+1))
C 晶析槽(C-1、C-2、C-3、C-4、C-5、C-(n-1)、C-n、C-(n+1))
D 溶解槽
H 熱交換器(H-1、H-2、H-3、H-4、H-5、H-6、H-(N-1)、H-N、H-(N+1)、H-X)
H-0 予熱用熱交換器
P ポンプ(P-1、P-2、P-3、P-4、P-5)
R 水素化精製装置
S 固液分離装置
LC 液面調節計
PC 圧力調節計
TC 温度調節計

Claims (10)

  1. ジアルキルベンゼンを液相酸化して製造する粗製芳香族ジカルボン酸を原料として、
    (I)粗製芳香族ジカルボン酸結晶と水とを混合して粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを生成するスラリー調整工程、
    (II)前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを、スラリー供給ラインに沿って複数の直列に配置した熱交換器に供給し、順次加熱して結晶成分を溶解し、水溶液とする加熱溶解工程、
    (III)前記粗製芳香族ジカルボン酸水溶液を、高温高圧下で水素の存在において触媒と接触させて、精製芳香族ジカルボン酸水溶液とする水素化精製工程、
    (IV)前記精製芳香族ジカルボン酸水溶液を、複数直列に配置し、段階的に圧力を低下させた晶析槽に導入し、段階的に放圧及び冷却して精製芳香族ジカルボン酸結晶を析出させて精製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを生成する晶析工程、
    (V)前記精製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを固液分離して精製芳香族ジカルボン酸結晶を回収する固液分離工程、
    を経て精製芳香族ジカルボン酸を製造する方法であって、
    (流れ1)前記晶析工程(IV)の任意のn段目晶析槽C-nの放圧によって発生する水蒸気を、加熱蒸気導入ラインを経て前記加熱溶解工程(II)の任意のN段目の熱交換器H-Nの加熱側に導入して蒸気加熱した後、流下する凝縮水を付設フラッシュドラムB-Nに排出して蓄積する。
    (流れ2)前記任意の熱交換器H-Nよりも粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーのスラリー供給ライン下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた下流側を示す)に付設のフラッシュドラムB-(N+x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた下流側を示す)の圧力制御(PC圧力調節計)から放出された水蒸気を、熱交換器H-Nの加熱蒸気導入ラインに供給し、粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの加熱に利用する。
    (流れ3)上記付設フラッシュドラムB-N内に流入した凝縮水の放圧による水蒸気および同伴した水蒸気は、水蒸気循環ラインを経て前記熱交換器H-Nの加熱に再利用される。
    (流れ4)前記任意の熱交換器H-Nよりもスラリー供給ライン下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)に付設のフラッシュドラムB-(N+x)に回収し、蓄積された凝縮水は、前記熱交換器H-Nの付設フラッシュドラムB-Nに導入され、放圧して水蒸気を発生する。該発生水蒸気は上記(流れ3)の水蒸気循環ラインを経て前記熱交換器H-Nの加熱に利用される。残部の凝縮水は該付設フラッシュドラムB-Nに蓄積される。
    (流れ5)前記熱交換器H-Nの加熱において、余剰となった水蒸気は付設フラッシュドラムB-N内の圧力制御(PC圧力調節計)により、前記熱交換器H-Nよりもスラリー供給ラインの上流側(低温側)に設置した熱交換器H-(N-x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた上流側を示す)の加熱蒸気導入ラインに排出、供給される。
    (流れ6)前記付設フラッシュドラムB-Nに蓄積された凝縮水は、液面制御(LC液面調節計)により、前記スラリー供給ラインの上流側(低温側)熱交換器H-(N-x)の付設フラッシュドラムB-(N-x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた上流側を示す)に排出、供給される。
    上記(流れ1)から(流れ6)の流れを備えた熱交換器H-Nと付設フラッシュドラムB-Nからなる加熱ユニットを、少なくとも1つ備えた加熱溶解工程(II)を用いることを特徴とする粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記任意の熱交換器H-Nよりもスラリー供給ライン下流側(高温側)に設置した付設フラッシュドラムB-(N+x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた下流側を示す)からの(流れ2)および/又は(流れ4)の導入流れが存在しない、(流れ1)、(流れ3)、(流れ5)および(流れ6)の流れを備えた、又は(流れ1)、(流れ3)、(流れ5)、(流れ6)および(流れ2)または(流れ4)の流れを備えた前記熱交換器H-Nと付設フラッシュドラムB-Nからなる変形加熱ユニットを、少なくとも1つ備えた加熱溶解工程(II)を用いることを特徴とする粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、前記任意の熱交換器H-Nよりも前記スラリー供給ラインの下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)と付設フラッシュドラムB-(N+x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた下流側を示す)に、(流れ1)、(流れ3)、(流れ5)および(流れ6)の流れを備えた変形加熱ユニットを少なくとも1つ備えた加熱溶解工程(II)を用いることを特徴とする粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法。
  4. 請求項1、2および3に記載の方法において、前記晶析工程(IV)の複数の晶析槽は、そのn段目C-n(nは1以上の整数であり、最も高温高圧側の晶析槽をC-1とし、段階的に順次圧力低下をする晶析槽をC-2、C-3、・・・、C-n、C-(n+1)とする)とし、
    前記加熱溶解工程(II)の複数の熱交換器Hは、そのN段目熱交換器をH-N(Nは1以上の整数であり、最も低温側の熱交換器をH-1とし、順次高温側にH-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)とする)とし、
    (流れ1)前記晶析工程(IV)の最も低温低圧側の最終段晶析槽C-(n+1)の放圧によって発生する水蒸気を、前記加熱溶解工程(II)の最も低温低圧側に配置された熱交換器H-1の加熱蒸気導入ラインを介して加熱側に導入する。続いて順次高温側の各晶析槽C-n、C-(n-1)、・・・、C-2、C-1からの発生水蒸気を、前記加熱溶解工程(II)の粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーのスラリー供給ラインの流れ方向(低温側から高温側へ)の順に配置されたそれぞれの熱交換器H-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)に対応させて個別に加熱蒸気導入ラインを介して導入する。該発生水蒸気は、それぞれの熱交換器H-1、H-2、・・・、H-N、H-(N+1)で蒸気加熱したのち、凝縮水としてそれぞれの熱交換器付設のフラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)に排出して蓄積される。
    (流れ2)それぞれの熱交換器H-1、H-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)よりもスラリー供給ラインの下流側(高温側)に隣接した熱交換器付設のラッシュドラムB-2、・・・、B-N、B-(N+1)の圧力制御(PC圧力調節計)により放出された水蒸気を、それぞれの上流側(低温側)に隣接した熱交換器H-0、H-1、H-2、・・・、H-Nの加熱蒸気導入ラインに供給し、加熱に利用する。なお、熱交換器H-0は前記供給スラリー余熱用などの排熱回収器である。
    (流れ3)前記スラリー供給ライン下流側(高温側)に隣接した熱交換器付設のフラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)の液面制御(LC液面調節計)により、それぞれの付設フラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)内に排出される凝縮水の放圧により発生した水蒸気および上記(流れ1)に同伴したそれぞれの水蒸気は、水蒸気循環ラインを経て前記のそれぞれの熱交換器H-1、H-2、・・・、H-N、H-(N+1)の加熱に再利用される。
    (流れ4)それぞれの熱交換器H-0、H-1、H-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)よりも前記スラリー供給ラインの下流側(高温側)に隣接する熱交換器H-1、H-2、H-3、・・・、H-N、H-(N+1)に付設するそれぞれのフラッシュドラムB-1、B-2、B-3、・・・、B-N、B-(N+1)に回収、蓄積された凝縮水は、液面制御(LC液面調節計)により、それぞれの上流側(低温側)に隣接した付設フラッシュドラムB-0、B-1、B-2,・・・、B-Nに排出され、放圧して水蒸気を発生する。それぞれのフラッシュドラムからの発生水蒸気は水蒸気循環ラインを経て前記熱交換器H-0、H-1、H-2、・・・、H-Nの加熱に利用され、残部の凝縮水はそれぞれの付設フラッシュドラムB-0、B-1、B-2、・・・、B-Nに蓄積される。なお、フラッシュドラムB-0は熱交換器H-0に付設のフラッシュドラムまたは凝縮水回収槽である。
    (流れ5)前記のそれぞれの熱交換器H-1、H-2、・・・、H-N、H-(N+1)の加熱に余剰となった水蒸気は、それぞれの付設フラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)の圧力制御(PC圧力調節計)により、スラリー供給ライン上流側(低温側)に隣接した熱交換器H-0、H-1、H-2、・・・、H-Nのそれぞれの加熱蒸気導入ラインに放出される。
    (流れ6)前記のそれぞれの付設フラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-N、B-(N+1)に蓄積された凝縮水は、液面制御(LC液面調節計)により、前記スラリー供給ライン上流側(低温側)に隣接の付設フラッシュドラムB-0、B-1、B-2、・・・、B-Nにそれぞれ供給される。
    前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーが、上記(流れ1)から(流れ6)の加熱流れを備えた熱交換器H-1、H-2、・・・、H-Nと付設フラッシュドラムB-1、B-2、・・・、B-Nにより、スラリー供給ラインの上流側(低温側)から順次加熱する加熱ユニットと最も下流側(高温側)の熱交換器H-(N+1)と付設フラッシュドラムB-(N+1)とによる変形加熱ユニットとから成る加熱システムを構成した加熱溶解工程(II)を用いて、前記晶析工程(IV)の晶析槽C-(n+1)、C-n、・・・、C-2、C-1からの発生水蒸気により加熱することを特徴とする粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法。
  5. 請求項1、2および4に記載の方法において、前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーを、晶析工程(IV)の最も高温高圧である晶析槽C-1からの発生水蒸気を用いて、前記スラリー供給ラインの下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+1)において加熱したのち、高温(約300℃以上)の加熱媒体を用いて粗製芳香族ジカルボン酸水溶液となる温度以上に加熱することを特徴とする粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法。
  6. 請求項1、2および4に記載の方法において、前記各熱交換器付設フラッシュドラムから排出される凝縮水の内、少なくともスラリー供給ラインの最も上流側(低温側)の熱交換器付設フラッシュドラムB-1からの凝縮水および/または水蒸気を、前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーの加熱用および/またはその他の加熱用媒体として用いることを特徴とする粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法。
  7. 請求項1、2および4に記載の方法において、前記粗製芳香族ジカルボン酸結晶スラリーのスラリー供給ラインの最も上流側(低温側)に設置した熱交換器付設フラッシュドラムから排出される凝縮水あるいは熱回収したのちの凝縮水に芳香族ジカルボン酸結晶を添加し、分離結晶と分離水を固液分離したのち、回収した分離結晶をジアルキルベンゼンを液相酸化して製造する粗製芳香族ジカルボン酸の原料の一部として、また回収した分離水は前記スラリー調整工程(I)の粗製芳香族ジカルボン酸結晶と混合する水の一部として使用することを特徴とする粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法。
  8. 請求項1、2および4に記載の方法において、原料となる粗製芳香族ジカルボン酸には、パラキシレンを液相酸化して製造される粗製テレフタル酸を用いることを特徴とする粗製芳香族ジカルボン酸の精製方法。
  9. 結晶性粗製有機化合物を原料として、
    (I)該粗製有機化合物と溶媒とを混合して粗製有機化合物結晶スラリーを生成するスラリー調整工程、
    (II)前記粗製有機化合物結晶スラリーを、スラリー供給ラインに沿って複数の直列に配置した熱交換器に供給し、順次加熱して結晶成分を溶解し、溶液とする加熱溶解工程、
    (III)前記粗製有機化合物溶液を、高温高圧下にそのまま或いは精製し、精製溶液にする精製工程、
    (IV)前記精製有機化合物溶液を、複数直列に段階的に圧力低下した晶析槽に導入し、晶析槽を放圧及び冷却して精製有機化合物結晶を析出させて精製有機化合物結晶スラリーを生成する晶析工程、
    (V)前記精製有機化合物結晶スラリーを固液分離して精製有機化合物結晶を回収する固液分離工程、
    を経て精製有機化合物を製造する方法であって、
    (流れ1)前記晶析工程(IV)の任意のn段目晶析槽C-nの放圧によって発生する溶媒蒸気を、加熱蒸気導入ラインを経て前記加熱溶解工程(II)の任意のN段目の熱交換器H-Nの加熱側に導入して蒸気加熱した後、流下する凝縮溶媒水を付設フラッシュドラムB-Nに排出して蓄積する。
    (流れ2)前記任意の熱交換器H-Nよりも粗製有機化合物結晶スラリーのスラリー供給ライン下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた下流側を示す)に付設のフラッシュドラムB-(N+x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた下流側を示す)の圧力制御(PC圧力調節計)から放出された溶媒蒸気を、熱交換器H-Nの加熱蒸気導入ラインに供給し、粗製有機化合物結晶スラリー加熱に利用する
    (流入3)前記付設フラッシュドラムB-N内に流入した凝縮溶媒液に同伴した溶媒蒸気は、溶媒蒸気循環ラインを経て前記熱交換器H-Nの加熱に再利用される。
    (流れ4)前記任意の熱交換器H-Nよりも粗製有機化合物結晶スラリーのスラリー供給ライン下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)に付設のフラッシュドラムB-(N+x)に回収し蓄積された凝縮溶媒液が、前記付設フラッシュドラムB-Nに導入され、放圧して溶媒蒸気を発生する。該発生溶媒蒸気は上記(流れ3)の溶媒蒸気循環ラインを経て前記熱交換器H-Nの加熱に利用される。残部の凝縮溶媒液は該付設フラッシュドラムB-Nに蓄積される。
    (流れ5)前記熱交換器H-Nの加熱において、余剰となった溶媒蒸気は付設フラッシュドラムB-N内の圧力制御(PC圧力調節計)により、前記熱交換器H-Nよりも前記スラリー供給ライン上流側(低温側)に設置した熱交換器H-(N-x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた上流側を示す)の加熱蒸気導入ラインに排出、供給される。
    (流れ6)前記付設フラッシュドラムB-Nに蓄積された凝縮溶媒液は、液面制御(LC液面調節計)により、前記粗製有機化合物結晶スラリーのスラリー供給ライン上流側(低温側)熱交換器H-(N-x)の付設フラッシュドラムB-(N-x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた上流側を示す)に供給される。
    上記(流れ1)から(流れ6)の流れを備えた熱交換器H-Nと付設フラッシュドラムB-Nからなる加熱ユニットを少なくとも1つ備えた加熱溶解工程(II)を用いることを特徴とする結晶性粗製有機化合物の精製方法。
  10. 請求項9に記載の方法において、前記熱交換器H-Nよりもスラリー供給ライン下流側(高温側)に設置した熱交換器H-(N+x)付設のフラッシュドラムB-(N+x)(x:1以上の整数で隣接および隣接を越えた下流側を示す)からの(流れ2)および/又は(流れ4)の導入流れが存在しない、(流れ1)、(流れ3)、(流れ5)および(流れ6)の流れを備えた、又は、(流れ1)、(流れ3)、(流れ5)、(流れ6)および(流れ2)又は(流れ4)の流れを備えた前記交換器H-Nと付設フラッシュドラムB-Nからなる変形加熱ユニットを少なくとも1つ備えた加熱溶解工程(II)を用いることを特徴とする結晶性粗製有機化合物の精製方法。
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