JP2013183690A - リグノセルロース含有バイオマスの前処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リグノセルロース原料からのエタノール製造方法において、リグノセルロース原料に混合されている異物を効率的に除去する方法を提供する。
【解決手段】
リグノセルロース原料からのエタノール製造方法において、リグノセルロース原料を洗浄装置の原料供給口から供給し、前記洗浄装置に供給された原料に対して洗浄水を供給することにより原料に混合している異物を除去し、前記洗浄工程で洗浄された原料に含まれる水を脱水装置により脱水する。
【選択図】 図1
【解決手段】
リグノセルロース原料からのエタノール製造方法において、リグノセルロース原料を洗浄装置の原料供給口から供給し、前記洗浄装置に供給された原料に対して洗浄水を供給することにより原料に混合している異物を除去し、前記洗浄工程で洗浄された原料に含まれる水を脱水装置により脱水する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、リグノセルロースを含有するバイオマスからの連続的なエタノール製造方法において、原料に含まれる異物を効率的に除去する方法に関する。
糖化に適した処理を施したリグノセルロース原料から糖を製造する技術は、この糖を微生物の発酵基質として用いることにより、ガソリンの代替燃料となるアルコールやプラスチック原料となるコハク酸や乳酸などの化成品原料を製造することができることから、循環型社会の形成に有益な技術である。
植物系バイオマス中の多糖類から発酵基質となる単糖や小糖類を製造する方法として、酵素やその酵素を生産する微生物を用いてバイオマスを加水分解を行う酵素糖化法がある。酵素糖化を効率的に行うためには、採取したバイオマスに混合している異物(土、砂、石、プラスティック、金属、等)を可能な限り除去することが望ましい。バイオマスに異物が混合したまま破砕、磨砕などの前処理を行うと前処理で使用する装置が故障したり、装置の運転に要する消費電力が高くなるという問題がある。また、原料に異物が混合していると糖化発酵工程で酵素や酵母の作用に影響を及ぼし糖化や発酵の効率が低下し、結果としてエタノールの生産性が低下する。バイオマスを洗浄する方法として、バイオマスを水に浸漬して水洗する方法が報告されている(特許文献1)。しかし、バイオマスを水に浸漬する方法では、連続的に洗浄を行う方法としては作業効率が悪く望ましくない。連続的にバイオマスを洗浄する方法として、水平の処理水槽の片側からバイオマスを投入し水槽内を移動させ移動中に異物を沈降させてバイオマスを処理水槽の反対側から回収する方法が報告されている(特許文献2)。しかし、前記方法では、処理水槽が水平であるためバイオマスと異物が多く含まれている場合、異物が処理水槽に停滞したり、処理水槽の通路を塞ぐと異物とバイオマスの分離が悪くなることが懸念される。
従って、エタノールを連続的に生産する工程において、採取したバイオマスに混合している異物を簡易な方法で効率よく除去する方法の開発が望まれている。
植物系バイオマス中の多糖類から発酵基質となる単糖や小糖類を製造する方法として、酵素やその酵素を生産する微生物を用いてバイオマスを加水分解を行う酵素糖化法がある。酵素糖化を効率的に行うためには、採取したバイオマスに混合している異物(土、砂、石、プラスティック、金属、等)を可能な限り除去することが望ましい。バイオマスに異物が混合したまま破砕、磨砕などの前処理を行うと前処理で使用する装置が故障したり、装置の運転に要する消費電力が高くなるという問題がある。また、原料に異物が混合していると糖化発酵工程で酵素や酵母の作用に影響を及ぼし糖化や発酵の効率が低下し、結果としてエタノールの生産性が低下する。バイオマスを洗浄する方法として、バイオマスを水に浸漬して水洗する方法が報告されている(特許文献1)。しかし、バイオマスを水に浸漬する方法では、連続的に洗浄を行う方法としては作業効率が悪く望ましくない。連続的にバイオマスを洗浄する方法として、水平の処理水槽の片側からバイオマスを投入し水槽内を移動させ移動中に異物を沈降させてバイオマスを処理水槽の反対側から回収する方法が報告されている(特許文献2)。しかし、前記方法では、処理水槽が水平であるためバイオマスと異物が多く含まれている場合、異物が処理水槽に停滞したり、処理水槽の通路を塞ぐと異物とバイオマスの分離が悪くなることが懸念される。
従って、エタノールを連続的に生産する工程において、採取したバイオマスに混合している異物を簡易な方法で効率よく除去する方法の開発が望まれている。
本発明の課題は、リグノセルロースを含有するバイオマスからの連続的なエタノール製造方法において、バイオマスに混合している異物を簡易な方法で効率的に除去する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、リグノセルロース原料から連続的にエタノールを製造する方法において、異物が混合しているリグノセルロース原料を連続的に洗浄、脱水することにより効率的にリグノセルロース原料から異物を除去できることを見出した。また、前記異物を除去した原料を用いることにより、破砕や磨砕に要するエネルギーを低減でき、糖化に適した原料を提供できることを見出し、下記発明を完成した。
(1)リグノセルロース原料からのエタノール製造方法において、リグノセルロース原料を洗浄装置の原料供給口から供給し、前記洗浄装置に供給された原料に対して洗浄水を供給することにより原料に混合している異物を除去する洗浄工程、前記洗浄工程で洗浄された原料に含まれる水を脱水装置により脱水する脱水工程、を有することを特徴とするリグノセルロース系原料の前処理方法。
(2)リグノセルロース原料に対して供給する水の量が、原料1kg(乾燥重量)に対して水1〜100kgであることを特徴とする(1)項に記載のリグノセルロース系原料の前処理方法。
(3)前記脱水工程で分離した水を洗浄装置の供給水として循環し再利用することを特徴とする(1)項又は(2)項に記載のリグノセルロース系原料の前処理方法。
本発明により、リグノセルロース原料からのエタノール製造方法において、原料に含まれる異物を効率的に除去することにより、破砕や磨砕に要するエネルギーを低減し糖化に適した原料を提供することが可能となる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
<リグノセルロース系原料>
本発明の方法で原料として使用するリグノセルロース系原料としては、木質系として、製紙用樹木、林地残材、間伐材等のチップ又は樹皮、製材工場等から発生する鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、草本系としてケナフ、稲藁、麦わら、バガスなどの農産廃棄物、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等が挙げられる。なお、本発明におけるリグノセルロース系原料としては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ等も利用可能である。
本発明の方法で原料として使用するリグノセルロース系原料としては、木質系として、製紙用樹木、林地残材、間伐材等のチップ又は樹皮、製材工場等から発生する鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、草本系としてケナフ、稲藁、麦わら、バガスなどの農産廃棄物、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等が挙げられる。なお、本発明におけるリグノセルロース系原料としては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ等も利用可能である。
前記木質系のリグノセルロース系原料の中でも、林地残材(樹皮、枝葉を含む)、樹皮が好ましい。例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属又はアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
<洗浄工程>
原料に異物が混合されていると、破砕や磨砕に用いる装置の消費電力が上昇したり、磨砕処理で用いるレファイナーのディスク(プレート)等の機械的処理で用いる装置の部品が破損する可能性がある。また、異物が原因となって配管が詰まる等の製造工程内でトラブルを起こしたり、糖化や発酵の効率が低下する等の問題が発生する。
本発明では、洗浄工程により原料に混合されている異物の除去を行う。
原料に異物が混合されていると、破砕や磨砕に用いる装置の消費電力が上昇したり、磨砕処理で用いるレファイナーのディスク(プレート)等の機械的処理で用いる装置の部品が破損する可能性がある。また、異物が原因となって配管が詰まる等の製造工程内でトラブルを起こしたり、糖化や発酵の効率が低下する等の問題が発生する。
本発明では、洗浄工程により原料に混合されている異物の除去を行う。
リグノセルロース系原料に混合されている異物(石、ゴミ、金属、プラステック等のリグノセルロース以外の異物)を洗浄装置を用いて除去する。
本発明で用いる洗浄装置は図1に例示するように、洗浄装置Mの原料供給口2から原料を供給し原料排出口3から原料を排出する構造を有する。
原料は、原料供給ライン1を経由して洗浄装置Mの原料供給口2ら洗浄装置に供給される。洗浄水は洗浄水供給口4(異物排出口と兼用)から供給される。洗浄により原料から分離された異物は、洗浄装置Mの底部の洗浄水供給口4(異物排出口)から異物排出ライン5を経由して排出される。異物の排出は、ライン上のバルブの開閉により断続的に行う。
洗浄された原料は原料排出口3から排出され、ライン9を経由して洗浄ドレーナーへ移送される。原料に含まれる水分は脱水装置SDで脱水され脱水原料排出口10より排出される。一方、脱水された水は脱水液排出口6から排出されてライン7を経由して洗浄水タンクMTへ送られ洗浄装置で用いる供給水として洗浄水循環ライン8を循環し再利用される。
本発明で用いる洗浄装置は図1に例示するように、洗浄装置Mの原料供給口2から原料を供給し原料排出口3から原料を排出する構造を有する。
原料は、原料供給ライン1を経由して洗浄装置Mの原料供給口2ら洗浄装置に供給される。洗浄水は洗浄水供給口4(異物排出口と兼用)から供給される。洗浄により原料から分離された異物は、洗浄装置Mの底部の洗浄水供給口4(異物排出口)から異物排出ライン5を経由して排出される。異物の排出は、ライン上のバルブの開閉により断続的に行う。
洗浄された原料は原料排出口3から排出され、ライン9を経由して洗浄ドレーナーへ移送される。原料に含まれる水分は脱水装置SDで脱水され脱水原料排出口10より排出される。一方、脱水された水は脱水液排出口6から排出されてライン7を経由して洗浄水タンクMTへ送られ洗浄装置で用いる供給水として洗浄水循環ライン8を循環し再利用される。
本発明で用いる洗浄装置の材質、形状は特に限定はなく、原料から異物を除去できる装置であれば、特に制限なく用いることができる。
前記洗浄水は、水が好ましいが、原料に悪影響を及ぼさない洗浄液であれば特に制限なく用いることができる。リグノセルロース原料を洗浄する水の量は、原料1kg(乾燥重量)に対して水1〜100kgが好ましく、原料1kg(乾燥重量)に対して水10〜60kgがさらに好ましい。原料1kgに対する洗浄水の供給量が1kg未満だと洗浄効果が不十分であり、また、100kgを超えると装置の運転に要するエネルギーが上昇するため好ましくない。
前記脱水装置は、洗浄ドレーナー等、原料から水分を除去できる装置であれば特に制限なく用いることができる。
前記の方法により原料から異物を効率的に除去することが可能となり、後工程である機械処理工程において破砕処理や磨砕処理に要する消費電力を低減することができる。原料に混合されている異物による機器の破損(レファイナーディスクの破損等)を低減することができるため、エタノール生産性の低減を抑制することができる。また、異物を除去することにより異物による糖化効率の低減が抑えられ糖収率が高まる。従って、洗浄工程、脱水工程を導入し連続的に原料に混合されている異物を効率的に除去することにより、エタノール生産効率を向上することができる。
<機械的処理>
本発明では、前記リグノセルロース原料に機械的処理を施すことができる。機械的処理としては、破砕、裁断、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、リグノセルロースを次工程の化学的処理工程で糖化され易い状態にすることである。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー等を用いることができる。
本発明では、前記リグノセルロース原料に機械的処理を施すことができる。機械的処理としては、破砕、裁断、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、リグノセルロースを次工程の化学的処理工程で糖化され易い状態にすることである。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー等を用いることができる。
<化学的処理>
前記、機械的処理を施したリグノセルロース原料を次に化学的処理する。化学的処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ薬品、又は、亜硫酸ナトリウムと前記アルカリ薬品の中から選ばれる1種以上のアルカリ薬品を含有する溶液に浸漬する化学的処理を含む前処理である。また、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による化学的処理も可能である。
化学的処理は、前記機械的処理と組み合わせてそれらの前処理の後処理として行うことが好適である。
前記、機械的処理を施したリグノセルロース原料を次に化学的処理する。化学的処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ薬品、又は、亜硫酸ナトリウムと前記アルカリ薬品の中から選ばれる1種以上のアルカリ薬品を含有する溶液に浸漬する化学的処理を含む前処理である。また、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による化学的処理も可能である。
化学的処理は、前記機械的処理と組み合わせてそれらの前処理の後処理として行うことが好適である。
化学的処理で使用する薬品の添加量は、状況に応じて任意に調製可能であるが、薬品コスト低下の面から、またセルロースの溶出・過分解による収率低下防止の面から、リグノセルロース系原料の絶乾100質量部に対して50質量部以下であることが望ましい。化学的処理における薬品の水溶液への浸漬時間及び処理温度は、使用する原料や薬品によって任意に設定可能であるが、処理時間20〜90分、処理温度80〜200℃が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理時間は70分以下、処理温度は180℃以下であることが好ましい。
化学的処理として、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加することもできる。リグノセルロースに亜硫酸ナトリウムを前記の添加量で単独で添加して加熱処理すると、加水分解中に酢酸等の有機酸が生成するためpHの低下が起こり加水分解液が酸性となる。加水分解液が酸性の条件下で加水分解を継続すると加水分解で生成されたキシロースがフルフラールに変換するという問題が発生する。フルフラールは、エタノール発酵の阻害物質となるため可能な限り生成させないことが望ましい。また、発酵基質であるキシロースの収率が低下するため結果としてエタノール生産効率が低下する。本発明では、リグノセルロース原料に前記の添加量で亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤としてアルカリを添加して加熱処理することにより、加水分解中のpHが中性〜弱アルカリ性に維持されるため、フルフラールの生成及びキシロースの収率低下を抑制することができる。また、加熱処理後(加水分解後)のリグノセルロースを含む水溶液のpHが4.0〜7.0(中性〜弱アルカリ性)となるため、加水分解処理後の廃液あるいは加水分解物を中和するための薬品の使用量を低減できるというメリットがある。
前記pH調整剤として用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの薬品に特に限定されない。
前記、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加して加熱処理を行う場合の加熱処理温度は、80〜200℃が好ましく、120〜180℃がさらに好ましい。また、加熱処理時間は、10〜300分で行うことができるが、30〜120分が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理温度は、180℃以下、処理時間は120分以下であることが好ましい。
(磨砕処理)
本発明では、前記化学的処理により得られたリグノセルロース原料をレファイナーのディスク(プレート)のクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲で磨砕することが好ましく、0.1〜1.0mmの範囲がさらに好ましい。使用するレファイナーとしては、シングルディスクレファイナー、ダブルディスクレファイナー等を使用することができ相対するディスクのクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲に設定できるレファイナーであれば特に制限なく使用することができる。ディスクのクリアランスが2.0mmを超えると糖化または併行糖化発酵で得られる糖収率が低下するため好ましくない。一方、ディスクのクリアランスが0.1mmより小さいとレファイナーで磨砕処理した後の加水分解物(固形分)の収率が低下し、また、レファイナーの運転に要する電気消費量が増大するため好ましくない。
レファイナーのディスク(プレート)の材質、ディスクの型、ディスク面の刃の型、ディスク面に対する刃の方向等のディスクの形状については効果が得られる材質、形状であれば、特に制限なく使用することができる。
本発明では、前記化学的処理により得られたリグノセルロース原料をレファイナーのディスク(プレート)のクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲で磨砕することが好ましく、0.1〜1.0mmの範囲がさらに好ましい。使用するレファイナーとしては、シングルディスクレファイナー、ダブルディスクレファイナー等を使用することができ相対するディスクのクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲に設定できるレファイナーであれば特に制限なく使用することができる。ディスクのクリアランスが2.0mmを超えると糖化または併行糖化発酵で得られる糖収率が低下するため好ましくない。一方、ディスクのクリアランスが0.1mmより小さいとレファイナーで磨砕処理した後の加水分解物(固形分)の収率が低下し、また、レファイナーの運転に要する電気消費量が増大するため好ましくない。
レファイナーのディスク(プレート)の材質、ディスクの型、ディスク面の刃の型、ディスク面に対する刃の方向等のディスクの形状については効果が得られる材質、形状であれば、特に制限なく使用することができる。
前記の磨砕処理が施されているリグノセルロース系原料を水溶液と固形分に固液分離し、固形分を糖化または併行糖化発酵の原料として用いる。固液分離する方法としては、例えば、スクリュープレス等を用いて水溶液と固形分に分離することができるが、水溶液と固形分に分離することができる装置であれば制限なく使用することができる。
前記の固形分離後の原料を用いて糖化または併行糖化発酵を行う前に殺菌処理を行うことが好ましい。リグノセルロース系バイオマス原料中に雑菌が混入していると、酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下してしまうという問題が発生する。
殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
前記前処理が施されているリグノセルロース原料が、糖化工程または併行糖化発酵工程へ供給される。
<糖化工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、糖化工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素(セルラーゼ、ヘミセルラーゼ)により糖化(セルロース→グルコース、ヘミセルロース→グルコース、キシロース)される。
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、糖化工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素(セルラーゼ、ヘミセルラーゼ)により糖化(セルロース→グルコース、ヘミセルロース→グルコース、キシロース)される。
<併行糖化発酵工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、さらに酵母等の微生物と混合されて併行糖化発酵工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素により糖化され、生成された糖が酵母によりエタノールに発酵される。
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、さらに酵母等の微生物と混合されて併行糖化発酵工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素により糖化され、生成された糖が酵母によりエタノールに発酵される。
糖化工程又は併行糖化発酵工程で用いるリグノセルロース系原料の懸濁濃度は、1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
併行糖化発酵で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤は、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤は、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス(Trametes)属、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
糖化工程または併行糖化発酵工程でのpHは3.5〜10.0の範囲に維持することが好ましく、4.0〜7.5の範囲に維持することがより好ましい。
糖化工程または併行糖化発酵工程の温度は、酵素の至適温度の範囲内であれば特に制限はなく、25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。反応は、連続式が好ましいが、セミバッチ式、バッチ式でも良い。反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、さらに好ましくは15〜100時間である。
発酵用に用いられる微生物としては酵母などが用いられ、培地などを同時に添加しても良い。酵母としては、サッカロマイセス・セラビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等が使用できる。また、遺伝子組換技術を用いて作製した遺伝子組換酵母を用いることができる。遺伝子組換酵母としては、六炭糖と五炭糖を同時に発酵できる酵母、等を特に制限なく用いることができる。酵母は、培地などと同時に添加しても良い。
また、微生物は固定化しておいてもよい。微生物を固定化しておくと、次工程に微生物を液と共に送り出して再回収するという工程を省くことができるか、少なくとも回収工程にかかる負担を軽減することができるし、微生物をロスするリスクを軽減することもできる。また、微生物を固定化するほどでのメリットはないが、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
本発明では、酵素糖化処理工程内に電解質として水溶性塩を添加することができる。酵素糖化処理工程において、電解質を原料懸濁液に添加し原料懸濁液の電気伝導度を5〜25mS/cmの範囲に維持することが好ましい。電気伝導度を5〜25mS/cmの範囲に維持することによりリグノセルロース原料の未反応成分や反応残渣等への酵素の吸着が抑制されるため、酵素糖化処理工程内における酵素の循環率が長期にわたって高い水準に維持することができる。酵素糖化処理工程内において、操作上、電解質を添加することが可能な工程であれば、いずれの工程においても制限なく電解質を添加することができる。一次糖化発酵工程内で添加することが操作が容易なため望ましい。
水溶性塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれる塩類が好ましい。アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、酢酸塩、クエン酸塩からなる群から選ばれる水溶性塩が挙げられる。
糖化工程または併行糖化発酵工程を出た培養液は、固液分離工程へ移送され、液体分(濾液)と固形分(残渣)に分離される。固液分離を行う装置としては、スクリュープレス、スクリーン、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス等を用いることができる。スクリーンとしては、振動装置が付加された振動スクリーンなどを用いることができる。
回収された固形分(残渣)は糖化工程または併行糖化発酵工程へ移送し糖化発酵の原料として用いることもできる。
固液分離工程で分離された液体分(濾液)は蒸留工程へ移送される。
回収された固形分(残渣)は糖化工程または併行糖化発酵工程へ移送し糖化発酵の原料として用いることもできる。
固液分離工程で分離された液体分(濾液)は蒸留工程へ移送される。
<蒸留工程>
蒸留工程では、減圧蒸留装置により発酵生成物としてエタノールが蒸留分離される。減圧下では低い温度で発酵生成物を分離できるため、酵素の失活を防ぐことができる。減圧蒸留装置としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪くなる。
蒸留後の蒸留残渣留分中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下であることが好ましい。このような濃度にすることによって、後段の固液分離工程において固形物とともに排出される発酵生成物量を低減することができ、収率を向上させることができる。
蒸留工程では、減圧蒸留装置により発酵生成物としてエタノールが蒸留分離される。減圧下では低い温度で発酵生成物を分離できるため、酵素の失活を防ぐことができる。減圧蒸留装置としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪くなる。
蒸留後の蒸留残渣留分中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下であることが好ましい。このような濃度にすることによって、後段の固液分離工程において固形物とともに排出される発酵生成物量を低減することができ、収率を向上させることができる。
<遠心分離工程>
蒸留残液は、遠心分離工程へ移送され残留している残渣を遠心分離によって除去した後、液体留分は併行糖化発酵工程に循環されるか又は二次併行糖化発酵工程(前記、一次併行糖化発酵工程とは異なる第2の併行糖化発酵工程)へ移送される。二次併行糖化発酵工程では、新しいリグノセルロース原料を添加して糖化発酵させることもできるし、キシロース等の五炭糖の発酵を目的とした発酵を行うことができる。遠心分離後の液体留分には酵素が含まれており、併行糖化発酵工程または二次併行糖化発酵工程で再利用される。一方、遠心分離後の残渣には、酵素、リグニン、酵母が含まれている。リグニンは、燃焼原料として回収しエネルギーとして利用することもできるし、リグニンを回収し有効利用することもできる。また、酵母を残渣から分離して、糖化発酵工程で再利用することもできる。
蒸留残液は、遠心分離工程へ移送され残留している残渣を遠心分離によって除去した後、液体留分は併行糖化発酵工程に循環されるか又は二次併行糖化発酵工程(前記、一次併行糖化発酵工程とは異なる第2の併行糖化発酵工程)へ移送される。二次併行糖化発酵工程では、新しいリグノセルロース原料を添加して糖化発酵させることもできるし、キシロース等の五炭糖の発酵を目的とした発酵を行うことができる。遠心分離後の液体留分には酵素が含まれており、併行糖化発酵工程または二次併行糖化発酵工程で再利用される。一方、遠心分離後の残渣には、酵素、リグニン、酵母が含まれている。リグニンは、燃焼原料として回収しエネルギーとして利用することもできるし、リグニンを回収し有効利用することもできる。また、酵母を残渣から分離して、糖化発酵工程で再利用することもできる。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
[実験例1]
[前処理]
チップ状のユーカリ・グロブラスの林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を図1に示す洗浄装置の原料供給口2から原料送り速度10kg(乾燥重量)/分で連続的に供給し、原料1kg(乾燥重量)に対して水100kgを洗浄装置下部の洗浄水供給口(異物排出口)4より供給した。洗浄により原料から分離された異物を洗浄装置Mの洗浄水供給口4(異物排出口)からライン上のバルブを開き異物排出ライン5を経由して排出した。一方、洗浄された原料を原料排出口3から排出した後、原料移送ライン9を経由して洗浄ドレーナーSDへ移送し、原料に含まれる水分を洗浄ドレーナーで脱水した。原料から分離された洗浄水を脱水液排出口6から排出し、脱水液排出ライン7を経由して洗浄水タンクMTへ移送し、洗浄水タンクMTに蓄積された洗浄水を洗浄水循環ライン8を経由して洗浄装置に供給水するための洗浄水として再利用した。原料1kg(乾燥重量)から分離された異物の重量(乾燥重量)を測定した。
次に、洗浄ドレーナーSDから排出された原料を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。一軸破砕の破砕処理に要した電力を電力積算計を用いて測定した。
上記原料1kg(絶乾重量)に対して97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム10gを添加後、水を添加し水溶液の容量を6Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、170℃で1時間加熱した。加熱処理後の原料懸濁液をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)でディスクのクリアランスを1.0mmに設定し磨砕した。レファイナーの磨砕処理に要した電力を電力積算計を用いて測定した。
次に磨砕した原料懸濁液をスクリュープレス(富国工業社製、SHX―200X1500L)で固液分離し、固形分を原料として糖化試験を実施した。
[糖化試験(試験管内実験)]
前記で得られた固形分を原料として試験管内で糖化試験を下記の方法で行った。
300ml容三角フラスコ(滅菌済)に原料の最終濃度が、2.5質量%になるように添加した。次に、市販セルラーゼ(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)2.5mlを添加し、最終容量を蒸留水で100mlにメスアップした。この混合液を37℃で24時間培養(糖化)した。培養後の培養液を遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清液の全糖濃度を測定した。得られたデータより糖収率(得られた全糖量/原料に含まれる炭水化物量 x 100)を算出した。結果を表1に示す。
[前処理]
チップ状のユーカリ・グロブラスの林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を図1に示す洗浄装置の原料供給口2から原料送り速度10kg(乾燥重量)/分で連続的に供給し、原料1kg(乾燥重量)に対して水100kgを洗浄装置下部の洗浄水供給口(異物排出口)4より供給した。洗浄により原料から分離された異物を洗浄装置Mの洗浄水供給口4(異物排出口)からライン上のバルブを開き異物排出ライン5を経由して排出した。一方、洗浄された原料を原料排出口3から排出した後、原料移送ライン9を経由して洗浄ドレーナーSDへ移送し、原料に含まれる水分を洗浄ドレーナーで脱水した。原料から分離された洗浄水を脱水液排出口6から排出し、脱水液排出ライン7を経由して洗浄水タンクMTへ移送し、洗浄水タンクMTに蓄積された洗浄水を洗浄水循環ライン8を経由して洗浄装置に供給水するための洗浄水として再利用した。原料1kg(乾燥重量)から分離された異物の重量(乾燥重量)を測定した。
次に、洗浄ドレーナーSDから排出された原料を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。一軸破砕の破砕処理に要した電力を電力積算計を用いて測定した。
上記原料1kg(絶乾重量)に対して97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム10gを添加後、水を添加し水溶液の容量を6Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、170℃で1時間加熱した。加熱処理後の原料懸濁液をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)でディスクのクリアランスを1.0mmに設定し磨砕した。レファイナーの磨砕処理に要した電力を電力積算計を用いて測定した。
次に磨砕した原料懸濁液をスクリュープレス(富国工業社製、SHX―200X1500L)で固液分離し、固形分を原料として糖化試験を実施した。
[糖化試験(試験管内実験)]
前記で得られた固形分を原料として試験管内で糖化試験を下記の方法で行った。
300ml容三角フラスコ(滅菌済)に原料の最終濃度が、2.5質量%になるように添加した。次に、市販セルラーゼ(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)2.5mlを添加し、最終容量を蒸留水で100mlにメスアップした。この混合液を37℃で24時間培養(糖化)した。培養後の培養液を遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清液の全糖濃度を測定した。得られたデータより糖収率(得られた全糖量/原料に含まれる炭水化物量 x 100)を算出した。結果を表1に示す。
[実験例2]
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水60kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水60kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例3]
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水30kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水30kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例4]
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水10kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水10kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例5]
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水5kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水5kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例6]
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水1kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例1において、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水1kgを供給した以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例7]
実験例1において、洗浄工程及び脱水工程を省略した試験を実施した。他の操作は全て実験例1と同様の方法で試験した。実験例7を比較例とした。
実験例1において、洗浄工程及び脱水工程を省略した試験を実施した。他の操作は全て実験例1と同様の方法で試験した。実験例7を比較例とした。
表1に示すように、洗浄装置で原料1kg(乾燥重量)に対して水1〜100kgを供給し原料を洗浄後脱水した試験(実験例1〜6)では、洗浄工程及び脱水工程を省略した試験(実験例7)と比較し一軸破砕機及びレファイナーの運転に要した消費電力は低く、前処理で得られた原料からの糖収率が高かった。また、実験例1〜6では、原料に対する水の供給量が多い程、分離される異物の重量が増加した。
以上の結果から、洗浄装置内で原料1kg(乾燥重量)に対して水1〜100kgを供給し洗浄することにより林地残材に含まれる異物(土、砂、プラスティック、金属、石、等)が効率良く除去された結果、一軸破砕機及びレファイナーの消費電力が低下し、前処理で得られた原料からの糖収率が向上したものと推測される。また、洗浄及び脱水を省略した試験(実験例7)では、レファイナーのディスクの破損が認められたが、洗浄及び脱水を行った試験では、いづれの試験においてもディスクの破損は認められなかった。エタノール製造工程で洗浄工程及び脱水工程による異物除去を行うことにより、連続運転が可能となり効率的なエタノール生産が可能となる。
以上の結果から、洗浄装置内で原料1kg(乾燥重量)に対して水1〜100kgを供給し洗浄することにより林地残材に含まれる異物(土、砂、プラスティック、金属、石、等)が効率良く除去された結果、一軸破砕機及びレファイナーの消費電力が低下し、前処理で得られた原料からの糖収率が向上したものと推測される。また、洗浄及び脱水を省略した試験(実験例7)では、レファイナーのディスクの破損が認められたが、洗浄及び脱水を行った試験では、いづれの試験においてもディスクの破損は認められなかった。エタノール製造工程で洗浄工程及び脱水工程による異物除去を行うことにより、連続運転が可能となり効率的なエタノール生産が可能となる。
[実験例8]
実験例1において、化学的処理として原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化ナトリウム150gを添加し、実験例1と同様の方法で試験した。その他の操作は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
実験例1において、化学的処理として原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化ナトリウム150gを添加し、実験例1と同様の方法で試験した。その他の操作は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[実験例9]
実験例1において、化学的処理として原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化カルシウム150gを添加し、実験例1と同様の方法で試験した。その他の操作は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
実験例1において、化学的処理として原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化カルシウム150gを添加し、実験例1と同様の方法で試験した。その他の操作は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
表2に示すように、洗浄装置内で原料1kg(乾燥重量)に対して水100kgを供給し原料を洗浄後脱水した試験において、水酸化ナトリウム(実験例8)、または水酸化カルシウム(実験例9)で化学的処理をした場合でも、洗浄工程及び脱水工程を省略した試験(実験例7)と比較し一軸破砕機、及びレファイナーの運転に要した消費電力が低く、前処理で得られた原料からの糖収率が高かった。また、実験例8及び9においてもレファイナーのディスクの破損は認められなかった。
本発明により、リグノセルロース原料からの連続的なエタノール製造方法において、リグノセルロース原料に混合されている異物を効率的に除去することができる。また、前記異物を除去した原料を用いることにより機械的処理に要するエネルギーを低減でき、効率的にエタノールの発酵原料となる糖液を生産することが可能となる。
1:原料供給ライン
2:原料供給口
3:原料排出口
4:洗浄水供給口(異物排出口)
5:異物ライン
6:脱水液排出口
7:脱水液排出ライン
8:洗浄液循環ライン
9:原料移送ライン
10:脱水原料排出口
M:洗浄装置
MT:洗浄水タンク
SD:洗浄ドレーナー
I:破砕処理装置
CO:加熱処理装置
R:磨砕処理装置
S:固液分離装置
2:原料供給口
3:原料排出口
4:洗浄水供給口(異物排出口)
5:異物ライン
6:脱水液排出口
7:脱水液排出ライン
8:洗浄液循環ライン
9:原料移送ライン
10:脱水原料排出口
M:洗浄装置
MT:洗浄水タンク
SD:洗浄ドレーナー
I:破砕処理装置
CO:加熱処理装置
R:磨砕処理装置
S:固液分離装置
Claims (3)
- リグノセルロース原料からのエタノール製造方法において、リグノセルロース原料を洗浄装置の原料供給口から供給し、前記洗浄装置に供給された原料に対して洗浄水を供給することにより原料に混合している異物を除去する洗浄工程、前記洗浄工程で洗浄された原料に含まれる水を脱水装置により脱水する脱水工程、を有することを特徴とするリグノセルロース系原料の前処理方法。
- リグノセルロース原料に対して供給する水の量が、原料1kg(乾燥重量)に対して水1〜100kgであることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース系原料の前処理方法。
- 前記脱水工程で分離した水を洗浄装置の供給水として循環し再利用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリグノセルロース系原料の前処理方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021508355A (ja) * | 2017-12-20 | 2021-03-04 | イエフペ エネルジ ヌヴェルIfp Energies Nouvelles | リグノセルロースのバイオマスの処理方法 |
Citations (3)
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---|---|---|---|---|
JP2008512102A (ja) * | 2004-09-10 | 2008-04-24 | アイオゲン エナジー コーポレイション | 前処理された原料を生産する方法 |
JP2011245383A (ja) * | 2010-05-25 | 2011-12-08 | Tsukishima Kikai Co Ltd | バイオマスの洗浄装置及び洗浄方法 |
JP2012000527A (ja) * | 2010-06-14 | 2012-01-05 | Tsukishima Kikai Co Ltd | バイオマスの脱水装置及び脱水方法 |
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2012
- 2012-03-08 JP JP2012051138A patent/JP2013183690A/ja active Pending
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JP7411567B2 (ja) | 2017-12-20 | 2024-01-11 | イエフペ エネルジ ヌヴェル | リグノセルロースのバイオマスの処理方法 |
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