JP2013180676A - 制動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスクローターの発生原因ごとに適切な制動力制御をおこない、当該凹凸に起因する制動時のジャダーを軽減して、運転中のフィーリングを向上させること。
【解決手段】制動力制御装置は、ディスクローター106の表面の凹凸状態を推定するとともに、ブレーキパッド108の温度を検出し、ブレーキパッド108の温度が所定温度以上の場合は、ディスクローター106の表面のうちブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に小さくし、接触範囲が基準位置よりも凹状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。一方、ブレーキパッド108の温度が所定温度未満の場合は、ブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。
【選択図】図2
【解決手段】制動力制御装置は、ディスクローター106の表面の凹凸状態を推定するとともに、ブレーキパッド108の温度を検出し、ブレーキパッド108の温度が所定温度以上の場合は、ディスクローター106の表面のうちブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に小さくし、接触範囲が基準位置よりも凹状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。一方、ブレーキパッド108の温度が所定温度未満の場合は、ブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両を制動する車両制動装置の制動力を制御する制動力制御装置に関する。
従来、タイヤとともに回転するディスクローターの表面にブレーキパッドを押圧して車両を制動する車両制動装置(ブレーキ機構)において、経年劣化やブレーキパッドとの摩擦、制動時に発生する熱などによって、ディスクローターの表面に凹凸が生じることが知られている。この凹凸によって、ディスクローターが1回転する間においてディスクローターとブレーキパッドとの間の距離が変動する。具体的には、凸部ではディスクローターとブレーキパッドとの間の距離が大きくなり、凹部ではディスクローターとブレーキパッドとの間の距離が小さくなる。この結果、一定力でブレーキ操作をおこなっても、ディスクローターが1回転する間において、ディスクローターとブレーキパッドとの間に発生する押圧力が変化してジャダーが発生し、運転中のフィーリングが悪化するという問題点があった。
このような問題点を解決するため、たとえば下記特許文献1では、ディスクローターの肉厚差を検出して、ディスクローターの肉厚が薄い部分よりも厚い部分に対して大きな押圧力でブレーキパッドを接触させる。これにより、ディスクローターの厚い部分を研削して、ディスクローターの肉厚差を低減させている。
ディスクローター表面に生じる凹凸のうち、経年劣化やブレーキパッドとの摩擦に起因するものは定常的な変形であるのに対して、制動時に発生する熱に起因するものは一時的なものである。上述した従来技術では、このような凹凸が生じる原因に関わらずディスクローターを研削するので、熱により一時的な変形が生じている部分については、ディスクローターの肉厚差をかえって助長してしまう可能性があるという問題点がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、ディスクローターの発生原因ごとに適切な制動力制御をおこない、当該凹凸に起因する制動時のジャダーを軽減して、運転中のフィーリングを向上させることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる制動力制御装置は、タイヤとともに回転するディスクローターの表面にブレーキパッドを押圧して車両を制動する車両制動装置の制動力を制御する制動力制御装置であって、前記ディスクローターの表面の凹凸状態を推定する推定手段と、前記車両制動装置の温度を検出する検出手段と、前記推定手段による推定結果および前記検出手段による検出結果に基づいて、前記ディスクローターへの前記ブレーキパッドの押圧力を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記車両制動手段の温度が所定温度以上の場合は、前記ディスクローターの表面のうち前記ブレーキパッドとの接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で前記押圧力を相対的に小さくするとともに、前記接触範囲が前記基準位置よりも凹状態である箇所で前記押圧力を相対的に大きくし、前記車両制動手段の温度が所定温度未満の場合は、前記ディスクローターの表面のうち前記ブレーキパッドとの接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で前記押圧力を相対的に大きくすることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ディスクローターの表面の凹凸状態を推定するとともに、車両制動装置の温度を検出し、温度ごとに異なる方法でブレーキパッドの押圧力を制御する。具体的には、車両制動装置の温度が所定温度以上の場合は、ディスクローターの表面のうちブレーキパッドとの接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に小さくし、接触範囲が基準位置よりも凹状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。これにより、ディスクローター表面の凹凸によらず一定の制動力を得ることができ、ジャダーを低減することができる。一方、車両制動装置の温度が所定温度未満の場合は、凸状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。これにより、ディスクローター表面の凸部を研削して、ディスクローターの厚さを一定にすることができ、ジャダーを低減することができる。
請求項2の発明によれば、運転者によるブレーキ操作量を検知して、ブレーキ操作量が所定以下の場合には制御をおこなわないので、搭乗者が検知可能な程度のジャダーが発生する可能性がある場合のみ、ジャダーを軽減するための制御をおこなうことができる。
請求項3の発明によれば、運転者のブレーキ操作に伴うディスクローターの押圧力の変化を検出し、ブレーキ操作の操作量から予測される押圧力と検出された押圧力との差分からディスクローターの凹凸状態を推定するので、ディスクローターの凹凸状態を精度よく推定することができ、制動時のジャダーをさらに軽減することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる制動力制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の実施の形態では、電動自動車である車両100に対して、本発明にかかる制動力制御装置を適用した場合の例について説明する。
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる制動力制御装置を適用した車両100の構成を示す説明図である。図1においては、車両100に対する制動力制御装置の適用と関係しない構成については、図示を省略している。車両100は、電気自動車であり、図示しないバッテリーに蓄積された電力によってモーター102を駆動して、タイヤ101を回転させて走行する。
図1は、実施の形態にかかる制動力制御装置を適用した車両100の構成を示す説明図である。図1においては、車両100に対する制動力制御装置の適用と関係しない構成については、図示を省略している。車両100は、電気自動車であり、図示しないバッテリーに蓄積された電力によってモーター102を駆動して、タイヤ101を回転させて走行する。
タイヤ101の回転は、運転者によるブレーキペダル103の操作によって制動される。運転者によってブレーキペダル103が踏み込まれると、その踏み込み力によってマスターシリンダー104内のピストンが駆動され、マスターシリンダー104内に充填されたブレーキ液が押し出される。押し出されたブレーキ液は、ブレーキ配管105を伝ってブレーキキャリパー107へと伝送される。なお、ブレーキペダル103への踏み込み力は、図示しないペダルセンサによって計測され、後述する制動力制御装置140およびEV−ECU130へと出力される。
ブレーキペダル103への踏み込み力がマスターシリンダー104に伝達される際には、ブレーキブースタ110によって踏み込み力を増幅させることによって、車両100の制動に必要な圧力を得る。ブレーキブースタ110の内部は、ブレーキペダル103側の大気室およびマスターシリンダー104側の負圧室の2つの区画に隔てられている。この2つの区画間の圧力差によって、ブレーキペダル103側からマスターシリンダー104側へと向かう力が発生し、マスターシリンダー104内のピストンを押す力を補助する。ブレーキブースタ110の負圧室内の負圧は、電動バキュームポンプ111によって発生させる。
モーター回転数センサ121は、単位時間あたりのモーター102の回転数を計測する。車輪速度センサ122は、各タイヤ101に設けられ、各タイヤ101の回転速度を計測する。
ブレーキキャリパー107には、ブレーキパッド108(図2参照)およびピストンが設けられている。ブレーキキャリパー107では、ブレーキ液に伝えられた圧力の作用よってピストンが駆動され、ブレーキパッド108をディスクローター106へと押し付ける。そして、ディスクローター106とブレーキパッド108との間の摩擦によって、タイヤ101の運動エネルギーが熱エネルギーとして空気中に放出され、タイヤ101の回転が停止し、車両100が停止する。
ここで、ディスクローター106に対するブレーキパッド108の押圧力は、制動力制御装置140によって制御されている。ディスクローター106の表面には、経年劣化やブレーキパッドとの摩擦、制動時に発生する熱などによって凹凸が生じる。この凹凸によって、ディスクローターが1回転する間においてディスクローター106とブレーキパッド108との間の距離が変動する。具体的には、凸部ではディスクローター106とブレーキパッド108との間の距離が小さくなり、凹部ではディスクローター106とブレーキパッド108との間の距離が大きくなる。この結果、一定力でブレーキ操作をおこなっても、ディスクローター106とブレーキパッド108との間に発生する押圧力が変化してジャダーが発生し、運転中のフィーリングが悪化してしまう。
このような問題点を解決するため、制動力制御装置140は、ディスクローター106の表面の凹凸状態を推定するとともに、ブレーキパッド108(車両制動装置)の温度を検出し、この推定結果に基づいて、ディスクローター106へのブレーキパッド108の押圧力を制御する。より詳細には、ブレーキパッド108が通常の温度(所定温度未満)である場合、ディスクローター106の表面のうちブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。一方で、ブレーキパッド108が高温(所定温度以上)である場合、ディスクローター106の表面のうちブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に小さくするとともに、接触範囲が基準位置よりも凹状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。
これは、ディスクローター106表面に生じる凹凸のうち、経年劣化やブレーキパッド108との摩擦に起因するものは定常的な変形であるため、ブレーキパッド108の押圧力を大きくして凸部を研削するとともに、制動時に発生する熱に起因するものは一時的なものであるため、研削をおこなわずに、凹凸に沿うようにブレーキパッド108の押圧力を変化させて制動時のジャダーを軽減させるためである。制動力制御装置140は、ディスクローター106の表面に凹凸が生じる原因に応じてブレーキパッド108の押圧力を制御することにより、より確実に制動時のジャダーを軽減させることができる。
制動力制御装置140は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。制動力制御装置140は、車両100の各部とインターフェース部を介して接続され、それら各部との間で情報の授受をおこない、各部の制御を司る。
また、制動力制御装置140は、上記CPUが上記制御プログラムを実行することによって、推定部141、検出部142、制御部143、検知部144を実現する。なお、本実施の形態では、制動力制御装置140とEV−ECU130とを別個の構成としたが、EV−ECU130の一機能として制動力制御装置140を実現してもよい。
推定部141は、ディスクローター106の表面の凹凸状態を推定する。具体的には、推定部141は、運転者のブレーキ操作に伴うブレーキパッド108の押圧力の変化を検出し、ブレーキ操作の操作量から予測される押圧力と検出された押圧力との差分から凹凸状態を推定する。なお、本実施の形態において、ディスクローター106の表面とは、ディスクローター106とブレーキパッド108との接触面がある側の面を指し、ディスクローター106の表面の凹凸状態とは、ディスクローター106とブレーキパッド108との接触面となる同一円周上における厚みの差を示す。
より詳細には、推定部141は、まず、車輪速度センサ122から出力された車輪速度情報から現在のディスクローター106の回転位置(たとえば、基準位置からの回転角度)を推定する。つぎに、推定部141は、ペダルセンサから出力されたブレーキペダル103への踏み込み力(ブレーキ操作量)から、運転者が要求する押圧力を算出する。ブレーキパッド108には、ディスクローター106に対する押圧力を計測するセンサ(押圧力センサ)が設けられており、推定部141は、押圧力センサからの出力値(実際に生じている押圧値)と、運転者が要求する押圧力とを比較する。
ブレーキパッド108とディスクローター106との接触部分が他の部分よりも厚い(凸部)場合、ディスクローター106とブレーキパッド108との間の距離が小さくなり、実際に生じている押圧値は、運転者が要求する押圧力または他の部分における押圧力よりも大きくなる。一方、ブレーキパッド108とディスクローター106との接触部分が他の部分よりも薄い(凹部)場合、ディスクローター106とブレーキパッド108との間の距離が大きくなり、実際に生じている押圧値は、運転者が要求する押圧力または他の部分における押圧力よりも小さくなる。推定部141は、推定した凹凸状態とディスクローター106の回転位置とを対応付けて記録して、ディスクローター106の1回転分の凹凸状態を予測する。
検出部142は、ブレーキパッド108の温度を検出する。検出部142は、ブレーキパッド108に設けられた温度センサからの出力値を取得することによって、ブレーキパッド108の温度を検出する。ブレーキパッド108とディスクローター106とは制動時に接しているため、ブレーキパッド108の温度状態からディスクローター106の温度状態を推定することができる。なお、本実施の形態では、検出部142はブレーキパッド108の温度を検出するものとしたが、ディスクローター106の温度を検出するようにしてもよい。また、本実施の形態ではブレーキパッド108に設けられた温度センサからの出力値を取得するものとしたが、直接温度を検出するのではなく、各種の情報を用いてブレーキパッド108の温度を推定するようにしてもよい。たとえば、要求制動力やその時間などからブレーキパッド108の温度を推定するなどの方法が考えられる。
制御部143は、推定部141による推定結果および検出部142による検出結果に基づいて、ディスクローター106へのブレーキパッド108の押圧力を制御する。上述したように、制御部143は、ブレーキパッド108の温度が所定温度以上の場合は、ディスクローター106の表面のうちブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に小さくし、接触範囲が基準位置よりも凹状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。これにより、ディスクローター106表面の凹凸によらず一定の制動力を得ることができ、ジャダーを低減することができる。一方、ブレーキパッド108の温度が所定温度未満の場合は、ブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。これにより、ディスクローター106表面の凸部を研削して、ディスクローター106の厚さを一定にすることができ、ジャダーを低減することができる。
図2は、制御部143による制動力制御の詳細を示す説明図である。図2の上段は、ディスクローター106の回転位置を示し、点Sは基準点である。図2では、基準点Sがブレーキパッド108の中心位置と同じ角度にあるとき(位置Aおよび位置D)を基準位置とし、ディスクローター106を90度ずつ回転させた図を示している。
図2の中段は、ブレーキパッド108との接触位置におけるディスクローター106の凹凸状態を示している。図2においては、ディスクローター106の凹凸状態を、ブレーキキャリパー107側に設けた基準点からの距離yとして示している(図2右上図参照)。このため、凹部ではディスクローター106とブレーキパッド108との間の距離が大きくなり、凸部ではディスクローター106とブレーキパッド108との間の距離が小さくなっている。また、図2においては、ディスクローター106の回転角度が0の位置における距離を0(基準位置)として、距離が大きい箇所(凹部)では正の値、距離が小さい箇所(凸部)では負の値をとるようにしている。
図2の下段は、ブレーキパッド108の付加押圧力を示しており、実線で示すのがブレーキパッド108の温度が所定温度以上の場合、点線で示すのがブレーキパッド108の温度が所定温度未満の場合である。付加押圧力は、たとえば、中段に示したディスクローター106の凹凸状態の値に、温度に依存するゲイン値を掛け合わせたものとしている。
図3は、付加押圧力を算出するゲイン値と温度との関係の一例を示すグラフである。図3において、縦軸はゲイン値、横軸はブレーキパッドの温度Tを示す。温度Tが第1の所定温度T1未満の場合はゲイン値を正の値、温度Tが第2の所定温度T2以上の場合はゲイン値を負の値としている。また、温度Tが温度TがT1以上T2未満の場合、ゲイン値を0としているが、これは温度変化により急激に制御量が変化するのを避けるためである。
ブレーキパッド108の温度が所定温度未満(T<T1)の場合、付加押圧力は、図2中段に示したディスクローター106の凹凸状態の値に負のゲイン値を掛け合わせたものとなる。上述のように、ディスクローター106とブレーキパッド108との距離は、凹部では正の値、凸部では負の値をとるため、凹部における付加押圧力は負の値、凸部における付加押圧力は正の値をとる(図2下段点線)。これにより、凸部においては、運転者のブレーキ操作量に対応する要求押圧力以上の押圧力が加わり、ディスクローター106の表面が研削され、ディスクローター106の厚さを一定値に近づけることができる。
一方、ブレーキパッド108の温度が所定温度以上(T>T2)の場合、付加押圧力は、図2中段に示したディスクローター106の凹凸状態の値に正のゲイン値を掛け合わせたものとなる。上述のように、ディスクローター106とブレーキパッド108との距離は、凹部では正の値、凸部では負の値をとるため、凹部における付加押圧力は正の値、凸部における付加押圧力は負の値をとる(図2下段実線)。制御部143は、運転者のブレーキ操作量に対応する要求押圧力に、ディスクローター106の凹凸状態に対応する付加押圧力を加えることによって、ディスクローター106の凹凸に起因する押圧力のバラつきを相殺する。
図1の説明に戻り、検知部144は、運転者によるブレーキ操作量を検知する。検知部144によって検知されたブレーキ操作量が所定量以下の場合、制御部143は、ブレーキパッド108の押圧力の制御をおこなわない。これは、ブレーキ操作量が小さい場合にはジャダーが発生しない、または搭乗者にとって気にならない程度のジャダーであることによる。また、検知部144によって検知されたブレーキ操作量が所定量以下の場合、推定部141も凹凸状態の推定をおこなわない。これは、本実施の形態における方法でディスクローター106の凹凸状態を推定するためには、一定量の押圧力をかける必要があるためである。
図4は、制動力制御装置140による制動力制御処理の手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、制動力制御装置140は、車両が走行を開始するまで待機して(ステップS301:Noのループ)、車両が走行を開始すると(ステップS301:Yes)、推定部141は、車輪速度センサ122から車輪速度情報を取得して(ステップS302)、基準点からの車輪回転角を算出する(ステップS303)。
つぎに、制動力制御装置140は、検知部144でペダルセンサからブレーキペダル103への踏み込み力(ペダルストローク)を取得して(ステップS304)、運転者が要求する要求押圧力を算出し(ステップS305)、要求押圧力が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS306)。要求押圧力が所定値以上でない場合(ステップS306:No)、制動力制御装置140は、ステップS314に移行して、付加押圧力を0として以降の処理をおこなう。
一方、要求押圧力が所定値以上である場合(ステップS306:Yes)、制動力制御装置140は、推定部141によってディスクローター106表面の凹凸状態が推定済みか否かを判断する(ステップS307)。なお、推定部141による凹凸状態の推定は、たとえば車両100の走行ごとにおこなってもよいし、所定の期間ごとに定期的におこなってもよい。凹凸状態が推定済みの場合(ステップS307:Yes)、制御部143は、ディスクローター106の凹凸状態を示す凹凸情報を読み込む(ステップS308)。つぎに、検出部142によってブレーキパッド108の温度を検出し(ステップS309)、ブレーキパッド108の温度に基づいてゲイン値を決定する(ステップS310)。そして、決定したゲイン値を元に各回転角における付加押圧力を算出し(ステップS311)、ステップS318に移行する。
一方、ステップS307において、ディスクローター106表面の凹凸状態が推定済みでない場合(ステップS307:No)、ステップS312に移行して推定部141による凹凸状態の推定をおこなう。推定部141は、ブレーキパッド108に設けられた押圧力センサから現在の押圧力情報を取得して(ステップS312)、ステップS305で算出された要求押圧力と現在の押圧力との差分から、ディスクローター106表面の凹凸状態を推定する(ステップS313)。
推定部141は、たとえば、要求押圧力−現在の押圧力が正の場合、現在の押圧力は要求押圧力より小さい、すなわち、ブレーキパッド108とディスクローター106との距離が予測される距離よりも大きい凹部であると考えられる。また、要求押圧力−現在の押圧力が負の場合、現在の押圧力は要求押圧力より大きい、すなわち、ブレーキパッド108とディスクローター106との距離が予測される距離よりも小さい凸部であると考えられる。
推定部141は、ステップS311で推定した凹凸状態を車輪の回転角情報と関連付けて記録する(ステップS314)。1回転分の凹凸状態の記録が終了するまでは(ステップS315:No)、ステップS317に移行して、以降の処理をおこなう。そして、1回転分の凹凸状態の記録が終了すると(ステップS315:Yes)、推定部141は、凹凸状態の記録を完了させる(ステップS316)。制御部143は、推定部141による凹凸状態の推定が完了するまでは付加押圧量を0とする(ステップS317)。
制御部143は、要求押圧量+付加押圧量によって総押圧量を算出し(ステップS318)、総押圧量に対応する力でブレーキパッド108をディスクローター106に押し当てるように制御する(ステップS319)。車両100が走行を終了するまで(ステップS320:No)、制動力制御装置140は、ステップS302に戻り、以降の処理をくり返す。そして、車両100が走行を終了すると(ステップS320:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。
なお、本実施の形態では、車両100のブレーキを油圧式ブレーキとして説明したが、電動キャリパーを用いた電動式ブレーキに本発明にかかる制動力制御装置を適用してもよい。電動式ブレーキは、キャリパーに搭載された電動モータ等を作動させてブレーキパッドをロータに押し付けることによって制動力を得るブレーキ方式である。電動式ブレーキにおいては、ドライバの操作をペダルストロークセンサで検出し、その操作量を元に電動モータを制御する(ブレーキバイワイヤー)。
図5は、電動式ブレーキの構成の一例を示す図である。図5に示した電動ブレーキ装置は、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の4輪にそれぞれ備えられ、各輪の目標制動トルクに相当したモータ駆動電流が各輪の電動モータに送られる。図に示すように、車輪と共に回転するブレーキロータ1が備えられ、ブレーキロータ1は一対のブレーキパッド2に押圧されて摩擦力により制動トルク、減速トルクを発生させる。すなわち、車体側にはキャリパー3が往復移動自在(図中左右方向)に支持され、キャリパー3には電動アクチュエータである電動モータ4が固定されている。また、キャリパー3にはピストン5が摺動自在に嵌合している。
ピストン5の内部にはナット部材6が固定され、ナット部材6には電動モータ4の駆動軸7に設けられたねじ部が螺合している。電動モータ4に電力が供給されることにより駆動軸7が正逆回転し、ナット部材6を介してピストン5が軸方向(図中左右方向)に往復駆動する。ブレーキロータ1の一方の面(図中左側の面)に対向するキャリパー3と、ブレーキロータ1の他方の面(図中右側の面)に対向するピストン5の先端部位とに、それぞれブレーキパッド2が取り付けられている。
電動モータ4の駆動軸7が、例えば、正方向に回転すると、ピストン5が図中左方向に駆動され、ピストン5に取り付けられたブレーキパッド2はブレーキロータ1を押圧すると同時に、キャリパー3が反力により図中右方向に摺動し、一対のブレーキパッド2によりブレーキロータ1が押圧される。これにより、制動トルク、減速トルクが発生する。電動モータ4の駆動軸7が、例えば、逆方向に回転すると、一対のブレーキパッド2がブレーキロータ1から離反する。これにより、制動トルク、減速トルクが解放される。
電動モータ4を制御するためのコントロールユニット(ECU)8が備えられ、ECU8にはブレーキペダルの操作情報(操作量、操作速度)が入力される。ブレーキペダルの操作情報に応じてECU8から電動モータ4に制御信号(電流値の指令信号:モータ駆動電流)が送られ、駆動軸7の回転方向と回転速度が制御される。即ち、各輪の制動トルクが制御される。
電動モータ4には、駆動軸7の回転角を検出する回転角センサー9及び駆動電流を検出する電流検出センサー10が設けられている。駆動軸7の回転角と電動モータ4の電流値が検出され、回転角と電流値がECU8に入力されてフィードバック制御される。
また、本実施の形態において説明した凹凸状態の推定方法は一例であり、他の方法によって凹凸状態を推定してもよい。たとえば、上述した押圧力センサの出力値に代えて、電動式ブレーキのキャリパーに搭載された電動モーターの回転角および電動モーターに流れる電流値の変動を用いて凹凸状態を推定してもよい。また、今回は推定によってロータ凹凸を使用しているが、レーザー距離計などを用いてロータ凹凸を直接検出するようにしてもよい。
以上説明したように、実施の形態にかかる制動力制御装置140は、ディスクローター106の表面の凹凸状態を推定するとともに、ブレーキパッド108の温度を検出し、ブレーキパッド108の温度が所定温度以上の場合は、ディスクローター106の表面のうちブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に小さくし、接触範囲が基準位置よりも凹状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。これにより、ディスクローター106表面の凹凸によらず一定の制動力を得ることができ、ジャダーを低減することができる。一方、ブレーキパッド108の温度が所定温度未満の場合は、ブレーキパッド108との接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で押圧力を相対的に大きくする。これにより、ディスクローター106表面の凸部を研削して、ディスクローター106の厚さを一定にすることができ、ジャダーを低減することができる。
また、制動力制御装置140は、運転者によるブレーキ操作量を検知して、ブレーキ操作量が所定以下の場合には制御をおこなわないので、搭乗者が検知可能な程度のジャダーが発生する可能性がある場合のみ、ジャダーを軽減するための制御をおこなうことができる。
さらに、制動力制御装置140は、運転者のブレーキ操作に伴うディスクローター106の押圧力の変化を検出し、ブレーキ操作の操作量から予測される押圧力と検出された押圧力との差分からディスクローター106の凹凸状態を推定するので、ディスクローター106の凹凸状態を精度よく推定することができ、制動時のジャダーをさらに軽減することができる。
100……車両、101……タイヤ、102……モーター、103……ブレーキペダル、104……マスターシリンダー、105……ブレーキ配管、106……ディスクローター、107……ブレーキキャリパー、108……ブレーキパッド、110……ブレーキブースタ、111……電動バキュームポンプ、121……モーター回転数センサ、122……車輪速度センサ、130……EV−ECU、140……、制動力制御装置、141……推定部、142……検出部、143……制御部、144……検知部。
Claims (3)
- タイヤとともに回転するディスクローターの表面にブレーキパッドを押圧して車両を制動する車両制動装置の制動力を制御する制動力制御装置であって、
前記ディスクローターの表面の凹凸状態を推定する推定手段と、
前記車両制動装置の温度を検出する検出手段と、
前記推定手段による推定結果および前記検出手段による検出結果に基づいて、前記ディスクローターへの前記ブレーキパッドの押圧力を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記車両制動手段の温度が所定温度以上の場合は、前記ディスクローターの表面のうち前記ブレーキパッドとの接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で前記押圧力を相対的に小さくするとともに、前記接触範囲が前記基準位置よりも凹状態である箇所で前記押圧力を相対的に大きくし、
前記車両制動手段の温度が所定温度未満の場合は、前記ディスクローターの表面のうち前記ブレーキパッドとの接触範囲が所定の基準位置よりも凸状態である箇所で前記押圧力を相対的に大きくすることを特徴とする制動力制御装置。 - 運転者によるブレーキ操作量を検知する検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ブレーキ操作量が所定以下の場合には、前記制御をおこなわないことを特徴とする請求項1に記載の制動力制御装置。 - 前記推定手段は、前記運転者のブレーキ操作に伴う前記ブレーキパッドの前記押圧力の変化を検出し、前記ブレーキ操作の操作量から予測される前記押圧力と検出された前記押圧力との差分から前記凹凸状態を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の制動力制御装置。
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CN114458708A (zh) * | 2021-08-25 | 2022-05-10 | 苏州麦哲轮汽车电子科技有限公司 | 一种汽车制动钳温度传感控制***及控制方法 |
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